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2005-06-14 第162回国会 参議院 内閣委員会 第14号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年六月十四日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員異動  六月九日     辞任         補欠選任      小川 敏夫君     松井 孝治君      松下 新平君     工藤堅太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 市川 一朗君                 小野 清子君                 岡崎トミ子君                 森 ゆうこ君     委 員                 秋元  司君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 泰三君                 竹山  裕君                 中曽根弘文君                 西銘順志郎君                 神本美恵子君                 工藤堅太郎君                 松井 孝治君                 円 より子君                 風間  昶君                 白浜 一良君                 近藤 正道君                 黒岩 宇洋君    国務大臣        国務大臣        (内閣官房長官) 細田 博之君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    村田 吉隆君        国務大臣        (内閣特命担        当大臣経済財        政政策))    竹中 平蔵君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        内閣官房拉致問        題連絡調整室        長        内閣拉致被害        者等支援担当室        長        小熊  博君        内閣大臣官房        審議官      中藤  泉君        内閣大臣官房        審議官      中村 吉夫君        内閣府政策統括        官        柴田 高博君        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        警察庁刑事局長  岡田  薫君        警察庁交通局長  矢代 隆義君        警察庁警備局長  瀬川 勝久君        総務省自治財政        局長       瀧野 欣彌君        法務省刑事局長  大林  宏君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君     ─────────────   本日の会議に付した案件政府参考人出席要求に関する件 ○内閣重要政策及び警察等に関する調査  (愛媛警察における会計経理をめぐる事案に  関する調査結果に関する件)  (警察による予算適正執行問題に関する件)  (治安回復確立策に関する件)  (北朝鮮による日本人拉致問題に関する件)  (監察医警察医制度充実策に関する件)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから内閣委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  去る九日、小川敏夫君及び松下新平君が委員を辞任され、その補欠として松井孝治君及び工藤堅太郎君が選任されました。     ─────────────
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  内閣重要政策及び警察等に関する調査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として内閣官房拉致問題連絡調整室長内閣拉致被害者等支援担当室長小熊博君外十二名の出席を求め、その説明聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 内閣重要政策及び警察等に関する調査議題といたします。  警察庁より報告聴取いたします。安藤警察庁長官官房長
  6. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 内閣委員会の御審議に先立ち、会計経理をめぐる事案に関する愛媛警察による調査結果報告書及び愛媛警察における今後の対応について御説明申し上げます。  まず、愛媛警察による調査結果報告書について御説明申し上げます。  平成十七年一月二十日、当時、愛媛警察本部生活安全部地域課鉄道警察隊に所属していた仙波敏郎巡査部長記者会見を行い、愛媛警察において不適正な会計経理が行われていた旨述べたと報じられたことから、愛媛警察は、総務室長調査責任者として、また、四月一日以降は警務部長調査責任者として調査を実施したところであります。  調査においては、当時の関係者のうち、死亡病気等により聴取が不可能であった者五十七人を除く二百四十七人からの聞き取りを行うとともに、関係する文書確認を行ったところであります。  調査の結果のその一は、偽領収書作成依頼等有無についてであります。  聞き取り調査において、仙波巡査部長が、昭和四十八年から平成七年までに勤務した警察署において偽領収書作成を依頼され、いずれも拒否した旨述べたことなどから、愛媛警察は、仙波巡査部長平成七年度までに勤務した警察署関係者百五十三人から聞き取り調査を実施したところであります。  調査の結果、当時の関係者はいずれも仙波巡査部長指摘したような事実はない旨述べており、仙波巡査部長に対する偽領収書作成依頼等が行われていたとの事実は確認されなかったところであります。  その二は、鉄道警察隊における警乗旅費支給についてであります。  聞き取り調査において、仙波巡査部長が、鉄道警察隊では平成十三年三月以前は警乗旅費支給されず、また、鉄道警察隊では警乗旅費を水増し請求していた疑いがある旨述べたことから、愛媛警察は、平成十一年度から平成十六年度の間の鉄道警察隊における警乗旅費支給に関して、関係者五十五人から聞き取り調査を実施するとともに、関係文書確認を行ったところであります。  調査の結果、平成十六年度の警乗旅費支給について、鉄道警察隊活動日誌旅費支給されるべき長距離警乗に従事した旨の記載があるにもかかわらず、旅行命令簿記載がなく、結果として旅費支給されていないものや、長距離警乗行き先地記載誤り等不備が五件認められたところであります。  これ以外に関しては、平成十五年以前の鉄道警察隊活動日誌は既に保存期間を満了し廃棄されているため、これと旅行命令簿との突き合わせによる確認はできなかったが、現在保存されている関係文書確認した限りにおいては、長距離警乗に従事したものについては旅行者口座旅費が振り込まれていると認められること、聞き取り調査においても、長距離警乗に従事した結果に基づき旅費口座に振り込まれていた旨の供述がなされていることなどから、鉄道警察隊における警乗旅費支給に不適正な点はなかったと認められたところであります。  その三は、飲酒運転検挙に対する報奨金交付有無についてであります。  聞き取り調査において、仙波巡査部長が、昭和六十二年ごろの松山東警察署及び平成元年ごろの伊予警察署において、飲酒運転を検挙すると一件当たり千円の現金が交通課長から渡されていた旨述べたことから、愛媛警察は、当時の関係者五十人から聞き取り調査を実施したところであります。  調査の結果、昭和六十一年に愛媛県下で飲酒運転による死亡事故が急増したことを背景に、飲酒運転取締りを重視した当時の署長方針等により、松山東警察署及び伊予警察署において、飲酒運転を検挙した際、署長からの表彰として千円が交通課長を通じて交付されていたこと、また、これらの表彰は県費の報償費から支出されていたが、検挙件数が多く予算が不足したことなどから、いずれも開始後数か月で廃止されたことが認められたところであります。  その四は、JR業務証明書不正使用有無についてであります。  聞き取り調査において、仙波巡査部長が、鉄道警察隊員以外の者が鉄道警察隊JR業務証明書を借りて出張しているが、その者が乗車料金分旅費を請求していた旨述べたことから、愛媛警察は、関係者六人から聞き取り調査を実施するとともに、関係文書確認を行ったところであります。  調査の結果、JR業務証明書使用する一方で乗車料金分旅費を請求していた事実は確認されなかったところであります。  次に、愛媛警察における今後の対応について御説明し上げます。  先ほど御説明申し上げたとおり、今回の調査の結果、平成十六年度の警乗旅費支給について不備が五件認められたところであります。  愛媛警察は、今回の調査において支給されていないことが認められた旅費について支給手続を取るとともに、旅費支給に関する幹部によるチェック徹底することとし、さらに、今後の監査において旅費支給状況を厳格に確認することとしているところであります。  また、愛媛県知事からの要求による監査結果報告において、十三事案三十五件の捜査報償費執行の事実に疑義があるとされたことから、これらの執行について調査を進め、調査結果を早急に明らかにすることにより、県民の信頼回復に努めることとしているところであります。  最後になりますが、警察庁においては、北海道警察等において予算執行に関する不適正事案が発生したことを踏まえ、会計監査強化を図るなど、予算執行の一層の適正化に向けた施策を講じてきたところであります。  今後とも、これまで講じてきた施策徹底を図り、国民信頼回復に努めてまいる所存であります。  説明は以上でございます。
  7. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 以上で報告聴取は終わりました。  引き続き、内閣重要政策及び警察等に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 市川一朗

    市川一朗君 自由民主党の市川一朗でございます。  今日は、国家公安委員長中心に御質問させていただきたいと思います。  今、官房長から愛媛警察における不正経理疑惑事案につきまして調査結果報告が行われたわけでございます。まず、国家公安委員会委員長という立場で、警察庁を総括的に管理する、そして責任者である大臣としてのこの問題に関する所見をお聞きしたいと思います。
  9. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 愛媛警察におきます不正経理疑惑事案についてでございますが、ただいま、その愛媛警察における調査の結果というものは官房長から御報告申し上げたとおりでございます。愛媛警察におきましても、愛媛公安委員会の下でしかるべき陣容を組んで、必要な日数を割きまして、しっかりとした調査をしていただいたと、こういうふうに思います。  国家公安委員会といたしましても、現職警官記者会見という異常な事態について、その事態が起こった後、直ちに警察庁に対しまして、正しいきちんとした調査をするようにということで警察庁に伝えたところでもございますし、私自身、電話で、三月十日だと記憶いたしますが、愛媛公安委員長に対しまして、次から次へと新たな事実が出てくるような形では調査に対する信頼も疑わせるので、早急にしっかりとした調査をしていただきますようにということで、私からもお願いをしたところでございます。  今御報告のように、調査によって、平成十六年度の鉄道警備隊におきます警備旅費支給につきまして一部不備がございました。これ以外につきましては不適正な会計処理の事実は確認されなかったものでございますけれども、こうした事態が出たことはなお遺憾なものと存じている次第でございます。  それから、監査委員から御指摘のございました事案については、引き続き調査を続行しているということと私は承知いたしております。
  10. 市川一朗

    市川一朗君 先ほどの問題は愛媛警察にかかわる問題でございますが、三月十日のこの委員会におきまして私も、先ほど官房長報告の言葉をかりて言いますと、予算執行に関する不適正事案ということで、北海道等の各県警において事案が発生いたしまして、それに対する対応を御質問したところでございますが、今日は愛媛県の調査結果ということですが、その前に、既に発生しております北海道福岡静岡、この三県につきましてその後の進捗状況をお伺いしたいと思いますが、これまとめて質問しますとちょっと分かりにくい答弁になってしまうんじゃないかということを私恐れますので、一つ一つ分けて質問します。時間がありませんので、そんなに長々答弁されてもちょっと困るんですが、官房長で結構ですから、その後の各事案進捗状況を御説明いただきたいと思います。  まず、北海道警察案件についてお願いします。
  11. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 三月十日以降の進捗状況について御質問ということで、まず、北海道警察におきましては、去る五月二十七日に、北海道警察特別調査結果というのが、これは御案内のとおり昨年の十一月に結果が出たわけでありますが、その後、道の監査委員会確認的監査というのを行っておりまして、去る五月二十七日に北海道警特別調査結果を上回ります損害額確認的監査結果において示されたことから、道警といたしましては、六月十日にその差額、利息を含めて約五千万円を追加返還したというのが経緯でございます。
  12. 市川一朗

    市川一朗君 それに対する警察庁といいますか、県警も含めました対応策はどういうふうになっておりますか。
  13. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) これの結果というのは、道の監査委員会が六か月を掛けまして確認的監査結果というものを行っていただいて確定していただいたということでありますので、やはり道警調査結果と数千万円の乖離があったということを重く受け止めて、これに対します、北海道公安委員会もそういう結果につきまして確認をされたということでありますので、そういう重く受け止めた認識をしております。  とりわけ、この確認的監査結果の後でございますが、北海道公安委員会としましては道警に対しまして、今後の適正経理に関する改善方策というのを新たに提案されておりまして、例えば、予算在り方についての検討とか、あるいは適正かつ効率的な予算執行制度を確立するための措置など八項目の意見を北海道警に対しまして提案をされておるということでありますので、警察庁としましても、そうした北海道警の今後の改善方策を見守っていきたいというふうに思っております。
  14. 市川一朗

    市川一朗君 続いて、福岡警察関係について御報告をお願いします。
  15. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 福岡県警察におきましては、県に与えた損害額、これは利息を含めて約二千三百万円でございますが、これは三月末に返還したものと承知しております。  現在、福岡県警では、昨年十二月に公表しました内部監査強化などを内容とします再発防止策を今鋭意実施しておるわけでありますが、こういう、今後とも福岡県警予算執行適正化の動きを警察庁としても見守ってまいりたいというふうに思っております。
  16. 市川一朗

    市川一朗君 次は、静岡警察関係お願いします。
  17. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 静岡警察につきましては、これは昨年の春の段階でかなり調査結果をまとめまして、御案内のとおり、総務課旅費中心とした不適正経理ということの調査結果がまとまりまして、その後、全県の所属を対象にしまして過去五年間の経理につきましてチェックをいたしまして、その調査結果が昨年、たしか十二月に出されたと思いますが、そこで不適正経理はなかったということでございます。  昨年までに所要の返還を終わっているというふうに承知しております。
  18. 市川一朗

    市川一朗君 一応、愛媛警察北海道警察福岡県警察、静岡警察と、それぞれの事案について御質問したわけでございますが、やはりこれだけいろんなところで事件が起きていますと、誠に国民としても心配になってくるわけでございます。今官房長の御答弁の中で、それなりの改善策等についてもお話は少し触れてありましたけれども、しかし、改めて警察庁として、こういうことが二度とあってはならないのではないかと、私はそう思うわけでございますが、そういう立場に立って、二度と再びこういったようなことが起きないようにするためには、かなりしっかりとした対応策といいますか改善策も講じていかなきゃならないのではないかというふうに思うわけでございますが、担当官房長という立場といいますか警察庁として、その辺を今どういう形で改善していこうとしているのか。改めて分かりやすく御説明していただきたいと思います。
  19. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) お答えいたします。  警察庁におきましては、昨年二月に予算執行検討委員会を設置しまして、予算執行の一層の適正化を図るために様々な改善策を既に講じてきております。例えば、監査委員から捜査員に対する聞き取り調査の要望があった場合には、特段の業務上の支障がない限りこれに応ずるように各県警に対して指示をしたとか、あるいは捜査協力者から領収書を徴取する場合、これまで、御案内のとおり、偽名でも取っていたわけでありますが、それは今後は本人名義領収書に限り徴取し、それが得られない場合は、支払事実を証明するための書類を作成するよう指示すると、こういうようなことで各都道府県警察に対しまして指導してきたところであります。  また、会計監査に関する国家公安委員会規則というものを昨年春に定めまして、これに基づきまして、北海道警察愛媛警察はまだ調査をしておりませんが、それ以外、六十三部署に対しまして、会計文書が保存されている平成十年度の予算執行までさかのぼって、実効ある会計監査をできる限り実施してまいったわけであります。  それ以外にも幾つかの改善策を講じておりますが、とりわけ一線の捜査員隅々まで適正経理というものの意識改革をする、さらには会計手続について精通していただくということで、これについては幾ら酸っぱく言っても言い過ぎることはないということで、私の立場としてはそういうその意識改革を更に徹底をするということ。  それから、先ほど言いましたように会計監査、これにつきまして平成十六年度から充実強化をしたわけでありますけれども、これを毎年毎年高度化していくといいますか更に改善、工夫を加えていく、不断の努力をしていく、こういうことによって会計経理というものを適正に推進して国民信頼回復してまいりたいということを私の立場として様々な全国会議で強く指示しているところであります。  以上です。
  20. 市川一朗

    市川一朗君 私もかねがね警察捜査を見ておりまして、本当に長期間掛かるいろんな大事件、複雑な事件があるわけですよね。  そうすると、例えば、国民立場でいいますと、やはり一日も早く犯人を検挙してほしいと、そして安心安全を確保したいということですから、警察としてももう日夜問わず総動員して犯人あるいは容疑者確認、逮捕に努めるわけですね。それから、殺人、傷害事件なんか起きますとやっぱり凶器捜しということで、ちょっと具体的な事例を一々挙げるまでもなく、本当に総動員体制でいろいろやらなきゃいけないと。それから、捜査のためには全国飛び回るということもあると。  国家公安委員長に、今日大臣お出ましでございますが、大臣にお尋ねしたいと思いますけれども、大臣予算編成作業をやられたお立場があると思いますが、私の感じではどういうふうにして予算措置しているのかなと。本当に、場合によっては予備費使用とか補正予算を組むとかいろんなことをやらないと、なかなか計画的な予算ではやれないんじゃないかなと思うくらいの苦労をいろいろ現場ではやっておられるように見えるわけですね。しかし、ある程度限られた予算の中でそれは多分やりくりしながらやっているだろうと。  そういったようなところで、今いろいろ多発している予算執行に関する不適正事案というのも起きますと、その辺が非常にごちゃごちゃっとした印象になって国民の中に入ってくると。やはり私は、警察在り方としては、そこの点はやはり截然としっかりと区別して、それで規律を保って、しかしやはり必要なところには必要な金は出費しませんと本当の意味のしっかりとした犯罪捜査はできませんですよね。  その辺は、一つ、一歩間違えると現場の士気の衰えといいますか、それはひいては国家治安の不安につながってくるわけでございますので、その辺も踏まえてしっかりとして対応する責任大臣にはあると思うんですね。やはり、大臣個人と言うつもりもありません、政府全体にあると思うんです。また、我々政治家責任でもあると思うんですが、そういった非常に大事な問題を根底から揺るがしかねないような事件がいろいろ出てきてしまったわけでございます。  起きてしまったことはある程度受けざるを得ないわけですが、これからやはりこういった国民信頼をしっかり確保するという意味におきまして、その辺を、今官房長答弁していただきましたけれども、警察庁挙げて取り組んでもらう必要があると思いますが、改めて責任者である国家公安委員長の決意をお伺いしたいと思います。
  21. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 警察不祥事でございますが、平成十二年に神奈川県警をスタートといたしまして様々な不祥事が発生いたしまして、その反省の下に刷新会議警察刷新会議というものが発足して、国家公安委員会の権限の強化も含みます警察法の改正が行われまして、そういう中で、その刷新の途上でこうした会計の不適正執行という、そういう問題が出てまいりまして、私どもとしては誠に残念に思っている次第でございます。  しかしながら、かくなる上はきっちりとしたまずは調査をいたしまして、その上で関係者の処分をする、それから返還を要する予算はお返しをすると、それから改めて、今官房長も申しましたように再発防止策というものをしっかり行うということに尽きて、それによって改めて警察に対する国民信頼回復すると、そうしていかなければいけないというふうに思います。  昨年来、大変多くの災害も出ましたし、兵庫のあの列車事故のように大変凄惨な事故も起きまして、その都度全国警察官が動員されまして救出作業に参加をさせていただいたわけでございまして、私といたしましては、昨今の治安の悪化の状況に対します大変警察官苦労はもとよりでございますが、今申しましたような災害事項に際しましても警察官が一生懸命努力しているという事態にかんがみ、何とかして警察官自らの努力によりまして国民信頼を再び取り戻すという、そういう組織にしなければいけないと、こういうふうに考えているわけでございます。  国家公安委員会におきましても適宜警察庁から予算執行状況についても報告を受けまして、例えばいろんな調査の結果、抽象的な報告は望ましくない、是正しなさいという具体的な指摘国家公安委員会の議論の中でさせていただいているというようなことでございます。  しかしながら、一番大切なことは、国家予算あるいは県の予算執行していくに当たりまして、これが公金であるという認識警察官警察隅々まで改めて持って適正な会計執行に努めるということがこれはもうかなめでございますので、私も県警本部へ視察に訪れるたびにこの問題については改めてその認識をしっかりと持つようにということを伝えてきておるわけでございます。  これまで起こったことに対しましては誠に遺憾でございまして、おわびを申し上げますけれども、今後、再発防止のための努力をしっかりやっていきたいというふうに考えているわけでございます。
  22. 市川一朗

    市川一朗君 是非しっかり取り組んでいただきたいと思います。  それで、私は、前回も治安対策につきまして幾つかのテーマに絞りまして御質問しております。せっかくの機会を得ましたので、またその問題に絞りましてその後の進捗状況がどうなっているのかなということについて二、三質問したいと思いますので、担当局長で結構ですからお答えいただきたいと思います。  まず、空き交番対策でございますが、私どもの地元の宮城県辺りですと交番がなくなってしまうというような、そういう問題もあるんですが、しかしやはり全国的に見て、交番があるけれどもそれが警察官がいないということではやはり大変大きな不安材料になります。やっぱりいろんな方の御意見聞いてみますと、警察官の姿が見えるか見えないかというのが、非常にやはり治安上の一つの国民の安心感覚につながっているという部分もあります。  そういう意味では、空き交番対策というのは、前回もお聞きしましたけれども、非常に原点の重要なテーマではないかなと思っておりますが、その後いろいろ対策を講ぜられて、どのような成果になっているのか、できるだけ分かりやすい形で御答弁いただきたいと思います。
  23. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 近年いろいろな事件あるいは事故等への対応のため、さらには交番数の増加というものもございまして、交番に勤務する勤務員が必ずしも常時在所していないようなことが常態化しておりますいわゆる空き交番というものは全国的に生じておりまして、その解消を求める声というものが国民の間から大変強いものがあるというふうに私どもも認識しているところでございます。  そこで、各都道府県警察におきましては、こうした空き交番を何とか解消しようということで、交番勤務員の増配置あるいは交番の配置見直し、さらには交番相談員の活用等によりまして、いわゆる勤務員の不在が常態化しておりますような空き交番を解消するための計画を作って、これを地域住民の理解も得ながら、平成十九年春を目途に解消を実現していきたいということで取組を進めているところでございます。  この計画につきましては、昨年の春に全国的にも各都道府県警察において作りまして、毎年毎年これを実現していこうということであるわけでございますけれども、今年の四月現在におけるいわゆる空き交番の数は、全国でそれでもまだ約千二百か所ございまして、昨年が約一千九百か所ございましたので、一年前と比べまして約七百か所減少をしたところでありますけれども、まだ全部を解消するには至っていないと。しかし、平成十九年春ということを目途にこの計画進めておりますので、この三年間で何とか千九百か所のいわゆる空き交番を減少しようという計画からしますと、おおむね順調にその計画は実現されているというふうに認識しております。  しかしながら、依然まだ千二百か所、全交番数で申しますと二割弱の交番がいまだに勤務員の不在が常態化しているいわゆる空き交番であるという現実がございますので、その解消の実現に向けて引き続き都道府県警察を指導してまいりたいと考えているところでございます。
  24. 市川一朗

    市川一朗君 空き交番対策がもちろんすべてではないわけでございますけれども、非常に象徴的な問題点だと思いますので、今御答弁ありました十九年春にはゼロにしたいという方向に一応向かっていると私は理解します。是非とも立てた目標が実現しますように、私どももずっとウオッチングしてまいりますので、しっかり取り組んでいただきたいと思います。  それから、前回、ちょうど国家公安委員長が歌舞伎町に行かれましたので、私も歌舞伎町問題を取り上げたわけでございますが、やっぱりアンタッチャブルゾーンといいますか、日本の国の中で危なくてそこへは入れないという場所があるというのは、やはり国家治安という意味におきましても、あるいは国民生活の安全という意味におきましても大変ゆゆしき問題であると私は思います。  大分前になりますが、昭和五十年代中ごろにアメリカに行きましたときに、アメリカ大使館の友人から、ニューヨークでここから先は絶対足踏み入れちゃいけないという話がございまして、例えて言えばブロードウエーの向こう側は一切駄目とか、これはすごいところなんだなと思っておりましたら、最近アメリカへ行きますとそういう箇所が大分減ってきているわけでございまして、アメリカもニューヨーク市長を中心にこういった問題つとに取り上げて、あれから数えて約二十五年ぐらいたつわけでございますが、長い時間は掛かったにしても、かなりの解決が講ぜられていると思います。  しかし、アメリカに比べまして、日本はやはり最も世界でも安全な国と言われている中で、そういったニューヨークを例に挙げるような話が日本にあってはならない。そういう意味でいきますと、やっぱり歌舞伎町は一つの象徴的な存在なんじゃないかなと思います。  それで、いろいろマスコミ等も、その辺、国家公安委員長が行かれたからだと思いますが、大分最近取り上げておられまして、それで私もいろいろ見てみますと、歌舞伎町で住んでいる人、歌舞伎町で商いをやっている方々がむしろ歌舞伎町を安全な場所にしたいという気持ちで非常に強い熱意を持って取り組んでいるということもいろいろ報道されております。  したがって、歌舞伎町問題は警察だけの問題ではもちろんないわけでございますが、この際、警察中心になりまして、やはりこの組織犯罪等、それから最近多発しております外国人の犯罪問題等の一つのネックになるような問題点が歌舞伎町問題だと、これは私はそう思っておりますので、そういう意味におきましても、第一義的には東京都の問題かと思います。石原知事も大分真剣に取り組んでおられるようですが、私は、こういった問題はやはりだれの責任だとかということではなくて、関係者がみんなで取り組む、地域住民も、それから都道府県も、そして市も、そしてさらに警察、消防挙げて取り組むということをやらないと、なかなか根が深い問題がありますので、解決は難しいのではないかなと思っております。  そういう意味におきまして、現在、歌舞伎町についてはどんな状況になっているのかということと、あわせまして、全国のそういう繁華街といいますか、歓楽街についてどんな状況を把握し、どういう対応をしているのか、そんなに詳しくなくてもいいんですが、ある程度我々が分かる程度の話をしてほしいと思います。
  25. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 御指摘のように、新宿の歌舞伎町におきましては、性を売り物にする違法な店舗が乱立したり、あるいは風俗環境が退廃的なものとなる一方、暴力団や来日外国人犯罪組織が事務所等の拠点を置いたりあるいは犯罪に係る情報の交換を行うなど、組織犯罪の温床となっている面がございまして、その周辺を含む地域の治安に悪影響を及ぼしているという状況がございます。  こうした状況を踏まえまして、特に警視庁におきましては、昨年四月、新宿歌舞伎町のほか池袋及び六本木を重点としました三地区特別対策本部というものを設置いたしまして、地域住民、そして都、あるいは区などの関係行政機関との連携を図りながら、風俗事犯等の取締り、街頭犯罪対策、それとか暴力団等の組織犯罪対策、さらには町づくりといったものも一緒にやっていきながら、こうした問題に対する対策を推進しているところであります。  その結果でございますけれども、ひったくり等の街頭犯罪を始めとする犯罪はこの三地区では減ってきておりますし、違法な性風俗店等につきましても、大量摘発を行いましてかなりの成果が上がってきているという状況でございます。  また、こうした東京だけではなく、警察におきましては、全国において歓楽街対策というものを推進していこうということで施策を進めておりまして、今国会で御審議をいただくこととしております風俗営業法の一部改正案におきましても、性風俗関連特殊営業者等によります客引きのための立ちふさがりや、違法なビラ配布等の行為に罰則を強化したり新設するなどの風俗環境浄化のための施策を盛り込んだところであります。  このほか、全国的に風俗事犯の取締りの強化、さらには街頭犯罪対策、そして暴力団や不法滞在外国人等による組織犯罪対策、それと、こうした悪化した環境というものが青少年の健全な育成というものに大きな悪影響を及ぼしておりますので、そうした青少年に対する健全育成のための街頭補導活動などの総合的な歓楽街対策を推進しているところでございます。  警察といたしましては、今後ともこれらの諸対策を強力に推進しまして、歌舞伎町を始め全国の歓楽街の治安回復を図ってまいりたいと考えておるところでございます。
  26. 市川一朗

    市川一朗君 歌舞伎町はこの間小泉総理も行かれたと報道されておりますが。  局長、あれですかね、ちょっと答えにくいかもしれませんが、私は若いころよく行ったんですよ、歌舞伎町へ。やっぱり最近は余り行っていないんですけれどもね。深夜、まあ深夜といってもそんな遅くない、十一時か十二時ぐらいにしますか、私らふらっと行って、ふらっと立ち寄って、それで過ごしてくるというには、どうですか、やっぱりちょっと勧められませんか。もう、そこは大丈夫ですと。その辺どうですか。
  27. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 私も、個人的で申し訳ございませんが、余り最近歌舞伎町の方には行っておりませんけれども、現地を視察という形で見に行ったことはございますけれども、かつてとはやはり雰囲気が少し変わってきているなという状況はございます。  とりわけ、先ほどお話し申し上げました性風俗店と申しましょうか、そうしたものがかなり出てきているんではないかという感じがしますので、いわゆる演劇とかあるいはレストランとか、そういったものはもちろん健全なものもたくさんあるわけでございますけれども、その中に、やはり違法な客引きでありますとか、違法ではないかと思われるような店舗も散在しているという状況がございますので、そうしたところをきっちり浄化していきたいというふうには考えておるところでございます。
  28. 市川一朗

    市川一朗君 ちょっとしつこいようですけれども、性風俗店とかそういう問題は別として、ちょっと我々行かなくなったのは、客引きといってもそう露骨でないところで、それで入るでしょう。入って飲んでいると、かなりぼられるんですよね。そういう友達の話が出てきたんで、歌舞伎町は危ないなということで、それでなかなか、これはちょっとあれだなと。そういう感じがあるんですよ。  例えば、その辺はどうですかね。局長、行ってないんだよな。行っている人でないと分からないかもしれませんが。しかし、国会で答弁する立場ですから、行かれたらどうですか、その辺も含めてですね。今どんな感じで受け止めていますか、こういう問題。
  29. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 確かに、歌舞伎町を始めとしまして、都内、歌舞伎町だけじゃないんですが、いわゆるぼったくりと言われる店が何軒もできて、被害に遭ったという方がいらっしゃることは事実であります。  そこで、東京都におきましても、いわゆるぼったくり条例と言われる、ぼったくりをするような店に対して厳しく取締りをするような施策に取り組んでおりまして、その結果かなりぼったくりは減ってきたというふうに報告は受けておりますので、かつてのようなことはないかと思いますが、それでも皆無になったとは思いませんので、ただふらっとどの店も安心して入れるかというと、やはりそうでないところもあるやに聞いておりますので、そうしたところも浄化するため、努力してまいりたいと考えておるところでございます。
  30. 市川一朗

    市川一朗君 今隣の席に座っておられます小野先生から、ぼったくり条例でやっぱりかなり良くなったよという話がありました。今の答弁と符合する部分がありますので、そのうち確かめに行ってみようかなと思いますが。  局長クラスはやっぱりちょっと行かれて、やっぱり日本の首都東京で歌舞伎町みたいなところがあって、そこへ普通の人が入っていったらえらいことになるというような場所はあっちゃいけないと思いますよね。そういう面では、やはり国民的なテーマとして私は取り組む必要があると。若干個人的な意味が入っておりますので、国会で質問するという姿勢としてはあるいは御批判があろうかと思いますけれども、一つの象徴的なテーマだと思いますので、前回もお聞きしましたが、今回もお聞きした次第でございます。  それから、治安対策の中で、歌舞伎町でもそういう、そこに住んでいる人たちの取組の姿勢というのがいろいろあったわけでございますが、やっぱり全国的に見ても警察だけの手では本当の治安は確保できないと。もっときめ細かい取組が必要であると。最近、テレビ番組なんかでも、お隣の、御近所の力強さとかというようなことで、よくこういった問題も取り上げられております。  それで、警察庁としても地域安全安心ステーション構築とか、そういった民間の防犯ボランティアの支援事業を実施しているというふうに聞いておりまして、この点、成果が上がっていけばいいなというふうに思っているんですが、やっぱり今東京都内で特に多発しております空き巣ですね、あれなんかもやっぱり、幾ら東京でも昔はここまではできなかっただろうと。やはり隣近所の連携が非常に不十分であると。その隣近所の連携を強めるということができればそれが一番いいわけですが、やはり新しい、今の時代に合った形でのそういう地域ボランティア、それを民間のところで育て上げていくというのが一つの現実的な対応策だと私自身は確信しておりまして、こういった取組が成功すること、それも一日も早く成功してほしいというふうに思っている次第でございます。  取組の状況等について御答弁いただきたいと思います。
  31. 伊藤哲朗

    政府参考人(伊藤哲朗君) 地域におきます犯罪の発生を抑止し、地域住民が安全に安心して暮らせる地域社会を取り戻すためには、警察活動を充実強化するということも大事でございますけれども、それだけではなく、警察が地域住民や民間団体等の活動と連携していくことが必要だというふうに考えているところでございます。  最近、今もお話ございましたけれども、地域のことは地域で守るというような連帯意識あるいは自主的な防犯意識の高まりの下に、全国的に地域で防犯のための組織が新たに結成されたり、町内会や自治会で防犯パトロールを行うような取組が広がってきているところであります。  その数も大変増えてきておりまして、平成十五年末で約全国で三千団体こういった組織があったわけでございますけれども、昨年末では約八千団体に急増してきているということで、一年間で新しく活動を始めるようになった団体が五千も増えたという状況になっております。  警察におきましては、昨年六月に、地域住民の自主防犯活動を活性化するための施策の全体像を示すものといたしまして、犯罪に強い地域社会再生プランというものを策定して、これに沿って地域住民による自主防犯活動の支援に積極的に取り組むように、全国的に今指示をしているところでございます。  特に、今年、平成十七年度でございますけれども、自主防犯活動を支援する地域安全安心ステーションモデル事業というものを消防庁あるいは文部科学省と連携しながら全国百地区で実施することとしているところでございまして、この事業では、警察といたしましても、地域安全情報の提供というものを地域に対して行ったり、あるいは地域の方々と一緒に合同パトロール等に努めるとともに、防犯パトロールに必要な物品の無償貸与であるとか、各種の支援を実施していきたいというふうに考えておりまして、こうしたモデル事業を中核として、全国八千あるわけでございますが、こうしたものがより活性化していく、さらにまた新しい自主防犯組織ができることを期待しながら支援をしていきたいというふうに考えているところでございます。
  32. 市川一朗

    市川一朗君 国家公安委員長、やっぱり治安というのは政治の要諦だと思います。  何といいますか、日本の国が、こんな安全な国はないということで私どもは育ってきたと思うんですね。  今から三十数年前だったと思いますが、前にも取り上げましたけれども、イザヤ・ベンダサンという方が書かれた「日本人とユダヤ人」という本の中で、日本の国民は幸せだと。自由と水と安全はただで手に入ると思っているという趣旨の話でした。私は当時は非常にカルチャーショックを受けまして、なるほどこういう見方があるんだなと思ったんですが、最近、安全の問題、やっぱり何か日本もこれは大変な事態になりつつあるなというふうに思います。しかし、諸外国をいろいろ訪問してみますと、それよりは日本はまだまだ安全だなと。だから、やっぱりこの辺のところが、今のこの時期の取組が極めて重要だと思うんですね。  先ほど来細かなことをちょっと幾つかお尋ねしてまいりました。お聞きになっていただいたと思います。そしてまた、残念ながら不正経理の問題等が起きております。しかし、先ほども申し上げましたように、警察の仕事というのは、少し外野から見ていてで恐縮ですが、やはりなかなか金では解決できない問題が一杯あると思うんですね。また、よく理屈に合わないいろんな負担もあると思うんですよ。そういったようなことに耐えながら警察官は毎日取り組んでおられると思います。したがって、私は警察官の士気の高揚というのも大事だし、また警察官自身の、警察全体の規律の確保というのもまた重要だと。  だから、いろんな問題がたくさん重なってきているわけですし、しかも治安の問題ということになると、警察だけの問題ではなくて国民みんなの問題であると。そうしますと、やはりこの問題、みんなでしっかり取り組んでいく必要があるだろうというふうに思います。  特に、最近、私心配になっておりますのは、多発する外国人の犯罪ですね。こういった問題なんか、このままでいったら本当にどうなるんだろうかという不安を国民の皆さん持っておられると思います。この問題は入国管理の問題等ありますから、一警察庁対応できる問題ではないわけですが、しかし、政府として治安問題に一番責任ある立場国家公安委員長であります。国家公安委員長の取組の姿勢というのは、やはり治安の確保に非常に重要なテーマになってくると思います。村田公安委員長になってから治安が悪くなったわけではないわけでございますが、しかし村田公安委員長になってから治安が良くなってきたということがやはりもしできれば、それは政治に名を残す一つの大きな業績になると思いますし、また国民にとりましてはこれほど有り難いことはないというふうに思うわけであります。  是非とも、国家公安委員長という立場でこの治安の問題について改めて全力投球をしていくその決意と、そして、今後警察庁関係者に対する御指導をしっかりお願いしたいと思う次第でございます。大臣の決意をお伺いしたいと思います。
  33. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 皆様からいろんな問題、会計経理の問題等を中心に私の就任以来も多くの御批判をちょうだいしてまいりました。そういう意味で、警察に対する国民信頼も確かに失われてしまったところが正直言ってあるかというふうに思います。しかしながら、それを一挙に解決することはなかなか難しいと私どもも思いますが、やっぱりそれを、国民信頼回復するためには私どもが実績を出す、治安回復ということで実績を出すということが一番重要なことであるかと私どもは認識しているわけであります。  今、市川委員がおっしゃったことは一々もっともでございまして、先ほど生活安全局長が御答弁させていただきましたように、警察だけの力ではできないことが多数、たくさんあります。何でこんなに犯罪の多い社会になってしまったかという原因は、もうとにかく一杯あると思います。例えば、日本の社会のコミュニティーが崩れたということもあろうし、それから規範意識がやっぱり低下したということもあろうし、家庭のしつけとか教育力が落ちたとか、いろんなことがあるかというふうに思います。  私も、昨年九月末に就任して以来、もちろん警察の仕事もあれでございますが、犯罪事象というのはいろんな社会現象の吹きだまりみたいな結果でございますので、児童相談所も婦人相談所も、それから刑務所もあるいは少年院も鑑別所も、それから法務省の出入国管理の実態も現場へ行って見てまいりました。それぞれたくさんの問題があると思います。  一つは、一番私が思うのには、児童相談所とか、児童虐待ですよね、児童虐待の多発というか、非常に増加している状況、あるいは婦人、DVの被害ですね。私もびっくりしましたんですけれども、婦人相談所のお医者さんに写真見せてもらいました。そしたら、夫から背中にナイフでハート形に傷付けられて、それで保護を求めて婦人相談所に来るという、そういう配偶者、奥さんもおられまして、それが極めて悲惨なものであります。それから、まだ法律はありませんけれども、老人虐待というのも大変増加しているという事実があると聞いております。一番みんなで助け合わなければいけない近親者が傷付け合っているというのがこの日本社会の病める一番の基にあるなと、こういうふうに思います。  したがって、我々は警察事件になる前に、近親者のそうした実態というのはなかなか事件になるときはもう大変遅いことになりますものですから、何とかそこでも前進守備で何か手当てができないかなと。ただ、今の状態は虐待された人を保護するだけの形になっておりまして、加害者の方にはまだまだそれを矯正するというようなプログラムはできておりませんので、やっぱり問題が残されていると思うんですね。  それから、少年は、やっぱり芽を摘まなきゃいけない、非行から、非行も大体百五十万ぐらいの件数があって、夜徘回するとか飲酒するとかたばこのむとか、それもやっぱり犯罪の将来の芽を摘むという意味では真剣に取り組まなきゃいけないことだろうなと、こういうふうに思います。  一方において、犯罪を起こした、犯した人をどう扱うかということについても、最近つとに保護観察の制度についての問題点が指摘されております。六月の初めから、法務省との協力をいただきまして、警察に対して、十三歳未満の、幼児に対する性犯罪者の出所情報はいただくことになりましたけれども、我々も法務省と一杯教育しなければいけないことがあると思うんですね。  例えば、自由に話させていただきますけれども、例えば早めに出所をされる場合に、警察の中の労務の状態を見ておると、犯罪者というのは、家庭でも学校でも職場でもあるいは社会においても居場所がないから犯罪を起こすというケースが非常に多いわけで、例えば職業の復帰なんというのは今のような状態で大変難しいんですね。だから、早めに出所させてくれるなら、その後職業訓練を受けてもらう方が保護観察を受けているよりはというか、それ以上にプラスアルファとしてそういう措置も国としてはやってやる必要がありはしないかなと。あるいは刑務所の中のいろんな仕事がありますけれども、それが出所後の職業訓練にというか、就職にマッチしているかどうかということも再検討してみなきゃいけないと、こういうふうに思います。それから、刑務所や拘置所だけじゃなくて、入管の収容施設、これも大変足りないんですよね。だから、もろもろ含めまして、警察だけじゃなくて、すべての役所が犯罪に強い社会を取り戻すために協力をしていただきたいと。  もちろん、我々は気が付いたことを一生懸命発言してまいりたいというふうに思っておりますが、私どもは、いろんな問題で御指摘がございますが、警察官一人一人、かつてのような安全な日本を取り戻すために一歩一歩前進していきたい、そのために国家公安委員会努力してまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  34. 市川一朗

    市川一朗君 終わります。  以上です。
  35. 神本美恵子

    神本美恵子君 おはようございます。民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。  今、市川委員の方からも触れられました警察捜査費等にかかわる不正流用疑惑の問題について私は質問させていただきたいと思います。  一昨年、二〇〇三年の十一月に北海道旭川中央署の捜査報償費の架空支出の報道がなされて以来約一年半、この警察の不正流用疑惑については、私自身も納税者の立場という観点からこの委員会で数回取り上げさせていただきました。  言うまでもなく、納税者の立場というのは、税金が、不正な経理によって不正な使われ方あるいは無駄な使われ方がしていないのかという観点が大きく一つあると思いますけれども、そのいわゆる裏金をつくるために、第一線で苦労している現場警察官捜査員の方が、何といいますか、偽領収書を作ったり、それから空出張のための行ってもいない旅行命令簿といいますか、旅行の書類を作ったりというようなことをさせられている。そういうことがこの間次々と、北海道福岡静岡、最近では愛媛、ほかにも幾つか出ているようですけれども、そういったことが出てきて、先ほども市川委員もおっしゃいましたけれども、国民警察に対してやはり信頼が置けなくなっている、その不信感が増大している、このことは警察庁国家公安委員長も恐らく認識していらっしゃると思います。  そういう税金の無駄遣いというのともう一つ、私はやっぱり納税者の立場から、現場第一線の警察官捜査員の方々が本当に自分の仕事に誇りを持って国民のために、市民の安全のために邁進できるように、その一点で私はこの間ずっと質問をさせていただきましたし、何とかしてほしいと。一刻も早く、そのためには、改善策もそうなんですけれども、その前にこういった疑惑をきちっと払拭して、疑惑に対しては問題は問題として認めて、そしてもう一回スタートし直すというような姿勢が必要だと思います。そういう意味で、疑惑を解明してほしいという観点から今日は質問をさせていただきたいと思います。  まず、北海道福岡県警の不正経理について、この間、当委員会でも多く議論されてきましたけれども、昨年の十二月にそれぞれの警察本部において調査結果がまとめられたと思います。そして、不正支出された金額については返還がされたり、それから関係者の処分がされていることは承知していますけれども、これについて警察庁としてはどのような報告を受けられて、それに対してどのような対応策を取られたのかということについて、まず御説明をいただきたいと思います。
  36. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) お尋ねの事案につきましては、北海道警察及び福岡県警察におきまして、それぞれ公安委員会の指示の下、担当委員が適宜点検するなど厳正な調査を進めまして、関係者に対する処分あるいは国や道、県が被った被害額の返還、さらには再発防止策の推進など、必要な措置を図っているところでありますが、この間それぞれの、北海道及び福岡県警から警察庁に対しまして適時詳しい報告があったということであります。さらに、警察庁におきまして、この間、両警察におきまして適切な対応が図られますよう、職員を現地に派遣するなどしまして、実際の調査状況の点検等を行うなど、緊密な連携の確保に努めてきたところであります。  両警察におきましては、それぞれ今般の事案を踏まえまして、会計経理に関する改善策、すなわち再発防止策ということであります、を推進を今して、必要な措置を講じているわけでございますが、警察庁としましては、引き続き両警察に対して必要な指導をしてまいる所存であります。
  37. 神本美恵子

    神本美恵子君 今本当に簡単に御説明いただきましたけれども、北海道福岡も、この間のずっと経緯を見てみますと、最初にはそういう事実はなかったと県警本部長なり道警が言って、そして内部告発者なりOBの方の告発があってもう一回調査をし直したら、調査をし直すというか、その告発に基づいて県の監査が行われたりして明るみに出て、問題が表に出て、そして謝罪をして返還して関係者処分というようなことが繰り返されていると思うんですけれども、それに対して警察庁としてどういうふうな対応をしたのかということについてきちっとした報告を、それぞれについてのきちっとした文書報告、今日、愛媛県警については一応中間といいますか、私はこれは中間になるだろうと思いますけれども、一応県警調査した報告書が出され、それについて資料も提出されましたけれども、北海道福岡県警の問題についても、こういった形できちっとした警察庁としての報告、資料の提出とこの当委員会での報告を是非お願いをしたいと思いますけれども、それについてはいかがですか。
  38. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) それぞれ北海道警察福岡県警調査結果というのは、今委員指摘のとおり、昨年十二月に最終的な報告が出されたということでありますが、委員が今お尋ねの点は、警察庁がこの間どういう報告を受けてどういう対応をしたというようなこと。先ほど申し上げましたように、我々その都度、随時連携を取って、あるいはこういう調査をもっと強力に調査をすべきだとか、そういうことをやってまいったんですが、そうしたものはこれまでまとめておりませんので、またそれにつきまして検討してまいりたいと思います。
  39. 神本美恵子

    神本美恵子君 これは、是非当委員会においてきちっとした資料を出して、委員会報告をしていただきたいと思いますので、委員長の方でお取り計らいお願いしたいと思います。
  40. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) はい、後日理事会で協議させていただきます。
  41. 神本美恵子

    神本美恵子君 よろしくお願いします。  それで、昨年の警察の不正経理事案について、私はずっと全国調査を行っていただきたいと、当該問題になっている道県警だけではなくて、全国的にこういった問題が起きているのではないかということが言われていますので、全国調査ということでお願いをしましたところ、それに対して警察庁としては、会計監査強化充実するという対応ということで、先ほどからも出ていましたが、昨年の四月に会計監査に関する規則を策定し、それに基づく監査全国調査と同じような効果を上げ得るというような御答弁が何度もこれまで私に対しても行われたんですが、その結果が、十六年度の会計監査報告を私は見せていただいたんですけれども、これを見ましたら、本当にこれが私が求めてきたといいますか、国民が求めている会計監査、これまでの疑惑を解明するような監査になっているかというと、とても、本当にページ数にしても十三ページです。これは、北海道と恐らく愛媛を除く四十五都府県警察と管区警察局や警察学校等を対象にされた調査にしては余りにも簡単過ぎる、簡単というか、中身がないと言ってはちょっと言い過ぎかもしれませんけれども、そういう内容になっております。  そしてまた、同じ日に、これ四月二十八日に出されているんですが、同じ日に出された予算執行の一層の適正化に向けた施策の推進状況についてというこういう報告も、これは警察庁が、こういう不正経理がないようにということで、庁内につくられた予算執行検討委員会がまとめられたものなんですけれども、これも、この推進状況の冒頭に、取られた施策として、会計監査強化会計経理の透明性の確保、会計文書の適正な管理、適正経理の重要性に対する意識の徹底というふうに書かれていますけれども、これは経理をする上では当たり前のことだと思うんですね。  これ、私は冒頭も言いましたように、国民信頼、不信感をなくして信頼回復するためには、疑惑を持たれている部分をきちっと解明をして、どういう不正があったのかということをはっきりと明るみに出して、そして二度とこういうことが起きないよう、なぜこういうことが起きたのか、二度と起きないようにするためにはどうしたらいいのかというようなことがきちっと報告をされないと、ただ形だけこういう報告書を出して、これでやっているというふうにしか思えないんですね。疑惑解明に国家公安委員会なり警察庁なりとして本当に真剣に取り組んでおられるとはとても思えない。  こういったもので、私はこの一年半求めてきた全国調査に代わるものとは到底言えないと思うんですけれども、国家公安委員長、当然見ていらっしゃると思います。そして、これは国家公安委員会にも提出されて、そこでも議題になっていると思いますけれども、国家公安委員会の中でこの件についてどういった議論がなされてきたのか、そして公安委員長自身はどのようにこの二つを評価なさっているか、まずお伺いしたいと思います。
  42. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 今御指摘のことでございますが、国家公安委員会規則でございますが、昨年の四月にできた規則に基づきまして、委員も今御指摘なさいましたように、北海道愛媛はできませんでしたので今年度回しという形になりましたが、その他の四十五都道府県につきまして調査の計画を作って、これによって行われたものでございます。そういう意味で、国家公安委員会の中でも検討されまして、会計監査の実施結果につきましては国家公安委員会としては評価すると、こういうことでございます。  ただ、その議論の中で、捜査費の支払報告書の内容につきまして、また先ほど答弁したことでございますが、一部抽象的だったり定型的な記載であるということが、そういうことがないようにという委員からの指摘もあったわけでございますが、それは今後の執務に当たって改善要望としてしっかりと行ってもらいたいと、こういうことでございました。私ども、まだ二県は残しているわけでございますが、国家公安委員会としては、警察庁に対しまして、国家公安委員会の管理機能の発揮というところで今後とも会計監査をしっかりやるということに対して警察庁を督励をしたところでございます。
  43. 神本美恵子

    神本美恵子君 公安委員長自身はこれをどう思っていらっしゃるかということもちょっとお聞きしたいんですけれども、私、この中で、本当に数ページしかないんですが、例えば福岡県警における監査状況ということで書いてあるんですけれども、警察本部の十四所属の捜査費等の一部を留保して、本部長による激励経費や来客用茶菓代等の本部長室経費に使用していたことなどが判明して、これはまあ県警調査によってですが、これに対して警察庁会計監査有無確認したら、調査結果と異なる事実は認められなかった。静岡県に対しても同じなんですね。県が調査した、で、警察庁会計監査をやったけれども、事実と異なる結果は認められなかったというような記述、それだけなんです。本当、数行ずつなんですね。  こういうことで、国民が抱いている疑惑が解明されたというふうに評価されますか、国家公安委員長。こういう会計監査報告で疑惑が、国民の疑惑が払拭できるというふうに思われますか。
  44. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 委員がかねてから疑惑疑惑とおっしゃっているわけでございますけれども、私どもは、警察庁を通じまして、各県警本部においてこれまでいろいろ指摘されたことについて我々の監査に基づきまして監査をやった結果、こういう報告書がまとめられまして、私どもは、それはかつてのその監査の体制あるいは実際のやり方につきましても報告を受けて、監査は適正になされたということでございまして、神本委員がかねてより疑惑疑惑とおっしゃっていることについて、具体的に私はどういうものを疑惑ということをおっしゃっているのか分からないところが実はございます。  具体的に見てまいりますと、要するにいろいろな証拠書類が乏しくて、ヒアリングによりまして実際はその目的に従って使われたという部分もかなりに上るわけでございまして、そういうことについては、書類が整っていないということで指摘をされたこともあるわけでございます。そういうもろもろの結果としてここに報告書という形でまとめられたというふうに私どもは理解しているわけでございます。
  45. 神本美恵子

    神本美恵子君 国家公安委員長、やっぱりこの間の北海道静岡福岡そして今回の愛媛というようなことに対して、様々な、具体的に現場警察官だった方たちあるいは幹部の方たちが現職で名前を出して告発されたり、それからOBの方たちも何人も告発をされている。そういったことは報道でもちろんごらんになっているでしょうし、そういうものを見てもなお、こういった会計監査報告で、もう問題は、不適正経理はこれでなくなると、こういうことでいいというふうに思っていらっしゃるようなことを今おっしゃったんで、私は本当にこう納得できないんですけれども。  ちょっと、これは「警察内部告発者」という、北海道の原田宏二さんという名前を出して告発されたOBの方なんですけれども、この方が今年の三月に本を出されて、私も警察の中のことをよく分からないんで読ませていただきました。そしたら、現場捜査がどのように行われているかというようなことから、それから稲葉事件で自殺者も二人も出したというような事件とのかかわりなども書かれているんですが、この中に御本人じゃなくてほかのOBの方から寄せられた手紙ということで、現場の声なき声だという一文がちょっと紹介されていますので、読みます。   私も、信念を持って生き抜いてきましたので、犯罪を取り締まり検挙する警察社会組織に不正がある事実を知って困惑し、事件を挙げれば挙げるほど勤務評定は上がるが、結果的に組織の上の者が潤うばかりで、 挙げた者は、事件検挙した  挙げた者は挙げるほど自腹を切る破目が続くことを感じていました。それでも頑張ってきました。   性格というか、信念で不正を認めるわけにいかず悩んだ末に(不正をやめるよう)具申しました。早期に退職してよかったと思っています。定年までいたら心も身体もズタズタになっていたと思います。最近では、心も休まる日々です。これも原田さんのおかげです。前向きに生き抜いて来て本当に良かったと思います というようなことがこの原田さんという方、原田さんに寄せられたっていうんですね。  こういうOBからの手紙や現職の方が名前を伏せて原田さんに寄せた手紙も幾つもこの中に紹介されておりますけれども、こういうものをまず国家公安委員長は読まれたのか。読まれているとすれば、こういうものを読んでもなおやっぱり疑惑、私がこれまでずっと言ってきた疑惑というようなことはないというふうにおっしゃるんですか。
  46. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) その本は私は読んでおりませんが、例えば今日、官房長から御報告を申し上げたように、仙波さんがこういうことがあったということについて、一つ一つこちらの体制も整え、そして大変多くのOBまで含めまして一つ一つ調査をした結果、問題点は一部ございましたけれども、仙波さんが言っているようなそういう事態はなかったという、そういう調査結果になっているわけでございまして、じゃ、仙波さんが言っているような事態がなければ疑惑は解明されないということをおっしゃられるのかどうかですね。私どもも、責任を持った調査を実施した結果、本委員会に御報告をさせていただいているわけでございます。
  47. 神本美恵子

    神本美恵子君 仙波さんのことはちょっと後でまた細かくお聞きしますので、まあそれでも告発者が言ったような事実が出てこなければ納得しないのかというような、多分そういう御趣旨の発言だと思いますけれども、北海道だって福岡だって最初は認めなかったんですよ。それが、告発者が言っているような事実が次々に出てきて、そして返還、何億という返還事態に至っているわけですよね。そのことをきちっと認識していただきたいと思います。  それで、ちょっと次に行きたいと思いますが、この会計検査実施結果報告書、この中では北海道愛媛について監査が行われておりませんけれども、これはそれぞれの県で係属中であるということで行っていないと思いますが、この二つの県については監査はいつごろ行われるのか、その結果はどうなっているのかですね、もし行っているのであれば。
  48. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 昨年度中に会計監査を実施することができなかったのは、御案内のとおり、北海道警察及び愛媛警察に対してでありますが、これは理由としましては、県監査委員監査とか会計検査院の検査状況を勘案して、現時点までは実施していないということであります。  それで、今後でありますが、両警察に対しての会計監査というのは、そういう状況を勘案しまして今年度可及的速やかに実施してまいるというのが今の考え方でありますので、まだ行っておりませんが、可及的速やかに条件が整えば行うということでございます。
  49. 神本美恵子

    神本美恵子君 その条件が整えば可及的速やかって、いつごろですか。
  50. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 今、その具体的な時点というのは申し上げられませんが、県の監査委員監査とか会計監査というののきちっとしたそういう結果といいますか、そういうものを踏まえて、ある時点でということで御理解願いたいと思います。
  51. 神本美恵子

    神本美恵子君 そうしたら、その結果も、会計監査をされた結果も是非委員会報告をお願いしたいと思います。  それで、具体的に愛媛県警の問題について入っていきたいと思いますが、この愛媛県警、先ほど御報告もありましたけれども、県の特別監査報告が二月に行われたと思います。それによって県の損害と認定された、これは県費の捜査報償費ですけれども、約十七万八千円を三月十四日に県に返還したというふうに聞いております。  これは、県警本部会計課長が一時的に立て替えたけれども、後日、県警の警視以上の百人の方が、カンパでしょうかね、出し合って任意で負担したというふうに聞いておりますけれども、なぜこういう返還の方法になったのか、警察庁は把握していらっしゃいますか。
  52. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 今御指摘の額というのは、大洲警察署で判明した偽領収書に係る執行額につきまして、監査委員から県の損害額と判断されたということでありますが、私、私といいますか、愛媛県警としましては、捜査の活動が実態があってその捜査活動に支払われたということでありますが、領収書について、当時の会計課長が、領収書がなきゃいけないという強力な指導があって、ほかから領収書を持ってきてその書類に付けたということで、そういうことをるる県の監査委員にいろいろ説明しましたけれども、結果的に愛媛県の監査委員の方からは、物的な証拠がないのでそれは県に与えた損害額であると、こういう判断が下されまして、県警としましては、その監査委員の判断を重く見て、重く受け止めまして、一刻も警察に対する信頼回復するという必要があるという認識の下に当該執行額を自主的に県に返還したというのが、ちょっと詳しくなりましたが、そういう経緯であります。  今お尋ねの点につきましては、こういう経緯に至ったことを組織全体の責任として重く受け止めまして、組織の幹部、すなわちこの場合は警視相当職以上でありますが、に広く負担を求めたという報告を受けております。
  53. 神本美恵子

    神本美恵子君 何か私、常識で考えれば、何か変な、変な組織だなと思います。組織全体の責任であれば、組織の責任者責任を取るんじゃないですか。また、この捜査報償費だって、取扱責任者警察署であれば署長だし、県警本部であれば県警本部長になっているはずですよね。  その取扱責任者責任をきちっと取るべきなはずなのに、みんなで何か、子供が一緒に悪さをした、子供に悪いですけど、悪さをしたら、みんな連帯責任でみんなでごめんなさいというのと同じような感じで、そして、これは地元の新聞社の方に聞いたんですが、百人以上も、十七万八千円を百人以上もの人がカンパして、だから千円とか二千円とかそんな金額でしょうけれども、どういう方が幾ら出したのかと聞いたら、そんなのは個人の問題で、だれが幾ら払ったかは言えないというふうにおっしゃったということなんですけれども。  こんな形にするからその責任の所在があいまいになってしまうということが一点と、ということは、やっぱり組織ぐるみでこういう十七万八千円という県に返還しなきゃいけないようなお金が使われたんじゃないかと。逆の見方をすれば、そういうふうにも受け取れるんですけれども、これはまあ愛媛県警がとられた措置ですから。でも、感想はどうですか、こういう責任の取り方というのは。短くていいです。
  54. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) それぞれの県の判断というのが北海道福岡とあるわけでありますが、愛媛県につきましては、先ほども申し上げましたように、実態として捜査費に使われたということでありますが、形式として文書というものを、そういう領収書を付けたということは非常に不適正な経理でありますけれども、そういうことでございます。  そういう中で、説明を尽くしたんですが理解されなかったという経緯も踏まえまして、ただ、やはり県民の信頼を一刻も早く回復するためには、県警全体、すなわちやはり、警視以上か、それか警部以上か知りませんが、それは愛媛県の判断として、幹部として責任というものを感じて返還されたというふうに承知しております。
  55. 神本美恵子

    神本美恵子君 だから、それをどう思うかと。
  56. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) ですから、そういうことでありますから、県警の幹部としてそういう認識で返されたということに対しては、私はそれなりの判断だと思います。
  57. 神本美恵子

    神本美恵子君 でも、まあ常識的にはちょっと、責任者がきちっと責任を取るべきだというふうに私は思います。  それから、今日報告されましたこの内部調査愛媛県警の内部調査の中で、鉄道警察隊の警乗手当について不備が五件という御報告がありました。その内容は、活動日誌に記載があるのに旅行命令簿がないというものと、それから行き先が間違って書かれていたというような、合わせて五件ってありますが、その中で旅行命令簿がないために旅費支給されていないものが三件というふうに聞いておりますけれども、そもそもここに報告が上がっているのは二〇〇四年度分なんですが、この警乗というか勤務、警乗勤務は何件あった、何件のうちの五件の不備なんですかね。  昨日言っていたから、分かっているはずです。
  58. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 平成十六年度では警乗回数というのは百七十件でございます。
  59. 神本美恵子

    神本美恵子君 百七十件のうちの五件に不備があったということですね。  じゃ、仙波さんが受け取っていない、仙波さんが受け取っていないというふうに告発されたんですけれども、その〇一年度、二〇〇一年度は何人の警乗勤務があったんですか。
  60. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 全体で二〇〇一年度で二百九十四件であります。
  61. 神本美恵子

    神本美恵子君 仙波さんの分は、本人は受け取っていないとおっしゃっていますけれども、これは、旅行命令簿がないので勤務をしていなかったというふうにこの報告では結論付けられておりますよね。  ただ、この不備三件のうち、活動日誌には名前があって、乗ったという、勤務したということがあって、旅行命令簿がない、そういう不備がここでは指摘されているんですけれども、仙波さんが勤務していた二〇〇一年というのは、その活動日誌がもう保存期間切れているんですかね、一年で保存がないからということで活動日誌がないわけですよね。でも、もしかしたら旅行命令簿記載がなかっただけで、勤務していたかもしれないことはあり得ますよね。そこはどうですか。
  62. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 今委員指摘のように、確かに旅行、警乗の活動日誌というものは、当時の記録というのはもうございませんので、平成十六年度みたいに旅行命令簿鉄道警察隊の活動日誌の突き合わせということは不可能でありますが、今の御指摘の可能性というものももちろん調査班の方で視野に入れて、それ以外の方法で調べたわけであります。  具体的に言いますと、保存されている限りにおきます当時の関係文書というものも調べましたし、それにはいずれも警乗した旨の記載がない、これだけでは十分じゃありませんので聞き取りもいたしまして、当時の幹部がこう言っておるわけでありまして、平成十一年度に仙波巡査部長鉄道警察隊に着任した当初、県外警乗に従事することに消極的であったことなどから、自分としては長距離警乗、すなわち県外警乗でありますが、を命じなかったと、そう述べているということ、さらに、隊員からも仙波巡査部長長距離警乗に従事していた記憶がないとの供述がなされていること、そういうものを総合的に判断しまして、平成十三年三月までは仙波巡査部長長距離警乗に従事していたとは認められなかったものと、こういう調査結果となったわけであります。
  63. 神本美恵子

    神本美恵子君 ただ、先ほども言いましたように、断言はできないですよね。御本人は、私も報道しか見ていませんけれども、自分自身の活動日誌といいますか、そういったものを克明に記録されていて、その中に警乗したということが記していたというふうに御本人はおっしゃっているんで、このずれについては、まあこれから解明できるのかどうか分かりませんけれども、きちっと解明をしていただきたいというふうに思います。初めに結論ありきのようなことをちょっと感じましたので、たださせていただきました。  それから、その次に、同じ仙波氏が告発されている愛媛県警による偽領収書づくり、あるいは警乗手当の不正請求というようなことについては、県警本部警務部長ですか、調査室の、県警本部警務部長が当日記者会見をした中で、事実は確認できなかった、告発の内容の事実は確認できなかったというふうに全面否定をされております。  どういった人たちに聞き取りをしたかということもこの中に書かれておりますけれども、その聞き取りの方法はどういう方法で行われたのか。対象を見ますと、署長、副署長会計課長、刑事課長というような管理職のような方たちがずらっと並んでいますけれども、捜査本人、捜査をしている捜査員本人ですね、あるいは鉄道警察隊の隊員の方たちにも聞かれたのかどうか、その点はいかがですか。
  64. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 調査体制並びに調査手法ということでありますけれども、これ当初二十三名体制で発足したわけですが、二月一日以降は三十名体制で行ってきたわけであります。  調査におきましては、もちろん昭和四十八年にさかのぼるということで、大変広範に関係者が多いということであります。もう死亡、亡くなられた方もおりまして、退職された方もあるということですが、死亡者等の聞き取り不能、不可能な者を除きまして、関係者二百四十七名から聞き取りを実施するということとともに、あわせて、文書が保存されているものについては逐一そういう突き合わせをするなどしまして、できる限りの調査を行ったということでございます。  今、委員指摘のように、昭和四十八年から仙波巡査部長指摘しておりますそれぞれの勤務しました所属、十所属でありますが、そこで、署長、副署長とか会計課長あるいは会計課員を中心に聞いておりますし、警乗につきましてはもちろん当時の隊員について聞き取り調査をして、その結果、先ほど私が申し上げたような調査結果になったものと承知しております。
  65. 神本美恵子

    神本美恵子君 例えば、偽領収書作成や空出張についての聞き取り調査関係者の供述状況というのが今日の皆さんお手元の資料の中にも書いてありますけれども、これを見て、もう全部、偽領収書作成を見たり聞いたりしたことはない、自分から指示したこともないとか、捜査費は定めたとおりの適正な執行がされていた、ずっとこう見ると、これ全部で何人、百五十三人、延べ百六十八人聞き取り調査したのに、項目はもうまとめて、二十項目ぐらいしか全体でない。こういうまとめ方をされているのもこれは何なんだと私は思いますし、それから判で押したようにみんな同じような回答になっている。  これは私が最初から疑っているからだと公安委員長は言いたそうな顔をしていらっしゃいますけれども、そうではなくて、地元の愛媛新聞を私も取り寄せて読んだんですけれども、その中に、多分この聞き取り調査の対象になっていらっしゃらない方かもしれませんが、その仙波さんの告発はでたらめとは言えないとか、捜査費を交際費に使っていたという元署長の発言や、内部調査聴取を受けたというこの中のお一人だと思いますが、聴取を受けた関係者によると、偽領収書を書いたことがあるというようなことも、マスコミ取材に対してはそういうふうに取材を受けて発言していらっしゃるというようなことも報道されているんですね。  それから、この聞き取り調査のときに、調査、聞く側が、答えた、対象の答えたことをメモもしないと。普通、どういうふうに答えたかというのをメモしますよね。そして、そのメモに基づいてこういう供述状況というのが書かれるはずなのに、聴取者の面前で文書に記録せず、後に上司に報告するという聴取方法も取られていたということが聴取された対象者の方からそういう発言が出ているわけですよね。  こういうやり方でますます疑惑が私は膨らむんです。最初からクロだって決めているわけではないんですけれども、この調査結果とマスコミで報道される内容とにこんなに食い違いが出てくるんですよ。これで疑うなという方が無理じゃないですか。国家公安委員長、いかがですか。それはもう、公安委員長の御本人の言葉でいいと思うんです。
  66. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 調査というのは私は適正に行われて、その結果として今回のような報告書が、をできたというふうに考えておるわけであります。
  67. 神本美恵子

    神本美恵子君 ここには主な供述状況というふうにありますから、主ではないいろんな発言があると思うんですね。つぶさに百五十三人の方に聞き取り調査をされたわけですから、一人一人のメモがあるはずですから、それ全部提出していただきたいと思います。これは委員長にお願いしたいと思います。この聞き取り調査すべての百五十三人分の供述、供述といいますか、言われた内容について当委員会に提出をお願いしたいと思います。
  68. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 警察庁、あるんですか。
  69. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) お答えします。  調査結果は集約的に書かれておりますが、もちろん調査結果に影響を与えるものといいますか、結論に重要なものが書かれておるわけですから、細かいものはもちろんありますが、それは同じ結論だと私は承知しております。  それで、今メモを提出するということがありますが、これ、御案内のとおり、具体的な警察活動の内容に関するものが相当多く含まれておりますし、それから逮捕・取締り権限を直接行使します警察官の氏名、そういうものが多く含まれているわけでありますので、これにつきましては提示の可否というのは個別に検討を要するんではないかなというふうに私どもは考えております。
  70. 神本美恵子

    神本美恵子君 事件とか捜査、関係ないですよ。ここでは、調査しているのは偽領収書作成依頼、空出張の有無について調査をしたんですから、その二点ですから、あなたは偽領収書作成を依頼しましたかしていませんかということですよ。それから、空出張をさせましたかあるいは自分もしましたかというようなこと、あるいはつかみ分け、年末につかみ分けと称して地域課員等に現金が交付されていたと、仙波さんがそういうことを告発されているわけですね。だから、この告発された内容について当時の関係者に聞き取りをしたわけですから、それについてイエスかノーかということを、そういう経験があるとか聞いたことがあるとかありませんとかいうことがつぶさに調査されたはずですよね。ここには主なものしか書かれていないので、そのつぶさに調査された内容をここに出してほしいということを言っているわけです。
  71. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) やはり、これだけの時間を掛けて責任を持って愛媛県警調査をするということは、相当の覚悟でやっておると思います。ですから、その一つ一つについて具体的に事実があったかどうかということは、結果として、結論としてはそうかもしれませんが、それに至る心証を得るためにはその調査チームの人が何回もその捜査員に対して具体的などういう捜査状況とかいろんなことを聞きながら、単に捜査員の人がイエスかノーかと、そういうことじゃなくて、掘り下げてじっくりと聞かないと、やはりこういう調査結果という重さがありますので、そういう意味で時間を掛けて掘り下げた調査をしたものですから、いろんな内容が私は含まれているものではないかなと思います。
  72. 神本美恵子

    神本美恵子君 だから、じゃその捜査にかかわる、事件にかかわるようなことを、ちょっと私も意味がよく分からないんですけれども、もしあるとすればそこだけマスキングして、でも、その偽領収書作成を依頼したかとかしなかったかとか、そういうことは別に公表しても何の問題もないわけでしょう。そういうことを欲しいと言っているんです。
  73. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) ですから、今申し上げましたのは、そういうものが含まれているのが少なくないんではないかなということと、先ほど申し上げましたように、警察官の個人の氏名とかあるいは退職者の氏名とかいろいろ含まれておりますので、やはりそれは個別具体的に適否を検討する必要があるんではないかと考えております。
  74. 神本美恵子

    神本美恵子君 それは常識で個人のプライバシーにかかわることとかそういうものはそこだけ隠せばいいわけであって、ただこの、さっき紹介しましたように、告発はでたらめとは言えないとか捜査費を交際費に使っていたとか、そういうことが一切この中に出てきていないんですよね。だから、私は、取材のときはそういうふうにおっしゃった、多分この調査でもそういう発言あったんじゃないかと思うんですよ。ないならないで全部出していただければないんだということが分かりますから、そういう意味でも、疑惑を解明するというのはそういうことなんですよ。疑惑を解明するために出してほしいと言っている。何もなかった、シロだったということをじゃ知りたいです。仙波さんがうそついていたんならうそついていたという結論がこれでは見えないと。しかし、このままでは仙波さんが名前まで出して現職なのに告発をされたことはうそだったというふうにも読み取れるわけですよ、これでは。だから、そうなのかそうじゃないんじゃないかということが疑惑なんですよ。そこを払拭したいから言っているんです。
  75. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 繰り返し申し上げますが、先ほど私の方から申し上げたような懸念がございますので、その個別に適否を判断をさせていただきたいということでございますし、今委員るる御指摘の新聞報道とかいろいろ告発のようなことがあります、書いてありますけれども、これはいずれ、例えば仙波巡査部長につきましても、調査チームが、例えばこちらの方で聞き取りをして確認をしようというときに、本人としてはある時期から訴訟で対応するということで、我々の面接要請に対して断ると、こういうようなことがありますので、そういう条件の中では調査について多少限界といいますか、そういうものがあるという中で、可能な限り、先ほど言いましたようないろんな突き合わせをしたり心証を得るために調査を行ってきたということであります。(発言する者あり)
  76. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) いいですか。協議しますか。(発言する者あり)  今の神本さんの質問がございましたが、官房長、質問がございましたけれども、それにまずお答えございますか。答弁を先に。神本さん、神本議員の方から官房長に対して、ここに出ていない部分も出していただいて、その中で納得できればというお話がございましたよね。ここは主なものしか書いていないと、こういうことですから、これ以外の、主なものというのは、一般的に考えれば、たくさんの意見があって、これがその意見が同じ意見だからこういう主なものにしましたという場合と、大きな部分というか主要な部分だけ載せてあとの部分は全くここに書いていないというような部分なのか、その辺もちょっと分かりませんけれども、その辺も含めて出せるか出せないかというのを答弁してください。
  77. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 私、実際にその報告書といいますかメモは見ていないわけでありますけれども、この調査結果というのは、先ほど言いましたように大変重いものでありますので、そこに聞き取り調査をした主要なものはほとんど網羅をしているということであります。ですから、そういう調査結果について、このメモというよりはここの調査結果で御理解いただきたいということであります。
  78. 神本美恵子

    神本美恵子君 見ていないのに、先ほどからるる出せない理由を並べられましたけれども、それ自身が、だから最初からもう、これはもう出せないものがあるというふうに官房長が思っているんじゃないかというふうにまた私は疑念がわくんですよ。ですから、じゃ、きちっと見て出してくださいよ。
  79. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) ですから、一義的に、私の方から先ほど申し上げていますように、出せないというか、先ほど言いましたように、いろんな捜査活動に支障を生じるとか、あるいは警察官の氏名とかいろいろありますので、個別具体的に提示の可否について御判断させていただきたいと、こう申し上げているわけであります。
  80. 神本美恵子

    神本美恵子君 意味が分かりません。  それで、出せるんですか、出せないんですか。出していただきたいんですが。
  81. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) メモ全体については、先ほど言いましたようないろんな問題がありますので、出すことは慎重な判断を要するのではないかと。ですけれども、個別具体的に出せるものがあるかを判断をしたいということであります。
  82. 神本美恵子

    神本美恵子君 これ、報告責任者官房長になっていますよね。ですから、見てないとおっしゃるから、見て、そして全部出してください。判断は責任者でできるわけでしょう。
  83. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) ですから、先ほど申したとおり、我々の判断としては個別具体的に判断させていただきたいということであります。
  84. 神本美恵子

    神本美恵子君 委員長、出すように計らっていただきたいと思います。
  85. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 官房長にお聞きしますが、今の発言の中にあるこの主な著述状況以外のものは先ほどあるというふうにお答えいただきました、なりましたね。それはそれでいいわけですか、その御答弁
  86. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 私が申し上げたのは、ここに記載してあるのはほとんど、主なもので、主なものといいますか、主要なものは全部載せているということでありますが、その他の細かいものはもちろんあるんではないかという判断で私は申し上げたんでありますが、先ほど言いましたように、この調査報告書というのは大事でありますから、主要なものというものは全部載せているということでございます。
  87. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) じゃ、ほかにあるということですね。  分かりました。  それで、それは警察庁としては、これは愛媛県警で作ったものだからその他の部分は全部愛媛県警にあるということで、警察庁には来てないんですか。
  88. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 当然、愛媛県警責任を持ってこれ調査をしておりますので、そこまで詳しいのは愛媛県警にあって、警察庁報告されているものではございません。警察庁にはです。
  89. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ということは、安藤官房長も見られていないわけですね。
  90. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) そうでございます。
  91. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) じゃ、神本さんの資料請求の部分につきましては、後日理事会等で協議をさせていただきたいと思います。
  92. 神本美恵子

    神本美恵子君 国家公安委員長、先ほどから私が疑惑と言っているのは、こういう、初めに、だから簡単な分かりやすい言葉で言えば、都合のいいことだけを出しているんではないかというようなことが更に疑惑を深めていくことになりますよと。だから、本当に全容をきちっと解明して、出すものは出す、うみを出す、うみがもしたまっていればですね。うみが一杯たまっているんじゃないかということを国民の皆さんも感じているわけですよ。だから、そのうみを出してくださいという意味で、ここも、細かいことになりますけれども、出してくださいと。そして、シロクロを付けましょうと。クロならクロ、仙波さんがクロならクロ、こういう無責任なことは言えませんけれども、ということをはっきりさせないと、国民はこの疑惑を払拭できませんということをずっとるる申し上げているわけです。  それで、もう時間がなくなりますので、最後になりますけれども、先般の決算委員会で、それから参議院の本会議でもこの警察の不正経理問題について警告決議、それと措置要求決議をいたしました。国会としてもこれはもうきちんと解明しないと、先ほどから話題にもなっていました国民治安に対する不安感というようなものも払拭できない、そのことにこたえる警察としての活動も、現場の人たちが心からできないということを申し上げたいと思います。  今日、資料として愛媛新聞の記事をお配りしておりますけれども、この中にもう本当に悲鳴のような声が載っているわけですね。例えば、「偽りの一枚岩 十一」というところを見ていただきたいんですけれども、現場警察官の方たちが市民から激しく不平不満をぶつけられ、捜査がやりにくくなった、胃が悪くなりそうだ、この問題が片付かないと仕事にならないというような、そういうふうに感じたり、取締まりをしていると、罰金もどうせ裏金にするんやろがというふうに、そういうばり雑言を浴びせ掛けられるというような現実があるわけですね。これは、そう言っている市民の方が勝手に警察を疑ってやっていると言えばそれまでです。でも、市民の中にこういった声があるということをきっちり受け止めて、この疑惑をはっきりさせてくださいよ。クロならクロでいいから、それをこれからどうするかということを一緒に考えたいという意味で私はずっと申し上げてきているんです。  そういう意味で、この決算の警告決議、参議院で決議しましたこの決議をしっかり実施していただきたい。政府として疑惑の徹底全容解明ということを警告しているわけですよ。文章を読みましょうか。  「昨年の北海道警察等に引き続き、愛媛警察において捜査費等の不正流用疑惑が生じていることは、誠に遺憾である。 政府は、疑惑の徹底全容解明のため、」措置を取るようにということを警告、これは平成十四年度から十五年度、今回もやっているわけです、十五年度分もですね。  ですから、国家公安委員長、最後に、やりますと、疑惑を払拭しますと。疑惑があることを、私が勝手に疑惑を持っているという先ほどの答弁は是非撤回していただきたいし、きちっとした答弁をいただきたいと思います。  私としては、第二期警察刷新会議のような第三者の疑惑解明のためのチームをつくっていただいて、警察の再出発のために踏み出していただきたい。それはもう是非国家公安委員長の御英断でお願いしたいと思いますので、よろしくお願いします。
  93. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) お言葉でございますが、調査結果報告書というのがあって、これの結果に重大な影響を及ぼすような事実を隠ぺいして報告書記載されているとなるとならば、私は適正ではないと、こういうふうに考えますし、私ども国家公安委員会といたしましては、今回の調査結果報告書につきまして、その調査が適正になされたということで、一定の問題点は指示事項として幾つか指摘をいたしましたけれども、愛媛公安委員会の管理の下で愛媛警察が今回の仙波巡査部長の発言に基づきますいわゆる疑惑につきましてきちんとした調査をし、その結果を報告されたものと私どもは理解をしております。  なお、今後とも、こうした会計の不適正執行というものは誠に遺憾なことでございますので、まだ愛媛県の監査委員が御指摘なさった幾つかの項目がございますので、私どもとしては愛媛警察がそのような監査委員指摘事項について引き続き調査をしっかりやるように、警察庁を通じて督励をしてまいりたいというふうに考えておるわけでございます。
  94. 神本美恵子

    神本美恵子君 終わります。
  95. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 午後一時に再開することとし、休憩いたします。    午前十一時五十九分休憩      ─────・─────    午後一時開会
  96. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから内閣委員会を再開いたします。  休憩前に引き続き、内閣重要政策及び警察等に関する調査議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  97. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 民主党・新緑風会の森ゆうこでございます。  今日は、拉致問題についてまず質問をさせていただきたいと思います。  前回、私が細田官房長官に対してこの拉致問題のことについて質問させていただいてからもう既に三か月たちましたし、御存じのとおり、十二月二十四日、細田官房長官が談話として述べられた、北朝鮮側が今後迅速かつ誠意ある対応をしない場合、日本政府として厳しい対応を取らざるを得ないと、このように表明されてからもうすぐ六か月、半年がたとうとしております。拉致被害者の御家族の皆様は、全く動こうとしない政府対応に業を煮やして、この二十四日に、高齢の身を押して皆さんが座込みをしようということが決定されているということは御存じだと思います。  私は、三十年近くも待たされてきた家族の皆さん、この場で、この期に及んで、この梅雨の時期に、高齢の皆さんに三日間も座込みをさせるわけにはいかない、何としても政府としてきちんとした対応を取っていただきたいという思いから本日質問をさせていただくことにいたしましたので、どうかきちんとした御答弁をいただくように、まずお願いを申し上げたいと思います。  最初に伺いたいんですけれども、昨年の十二月以来、この過去六か月間、半年間の間に、北朝鮮は迅速かつ誠意ある対応をしたかどうか、このことについて政府はどのように認識していらっしゃるか、伺いたいと思います。
  98. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) このような機会でございますので、今まで詳細に外向けにお話ししたことがないわけでございますが、北朝鮮とのやり取りをちょっと、そう長くならない時間で申し上げたいと思います。  昨年十二月八日、遺骨として提供された骨が別人のDNAが検出されたとして強く抗議いたしました。そうして、十二月二十四日、北朝鮮側から提示のあった情報及び物的証拠に対する精査結果を御家族に説明し、その概要を対外公表しました。そして、十二月二十五日に北京ルートを通じまして、精査結果概要及び横田めぐみさんの遺骨とされたものの鑑定結果要旨を手交しております。先方に渡しております。  それに対し、十二月三十一日、北朝鮮側外務省スポークスマン談話として、受け入れることも認めることもできない、日本の結果はできないと、そう申しております。そして、本年一月十七日、北朝鮮外務省スポークスマンは声明を発し、日本の植民地支配、拉致問題等に関する声明を発表し、これまでの対朝鮮政策について再検討し、朝日平壌宣言の精神に即して、過去の清算のための決断と実践的措置を講じるべきと主張しております。  そして、一月二十四日、朝鮮中央通信が備忘録を発表し、いわゆる骨片、骨ですね、に関する日本側鑑定結果に対する考え方を含む備忘録を発表しております。一月二十六日、北京のカナダ大使館ルートを通じて備忘録を伝達して、骨片の返還要求してきました。  そして、その間、二月十日には我が方から北朝鮮側備忘録に対する反論を伝達しております。  我が方反論に対し、二月二十四日、北朝鮮側から回答がございまして、北朝鮮側が横田めぐみさんの遺骨として我が方に渡した骨を遅滞なく返還し、責任ある者の処罰を求める、日本政府の言う厳しい対応に合わせて行動措置を選択するなどと言ってきました。  これに対して、また二月二十四日、北朝鮮側からの回答に対して外務報道官談話を発表し、生存する拉致被害者の即時帰国と真相究明を改めて強く求め、北朝鮮側が今後も引き続きこうした対応に終始する場合には、北朝鮮に対する厳しい対応を講ずることをせざるを得ず、このことは北朝鮮の利益にならないことを重ねて表明しました。  三月十七日にネイチャー誌が関連社説を発表して、これは二月三日に発表しておるんですが、DNA鑑定というものは汚染されている可能性がある等とした論文が掲載されておったわけですが、三月二十二日になりまして、それらについて北朝鮮労働新聞がネイチャー誌記事関連の論説記載、掲載をしたということでございます。  それから、在北京北朝鮮大使館が、四月十三日、北朝鮮大使館発で我が方在中国大使館あてのファックス文書、横田めぐみさんの遺骨の件に関し、従来同様の立場を示すと同時に、ネイチャー誌の記事に言及している、そういうことが、(発言する者あり)いや、これですべてでございます。  それから、四月二十七日に田中実さんの問題というふうに、実はこの半年の間、先方もそれぞれ対応してきております。  そして、しかし、そのことをじゃ評価して、どういう評価だといえば、私どもは、このような対応は彼らの行動を正当化する内容ばかりでございまして、我が方としては誠実な対応とは認めておりません。
  99. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 つまり、この半年間、北朝鮮はこの問題に関して誠意ある対応は全くしていないというふうに判断されているということでよろしいですね。もう一回確認します。
  100. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) よく世の中の人が、全くナシのつぶてで何の反応もしてないように誤解している人がありましたから、こういう反応はしてきておると、しかし内容は誠意ある対応でないと、こういうことでございます。
  101. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今のようなことをずっと述べられることに何の意味があるのかというふうに思いますが、まあ、むしろ今言っていただいたということで、北朝鮮が全く誠意ある迅速な対応をしていないばかりか、日本側を愚弄するような、そして拉致被害者、そして拉致家族を愚弄するような、そのような対応しかしてきていないということがむしろ明らかになったと思います。  それでは、過去六か月間、日本は拉致問題について何を具体的にどうしたんでしょうか。何か進展がありましたでしょうか、お答え願います。
  102. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 今申し上げた中にもございましたように、こちらから誠意ある対応を求め続けてきたわけでございます。
  103. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 その結果、全く何の進展もありません。  官房長官、北朝鮮が迅速かつ誠意ある対応をしない場合、日本政府は厳しい対応を取らざるを得ない、こう発表されたのは細田官房長官でございます。既にそれから半年が経過しようとしております。今正に我々は、もう本当に遅過ぎると思いますけれども、厳しい対応を決定すべきではないでしょうか。
  104. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 私どもは、厳しい対応というときに、国会で法案を成立していただきました経済制裁も含まれ得るわけでございます。  現時点で我が国が北朝鮮に対する経済制裁を実施することが、拉致問題その他の諸懸案について前進を図る上で最適であるかどうかについては、なお状況を見て検討をしていく必要があると考えているわけでございます。
  105. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ずっと検討しているということなんですけれども、経済制裁をしない理由は何ですか。
  106. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 経済制裁というのが、言わば我が国の最終的な行為であるということが一つ。それから、国際的に連携を取って経済制裁をするということが最も効率的なわけでございますが、日米関係でいろいろな話合いを行うときに、今六か国協議が進んでおりますけれども、これらとの総合的な関係で経済制裁問題を考えた方がいいというような意見も出されておるということも参考にしております。
  107. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 経済制裁が北朝鮮問題解決の妨げになるという、そういう意味ですか。経済制裁をした場合に、それは進展をさせるどころかこの問題の解決、その進展の妨げになるとお考えになっていらっしゃるんですか。
  108. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 経済制裁というのは様々な脱法的な措置というものも考えられます。貿易の制限措置を講ずればほかの第三国経由になってしまうとか、いろんな問題は確かにあるわけでございます。多国間協力をして経済制裁をしたという例は、これまでもインド、パキスタンの核開発の問題とかイラク、イラン、その他リビアとか様々なときに国際的に話し合いながらやった例もございます。そういうふうにして発動した方がいいのではないかという意見もございます。  我が方としては、それらを総合的に考えておるわけでございまして、制裁をすべき事態であると、この拉致問題というのはそこまで考えてもいい事態であるということは認識しつつ、今忍耐強く折衝しておるわけでございます。
  109. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 忍耐強く折衝とおっしゃいましたけれども、何も進んでいないんですよね。  齋木審議官に伺いたいんですけれども、最近何か折衝があったんでしょうか。
  110. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 北京の大使館ルートで様々なやり取りをしておりますということは、先ほど官房長官の御答弁にあったとおりでございます、御説明があったとおりでございます。誠に遺憾ながら、面と向かっての交渉というのがここ半年間途絶えていることは事実でございます。
  111. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 もうほかに何も打開策がないんですよね、はっきり言って。  今日は拉致された横田めぐみさんの御両親、横田滋さんと横田早紀江さんが傍聴席に来ていらっしゃいます。御存じのとおり、先週の金曜日、この参議院の拉致問題対策特別委員会において、お二人、参考人として意見を陳述されました。私も傍聴させていただいておりました。そしてまた、改めてこの原稿を、未定稿ではございますけれども読み直し、昨夜また読み直したんです、後ほど一部引用をさせていただきたいと思うんですけれども、日本は全く何も今手を打てないでいる。何かやらなければ何の進展もつかめない。やれるカードは持っているんですよ。特定船舶入港の禁止法、なぜ何もやらないんでしょうか。金曜日の横田早紀江さんのお訴えを私、ここで引用させていただきたいんですけれども、途中からです。  小泉総理は、対話の窓口が閉ざされるということを理由に慎重な姿勢を崩しておりません。ごめんなさい、これは滋さんの方でした。ごめんなさい。私たちは、増元さんのお父様がおっしゃった言葉、私は日本を信じる、だからおまえも日本を信じろと増元照明さんに病の中からおっしゃった言葉が忘れられないんです。これは本当に国民全部が思わなければならない言葉だと思います。  御家族の皆様は、本当に日本政府は、政府としてこの拉致問題を解決する気持ちがあるのかと、正直言って、口には出されませんけれども、そういう思いがおありです。しかし、政府を信じなければならない、めぐみさんたちを取り戻すために日本政府を信じようというふうに言い聞かせながらずっと待っていらっしゃるわけです。  で、官房長官にお聞きしたいんですけれども、拉致被害者そして家族の皆さんは日本政府を信じてもよろしいんでしょうか。
  112. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) まず申し上げたいことは、この拉致被害者の方々が必ず生存しておられると、先方がいろいろな証拠らしきものを提示してお亡くなりになったと言っていることには一切信ずるに足るものがないと、しかも遺骨と称するものも本物でなかったということから、我々は大前提といたしまして生存しておられると、したがって断固これを、もちろん向こうの政府がこれを阻止しておるわけでございますから、救出しなければなりません。そういう方針で一生懸命対応しておるわけでございます。
  113. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 それならば、なぜ拉致対策本部をおつくりにならないんでしょうか。これは家族会、救う会、様々な拉致問題に関する会が要望しております。きちっと拉致対策本部をつくって、そしてこの問題の解決に向けてもう政府が優先順位第一の課題だということで進めていくという姿勢を示すためにも対策本部をつくるべきだと思うんですが、なぜ拉致対策本部、いまだにつくられないんでしょうか。
  114. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) まず、これを内閣に置いておるということは、日朝国交正常化に関する関係閣僚会議というのがございまして、そこに官房副長官を議長とする拉致問題に関する専門幹事会を設置しておりまして、内閣官房、警察庁、法務省、公安調査庁、外務省、厚生労働省、総務省、文部科学省、国土交通省等、それぞれの役割の省庁が入って、これは局長級でございますから実務家の最高責任者でございますが、常に緊密に連絡し合っております。  そして、認定についても新たに増やしたり、そういうことも含めて、それから一件ずつ不明者、これはいわゆる十五人、十六人の方以外にも何百人とおられますから、すべて警察、情報当局、公安当局も一人ずつこれを当たるように、そして現実に動いておるわけでございます。  したがって、私どもとしては、この専門幹事会というのはそれなりにこの目的には沿っておると思いますと同時に、これまで我々も拉致被害者・家族支援室という別途の機構を設けておりましたけれども、家族支援室というと、お帰りになった家族の方を支援するということに重点があるように見えますが、これはすべて、今までに向こう側が認めた家族はお帰りになって、ジェンキンスさんの御家族始め皆さん、三家族については済んでおりますので、むしろ拉致問題連絡調整室ということで全体に取り組むということをはっきりさせた方がいいということでこの改組をしておるわけでございます。
  115. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そうしますと、この北朝鮮に拉致をされた拉致被害者、今何か私の質問、後からのやつに答えられたのかな、被害者の捜索そして救出について責任を負っている機関というのはどこになりますか。
  116. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) まず、拉致問題連絡調整室がこの問題について担当しておると同時に、先ほどの日朝国交正常化に関する関係閣僚会議の下にあります拉致問題に関する専門幹事会でございます。
  117. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 では、金曜日の拉致特で、これは民間の機関でございます、政府がきちんとそういう機関をつくって取り組まないものですから、特定失踪者問題調査会の荒木さんが参考人としてお見えになりまして、このように指摘をされております。  多くの拉致被害者を北朝鮮に残したまま長い年月が経過して、そして被害者の大部分についてはそれがだれであるかも明らかにできないということは、間違いなく政府の不作為でございます。曽我さんが拉致被害者であるということを北朝鮮側が発表した後、日本の警察であれ、あるいは国会であれ、内閣であれ、どこの機関一つとして、曽我さんに対して二十四年間拉致と気が付かなかったことを申し訳ありませんでしたと謝った方はおられませんでした。つまり、これはどういうことかというと、この国の中でだれが拉致をされているか、捜すことに責任を持っている機関自体が存在をしていないということでございます。大部分のこの被害者がそして帰国できていない、しかし帰国できていない現状がずっと続いているわけでございますが、続いていることについてもだれも責任を取ろうとしないわけでございまして、このようなことは絶対に許されるべきではないということであるというふうに思います。  このように意見陳述をされておりますが、それでは私は、荒木さんに対して、本日官房長官からこの問題、だれが拉致をされているのか、そしてその拉致をされている方に関して捜索をし、そして救出をする責任を負っている機関はただいまのとおりであると御報告申し上げてよろしいんでしょうか。
  118. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 先ほど申しました拉致問題に関する専門幹事会を中心に、局長クラスで編成しておりますこの会議でもって責任を持った対応をすべきでもあるし、しておると思っております。  ただ、曽我ひとみさんのことにつきましては、本当に返還、北朝鮮側からそういう発表があるまで当方がそれを知らなかったということは誠に申し訳ないことだと私は思っておりますし、そして今我々が取り組んでおりますことは、いわゆる被害者として認定された方々だけではなくて、あらゆる可能性があると。特定失踪者に関する団体から顔写真も、土地、出身、いつ失踪されたという情報で百数十名、取り方によりますけれども情報をいただいておりますが、それを更に、それを基に一件一件調査をするという形で、我々としてはこれらの方々の中にやはり拉致被害者がいるのではないか、その具体的な証拠を探して、続けておると、それは各市町村レベルでも警察あるいは情報当局、公安当局の方々が一件一件当たっておられるということを申し上げたいと思います。
  119. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ただいまお話のありました被害者の認定について、さきの参議院の予算委員会でも同僚の山根議員の方から質問があったと思います。この認定の人数が少ない、少な過ぎるということ、これは我々が北朝鮮に対して日本人、拉致した日本人を返せというふうに要求をしていく、このときに日本政府拉致被害者として認定をしていないということは、それは障害になっているのではないか。当然、交渉する場合には、まずこれこれの人たちが拉致されているということを政府として認定をして、そして相手に突き付けていくということでなければこれは説得力はないわけですから、この認定者の人数については少な過ぎると度々様々な場所で指摘をされているところだと思いますけれども、この件についてそれぞれのまず担当部署から伺いたいと思いますが。
  120. 小熊博

    政府参考人小熊博君) 内閣府といたしましては、拉致被害者の認定につきまして、北朝鮮当局により実行された拉致行為の有無を基準として判断しておりまして、関係省庁とも情報の整理をした上、その拉致行為があったという情報があった場合には速やかに拉致被害者と認定しているところでございます。現在のところは十六名の方が認定されているところでございます。
  121. 瀬川勝久

    政府参考人(瀬川勝久君) 拉致被害者のいわゆる認定という問題につきましては、内閣総理大臣が関係行政機関の長と協議した上で行うということだと承知をしております。  警察といたしましては、北朝鮮による日本人拉致容疑事案という警察立場としての捜査的観点からの判断で十一件十六名というふうに現在まで判断をしております。これは、いろんな方からの事情聴取あるいは裏付け捜査、国内外の関係機関との情報交換などの積み上げによりまして拉致と判断するに至ったものであります。  拉致と判断するにつきましては、大変、これは被害者の所在も不明であり、また目撃者もいない、証拠もほとんど残されていないという大変難しい状況があるわけでございますけれども、鋭意そういったものの積み重ねによりまして判断をしてきているというものでございます。  一番近々では、本年の四月に、田中実さんの事案につきまして新たに拉致被害者という判断をしたところでございます。これは、神戸市内の飲食店に出入りしていた方が、北朝鮮からの指示を受けた在日朝鮮人の甘言によりまして、昭和五十三年の六月ごろでございますが、海外に連れ出された後、北朝鮮に送り込まれたというものでございます。これも、かねてから非常に容疑が濃いのではないかということで私ども鋭意捜査をしてまいりました。  また、昨年の十月には、拉致問題の担当都道府県警察の課長を集めまして全国会議を開催をいたしまして、強く再捜査を指示いたしました。その結果、徹底した洗い直しによりまして新たな証人をやっと発見をすることができました。で、田中実さんにつきまして新たに拉致容疑事案と判断することができたということでございます。  今後とも、警察といたしましては、これ以外にも拉致と判断されるべき事案があるものというふうに考えておりまして、鋭意捜査を進めてまいることとしております。
  122. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 外務省に伺いますが、外務省は交渉するときにこの認定者を基に交渉していらっしゃるわけですよね。
  123. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 政府として、認定した方々については、北朝鮮当局に対してその安否の確認及び即時に日本側に対して返すべきであるということの申入れをずっとしてきております。
  124. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 つまり、政府が認定していないと、北朝鮮に対して返せと要求をするということについては非常にやりにくいという点があるんじゃないんですか。
  125. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 政府として認定していない方々についても、私どもからは一々のその名前も挙げたことも実はございましたけれども、これまでの北朝鮮側とのやり取りの中で、拉致された疑いのある方々についてということで、もし、そういう方々の安否についてきちっと我々としては把握したいので日本側に対して情報を提供すべきであるという形での要求をしてきております。
  126. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 今までのこのやり方ですと、前にも指摘されておりますけれども、本当に今現在拉致をされて、今救いを待っている人たち、その人たちほとんどは日本政府は把握してないんですよ、きちんとした把握を。  で、先ほどの警察警察はそういう取組の仕方だと思います、捜査をしてその証拠が積み重なった場合に、それをそういう可能性があるということで提出して、これ認定してくださいということで認定を依頼すると、それに基づいて認定を行うと。今のシステムではそうですけれども、じゃ、それに基づいて今認定しているのがたったの十五人。で、たったの十五人を返せと。これじゃ、拉致問題の解決になりませんよ。実際に今お帰りになっている拉致被害者の方、これは最初から政府が認定されていた方なんですか。外務省でもいいですし、室長、小熊さんでも。
  127. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) 少なくとも曽我ひとみさんについては、先ほどからのやり取りで御案内のように、政府として認定しておられなかった方でございますけれども、その他の方々についてはそうでございます。
  128. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 政府が全く認定していない人たちがいるわけですね。先ほどの特定失踪者問題調査会のリストに挙がっている人はたくさんいらっしゃるわけです。そして、疑いが濃厚になっている人も本当に大勢いらっしゃる。そういう人たちにも帰っていただかないと、これは拉致問題の解決にはつながらないわけです。  外務省が交渉していく場合に、先ほど答弁にもありましたように、やはり認定、きちっとした形でないと要求は突き付けにくいということですから、この認定のやり方、今後変えるべきではないでしょうか、官房長官。
  129. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) これは、確かにおっしゃることは分かるわけでございます。  しかし、こういう言わば犯罪の被害者、言わば誘拐ではございますから、その犯罪の被害者として、だれか特定の人が特定の場所でこういう経路でだれが手伝って連れていったと、拉致をしたということをやはり警察当局がしっかりとした証拠固めをして、そして認定をするという仕組みでやっております。  したがって、その限りではどうしてもこの田中実さんを含めて十六名の方、特に、五人の方はお帰りになりましたので、残り十一人の方の問題になるわけでございますが、当然ながら、そのほかに交渉においては、例えばいろんな状況証拠が出てきつつあった加瀬テル子さんとか藤田進さんを始め、そういう話もしておりますし、それからいわゆる特定失踪者の千番台のリストの方々等を合わせますと、救う会の認定も含めますと五十数名の方は極めて容疑が濃いわけでございますけれども、そのうち、そのほかにも百数十名と言われる方が突然の、理由もない失踪をされているということから大変疑惑は深いわけでございますけれども、我々としては、北朝鮮にはっきりとしたものからまず交渉をしております。  はっきりとした証拠のあるものでさえ、その生存を隠し、しかもきちっと、ああ、この方でしたらおられましたと言ってきませんので、これはもう向こうの政府の、極めてこれ遺憾でございますが、こういったことを何とか直させなきゃいけないということは非常に今我々も苦労しておるところでございます。
  130. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 申し訳ありませんが、そのような政府認識、根本的に間違っていると私は思います。  今、犯罪というふうにおっしゃいました。刑事事件として扱っていらっしゃるんですね、一個一個、それぞれ。それで警察捜査をして、そして証拠がある程度固まったときに政府として認定をしていく、そしてそれを基に外務省が交渉をしていくと、こういうシステムになっているわけですけど、そもそもそれは間違っているんですよ。そうじゃないんです。  拉致問題というのは、個別の刑事事件じゃない、北朝鮮の国家による現在進行形のテロなんです。これが拉致問題なんです。だから、そんな姿勢では絶対解決できません。だから、北朝鮮側は何も、自分たちの都合のいいことを言ってくるだけで誠実に対応しようとしないんです。当然です。日本政府がそのような認識で今までのような態度だったら、何にも答えてこないのは当たり前じゃないですか。  これから救出に向けていつまでに何をするのか、具体的にお答えいただきたいと思います。
  131. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) できるだけの努力を今後とも継続したいと思います。  それには交渉のテーブルに着き直すことが大事でございますし、それから別途進められております六か国協議も再開に向かって今協議が進められておりますが、こういったところで直接顔を合わせて、それをきっちりと申し入れるということが今後可能になる可能性が今大きくなっていると思っております。
  132. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 政府、我が国政府が、我が国の国民が拉致されて救出を待っているときに、我が国の政府が自分でできる、主体的にできるということを、いつまでに、どのように、何をするのか、具体的にお答えいただきたいという質問なんですが。
  133. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 先方も政府で、彼らのこの領土の中においてはあらゆる人に対する権限を持っておりますので、これは我々が説得をして、そして彼らがついに、実は生きておりました、全員返しますと言うまで粘り強く交渉をすることが我々の今の方針でございます。
  134. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 ですから、粘り強く、しかも半年間もこのような状況が放置されたまま何もしないということなんでしょうか。  万景峰号について伺いたいんですが、昨年の十二月に泉田新潟県知事が万景峰号に対して二つ入港条件を課しました。一つは、いわゆる改正油濁法の前倒しとなる保険の厳格な適用でございます。もう一つは、入港の際に発していた大音量の音楽を流すのを禁止、やめるという二つの条件でした。この保険の問題がクリアできなくなった。そして、そのうちに本格的に改正油濁法が施行されたということで、冬の間、万景峰号は新潟に参りませんでした。  しかし、このたび保険に入り直して、五月から入港が再開されました。もう今までの遅れを取り戻すかのようにピストン輸送というかシャトル便という形で、私も手元に入港の実績、それから今後の入港の予定を持っておりますけれども、五月の十八日から再開されたわけですから、今のところ分かっているだけで何回入るんでしょうか、万景峰号は。調べておいていただくように私言ったんですけれども。  万景峰号は、十月の十八日までもう既に予定が決まっておりまして、二、四、六、八と十四回、今のところ入港の、もう済んでいるか、若しくは入港の予定でございます。  万景峰号については、改めて私が説明するまでもなく、かつてこの船によって様々な工作活動が行われていた、北に対して不正な送金が行われていた、不正な人物の行き来が行われていた。これらは明らかになっているところでございますけれども、この万景峰号がまたこれだけ入ってくる。こんなこと許していていいんでしょうか、官房長官。
  135. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 改正油濁法の基準を満たしておりますのと、もちろん密輸とか偽札の搬入とか麻薬とか、そういうことは全部厳密に調べておりますけれども、そういうことがなく適法に入っているものは、目下の状況ではやむを得ないと考えておるわけでございます。
  136. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 そうじゃなくて、この拉致問題の解決に向けて北朝鮮側が何ら迅速に、しかも誠意ある対応を示していないわけですから、私はこの特定船舶、この万景峰号、止める今がタイミングだと思いますが、なぜやらないんですか。
  137. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 先ほども申し上げておりますが、今は忍耐強く交渉するべきであると。そういった中で、いろいろな国際情勢の変化等ございますので、彼らは核開発を完了したなどと言って国際社会から相当な反撃を食らっておるとか、六者会合に復帰をする動きがあるとか、時間というものがある程度その国の考え方を柔軟にしたりする要素もございますので、辛抱強く対応しておるというふうに御理解いただきたいと思います。
  138. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 北朝鮮に限ってそんなことはないと思いますよ。時間稼ぎをして好都合だと思っているわけですよ。この間に不正に得た資金によってますます、今本当に核ミサイル持っているのか分かりません、宣言していますが分かりません。もう準備が着々と進んでいる。日本にとってはますます脅威になるという状況だと思うんですけれども。  最近の報道によれば、北朝鮮が今月にも核実験を行うということが言われておりますけれども、仮に実験が強行された場合における政府対応、何らかのシミュレーション行っていらっしゃいますか。
  139. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 我が国は当然ながら北朝鮮の核開発の動向を注視しております。  明らかに、いわゆる黒鉛炉でウラン原料を燃焼させて、そこからプルトニウムを抽出しているという行為を長年行ってきておりますから、当然ながらそういったタイプの原料は持っておると。それがどこまで、言わば弾頭あるいは爆弾として製造を終了しているか、これはまだはっきりはしないわけです。  それから、日本の安全でいいますと、これは当然、制空権がございませんので先方には、日米安保条約の下では当然ながらミサイルで撃とうとすると。そうすると、ミサイルに重いものを載せて撃って、正確に例えば日本に撃ってくるという状況にあるかどうか、技術的なそこまでの展開があるかどうかという点については、専門家に言わせますと、そこまでは来ていないだろうという説は多いんですが、そういった中での核実験というものをやった場合にどういう国際的効果があるか。  我々は、これは、彼らが核実験をやるかどうかということについては様々な情報を収集しておりますが、最終的には判断できる段階ではございませんが、しかしながら、そういう爆発をさせるということぐらいでしたら、ある程度そういう能力は持っておると見ております。  したがいまして、我が国としては、そういったことのシミュレーションというのではなくて、あくまでもミサイル防衛ですとか、日米安保条約等によるこういったものに対する共同防衛ということについては様々な話合いは行っておるわけでございます。
  140. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 核実験を強行した場合には、我が国としては諸外国を巻き込んだ形で国連安保理における経済制裁に向けた外交攻勢を強めることが求められると思いますが、この弾道ミサイルと組み合わされば我が国に対する多大な脅威となることが容易に想像される中で何もできないでいる。国民一億二千万人を事実上人質に置くような状況を放置しておくことは、私は国家としては芯のある対応とは言えないと思いますけれども、いかがでしょうか。
  141. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 当然ながら、そのような動きが、例えばミサイルを発射するという動きがあれば、日米共同の協力によりまして当然対応すると。  それは二段階に分かれます。  ミサイルを発射しようという準備が明らかであれば、当然これに対応する必要がありますし、もう発射されたという段階では、弾道ミサイルによりまして抑止をしなきゃいけない、要撃をしなければならない。これは日米で現在研究が進んでおりますし、当然、これに対して防止しなければならない。これについては、先ほど申しましたように、若干の時間的余裕がありますが、相当差し迫っておるわけでございますから、日米で協力体制を更に深めておるところでございます。
  142. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 先ほど万景峰号のお話をいたしました。  五月二十三日の万景峰号の入港に際して、さきに泉田知事が課した条件のもう一つの方、大音量による将軍様をたたえる歌ですか、それのテープで流すことをやめるようにという条件を課したわけですけれども、二十三日の入港の際にはそれを破りました。泉田知事からすぐ電話が来ました。毅然とした対応をすぐやりたいんだけれども、どうだろうか。  いろいろ言われておりますね、北朝鮮は。こちらが強硬な姿勢に出れば暴発する、何かしてくる。私は、どうぞ安心して是非そのように対応をお願いしたい。お願いしましたところ、北朝鮮側は暴発するどころか、すぐに文書を持って謝罪に参りました。今後このようなことがないように努めますと、遺憾の意を表しながら謝りに参りました。そしてその後、二回船が入っているわけですけれども、三回ですか、入っているわけですけれども、本当に静かに入港している。  北朝鮮というのはそういう国なんですよ。きちんと厳しく素早く対応しなければ何も反応しないんです。日本政府が何もしないから、毅然とした対応を何もしないから、厳しい対応を何もしないから、向こうも誠実な対応をしてこないんですよ。何もされないんでしょうか。  横田早紀江さん、今そこらにいらっしゃいますが、本当はこんなことでは救えないと声を出したい気持ちで一杯だと思います。私は、代わって先日の金曜日の拉致特での横田さんの意見陳述、読みたいと思います。  おぼれた人がいれば、私たちはすぐにでも手を差し伸べるのではないんでしょうか。ほかのいろんな用事をまずおいて、大事な用事があってもまずそれをおいて飛び込んで助けるのが人の心ではないんでしょうか。どうしてこんなにたくさんの立派な日本のお父様、お母様がこの国にいらっしゃるのに、そして外交官や政治家、首相、いろんな方が、その役職の中にあって、一つ一つの大事なときにチャンスをしっかりととらえて外交をしてくださり、また、日朝実務者協議のときでもやはりそうですし、首脳会談のときでも、やはり小泉さんがお一人の人として、父親として言うべきことを言い、しっかりと子供たちを返しなさいと、許せないとはっきりと言葉に出して金正日に迫って怒ってほしかったと私は思っています。  そして、骨が返ってきたときも、このようなことがうそであったら、自分の子供が隣のおじさんに連れていかれてそのような形で現されたらそのお父さんはどうするでしょうか。そのうちの窓をけ破り、ドアをけ破ってでもそのお父さんに食って掛かって、首筋をつかまえて物すごい勢いで怒るのが本当ではないんでしょうか。  私たちは、本当にもう心身疲れ果てておりますけれども、子供たちが助けを求めている間はどんなことがあっても倒れることができません。そして、小泉さんにしっかりと怒っていただきたい、経済制裁発動をいたしますとはっきりと言っていただきたい、日本の国民総意での怒りを私が負って怒っているんですと北朝鮮に態度を示していただきたいと私は思っているんです。  私は、この横田さんの言葉にすべてがこもっていると思いますし、前のときにも申し上げましたが、これは母親が子を思うその情という問題だけじゃないんです。  済みません、私がこんな質問を大先輩の官房長官にするのは失礼なんですけれども、国家の存在理由は、一体、その一番大切なところは何におありだとお思いですか。
  143. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) それは非常に難しい御質問でございます。  過去の長い人類の歴史を見れば、そのような国民に対する大きな侵害があったときには、あらゆる手段を通じて救い出すということも行ってきた事例は幾らでもございます。しかし、我々は今の、現代の二十一世紀における国家として外交を第一に考えて、そしてあらゆる外交的手段を通じながら問題を解決していくという基本方針を取っております。これは、我が国自身の制約というものも考え、そしてかつ外交の力を今後とも発揮をしていって、しかも関係国とも協力しながら対応していくべき問題であると思っております。  そして、被害者の御家族の皆様方も、本当に世界的規模で、国連に行かれたり、アメリカその他の、韓国その他の国々に出向かれて、そしてこれほどひどい人権侵害があるんですということで世界共通の認識を高めていただいたこと、本当に心から敬意を表する次第でございます。  そして、今の段階で生存者を返すと、返されるということができないことについては、我々も大変残念でございますが、今後とも引き続き努力をしてまいりたいと思っております。
  144. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みませんが、具体的な日本政府が何をどのようにするかということが全くお答えになっていられない中で、できることを一生懸命やっていく、信じてくれと言われても困るんですね。  先ほども申し上げました経済制裁イコールデッドラインということじゃなくて、その反応に応じていろいろ対応していくと。何かやればいいじゃないですか。何もしていないでしょう。万景峰号止めてごらんなさいよ、一回。絶対向こうからきちんとしたアクションが来ますよ、リアクションが。なぜ止めないんですか。何を恐れているんですか。向こうが困るんですよ、向こうは恐れているんですよ、止められるのを。だから、知事からああいうのが来れば、もうすぐにごめんなさいと言ってくるんです。日本政府ができるのはそういうことだけなんですよ、主体的にできるのは。なぜそれをなさらないんですか。  横田さんたちが梅雨のこの時期に三日間、来週座込みをしないと、日本政府は具体的に何もできないんですか。
  145. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) おっしゃいますような手段というのは、当然ながらもう制裁としてやれということですから、そのことは理解しております。しかし、制裁でなくして何かをやるということは不可能でございますから、それは全面的に我が国としてかの国に対して制裁をすると。これで断固究明をしつつ制裁をするという意思表示でございますから、これは全面的なことでなければ、その一部を、万景峰号だけ止めるといっても理屈がありませんから、すべてこれは制裁措置として実行するというところまで決断をしなければならないと思います。その決断をするのに時間をまだ見ておるということだと理解していただきたいと思います。
  146. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 済みません、今おっしゃったことはちょっと理解できません。  要するに、一かゼロかということですか。何もやれないということですか。全面的に何か戦争でもしない限り何もやらないという、そういう意味ですか。
  147. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) いや、そういうことではございませんで、例えば万景峰号というのは自由航海の原則で、油濁法とかそういうものは満たしながら、満たせば自由であるという国際的な原則に基づいて出入りをしている。貿易についても、いろんな農薬だとかいろんなものがあるかもしれません、規制があるかもしれませんが、貿易とか、しかしそれをクリアする限りは入れることは自由、貿易の自由の原則もある。人間の行き来についてもそういう問題があると。  それらを強制的に法律でそれを例外をつくるということは、それの根拠は当然ながら制裁措置という以外には考えられないわけでございますから、国際法上の特別措置をとるということは制裁である。その制裁について日本政府が全面的に意思決定をしたときにそれは可能になるわけです。それを可能にしていただいたのが衆参両院での法改正であることはよく承知しております。  したがって、全面的に、やれば全面的になりますから、全面的に制裁をしろと、両国間においてこれでもう問題が前進しない限りは戻ってくるなという叱咤御激励はよく我々も始終承っておりますが、今の段階ではそういう全面的制裁、経済断交に近い措置、あるいはあらゆる断交に近い措置になるわけでございましょうけれども、そういったことに今踏み切るのではなく、外交的努力を積み重ねておると、こういうことを申しておるわけでございます。
  148. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 竹中大臣、済みません。お願いしていたのにこの間と同じようなケースになってしまって大変申し訳ないんですけれども。  じゃ、無期限でこのままの状況を、風任せ、六か国協議開かれるか、開かれるのか開かれないのか分からない六か国協議任せ、よその国の交渉任せ、日本政府は何もしないということですか。だから、できるものをどうやったら解決できるのか、何かやればいいじゃないですか。
  149. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) 小出しにすることは論理が立たないと思います。すべて、全面的に発動するかどうかと。確かに、我が国としても、もう国会で何度も議決がされ、法律案が通過しておりますように、手段はもう持っているわけでございます。我々としても忍耐には限りがあると思っておりますが、当然ながら、それは国会との連携等でいつ決断をするかということになる可能性はあると承知しております。
  150. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 じゃ、期限を切ってください。もう既に六か月たちました、官房長官が経済制裁の予告をしてからですよ。迅速かつ誠意ある対応を示さない場合厳しい対応を取らざるを得ないと制裁予告をしてからもう半年がたちます、二十四日で。あと一か月待ってやると。今までは期限を切るのはよろしくないというお話でした。しかし、何も進展しません。何も変わりません。何の交渉もできない。少なくとも期限を切っていただきたいと思いますが、いかがでしょうか。
  151. 細田博之

    国務大臣(細田博之君) これは森議員の厳しい御提言でございます。政府としてまだ更に検討をいたしたいと思います。
  152. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 齋木審議官に伺いたいんですが、私たち拉致問題にずっとかかわってきて、いろんな動きを見てきた一人、齋木さんももう専門家でいらっしゃいますし、本当に一生懸命やっていただいた。そういう北朝鮮の対応の仕方をよく心得ていらっしゃる人は皆一様に、北朝鮮という国はこういうやり方では駄目なんだと、厳しく対応しなければいけないんだということで意見が一致するわけですよね。齋木さんは多分私たちと同じ感覚をお持ちではないかと思います。政府に対して、官房長官に対して進言されてはいかがですか。ほかには解決策ないと思いますが、進展する。
  153. 齋木昭隆

    政府参考人(齋木昭隆君) お言葉ではございますけれども、私も政府の一員でございます。外務省の人間として外務省がやるべきことを内部で検討しておる状況でございます。  政府全体として、一体としての対応というのは当然取っていくことが必要であると思います。したがって、北朝鮮相手の交渉事、大変に難しいものがございますけれども、先ほど来官房長答弁申し上げているように、どういうタイミングで何をすることが我々として達成すべき、結果を達成するのに最も効果的なのかということ、これは当然のことながら、政府の中でいろいろな省庁それぞれ管轄が違いますけれども、きっちりと今内部的に検討しておるというのが事実としてございます。  我々としては、制裁をやらないと言ったことは一言も言っておるわけじゃございません。制裁はオプションの一つとして常に頭に入れながら、どういうタイミングでこれをどういう形で発動するのがいいのかということを我々として今見計らっているという、そういう状況でございます。
  154. 森ゆうこ

    ○森ゆうこ君 いや、もう我慢にも限度があります。その検討もいつまでするんですか。検討中、検討中とずっと聞いてまいりました。  もう既にタイミングを遅いというふうに思っておりますが、でも、今からでも遅くはありません。少なくとも二十四日からの三日間の座込み、そんなことはしていただかなくても政府がきちっとした対応を取るということを重ねてお願い申し上げたい、要望したいと思います。  時間になりましたので、質問を終わりたいと思います。
  155. 白浜一良

    ○白浜一良君 今日は警察の一連の不祥事、またそれの防止というテーマ並びに一般質疑ということでございますので、まず不祥事の関係で御質問をしたいと思います。  あちこちで不祥事が続いたということで本委員会で何回も私も取り上げておりますが、昨年の三月でございましたか、当時は、今日もお見えでございますが、小野先生が国家公安委員長でございまして、そのときに若干の議論をいたしました。当然、不祥事というのは事実究明、事実解明というのが当然まず前提として大事でございますが、その再発防止すると、また今日、警察行政を刷新する、特に予算執行面を刷新するという観点から、私も幾つか御提案を申し上げたわけで、大きくは二つ申し上げました。  一つは、警察庁自身がそういう監査制度を充実強化してはどうだということを申し上げたわけでございます。もう一つは、国家公安委員会というのはもう全国警察行政を統括している、そういう面で、いわゆる予算執行とか監査、そういうものを報告させることを含めてきちっと管理するということを国家公安委員会の規則に入れてはどうかということを申し上げたわけでございます。  それぞれ当時、当時は吉村さんが官房長でございましたけれども、警察庁としても体制を整えるということをおっしゃいましたし、当時の小野大臣の方からも、国家公安委員会規則にそういう予算の管理という制度を入れると、会計の、会計を管理すると、そういう規則を制度化をするという御答弁をいただきまして、それぞれ規則を昨年の四月からいわゆる追加していただきました、国家公安委員会の規則にですね。  また、警察庁長官の訓令ですか、訓示、何ですかね、訓令、訓令も昨年の四月一日から全国に通達をされましてそれぞれ前進を見たわけでございますが、まず冒頭に、その後の経過を少し御説明しておいていただきたいと思います。
  156. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) お答えいたします。  国家公安委員会におきましては、委員からの御指摘以降、昨年四月一日に、警察における会計監査充実強化し、会計経理の適正を期するため、会計監査に関する規則を制定したところであります。この会計監査に関する規則におきましては、会計監査実施計画の作成作成された計画に基づく監査の実施、さらには公安委員会に対する会計監査の実施状況報告などが規定されているわけでございますし、この規則に基づきまして、警察庁の訓令が先ほど御指摘のあったとおり定められております。  特に、この規則に基づきまして、平成十六年度については、警察庁において監査体制の強化を図った上で実効ある会計監査を実施を今しているところでございますので、またその結果につきましても、本年四月に国家公安委員会に対し詳細を報告をいたしたところであります。
  157. 白浜一良

    ○白浜一良君 目立った成果がまだあるかないか、それはよく分かりませんが、いわゆる何点か、内容に関しまして御質問したいと思います。  規則の第二条に、いわゆる会計監査の実施計画を作成すると、こういうふうに明示されております。それは、監査の重点項目ですか、それから対象部署、実施時期を明示すると、こういうことらしいんですが、余りそういうことを前もって発表したら、そこのところはえらい構えてしまって事前に処理してしまうという、普通考えたらそういう心配もするわけでございますが、その点はどうなっていますか。
  158. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) お答えします。  確かに、会計監査に関する規則第二条で、警察庁長官や都道府県警察本部長が行う会計監査が効果的かつ計画的に実施されますよう、監査の重点項目とか時期などを内容といたします実施計画を作成するということが規定されているわけでございます。  この会計監査実施計画が仮に会計監査の対象となります部署、所属に対して事前に明らかになれば、委員指摘のとおり、実効ある会計監査に支障が生じるおそれがありますということを我々も十分承知して、認識いたしておりまして、そういうことを認識した上で、警察庁におきましては監査実施前にはこれを明らかにしておりません。今後とも、その取扱いには慎重に行うことといたしたいというふうに思っております。
  159. 白浜一良

    ○白浜一良君 ですから、適正な実施をお願い申し上げたいと思うわけでございます。  それから、今度は逆に、三条に、会計経理の適正を期するために特に必要があるときは速やかに監査を実施しなきゃならない、逆にいわゆる抜き打ち的にもできると、こういうふうに三条で規定されているわけでございますが、しかし、まあ何でも勝手にできるということにはないわけで、どういう場合を想定されているのか、ちょっとお話しいただきたいと思いますが。
  160. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 規則三条で想定されておりますことは、例えばここには、三条は警察会計経理の適正を期するため特に必要があるときということでありますが、ここで想定されますのは、例えば、会計監査実施計画に基づいて会計監査を実施しましたところ、監査体制や監査日数が不足していたことなどから十分に実効ある会計監査を実施するに至らなかった場合、あるいは、会計監査実施計画の作成後、特定の部署において不適正な会計経理が行われている蓋然性が極めて高いと認められた場合などが想定されております。
  161. 白浜一良

    ○白浜一良君 ちょっと分かりにくいな。要するに、実際やってみてそういうところが見付かったらやるということですか。何か余りちょっと明確じゃないと思いますが。
  162. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 最初の点は、十分な体制で取り組めなかったということ。第二点については、そういうような不適正な会計経理というものが特定の部署において行われている蓋然性が極めて高いと認められる、そういう、やってみてというんじゃなくて、そういういろんな情報があればやるということも可能性としては考えております。
  163. 白浜一良

    ○白浜一良君 蓋然性が高いというのは大変便利な言葉なんやけれども、何言うているか分からぬわけで、何が蓋然性かというのは。  だから、いろいろそういう市民の声もしっかり聞いてと、いろんな、全国でいろんなことが起こり得るわけで、いろんな報道もされる場合もあるし、そういう国民のそういう声を聞いてと、そういうふうに受け止めておきたいと思います。いいですか。
  164. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 今、委員指摘のようにこの監査というのは非常に大事でございますので、そういう指摘を踏まえまして監査を充実してまいりたいと思っております。
  165. 白浜一良

    ○白浜一良君 それから、訓令の第二条で、いわゆる会計監査責任者というのが警察庁長官と管区の警察局長ですか、そうなっていますね。それで、指名職員に会計監査を行わせると、こういうふうな規定になっているんですが、最もそういう秩序立った組織ですよね、警察というのは。そうでないとやっぱり任務が果たせないわけで、そういう意味では、実際監査を実施する職員というのはそれなりの立場がないと実際できないんじゃないかと。警視とか警視正とかいろんな役職ございますね、そういう一つの階級社会になっていますから、職制そのものが。だから、そういう意味で、そういう会計監査を行わせるといってもある一定のそういう、何というかな、立場の者でないとできないんじゃないかと。その辺はどのように配慮されているか。
  166. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 確かに委員指摘のとおりでございまして、訓令第二条に規定します指名職員というのは、実際には課長や課長相当職以上の幹部が指名されて会計監査現場に実際に赴いて部下職員の指揮監督に当たっているところであります。  また、捜査費の執行について現場で所属長等から聞き取り調査を実施するということが多々あるわけでありますが、その場合は警視あるいは警視相当職以上の者がその任に当たるということによって会計監査の実効を上げるように、今委員指摘のようなことを十分踏まえて努力してまいりたいと思います。
  167. 白浜一良

    ○白浜一良君 一定の基準というか考え方が今おっしゃられたわけで、それはそれできちっと適正に対応していただきたいと思います。  それからもう一つは、会計監査というのは監査するある程度専門的な知識が要るわけで、そういう面ではそれにふさわしい職員の皆さんが警察の中にもいらっしゃるか分かりませんが、何せ予算執行警察のいわゆる任務として執行されているわけでございますから、それは刑事犯にしたって民事犯にしたってそれなりのいわゆる捜査なりなんなり、任務に伴って行われているから、そういう捜査、任務の分かる人も監査に入らなければ分からぬのじゃないかと、単に監査の技術的な、何というかな、技術的なレベルがあるというだけでは。実際、その職制の人も加わらなければできないんじゃないかというふうに思うわけですが、この点はどうなっていますか。
  168. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) これは平成十六年度から新しい監査体制、手法ということを取り入れたわけでありますが、従前は確かに捜査官入っていなかったわけでありますが、平成十六年度からは、今委員指摘のように、捜査の遂行と不可分の関係に捜査費というのはございますので、新しく捜査官をこのチームに入れるということにして、現在は、非常に細かい知識が要ります会計の専門家というものと捜査官というのが連携をして、二つの目から見るようなことで会計監査のより一層の充実を図っております。
  169. 白浜一良

    ○白浜一良君 分かりました。  いずれにいたしましても、国民の皆さんの信頼がなければ警察行政というのは成り立たないわけでして、予算執行の、いわゆるあちこちに起こったわけでございますが、しっかり信頼をかち取るように適正な対応を今後ともしっかりやっていただきたいと、このことをお願いしておきたいと思います。  それから、監察医制度、これ私、平成十三年から何回か取り上げていまして、またやります。  三回本委員会でこの議論をしたんですが、委員会の中で明らかになったことは、戦後いわゆる監察医制度というのが取り入れられたんですが、一応全国で五都市、五大都市に制度としてはあるわけでございますが、実態面からいうと東京だけでして、いっているのは。大阪も、私大阪なんですけれども、大阪もそれなりにやりくりしておりますが、大変これは自治体ですから予算が乏しいという大変な中で大阪も行われている。あとの三都市はほとんど予算が少なくて実質的に機能している状態ではないという、一つこの監察医制度の実態が一つは明らかになったと。これはもう隠しようのない事実でございます。  それから、二つ目には、これはもう自治事務でございますので、いわゆるそういう実態であったってなかなか手を入れられないのが事実なんですけれども、しかし、この監察医というのは大変大事な役割でございまして、特に複雑な死因というのが最近たくさんございまして、どう死因を特定するかというのは非常に現在の犯罪の中でも大事なことなんですね。ですから、それを国の面からどう支援するかということも一つの大きなテーマだということが一つ私は確認されたと思うわけでございます。  三つ目は、いわゆる監察医のないところは全部地元医師会、都道府県の医師会に協力してもらって協力医がいわゆる検案をしていると、こういう実態なんですね。でも、なかなかいわゆる検案といいましても、医療解剖する場合もありますけれども、なかなか専門的な知識も要るわけで、法医学的なですね、だから大変苦労されていると。だから、もっとそういう全国の協力医の皆さんのレベルを上げるために、そういう適切な研修制度を国としてやるべきじゃないかと。  大体、方向性としてはそういうことが過去三回の議論の中で明確になったと私は思っておるわけでございまして、そういう面で特に昨年もこの問題取り上げたわけでございますが、現在、一つは、いわゆる監察医制度に関する国の資金面上の支援はどうなっているかということが一つ。それから、いわゆる協力医、協力していただいているお医者さんに対する研修体制の充実というのは現状どういうふうに進展しているかと、この二点、説明していただきたいと思います。
  170. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 先生御指摘のとおり、死体検案を実施する医師の資質の向上というのは大変重要なことであるというふうに考えております。  厚生労働省では、昨年度、検案実務に従事する機会の多い開業医師を対象にその質の向上を目的とした死体検案講習会を実施し、百一名の参加があったところでございます。また、このほかの取組、資金面での援助ということも含めまして取組としましては、大阪府の監察医事務所に現在、これまで紙媒体で保管されてきました検案、解剖の記録の過去十年分、計九千四百三十件をデータベース化する事業に対しまして補助しまして、今後の検案業務等がより的確に行われる環境を整備したところでございます。
  171. 白浜一良

    ○白浜一良君 協力医の研修の方。
  172. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) 研修の内容ということでございますが、三日間、国立医療科学院におきまして、失礼しました、国立保健医療科学院におきまして、死体検案講習会の開催によりまして死体検案の質の向上を目指す座学の研修及び、その後、地元の法医学教室での実習ということで実施させていただいております。
  173. 白浜一良

    ○白浜一良君 これ私が微力ながらやいやいやいやい言うてちょっと予算化されまして、監察医制度の場合は、これは全国的な制度の問題なんで一遍に全国展開するわけにはいかないんですけれども、その代わり、異状死の取扱いに関する研究会、これどうするか、これはもう全国的な課題やから、こういうものが設けられたということになっておりまして、これは後でどうなっているか聞きたいと思います。  もう一つは、今おっしゃったように、協力医の皆さんの研修、やっと昨年度から事業化されたと。それで、皆さん、これね、私も力ないということでございますが、今お話ございましたように、東京で三日間、百名、百八十六万円、予算。それで、やり始めたいうことはええことなんですけれども、年に一回全国から百人集めて、それで、いわゆるもう変死体も一杯あるわけでございます、検案事例も一杯あるわけでございますよ。そういう協力をしていただいているお医者さんに対するそういういわゆる研修制度としては、これね、まあ取っ掛かりとしてはいいですよ。しかし、これもっとやっぱり積極的に取り組んでいくべきじゃないかという指摘、これに対する意見と、先ほど言いましたいわゆる異状死の取扱いに関する研究会の今後のめどですね、この二つを御答弁ください。
  174. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) まず、講習会につきましてお答えいたします。  厚生労働省では、昨年度に引き続きまして今年度も死体検案講習会を実施する予定でございます。予算額としましては、先生の御指摘ございましたが、余り、昨年度とほぼ同額でございます。そして、百名の医師を対象としているところでございます。この死体検案講習会につきましては、昨年度から始めたというところもございますので、昨年度の実施状況の分析あるいは受講者の評価も踏まえまして、まずは内容の充実改善に努めてまいりたいというふうに考えております。  それからもう一つの、まず異状死につきましては、いろいろな研究を実施しておりまして、これにつきましては平成十五年から死体検案業務の質の確保等に関する研究ということを実施しております。今年度につきまして、予算の単年度主義でございますので毎年申請を受けてという形になっておりまして、今年度につきましては継続的な申請を受け付けているところでございます。  また、こうした研究成果なども含めまして、検察医制度における異状死等に係る運用等につきまして、諸外国の制度との比較も含めました検討を実施する、今年度実施する予定としているところでございます。  このような取組を通じまして、環境の変化に対応した、時代の要請に合った検察医制度の構築に取り組んでまいりたいというふうに考えております。
  175. 白浜一良

    ○白浜一良君 あなたも余り答えられないんで、今度、一遍大臣と議論しますけれども、この異状死の取扱いの方の研究会の結論はいつ出ますか。いつ出す。
  176. 岡島敦子

    政府参考人(岡島敦子君) これはいろいろな問題がございますので、今年度中に立ち上げたいというふうに考えておりますが、結論がいつ出るかにつきまして現時点ではまだ明確なものはございません。
  177. 白浜一良

    ○白浜一良君 今日はせっかく来ていただいたのであなたを責めても意味がないわけで、これは私がテーマとして何回も議論していますので、また厚生労働大臣と引き続きこれは議論をしていきたいと。しっかり取り組んでいただきたいと、このことだけを要望しておきます。  関連して、これ警察医の制度も私これ何回も取り上げているんですが、大体、協力医というのは警察医の方も多いので、警察医の方はそれだけじゃなしに、もう留置場とかにいる方の病気とか、もういろいろなことにもうしょっちゅう呼び出されて対応されているわけでございますが、そういう方々に対しても、いろんなそういう法医学上の研修とか、いろいろされてはどうかということは私もこれ一貫して言うてまいりました。  ところが、これも自治事務なので都道府県の取組によるわけでございますが、これ一々言うてもらう必要ないんですけれども、これは本当にこの予算を取っているところ少ないですね、これ、警察医に対して。ちなみに言いますと、あの大きな愛知県で年間二万円ですよ、皆さん、これ。警察医何人いらっしゃるか分かりますか。年間二万円。全然予算化されていない都道府県も一杯ございます。  これが現状なので、刑事局長でも官房長でもよろしゅうございますが、これは自治、地方自治の問題なんですけれども、どのように警察庁としてこの啓蒙をされていくのか。やっぱり積極的にやらないと、なかなかそういう、やっぱりそれぞれ警察医の方は協力していただいているんですから対応していただきたいと思いますが、いかがですか。
  178. 岡田薫

    政府参考人(岡田薫君) 先生、この問題については大変造詣が深くていらっしゃって、私どもがうかつなお答えをするとおしかりを受けるかもしれませんけれども、警察では、先生御指摘のようにお医者さんには大変、殺人事件とかいろんな、命にもかかわりますし、あるいはそのほかの事件にもかかわるんですが、お医者さんとしては、先ほどもおっしゃっていらっしゃった監察医の先生の問題と、それから、監察医制度、限定的なものですから、そのほかの地域の一般のお医者さん、留置場も含めていろんなお世話になっております。それともう一つ、法医学の先生も、お医者さんでもあり大学の先生などで、解剖といった段階では大変お世話になるわけでございます。  そうした先生方にいろいろ御協力をいただきながら、私どもの仕事をそれなりに全うしているわけでございますけれども、検視といったものを行う場合には、特に警察医の先生方との連携が大事だというふうに思っております。そうしたことから、先生に昨年御質問いただいた後、昨年の六月でございますが、六月には警察医会との連絡、連携に関する各都道府県の取組状況全国に照会させていただきました。県によっていろんなばらつきがございますというようなことも含めてですね。  そして、十二月に全国刑事調査会議というのを私ども毎年開いておりますけれども、その席上で警察医会との連絡協議会の内容充実について指示もいたしております。そうしたことを踏まえて、大学の法医学の先生をお招きしたり、あるいは刑事調査官が事例を発表したり、あるいは幾つかの県では、具体的なこととしては、大災害を想定した多数死体検視についての訓練を実施したりした県もございました。  予算等につきましては、会場借り上げ等の経費などの、先ほどおっしゃっていただきまして、二万円とか、あるいはところによっては数十万円というところもございますが、そういった、今のところは残念ながら少ない規模でございます。  ただ、そうした予算面の在り方についてはいろいろな立て方があるんだろうと思いますけれども、私ども警察庁としては、都道府県に対してはそうした先ほど申し上げた監察医の先生との連携ですとか、連携というか、そちら側からいろんな事例を教えていただくこともあるだろうし、あるいは、法医学の先生からの研修の在り方ももっと充実させるような方法も考えられるんじゃないかと、そういったことも含めて検討しつつ、今後とも警察医会との連絡協議会の内容の充実について都道府県警察を指導してまいりたいと思っております。よろしくお願いいたします。
  179. 白浜一良

    ○白浜一良君 もっと議論したいんですが、しっかりやってください。  あのね、もう十五年度は分かっているんですけれどもね、実際この警察医会に都道府県で予算を組んでいるのは十五県だけです。その中で、報告いただいた中でね。ちなみに参考に言うておきますわ。最低が愛知県の二万円で、最高が長崎県の百十八万。これだけばらつきがあるということで、そういう都道府県をしっかり啓蒙していただきたいと思います。  今日は新しい問題で、もう一点。DNA型鑑定について御質問をしたいと思います。  これは平成四年にDNA型鑑定の運用に関する指針というのを策定されて、いわゆる実施を平成四年からされているというふうに、あっ、もう厚生省、結構でございます。ありがとうございました。それから、昨年の十二月にこれをデータベース化しようと、こういう取組をされているというふうに伺いました。  ちょっと基本的なことを確認しておきます。被疑者からDNAサンプルの採取、強制処分あるいは任意処分として、採取は強制処分あるいは任意処分として行っていらっしゃるのかどうか、その根拠となる条文は何か。犯罪現場の遺留品からDNA型鑑定を行える根拠となる条文、またそれぞれの実施件数、さらにDNA型鑑定をどのように保存しているのか、これそれぞれ簡潔にお答えいただきたいと思います。
  180. 岡田薫

    政府参考人(岡田薫君) まず、サンプルの採取でございますが、血液型あるいはDNA型鑑定を行うため、被疑者から血液等の資料を採取する場合には、鑑定処分許可状及び身体検査令状の発付を受けて行う場合と、口腔内粘膜等の任意提出を受けて、これを領置して検査するという方法がございます。  鑑定が必要な処分につきましての条文は刑事訴訟法二百二十五条、身体の検査についての条文は同じく二百十八条、任意提出領置については二百二十一条がございます。  それから次に、犯罪現場に遺留された資料をDNA型鑑定できる根拠条文は何かということでございますが、これにつきまして被疑者その他の者が遺留したものの領置についての規定は刑事訴訟法第百二十一条、鑑定嘱託に関する規定といたしましては二百二十三条がございます。  それから、被疑者資料及び遺留資料のこれまでの鑑定件数でございますが、これにつきましてはちょっと累計では、事件数で取ってございますので事件数で申し上げますけれども、平成元年から平成十六年までの間にDNA型鑑定を実施した事件数は、現在、合計で約七千七百件でございます。これは、元年からと申し上げましたのは、科警研で最初に始めた、科警研の数字を含めたものでございます。  それから、DNA型鑑定の資料の保存のことかと存じますが、鑑定をいたしまして資料の取扱いについては、犯罪現場に遺留された資料につきましては、再鑑定に備えて鑑定終了後もその一部を保存することがございます。一方、被疑者等からの採取した資料につきましては、鑑定後に残余が生じた場合には鑑定処分許可状等により採取した資料については廃棄をする。任意提出を受けた資料については、廃棄の処分をゆだねられている場合には廃棄する。原則としては、通常ないんですけれども、返してくださいというようなことがありますと、処分権限はそちらにございますので、観念上、そういうことはあるということでございます。  それから、再採取が困難な資料については、再鑑定を考慮し、適切に措置することを都道府県警察に対して指導しているところでございます。  以上でございます。
  181. 白浜一良

    ○白浜一良君 もう一点、ちょっと事実関係をお聞きしたいと思いますが、データベース化、昨年の十二月からされておるということでございますが、DNA型鑑定というのはそれぞれ都道府県警察でされているわけですね。そのデータベース化はどういう形でそれをされているのか、伺いたいと思います。
  182. 岡田薫

    政府参考人(岡田薫君) それぞれの県でDNA型鑑定を行いました場合に、まず今行っているのは現場に残された資料についてのデータベース化なんですね。御案内のとおり、被疑者等から採取したものについて八月以降順次していきたいということで進めていますけれども、各都道府県から電子データといいますかフロッピーといいますか、そういうやつでいただいて、それを警察署等、遺留現場、いろんなのございますから、プログラムを組んで、新しいものが来るとそれと同じ番号の型のやつがあるかどうかというのを分かりますと、A県とB県で全く関係ないと思われた事件が実は犯人が同じではないかということが分かったりするわけですね。そういう形で入力をして、それを、その結果をまた各県に還元をすると、そういうことでございます。
  183. 白浜一良

    ○白浜一良君 私、事実関係をこれ、ちょっと何点か確認したのはなぜか言いますと、当然こういうDNA型鑑定を取り入れられたということは、かつての指紋だけじゃなしに、こういうことが大変犯罪の再犯防止また捜査の早期解決に役立つという認識をお持ちだからこれ取り入れたんでしょう。その点はどうなんですか。
  184. 岡田薫

    政府参考人(岡田薫君) その点が私どもにとって最も大事な部分であろうかと思います。  被疑者あるいは遺留資料、DNA型情報がデータベース化されますと、その二つのデータベースを相互に活用して、ただ、これはもちろん条件としてそのデータベースが多くならないとなかなか大きな効果が出てこないんですけれども、それが大きくなって、被疑者のデータがあらかじめ入っていますれば、事件が起きたときに同じ型の者ということですぐ分かりますし、そういうことからほかの資料などと総合すると、特に前歴者でありますとか、あるいは連続的犯行を犯す者、特に強姦ですとか性犯罪にかかわるような者については、体液とかそういったものが残されることが多いわけでございますので、そういう事件について大変大きな威力を発揮することになるだろうと思いますし、そうなると、そのことによって犯罪を犯そうとする者に対するいろんな抑止力というのも利いてくるんであろうと、このように思っております。
  185. 白浜一良

    ○白浜一良君 あのね、今局長大変大事なことをおっしゃった。このデータが多くないと役立たないとおっしゃった。私、だから、そこをちょっと確認したいんですよ。確かに制度は導入されたと。今聞きますと、刑事訴訟法二百何条やったですかね、二百二十五条の第一項に基づいて、一応建前は裁判所の許可を取ったものだけしかこれ採取してないですよ、限定されている。だから、このDNA型鑑定をする法的根拠はないんですが、限定されているから今はやっていると、こういう建前になっているんですね。  しかし、そういう限定してやっていたら、再犯防止とか、昔やったらよくありましたやないか、もうね、犯罪を犯す場合、指紋も全部消していくと、指紋残したらあかんぞと。指紋がデータになっているからです。ところが、このDNA型鑑定はデータさえ、局長がおっしゃったようにたくさん取っておったら、髪の毛一本落ちても犯人は特定される。そういうことが分かったら、それは再犯防止に役に立つし、捜査の早期解決にも役立つということが当然なんですね。ですから、私は、恐る恐る始めるんじゃなしに、こういう役に立つから積極的に推進すべきじゃないかと、このように思うわけですが、いかがですか。
  186. 岡田薫

    政府参考人(岡田薫君) 裁判官の令状をいただいて検査する場合もございますが、先ほど申し上げたように、任提領置の手続で鑑定をすることもございます。  その点は確認的に申し上げておきますが、おっしゃるとおり、イギリス、アメリカ等では数百万の単位でもう既にデータベースがあるわけでございますし、私どもとしては、できるだけ多く速やかに資料を蓄積してより効果的なものにしていきたいと思っておりますが、そのためには、制度の問題もさることながら、各都道府県警察の鑑定体制の充実ということがまず何よりも大事であろうと思っております。  そういったことも含めて、各都道府県警の鑑定体制を強化いたしますとともに、そしてその結果、より多くの捜査のための鑑定が行われるようになり蓄積が増えていく、蓄積が増えていけば、あっ、こういうふうに大きな結果が、効果が生じるんだなと。他方で、いろいろ人権侵害等おっしゃる方がいますが、そういったことは起きてないじゃないかという実績を示していくことによって、更に加速させてより充実したデータベースを作ってまいりたいと、このように思っております。
  187. 白浜一良

    ○白浜一良君 やっと大臣来られたので、最後の質問しますわ。  今、議論聞いていらっしゃらなかったのでよう分からぬと思いますが、DNA型鑑定が大事だという話をしたわけでございます。今は何というか、恐る恐るというんじゃないんですが、国民の理解がなければ、つまり個人情報の保護とかそういう観点もございますから、されているんで、まあ、それはそれでいいんですけれどもね。  ただ、そういう犯罪の再犯という面で見れば、昨日、ニュース見てましたら、犯罪の半分がまた再犯しているという、そういうデータもあるわけで、そういう再犯防止するということ、それから犯罪を抑止すると。もし捜査犯人捜査する場合も早期、そういう捜査に役立つということもあるわけで、そのためにはDNA型の情報をベースとして大量にやっぱりベース化することが大事なんですね。そのために、今局長言いましたように、都道府県がそういう体制をまずつくらなければ、そこがまず情報化していくわけですから、ですから、これはまあ総務省の管轄になるんですか、総務大臣とも私はこれ話し合っていただきたいと思うんですよ。やっぱり全体的な犯罪の抑止という面で大事だということで都道府県もしっかり取り組んでほしいと、こういう要望を一つしてほしいと、総務大臣に。  ということと、もう一つは、やっぱりそれだけ広範にやろうと思ったら、国民の皆さんに安心してもらうために、そういうDNA型鑑定が一般化するための法的根拠ですね、そういうやっぱり法律をやっぱりきちっと作るということが大事だと思うんですね。これ、すぐ答えられないかも分かりませんけれども、私は、この二つを是非とも大臣に御尽力いただきたいと。非常に大事な角度なんです、このDNA型鑑定というのは。欧米では一般化しているわけでございまして、この二つに関しまして最後答弁をいただいて、質問を終わりたいと思います。
  188. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 衆議院の本会議が長引きまして到着が遅れましたことをおわびを申し上げます。  今、DNAについてのお尋ねがございました。  本件につきましては国家公安委員会でも議論をしたところでございますが、その際もやはり、DNA情報は遺伝子にかかわる問題も含むわけでございまして、そうしたデータを蓄積するに当たりましても、しっかりとしたデータの管理システムというものをしっかりしなければいけないということはもとよりでございますし、それから、できる限りデータを積み重ねることによりまして、犯罪の抑止と捜査に活用できるようなデータを構築しなければいけないと、こういうふうに思っているわけでございます。  そういう意味で、これは警察庁全体としての取組が必要であろうかなと。これはもちろん都道府県警察も含めてでございますが、そうした取組が必要であろうかというふうに思います。  最後の点につきましては、法制化の点につきましては、国家公安委員会でも、そうした個人のDNA情報等につきましては慎重な取組が必要であるがゆえに法制化の必要性についても国家公安委員会でも多少の議論をしたところでございますが、これは全体の状況を推移を見つつ、データの蓄積状況あるいは国民のこうした問題についての御理解等々を考えながら、立法府も含めまして御議論をいただければ幸いだと考えております。
  189. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  本日、村田国家公安委員長においでをいただきまして、午前中から議論されております警察捜査費について私も何点か質問していきたいと思っております。  午前中の議論では、愛媛県警の巡査部長の告発に基づいて、個別各論でその事例について果たしてそれがどれだけ不正なのかと、こういったようなことが議論されたようですが、私は、この捜査費というものの予算執行在り方から、総論としてこの捜査費なるものの性格というものを浮かび上がらせていきたいと、そう考えております。  さて、この捜査費というものは様々な特徴があると私は考えておるんですが、警察庁が出しております捜査経理の手引きという冊子に、まず捜査費の性格としてこういうことが述べられています。捜査費は、経費の性質上、特に緊急を要すと、緊急性があること、又は秘密を要するため、秘密を要すると。そこで、本来、小切手等で行われるこの会計が現金によって行われている、これ非常に特殊な性質であるということが述べられているわけですね。  私は、更にこれに加えて言うと、予想が付きづらい、要は、幾らお金が要るのか非常に予想しづらい名目である捜査費だと私は思っているわけですね。大変議論になりました捜査協力費とか、そのほか、情報提供者への謝礼金とか、こういったものもいつ発生しというのは大変予想しづらいわけでございます。  そのほか、この捜査費なるもの、様々な例示をこの手引きを見ますと書いてはおるんですけれども、例えば張り込みの早朝時のパンやジュース代、こんなのもいつ発生するかはなかなか予想しづらいですね。  そのほか、驚いたのは、パチンコ代とかスロットマシーン代、これ尾行においてパチンコ屋へ入ると、税金を使ってパチンコを警察官はできると。これは業務上必要とあらば仕方ないんですけれども、これ留意事項にもあるんですが、捜査活動の一環としての遊技であることから、過度の支出とならないように留意すると書いてあるんですね。それはそうですよ。国民の税金で、負けたからといって熱くなってすってもらっちゃ困るわけですよ。これ極端な例を挙げましたけれども、これ、ばくちのお金ですから、極端に言いますと、やっぱり非常に予想しづらいお金なんですよ。  ここで私、官房長にお聞きしたいんですけれども、こういう予想しづらいお金を予算額として計上し、加えて、この捜査費というのは各都道府県警警察庁に配分するんですね。その後、使い切ると執行額というのは出ますけれども、予算計上してその後、各都道府県に配分する。これ、どういうシステムで、どういう仕組みでこの予想しづらいお金を配分するのか、この点についてお聞かせください。
  190. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) お答えいたします。  警察庁から各都道府県警察に対し捜査費を配賦する際には、これはもう、各都道府県警察におきますこれまでの、あるいは現在の治安情勢というものと、それから過去、とりわけ前年度と当該年度の執行状況とを総合的に勘案して逐次配賦しているということでございまして、その県警治安情勢の中でこれまでどれぐらいの捜査費が執行されてきたと、そういうものをベースにしながら、その時々の新しい要素を加味しながらということでございます。
  191. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと抽象的だったんですけれども、具体的に私お聞きしたところ、まず各警察署署長が一月に一度、うちはこれだけ必要だと、これを例えば県警本部長に上げると。県警本部長とか、警察庁だったら会計課長でしょうか、ここがまた四半期ごとにこれだけ必要だということで申請して、そのやり取りによって一年間、結果的には幾ら幾ら配分するという、こういう仕組みだと聞いているんです。非常に合理的だと思いますよ。必要な分だけ手を挙げてそれを逐次払っていくと。ただ、やはりこの繰り返しというのは大変額を決定しづらいものだと私は思うんですよ。  ここで一点聞きたいんですけれども、先ほど申し上げた例えば警察庁で年何十億という予算を取ります。結果的には一年間配分し終わります。この配分額と予算額というのは、今の手続上からいったら一致するということは考えづらいですよね。
  192. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 予算額と配分額という……
  193. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 だから一致するということは考えづらいですよね。
  194. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 執行額ではなくて……
  195. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 執行額ではなくて、予算額と配分額。
  196. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) ですから、予算平成十七年度予算を何十億と取りますが、それについて、結局、配賦はその四半期ごとに各県のベースになったものと、それから要請と先ほど御指摘が……
  197. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ですから、一致することは考えづらいですよね、予算と今言ったやり取りで配分するわけですから。
  198. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 執行額。
  199. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 執行額じゃない、配分額で。
  200. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) いや、配分額につきましては、結局、最終的には一致することになるんじゃないでしょうか。
  201. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 おかしいですよ。十六年は予算額五十五億で、各都道府県警警察庁に配った額は三十三億ですよ。  大臣、これ勘違いしないでください。配分額と結果的に使い切った執行額というのはその後また更に二十六億と落ちるんですよ。そうでしょう。先ほど私が申し上げたようなやり取りで最終的に配分した額が決まるわけですから、予算額と配分額が一致することはまずあり得ませんねという、このことについてお答えください。
  202. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 失礼いたしました。  配分額というのは、結局、結論的に予算執行額ということになるわけであります。
  203. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 違いますよ。
  204. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) いや……
  205. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ちょっと待ってくださいね。
  206. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) いや、配分額というのは、予算額に対して配分額は、ちょっと私、ちょっと間違えましたけれども、配分額は一致しません。それで……
  207. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 予算額と配分額は一致しませんね。
  208. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 一致しない。一致しない上で、それで配分をしまして、その後、現実の執行額はまた乖離があるということです。済みません。
  209. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっと長く手間取りましたけれども、今お聞きして、多分皆さんも予算額と配分額一致しないということは御理解いただけたと思うんですが、ですけれども官房長平成十一年と十年、これ過去五年分しか調べられないということでそれしか聞いていないですけれども、十年と十一年は予算額と配分額、一円たりとも違っていないですよ。一致しているんですよ。私ずっと指摘してきましたけれども、今日も大臣答弁された神奈川県警不祥事が出た平成十二年以降とそれ以前とでは、これ非常に、この後つまびらかにしますけれども、予算額、配分額、執行額、非常にかなり顕著な特徴が表れてきているんです。  もう一度お聞きしますよ。平成十年と十一年は、先ほど一致しないとおっしゃった官房長、これ予算額と配分額がぴったり一致しているんですよ。これ何でこんなことがあり得るんですか。
  210. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 確かに、今手元にあります資料にありますと、予算額と配賦額の、詳細なちょっとデータはありませんけれども、ほぼ一致するということでありますが、その理由につきましては、恐らく捜査活動というものに必要な経費として十分使われたということではないかと思います。
  211. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 これは後で大臣に感想を求めますけれども、私幾つかこういった額についてはこの後議論しますけれども、結局、私の問題提起というのは、元々、捜査費、捜査協力費なるものというのはほとんど使われたことがなかったというあるジャーナリストの指摘すらあるんですよ。元々フィクション、虚構なものであったがゆえに、恣意的に予算だとか配分だとかいうのができたんじゃないかという、こういう疑念について、私この後、質問をさせていただきますよ。  いいですか、今まで申し上げたとおり、配分額というのは四半期ごとのやり取りによって結果的に幾らという額なんですよ。それを、配分額がその年度当初の予算額と一致するなんてことは手続上絶対あり得ないことが、平成十一年以前、多分私、これさかのぼって全部同じことだと思うんですけれども、一致しているんですよね。もうこれは皆さん考えられないことということをまず一点指摘しておきます。  それで、関連しまして、これ実は昨年も私質問したんですけれども、じゃ、次の執行額ですよ、執行額。いざ配分しましたと、結局、使い切るか使い切らないか、これも私は乖離して当然だと思っておるんですが、これも私指摘しました。平成十一年、先ほど申し上げた不祥事の出る前年までは執行率というのは九九%軒並み超えているわけですね。  じゃ、官房長官房長、一点お聞きしますけれども、今からもう十二年前になりますが、じゃ、平成五年度に至っては予算額が七十九億五千七百何十万円、決算額も七十九億五千七百何十万円。その差がわずか二十八万円なんですよ。これ、もう私から言わせれば神業としか考えられないんですね。だってそうです、そうでしょう、先ほども申し上げた捜査協力費といった不確定なもの、ともすればパチンコ代まで含まれている、こういったものがこの九九・九九%の予算執行率を達成できる、こんなことは考えられないじゃありませんか。なぜこういったことが起こり得たのか、平成十二年以前は起こり得たのか、官房長、お答えください。
  212. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 今、ちょっと平成五年の数字手元にありませんけれども、今御指摘の数字についてということでありますが、後ほど、なぜ平成十一年、十二年といいますか、ぐらいからの執行額が減ったという理由ともかかわると思いますけれども、やはり捜査活動にそれだけ必要であったというふうに私どもも考えておりますし、逆に言うと、平成十二年以降については捜査の環境とかいろんなことがございまして、後ほど御説明、御時間あれば御説明したいと思いますが、そういうことによって捜査活動に使う捜査費というものが余ったということと我々考えております。
  213. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 私は、必要であったかどうかということを聞いているんじゃないんですよ。手続上あり得ないということを今つまびらかにしているわけでしょう。  だって、各警察署から逐一、これ一月ごとに上がって、県警本部から四半期ごとに上がってというやり取りをすると、これ、やっぱり予期をせぬお金だからですよ。橋一つ架けるといえば、これはもう一年前に幾らということで入札して、じゃそれを付ければいいわけですよ。そういうものではないという性質上これだけ複雑な手続をやる、だからこそ予算額も配分額も乖離があるし、当然配分額と執行額も乖離があるということを最初にお答えになったのは、官房長、あなたですよ。  それが、先ほど申し上げたとおり、予算額、配分額はイコール、そして執行額に至っては九九・九九%、こんなことが手続上あるとは考えられないと、この点についてきっちりとお答えください。
  214. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 私は、先ほど申したように、細かいところのやり取りといいますか、そういうことで確かに委員委員おっしゃるようにいろんなやり取りがあったと思いますが、トータルに見て、結果的には十分な捜査、十分な捜査活動をするために多くの捜査費が要って、むしろ足らないぐらいであったんじゃないかと、こういうことで結果的にそうなったんじゃないかというふうに思います。
  215. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 あのね、官房長、何度も言いますけれども、十分な捜査費がない、だから欲しくて欲しくてしようがないと、自然と執行率が高くなる、そこまでは分かるんだけれども、科学統計的に考えて、数学的に考えても、この数字が一致するということはあり得ないって言っているんですよ。  いいですか、さっき言った予算額と配分額が一緒ということは、各警察署のその必要たらんとするものをすべて四半期、四回やり取りすると配り終えるということですよ、一銭残らず。こんなことが手続上あり得ないじゃありませんか。いかがですか。
  216. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 先ほど申したとおりの御答弁でありますが、いずれにしても、細かいやり取りのところでどうなっているか私も承知しませんが、結果的にそういうことになるということは考えられるというふうに思います。
  217. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ここはいったんここでやめます。ただ、考えられませんよ、どう考えてもね。  じゃ、また官房長の言葉をかりて、十分な捜査費としてなかったから、必要だったからと。これわずか十年前とかですよ。もっと言うと、九九・何%というのはわずか五年前の話ですね。  さあ、じゃ、今先ほど申し上げた予算額一体幾らになっているかというと、十二年の九十億に対して、十七年、四十三億ですよ。五割以上下がっている。そして、先ほど申し上げた配分する、いざ配分しますと、必要だからといって配分しましたというこの額に至っては、これ十六年が三十三億ですね。十二年の八十八億に比べれば、これももう三分の一近く配分額が減っている。じゃ、現実に使ったお金は、これは物すごいですよ。わずか二十六億だ、十六年度。これは四年前の八十四億とかに比べると三分の一以下ですからね、わずか三、四年で。  これ後で村田大臣は大蔵官僚出身ですからお聞きしたいんですけれどもね、こんなに、元々必要だったお金がどんどん要らなくなってくる。要ると言っておきながらですよ、だって、十六年は五十五億要ると予算請求しておきながら、予算付けておきながら、配分で三十三億、二十億も減って、現実に使ったものは二十六億で、執行率で四七・五%ですよ。今まで九九・九九%あったものがですよ、平成十一年で九九・六%あったものが、わずか五年で予算執行率が四七・五%。  これを見ると、本当に私、捜査に支障を来していないのか不思議でしようがないんですよ。来してないとすれば、逆に今まで要らなかったんじゃないかという、これもう王手飛車取りみたいな話でね、官房長。  さっき必要だったという表現、だから当時は使ったと。じゃ、必要何でなくなったんですか。捜査費が必要ないんですか。今時点で捜査に支障は来していないんですか。これだけ予算額、配分額、執行率、これだけ下がっているんですよ。この点についてお聞かせください。
  218. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 先ほど平成十六年につきまして予算額が五十五億で配分が三十三億というのは、これは先刻御承知の、先生言うとおりでありますが、四半期ごとにその情勢を見て配っていくわけですから、恐らく当初、年初当初から執行額が減っていた。ここ数年我々も懸念しておるわけです、大きく。執行額が減ということが非常に顕著に表れている。  その理由というものは様々な要因が考えられるわけでありますけれども、我々としても、実際どうなんだということを捜査費を執行する部門からいろいろ聞いてみた。やはりいろんな要因というのは絡まっているわけですが、その結果、次の要因がやはり挙げられるということであります。  基本的なベースとしては、御案内のとおり、平成十二年以降刑法犯の認知件数がもう急増して、一気に急増しておるわけでありますし、それから、これは警察改革の、踏まえまして、相談件数、もうこれは御案内ですが、けれども、警察マターではないのが三割ぐらいあって、これの相談に対する対応というのは現場では物すごい業務の負担になって、負担といいますか、それはきちっとやらなきゃいけないんですが、そういうことがある。  認知件数が増えている。なぜそれが増えたからということじゃなくて、発生、犯罪が発生したら直ちに初動捜査を展開しなきゃいけない。現実に今警察署で起きていることは、継続的な調査捜査というものは十分できない。初動捜査に追われて、全部駆り出される。継続捜査をしたり、自分の畑を耕したりしていろんな情報の情報源等も開拓をするという捜査員が、そういう時間がない。そういうことが、これはもう確実にオールジャパンで現象として現れている。  それから、情報の収集にたけましたベテラン捜査員というのが大量退職されている。現実に今大量退職時代ということを、このスイッチをするといいますか、新しい人がすぐそんな情報網を構築なかなかできない。そういう基本的なベースがありまして、その上で警察のいろんな活動の変化というのがあるわけであります。  一つは、情報収集の在り方というのが多様化してきたと。
  219. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 短くお願いします、時間ないんで。
  220. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 済みません。  これまでなかなか取れなかったんですが、インターネットというものが発達して、インターネットですぐ取れるようになったとか、あるいは情報公開が進んで、別に普通、普通といいますか、昔取れなかったものがそういう情報収集で取れるとか、そういうような情報収集の多様化とか、あるいは、二つ目は、今までは個々の捜査員の情報収集に頼って捜査を……
  221. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 もう二つでやめてくださいよ。
  222. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 済みません。  ですが、そういうものに頼らなくて、むしろ情報分析に基づいて戦略的、組織的な捜査活動、こういうものが推進されて効を発していると。  もう一つは、ちょっとこれ残念なんですが……
  223. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 官房長、端的にしてください、官房長
  224. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) はい。  やはり平成十五年以降は、これは非常に遺憾なことですが、一連の不適正経理を、事案をめぐって、やはり捜査協力者が、何といいますか、萎縮するといいますか、捜査員との接触や捜査費の受領を拒否する事案、こういうようなことが重なって、我々としては委員指摘のように非常に懸念をしているんですが、何とかそれをやはりもっと捜査活動に使えるように努力してまいりたい。
  225. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 官房長、今の説明聞いて分かる人いませんよ。だって、認知件数が増えてきたということは治安が悪化してきているわけなんですから、本来だったら予算をきっちり使って、じゃ、捜査なら捜査費で使えばいいじゃありませんか。それが、ベテラン職員がいなくなったと。  これ私、この前も指摘したんですけれども、ベテラン職員ほど捜査費にお金なんか使わなくても情報収集できるんじゃないんですか。若手の新米がお金使うんならともかく、ベテランというのは腕に頼っているんだから。だからそういう、正に虚構ですよ。本当にフィクションの物語をこの場で言ってもらっても、これだけわずか五年で減っている。認知件数云々と言っていましたけれども、例えば平成十二年から十三年に執行額は三割も減っているわけですね。じゃ、翻って、認知件数が三割も上がっているかというと、一年間で三割も上がっているわけはないわけですよ。  こんな、本来は、役所というところは予算をきっちりと確保して、そして確保した限りは使い切るという、こういう習性があるわけですよ。それが使い切れてないということは、これは本当に捜査費というものは私は不思議な性格なお金だと思っていますよ。余り必要とされてない、幾らでも減らすことを可と、是とできるという特殊な私、予算だと思いますよ。  そこで、これはもうあえて聞きませんけれども、先ほど、じゃ、本当に九九%使い切る云々とありましたけれども、これ、例えば平成十六年でいうと、さっき申し上げた三十三億と二十六億で、配分額と執行額で七億の乖離があるんですね。七億使い残しているんですよ。ただ、不思議なことに、平成十六年度の最後の第四・四半期では三億円の予算請求、じゃない、要するに配分の請求をしているんですね、三億円の配分請求を。三億円の配分請求を最後に三か月にしておきながら、トータル七億残ると。これほどこのお金というのは使い切ることが大変なお金なんですよ、手続上。これはもう指摘にとどめておきますよ。このやり方で九九・九九%の執行率なんてことはあり得ないわけですよ。これがもうとにかく捜査費たるものの私は本当に顕著な特徴だと思います。  それで、加えて言うと、これ、各都道府県で幾ら幾ら配分を見て、その配分額見ただけで、私も多いか少ないかはよく分かりませんでした。そこで、人口比で、まあ乱暴なんですけれども、人口比で見るところ、一番多いのは東京ですね、警視庁。これは数字だけ、一人当たり五十三・五円、十六年度で配分されています。驚いたことに、東京は除いて一番多いところは富山県、これは四十二・一円。一番少ないところで三重県、十一・六円、これ四倍もの差があるんですね、国費、捜査費の配分額で。  私、これも非常に特殊だと思うことと、もう一つ、これを見ていて面白いことに気付いたんですけれども、平成十二年度からは軒並み各都道府県の配分額下がっています。四十七都道府県中、まず十二年から十三年にかけて四十二都道府県が減額されています。次、十三年から十四年も減額されているんですが、たった一県だけ三年間連続でこの配分額が上がっている県がある、これが村田大臣愛媛県なんですね。この理由は私には分からない。(発言する者あり)あっ、そうか、岡山、ごめんなさい。愛媛県、愛媛県なんです。済みません、愛媛県、愛媛県です。  で、これはちょっと理由は分からないんですけれども、平成十六年度の執行額が前年比に比べてわずか三七%、これ四十七都道府県で最も低いんですよ。これは、平成十六年度の最後の、最後の最後、年明けに巡査部長の告発があったという、私、これと関係があるんじゃないかと思っているんですが、とにかく前年比の執行額に比べて三分の一まで愛媛県は落ちているんですよ。  私は何が申し上げたいかというと、本来、正々堂々と捜査費って、これ業務上のお金ですから使うものでしょう。それは、なぜか若干不正が出ると自粛するような、そういう特徴があるのかと、そういう特色のあるお金なのかと考えると、一体捜査費って何なのと。そんなに正々堂々ともらえないお金なのかという、そういう気がしてならないんですよ。だって、愛媛県、三年連続で唯一上昇していた県が、いきなり巡査部長の告発あった年に断トツでもう、四十七都道府県の中でもうずば抜けて予算執行額が前年から割れるわけですから。  だから、これ、このやり取りを聞いて、済みません、私、もうこのことで終わっちゃいますけれども、村田大臣、まあ大蔵官僚としてもいろんな予算というものを見てきていて、どうですか、この不自然な、まずこれについて不自然さを感じませんか。加えて、まあ、もう不自然さを感じないかだけ、ちょっとこれだけもうお聞かせください。
  226. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 黒岩委員がおっしゃることは、大方において、トータルでいえば御指摘されていることは正しいことが多いと私は思います。  ただ、私も役人やっておりまして、広報室長なんかやっていますと、いろんな、何といいますか、交際費が要るんですね。タクシー乗ったり、飯食ったり、いろんなことがありますよ。ところが、役所には交際費がございませんから、全部自分で負担するんです、何十万円も。だけれども、そういうことをやっていると問題出てくるんですね。みんなやっているんです、役人の世界は。自分で負担しているんです、交際費ないから。だけれども、私は、アメリカなんかと比べまして、この世界に入ってインテリジェンスが大事だとかいろんなことが言われますけれども、やっぱり今正に先生が、黒岩先生が御指摘なさったように、秘密性があるし、非常に急に出てくるというですね、それからもう一つは何でしたっけ、緊急性、それから秘密性、それから予想し難いという三つおっしゃったような。だからこそ、みんな悩むんですね。  私は、政治家としてこの立場にいて、警察現場に支障があると、支障が出ていると僕は思いますよ。多くの警察官が本当は要るのに、忙しくて、そんなもう昔みたいに割合緩く請求できた時代と比べて、やはり領収書を出せとか、しっかり報告書を書けといったら、まあとにかくタクシー代とか何かの三百円とか六百円とか千円というお金だったら自分で負担しようかという警察官物すごく私は多いと思いますね。だから、今度の調査を通じましても、私は、一番多いケースは、本来の調査に、本来の予算執行の目的にかなっているんだけれども証拠がないと、だから、要するに不適正な執行だといって、何というか、弁償せざるを得なかったケースが恐らく一番多いんじゃないかなという、私は思います。  まあしかし、そういう中で、やっぱり一番出てきているのは、そんなことを言っているんだったらというので、皆が要求しない面もあるし、それから割合大らかに出ていたのが締まってくるという要素もあるし、だから、そういう意味でいろんな要素が詰まった今の執行額の減少という結果に表れていると私は思いますので、黒岩先生の御指摘は、総じて言えば正しいところがあるかなと私は思うわけでございます。
  227. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 もう時間なので、済みません、終わります。
  228. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。  今日は、警察不正経理を軸とした審査ということでありますので、私も警察のいわゆる不正経理問題一本でやらさせていただきたいというふうに思っています。  現在、十九の道府県でいわゆる不正経理の疑惑が具体的に私は指摘されていると、こういうふうに思っております。その十九の中で五つのところで、疑惑ではなくて現実に不適正支出、不正支出があったということで、実態の全部かどうか分かりませんが、かなりの部分が出て、そして一定の金額が県に返されたと、こういうことでございまして、これだけの数、そして警察の特殊性からいきますと、これは単なる各県警の問題ではなくて、警察庁も絡んだ、やっぱり全国的な流れというふうに見るのが私は世の中の普通の感覚ではないか、こういうふうに思っております。  今日は、北海道警愛媛県警本部のことが中心でありまして、午前中御議論もありました。言わば、その続きみたいな形で少しやらさせていただきたいと思っています。  私は北海道警察を主に対象に置いて質問をいたしますが、今回、北海道警察、いろんなごたごたありましたけれども、最終的に億を超える不正支出があったということで、県の方に返されました。その過程で何度も調べられましたけれども、県警と道の監査監査の間で不正経理のその金額をめぐって一定の差が出たと、利息を入れますと約四千万近い金額が上乗せになって返されたわけでございますけれども。しかし、これは道の費用、それも四項目、それでこれだけの金額が出たということでありまして、大変驚いているわけでありますが、この道費の四項目だけでこれだけ出るということであれば、同時期の国費、言わば国費捜査費等についてもやっぱり不正経理があったと見るのが私は自然ではないかというふうに思っておりますけれども、しかし、国費については全く調べられない、やみの中と。これについてはやっぱり再調査をしないと、納税者、国民、県民は、道民は納得しないんではないかというふうに思いますが、警察庁の見解をお尋ねいたします。
  229. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 国費についてのお尋ねでありますが、先ほどお話しのように、昨年十二月に国費、道費につきましての調査結果、道警調査結果が出たわけでありますが、この際、北海道公安委員会におきましては、昨年監察の指示を発出しまして、しかも公認会計士である担当委員が適宜点検するなど厳正な調査を進めまして、その結果についても、各委員から、市民の目線から確認を行って北海道警察特別調査結果は総体として妥当であると判断されたという経緯がございます。  そこで、警察庁といたしましては、北海道警察から適時この間報告を受けるとともに、必要に応じて職員を派遣するなどしまして、北海道警察の、先ほど申したような調査状況の点検を行ったところ、警察庁としても不十分な点は認められなかったと認識しております。  今後、警察庁としては、会計監査に関する国家公安委規則に基づき、会計検査を今年度北海道警に対して可及的に速やかに実施して、委員指摘の点を含めて検証してまいる所存であります。
  230. 近藤正道

    ○近藤正道君 道費につきましては、道警だけではなくて、道の監査委員会が入って、そして言わば道警監査委員会との緊張関係の中で私はあそこまでいった、しかも内部告発も入ってああいうところまでいったと。そういうことであれば、同じような緊張感の中で国費についてもやっぱり捜査を、調べをしないと、私は、単に公認会計士等が入って問題なかったということでは私は到底やっぱり理解は得られないんではないか、こういうふうに思っておりますので、是非これは、後で会計検査院にもちょっとお聞きをしたいとも思いますけれども、単なる公認会計士が入ったぐらいではとてもこれは十分な監査とは私は言えないんではないかと申し上げておきたいというふうに思っています。  時間がありませんので次へ行きますけれども、架空の会計手続を踏むことによって、いったん裏金を、資金を捻出して、そしてその後正規の手続によらないで支払を行う、これがこの間の裏金づくりのパターンなんですけれども、一般的にこういう形で裏金を捻出したときにはどういう犯罪といいましょうか、構成要件が想定できるのか。経理上違法な行為が行われていたなら刑事罰の対象に私はなるというふうに思うんですけれども、これは急に、初歩的な質問でありますが、お答えいただけますか。
  231. 岡田薫

    政府参考人(岡田薫君) 個別の事案が特定の犯罪に該当するか否かにつきましては、具体的な事実関係に即して法と証拠に基づいて判断されるべきものだと考えております。一般論として申し上げますれば、警察としては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば法と証拠に基づいて適切に対処するということでございます。  また、お尋ねの詐欺等のことがございましたが、文書偽造につきましては、行使の目的で他人の署名等を使用して権利、義務又は事実証明に関する文書等を偽造するなどした場合には成立し、横領については、自己の占有する他人の物を横領した場合に成立をいたしますし、詐欺については、人を欺いて財物を交付させた場合に成立するものとされておるところであります。
  232. 近藤正道

    ○近藤正道君 一般論で言えば、文書の偽造、行使、それと詐欺、横領、こういうものが通常考えられると、こういうふうに思いますが、今回、道警は、会計検査院の検査を受ける際に領収書を偽造したと、こういういうことで北見方面の前の警備課長を偽計業務妨害の容疑で書類送検をいたしました。  なぜ偽計業務妨害なのか。先ほど、一般的にこういうものが考えられるということの中には普通入らない。普通は、文書の偽造だとかあるいは横領だとかそういうことで立件するのが普通なんだけれども、なぜ偽計業務妨害なのか。他の犯罪は成立しなかったのか。なぜ前の警備課長一人だけなのか。全く、外から見ていると理解し難いわけでございますが、いかがでしょうか。
  233. 岡田薫

    政府参考人(岡田薫君) 先ほど申し上げましたように、個別の事案が特定の犯罪に該当するか否かということにつきましては、具体的な事実関係に即して法と証拠に基づいて判断されるものと考えているところであります。  御指摘事案につきましては、北海道警察において捜査をいたしましたところ、被疑者が会計検査院による実地検査に際し、領収書の一部を差し替え、あるいは支払伝票の一部を書き換え、虚偽の答弁を行い、その答弁を疎明すべく事実と異なる資料を作成して提示した一連の行為について偽計業務妨害罪を適用することが適当と判断をし、検察庁に送致したものと承知をいたしております。
  234. 近藤正道

    ○近藤正道君 偽計業務妨害とするのが相当だと、その理由が全く分からないんで私は聞いているんですよ。通常は、この種のやつで偽計業務妨害なんて話にはならない。やっぱり文書の偽造だとか行使だとか、最低やっぱりそこから入る。そして、不法領得があれば横領だとか詐欺とかこういうことになる。それが偽計業務妨害ということなんで、なぜなんですかと。ほかの罪名、通常考えられる罪名が何で適用にならないんですかというふうに聞いているんですよ。どうですか。
  235. 岡田薫

    政府参考人(岡田薫君) 御指摘事案につきましては、会計検査院の平成十五年度会計検査報告においても、会計経理の適正性の心証形成を阻害するものであり、極めて憂慮すべき事態とされたものでございます。そうした事案については、北海道警察において厳正な捜査の結果、会計検査院の先ほど申し上げましたような事実を踏まえて、これを偽計業務妨害罪と評価をして送致したものでございます。  なお、北海道警察といたしましては、刑事事件として取り上げるものが他にあれば法と証拠に基づいて今後も適切に処理をしてまいることになるだろうと思います。
  236. 近藤正道

    ○近藤正道君 全く答弁になってないと思いますよ。極めて異例な罪名の適用だから、なぜそうなんですかということを聞いているわけでありまして、全く答弁になってないというふうに思っています。  道警察は、早くからこの警備課長のこの不正、これを承知していたけれども、立件すれば他にも立件しなければならない人がたくさん出てくると。こういう他にもたくさん刑事責任を問わなければならない人が出てくる、こういうことなんで立件しなかった、先送りをしてきた。しかし会計検査院の指摘が非常に厳しいんで、抗し切れず今回立件をしたと、こういうふうに見るのが私は自然だというふうに思っております。  今回、北海道警察の裏金づくりには偽領収書が大量に作られた。つまり、皆さんは単に捜査員の供述だけ聞いて処理したわけではなくて、それを裏付ける一定の証拠、つまりこの場合はほとんど偽領収書なんですけれども、それと、その偽領収書警察官の供述を突き合わせながら作業をやっていった。そうすると、膨大な偽領収書がこの場合想定される。この警備課長をもし立件すれば、他の人たちにもやらなければならない、こういうふうに考えてためらっていたんだけれども、やむなく立件の事態になったと、こういうふうに私は思うんです。  しかし、だれもこの人だけを送検、それも極めて不自然な罪名で立件するということについて納得はしてない。なぜほかの者は送検されないのか、上層部は送検されないのか、課長止まりなのか、こういうふうにやっぱりみんな思っていますよ。組織的な不正だったことを認めず、警察官一人、捜査課長一人だけを送検することによって文字どおりトカゲのしっぽ切りをしている、こういう批判に皆さんどう答えられるんですか。答弁してくださいよ。
  237. 岡田薫

    政府参考人(岡田薫君) 北海道警察において捜査した結果、この事案が偽計業務妨害に当たるということで送致をしたものでございまして、そのほかにつきましては、いずれにいたしましても、法と証拠に基づいて事件として立件すべきものがあれば対処していくという基本方針は変わらないところでございます。
  238. 近藤正道

    ○近藤正道君 全く不自然ですよ、これは。  検察庁を所管する法務省にお尋ねをいたしますけれども、皆さんはこの事件をどういうふうに見ておられるんですか。単に、警察がそういう形で送検してきたんだからその範囲でやるという、そういう対応をされるんですか。それとも、皆さんも独自の捜査権限を持っておられる、しかも最終的な処分権限は皆さんが持っておられる。皆さんはこの北海道警のやり方、対応、どう見ておられるんですか。
  239. 大林宏

    政府参考人(大林宏君) 個別の事案における警察当局の判断についてお答えすることは差し控えさせていただきたいと思います。  なお、一般論として申し上げれば、検察当局においては、刑事事件として取り上げるべきものがあれば、法と証拠に基づき適切に対処するものと承知しております。
  240. 近藤正道

    ○近藤正道君 正に、法と証拠に基づいてやるんですけれども、やっぱり道警に追随をしないで、やっぱりおかしな処理をしたんなら、皆さん社会正義の立場に立ってやっぱり入っていく、是非そういうことをやっていただきたいと要望申し上げておきたいというふうに思っています。  北海道警の裏金問題で私的流用の事実があったかなかったか、これが大きな争点でありますけれども、これは残念ながら警察の検査でもあるいは道の監査でも今のところ認められない、認められなかったと、こういうふうに言っておりますけれども、私は私的流用の疑惑は今回の監査でも深まったというふうに思っておりますし、世間はみんなそういうふうに今思っております。  しかも、裏金は末端の捜査員への支出だけではなくて上層部等への上納のためだったという指摘が、具体的な告発者の名前、口からどんどん出ている。で、これがマスコミ報道を通じてたくさん世の中に流布しております。このことについて、やっぱり警察はきちっと私は真相を解明する責務があると、こういうふうに思っています。  そのために一番いいのは、これは繰り返し議論になっておりますけれども、捜査協力者の事情聴取、直接金をもらったと、この人に当たるのが私は一番真っ当なやり方だろうというふうに思っています。なぜ捜査協力者に当たらないのか、裏付け捜査をしないのか。そして、これは会計検査院にもお尋ねをいたしますが、なぜ会計検査院はそれをしないのか。警察はなぜ会計検査院にその機会を与えなかったのかと。今回、北海道警察では、斎藤さんとか原田さんという人たちが、具体的に裏金のシステムを解明するためにもこの捜査協力者の事情聴取が不可欠だと、こういうふうに言っているわけであります。なぜ、この直接の金の受領者に当たらないのか、お尋ねをしたいと思います。
  241. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) その点にお答えする前に、今、冒頭委員の方から御指摘がありましたが、この私的流用がなかったかということでありますが、今委員が御指摘のように、いろいろな外部からの話がありましたので、北海道警察においては当初から、その調査をする当初から、とりわけ個人的な利得の有無というものを……
  242. 近藤正道

    ○近藤正道君 もう時間がないんだからストレートに質問に答えてくださいよ。
  243. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 最重点、重点に置いていろいろ多角的な調査をしましたけれども、私的流用はなかったと確認されたという報告を受けているわけであります。  で、本題の捜査協力者になぜ当たらないか、聴取しないかということでありますが、これは前々から申し上げていることでありますが、捜査協力者の中には生命、身体に危険が及ぶリスクを負いながら警察に情報をしている者も多々おるわけでありますし、そのような者に関する情報は慎重に管理して、警察内部でも直接接触するのは特定の捜査員に限るなど、極めて限定した取扱いを行っているところでありますし、また捜査協力者に事情聴取を行うことが知られることになっただけでも自分の存在が公になるのではないかといった疑念や不安を抱かせまして、これまでの協力関係が損なわれる、あるいは今後情報提供することについて萎縮するおそれがあるという懸念があるわけで、これは捜査上多大な支障があるものと考えております。このため、支払事実の確認というのはやはり証拠書類や捜査員からの事情聴取によって行うべきものと考えておりまして、捜査協力者に対する事情聴取については実施すべきではないと考えております。
  244. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) 捜査協力者への事情聴取につきましてのお尋ねでございます。  私ども会計検査院といたしましては、捜査費等の検査に当たりましてはできる限り検査手法を工夫いたしまして、捜査に従事したとされる捜査員に当該捜査費の執行状況、支払の内容を聞き取りを行ったり、また執行現場の所在を確認したりするなど、検証が可能な範囲で関係者に対して最大限の情報提供を求めるという、そういう方針で検査を実施しているところでございます。  お尋ねの捜査協力者からの聴取につきましては、私どもその捜査協力者との接触を可能性として排除しているというわけではございません。しかし、その者の生命、身体の安全などを確保するためにも慎重に対処する必要があると考えているところでございます。
  245. 近藤正道

    ○近藤正道君 会計検査院にお尋ねをいたしますが、会計検査院としては、これは愛媛の問題でもそうですけれども、できれば捜査協力者、つまり捜査費あるいは捜査報償費、これを受領した人に直接当たりたいと、当たる方が真実を発見できると、そういう原則はお持ちなんでしょう。
  246. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) 先ほど申し上げましたように、基本的に私どもは、様々なそのときそのときあるいはその事態を解明するために最善の方法を取って検査に当たっております。その中で、その捜査協力者への接触、それは可能性として排除しているわけではございませんので、そういう中で選択されていくものと考えております。
  247. 近藤正道

    ○近藤正道君 いや、持って回った言い方しないで、最良のやっぱりそれは資料、証拠はその本人なんですから、私どもは会いたいと、その人たちと事情聴取したいと、しかし警察が会わせてくれないんだとストレートに言えばいいじゃないですか。どうですか。
  248. 諸澤治郎

    説明員(諸澤治郎君) 私ども、今まで検査の中では、基本的には捜査に従事したとされる捜査員、あるいはどこで執行されたか、そういったことでそれぞれの執行状況についての検査を行ってまいりました。
  249. 近藤正道

    ○近藤正道君 警察庁にお尋ねをいたしますが、捜査協力者会計検査院が事情聴取をすると、当たる、このことを妨げる法律上の私は根拠はないと、こういうふうに思いますが、どうですか。あるかないか、それだけでいいです。
  250. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) ございません。
  251. 近藤正道

    ○近藤正道君 えっ。
  252. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) ございません。
  253. 近藤正道

    ○近藤正道君 ございません、はい、はい。  ないんならですね、是非、その一切拒否なんということを言わないで、私も皆さんの必要性、会わせない必要性はそれなりに理解をする立場にありますんで、是非その二つの利益を、法的には必要ない、会わせない根拠ないんだから、どうやったら例外的に会わせて、かつ国民のその今の不正経理問題についての信頼回復するのか、することができるのかと、そういうことを考えられたらどうですか、一律に駄目だと言わないで。  そういうことができれば、愛媛の問題にしても北海道警の問題にしても福岡の問題にしてもすっと解決していきますよ。どうですか。
  254. 安藤隆春

    政府参考人安藤隆春君) 先ほど説明しましたように、捜査協力者捜査上の支障というのは、これは大変深刻な、万が一そういうことになれば、結局今の、先ほど言いましたように執行減が顕著になっているというのは、平成十五年から進んでいるのも一つはそういう懸念があるということであります。  やはり捜査協力者を守るといいますか、やはりそれをすることによって治安を確保すると、しかしそういう、万が一捜査協力者のところに当たるということになりますと、やはり日本の治安の根底というものにやはり影響を与えていくんじゃないかと私は思いますので、極めて慎重に対処すべきだと思います。
  255. 近藤正道

    ○近藤正道君 私はさっきから言っていますけれども、全部を明らかにしろなんて言っていないわけで、今の捜査の秘密を守る、一方で疑惑を解明する、この二つの間に、二律背反ではなくて、両方立てながらいい方法を私は考えりゃあるんではないかと思うんですよ。これはみんなそれぞれの県で議論になっていますよ、警察監査委員会の間で。それは新潟でも宮城でもみんなそういうところで議論になっている。  ここはむしろ、私は、公安委員長村田大臣、リーダーシップを発揮できませんか、これは、これは。一律にイエスかノーかではなくて、第三の道というのはないんですか、それは。
  256. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 何といいますか、会計執行が適正であったかどうか、そうした監査なり調査をやっていく際に、捜査協力者に対して警察以外の方が直接折衝、接触することによって失われるこれまでの捜査協力者警察との関係ですよね、情報提供等のプラスの面が失われるというマイナスと、それと、要するに事態の解明ということのプラスの面と、これは比較考量してバランスよく、バランスを考えながら解決されていくのが望ましいと私は考えております。
  257. 近藤正道

    ○近藤正道君 具体的に何もおっしゃってないじゃないですか。  ですから、二つの、まあ一つの比較考量の問題だと思いますけれども、それは各県でもやっぱり知事が中に入ったりしながら、どうやったらこの二つの利害を調整するのかいろいろ腐心していますよ。私はやっぱり会計検査院は、ガードするのはやっぱり警察の役目でもあるし、警察がきちっと、ここぞというときには警察が条件を整えてちゃんと会わせてやる、そういうことを場合によっては考えると。すべてのことにそういうことをやるということは、それは大変なエネルギーが必要だけれども、ここぞというときにはやっぱりそういうことをやると、そういうふうなことを是非やっぱり私は考えていただきたい。  そして、そういうことをしないで、一律に認めない。それで、警察は信用できるけれども会計検査院は、これは会わせるとやっぱりなかなか信用できない。これは通らないと思うんですよ。会計検査院だって守秘義務を持って、かつ違反すれば罰則を負う、こういうれっきとした官の立場になるわけですよね。是非、警察だけが信用できて会計検査院は信用できない、会計検査院が当たると捜査がみんなおかしくなる、そういう言い方ではこの今の警察の不正疑惑、これを私は超えることできないんではないか。正に、ここは村田大臣がリーダーシップを発揮していい方法をやっぱり考えると、そういうことを是非私はやっていただきたい。重ねて御質問申し上げます。どうでしょうか。
  258. 村田吉隆

    国務大臣村田吉隆君) 今、捜査協力者に対して直接外部の人の面接をさせるべきではないかということ、そういう御指摘でございましたけれども、先ほど私が申し上げたような答えに尽きるわけでございますが、大変皆さん方の要請の強い中で、会計検査院との間でもいろんな工夫がこれまでなされてきたんだろうと私は思います。しかし、やっぱり捜査協力者との関係というのは一朝一夕にできたものでも多くの場合ないでしょうし、そうした協力関係というものを維持していくということが今後の警察活動にとって大変重要なもので、というふうに考えざるを得ないときに、国家公安委員会としてもそうした困難性というのを認めて、今行われているような調査手法、あるいは監査の手法において特段の問題はないという判断をしたと、こういうことでございます。
  259. 近藤正道

    ○近藤正道君 納得できませんが、終わります。
  260. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 本日の調査はこの程度にとどめ、これにて散会いたします。    午後三時三十四分散会