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2005-03-31 第162回国会 参議院 財政金融委員会 第8号 公式Web版

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  1. 参考人の出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査 (会議録情報)

    平成十七年三月三十一日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         浅尾慶一郎君     理 事                 愛知 治郎君                 中島 啓雄君                 山下 英利君                 平野 達男君                 若林 秀樹君     委 員                 田村耕太郎君                 段本 幸男君                 野上浩太郎君                 舛添 要一君                 溝手 顕正君                 若林 正俊君                 尾立 源幸君                 大久保 勉君                 大塚 耕平君                 広田  一君                 広野ただし君                 峰崎 直樹君                 山口那津男君                 大門実紀史君                 糸数 慶子君    事務局側        常任委員会専門        員        藤澤  進君    参考人        日本銀行総裁   福井 俊彦君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○財政及び金融等に関する調査  (日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく  通貨及び金融調節に関する報告書に関する件  )     ─────────────
  2. 委員長(浅尾慶一郎君)(浅尾慶一郎)

    委員長浅尾慶一郎君) ただいまから財政金融委員会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  財政及び金融等に関する調査のため、本日の委員会参考人として日本銀行総裁福井俊彦君の出席を求めたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 委員長(浅尾慶一郎君)(浅尾慶一郎)

    委員長浅尾慶一郎君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 委員長(浅尾慶一郎君)(浅尾慶一郎)

    委員長浅尾慶一郎君) 財政及び金融等に関する調査を議題とし、日本銀行法第五十四条第一項の規定に基づく通貨及び金融調節に関する報告書に関する件について、日本銀行から説明を聴取いたします。福井日本銀行総裁
  5. 参考人(福井俊彦君)(福井俊彦)

    参考人福井俊彦君) おはようございます。日本銀行福井でございます。  お指図によりまして、早速御説明を申し上げたいと思います。  日本銀行では、昨年の十二月でございますが、平成十六年度上期の通貨及び金融調節に関する報告書、これを国会に提出いたしました。本日、日本銀行金融政策運営について詳しく御説明申し上げる機会をちょうだいし、大変厚く御礼を申し上げる次第でございます。  最初に、最近の金融経済情勢について御説明申し上げたいと思います。  日本経済は、IT関連財生産在庫調整が深まったことなどから、踊り場的な局面が続いております。もっとも、景気回復の基本的なメカニズムはしっかりと維持されておりまして、最近では、ひところ弱めの動きとなっておりました生産横ばい圏内に持ち直してきております。日本経済は、遠からず踊り場的な局面を脱し、持続性のある成長軌道に向けて回復を続けていくものと考えております。  少し詳しく御説明申し上げますと、まず前提となります海外経済は、米国や中国を中心に拡大基調を続けているというふうに考えられます。また、IT関連財調整は、需要が伸びを持続している中でメーカーが早めの対応を行ってきたこともございまして、遠からずこれは一巡するというふうに見込まれます。こうした下で、輸出や生産増加をしていくというふうに私どもは見ております。また、企業過剰設備過剰債務などの構造的な調整圧力は和らいできておりまして、企業収益設備投資増加基調を続けるものというふうに予想されます。さらに、雇用面改善傾向が続く下で、雇用者所得の下げ止まりが明確になっております。このため、個人消費は緩やかな増加に向かう可能性が高いというふうに思われます。  もっとも、IT関連財需要動向や、このところ高値圏で推移しております原油価格動き、及びこれらが内外経済に与える影響につきましては引き続き注意深く見ていく必要があるというふうに考えております。  次に、物価面について見ますと、国内企業物価は昨年初来上昇しておりましたが、足下は少し弱含んでおります。先行きは、原油価格内外商品市況上昇を受けて、再び強含んでいく可能性が高いというふうに見ております。  一方、消費者物価指数でございますが、こちらは企業部門生産性向上人件費の抑制を背景に、景気回復物価が反応しにくいという状況が続いております。その中で、前年比小幅マイナスで推移しているという状況でございます。先行きにつきましても、規制緩和等に伴う電気料金電話料金の引下げの影響もございまして、当面は小幅マイナスで推移すると予想されます。  金融面では、日本銀行の潤沢な資金供給の下で、短期金融市場は総じて落ち着いた状況が続いております。明日からでございますが、明四月一日にはペイオフ全面解禁と、そういう日を迎えるわけでございますが、金融機関健全性回復に向けた対応が進んできておりますことから、金融システムに対する不安感は大幅に後退しております。こうした下で、市場におきましては資金調達に対する安心感がかなり定着してきておりまして、日本銀行資金供給オペレーションに対しまして十分な応募が集まらないといったようなケースが見られるようになっておりますなど、金融機関流動性需要それ自体も低下してきているということでございます。  資本市場では、株価は総じて底堅い動きとなっております。また、長期金利は一時強含む局面も見られましたが、概して安定的に推移しているというふうに見ております。  企業金融をめぐる環境でございますが、これは総じて緩和される方向にあるというふうに判断いたしております。金融機関の貸出し姿勢は緩和してきておりまして、企業から見た金融機関の貸出し態度も引き続き改善しているという状況でございます。こうした下で、貸出しの動き民間銀行について見ますと、その減少幅が緩やかに縮小してきているという段階にございます。さらに、CP、社債といった資本市場を通じた資金調達環境も良好な状況が続いております。  次に、最近の金融政策運営について申し述べさせていただきます。  日本銀行は、現在、日銀当座預金残高という量を操作目標として金融緩和政策を実施いたしております。具体的には、三十兆円から三十五兆円程度という法律等の定めにより金融機関に保有が義務付けられている金額を大幅に上回る目標値の下で、金融市場に潤沢な資金供給を行っております。このことは、金融市場の安定を通じて緩和的な企業金融環境を維持することに貢献しているものと考えております。  日本銀行は、この金融緩和政策消費者物価、厳密には全国ベース生鮮食品を除くベースということでございますが、そういう消費者物価の前年比上昇率が安定的にゼロ%以上となるまで継続するという固い約束をいたしております。この約束は、市場金利を安定させる効果があり、その下で、企業にとっては引き続き低利での資金調達が可能となる環境が整えられております。このような金利を通じた景気支援効果は、景気回復企業収益が改善する状況におきましては、より強まっていくというふうに考えられるところでございます。  最後に、金融システム面でございますが、先ほど申し上げましたとおり、我が国金融システムは安定を取り戻しつつございまして、明日からはペイオフ全面解禁となる運びとなっております。金融機関といたしましても、顧客ニーズにこたえて創造的な業務展開を図りながら、経済を前向きに支えていくことがより一層求められるようになってきております。こうした変化を受けまして、日本銀行金融システム面への対応も、これまでの言わば危機管理重視という姿から、金融システムの安定を確保しつつ、公正な競争を通じ金融高度化を支援していくと、そういう方向へ切り替えていく必要があると考えております。  日本銀行としましては、金融システム機能度頑健性向上に貢献していくため、金融機関の新しい業務展開などの動きを積極的に後押ししていくほか、私ども自身業務につきましても様々な工夫を凝らしていきたいと考えております。  以上、申し上げましたとおり、日本経済は現在踊り場的な局面にございますが、世界経済拡大が続き、IT関連財調整が進捗する下で、回復を続けていくものと予想されます。これを持続的な成長につなげていくということが肝要でございまして、そのためには、引き続き幅広い経済主体経済活性化に向けた取組が重要だと考えております。  日本銀行といたしましては、消費者物価指数の前年比が小幅マイナスを続けている現状におきましては、先ほど申し上げました約束に沿って粘り強く金融緩和を続けることで、日本経済金融面からしっかりと支援してまいりたいと考えております。  また、日本銀行が、我が国中央銀行として国民の皆様から負託された責務を適切に果たしていくためには、私どもが提供する様々な中央銀行サービス高度化を進めるとともに、規律ある組織運営に努めていくことが一層重要になってきていると考えております。こうした認識を踏まえまして、日本銀行では、先日、新たな試みとして、今後五か年間の経営方針を示した中期経営戦略を策定し、これを公表させていただきました。日本銀行としては、こうした取組を通じて、国民の信認をちょうだいし、経済の健全な発展に貢献するという使命達成のために今後とも全力を挙げて努力してまいりたいと考えております。  少し長くなりましたが、大変恐縮でございました。誠にありがとうございました。
  6. 委員長(浅尾慶一郎君)(浅尾慶一郎)

    委員長浅尾慶一郎君) 以上で説明の聴取は終わりました。  本件に対する質疑は後日に譲ることとし、本日はこれにて散会いたします。    午前十時十分散会