○大久保勉君 ここはもう平行線になりますから、別の議論に移ります。
今の議論といいますのは外国の
企業にとって大問題であるということでした。今度は、それ以上に国内
企業にとって重要であると、この
指摘は
峰崎委員の方からございましたので、これを補足する形で
質問します。
実は、先週、今週と、
日本の大手
金融機関、弁護士事務所、格付機関と打合せをしました。私自身が証券家をやっておりましたので、どういうふうな構造になっているかというのは承知しているつもりであります。ある有識者からこういう
質問をしてくれないかと、これは
金融界にとって極めて重要な話であるということで、読み上げます。
第八百二十一条の擬似外国
会社の
規定であるが、例えばケイマンSPC等外国
会社を資産保有
会社とする資産流動化の仕組みもグローバルスタンダードとして我が国の資産流動化等で多数用いられており、その残高はABCP、先ほどのアセットバックCPのスキームだけで二十兆円も上っている。この二十兆円という数字は、資料2の
日本銀行が作りましたABCPのプログラムの表です。これを合計したのが約二十兆です。
実際に、これはあくまでも枠ですから、その中で実際に貸出しがなされておりますのが三月末残高で七兆円ございます。極めて大きい数字です。この七兆円といいますのはどのくらいの数字かといいましたら、これは銀行全体の貸出しが二百兆弱です。ですから、三・五%から四%という極めて大きな数字です。
続きまして、このABCPプログラムはいわゆるマルチセラー型で、反復継続して資産がSPCに売り渡されるので、第一項の法案の文言上、これら外国SPCがこの擬似外国
会社の
規定に抵触することになると考えられ、この資金調達の方法に支障が出る
可能性があると。
このマルチセラー型というのが重要です。実際に
法制審議会でSPCの議論はなされておりますが、いわゆる一回限りの取引が主です。これは証券化市場で約二十兆といいますのが一回限りです。ところが、マルチセラーといいますのは、同じケイマンのSPCを使いまして、何度でも取引が行われます。
具体的には、三月末にある
企業が売り掛け債権があるということで、銀行の方と話をして、SPCに売り掛け債権を売ると。そのときの値段といいますのは、実際にその資産を担保にしてこのSPCが東京市場でCPを発行する金利によってでき上がっています。四月になったらまた同じような取引をする。ほとんど毎日こういった取引を行っております。例えば、明日幾らの取引をするか分かりません。そのときの市場若しくは需給によります。
このSPCといいますのは言わば
会社そのものなんです。ところが、その
会社には従業員もおりません。銀行はどうしてこういった取引をするか。これはこのSPCに対してバックアップラインというのを出しておりまして、そのBISアセット、いわゆる自己資本
規制上の資産がゼロ%でカウントできますから、非常に
競争力のある融資をすることができます。いわゆる中小
企業にとりましては極めて低い金利で調達できる、そういうニーズに合いますから、中小
企業政策の上も極めて重要なプログラムです。
こういった商品を
是非とも伸ばしていくべきだというのが政府の意見です。これは中小
企業庁も推進されておりますし、
経済産業省もしかりです。
金融庁も恐らくは応援されていると
思います。こういったものが使われることができなくなるおそれがあります。これを解釈で、いや、これは反復継続しているのに、いや、継続じゃないということで、解釈でこの場、お茶を濁して法案通過をしましたら、どういうことが発生するのか、
是非分かってもらいたいです。
私は格付機関とも話をしました。弁護士とも話をしました。やはりこれは東京市場の
信頼性の問題であるし、
日本の
金融機関が、
日本の
金融がどういう方向に向かっているのか、これは市場型間接
金融というのも大きな方向性です。こういった新しい芽を摘んでしまうおそれがあります。ですから、何度も何度も警告します。
是非この点に関して
伊藤大臣の御所見若しくは決意をお願いします。
伊藤大臣も
内閣の一部ですから、
是非リーダーシップを図ってもらいたいと
思います。