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藤野公孝君 自由民主党の
藤野公孝でございます。
質問を行います前に、亡くなられました百七名の
方々に対しまして心からの御
冥福をお祈りいたしますとともに、今なお負傷して苦しんでおられる方の一日も早い御
回復をお祈りいたします。
まず、
垣内社長にお尋ね申し上げます。
私は、今回の
事故が
発生いたしましたその当日の
夕刻と昨日、今、
田村委員から
報告のありました昨日の
委員会での
調査と、二回
現地を訪れました。最初の四月二十五日の
事故当日は、私が訪れたのはもう
事故発生から九時間以上たった
夕刻でございました。しかし、その
現場の真っただ中に立ちますと、これがいわゆる
列車の転覆
事故かと思う信じられない光景でございました。
どういう意味かといいますと、もうまるであの九・一一のテロじゃありませんけれ
ども、飛行機か何かがあのビル、
マンションに向かって突っ込んで、飛び込んでいったような、もう
列車の
事故とは思えないような、そういう凄惨な光景を目の当たりにいたしまして、ただただ茫然といたしました。本当に想像を絶する、こんなの見たことないと、こういう感じでございました。
しかし、昨日参りました。きれいに片付いておりました。本当に平和な静かな日常がそこにありました。しかし、あの、今御
報告にもありましたように、
事故で命を奪われた
方々の人生はもう取り返しが付かないし、それに巻き込まれた御
遺族の人生もめちゃくちゃになってしまいました。あの静けさが本当に異様に、逆に気持ち悪いぐらいに思えた次第でございます。何でこんなむごいことが起こったのかと改めて感じずにはおられませんでした。
今、
社長も、御
遺族の
方々あるいは御負傷なさった
方々のところに伺われて、非常に厳しい、我が子を返せといったような
言葉を掛けられているという、大変つらい、きつい
思いをされていることはよく、私よりももっと厳しい気持ちでおられると
思いますけれ
ども。
今回、その静かな平和な、きれいな跡地の場所に、
レール等は撤去されておったんですけれ
ども、一本標識が残っておりました。いわゆる
制限速度七十キロ。あれを見たときに、本当にむなしい、悲しい
思いを私はいたしましたが、御同行の
委員の先生方にも似たような気持ちを持たれた先生もあられると
思います。この七十って何なんだと、何の意味があったんだと。私は本当に、怒るというよりも、本当にむなしいというか、情けないというような気持ちになったものでございます。
垣内社長、私は、
JR西が、先ほどおっしゃいましたように、あの一九八七年の
JR、要するに国鉄民営化以降の、本当に
国鉄時代の旧弊を脱して、いわゆる私鉄王国と言われるあの関西の
鉄道業界で、より多くのお客さんに
JRに乗ってもらおうと思って
努力されてきたことを、この
事故があったからといって全否定する、けしからぬという一刀両断の下に切り捨てるつもりなんか毛頭ありません。事実、ちょっと私も今日
質問があるというので調べたんですけれ
ども、民営化の当初の大手、阪急、南海、阪神等大手五社のシェアと
JRのシェアを比べたときに、
JRはわずか五四%だったそうです、もし統計が正しければ。それが、いろんな
努力もあって、最近では八九とか九〇%ぐらい。もう互角の戦いといいますか、そこまでいろいろサービス改善等をして、お客さんを乗ってもらう、利用を増やしていくということをなさってきたことは、本当にその数字を見ても明らかなわけであります。いわゆる
運転回数を増やして便利にして、所要時間も短縮して、しかも定時性をきっちり守らせると。最近はやりの
言葉で言えば、一種の三位一体のようなことを同時に実現しようとして
努力をしてこられた。その結果が過密ダイヤでございます。
JR福知山線といいましょうか
宝塚線、
宝塚から
尼崎まで、
宝塚線で見ましても、民営化当時、一日わずか九十数本、九十三本ぐらいだったそうであります。たった九十三本だったダイヤが、今何本になりましたか、四倍の三百七十本近くになっている。これもデータが間違っていたらごめんなさい、私が調べた感じではそうなる。四倍近くになっているんです。これはすごい
輸送力の増強であり、ダイヤの緻密化であります。
しかも、阪急
宝塚線と競合している
宝塚—大阪あるいは
梅田間を見ますと、今まで全然話にならなかったのが
宝塚、阪急の方で三十分掛かる、最速で三十分掛かるところが二十三分で行くと、七分早いと。運賃は高いけれ
ども、七分早いというのは大変な競争力でありまして、お客もどんどん
JRの方にシフトしているというようなことも伺っております。
しかし、これだけ短期間にダイヤを稠密にし、スピードを上げ、かつ定時性を守らせると。神業のようなダイヤですよ。本当にこれ、普通の人間がこれを守れるかぐらいの、本当にもう極限のダイヤのようなものをつくっておられます。それを本当に安全だと、安全が大事だということでやろうとすれば、素人の考えかもしれませんけど、よほどしっかりした安全のバックアップシステムがないと、私はそれはなかなか、常識で考えても、いつ何どきどんなことが起こるか不安でしようがない、こういう状態じゃなかろうかと思うわけであります。
事故現場へ行きましたけれ
ども、
半径三百メートルのカーブというのは、もっときついのがあるよなんて言われましたけど、私がちょっと見たら相当きついカーブです。これは、設置義務があるとかないとかというようなことを超えまして、やっぱり今のような高速化、過密化、定時性の
確保、いろいろのことを考えたときに、どうして、少々無理をしてでも、
ATSというか安全バックアップシステムというものを
整備しようということを
会社全体としてもうちょっと真剣に取り組まれなかったのか、もう今不思議でならないというような感じでございます。
大臣も申されておりますように、安全は最大のサービスであるということではもう論をまたないわけでございますけれ
ども、この
事故を契機にいたしまして、今
大臣のお
言葉にありましたように、
国民の信頼を
回復するためにも、
JR西日本として、
原因が出るまで何もしないんじゃなくて、その
原因の
調査を待たずして、できることから直ちに手を打つべきであると
思いますけれ
ども、今回の反省も踏まえ合わせまして、もう一度
JR西日本の
会社としての基本認識をお聞かせいただきたいと
思います。