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政府参考人(
寺田逸郎君) 冒頭に六十年ぶりの
改正ということがございましたけれども、特に昭和五十年代以降、この
会社の法制の
見直しというのは幾つかの節目を持って行われてきたわけであります。しかしながら、昭和五十年当初に非常に大掛かりに大小
会社区分立法を構想して様々な手当てをしようというふうに考えました以後、現実には
企業の不祥事等がしばしば起こるということを中心といたしまして、やはり
大会社についての
規制の手当てというものが緊急性が高いということで、
平成に入りましてからも、ほとんどこの
会社法の
改正の対象というのは
大会社に関する部分であったと言っても過言ではないほどになっております。
私どもが
中小会社の
規制を考える場合に、どうしても、先ほど
大会社が緊急性が要するということの、そういう事情があったということのほかに、難しかったのは、現実の
中小会社の姿というのがやはりなかなか理想とする形に結び付き難いところがあったからであります。しかしながら、
大会社についての様々な取組というのが、一応
平成十四年辺りまでの
改正において一まとまりできた、先ほど来も
委員会等設置会社等の御議論ございましたけれども、できた段階において、やはり次に
中小会社にとって本当に、一面では現実に即し、しかし他面では理想というものに近づける、そういう
法改正が必要なのではないかということで、今回の
会社法の
改正は全面的な
見直しに基づいて
現代語化するところでありますけれども、
内容的にいいますと、やはり
中小会社に対する手当てというものが大きな比重を占めるということは
委員の御
指摘のとおりでございます。
それで、その
一つの問題が、結局、
中小会社の会計をどうオープンにしていくか、その前提としてどう正確性を保っていくかというところでございました。
かつては、外部監査というものを
株式会社の
中小の
会社に対してもできないかということで様々企画を練って案を作って考えたこともあったわけでございます。しかしながら、なかなかそれは現実にはできないということで今日に至ってきておるわけでございまして、そこで、外部の監査ということは難しくても、
内部では現実に様々な
専門家が監査という形ではない形で寄与されているという現実もございますので、そういう
意味で、一部はその
内部の会員からの
専門家の関与によってその適正さを保つという発想があってもいいんではないかという御意見が出てきたわけでございます。
幸いにも、今回、
有限会社を
株式会社に取り込んで一本化したということもございまして、決算公告も全面的に
株式会社に対して行わせるという
措置もとれるようになったわけでございますけれども、その前提として、やはりこの正確な計算の適正さの確保というのが抜きにこの
会社法を出すのは難しいということで、最終的に試案を出した後に集中的にこの点について議論をしていただきまして、結局、
内部として、
専門家として関与はするけれども、あくまで
取締役と共同で作業をする、しかしそれによって正確性を高める担保にはなると、こういう形での
会計参与の
制度というのをつくろうということになったわけでございます。
関係団体からはこの議論の過程で様々な御意見が出たわけでございます。特に、
公認会計士団体と税理士団体におかれては、それぞれのお
立場から、それぞれ
会社を良くしようという御意思はお持ちでありましたけれども、方向性においてなかなか一致するところが難しかったわけでございますが、今のような形で、
内部の会計処理を行うエキスパートと、
会計監査人という外部であくまで会計監査を行うエキスパートというすみ分けをすることができるということになりました結果、両団体ともこの
制度の有用性というものを全面的に支持されるということになっております。
ちなみに、
中小企業団体におかれましても、このような考え方の現実性というものに対して強い支持が寄せられております。