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参考人(
福井俊彦君) お答え申し上げます。
一般の民間の
企業では極めて常識的なことかもしれません。中期経営計画というふうな形で、
資源再配分を図りながらいい経営をしていこうというのは常識化していると思いますが、
日本銀行で今までそういうことをやったことはございませんで、実は今回初めて中期経営戦略というものを作りました。そのきっかけはやっぱりこの
ペイオフ完全解禁、ここが非常に大きなターニングポイントだという
認識が実はございます。
やっぱり、何と申しますか、一九八〇年代以降、
世界経済の大きな潮流変化に
日本経済全体が適応するのに大変苦労してきた、
一言で言えばそういう時期だったと思いますが、その様々な苦労を経てようやくこの
ペイオフを
全面解禁をするところまでこぎ着けたと。ここから先が大事で、ここから先、本当に前向きにすべての我々の力を結集していいものをつくっていかなきゃいかぬという時期なので、
日本銀行も中央
銀行サービスを前向きにかつ質の高いものとして築き上げられるだけの体制をつくっていきたいと、こういうことが趣旨なんでございますが。
先ほどからもお答えしておりますように、
日本銀行、
金融政策、それから
個々の
金融機関に対する業務上のアプローチ、そしてそれを支える内部管理体制、実は三層構造で我々マネジメントやっています。その一番上のマクロの
金融政策は
デフレ脱却するまでは我々はスローアプローチだと、あくまで粘り強く後押しの力を続けると。もちろん
マーケットは危機対応モードからだんだん前向きに変わってきているわけなんで、そこに対して我々は全く目をつぶるわけにはいかぬかもしれないが、我々の
スタンスはあくまで後から付いていくと。しかし、二番目の
個々の
金融機関に対するアプローチは、先ほども申し上げましたように、ここでがらっと変えますと。これはもう明らかに
金融の高度化を積極的に進めてもらわなきゃいけないので、変えますと。そして、それら全体を支える内部管理の体制は、やはり少し長い目で見て何が我々が本当に戦略的に必要な仕事か、そこに我々の持てる人的、物的
資源を集中的にうまく
移動させながら仕事をしたいと、これが基本的な趣旨でございます。
なぜ初めて中期と、五年というふうな刻みにしたかといいますと、やっぱり人的にも物的にも限られた
資源をどういうふうに割り当てていくかということを毎年毎
年度のこの業務計画でこれまでやってきましたけれども、やっぱりこれでは、じゃ来年はどうか、再来年はどうかということが分かっていないと
資源の
移動だって極めて抵抗が強いんです。この人間をこちらに移したいといったときに、今年だけの話なのか、五年先までにらんでもそうなのかというんで、うんと内部の人間の頭の中の構造が変わってこないとこれできませんので、そういう
意味で役職員の目的意識をやや長いタームでしっかりとそろえていくと。
そして、何分にも今の時代ですから、
日本銀行の仕事全体としてIT投資でしっかり抱えています。そして、人間はいつも再教育を施しながらでなきゃできないようになっています。IT投資とか人間の教育というのはやっぱり一年計画では何事も達成されません。少し長い目の計画を立ててやっていこうと、これが基本の趣旨でございます。
そして、毎年毎年の業務計画は、その五年計画のある
部分を取り出して今年はやるという形のアクションプランという形にし、かつ
年度が終わったら必ず後でレビューをして評価をすると。で、その評価の結果はまたレポートにして世間にお示しして、少しずつでも私どもの仕事に対する御理解と、でき得れば信頼をかち取りながらと、まあこういったことを
考えているわけでございます。