○千葉景子君 確かに、従来の
予算に比較いたしますと、一定、ポイントポイントに重点が置かれているということも全く分からないわけではありませんし、そういうことが少し配慮されているというふうには思うのですけれども、ただ、やっぱりこれから将来を見据えて一体どういう
社会というかをつくっていくのかという、大きなやっぱりビジョン、理念、こういうものがあり、そしてそれを一歩一歩前進をさせていくと、そして財政
措置も講じていくということがやっぱり大事なんだろうというふうに思うんですね。当然、あれもこれもあれもこれもというわけにはいかないわけですし。
そこで、何点かちょっと聞かせていただきたいんですけれども、
一つは、これも先ほどから、もうこれ問題になる
犯罪の防止という
観点ですね、これについても
予算案の中で先ほど御
説明もいただきました。確かに人的、物的
予算を従来よりは厚くしているということは分かります。ただ、基本的に
犯罪を抑止していく、防止していくために、一体どっちの方向を向いていくのかということです。
これは、前回でしたか、簗瀬
委員なども
指摘をされておられますけれども、要するに、どんどん人員といいますか警察官を増やし、そしてまた
犯罪に対しては厳しく対応していく、それによって施設もどんどん増やさなければいけない、過剰になる、また
刑務所をつくる、こういう方向に、刑罰を厳しくして、そうするとどんどんどんどんそっちの方へ行く、そういう方向で
犯罪の抑止というのを
考えていこうとするのか。あるいは、そうではないんだ、むしろ
刑務所などは少なければ少ない方がいい、そのためにはやっぱり
社会にできるだけ復帰をする、そして
再犯を起こさないような、そういう
社会内での様々な処遇をもっと充実をさせる、
保護観察官などを増やしていく、こういう方向で
犯罪の抑止というのを進めていくのか。
やっぱり、どこに軸足を置いて、施策の基本を置いて、そして対応していくのかという、ここが大事なんだろうというふうに思うんですね。そうしないと、何か、いやいや、一杯になったから
刑務所はつくらなければいけません、人も増やさなければいけません、人を増やすにも、じゃ刑務官を増やすんですか、あるいは
保護観察官とか、そういう人を増やすんですかと、何かばらばらということにもなりかねないわけですね。
ちょうど面白いのが、またこの本が出てくるんですけれども、このところちょっとこの
法務委員会のはやりになりまして、私も、いや、
法務にかかわる司法とかこういうことがこういう割と平易に、そしてただ誤りなく
説明する、できるというのはとてもすばらしいことだなというふうに思うんですね。私にも何か司法や
法務行政にこういう分かりやすい形で
説明せよと言われてもなかなか容易じゃないんですけれども、本当に中学生ということですけれども、何かもう一度私たちが読んでなるほどと思うようなことが書かれておりました。
それで、この「スウェーデンの
犯罪者ケアーに関する市民の
意見」というのが載せられておりまして、答えは出ているわけじゃないんですね。こういう
考え方にどう受け止めますかと中学生に問うているわけですけれども、片方は、一人は、「
犯罪者のケアーについてあれこれ言うのは、まったくスウェーデン的だよ。
犯罪を病気と同じように扱うのだから。
犯罪の
増加を防ぐ唯一の
方法は、刑罰を重くすることだね。それから警察官の数を二倍にする。今は、彼らがちゃんと
自分の仕事をする時間がないからですよ。」と、こういう
考え方が紹介をされている。今度は、もう一方違う
考え方。これは、「私は、七十五カ所もある
刑務所の大半を閉鎖してもよいと思っています。他人にたいしてひどい事をした
犯罪者だけ、収容する所を残して置けばいいのです。その代わりに、より良い自由ケアーへお金を投入すべきです。今は、
刑務所で一人の囚人にかかる
経費は月に三万クローノル以上です。このお金を自由ケアーの
犯罪者に回せば、彼らにより良い労働、観察人を与えることが可能です。」と、こういう
考え方とこう紹介をされていまして、なるほどな、一体どっちの道に私たちは進んだらいいのか。今、日本にもこれ問われているところではないかなという
感じがいたします。
こういうことを念頭に置きながら、この
犯罪防止のための施策と財政
措置、今回のこの十七
年度の
予算案ではその辺はどういうめり張りといいますか、何か方向性が見えてくるようなそういう
予算というか、財政の立て方になっているんでしょうか。その辺は
大臣としてはどんなふうに
考えておられますか。