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参考人(
鶴島琢夫君) 今御
指摘のありましたように、私
ども、可能な限り私
どものとった
措置について分かりやすく明確に
説明をしていくということに心掛けなければならないという御
指摘については真摯に受け止めたいと思っております。また、そう努力をしてまいります。
それから、具体的に小田急と西武鉄道、これの差異がどうだったかということでございますが、先ほ
どもちょっと御
説明をいたしましたように、監理ポストというのは
上場廃止のおそれが生じていることを投資者に周知をするための表示区分であります。が、名義株が存在したからといって直ちに
上場廃止のおそれがあるものとして監理ポストに割り当てるというわけではございません。
昨年の西武鉄道を契機といたしまして、今、
藤沼参考人からもちょっと話がありましたけれ
ども、この名義株という問題、名義株の名義偽装といいますか、そうしたものが多く出てまいっております。
私
どもは、これらを踏まえて、この重要な訂正がなされる場合に割り当てることとしている監理ポストの
運用が偏ることのないよう、一応の尺度となる指針を
検討をいたしまして、それに照らして、以後、個々の事案を審査をしてまいりました。これは、先般、マスコミを通じてこの尺度、指針というものを公表させていただきましたが、三つございます。正確性を期するためにちょっと文書を見ながら御
説明をさせていただきます。
一つは、
親会社又は
関係会社という属性を偽装する水準に及んでいたかどうか。つまり、この
親会社とか
関係会社とかというものが、本来は個人の名義株が個々の所有であれば、
親会社になったり、それから関連
会社という位置付けになったりするものを、名義株という形で外したために、
親会社や関連
会社という位置付けを免れていると、こういうような
状況であったかどうかということが一点です。
二点目は、
株式の分布
状況に関する
上場廃止基準への適合をおおむね最近十年のところで偽装する水準に及んでいたかどうか。つまり、ここ十年間ぐらいの間に
上場基準に触れるような、そういう水準であったかどうかということですね。
それから、三つ目に、個人の所有割合などの
株式の流通性、これを投資者が著しく誤認するような水準に及んでいたかどうか。これはやや抽象的ではありますが、非常に流動性があるというふうに見られていたのに実は余りなかったと、廃止基準に該当するほどではないけれ
ども、なかったというようなもの、これら三つを尺度となる指針として
運用をしてまいっております。いずれかに該当する場合には、名義株が投資者の投資判断に多大な誤りを与えてきたものとして、監理ポストに入れて
投資家の注意を促すということにしてきたわけです。
この小田急グループ各社の名義株につきましては、当初、その存在が明らかになってから過去の推移などの全容が明らかとなるまで十日余り実は時間を要しました。
発行会社に催促をしましたけれ
ども、十日ばかりの時間を要しました。その途中で、一部の報道で
株式の分布
状況に関する
上場廃止基準への該当を回避する
目的があったというような報道が、不確実な報道が発生をいたしました。
私
どもでは、そうした重要性が疑われる
情報が明らかにされていない
状況にあったことから、
開示注意銘柄という、
開示が十分でないという
開示注意銘柄に指定をして、過年度のこの名義株の推移が明らかになったときには、その
状況いかんによっては先ほど申しました二番目の
上場廃止基準に該当するおそれがあると、そういうような水準にまでこの名義株が偽装されていたということもあり得るわけですので、そうしたことも視野に入れて事実
関係を
調査をいたしました。しかしながら、最終的には過年度においてもそうした
状況には至っていなかったということが判明をいたしましたので、先ほどの指針に抵触するものではないということで監理ポストへの割当ては至らなかったということであります。
それから、一方、日本テレビの場合はどうだったかといいますと、昨年の日本テレビ放送網の場合の名義株の問題は、実際には読売新聞本社グループは法令上の
関係会社に相当をしておりました。個人名義が本当は読売新聞社グループの持ち株だったということですので、それを足しますと法令上の
関係会社に相当をするというものでございました。にもかかわらず、その
関係にあることが隠されて
情報開示がなされていたというわけであります。すなわち、日本テレビは読売新聞社から重要な影響を受ける
関係にある、つまり
関係会社ですから、あるにもかかわらず、名義株によってそのことが当事者に
開示をされていなかったという重要性を伴う訂正でありましたし、更に言えば、
関係会社の属性が変わるということになりますと、財務諸表上に当該
関係会社と
取引額の注記が必要となる、そういうことを
開示しなければいけないというような大変密度の濃い
情報開示が法令上要求をされております。
こうしたことから、私
どもでは、日本テレビ放送網の事案については先ほどの指針の
趣旨の一番目に抵触するものとして監理ポストに割り当てて、隠されていた事実、
情報がどの程度に及ぶものかどうかということについて、
証券市場の
信頼を著しく毀損したと言えるかどうかについて事実
関係を確認をし、審査を行ったと。その結果、そこまでには至らないということで元に戻したと、こういう経緯でございます。