○鈴木寛君 民主党・新緑風会の鈴木寛でございます。
私、午前中の自民党の
委員の皆様方と
中山文部科学大臣との御
議論を聞かせていただいて、少し
文部科学省、特に
中山大臣と我々が考えております学力低下の
原因といいますか、学力が低下をしていると、学力だけじゃございません、これは体力も低下をしているわけであります。日本の
子供の生きる力が低下をしている。これは恐らく全員の共通の
認識だと
思いますが、その分析、それは中教審でこれからきちっとおやりになると、こういうことなんだろうとは思うんですが、その
議論を正しい方向に導いていただくためにも
議論を深めさせていただきたいというふうに
思います。
これは、もちろん
中山大臣、そういう心理ではないんだと
思いますけれ
ども、総合をやめて土曜日を復活して授業時間数を増やせば、これ日本の学力低下が戻ると、こういう単純な話ではないんだろうというふうに私たちも思っておりますし、恐らく
大臣もそういうことだというふうに私は信じておりますが。
この前の
予算委員会でも少し問題提起させていただきましたが、やはり我々が一番注目すべきはこの二極化といいますか、学力
段階の、例えば再三事例に出されますOECDのPISA
調査、この詳細な分析はこの後我が佐藤理事から本論はやらせていただきたいと
思いますが、PISA
調査を見ましても、レベル5はそんなに変わってないんですよね、その落ちたと言われている、八位から十四位に落ちたと言われているところも。九・九%が九・七%ですから、これはほとんど誤差の範囲、変わってないと。問題はレベル2、レベル1あるいはレベル1未満、ここが二〇〇〇年のときは二五%だったのが四〇%に増えてしまったと。この中レベル以下の
子供たちが増えて、そして全体の平均を押し下げたというのがその学力問題の
実態だろうというふうに
思います。
我々が取るべき
施策は、この中レベル以下の
子供たちの学力をどうやってもう一回引き上げるかといったところを是非この
委員会でも
議論を深めていきたいし、中教審でも深めていただければなというふうなことを
思います。
それで、例えば授業時間数、これを増やせと。私も全く増やすなと言うつもりはございません。特に低学年の学びなど、やっぱり時間数をきちっと対応すべきところはあろうかと
思いますが、小
学校一年生から中
学校三年生まで一律に授業時間数を増やせばこれは上がるというものではないと
思います。
ちなみに、今世界的に注目をされておりますフィンランド、これはOECD
調査国の中で一番、授業時間数自体は一番少ないんですね。フィンランドの成功というのは、恐らくいろんな、我々があるいはメディアが注目をしていないところに実は隠されているわけで、そうしたところに私たちはもう少し目を配っていかなければいけないというふうに
思います。
それで、例えばこの学びあるいは学び方というところの
議論が私は足らないような気がするんですが、勉強というのは授業、一斉授業で教えてもらう、それから個別ないし少人数で分からないところを今度は丹念に掘り下げると、それから自学自習といいますか自習と、この恐らくバランスが非常に重要なんだというふうに
思います。恐らくフィンランドは、いわゆる一斉授業時間数はOECDの中で一番少ない、にもかかわらず成績がきちっと高水準を確保しているというのは、この個別学習とか少人数学習とかあるいは自学自習と、こういうところのバランス、あるいはこういうところは物すごくしっかりしていると。現に、日本の
子供たちは自学自習時間はOECDで最低ですから、やっぱりここを上げていかなきゃいけないということは、これは明らかなんだろうというふうに
思います。
それから、やっぱり個別
指導なんかをやっていくときに、日本の教員の数、これは明らかに少ない。OECD
調査国で例えば中
学校の教員の数、平均を見ますと二十三・七人に一人という割合でありますが、日本はそれより十人多い三十四・三人に一人なんですね。
ですから、やはり三十人学級というのはなぜ必要かというと、もちろん割り当てた後のそのクラスの編制の仕方というのは非常に多様であっていいと
思いますが、まず先生の質と量をきちっと確保しなければいけませんから。で、例えばフィンランドは二〇%ぐらいは授業だけでは理解できない、あるいは習熟できない生徒がいるということを前提にして、その二〇%に対して今のような十分に多い教員でもってかなり少人数、個別をきちっとやっていくと、こういうことで全体の水準を上げているんだろうというふうに
思います。
そこで、結局、結論を先に申し上げますと、日本は授業で付いていけない、その補完的な学習というものを公
教育が十分にできない。そこを埋めているのが正に学習塾とか家庭教師とかあるいは家庭学習とか、ここなんですね。結局、ここはその御家庭の経済力によって学習塾に行かせられる子、あるいは家庭教師に行かせられる子、それからそうでない子ということで、この前も小泉総理に申し上げましたけれ
ども、例えば総務省の家計
調査、
平成十七年の一月、四人世帯、有業者一人ですね、年間収入五分位階級別一世帯当たりの一か月の収入と支出。収入格差は二・二倍なんです、第一階級と第五階級。しかし、補習
教育は実に十四・七倍です。第一階級は七百六十二円しか毎月々出せないんですけれ
ども、第五階級は一万一千百七十一円。この差が正にその個別学習あるいは補習学習といったところの差に表れていると。
それから、更に申し上げますと、昔は勉強のできなくても運動が得意な子とかいうのはいました。しかし、最近はそこすらおかしくなっているんですね。それは何を申し上げたいかといいますと、例えば水泳とかサッカーとかというのは、これはその御家庭が
それなりに裕福でないと水泳教室へ行かせられない、あるいは今サッカー、Jリーグはもう小
学校のときから月謝を払ってそのJリーグのユースチームとかジュニアチームとかキッズチームとかへ入れますから、そうすると、
それなりに裕福な御家庭の
子供さんが運動もできるんですよ。それが証拠に、月謝というのは第一階級が三千四百二十二円です、しかし第五階級は一万七千四百三十三円、五・一倍の差が付いているんです。
私は、正にこの世帯の収入格差と
子供たちの生きる力、これは学力だけじゃありません、さっき申し上げた水泳とかサッカーとか、あるいはスキーもそうだと
思いますけれ
ども、冬休みスキー教室に行かせられる御家庭と行かせられない家庭、いるわけですよね、特に都会だと。そういうふうなところで生きる力全般の差が付いてしまっているというのがこれ日本の
子供の生きる力の最大の問題だし、私たち
国会議員は、あるいは国はここにフォーカスを当てなければいけないんだというふうに思っておるんですが、この点、文部省、いかがでございましょうか。