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2005-06-09 第162回国会 参議院 内閣委員会 第13号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年六月九日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  六月八日     辞任         補欠選任      工藤堅太郎君     松下 新平君      松井 孝治君     小川 敏夫君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         高嶋 良充君     理 事                 市川 一朗君                 小野 清子君                 岡崎トミ子君                 森 ゆうこ君     委 員                 秋元  司君                 鴻池 祥肇君                 佐藤 泰三君                 竹山  裕君                 中曽根弘文君                 西銘順志郎君                 山崎 正昭君                 小川 敏夫君                 神本美恵子君                 松下 新平君                 円 より子君                 風間  昶君                 白浜 一良君                 近藤 正道君                 黒岩 宇洋君    衆議院議員        発議者      小坂 憲次君        発議者      宮腰 光寛君        発議者      後藤田正純君        発議者      西川 京子君    国務大臣        国務大臣        (内閣特命担        当大臣食品安        全))      棚橋 泰文君    副大臣        農林水産大臣  常田 享詳君    事務局側        常任委員会専門        員        鴫谷  潤君    政府参考人        食品安全委員会        事務局長     齊藤  登君        文部科学省スポ        ーツ・青少年局        スポーツ・青少        年総括官     西阪  昇君        厚生労働省医薬        食品局食品安全        部長       外口  崇君        農林水産大臣官        房審議官     高橋 直人君        農林水産大臣官        房審議官     染  英昭君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○食育基本法案衆議院提出)     ─────────────
  2. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) ただいまから内閣委員会開会をいたします。  委員異動について御報告いたします。  昨日、松井孝治君及び工藤堅太郎君が委員を辞任され、その補欠として小川敏夫君及び松下新平君が選任されました。     ─────────────
  3. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 政府参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  食育基本法案の審査のため、本日の委員会に、理事会協議のとおり、政府参考人として食品安全委員会事務局長齊藤登君外四名の出席を求め、その説明を聴取することに御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 食育基本法案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 おはようございます。民主党・新緑風会の岡崎トミ子でございます。よろしくお願いいたします。  二十代の後半のころから食というものについて大変関心を持ってまいりました。いろいろと、無農薬減農薬ですとか、食品の安全ということでは添加物のないものをとか、いろいろ走り回ったりしたことが、そのころからなんですけれども、でも実際ここに来ますと、ついこの間、国会でドックに入りましたというか検査をしたら、脂肪肝なんて言われましたり、体重は削減しなさいなんて言われると、思うとおりに食べていると大変なことになるなと、やっぱり栄養バランスというものをきっちりと分かって食べていないと、私の六十一の年齢では少し考えなくちゃいけないなと、私自身はそういうふうに思うわけなんですが。  それとは今度別にいたしまして、私の宮城県、市川一朗さんも同じ選挙区なわけなんですが、民俗研究家結城登美雄さん、六十歳がいらっしゃいまして、今年度の文部大臣賞芸術選奨の中で受賞されたんですが、この方は東北のおよそ六百ぐらいの箇所、過疎のところを中心になって自分の足でずっと歩きまして、地元学を実践されてきました。殊に、おばあちゃんから取材をすることが多かったわけなんですが、さもない日々の生活の中にあるものを掘り起こして、そしてそれを見直して新しい地域づくりをつくっていく、人と向き合いつながっていくということを実践されてきたわけなんですが。  その中に、ついこの間合併して加美町になりましたが、旧宮崎町では、千五百世帯のところで、ふだん食べている、ふだん着の食べ物をみんな持ち寄ってみよう。それは大変食材が豊かなわけなんですね。えっ、うちの食べているものなんかとっても恥ずかしくて出せないというふうに思っていて、本当に初めは一割か二割だったんですけれども、最後のところでは千五百世帯のうち千三百食が集まって、それが食の文化祭となって、今年三月三十一日までに九回行われた。そのうちに、これは農林水産大臣賞も食の文化祭は受賞しているんですが。  私もそのお祭りに参加して、昔、村のいろんな労働力が足りないときに結いという形で出てきて、お互い助け合って農家を、農業を営むという、そういう形のときの行事食ですね、その行事食を食べさせていただいたり、あるいは、ずんだもち御存じでしょうか、豆ずりですね。あれをすって、豆打、それに田舎ですから「ん」が入っちゃいましてずんだもちというふうに言うんですが、そういうお弁当を食べたりして、町のいろんなところでいろんなおばあちゃんたちおじいちゃんたちとお嫁さんたちと、奥さんたちと話をして、とっても元気になっている、地域が活性化されたというのを見ます。それはやっぱり子供たちにもそれが伝わって、町に誇りを持つ、食べていることに誇りを持つ、もう九回も重ねられてきたというところからそれを感じ取ることができて、これこそ、基本法という法律を作らなくても町の中から沸いてきた食育だなということを思います。  もう一つは、宮城県、これは私のところの選挙区、大変遠いところなんですけれども、唐桑にカキ養殖業をやっている畠山重篤さんは、森は海の恋人運動をもう十五年重ねていらっしゃいまして、六千人の子供たちにずっとその体験教育というのを行ってきました。つまり、カキというのは、子供たちはどんなえさを食べてこんなふうになるんですかというような質問があるくらい、実はそうではなくて、森が豊かで川が健全で、その植物プランクトンが海に流れて、それを食べてこんなおいしいカキができるんだよというので、みんなで森に木を植える運動をしてきたということですよね。  北海道でも既にもう行っていて全国に広がっているものなんですけれども、これはもう環境の面から子供たちに伝えられてきた。これもやっぱり環境だけれども食育にもつながるものだなということを感じておりまして、こういうふうに地域の中から全国の中で、もちろんいろいろ様々に食育と言われなくても行ってきた、あるいは法律が作られなくても行われてきたということを私は思っております。  今回は、参考人方々からも大変いろんなお話を伺いまして、改めてこの法律中身を見ますと、この中身で良かったのかなという、本当に基本法を作らなければいけなかったんだろうかという思いを強くいたしております。  この法律の中で基本理念は七つも掲げられておりますけれども、その一番目に、第二条ですね、「食育は、食に関する適切な判断力を養い、生涯にわたって健全な食生活を実現することにより、国民心身の健康の増進と豊かな人間形成に資することを旨として、行われなければならない。」となっておりまして、これはどういう意味なのかなんです。つまり、国民が生涯にわたって健全な食生活を実現するために食に関する適切な判断力を養う必要があるということでよろしいんでしょうか。短くお願いします。
  7. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 岡崎トミ子議員お話を聞いておりますと、正に食育講演会に行って講師の方のお話を聞いているような、またそうでありながら、またこれはお世辞のように聞こえると余りインパクトがなくなってしまうんですが、大変、お年を言われましたけれども、見掛けよりもはるかにお若くていらっしゃるものですから、そういう意味で正に正しい健全な食生活を実施されている実践者であるということを痛感をいたしまして、その岡崎委員の口からこの法律は必要ないと言われると非常に悲しく思うわけでございます。  ただいまお話をいただきました宮城県の食の文化祭、もう七回目。
  8. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 九回目。
  9. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) ああ九回目。宮崎町というんでしょうか。
  10. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 はい。
  11. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) すばらしいことですね。そういうことが全国各地で行われ、また都会でも行われていれば、恐らくこの法律もこのような時期に制定する必要はないのかもしれません。  しかしながら、今お話がありました、例えばずんだもちにしても、そういった豆がどういうふうに作られるか、だんだん遺伝子組換えだのいろいろなものが出てまいりますし、またカキ養殖といいますか生育に関しても、従来ですと水は清く、そして森から流れてくる栄養素が的確に吸収され、何というんでしょうか、オイスターオイルというんでしょうか、非常に身の厚い豊かなおいしいカキが育つんだと思いますが、いろいろな食品添加物やいろいろなものが水に溶けて流れていくというようなこともいろいろな地域で言われることもあります。  今、宮城県はそういうことがないまだ地域だと思っておりますが、そういった、どういう地域にどういうことが起こっているかというようなことも、いろいろな幅広い知識の中で皆さんが吸収しようと努力して吸収していくと、そういう知識が積み重なって、そして正しい食生活、安全な、将来にわたって健全な、そして健康な国民を育てるということができるんだろうと思います。  以前はO157というような病気もありませんでしたし、BSEという問題もございませんでした。そういった問題が出てくる今日の食品安全性に対する大きな不安、懸念がこの法律必要性を私どもに警鐘を鳴らしてきたと思っておりますので、そういった意味で、国民心身の健康の増進と豊かな人間形成に資することを旨として、行われなければならないとしているのは、自主的にそういった知識を吸収しながら、将来にわたって、今先生がおっしゃった、議員がおっしゃった、将来にわたって、生涯にわたる健康な食生活を実現するために食に関する適切な判断力を養う必要があるというのは、今おっしゃった、大切である、健全な食生活を実現することが大変重要ですよということを言って、なおかつ自主的に、押し付けではなくて、自らの判断力を養うようにしてください、そういうことが望ましいことですよということを勧めるという意味でございまして、豊かな人間形成に資することを旨として、国も地方公共団体もそういう施策推進に努めなければならないということでございます。
  12. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この場合の健全な食生活とは何かなんですが、安全性の問題は入りますか。
  13. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 健全な食生活というのは、おっしゃるとおり、安全性の問題も入ります。生活のリズムとして規則正しく食事を取ること。朝食の欠食という問題が学力にも影響するし、また、健康にも大きく影響するということが分かっておりますし、栄養面でのバランスが取れている食事を取ること。そしてまた、無駄な食べ残しや、あるいは無駄な廃棄をしないこと。正に、もったいないという気持ちの上で、食卓を囲んで家族が団らんでするような食事は最も理想的なものでありますが、なかなかそのようにできない場合であっても、孤食という一人で食べることはなるべくできれば避けて、そして楽しい食事をしていただくことがいいだろうと。そういうような中に、安全性の問題なども知識面として吸収していただくことが必要だということでございます。
  14. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 食品添加物の問題や農薬や、あるいは食物のアレルギーの問題ですとか、そういう一つ一つの問題について国民が適切な判断力を養うということが本当に健全な食生活、それだけで実現することができるかといえば、私たちは、もう長時間労働になっているサラリーマンが大変厳しい状況で働いている。子供が帰ってきて一緒の夕食を囲むというようなことはもう不可能に近いような状況になっている。家庭生活職業生活両立支援法というものはまだ成立されておりませんけれども、女性の皆さんたちも、パートや労働条件の悪い中で一手に家事のことなども引き受けて、子育ても引き受け、あるいは介護なども引き受けというような形で働いておりまして、家事を担いながら低賃金で。国民判断力努力だけで健全な食生活を送ることができるのか、実現するのは困難なのではないかというふうに思いますけれども、その点についてはいかがでしょうか。
  15. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) お答え申し上げます。  先生おっしゃるように、健全な生活というのは一つ政策をすればすべて解決するわけではありませんで、個々家庭の事情だとか個人の生活、すべてあらゆるライフサイクルに関連している問題だと思います。しかしながら、とはいえ、個々のいろんなテーマ一つ一つ解決していかなくては健全な生活というのは保てないわけでございまして、その中でやはり、このたび我々が提案させていただいた食育基本法によりまして、消費者が自ら判断するいわゆる情報をきちんと与えるべきということを基本法にして、そして全国的に啓蒙していく、そういうことが今必要だという我々の認識でございます。  先ほど来の岡崎先生お話で、宮城県では大変進んだことをやっていらっしゃるということでございますが、実際、全国は肥満、生活習慣病が大変増えているだとか、残飯ですね、それがもう大変な量でございまして、飢餓、飢饉のアフリカに送ったら、彼らがもう生命が助かるぐらいのそんな飽食の時代でございますので、そういった部分で改めて、おっしゃるように消費者判断力だけですべてが解決するとは言えませんが、それも大きなテーマ一つでございまして、そうすることによって、同時に生産者が今度は、消費者が勉強し始めているぞと、そうなると逆に生産者側もそれを注意してちゃんとしたものを作るようになるという、その二次的な効果も期待するところでございますし、既存の法律として食品安全基本法によりまして供給サイドに対しての法律はございます。しかし、それによって、また同時に消費者情報力を高めることによって、より生産者が注意する、こういった効果が今回の法律では見込めるものと考えております。
  16. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 食にかかわっている行政ですとか企業ですとか、あるいは農業生産者ですね、その人たちが食を考える、あるいはその政策施策中身を十分に考える。これは、国民皆さんに影響が与えられるものであるということで、そういうこと一つ一つを考えて改善の努力を続けていかなければいけないというふうに思っているんですけれども、この食の安全に関して、消費者が選ぶ力を養うように求められているんですね、この法律でも。でも、本当は生産者とか加工者、こちらの方の人たち責任、これが大変重要だというふうに思っておりますけれども、その点に関して、安全なもの以外は作ってはならないというぐらい、売ってはもういけないというぐらいにしないと、もう本当にただ選択ということだけでは難しいのかなというふうに思うんですが、こちらの方の責務はいかがでしょうか。
  17. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 先生おっしゃるとおり、供給サイド責任は大変重うございます。先ほど申し上げましたとおり、安全なものしか作ってはいけないということは、もう既に食品安全基本法でこのことは規定されていることでございまして、さらに我々は、今回の食育基本法によりまして、第十二条に書いてありますとおり、生産者は国及び地方公共団体のいろんな活動に積極的に協力しなくてはいけないという規定も設けましたので、その点について、さらに生産者が、今までの食品安全基本法に加えまして、食育基本法によって消費者情報レベルが上がる、国、地方公共団体責任も重くなる、その中で更に安全行政、安全に対しての認識が高まるという、この相互作用をねらっておりますので、その点の御理解もいただきたいと思います。
  18. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 もう一つ食品添加物の方の安全性なんですけれども、この基本法契機にこの食品添加物安全性、これの見直しも一段更に進めていかなければいけないと思いますが、この点についてはいかがでしょうか。
  19. 後藤田正純

    衆議院議員後藤田正純君) 先生の御指摘添加物問題、私も前回の委員会でもいろいろ議論させていただきましたが、私も大変関心を持っているテーマでございまして、これにつきましては厳格な評価を行った上でその使用を認めるという、そういった安全性確保が今図られているところでございまして、今でも数十個の添加物を使ったものを使用するかしないか、今、いわゆる客観的な科学的データに基づいて今調査をしているところでございまして、そういった、これからは、もちろん食品安全委員会の活用も含めまして、サイエンティフィックな客観性のあるデータに基づいて、添加物問題につきましてもきちんと決まりを持っていく。そして、国際的ないろんな機関との協調もしていく。  前にも申し上げましたが、日本より海外の方が厳しい規定もあったり、一方で日本の方が厳しくて世界が日本よりも緩いような食品安全に関する科学的な決まりもございますので、そういった点は国際的に、これから我が国食品安全委員会を通じ、そして科学的な学者さんも通じまして、その点についてはこの基本法成立後より一層、また先生にも御指導をいただきながら、その点はチェックしていきたいと思いますので、よろしくお願いいたします。
  20. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この内閣委員会食品安全基本法審議いたしました際に、韓国などで、農薬削減するという削減目標をしっかり持って、十年掛けてこのぐらいというふうな目標値を示して安全、安心なものを作ろうという努力をしてきたと。農林水産省の方にそのことについての質問をいたしましたけれども、残念ながらあの段階では検討ということだけで、一歩進めるということはありませんでした。  この食育基本法契機にして、農薬削減という問題に関しては一歩更に進んでいくのかどうか、お聞きしておきたいと思います。
  21. 常田享詳

    ○副大臣常田享詳君) 先ほど、六十一歳、脂肪肝ということで、私のことを言われたんではないかと思って大変ショックを受けたんですけれども、気を取り直して御答弁さしていただきたいと思います。  岡崎委員からの御質問でありますが、農作物の安定生産を図るためには病害虫雑草防除が重要であります。一方、消費者の食の安全、安心に対する関心の高まりや環境に配慮した農業推進への要請にこたえていくことも極めて重要な課題だというふうに思っております。  そういった観点から、IPM、いわゆる総合的病害虫雑草管理のことでありますけれども、いわゆるIPMは、天敵などを利用する生物的防除農薬による防除などを適切に組み合わせ、環境負荷を低減しつつ病害虫雑草の発生を一定のレベル以下に抑制する管理手法であります。この手法について、国際的にも評価されておりますし、今後、我が国においても一層の普及が必要だというふうに考えております。  農林水産省では専門家による検討会を開催しておりますが、実は今週水曜日に第四回目の検討会を実施いたしましてその案の取りまとめをしたところであります。今後、IPM実践指針の策定を進めていくとともに、より一層農薬使用必要最小限に抑えるための取組を進めていきたいと思っております。  委員指摘のとおり、消費者に支持される食料供給でなければ我々の取組は評価されないというふうに思っておりますので、農薬の問題は極めて重要と考えておりますので、今後とも全力を挙げて取り組んでいきたいというふうに思っております。  以上でございます。
  22. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この農薬削減するというのは、残留農薬の問題で私たちはいろいろ心配なことがあって、私は、食品安全基本法審議のときにも、実際七百種類ぐらいの農薬が食用として使っているわけなんですけれども、その残留基準は二百四十しかなかったと。基準のないものについて幾ら残留してもこれは販売の規制というものができなかった。つまり、残留基準のあるものだけが規制されて法運用がされてきたというようなことがありますので、それではいけないということで、これが二〇〇三年五月三十日に食品衛生法の一部改正する法律が公布されて、三年以内にということで、いよいよ来年、こういうことに関して、残留する農薬動物用の医薬品、あるいは飼料添加物についてのポジティブリスト、こういうものが導入されることになっているんですが、これだけの審議をするのにも小一時間掛かります。これは、私は来週できたら行政監視の方では一時間質問をしたいというふうに思っておりまして、ここでは議論をしているとほかの学校給食とかできなくなってしまいますのでやめておきますけれども、是非、新しく始まる場合にはパブリックコメントをしっかり取って、一生懸命頑張っておられる方々の御意見も聞いていただきたいと思います。  次、厚生労働省の方にもお伺いしておきたいと思いますけれども、この食育基本法が成立した際のポストハーベストに関してどのような取組強化が行われますでしょうか。
  23. 外口崇

    政府参考人外口崇君) ポストハーベストを含みます食品中に残留する農薬については、食品衛生法に基づき基準を定め、基準に合致しない食品についてはその流通等を禁止しているところであります。  また、先ほど議員から御指摘ございましたように、平成十五年五月の食品衛生法の改正によりまして、ポジティブリスト制度、これは残留基準値が設定されていない農薬等を含む食品流通を原則禁止するという制度で、十八年五月までに導入することとされたところでありますけれども、現在そのための作業を鋭意進めているところであります。  厚生労働省といたしましては、今後とも、こういったポストハーベストも含む残留農薬について、ポジティブリスト制度の円滑な施行に向けた取組など、安全性確保対策を一層進めてまいりたいと考えております。  なお、食育を進めるに当たりましても、御指摘のこの食品安全性の問題についての御理解を深めていくことが大変重要であると考えております。
  24. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 提案者から、農林水産省から、厚生労働省からそれぞれ、この基本法が成立されることを機に一歩いろいろ進めていってほしいということについて伺いましたけれども、十四条のところには財政措置ということが書いてありまして、参考人の方に伺いましたら、この財政措置というのはにわかに信じ難いというようなことを言っているんです。どういうふうにこういうことが担保されて本当に後押ししてもらえるのかどうかだというふうに思うんですけれども、これは本当に財政上の措置がとられると理解してよろしいでしょうか。どれぐらいの額を想定して、どんな形なのか、まず、この法案を作られましたときにいろいろと議論をされたと思いますので、その辺のことについてもお聞かせいただきたいと思います。
  25. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) おっしゃるとおり第十四条では、食育推進に関する施策を実施するため必要な財政上の措置を講じなければならないという旨規定しているわけでございます。本法の趣旨を踏まえまして、また本法に基づきまして食育推進基本計画が作成されました後は、同計画に基づきまして関係省庁におきまして必要な予算要求を行ってしかるべき予算が確保されることになるだろうと、このように考えているところでございます。  ちなみに、十七年度の予算では、関係費といたしまして、農水、文科、厚労、食品安全委員会とを合わせますと約百億でございます。百億弱になりますが、十八年度以降、この法律を通していただいてそしてこの趣旨を理解していただく中で、この予算というのは更に充実されるように、私どもも当然そういった意味でこの後押しをしていきたい、このように考えているところでございまして、よろしく御了解のほどお願いします。
  26. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 まず、心強く、財政措置もしていけるようにということですので、ただいまの答弁は大変に重いものだというふうに思っておりますので、ともに私たちもチェックをしながら後押しをしていきたいと思います。多分大変なのは財務省、ここがすべていろいろ厳しい、学校給食も大変厳しいということを伺っておりますので、やっていかなきゃならない問題だなというふうに思っております。  今回のこの法案の内容、食料・農業・農村基本法があって、食品安全基本法があって、学校給食法があって、いろいろ重なる部分がございます。各省庁によって取組が行われておりますので、今まで何をやってきて、食育に関することでこれが不十分だと、そういうような反省があって初めてその基本法というのでうまく機能していくんじゃないかなというふうに思っております。  これまで伺ったところではどちらが上位法というのはないということですけれども、どういうふうにこれからやっていくような考えなのか、説明していただきたいと思います。農林水産省内閣府、文科省からお願いします。
  27. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) 私ども農林水産省におきましては、今お話しの食料・農業・農村基本法に基づきまして、米を中心に水産物、畜産物、野菜など多様な副食から構成されます栄養バランスの優れた日本食生活の実現、それから、農林水産業、食品産業に対する正しい知識の普及、地産地消を通じた地域の優れた食文化の継承、食品安全性に関する基礎的な情報の提供、こういったことを図ることといたしまして、関係府省と連携して食育推進に努めてまいったところでございます。  特に、現在食生活の改善に向けまして、平成十二年に当時の厚生省、文部省、農林水産省食生活指針を決定いたしまして、パンフレットの作成、配布、イベントの開催その他そういった取組を進めてきたところでございますけれども、これは更に具体的な食生活の改善の行動に結び付けるために、何をどれだけ食べたらよいかを分かりやすく示すフードガイドにつきまして、現在厚生労働省と連携して検討を進めていると、こういった政策をこれまでに展開をいたしているところでございます。
  28. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今後ですよ、今後。今後どう変えていくのかということです。
  29. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) もちろん、これは関係府省それぞれの政策ございますが、今回の食育基本法の成立の暁には、こういった政策のお互いの更なる一層の連携というものをきちんと深めていきたい。それから、こういった政策、今まであるものと内容が特段急に法律を受けて変わるということはないんだと思いますけれども、むしろ新しいこういった食育基本法という一つの政府としての施策のその考え方を進めるコア、核はできるという意味で、そういった意味で非常に重要な意義があるというふうに私どもとしては受け止めております。
  30. 西阪昇

    政府参考人(西阪昇君) 文部科学省の取組につきましてお答えをさせていただきます。  子供たちに食に関する正しい知識と望ましい食習慣を身に付けさせることということが大変重要でございます。このような観点から、文部科学省におきましては、学校における食育推進ということが大きな施策でございます。具体的には、学校給食を充実したものとして実施していくということとともに、学校における食の指導ということの充実ということに努めております。そのための施策といたしましては、教職員などに対する研修会やシンポジウムの実施、あるいは児童生徒用の食生活の学習教材の作成、配付ということなど取り組んできているところでございます。  今後におきましては、特に、本年四月から栄養教諭制度が開始されましたので、この制度を活用いたしまして学校での食育の指導体制の整備ということに力を入れていきたいというふうに考えているところでございます。  また、家庭における取組ということも大変重要でございますので、文部科学省といたしましても、食に関する内容を含む家庭教育手帳というのを作成をいたしまして、乳幼児や小中学生を持つ全国の保護者の方に配付するなど努めているところでございます。  今後とも、このような取組を関係省庁と連携してより充実して取り組んでいきたいというふうに考えております。
  31. 齊藤登

    政府参考人齊藤登君) 食品安全委員会といたしましては、食品安全基本法規定に基づきまして、これまで食品安全性確保に関する情報の提供及びこれに関する意見交換、いわゆるリスクコミュニケーションでございますが、これの促進に努めてきておるところでございます。  具体的には、リスク分析の一環として科学的な観点から私どもの委員会が実施いたしますリスク評価の内容等につきまして幅広く国民との間で意思疎通を図るために、まず基本的に委員会はすべて公開で行っておるわけでございますが、具体的な取組といたしまして、消費者生産者等、幅広い関係者が参加する意見交換会、これを実施してきております。また、食の安全ダイヤル等によりまして直接に相談をしていただく、そういう体制も取ってきております。それから、季刊誌とかパンフレット、こういうものの配布、それからホームページの充実というような形での情報提供を今まで行ってきております。  食品安全委員会といたしましては、今後とも食育の重要性を踏まえつつ、引き続きこれらのリスクコミュニケーションの活動につきまして十分努力をしてまいりたいと、このように考えております。
  32. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 本当に、事務的な負担が増えて本当に大変だなという、そういうことを今のお話を伺って感じたわけなんですが、最初に農林水産省で各省と連携をしながらされてきたということなんですが、食育推進連絡会議というものが平成十四年に設置されて、既に文科省、厚生労働省農林水産省というふうにこれ連絡会議を構成してこの形をつくったわけなんですけれども、これは機能したんでしょうか。農林水産省にお伺いしておきたいと思います。
  33. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) 平成十二年の三月に当時の文部省と厚生省、それから農林水産省が共同で食生活指針、これを策定いたしたところでございますけれども、それを機に食生活指針推進連絡会議、こういうものを設置いたしまして、平成十四年十一月になりまして、この推進会議につきまして、その食育という観点を明示的に取り入れて更にその施策の連携を図るということで、現在の食育推進連絡会議、こういうものを設置しております。  これまでの活動といたしましては、相互の施策の調整、あるいは三省の共同での講演でのいろんなシンポジウムの開催とか、そういうイベントの開催、そういったものをやってきております。
  34. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 事前に調べたところでは、他の省庁は事務局会議は一回しか開かれていなかったということなので、これは何の意味もほとんど持たなかったと、事務方でお互いに何かやってせっかく設置したものは機能していなかったと他のところでは言っているわけなんですね。これはきっちり反省をして、それが今回の法案の中には生かされていかなければいけないというふうに思っております。その反省がちょっと聞かれなかったので申し上げたいというふうに思っておりました。  それから、文科省なんですけれども、栄養教諭のことについて触れられました。実はここを四月からスタートさせたときに充実していかなければいけないんですが、今までのところどの自治体がこの栄養教諭という制度を生かしましたでしょうか。
  35. 西阪昇

    政府参考人(西阪昇君) 先ほどお答えいたしましたように本年四月から制度が発足ということでございますので、全都道府県におきましては、学校栄養職員に必要な単位を取得させる養成の講習会というのを今年度中に全都道府県で実施をいたしまして、その単位取得によりまして栄養教諭の免許を発行するというような状況になりますので、多くの都道府県におきましては来年から配置ということが多いと存じますが、一部の県におきましては、学校栄養職員の方で既に教員の免許を取得されている方につきまして、必要な単位取得を早急に対応いたしまして既に配置をいたしておるところがございます。具体的には、高知県と福井県で今年の四月から配置をいたしております。
  36. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 つまり、この食育基本法は大分前から準備されていて、なかなか提案者の方から言うと日の目を見なかったということで、当然文科省はそのことをキャッチして、栄養教諭制度をきちんとやっていくということが学校給食に大変有効なものだということを考えますと、これ二つ、二県しかまだされていないんですけれども、そういう準備というのはもうあってしかるべきだったと思うんですね。今までの栄養士の皆さんだけでは駄目だし、教育委員会も機能してこなかった、だから全体を見渡してやる栄養教諭制度というものをつくられたと思うんですけれども、やはりこういうものに併せてもう既に、免許を取得させてスタートするときに各県にきちんと配置できるような、そういう指導をしていってほしいなというふうに強く願っております。お願いをいたします。  そこで、今も地産地消ということが出ましたけれども、その地産地消と旬産旬消、参考人の方も、この食育基本法の中で何が大事か、中村参考人は旬と命というふうに言っておりまして、その地で生産してその地で消費するだけではない、その旬の時期に取り入れるということがいかに大事かということを言っているわけなんですけれども、その基本法の中での、この地産地消、旬産旬消というのは推奨していくものというふうに提案者の方に伺っておきたいと思います。
  37. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 先ほども先生岡崎トミ子さんが宮城県の例でおっしゃったように、地産地消、旬産旬消というのは、この安全性の面からも地域でずっと長い間検証されてきた、その習慣の食生活の中に溶け込んでいるものだと思うんですね。そういうものを生かした食の文化祭が行われたという話がありましたけれども、そういったものをもう一度この基本法の中でみんなに考えていただいて、そして地産地消、旬産旬消を推進していきたいと。正におっしゃっているとおり、私どもも同じような気持ちで、これを推進していくことが健全な食生活というものを培っていく大きな力になる、またそういう意味で再認識をしていただきたいというものも踏まえながら、国や地方公共団体国民の食に対する理解増進を図る、その上でこういったことも推進しなさいというふうに入れたところでございます。
  38. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 農林水産省に地産地消の定義、伺っておきたいと思います。
  39. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) 地産地消につきましては、この三月に閣議決定されました新たな食料・農業・農村基本計画におきまして、地域消費者ニーズに即した農業生産と生産されました農産物を地域で消費しようとする活動を通じまして、農業者と消費者を結び付ける取組を、いわゆる地産地消として位置付けているところであります。  ただ、これらの地産地消につきましては、いわゆる地域の主体的な活動の中で、学校給食への地場農産物の導入であるとか、あるいは産地直売所での販売など様々な側面を持って取り組まれておりまして、必ずしも画一的なものではないというふうに考えております。  そういう意味で、生産者消費者の顔が見え、話ができる関係を構築するための取組、こういうふうに考えておる次第でございます。
  40. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 そのエリアは割と狭いと考えていいんですね。今のように、コミュニケーションができる、歩いて分かる、子供たち学校給食で、帰ってくるときにここで農業で生産されていることを見る、そういう割と近場の、エリアは狭い範囲というふうに考えてよろしいんでしょうか。
  41. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) 地域の問題につきましては、人によってかなり様々なお考えがございます。ただ、一般的に考えますと、地産地消というのはなるべく地域にあるものを使っていくということで、かなり距離の短いところでの流通、これを考えるべきではないかというふうに考えております。  ただ、県当たりで考えますと、県域全体を一つ地域ととらえながら、それで地産地消をやるというようなお考えもあるのではないかとも考えております。
  42. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 文科省の考える地産地消、学校給食の中ではどういう範囲のことをお考えなんでしょうか。
  43. 西阪昇

    政府参考人(西阪昇君) 特に私ども具体的な定義ということでございませんが、先ほど先生おっしゃいましたように、やはり児童生徒が生まれ育った、生まれ育っている地域あるいは郷土というようなところで取られる食材ということを推進していくということが重要ではないかというふうに考えております。
  44. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 それで、今、地産地消に取り組んでいる学校の割合を教えていただきたいと思います。
  45. 西阪昇

    政府参考人(西阪昇君) 私どもの調査におきまして、平成十四年と十五年でございますが、サンプル調査をいたしまして、当該学校が所在しております市町村産品あるいは県の産品も含めて給食に使用した実態ということを調べたものがございまして、これはその食品数のベースでございますが、各都道府県で若干の数字の凸凹ございますが、全国平均いたしましたところ、平成十四年度は約二〇%、平成十五年度では約二一%の地場産物の提供ということの数字でございます。
  46. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 まだまだこれから地産地消を進めていかなければならないという実態が浮かび上がってまいりましたが、先日の吉武参考人からは、自分の国で食べるものは自分の国で作ることの重要性が指摘されております。  国内産の食品を食べるキャンペーンというのを分かりやすくやった方がこれいいんじゃないでしょうか。つまり、法律を作る、基本法を作るということよりも、本当に今、地産地消ということであれば、地場産のものを食べていこうと、そういう国内産のものを消費すると、そういうキャンペーンをなさった方がよろしいんじゃないかなと思いますけれども、いかがですか。
  47. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 御提案の趣旨には大賛成でございます。  ただ、この法律を施行した上でこのキャンペーンをやればなお一層効果があると私どもは考えます。ですから、国内産の食品を食べるキャンペーンというのはいつやってもいいわけでございますけれども、この地産地消運動全国的に認知され、そしてその盛り上がりの中でやっていけば、その結果はより飛躍的に向上するのではないかと、こう考えますが、いずれにいたしましても、キャンペーンをやることは私は大賛成でございます。
  48. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。  学校給食の問題で最も意図するところ、地域の生産されたそのものを取っていくというのが大変食と農の教育、つまり食育教育、食育というよりはむしろ食農教育の方が大事なんじゃないかと指摘されることも多いわけなんですけれども、学校給食は三食の中の一食以上の大変大きな効果がある大事なものだという指摘もいただいておりますが、七日の参考人質疑の際に香川参考人から、給食は家庭食事の延長線であることが望ましいという発言がありました。そこで、岡山県あるいは江戸川区の例を見ますと、大変すばらしいものがございました。  つまり、栄養士に臨機応変に献立を作る権限があって、変更する権限があって、そのことが今の学校給食の在り方ではできにくいということが言われているわけなんですね。その点に関して、その仕組みをどういうふうにやっていったらいいのかということについてちょっと申し上げたいというふうに思うんです。  地元の農産物を学校給食に使うことについて、生産者側、食べる側、それぞれが希望しても、それだけでは進まない。仕組みをつくらないと駄目で、安定供給も求められる。  そこで、福岡県宗像地区で注目したのが、組織のしっかりしている農産物の直売所。仕組みは、直売所から毎月一日に、翌月はこんな野菜を供給できますよという一覧表を作ってもらう。栄養士はその素材を使う献立を考えて発注する。直売所はそれを基に出荷する生産者を割り振る。そして、現在、宗像地区では二十二の小学校のうち十八校が四つの直売所の協力で地元産の供給を受けて給食に使っている。センター方式の場合にはこの直売所だけでは無理なので、JAとの協力という形で行っている。  地産地消を長続きさせるコツは、献立を求める栄養士を味方に付けることで、畑に案内して、どんな状態で栽培しているのかを見せて、ファンになってもらって、初めから無理をしないで、だんだん品物を増やしていく。仕組みをつくったら、次は今度は子供たち生産者のところに顔合わせをして、そして生産者子供が一緒に給食を食べて交流をして、こんな苦労をしているよというふうに生産者が言いますと、やはり子供たちも交流後には、嫌いな野菜が出たらと聞くと、七割の子供がおじちゃんたちの顔が分かったので我慢して食べるという答えが出てきまして、生産者も意欲がわいたと言うんですね。  三回農薬をまいていると、子供たちの顔を見ると、ううん、二回にしよう、いや、これはやっぱり一回にしよう、有機にしようってだんだん変わっていったという。つまり、生産者を変えていった歴史もあるというふうに言うんですね。これはもう本当に社会も変えていく、子供たちに何を求めるのかから変わっていったという、そういうことがございますけれども、やはりこういう経験から子供たちが食べるということは給食のその場のことだけではないということを学んでいるというふうに思うんです。  で、提案者の方に、こうして、この時期にこれが取れたといって持っていって変更できる、そういう仕組みの学校給食が香川先生のおっしゃった家庭食事の延長線上に学校給食があるというそういうことにつながるんじゃないかと思いますけれども、こういう点に関して推し進めていただきたいと思いますので、いかがでしょうか。
  49. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) ありがとうございます。  大変今、岡崎議員の方から宗像市のすばらしい取組をお聞かせいただきまして、なるほどと。かなり実際に、これは単に学校給食の問題だけでなくて、全体の今の日本の食に関して生産者、作る側と食べる、消費する側、食べる側との距離をいかに縮めるかと、このことが一番、食の安全、安心、そしていかに食料自給率を高めていくか、いろんな問題を含めての一番のポイントだと私は思っております。そういう意味で、本当に画期的なやり方で、大いにこれから参考にしていきたいと思いますし、食育基本法の理念にも非常にかなっていると私は思っております。  そういう中で、現在の、現在置かれている学校給食の現実というのは、大変、確かに国全体の中での財政の問題とかいろんな問題を含めておりますので、今のこういう、要するに学校栄養士が、先ほど議員の方からもお話がありましたが、栄養制度がきちんと整って、これからいかに学校にそれだけの方々が配置されていくかというのが一つの大きなポイントだと思いますけれど、そういう中で、やはり学校全体の給食の一応の献立表というもの、それはあくまでもやはり教育の責任として出さなければいけない。その中で、例えば子供によってはアレルギーの子供なんかがいたりする、そういう問題もあると思うんですね。ですから、きちんとしたある程度一定の計画表というものはやはり出さなければいけないと思います。その中で、いかに現実に旬をとらえて、本当に生き生きとした香り高い旬のものを取り入れるかというのは、それは正に学校栄養士の働く大きな場であると思いますし、その地域行政、学校関係者の協力も必要だと思いますが、そういう方向で少しでも動けるようにやはりこの食育基本法が大きな力になればと思います。
  50. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 地域で得られる食材を、農業に携わっている方の協力を得る。つまり、学校の給食の中に地域農業にかかわっている人たちのアイデアをいただく、これぐらい実行してもらいたいと思うんですが、提案者、いかがですか、西川さん。
  51. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 本当におっしゃるとおりだと思います。  この前の七日の参考人の御意見の中に、中村参考人でしたでしょうか、実は、何を食べるかということも大事だが、どう食べるかということが更に大事だと。一つの基本としては、やっぱり家庭で家族そろって食べるということが基本でしょうということをおっしゃっておりましたが、その中でやはり学校給食家庭食事の延長線上にあるものだという考え方に立つとすれば、このいろんな人の思い、それがそこに反映される学校給食ということが本当に一番理想的だろうと思うんですね。  そういう意味では、生産者自体もそこのものに責任を持つ、食べる方も生産者の思いを分かる、そういう意味での、様々な方が学校給食の献立に反映されるというのは大変大事なことだと思いますから、各教育委員会が一応作成計画の指導をすると思いますが、そういう意味での指導徹底あるいは奨励を、この基本法ができました折には、是非そういう方向に持っていけたらなと思います。
  52. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 ありがとうございます。  文科省に伺っておきたいと思いますが、半年前に献立が決められるんですね。で、統一献立であると。それで、例えば足立区の場合ですと、その献立を変えるためには教育委員会に申し出なければいけないというガイドラインがあって、大変これはもう本当にがちがちなんだなという、とてもじゃないけれども、家庭食事の延長線上に学校給食があるというのは考えられないような状況にさせられているようなんですけれども。  やはり地産地消を実践している学校の割合を、自校式、センター方式、どちらもやろうと思えばできるというようなことなんですけれども、今まで小坂さんのお話を伺っても、西川さんの話、あるいは後藤田さんも、提案者皆さんは、これはもう自校式、単独方式ということを個人的におっしゃっているので、全員おっしゃったんですよね。そして、参考人の女子栄養大学の香川学長は、これは自校式が望ましいというふうにおっしゃっているんですが、是非、自校式でやっていくということが地産地消、臨機応変な学校給食になっていくんだということで宣言していただきたいなというふうに思うんです。  ここで言っていただければそれが促進されます。いかがですか。お一人お一人、全員そうだというふうに今まで答弁でおっしゃったんですよ。今日じゃなくて、これまで、これまでずっと、衆議院も含めて。
  53. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) ありがとうございます。  この食育基本法の理念に沿って考えれば、やはり自校式が望ましいと私自身はやっぱり思っております。そういう中で、大変これやはりコストが掛かるというのは現実にございます。実は、自校式、センター方式以外にやはり民間委託という話までありまして、これは調理に関してはやっぱり一五%ぐらい今行っているということもあります。ですから、やはり本当にこのままコストだけで考えていいのかという問題もありますので、でき得れば自校方式をもう今よりも増やさない方が私自身はいいと思っております。(発言する者あり)はい、センター方式を増やさない方がいいと思います。
  54. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 自校方式宣言と受け取っていいような、よろしいですか。
  55. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 努力いたします。
  56. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 今は何かめり張りはっきりしないような、気持ちだけが出ているんですけれども、ばしっとそういう方向でというのが、本当に地産地消とか、子供たちに近場のものを食べさせる、安全なもの、生産者も見える、そういう本当の食教育ですね、食農教育をやろうとすれば、自校式だというふうに思うんですけれども、じゃ、小坂さん。
  57. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 私どももこの法律の問題に取り組んでいる中で、それを実現するには自校方式の方が望ましいなとやはり思います。ですが、やはりいろいろな自治体の状況、あるいは学校の環境、また関係者の考え方等ありますが、その中で、私どもはそういう自校方式が増えるように努力をしていきたい。法律でそれを規定するというのはやはり難しいと思いますが、これからの運動の中で、私どもが答弁をさせていただいたものは少なくともそういう方向に向かって努力をしていきたい、このことは申し上げられますが、宣言といって法律をそのような方向で運用するんだということを申し上げるわけにはなかなかいきません。
  58. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 だから、基本法を作らないで、運動をやって、そして宣言して徹底していくという方がいいんじゃないかなと私なんかは思ったわけなんですが。  ところで、もう時間も迫っておりますので、これは確かめておかなければなりません。  昨年、文部科学省は都道府県の教育委員会に対して事務連絡を出しました。一九八五年の通知ですよ、この趣旨を再度確認し、地域の実情等に応じた学校給食業務の合理化が推進されるように市町村教育委員会等に対して指導及び周知徹底をお願いするというものなんですが、その一九八五年の通知というのは、合理化の実施については学校給食の質の低下を招くことがないよう十分配慮することとされているんですね。  ここで言います学校給食の質というのは、食育基本法の精神と照らして言えばどのような意味と解するべきなのか、文部科学省に、あっ、提案者に伺わなきゃなりませんね、はい。
  59. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) ありがとうございます。  昨年の文科省のこのあれは八五年の通知ということでございますけれども、学校給食の質という問題は、やはりこの学校給食自体が学校教育法の教育の一環であるという認識があると思います。そういう中で、多様な教育的な意味というのはあると思うんですが、私自身、当然この食育基本法に照らしましても、その地域の本当に特色を生かしたそういうものも、そういう地域のものを生かした食事というものの意味もありますし、あるいは文化的、社会的な、一つの歴史的な教育的な意味も含めた大きな問題だと思いますけれども、当然その中に子供の健康に一番充実した内容の食事というように、まあかなり多様な意味を含んでいると思いますが、そういうことだろうと思います。
  60. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 平成十五年七月十八日の連絡で、学校給食の運営の合理化についての趣旨の確認、文科省にしておきたいと思いますけれども、これは共同方式、センター方式を拡大しようとするものではないことを確認しておきたいと思います。
  61. 西阪昇

    政府参考人(西阪昇君) 昭和六十年の通知におきましても、今回それを事務連絡で再度都道府県、市町村に確認をしていただきたいという連絡をいたしましたのも、内容的に単独調理場を共同調理場に変えていくということを趣旨として出したものではございません。
  62. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この昭和六十年の合理化通知の趣旨の確認ということで、拡大しようとするものではないということでよろしいでしょうか。今のでよろしいんですね。
  63. 西阪昇

    政府参考人(西阪昇君) 昭和六十年の通知は、全体的に学校給食の質を、教育的な意義を配慮しつつ質を低下させないように、それとともに、学校給食の業務の運営に当たっては様々な合理化の工夫も必要であるという通知でございまして、共同調理場化を進めるということを趣旨としたものではございません。
  64. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 この学校給食の質の低下について、基本法によってどういう対応が可能になるのか、提案者に伺っておきたいと思います。
  65. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 本法案の第三章の基本的施策において、二十条では学校又は地域の特色を生かした学校給食等の実施、あるいは、二十三条で農林水産物の生産された地域内の学校給食等における利用などと具体的に規定しておりまして、そういう意味での、この基本法が成立する中での質の低下というのをかなり具体的に、少しでも防げるというふうに理解しております。
  66. 岡崎トミ子

    岡崎トミ子君 あともう一分になってしまったんですが、基本理念の第三条のところに、食育推進に当たっては、国民食生活が、自然の恩恵の上に成り立っており、また、食がかかわる人々の様々な活動に支えられていることについて、感謝の念や理解が深まるよう配慮されなければならないということで、感謝の念と理解というのが法律で定められてしまったんですね。  私は、最初に食の文化祭のことについて触れたり、地産地消を進めている生産者の本当に御苦労を知っていく、そういう食教育を行っていただきたいということに申し上げましたのは、そのことを、今の地産地消とか旬産旬消とか、生産者、つまり、だれが種をまいてだれが耕してそれを生産して、そしてそれをだれが料理を作って、そしてここに今食べることができるのかというこの一連のことがしっかり分かったらおのずと感謝の念というのはわいてくるものであって、私は法律でそれを規定するということは不適切ではないかなというふうに実は思っております。これはもう法律に載せられておりますので、ここまでやらないと駄目なのかなと。本当は体制をしっかりしていただいて、その体制があれば子供たちは自然に感謝の念も生まれてくるし、私たちはそういうふうにして育てられてきたなというふうに思っております。  これは私の感想でございますので、法律規定すべきものではなかったということを申し上げておきたいというふうに思っております。  以上です。ありがとうございました。
  67. 近藤正道

    ○近藤正道君 社民党・護憲連合の近藤正道です。  おとといの日に三人の参考人先生方から大変有意義な話を伺いました。それぞれお三方とも、食育の大切さ、重要さ、これは十分踏まえておられますし、それぞれ食育の大変な実践家でもございました。しかし、この食育基本法の評価については私は分かれたというふうに思っております。その分かれた一番の要因は、やっぱり政府の果たすべき役割というか、政府がまず最優先でなすべきことは何なのかと。このことについてやっぱり評価が分かれ、そしてそれがこの法案の評価と結び付いていったんだと、こういうふうに私は思っております。  私はそう思っておるんですが、やっぱり政府の一番最優先でなすべき役割は、安全、安心な食、そういう条件をきちっとやっぱり整える、そして可能最大限それが国内で賄える、こういう条件をきちっとやっぱり整えることだろうというふうに思っています。そうすれば、多くの国民はやっぱりきちっとした食に沿って生きていくんだろうというふうに私は思うんです。そういう意味では、政府がまず本来やるべきことをきちっとやっているかどうか、その上で食育ということを言っているのかと、ここがやっぱり評価の分かれ目だというふうに思っております。  この法案をやっぱり批判する立場の方はおられますけれども、やっぱり政府が安全な食、安心な食、こういう条件を十分整えない、そして自給率も一生懸命やらない、農村の疲弊をやっぱり結果として放置をしている。そういうことをやった上で、しながら、国民に義務だけを押し付ける、これはやっぱりたまらないと、そういう思いだろうというふうに思っています。私はそれがよく理解できます。  そういう意味で、この法案を見ますと、今の安心、安全な食とか、あるいは食料自給、そういうものを規定したものはこの七条と八条にあるんではないか。ですから、この七条、八条を単なるお題目あるいは単なる冠にしてしまうのか、ここに本当に生命を吹き込んで、ここに具体的なものを盛り込む、あるいは速やかに具体法をやっぱり充実させる、施策を充実させる、こういうことがやっぱりあるかないかに懸かってくるというふうに私は思っているんですが。  そこで、提案者皆さんに、この七条、八条、まあ、見方によっては全くこれは異論のない、本来は食品安全基本法だとか食料・農業・農村基本法にも書かれていることなんですが、ここにどんな思いを皆さんは込められているのか、どういうふうにこの法案の中のこの七条、八条を位置付けられておられるのか、お伺いをしたいというふうに思います。
  68. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 二日前の参考人質疑のときの近藤先生お話もビデオで拝見をさせていただきました。今、食をめぐる環境というのは大変大きく変化をいたしてきておりますし、食料自給率の目標につきましてでも、先生もおっしゃっておいでになりましたとおり、この食生活の変化という原因があるのはこれは否めないというふうなお話もあったかと思います。  総体的にこの食の大切さを我々日本人、国民がどこかに置き忘れてきたのではないか。その中には、先生おっしゃる七条、八条の伝統的な食文化、環境の問題、それから農山漁村の活性化、食料自給率のほかに安全性の問題、これらの問題についてどこかに置き忘れてきた時代が長かったのではないか。  政府がという部分は、これは当然あると思います。しかし、この間のこの大きな食をめぐる変化というのは、これは政府だけで、政府が環境整備するだけでその時代を、この忘れられた時代を取り戻すということは不可能であると。  私どもは、政府はもちろん、市町村ももちろんでありますけれども、国民全体として食の大切さを改めて認識をしていくと。そういう中で、伝統的な食文化、国産の農産品の大切さ、命の大切さ、そういうことを総体として、国民運動として食の大切さを改めて認識をしていくというのがこの法案のねらいであるというふうに思っております。
  69. 近藤正道

    ○近藤正道君 法案の第十六条に食育推進基本計画というものが掲げられております。その二の二、食育推進の目標に関する事項というものが定められておりますが、この食育推進の目標に関する事項に何を掲げようとされているのか、そして具体的な数値目標を掲げる用意はあるのか、お尋ねをしたいと思います。
  70. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) おっしゃるとおり、食育推進の目標に関する事項を盛り込むということにされておりまして、一定の数値目標を立てることは極めて重要なことであるというふうに考えております。  目標でありますが、例えば目標年度の設定でありますとか、目標年度における達成目標、これを、例えば数値目標ということで申し上げますと、教育ファームを増やすといったことでありますとか、朝食を食べない欠食児童を減らすということでありますとか、学校給食における地場産品の使用率の向上でありますとか、これらの目標数値を設定することが考えられるというふうに思っております。  具体的にどのような目標数値を掲げるかということにつきましては、この法案成立後に食育推進会議で議論されることが予定をされておりまして、その中でできる限り複数、数多くの目標数値を立てていただくことが望ましいというふうに考えております。
  71. 近藤正道

    ○近藤正道君 できるだけ具体的なものを盛り込んでいただきたいというふうに思っています。  今ほどのお話の中に学校給食における地場産品の使用率を具体的な数字で入れたいと、こういう話がありました。先ほど、岡崎委員の話の中で、地産地消、全国平均二〇あるいは二一%、こういう数字がありましたが、この法律ができますと、この地場産の使用率というものは格段に向上する具体的な数字が盛り込まれるんでしょうか。
  72. 宮腰光寛

    衆議院議員(宮腰光寛君) 先ほど文部科学省の方からも実態についてお話がありました。平成十四年度の数値、全国平均二〇%、一番高いのは五二%の北海道でありました。平成十五年度の数値でありますが、これは一番高いのが五〇%の熊本県、平均二一%、東京の場合はどちらも一%でありました。  平均の数値でいくとこういう数字でありますけれども、私は、この食育基本法が制定されると直ちに三〇%に引き上げていく必要があると。少なくとも、長期的には現在の食料自給率の四〇%、ここぐらいまでは全国平均で引き上げていく必要があるのではないかというふうに考えております。
  73. 近藤正道

    ○近藤正道君 最後の質問に、たった一分でありますが。  この法律の八条に食の安全ということがうたわれております。七条にも環境との調和ということがうたわれております。安心、安全なものをできるだけ自給をしていく、これがこの法の趣旨だというふうに思っておりまして、そういう意味では、例えば隣の韓国、従来型の規模拡大から数年前から新環境農業というものを打ち出しております。是非、この法律ができた暁には、有機農業あるいは新環境保全型農業、これをやっぱり大いに推進をしていただきたい。  今、超党派の議員連盟で有機農業推進議連がありまして、ここで有機農業の振興法というものも検討されているようでありますが、提案者皆さんの意気込みというものを是非お伺いをしたい、こういうふうに思っております。
  74. 染英昭

    政府参考人(染英昭君) 有機農業につきましては、土づくりを基礎にいたしまして化学肥料や農薬使用しないことを基本とする農業であります。環境保全を重視する農業生産の一つの形態であると考えております。また、消費者の安全、安心の要請にこたえ得る農産物を供給するものであり、農林水産省としてもこれを大いに推進してまいりたいというふうに考えております。  具体的には、農林水産省といたしましても、化学肥料や農薬使用に関する、低減する技術の開発普及であるとか、また法律面におきましても、有機農産物などの表示の適正化を図るためのJAS法であるとか、あるいは環境保全を重視した生産に取り組む農業者に対する支援のための持続性の高い農業生産方式の導入の促進に関する法律、この辺の所要の措置を講じているところでありまして、法制的な面での整備はできておるというふうに考えております。  ただ、今後につきましては、新たな食料・農業・農村基本計画に基づきまして、環境保全が特に必要な地域におきまして、農業生産活動に伴う環境への負荷の大幅な低減を図るような取組に対する支援もやってまいりたいというふうに考えております。ただ、この先進的な取組につきましては平成十九年度からやる予定でございますので、今年度等の調査等も十分踏まえながら今後検討してまいりたいというふうに考えております。  ただ、いずれにいたしましても、今後とも、環境保全型農業それから有機農業も含めまして大いに推進してまいりたいというふうに考えておるところでございます。
  75. 小坂憲次

    衆議院議員小坂憲次君) 今、役所の方ではそういう施策について述べましたけれども、私ども提案者といたしましては、この食育運動全体を通じて、今、近藤議員がおっしゃったように、この有機農業推進というものを国民的合意として推進してまいりたいと、このように考えております。
  76. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 無所属の黒岩宇洋でございます。  今日もこの食育というものについての議論をしていく中で、私も食育自身の本当に重要性、改めて認識しておるところでございます。加えて、提案者皆さん学校給食の自校方式への意気込み等を聞きますと、私も賛同する部分は多々あり若干ぐらっときておるところでございますが、ただ、やはり釈然としない点もありますんで、わずかの時間ですけれども、皆様にその点をちょっとお聞きしたいと思っております。  やはり一つには、この法案、いい意味で多岐にわたっているんですけれども、わたり過ぎて、やはり今までの施策法案等と重複とかがある。そして、そのことによって様々な施策のきちんとした明確な責任の位置付けとか、こういったものが不明確になるのではないかという、若干そういった懸念を私は持っております。  例えば、基本法という名の付く法律、今まで二十九あると承知しておりますけれども、その中に食と名の付く法律は、食品安全基本法、そして食料・農業・農村基本法、二つございまして、このたび新たにまた食という名の付く基本法が加わるということでも、食育というものがどうやって整理されていくのかということも疑問に思っておるところでございます。  並びに、今年に閣議決定いたしました新たな食料・農業・農村基本計画の中でも、これ食育というものもきっちり明示され、国民運動として展開していくと、こうも記されているわけでございます。そう考えますと、今回の法律食育を定義として条文にも盛り込んでいないということで、やはり不明確な感じが否めないわけでございます。  これに関連して、ちょっと細かなことなんですが、第二十一条について質問させていただきます。  ここ、第二十一条には健全な食生活に関する指針の策定という文言がございます。これは正に、先ほど申し上げた食料・農業・農村基本法の第十六条にも同じく健全な食生活に関する指針の策定という、この文言を受けまして、いわゆる食生活指針が出ているわけです。  この二十一条に示すこの指針というのは一体どういうものなのか、従前の食生活指針とは異なるものなのか、この点について簡潔にお答えください。
  77. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) これは、今まで各省庁がそれぞれ、大変国民の健康、食生活に関しては様々な観点からのいろいろな運動が行われているわけでございますけれども、食料の安定供給確保を図るために国民一人一人が主体的に食生活が見直しできるようにということで、平成十二年に農林水産省、厚生省、今、黒岩議員がおっしゃったように農林水産省でも出しております、文部省で作成されました食生活指針、いわゆるフードガイドなどがこれに当たるということでございます。
  78. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 済みません、ちょっと今聞き漏らしたんですけれども、二十一条の指針というのはどういうものなんですか。食生活指針とは全く別個のものを作るんですか、新たに。
  79. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) これらのものを指して食生活指針としております。
  80. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 ちょっとそれ大変分かりづらくて、他の基本法を受けて現実に今食生活指針というものがあって、このことを改めて二十一条で規定しているんですか。提案者、お答えください。
  81. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 本来、この食育基本法は、各省庁でいろいろそれぞれのポジションでやっていることを総括的にきちんと取りあえず整理して統合してみようということでこの法二十一条の書きぶりになっておりますが、具体的には各省庁で出しているガイドということになると思います。
  82. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 いや、私はてっきりまた新たなものを作るんだと思ったんですけれども、そうなりますと、今のお答え聞くと、やはりかなり重複というものが、もう全くこれ重なっているということになってしまうわけですね。そうすると、今までの食生活指針が一体何なのか、そして新たな取組というものがあるのかという、この疑問はいささかも消えないわけですよ。私、ここでちょっと時間取る気なかったんで。  それで、ちょっと農水省にお越しいただいているんで、食生活指針、この認知度というものが約二割と聞いております。でも私は、この二割って本当にそんなに高いのかという疑問すらあるんですよ。私、選挙区に帰って食生活指針知っていますかと聞いたときに、何か専門職に就いている人以外で知っている方というのはほとんどいないんですね。農水省は五年間でこの認知度を四〇%に達成するという目標を掲げました。結果的にはできていません。  私は、この食生活指針って、読めば読むほどすばらしいものだと思うんですよ。これが貫徹すれば正に健全な食生活が私は確保できるものだと思っております。せっかくこんなすばらしいものを作っておきながら、今時点、認知度は高まっていない、そして新たな基本法を作る、このことについて農水省としてはどうお考えなのか、お答えください。
  83. 高橋直人

    政府参考人(高橋直人君) 現在の食生活指針は平成十二年に策定をしたところでございます。内容は十項目で、読みますと、極めてごく当たり前の、食生活に臨むごく当然のことが書いてあるわけでございますが、この五年間、委員お話しのように四割、認知度四割を目標にしてやってきましたけれども、具体的な国民への認知度が低いというのはやはり、これは、じゃそれを実践する上で、具体的にどういうものを本当に食べたらいいのかということはやはりどうも具体的には出ていなかった。  正直そこまでは、どういうものを食べたらいいのか分からないぐらいの状態なのかという一つの気持ちも私どもの中にはあるんですけれども、現実問題として何を食べたらいいのか分からないという声もありまして、そういった意味で、こういう食生活指針を出してもその具体的な行動に結び付かなかったんじゃないかということがございます。  そういった反省に立って、じゃ実際にどういうものを食べていったらいいのか、それが具体的に分かる、目で見て分かるような、フードガイドと私ども呼んでいますが、そういったものを今後出しまして、この食生活指針の推進に当たっての具体的な道しるべにしていきたいというふうに考えております。  それから、もう一つ、ちょっと申し訳ございません、先ほどのちょっと御質問で、政府側からちょっと一つ付け加えさせていただきたいと思いますが、現在の食生活指針は、食料・農業・農村基本法の中で、その十六条におきまして、その第二項でございますが、国は、食料消費の改善及び農業資源の有効利用に資するため、健全な食生活に関する指針の策定、その他必要な施策を講ずるということで書いておりまして、一応、現在の食料・農業・農村基本法の中では食料消費の改善及び農業資源の有効利用に資するということでいわゆる目的を限定をしております。  そういった意味で、現実に作っているのはほかの観点も入れておりますけれども、そういった意味で、今現在、法律上の食生活指針の目的というのはいわゆる農業農村分野に特化された格好で書いてありますので、今度新しく出てくるものは、いわゆる別の観点が入っているという意味では少し違うんではないかというふうに受け取っております。
  84. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 もうちょっとそこで、時間ないんでもうこだわりませんが、ただ、そういったものを全部、幾つかの省庁のものを含めてこの二十一条だというのが、それだったら、新たなものとしては指針を作らないわけですから、余り変わりないんじゃないのかなという、こういう疑問点なんです。  もう最後に一問、提案者にお聞きします。  実はこの食生活指針というものも、やはりなかなか浸透していなかった。そして、この五年間で、まあ短い期間ではありますけれども、じゃ、食生活が変わったかというとむしろ悪化しているという、私、そういったもちろん御懸念があって今回の基本法を提案されたんだと思っております。  私の聞きたいのは、じゃ、今回食育基本法が成立されたといたしまして、やはりいろんな基本計画も作ります。やっぱりこの食育というものを本当に効果的にどうやって皆様の、国としてもきちんと普及していけるのか、このことについて私どもが納得するような、そういった御答弁を最後お聞かせください。お願いいたします。
  85. 西川京子

    衆議院議員(西川京子君) 黒岩議員に納得していただくのは大変努力を要するかもしれませんけれども、先ほどのお話もありましたように、それ、各省庁でやっぱりばらばらにやっていたことを、やはり今なかなか効果が得られない、そういう中で、やはりひとつ基本的にみんなが同じ認識の下に立とうじゃないかということで一つの、お互いが相乗的により効果的な浸透策を図っていくということで、この二十一条に食育基本法の中の一条として書いたわけでございますけれども。  そういう中で、やはりこれから、例えば食改さんですかね、そういうボランティアの方なり、あるいは各部局なり、いろんなところでのこれからの更なる努力というのが一番、浸透させることの一番のかぎだと思いますが、その一つの、浸透していくということに関しては、やはりこの食育基本法ができたという非常に大きなインパクトがあると思いますね。そういうものの効果というのはやはり大きなものがあるんではないかと思いますので、是非、今まで頑張ってきた皆様に更なる頑張りを期待したいと思いますし、また、今、今回新たに栄養士の皆様もそれぞれ学校できちんとどんどん配置されていくと、いろんなことでこれから少しずつ動き出すと私は思っております。
  86. 黒岩宇洋

    ○黒岩宇洋君 終わります。
  87. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  88. 円より子

    ○円より子君 私は民主党・新緑風会を代表して、食育基本法案に対し反対の立場から討論を行います。  国民食生活において、栄養の偏り、不規則な食事、肥満や生活習慣病の増加、ファーストフードのはんらんなどに加え、遺伝子組換え食品残留農薬食品添加物安全性の問題、BSE問題などの問題が山積していること。また、我が国の食料自給率がカロリーベースでわずか四〇%にとどまり、食の海外への依存の問題が一向に解決されていないことなど、この法案の前文にもうたわれているような我が国の食が抱える深刻な現状については私たち発議者認識や危機感を共有するものであり、食や農を対象とする政策の重要性は、健康で文化的な本当の意味で豊かな国民生活を将来にわたって実現していくためにますます高まっていると考えます。  しかしながら、この食育基本法案には次のような問題点が含まれており、私たちが賛成できる内容とはなっておりません。  まず、食とは本来個々人の選択と自由に任せられるべきものであり、その内容について国家が介入すべき性質のものではないということです。  法案には健康な食生活という文言が多く用いられておりますが、何を健全な食生活と考えるかということも、年齢、嗜好、体質などに応じて個人が自由に判断し、選択すべき問題であり、その在り方を国が基本法の形で規定して唱道し、食生活という個人の生活の内面にまで踏み入って協力や責務を押し付けることには慎重であるべきです。アメリカ、イタリア等の欧米諸国でも、国民の健康維持の観点から望ましい食生活の実現に関する様々な施策が行われていますが、食育基本法のような法律を制定している国はどこにもありません。  既に文部科学省、厚生労働省農林水産省等が食育に関する施策をそれぞれ推進しており、また地方自治体レベルでも食育推進するための計画を策定したり、学校給食の在り方について見直しを行ったりするなど、独自の取組推進しております。このような状況の中で、私たちがなすべきことは、食をめぐる環境を改善するための個々の具体的な施策を強力に推進したり、自治体レベル取組制度的にも財政的にも支援するための取組、仕組みを実現させることではないでしょうか。  発議者は、私や同僚議員質疑に対し、この法律が成立すれば、食育に関する施策を実施する各省庁がこの法案を根拠に予算を獲得しやすくなるというメリットがあるのだと再三強調され、食育に関する個別法や個々制度改正についての検討基本法の成立後の課題であると答弁されましたが、そのようなことでは、この法律は各省庁による予算獲得のための便利な道具として都合よく利用されるばかりではないでしょうか。  子供たちへの食育が重要であると考えるならば、経済性の追求に偏り、食育の理念に照らして問題の多い学校給食のセンター方式から自校方式への転換、学校栄養職員や学校教諭の配置促進、家庭科教育の充実などの施策を実施することこそが急務のはずです。しかし、この法案は、基本法としての限界から具体的な施策については訓示規定にとどまっているため、例えば学校給食について、発議者からは自校方式の方が望ましいと思うとの答弁をいただきましたが、この法律の成立後、そうした発議者の意思が行政によって十分に尊重され、具体的な施策に結び付くという確実な保証はありません。参考人としてお呼びした方の中には、センター方式に変わるときに反対意見を述べましたが、財政がもたないということで押し切られたと無念の思いを述べた方もおられます。基本法の制定よりも、まず学校給食を自校方式に戻すことにエネルギーを注ぐ方がよほど重要な政治の責任ではないかと思われます。  さて、多くの国民は食の安全について高い関心を持ち、安全で安心できる食材を使ったおいしくて健康にいい食事を自分でも食べたいし、家族にも食べさせたいと思っています。妊娠中の女性の場合や育ち盛りのお子さんのいる御家庭では特にそうでしょう。また、親子で一緒に食事を作ったり、家族そろって食卓を囲んだりすることの楽しさや大切さも、国に一々言われなくても皆分かっていることだと思います。  にもかかわらず、食品安全性についての不安が依然として払拭されないのはなぜなのでしょうか。栄養の偏りや不規則な食事、家族ばらばらの食事を余儀なくされているのもなぜなのでしょう。それは、これまで国がその責任において食品の安全に関する十分な情報国民に分かりやすく提供してこなかったし、国民が仕事と家庭を両立できるように全力で支援してこなかったからではないでしょうか。  国が行うべきなのは、従来の農業政策や貿易政策をも含め、食をめぐる様々な問題の原因や背景を分析し、これまでの対応の不十分の点や問題点を検証し、その上で個々の課題について具体的で強力な施策を展開することです。そうした分析や検証を行わず、安全、安心な食生活を送るために必要な情報提供もなく、母親だけでなく父親も子供もそろって料理をし、家族そろって食卓を囲むことを可能にする環境整備もないままに、食育の名目で法律を制定して国民家庭に責務を負わせることは、国の責任をあいまいにし、放棄することであり、本末転倒であると指摘せざるを得ません。  さらに、本法に基づいて設置される食育推進会議については、消費者や農林漁業者の代表の実質的な参加が行われるかどうか、法文上は明らかではありません。また、推進会議の所掌事務には、関係行政機関の相互調整や施策の実施状況に関する検証・評価及び監視の事務が明記されておらず、推進会議を設置することで食育に関する施策が本当に総合的、効率的かつ効果的に実施されるようになるかどうかも疑問です。年にわずかしか開催されず、各省ばらばらの施策を追認するだけの会議であれば、設置しても無意味ではないでしょうか。  食育基本理念の真の実現には、以上述べたような問題点のある基本法を制定することではなく、学校給食制度栄養教諭制度食品表示制度、雇用や仕事と家族生活の両立支援、また職住近接の住宅制度等々の具体的な諸制度を改善し、充実させていくべきであり、消費者国民の権利の観点が必要であります。  国民の権利ではなく責務をうたう一方で、国等の施策について具体的方向さえ示さない本法案には到底賛成しかねることを申し上げ、また、本法案の成否にかかわらず、私たち民主党は、食や農にかかわる個別法や各種制度の改善及び充実を追求し続けていく所存であることを表明し、私の反対討論を終わります。
  89. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより採決に入ります。  食育基本法案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  90. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  91. 高嶋良充

    委員長高嶋良充君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午前十一時三十二分散会