○下田敦子君
委員の下田敦子でございます。
委嘱審査の定めによりまして、当
委員会所管の予算について
審査に入らせていただきますので、よろしくお願いいたします。
時間がなくなりましたので、私は、今日お尋ね申し上げたいことがセクション別に大きく分けまして三つございます。で、大変恐縮ですが、関連がありますので、それぞれを小分けにしませんでセクションごとにお尋ねをしたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
まずその一として、
義務教育費国庫負担制度の堅持と教職員定数改善の計画の完成についてお尋ねしたいと思います。
中山大臣におかれましては、一連の三位一体の改革の流れの中で昨年、
平成十六年の十一月に、国の根幹を成す
義務教育制度に対して国の責任を引き続き堅持するという
考えを示されました。さきの参議院の
予算委員会におきましても、民主党・新緑風会の輿石議員に対して一貫したお
考えを明確に述べられましたことに、まずもって敬意を表したいと思います。
財政論からだけの
教育を論じてもらっては困るという御主張も全くそのとおりでございまして、私は、三位一体改革の山場を強く感じましたのは、十一月十七日の
日本武道館で開かれました地方分権総決起大会であります。全国から参集した地方六団体始め関係各者一万人の集会、これを拝見して思ったことは、改革の順序を間違えたことによる地方分権への不安と不満、その場面であったと強く記憶しております。私の私見ですが、本来、課税権の分配なくしては三位一体の地方分権は成立しないということのこの
混乱を見た思いで一杯でございます。
そもそも、大変失礼ですが、私の傍らにいつも置いてあります聖書をもう一度見てみますと、三位一体というのはザ・トリニティー、いわゆる三者が共同して協力しないと成り立たないという意味のことを恐れ多くも聖書が定めておるわけですが、どなたがお書きになった原案なのか分かりませんけれ
ども、大変私は、
混乱のさなかに
大臣もあって、とても忍耐の要るお立場だなということを先ほどの本
会議から通してつくづく感じました。
二度申し上げなくてもよろしいことかもしれませんが、四千二百五十億円にも上がる原資について、国の負担率の引上げや各種手当の廃止はせずに、従来どおり負担金額を算出後に一定
割合を削減する方法をお取りになったわけですが、これも、二年分の総額に対して一年ごとにその削減額を決められたということは、この経過には合点、納得がまいりません。
中教審の答申も出てないままに、十七年度予算の暫定処置として同予算を減ずるという誠に
日本の
教育史始まって以来の前代未聞の予算編成です。
小泉総理は、この一連の流れの決着として、
中山大臣と握手をされ、済まぬなあ、まあこらえてくれという
発言をされたという報道すらなされております。国の根幹を成し、五十年、百年先を託する
子供の
教育を、ある種このような政治決着で運んでいいものか、大いに
考えさせられるところでございます。
まず一つ目に、
義務教育費国庫負担問題の方向性について、いろいろ御
答弁されておりますけれ
ども、あえてなお伺いたいと思います。
それから二つ目は、この一般財源化された場合の問題点、これについてお伺いします。
大変こういう場で恐縮ですが、先ほど本
会議で不規則
発言がありました。米百俵も古々米になってしまったと、そういう
発言が聞こえてきまして、私は
本当に、この時期とても大事なことだと思います。
これにちなんで伺いますが、第七次公立
義務教育諸
学校教職員定数改善計画、これについてお伺いいたします。
この計画は、
平成十三年から十七年の五か年計画でその総数を二万六千九百人にするということでございますが、
子供の数に教職員が連動して、比例して増減する、これはまあやむを得ない側面もあると思いますけれ
ども、
義務教育費国庫負担金制度の廃止されるかどうかによって、いわゆる一般財源化がなされれば、財政力の弱い地方は
教育の負担能力に格差が生じてまいります。
あるデータによりますと、今後、大量の退職者が出ることがこの時期予想されます。団塊の世代云々で
考えられますが、この少人数
指導や習熟度別
指導を維持するだけでも
教員不足が起きてくるとも示されておりますけれ
ども、特に二〇〇七年以降は一万五千人を上回る新規採用が必要になると見込まれている推計もございます。大都市圏では大量の
教員不足が間もなく起きてくると見られてもおりますし、また財政力の弱い地方、特に自主財源の少ない県は、県立高校のみならず、国庫負担金制度が廃止されれば小中
学校すべて県が負担せざるを得ない
状況が生じ、その結果、遠からず地方も
教員不足が生じてくると思われます。この
状況をかんがみた上で、国の教職員定数改善計画は果たして成り立ち得るのか、これをお伺いしたいと思います。
次に、
中央教育審議会についてお尋ねいたします。
中教審そのものについては予算
審議の対象ではありませんので申し上げかねますが、地方から寄せられた何百枚もの直筆のはがきがございます。
中央教育審議会のことを伺わざるを得ません。
中教審は、先月十五日、
義務教育費国庫負担金削減問題の扱いを含む
義務教育の在り方や
学習指導要領の全体的な
見直し、総合的な学習の時間の検討に入ったようでありますが、その
審議内容、特に
義務教育国庫負担金削減問題の扱いに対して、将来どのような方向付けを文科省としてはお
考えあるいは示されていくか、お尋ねをしたいと思います。
全国の知事会あるいは地方六団体からの地方団体枠が不在のまま
開催ということになりましたが、このことに対して、地方代表者が三人登用要求されているのに対してその枠を二人とする意向であると聞いておりますが、地方の声を聞かずんばしてこのたびの改革なのか。方向転換はやり得ないと思います。関係諸団体から一人でも多くの参加を認めた方がよいと望む声が多いようでありますので、それをまずお伺いをして、なぜ認め難いのか、それをお尋ねしたいと思います。
次に、問題行動、不登校等の対応、一貫しましたスクールカウンセラーの全校配置等の事業についてお伺いいたします。
順序は前後いたしますが、関連性がございますので
学校安全及び心のケアの充実についてもお尋ねをしたいと思います。
この問題は、スクールカウンセラーについては我が党の佐藤泰介理事も
教育サイドから述べておられますが、私は地域福祉、医療サイドからお伺いを申し上げたいと思います。
現代は変革の前夜であると言われています。それだけに、柔軟な心の在り方がそれぞれに問われているという
認識も昨今ございます。作家の曽野綾子さんは、今必要なのは大国と言われるに相ふさわしい精神の整備であります、私は現在の
日本の危機を貧しさを
教育に感じますと述べておられます。戦後六十年を迎え、
教育、政治、
経済など、従来の規範は大方通用いたしません。今日まで
我が国が
考えてこなかった、予想もしなかった事件、事故が多発して社会不安を呼んでおります。
こういう今日にあって、せんだって寝屋川市立中央小
学校で教職員三名が殺傷された事件が起きました。この犯罪に関与した人物が何か精神的な症状を抱えていたかどうかは今後更に調べていかれることであって、この場でそれを云々するつもりはありません。ただ、最近起きている児童生徒を巻き込んだこのような事件で最もまず最初に
考えなければならない点は、小
学校サイドの安全対策における問題点を
考える前に、
我が国の地域社会における精神保健福祉
行政とその対策の遅れに言及をしなければならないのではないかと。私は、順序立てて
考えたときに、本
委員会は文科省の
委員会ではありますけれ
ども、それを
考えます。
話は少し飛躍しますが、欧米諸国においては、いわゆる精神障害者の閉鎖病棟での施設中心の隔離的政策は、地域社会においてそれぞれの専門家の下で作業療法を通して、あるいは読書をする者は読書、あるいはその日の食事を作る者は作るというふうにして、ケアワーカーやその他の地域のコメディカルスタッフ、あるいはデイケア中心の治療、そして地域社会における実際的治療がきめ細かにされております。
これは、私も何回か参りまして、デンマーク、スウェーデン、特に進んでいる
状況を、地域地域のそのサテライトスタジオ的な場所でもって行われている、もう鉄格子をはめた精神病棟からは、だれもいないと言ったら語弊ですが、もう閉鎖されてしまっていると。それぐらい地域の福祉医療
行政を絡んだ対策がきめ細かに行われているわけですが、それらを
我が国の場面に目を当てたときに、そのケアを受け持つ関係機関の構築が欧米諸国に比べて極めて整っていない。こういうことを
考えたときに、私は、児童生徒の安全を
考えるのには非常に重要な、まず第一に
考えなければならない
課題ではないかと。
所管外かもしれませんが、縦割り
行政を超えた横の連携なり整備が私は必要ではないかと思います。
しかしながら、何らかの精神的な障害は、ふだんの生活、
学校での生活、地域社会での生活で何らかの発端があるケースも実際少なくないように思われます。それを気付き、何らかの問題解決に導く方法に模索することもとても重要なのでありますが、ない状態がほとんどの地域で見られます。
例えば、今朝のNHKの放送をごらんいただきましたでしょうか。鹿児島県で、ある精神科の小児の精神を専門とする女医さんが登場されていて、
子供のうつ病が非常に増えていると、しかもこれらに対応していく専門医が全国でわずか百人しかいない。
子供のうつ病だけでありません。例えばいじめは、これは文科省の十四年度の発表、そして十五年度の発表ですが、いじめの件数が約千件増えております。それから、うつ病に関しては六年間で三倍。で、見付けるのがとても難しい。こういう領域が極めて薄いというのが、今現在
日本の中で言われることであって、先ほどの本
会議場の中でただただ
教育部門を詮議しても、これはもう成り立たない
状況が今日あると思うんです。
そういう観点からお尋ねをしたいんですが、もしこういうことで時間を、今日余りないのでじっくりできませんけれ
ども、香川県の
教育委員会が主になって非常に進んでいることをやっておられるのが、私も常がね聞いておりました。それは何であるかというと、スクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーの連携の必要性であります。先般の部門
会議で伺いました、ヒアリングのときに、スクールカウンセラーは、予定されているのは
教育の経験者であるとか児童
委員であるとかを充てるんだと、そういうお話でありましたけれ
ども、残念ながらというか、スクールカウンセラーにこの方々を充てるんだとすれば、やっぱりこういうスクールソーシャルワーカーとかあるいは精神保健福祉士、PSWと言わせていただきたいんですが、こういう
人たちの連携が私は大事ではないかと思います。
要するに、
教員とスクールカウンセラーとスクールソーシャルワーカーとドクターと、地域にこういう
人たちのチームをつくっていかないと、私は今後こういう例は無造作にまた起きる可能性が地域に内蔵しているということをやはり
教育界も気付かなければならないんじゃないかと思います。ですから、そのことでどういうふうにお
考えでいらっしゃいますか、お尋ねをします。
ちなみに、アメリカには予防
教育プログラムというのがあって、これはソーシャルワーカーの先進国であるアメリカにおいては、スクールソーシャルワーカーは常に治療者と臨床家とインストラクター的なアドバイザー的な仕事をチームでやってこられた百年の歴史がある。
日本はあるでしょうか。そういうことを、やはり私は文科省のみならず、多岐にわたるこれは地域の仕事であろうかと思いますので、お願いをし、またお伺いしたいと思います。
次に、全国の小中
学校──大変恐縮ですが、聞きづらいので。全国の小中
学校の数が、これも文科省さんの発表によりますと四万九百六十八校あると書かれてある数字があります。なぜこれだけの数があるのに対してこのたびの予算は約一万校と限定するのか、これもお尋ねをしたいと思います。
それからもう一つ、昨年十二月の
内閣府の
調査の中で、自閉症児など体外からは見えない障害が非常に
現場において
理解されずに、本人も家族も苦痛を感じている人、親御さんも多いということが
内閣府で発表されて、実にその数が八五%いるということが発表されました。
自閉症児も、これはいわゆるLDと言われる学習障害、それからADDと言われる注意欠陥障害、それからADHD、いわゆる注意欠陥多動性障害、もう教室に黙っていれないと、何だか訳も分からずどんどんどんどん出ては入ったり出ては入ったりする。これらの障害が本人にとっても大変な問題なんだと思うんです。ですけれ
ども、並でないということで、その場ですぐ片付けられがちだ。こういう発達障害に対する特別支援
教育の具体的な内容について、まずどういうお
考えであるかをお尋ねしたいと思います。
それから次に、
学校安全体制整備推進事業なんですが、これを今までいろいろ本
会議やらいろんな、当
委員会でも伺いますと、どちらかというと防犯カメラを校内に設置したかなどのハードの面での校内施設に重点が置かれているように思われてなりません。もちろんそれも大事です。ですが、今申し上げたような地域ぐるみのソフトな、いわゆる総合的な施策の対策が急がなければならない面だと私は思っておりますが、これの点についてもお伺いいたします。
次の質問は、健康に関する現代的
課題の中で、食生活に関する
教育の充実のことで申し上げたいと思います。時間がないので前置きは省きます。
食育問題、あるいは文科省では栄養教諭ということを取り上げておられます。私は本業がこの方なものですから、今申し上げたいたくさんのことがありますけれ
ども、アメリカの小麦消費拡大三十年計画というのは、戦争直後、
学校給食を通して私
どもは当てはめられておりました。で、結果どうなったか。三十年たたないまでに、すっかり私
どもは、朝はパン、昼はめん類、晩御飯はやっと御飯、米かなと思うと、最近はスパゲッティが夕食の中心であると。今やアメリカの小麦なくしては暮らせない民族に仕立てられました、
学校給食を通して、昭和二十年。これが、今この計画は
日本で大成功して、アメリカの自給率一三〇%の国ですから、これがもう隣の中国にこの施策が行っているそうです。やっぱり上海に行っても北京に行っても、マクドナルドもあればケンタッキーフライドチキンもあります。こういう環境があって私
どもの
子供の食生活が変えられたということもまず
考えてみる必要があります。
ですから、最近、これも
日本では非常に歴史の浅い学問分野ですが、非行と食生活、これはアメリカでは物すごいデータがあります。ですが、
日本では大分
大学とか岩手
大学では少しくやってきてみえますけれ
ども、非常に浅い分野でもあります。
そこで伺いますが、本年四月より自治体の判断で栄養教諭を配置できることとなりました。ですが、この十七年度の栄養教諭の導入を見送っている自治体が多いと聞き及んでいます。この要因は何であるか。また、栄養教諭を対象とした栄養教諭養成課程講習会、これの
実施状況をお伺いしたいと思います。
第一のセクションについては以上であります。時間がもう半分行ってしまいましたので、手短に簡潔にお答えをお願いしたいと思います。
以上です。