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政府参考人(
奥田修一君) この着工統計における公共建築工事と民間建築工事の価格差につきましては、私
どもも国の建築物を整備しております立場ですので非常に強い
問題意識を持っておりまして、その分析、内容の分析についても試みております。
そもそも官と民の価格差そのものがどういう原因だということにつきましては、先般の
委員会でも御質問がありましたが、公共建築物と民間建築物はその整備目的が異なることから、その用途あるいは構造種別の比率に違いがありますので、そういったことに起因して価格差が生じているものというふうに
考えております。
先生今御
指摘の、バブル以降何でこういう格差が開いているよ、じゃないかということに関しましても分析を試みておりますけれ
ども、まずやはり民間のバブル前後の大きな上下、これにつきましては、当然のことながら需給
関係が激変というか逆転というか、そういうことによって民間建築物が大きな影響を受けているという
状況があると
思います。
それがこの差にどういうふうに影響しているかということですけれ
ども、例えば、特に民間特有、官庁では余りない種類の建物ですけれ
ども、店舗ですね、店舗などは非常にバブル崩壊の影響を受けて単価が非常に大きく下がっております。ピーク時は二十万ほどあったものが、その後十万ほどまで、半分に下がっているというような状態でございますので、
一つの要因として、そういう民間特有のそういう商業建築、バブル崩壊の影響を受けているものが非常に下がっているというのが、この開差を生じている
一つの原因ではないかと思っております。
それから別の
観点から、バブルの前後で、いろんな用途の建物があるわけなんですけれ
ども、そういう割合というかシェアが変化しているかどうかというのも調べておりますけれ
ども、官庁、公共建築ではバブルの前後では用途の変化は余り大きくございません。ただ、民間建築物で申しますと、例えばバブル前は事務所建築の割合が大体一五%程度あったんですけれ
ども、バブル崩壊後は七、八%ということで半減をしております。実は、この事務所建築というのは建築の種類の用途の中でも単価の高い種類の建物でございまして、平均単価よりは数万円高い建物です。ですから、こういう単価の高い建物の比率が減ってきているということで、それも
一つの民間建築の単価を押し下げているという要因になっているんではないかというふうに
考えております。
逆の
観点から、公共建築がバブル以降値上がりするような要因があったかどうかということも検討しておりますけれ
ども、これにつきましては、公共建築全体というよりは、あくまでも私
どもが国の建物を造るときに施策として取り組んできておることですけれ
ども、三つほどありまして、
一つは阪神・淡路大震災以降、防災拠点施設を整備する場合には耐震性能の強化というのを図っております。これが
一つの押し上げ要因。それから、税務署とか職安とか、そういう窓口を持つ庁舎については更にバリアフリー化を推し進めるということで、これも
一つの要素。それから、特に最近、地球環境問題ということで環境負荷低減のために対策を取っている、こういった要素も
一つとして単価を上げる要因にもなっていると
思いますけれ
ども、これらにつきましては、公共建築全体が同じ一斉にやっているとか、民間建築は全然やってないという話ではございませんので、どの程度こういうことが寄与しているかというのは、必ずしも明らかでないところでございます。
以上のような要因でそういう差が生じているのかなということで、今現在の分析の結果からは
考えてございます。