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大門実紀史君 私は、ウォルフォウィッツさんの人柄とかネオコンだとか、そういうことじゃなくて、この問題にはちょっと
意味があるんではないかと、経過をたどると
意味があるんではないかと考えているところでございますので、
谷垣大臣の
意見をお聞きできればと思いますけれ
ども。だから、タカ派だとかネオコンだとか、あるいは元の構造調整に戻るんじゃないかとか、そういうことではなくて、これはブッシュ戦略の新しい展開ではないかなというふうに見ております。
例えば、前任の先ほど言われましたウォルフェンソンさんだって、クリントン時代ですけれ
ども、あの方は投資会社のソロモン・ブラザーズの会長さんでしたから、元々
金融資本の方ですからね。クリントン時代、民主党政権のときは、どちらかというと
金融ビジネス的に
世界戦略を、展開を考えるという時代でしたから、それにふさわしいウォルフェンソンさんだったと思うんですけれ
ども、今度のウルフォウィッツさんはちょっとまた
意味が違って、構造調整政策に戻るということは私は余りないんじゃないかと、今の世銀の路線の中でおやりになるんじゃないかと私は思います。
なぜかといいますと、例えば今の世銀の開発政策融資だって、基本的には途上国が自主的に決定した改革プログラムに沿って融資をするということですね。これはあり得ると、それの、その筋でやられることはあり得ると。例えば、仮にイラクだとしますね。イラクの、アメリカの
支援を受ける政権だと思いますけれ
ども、その政権が独自に改革プログラムを立てて、それに対して世銀が融資する、これは正に今の開発政策融資に沿うわけですからね。何も元に戻る、元のやり方に戻るということではなくて、ウォルフウィッツさんはそういう筋でやられる可能性は十分あると思います。
問題はですね、問題は、これはやっぱりもう少し大きくとらえる必要があると思っておりまして、三年前ですか、ブッシュ・ドクトリンというのが出ました。国家安全保障戦略ですね。私、全部読みましたけれ
ども、国家安全保障のドクトリンの割には経済のことがかなり書いてあってちょっと驚いたんですけれ
ども。つまり、アメリカはいわゆる単独主義とか先制攻撃主義とかだけではなくて、自由経済を、まあ括弧付きですけれ
ども、自由経済を
世界に広げると、この先駆的役割を果たすんだというのがかなり書かれておりました。そのターゲットといいますか、その周辺の文章を読みますと、ターゲットはイスラム社会、中東だということがかなり明瞭に出ていたわけですね。
そういうブッシュ・ドクトリンがあって、いわゆるネオコンの方々がこう入ってくると。ネオコンというのはただの新保守主義、タカ派ではなくて、かなりもうそういう業界からの出身者多いわけですけれ
ども、利権といいますか、いろんな業界とのつながりの多い方々です。特に、この間でいえば石油利権とか、そういうことでつながっている方はかなり多いわけですね。ですから、ネオコンというのは単に政治的タカ派じゃなくて、何といいますか、クリントンのときは
金融資本と一緒になったことが多かったわけですけれ
ども、今度のネオコン、ブッシュの場合は、どちらかというと重厚長大産業とも一緒になって、もちろん
金融投資戦略もありますけどね。
そういう中で、このウォルフウィッツさんが今出てくると。で、ウォルフウィッツさんというのは中東の民主化とか中東の自由経済化とかをかなり
主張されてきた方だというふうに思います。ですから、私は、今回のウォルフウィッツさんの起用というのは、単にタカ派だからどうのこうので見るんじゃなくて、やっぱりブッシュ戦略でちゃんと見ないと間違うんじゃないかと。つまり、イラク戦争ありましたけれ
ども、ありますけれ
ども、中東へのあめとむちがあるとしますね、むちの方は軍事戦略ですけれ
ども、このあめの方を担う、そういう使命をかなり色濃く帯びてこのウォルフウィッツさんは今回世銀の総裁に起用されたと。わざわざ何でウォルフウィッツさんなのかと、そうでなければですね、私はそういうふうに見て取るわけです。
したがって、そういう深い
意味がある人事で、だとすれば、
日本政府としても、単に早く決まった方がいいとか、別にあの人問題ないんじゃないかとか、そういうのじゃなくて、そういうことを見抜いた上で、見抜いた上で、私たちとは立場は違うかも分かりませんけれ
ども、それはそれでアメリカの筋が通っているということで
判断されて支持されるというのは分かるんですけれ
ども、何となくじゃなくて、私はそこまで見ているものですから。特に、
谷垣大臣は昨日も次期総理という声がかなり出る方ですし、ただ、私、四年間ここに座っておりますけれ
ども、
大臣替わるたびにそういう声は出て、出なかったのは塩川
大臣ぐらいだと思いますけれ
ども、そういうこともありますけれ
ども、見識のある方だというのは立場は違っても思っておりますので、そういうちょっと分析をした上で、支持するかどうかというのはきちっとお考えいただくべきではないかと思いますが、いかがでしょうか。