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2005-02-09 第162回国会 参議院 国際問題に関する調査会 第1号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年二月九日(水曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員氏名     会 長         松田 岩夫君     理 事         山東 昭子君     理 事         世耕 弘成君     理 事         野上浩太郎君     理 事         直嶋 正行君     理 事         山根 隆治君     理 事         加藤 修一君                 大仁田 厚君                 岸  信夫君                 小林  温君                 末松 信介君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 長谷川憲正君                 水落 敏栄君                 大石 正光君                 大久保 勉君                 工藤堅太郎君                 佐藤 雄平君                 田村 秀昭君                 藤末 健三君                 前田 武志君                 浮島とも子君                 澤  雄二君                 大門実紀史君     ─────────────   出席者は左のとおり。     会 長         松田 岩夫君     理 事                 世耕 弘成君                 野上浩太郎君                 直嶋 正行君                 山根 隆治君                 加藤 修一君     委 員                 大仁田 厚君                 岸  信夫君                 小林  温君                 末松 信介君                 中川 雅治君                 二之湯 智君                 長谷川憲正君                 水落 敏栄君                 大石 正光君                 大久保 勉君                 工藤堅太郎君                 佐藤 雄平君                 田村 秀昭君                 藤末 健三君                 前田 武志君                 浮島とも子君                 澤  雄二君                 大門実紀史君    事務局側        第一特別調査室        長        三田 廣行君    参考人        慶應義塾大学法        学部教授        同大学東アジア        研究所所長    国分 良成君        ジャーナリスト  孔   健君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○参考人出席要求に関する件 ○国際問題に関する調査  (「多極化時代における新たな日本外交」のう  ち、日本アジア外交日中外交回顧と今後  の課題)について)     ─────────────
  2. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ただいまから国際問題に関する調査会を開会いたします。  参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  国際問題に関する調査のため、今期国会中、必要に応じ参考人出席を求め、その意見を聴取いたしたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  3. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 御異議ないと認めます。  なお、その日時及び人選等につきましては、これを会長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 国際問題に関する調査を議題といたします。  本日は、本調査会調査テーマである「多極化時代における新たな日本外交」のうち、日本アジア外交に関し、日中外交回顧と今後の課題について参考人から御意見をお伺いした後、質疑を行います。  本日は、慶應義塾大学法学部教授・同大学東アジア研究所所長国分良成参考人及びジャーナリスト孔健参考人に御出席いただいております。  この際、一言ごあいさつを申し上げます。  両参考人におかれましては、御多忙中のところ本調査会に御出席をいただきまして、誠にありがとうございます。  本調査会では、日本アジア外交について重点的かつ多角的な調査を進めておりますが、本日は、日中外交回顧と今後の課題についてお二方から忌憚のない御意見を賜りまして、今後の調査参考にいたしたいと存じますので、何とぞよろしくお願い申し上げます。  本日の議事の進め方でございますが、まず国分参考人孔参考人の順でお一人三十分程度で御意見をお述べいただいた後、午後四時ごろまでをめどに質疑を行いますので、御協力をよろしくお願いいたします。  なお、御発言は着席のままで結構でございます。  それでは、国分参考人から御意見をお述べいただきます。国分参考人
  6. 国分良成

    参考人国分良成君) どうもありがとうございます。ただいま御紹介をいただきました慶應義塾大学国分でございます。  本日、国際問題に関する調査会にお招きをいただきまして非常に光栄に思っておりますし、また非常に重責であるというふうに強く感じているわけであります。と申しますのは、日中関係が非常に複雑な様相を呈しております。そうした中で、我々は一体日本として中国とどう付き合っていくのかというのは非常に重要な段階に差し掛かっているというふうに思います。そういう意味では、こうした機会を与えてくださったことを厚くお礼申し上げたいというふうに思います。  お配りいたしましたレジュメは、ゆっくりお話しいたしますと三時間ぐらい掛かりますので、三十分ということですので、本日は、とはいいましても四時までの長丁場でございますので、かいつまんでまず私のポイントをお話しして、後の質疑応答の中で、またこのレジュメにかかわることについては触れることになろうかというふうに思います。  私は、今の日中関係がいいのか悪いのかと、まあこれは非常に主観的な判断になるわけでありますけれども、一般的にはとにかく悪いという、こうした評価になっているわけであります。それはどこを指して悪いのかということになるわけでありますが、具体的な大きな問題が今あって大変なことになっていると言えば、もちろんそれを挙げることは可能でありますけれども、また別の側面では、日本にとって中国最大貿易パートナーになった。世界の中でアメリカを抜いて中国最大貿易相手国になったと。中国から見てみると日本は上から三番目であると、こういう構図ができ上がってまいりました。日本の今の景気回復も当然中国との貿易関係しているわけでありまして、その今申し上げた貿易の増大ということで増えているのは輸出でありますから、現在中国に対する輸出の方が多くなっているわけであります。という意味日本景気回復に大きな意味を持っている。  そういう意味では、日中関係経済側面あるいは文化的な側面様々交流を重ねているわけでありますけれども、しかし、今いわゆる国民感情というようなテーマが出てきておりますが、つまり日中関係というものが非常にこうぎくしゃくとしたものになってきているということであります。それを今日は御説明申し上げるということで、一応ここにお話ししたいことはもうすべて網羅しているわけであります。つまり、日中関係構造全体をお話しして、一体どういうことなのかということであります。  私の結論は、日中関係はしばしば靖国の問題ですとかこういうことで議論されるわけでありますけれども、もう少し構造的な問題があるんだというふうに私は思っております。日中関係そのものが大きく今転換期を迎えつつあるというところで新しい形の関係構造が見付からないということだと思っています。それは、一九七二年にできたこの日中関係の新しい形が、それが、そのときでき上がった枠組みが現在ではかなり構造的に現状に合わなくなっている、こういうことを私は申し上げたいわけであります。  したがいまして、私の本当の意味結論は、恐らくこれは長期的に構えなければいけない、そういうテーマであるというふうに思っております。恐らく今日あしたで解決するテーマではありませんし、恐らく首脳交流があればあったにこしたことはありません。もちろんこれは望ましいことでありますが、それによって恐らくある程度の緩和はできるでしょう。しかし、もう少し長期的に構えていかないといけないという部分についてもお話ししてみたいと思います。  日中関係が今どういう状態にあるかということ、日中関係が非常に悪いというのは、これは我々の認識でもそうでありますけれども、しかし世界じゅうがこれをほぼ常識化してきているということですね。つまり、世界がこの数年、どの雑誌どの新聞でも日中関係はもうどうしようもなく悪いということを特集で組んできたわけであります。それがもう疲れて、最近ではほとんどそのような記事すら出なくなったというのが日中関係の今の世界における位置付けだと思います。日中関係は恐らくもう当分改善しないのではないかという、そうした見方がかなり世界では強くなってまいりました。  起こっている現象は、言うまでもなく中国の台頭ということであります。中国存在感が日に日に大きくなってきていると。その中で日本中国様々その対立を起こしているということが一体どういうふうに世界から映るかということ、これもやはり我々にとっては気になるところであります。日本自体が今世界的な存在感というところにおいて様々議論があるところであります。そういう意味でいきますと、その中国との様々なあつれきみたいなものがどう映っているかということもやはり考えなければいけないというふうに思っておりますので、世界で特集されるそういうものを見ていきますと、そろそろこうした状況を卒業していかなければならないと私は思っています。  しかし、日中関係は非常に複雑だというのは、それぞれの内政と密接に結び付いているというのが、「はじめに」に書いてある、つまり「日中関係小泉政権」であります。今では、例えば靖国に参拝するしないということについては、アンケート調査を見ますと大体もう半々かあるいはもう行ってもいいということの方が多いかと思います。で、その中国がこれに対して様々言ってくること、これに応ずるべきだという人はほとんどいないわけであります。つまり、中国が言ってくるということに対して、我々はこれはやっぱり我々の問題であるということでもって対応する、そういう傾向が強いわけでありますから、つまりこの問題そのものも、かなり小泉政権あるいはこうした日本政局あるいは政治的現実、そういうものと非常に密接に結び付いているという、そういう事実があるわけであります。  同じことは実は中国にも言えるわけでありまして、胡錦濤政権も私の見るところまだそれほど盤石ではありません。まだまだ党内にはいろんな勢力がおりますし、同時に中国政治そのものが極めて多元化していて、そしていろいろな利益集団が出てきているわけであります。軍の発言力もかなりあると。そうなってまいりますと、胡錦濤政権自体が安易にその発言をすることもできないという現実があるわけでありまして、つまり、日本と親しくし過ぎること、あるいは親日という言葉意味、これが中国においてはかなりネガティブになりつつあるわけですね。そうなってまいりますと、胡錦濤政権幾ら日本とうまくやりたいと思っても、それを強調し過ぎるとかえって国内において問題を起こすという、こういう現実があるわけであります。したがいまして、国内政局あるいは政治的現実日中関係が密接に結び付いている結果として、簡単にはこの日中関係だけの問題として考えられなくなってきたという、そういう問題があるわけであります。  そこから後、私が出してきている項目はすべて一つ一つが大事なテーマでありまして、これ自体でとても何分かでお話しできることではありません。結論だけ申し上げていきたいと思います。  まず、相互イメージということ、つまりお互いお互いをどういうふうに認識し合っているかということであります。これについては、皆様にお配りした資料のイメージ調査のところをごらんいただければお分かりかと思います。中国に対する親近感日本中国関係をどう思うかと。これは内閣府の昨年秋の調査であります。これがもちろんニュースになったわけでありまして、日本の対中国観は非常に悪化しているということがあります。これはちょうどアジアカップのサッカー、あれがあった後の、すぐ後の調査でありますので、非常に親近感が落ちるという、そんな現実があるわけです。それから、日中関係がいいか悪いかということについても、非常に良くないというのが多いわけであります。  ただ、この親近感の数字をどう判断するかということになるわけですが、日中関係だけで考えてみますと、これは昭和五十五年がピークであります。昭和五十五年と申しますと、一九八〇年。一九八〇年に中国イメージが最も良かった。この年はアメリカを抜いております。それだけの関係がどうしてできたのかということでありますけれども、当時、直接投資はほとんど少額しかない、人の接触も非常に少ない。つまり、そのときあった日中関係というのは非常に薄いものでありました。しかし、イメージだけは先行したということは、つまり実態が伴っていないということであります。そのときの様々テレビ番組であるとか、あるいはパンダが影響したとか、いろいろありますけれども、結局のところ、そこにあったのは直接的な接触ではなかった。それが接触が増えていくに従って徐々にイメージが悪化するという、そういう現実があるわけであります。  その転換になったのが、これが平成元年十月、天安門事件の直後であります。天安門事件から急激に現実中国を見たということになったわけでありまして、つまり、中国との接触という点でいきますと、一番増えたのは一九九〇年代であります。直接投資貿易あるいは人の交流、これは飛躍的に伸びたのは一九九〇年代でありますから、その接触を繰り返すことによって中国が理解できなくなってきたということに、これが象徴的に表れているわけであります。  ということで、私が申し上げたいのは、接触が増大し相互依存が拡大すればするほど、お互い認識、この場合中国は一体どうなのかというのがその次に書いてあるわけですが、ただ、その前に、今ある中国についての像ということになりますと、中国が台頭し、軍事的にも台頭し、中国日本を凌駕するという、そんなような一種の脅威感みたいなもの、あるいは中国政治はよく分からない、不透明だというようなこと、あるいは犯罪が増加している、これはもう中国人犯罪が増加している、これによって非常に恐怖感がある。こんなようないろいろなイメージみたいなものが重層的に重なってきているというのは、これはつまり接触が増えた結果という、そういう皮肉な結果もあるわけであります。  中国の対日イメージも、もう実は、悪化しているというよりは実は調査はほとんどないわけでありまして、調査があるのは一九九〇年代に入ってからであります。一九九〇年代も後半に入って、というよりは、ほとんどあるのは散発的にあるだけでありまして、いわゆる国民感情という概念そのものが最近のことであります。つまり、中国人にとっての日本というのは、基本的には、これはまあ中国人というよりは中国指導者が基本的に対日政策をすべて運用してきたわけでありますから、一人一人の対日観がどうであるというようなところにまでは実はいっていなかったわけであります。  それが中国自身が社会的に多元化し、あるいはインターネットで声が大きくなり、そういう時代の中で国民感情という、括弧付きでありますけれども、つまりインターネットでかなり騒いでいるような言論がこれが世論かということになってまいりますと、これまたおかしいわけでありますので、そういう意味では括弧付き国民感情でありますけれども、そういう状況なんだということ。  ただ、中国のもう少し丁寧に最近のアンケート調査を見てみますと、確かにイメージは良くないかもしれないけれども、しかし例えば、日本と聞いて何を思い出すかというときに連想するものが、それが桜であったり富士山であったり、もちろん日本中国侵略、こんなのも入ってまいりますけれども、むしろ多いのが桜であったり富士山であったりという形で、非常に古いイメージのままで動いていないという、こういう現実もあるわけであります。  ということは、つまり、日本に対する関心も正直なところどれだけあるのかということになりますけれども、同時に、日本に対する理解も非常に浅いということになるわけでありまして、そういう意味では、お互い接触が増えて、そのことによってお互いが理解できなくなってきているという、そういう状況があるということをまず御理解いただきたい。  そこには、私は、二番目のところに書いてございます七二年体制というものが大きく変わってきている、しかしながら、その新しい姿が見えてこないということであります。その一九七二年体制と私が呼ぶものは、そこに書いてございます四つの要因を持っているわけであります。  まず第一には、国際秩序が変わったと。国際秩序が変わったというのは、一九八〇年代は中国に対するイメージが非常に良かった。中国国防費も増大させるし、あるいは核実験もやるし、人権もかなり問題が多かった。しかし、当時はソ連というものがより日本にとっての大きな対抗目標でありました。同時に、アメリカとの関係においても、アメリカ中国に対して武器を売却するというのが八〇年代であります。天安門事件以降、これを停止しておりますけれども、八〇年代はかなりの軍事協力をいたしました。そういう米中関係、これはソ連対抗目標にしていたということになるわけです。  つまり、ソ連が崩壊し、冷戦がすべてこの地域で消滅していくというプロセスかと思ったんですが、もちろん冷戦は完全にはまだこの地域では終結しておりませんけれども、いずれにしても中国存在感が際立ってきたと。つまり、台湾海峡危機などあり、中国脅威論などが生まれ、つまりソ連の後、この日米中関係というものが非常に不安定になってきたと。  つまり、八〇年代までは日米中関係は非常に安定していたと、これは軍事協力までやっていたわけでありますから。それが結局のところ、構造が崩れてきた。つまり、中国をどう認識するかというのが第二番目であります。  つまり、七二年体制の下では、中国が閉鎖的な体制に戻っては困る、文化大革命のようなああいう中国では困る、中国国際社会に引き上げることによって、そして中国が後戻りしないようにするというのが七二年体制の合意でありました。つまり、中国近代化路線に持っていくと。その背景から実は日本のODAがスタートしているわけです。これは大平政権のときでありますけれども、つまり中国をいかに向こう側に持っていかせないかということが判断の一番強い背景にあったわけであります。  それが中国が八〇年代、計画経済市場経済かで大論争をやり、そして行きつ戻りつやりながら天安門事件を経た。ソ連が崩壊したという瞬間から中国はすべて切って、市場経済路線、つまり経済さえやれば国は安定するということになったわけであります。これはトウ小平さんの決断だったわけでありまして、つまり中国位置付けというものが天安門事件を経ても我々は基本的には変わっていません。つまり、中国が後戻りしては困るということ。そして、つい最近までWTOの加盟というものまで中国を後押ししてきた。これはつまり中国というものを市場経済あるいは我々の側に引き止めておくという、こういう作業だったわけであります。  それが中国が、特にこの九〇年代の後半以降あるいは二〇〇〇年代に入ってからと言ってもよろしいかもしれませんが、経済成長してきたと、物すごい台頭してきたということであります。もちろん、今でも中国GDP日本GDPに比べれば三分の一ぐらいであります。よく中国では言いますけれども、十三億掛けると数が大き過ぎると。十三億で割ると数がちっちゃ過ぎると。そう考えますと、中国GDPというものをどう考えるかというのは、これは日本との単純比較は成り立たないというふうに思いますけれども、いずれにしても、中国をどう位置付けるのかという、そういうテーマであります。  そのときに世代交代が起こっているということですね。これは恐らく政界もそうだと思いますし、研究者世界もそうだと思います。あるいはビジネスの世界もそうでしょう。かつては戦争を二度と起こさないというところで、友好という言葉のこの効力があったわけであります。それによって、日中友好ということでその関係はどうにかしようと。しかしながら、今はもう世代交代が完全に進んだわけでありまして、よりリアルな関係になってきていると。しかも、戦争からかなり時間もたっている。戦争を経験した人はもうほとんど今の一線級にはいないということになってまいりますと、その問題がかなり薄れていくわけでありますけれども、しかし中国共産党から見ますと、中国共産党の正に独立の論理、あるいは中華人民共和国の国是そのもの抗日戦争関係してまいりますから、これを忘れるわけにはいかないと。こうした世代交代というポイント一つ大きな分かれ目になるでしょう。  もう一つは、台湾問題であります。  台湾問題も、かつては台湾というのが実質的に国民党の一党独裁政権であり、かつての台湾と今の台湾はもう全く違う台湾になってきたわけであります。それは一九八〇年代の後半以降、急激な民主化を遂げたわけでありまして、そして昔の国民党はもう既に政権を下野しているわけであります。そして、今やだんだんと少数政党になってきているという現実があるわけでありまして、となってまいりますと、台湾というものも七二年体制とは全く変わってしまって、つまり、台湾との関係については、一つ中国をこれを変えないということは、ここの原則は変わらないわけでありますけれども、しかしながら台湾そのものが変わってしまった。台湾住民の意思をどう評価するのかということであります。  というようなことで、私が申し上げたいのは、七二年体制がこれだけ大きく変わってきたということ。ですから、この新しい構造をどう作り上げていくかということのポイントは、恐らく新しい世代になってきた、そのときに中国を我々はどうとらえていくかと。中国ももちろん日本をどう見るかということをきちんとやってもらわなければならないということだろうというふうに思うわけであります。  争点につきましては整理してあるだけでございますので、簡単に一言だけ、一言、二言で整理していきたいと思いますが、歴史問題は御承知のとおりであります。教科書問題、靖国問題あるいはその賠償の問題、それから様々、閣僚による不規則発言とか、まあそんなことが歴史の問題に関連してはこれまであったということを申し上げたいわけであります。  今では靖国の問題が最も大きなテーマになってきておりますけれども、中国自身もこれについては様々内部議論があります。内部議論があるというのは、つまり外交部もかなり今、中国の中では苦しい状況にありますので、かなりその外交部そのものがインターネット上でたたかれるという現実はあるわけでありますから。  外交部自体もそんなに日本に対して甘くはできないという部分もあるわけでありますが、その靖国の問題に関しても、つい最近、胡錦濤氏とそれから小泉首相との会談がございましたけれども、チリでございました、APECで。そのときに、胡錦濤氏が若干発言を加えたのは、それは、日本の兵士も含む、一般兵士を含む、その日本人民も犠牲者であると。そういう言い方をしたのは多分初めてだろうというふうに思いますけれども。  そういう形で中国自身も非常に議論があって、この問題だけで拘泥している、このようなことによって関係が進まないということには問題があるということは認識があるようでありますが、ただ、先ほどから申し上げているように、これ自体がもうシンボル化しておりますので、日本でも中国でもこの問題を譲歩できないという国内的な事情ができ上がってしまったと、ここからいかにこう脱出するかということが非常に難しくなってきているという、そういう事実があるわけであります。  台湾問題については、これも過去いろんなことがございました。七〇年代の日中航空協定の問題から光華寮裁判の問題、あるいは李登輝総統の、前総統ですね、これは。前総統の訪日問題というような問題がありました。この李登輝前総統の訪日もつい最近またありましたけれども、ただ、まあこの辺も、どうしてこんなに大きく取り上げられたのかというのも何となくよく分からないんですけれども。辞められた方ですから、ほぼ特に問題はないと思いますけれども。  このことも、ただ中国の、例えば陳水扁氏が、陳水扁現職の総統がつい最近もグアム島に立ち寄っているわけですよね。あるいは昨年夏もシアトルに立ち寄ったりしているわけですよね。そして南米に行ったりしているわけです。つまり、アメリカに立ち寄っているわけですよね。ところが、中国の反応はゼロでありますし、もちろんアメリカのメディアもゼロです、書くのは。全く書いていません。ですから、だれも知らないんですけれども。しかし、現実には現職の総統がアメリカに立ち寄っているわけで、特に最近はグアムに立ち寄っているわけですけれども。もちろんアメリカの国務省と中国ではかなりやり合ったと言われていますけれども、しかしほとんど問題になっていないわけですね。  前総統がどうしてこんなに問題になる。もちろんメディアが書くということはあります。そうなると、どうしても対抗し出すというのもあるわけですけれども、そういうようなちょっとアンバランスな状況が生まれていると。また、いろんな問題に過敏になり過ぎるというところもお互いにあるという感じがするわけであります。  ですから、アメリカに対しては非常に今、何といいますか、ソフトな政策、非常に柔らかい政策を取るというのが基本方針でありますから、これはいろんな背景ありますけれども、今日お話ししている余裕はありませんが、まあそんなことであります。  いずれにしても、この台湾問題というのは今後も様々に揺れる可能性があるということはありますが、ただ、今台湾の動きを実質的にブッシュ政権が抑えてくれているという現実がありますので、中国にとっていいますと、ブッシュ政権を基本的に支持するということで、ブッシュ再選を実質的には喜んだというのが中国の対応だったわけであります。それは、台湾中国が抑えようとすると中国脅威論が生まれると。それを今、イラク問題、テロの問題で忙しいアメリカにとってはこれ以上問題を付け加えられたら困るということでありますから、台湾が余りにその独立傾向を強めることに対してブッシュさんが結構クレームを言うという現実があるわけであります。  そのほかにも様々ありますけれども、これは時間の関係で一応割愛させていただきますけれども、まあ基本的にはよく言われるように、歴史と台湾ということになるのかもしれません。  日中関係の現状については、ここに書いてございますように、いろんな問題があります。その問題を挙げますと、ここに書いてございますように、ありますけれども、特に最近では、アジアカップでの反日の行動とか、そういうことがありましたけれども、ただ、まあそれも全体の中でどうとらえるかということが大事でありますし、それから、同じ重慶でその直後に今度は社会不満の暴動が何万人規模で発生しているわけですね。今ではもう中国で社会不安による暴動はもう至るところで起きているわけであります。  そういう点で考えますと、まあ一つのいい契機になって、日本というところで一つターゲットになってしまったということかなというふうに思うわけであります。そういうことで、ただ単に反日だけではない、その背後にもいろいろなことがあるだろうなというふうには思います。  ただ、中国はイラクの自衛隊の派遣に関しては一言もまだ非難をしてこないという、そういう現実がずっと続いておりますし、できるだけ最近はテーマを抑えるということは続いております。最近は、どうも私の見るところ、日本に対する論評そのものを控えると。つまり、日本とかかわり合い過ぎて、日本のことは関心はあるけれども、今やり過ぎて逆に国の中で非常に苦しい立場に置かれるというのも困りますから、どうも日本問題をちょっと距離を置いているという感じがいたします。ですから論評そのものが減ってきておりますし、ただ、出てきている様々な公式の記事は比較的、対日、今ソフトなものが多いということが言えるのかなというふうに思います。  ただ、いずれにしても、根底的には問題がありますし、その「その他」に書いてございます東シナ海の海洋資源の問題、これももちろん二〇〇〇年から始まっているわけでありますから、今騒いでおりますけれども、今お互い大きな問題になりましたけれども、現実には恐らく二〇〇〇年から起こってもよかったわけですが、こういう問題ですとか、原子力潜水艦の問題、これもどうしてこの時期に、しかも胡錦濤氏とそれから小泉首相がチリで会見をするという直前に何でこんなことをしたのかということ。それはつまり、胡錦濤氏はほとんど把握していなかったというのが現実だろうというふうに思います。  そういうことを考えていくと、中国の政策決定の中もかなり揺れている。シベリアのパイプライン等の問題については、また質問がございましたら後ほどお答えしたいと思います。  いずれにしても、最後にまとめとして申し上げたいのは、とにかく対中戦略といいますか、中国とどう付き合うのかということの腰をとにかくしっかりと固めないといけないということであって、これは恐らく短期的にはできはしないだろうということであります。  我々中国研究やってきたような人間にとってみますと、二十年も三十年も中国を見てまいりますと、中国との付き合い方、あるいは中国をどう見るかというのが大体分かってまいりますけれども、先ほどのアンケート調査を見ても分かりますように、つまり中国をどう理解するかというのは簡単なことではありません。その時間が恐らく必要であるということはそのとおりでありますし、そのために研究基盤、中国研究そのものももう少しやはりしっかりと作っていかなければならない。これは恐らくアジア戦略という、あるいはアジアとの付き合い方の問題、その辺に大きくかかわってくるというふうにも思います。  二十一世紀委員会というのがございますが、ここで日中共同基金というのを提案いたしました。これ自体が今かなり前に進みつつありますので、こうしたことは、これは共同基金でございますので日本だけが出すわけではなくて、日本中国で出し合ってその共同基金を作り、共同の研究であるとかあるいは交流一つの柱にするということであります。  あとは人的なネットワークであります。その人的なネットワークは、正直申しますと、私は、経済界ではもちろん今、中国との交流の中で大変なことになったり、もちろん問題もたくさん抱えながら、あるいは成功している人もいますけれども、いろいろあるわけであります。しかしながら、私が申し上げたいのは、そういう層、あるいは有識者、知識人のレベルもそうですけれども、かなりいろんなもうネットワークがあるわけであります。官僚レベルでもかなりあるかと思います。地方レベルもかなり交流が盛んであります。そういう意味では、是非トップの、政治世界の正に最も重要な場面におられる皆様方の、何といいますか、中国との付き合い方あるいは交流というものをどうするかというそのネットワーク、これが非常に重要であるということを私は最後に申し上げておきたいというふうに思います。  以上で私のお話を、少しオーバーいたしましたが、終わります。
  7. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ありがとうございました。  次に、孔参考人から御意見をお述べいただきます。孔参考人
  8. 孔健

    参考人(孔健君) 皆さん、ニーハオというかこんにちは。御紹介いただきました私、孔健と申します。  今日は、こういうところで中国について、私の方は日本中国の外交関係について、ちょっと私の方は国分先生と違いまして、先生の方は中国政治の研究していますから、私の方はただ一ジャーナリストというか、それ、今皆さん手元に配っているチャイニーズドラゴン新聞の編集人として、私の方は日中関係についてこれから述べていきますと。  実は、私の方は今十一年目に入りまして、十年前に日本で初めてこういうふうにチャイニーズドラゴン新聞という新聞を作ったんですよ。当時、五年前か六年前、半年くらい議員会館が、参議院と衆議院の方に各ポストの方、半年にわたって毎週入れました。なぜというと、やっぱり中国日本の方は二千年の歴史の中にお互い交流といいながら、やっぱり日本語で出したメディアの方は十年前ないというところで私の方は創刊したんですよ、これ、チャイニーズドラゴン新聞と。  当時、コンビニやJRの、国鉄、JR線のところ全部流しまして、そういうところで今は、苦戦しながら十年間やってきまして、やっと中国の方はこの日に来ましたというところを、私はこの新聞十年間やって、よく日中関係の方はここまでなってきたのは、私の方は全然意外ということはないだろうと思っているんですよ。  例えば今日の一面で、中国の方の「両岸直行チャーター便運航開始」と。大陸航空機、五十年ぶりに台湾へと。「「三通」実現へ高まる期待」と。実は私の方から見れば、中国人ですね、このやり方というのは、五十年間を待って、やっと五十六年ぶりに飛行機通してこれから台湾と大陸の方の三通実現へ高まるというところまでいって、それから大陸と台湾の方握手して政治の問題解決に向かってやっていくと、そういう可能性の方はだんだん強くなってきましたと。  こういうところを私は中国の外務省の辺りで聞きましては、日本人の方は議員たちというか先生たちは結構、台湾と大陸の関係をよく発してくれる先生もいますと。しかし、中国台湾の問題の方は、日本人は、幾ら発しても頑張っても、政治家はちょっと、やっぱり中国人は漢民族だから、そういうところを、漢民族の問題は漢民族で解決しましょうという、私の外務省の友人から、そういうふうに教えてくれました、中国外交部ですね、教えてくれました。  というのは、こういうところを見ますと、私の方は、第一の問題というところは、やっぱり中国人の方はどの民族なのか。もちろん漢民族。中国人の方は、私の方から見れば全体、圧倒的に騎馬民族の方が多いんだと。皆さんどこへ行っても、中国の方はやっぱり大原というか、やっぱり大きな土地で大地というところありまして、やっぱり中国人の方は自然に恵まれてないから、そういうところ、中国人の方、昔ですね、やっぱり馬に乗って狩猟に行きますと。その自然の厳しいというところで生きているわけですよ。  もちろん中国人の方は人間は強いし、しんも強いし、大らかなところあるし、強さあると、忍耐も強いと。こういうところですね。やっぱり中国人が騎馬民族と。騎馬民族というと、これ、皆さんが想像すると、中国大陸、大陸のところ、自然の特徴からというと、ホァンサングァスィというと荒山悪水と。荒山というと、本当山の方ははげているから何もないと。特にシルクロード辺りの山の方に、シルクロード行くところですね、中国の黄河辺りの山を見て分かるように、みんな自然環境はすごく厳しいと。そういうところが中国人の方は、本当五千年の歴史の中に、毎日と言えない、私ども毎日、というところは自然と闘っているんですよ。自然と闘っているところで、日本の方は中国人から見れば農耕民族というか、島国の日本人と比べると中国人の方はある面で強いと、ある面で頑固なところがあるだろうと思っているんですよ。  中国人から見れば、やっぱり日本人の方は農耕民族。農耕民族というと、中国人の方はやっぱり山紫水明の世界と。山紫水明の世界のところは、日本人は自然に恵まれていると。日本人の方はどっちみち中国人から見ればまあ職人というか、物つくりの方は日本世界一だと。もちろん中国人の方は、物のコピーというかまねの方は世界一番得意な民族という、日本人を評価しているんですよ。  こういうところから見れば、やっぱり中国人は騎馬民族、日本人の方は農耕民族のところを、日本人の方は自然に恵まれているから何やっても成功するしかないと。中国の方は自然環境が厳しいから幾ら頑張っても、やっぱり人間が多いし、人口が多いですからですね。  それからもう一つの方は、中国人の方は日本とは違いまして、日本人の方は団体精神だから、中国人の方はどっちみちエゴイズムと。中国人はどこへ行っても血縁と地縁がなければ一緒に会社作らないし、一緒にも仕事しないし。中国人人間同士の方は、AとBとCの三人一緒になれば大体は砂になっちゃうと、ばらばらになると。中国人からいうと、日本人の方は三人そろったら絶対力になると。こういうところからいうと、やっぱり私の方は、日中関係ですね、騎馬民族の中国人と農耕民族の日本人の方は当然外交というところも違うでしょうと。  中国人の方はすぐ頭来ると。私の方は、実は去年六月、中国の外務大臣李さんから、たまたまチンドウ、青島のところでアジア外務大臣会議を行いまして、李さんの方は川口さんを引っ張って、早く靖国神社の問題を解決してくれと、そこまで、外交の場じゃないけれどもそこまで言ったんですよ。中国人からというと、なぜ、本当、テーブルの座っているところで言えばいいですけれども、ダンスとかパーティーのところでこういうふうに外交の対話を行っている。  もちろん、私の方からいうと、李さんは今、山東省出身というか、今外務大臣の方は、李肇星さんが彼は山東省チンドウの生まれ育ちですよ。唐家センさんは、前外務大臣、今国務委員の方は、彼は江蘇省の出身だからやっぱり発想と全然違うと。李さんはどっちみち私ども騎馬民族の方ですけれども、唐家センさんの方はやっぱり南の方の中国、南船北馬というところですよ。南の船というか、中国の方からというと江南水郷と言うと揚子江の江と南と。水郷の人だからやっぱり柔軟性があると。  こういうところを言うと、中国人の方は、日本人は何だと。日本人の方は昔、中国人から、こういうところを言うと私失礼だろうと思いますから、中国人のやっぱり我々の子供時代の頭の中に、日本人は同じ民族だと、同文同種だと。秦の始皇帝の時代ですね、秦の始皇帝の方は、五百人の男の子と女の子を連れて、日本という国があったと。それは、中国の歴史の中に、東のところ、二万里の海のところで日が出るところ日本だと。そういうところは書いてあるとおり、そういう伝説ありまして、中国人の方、我々の子供時代日本人に対して、やっぱり日本中国の方、同じだと。お互いに顔似ているし、それから言葉も似ているし、食事のところもはしも使っていると。  それ、中国人と、本当、我々の方は、戦争の話やめたら親近感中国人日本人の方は、韓国よりも、中国人ですね、韓国人よりも日本人に対して尊敬しているというか、私の方から言うと平等に付き合っているところですよ。  そういうところで、中国の外務省の方から、外交の方から、言葉見れば分かるんですよ。例えば、我々、北朝鮮の関係というと、唇と歯の関係と。唇歯相依というと、唇と歯の関係は北朝鮮との関係ですよ。ロシアの方から昔、中国の方に対してお兄さんという付き合いを、ロシアに外交的の地位がなっているんですよ。ベトナムの方は兄弟関係という、兄弟関係の社会主義、共産主義と言っているんですよ。日本に対して言い方は変わりました。日本の方は一衣帯水と。帯のところを水を付けられるくらいの関係だと。前後、ある面で、親戚でもないし友達でもないし、ただ道端で、ぱっ、この方会ったというところの感じなんです。それで一衣帯水というと隣人の関係ということになっているんですよ。  そういうことを見れば、やっぱり中国の方は、私の次の第三点のところ入りますと、国交というところを外交と言うと。今は、中国の国交というところは、皆さん言うんですけれども、中国の方は、今は御存じのように政治大国から、ともに日本と同じように総合的な大国を目指していると。もちろん、中国人見れば、日本経済大国ですから、お互いに、殊途同帰という言葉あるんです。道が違うんですけれども帰着するところは同じという意味ですよ。両国関係、いまだに皆さん見て分かるように、お互いにやっぱり脅威と感じているし、不満、お互い。それから、競争の相手になっていると。それの第一の原因の方は、実は両国の地理的の距離が非常に近くで協力交流に便利であるということで、それ、お互いに過敏なところ、過敏になりやすいところもあるんですよ。  第二、歴史の問題だと。それ、靖国神社の問題というと、中日関係の悪化の反映であると。それは原因では、中国の方からいうと、やっぱりすべての原因じゃないけれども、中国人の方はやっぱり感情的の爆発になっていると。この爆発のところは、反映しているのは、特に中国は今、二十代、三十代の若者ですよ。  さっき国分先生言ったように、今ネットの世界だから、何でも、中国、若者、スピーチの発言できるんですよ。もちろん、打倒中国共産党とか中国共産党悪いということは若者は余り言えないから、大学のところも、皆さん言うともう分かります。例えば、中国共産党悪いというスローガン書いたらすぐ逮捕される。ただ、日本悪いと出したらだれも文句言わないというところですよ。私の方から言うと、やっぱり中国の方は、今の若い人たち、特に二十代、三十代の方は強い日本を知らない世代ですよ。いや、もちろん彼も弱い中国も知らない時代ですよ。  中国言葉というと、さっき私、国分先生申し上げたんですが、財大気粗という言葉あるんですよ。財大気粗というと、財産の財と、大きいと、気が太いと。意味としたら、人間がお金があれば、リッチマンなったら偉そうな顔になっているというところあるんですよ。もちろん中国、そういうところ、中国、今高成長と、日本はある面からいうと、ずっとこの十五年間が景気悪いから、中国人の方は、日本景気悪い、景気が悪いというか低迷というふうに見ているんですから。  中国の方は今こういうふうに、ずっと一〇%前後、高度成長しているから、そういうところをこういう人たち、彼の方は毛沢東時代のもちろん鎖国の時代、文化大革命の時代と、トウ小平の改革・開放への転換期のところ、中国人は、日本は我々の手本だ、我々のうらやましいの相手だ、勤勉な民族としての尊敬された時代があったところで、今の若い人たちは全然知らないと。知らないところから、いい、好材料というところは、日本靖国神社の問題とか南京大虐殺の問題とか、それから細菌部隊とかそういう話が、日本の方は、よく私の方は、皆さんが、先生たちの方から、日本政治家のところで小泉政権時代になって特に騒いでいると。そういうところを、中国人からというと、大騒乱というか、いつも騒いでいる日本と。  実は、日本の外交の方針が、対中の戦略と方針がそれほどないと。それで、あってもチャイナスクールということあるんですけれども、外務省の方いつもたたかれるから、中国は、田中角栄の時代は、全然は、中国は今ないと、友好時代もないし。それから、中国の方から、日本政治家の中に中国だれだれと特にパイプ持っていると、直接電話できるところは今ほとんどないだろうと思っているんですよ。  例えば、唐家センの方は本当、日本からというと彼は親日の大臣ですよ。中国に戻ったら、彼は自分で親日派と自分からも言えない。言ったらすぐたたかれると。この前ネットで、柔らかい、売国の唐家センというぐらいを、たたかれていること一杯あったんですよ。  そういうところを、やっぱり中国の方からという改革・開放の本格化に伴い、ヨーロッパとか欧米化の蔓延されまして、中国共産党への求心力も低下されているから、かえってこういうところは、中国共産党の方は、やっぱり中国共産党を愛する教育はしなきゃならない、これは理論武装というところをしなきゃならないと。  それからもう一つ、今中国の方は何が一番優先しているか。やっぱり国益を優先していると。国のためにどうすればいいかというと、若者たちに先に考えてくださいと、こういうふうに教育しているんですよ。二番、中国の方は今、経済は第一だと。こういうところを、私の方は日本に対しても言うところで、国交の外交というところから、できれば社交というか民交というか、やっぱり心の付き合いですね、なければ駄目だと。特に、政治家の先生たちの中国のウエートのパイプと交流というところを大事で、ただただ観光みたいに、訪問みたいに交流だけじゃなくて、お互いに座って、やっぱり平等対話というか、心の付き合いをできなくても、お互い交流というところはできないと駄目というところですよ。  私の友人の方は今、沈さんですけれども、彼は外務次官をやっていますから、彼はいつも言っているんですよ。日本政治家と話するところ、お互いに心を割ってというか、腹割って話し合うことできない。アメリカの方は本当、テーブルの上に、中国日本の方は本当、一生懸命けんかしているところで、やっぱりテーブルの下の方にちゃんと握手できていると。日本政治家との話というか、日本の外務省の政治家はテーブルのけんかとテーブル下の本当、足をまだ出してけんかしているぐらいですから、これはやっぱり両国の私の今外交の現状だろうと思っているんですよ。そういうところは、国交とか外交というよりも、社交というか民交というか心交というか、そういうところになれば、やっぱり中国日本の方は、私の方は一番大事なのは相互理解というところですよ。  なぜというと、実は私の、講談社からこれ五年前ですね、日本人、中国人理解できない本を私は出しまして、今は十何万部ぐらい売れまして、今まだ文庫はばんばん売れているんですよ。なぜなのかというと、これは私の方は、やっぱり私の方から見ればお互いみんな顔似ているし、それから食事の方も本当日本人は中国にいらっしゃったら絶対困らないと。しかし、同文同種と認めなくてもお互いにやっぱりはしを使っているし、漢字は使っているし、本当筆談すれば日本中国世界で一番交流しやすい民族ですよ。そういうところは、何が一番大事なのはやっぱり相互理解というところ。  もちろん、日本の外交の方は、私の方は三流は望んでいないと。経済一流、外交三流という国は絶対強くならないし、そして中国の方も政治政治というところ、やっぱり中国の外交の方は覇権的というか、中国の王道という言葉あるんですけれども、そういうところを私の方はしてはいけないと。やっぱり平等的にお互いに、中国語で言うと平等合作、戦略対話と。先日、中国外務次官クラス、これからはやっぱり戦略対話というとこれから行いますから、私の方から言うと、これは一番正しいというやり方だろうと思っているんですよ。日本が弱いか、中国が弱いか、日本は強いか、そういうところじゃなくて、やっぱりお互いに発展戦略についていろいろよく話し合わなければならないというところですよ。  もう一つ、私の方から、やっぱり日本中国の方、これから友好というよりも胡錦濤体制の方はどういうふうに見ていこうかと。皆さんの方は今、胡錦濤というと去年の九月ですね、江沢民の方がリタイアして、昨日かおとといの新聞の方はまだ江沢民の方は二年間ぐらいを発言権があるという記事になっていますから、中国日本と違いまして、中国の方はあの人はこの席離れるとすべて全部パアというところですよ。今、朱鎔基幾ら頑張っても、李鵬幾ら頑張っても、退職すると一切合財テレビの方からブラウン管、そして新聞の活字からほとんど消えてしまったんですよ。中国、そういう政治制度ですから、そういうところを皆さんの方、私の方は、前の例えばあったところ、私の方、前は朱鎔基という友達と、今の時代の方はそういう話を聞かないというところ。  なぜというと、皆さん、中国の温故知新という言葉ありますけれども、過去見て、八〇年代の方は皆さん、トウ小平のおかげで、彼はさっき改革・開放という方針を出しまして、中国の深センを中心にして中国十二くらいの経済特区、今、日本よく使う言葉ですけれども、経済特区作りまして中国一番最初の改革・開放を行って、それ深センみたいなところの方は、今は本当中国は今皆さん手本というくらいになったんですよ。それで、中国人から見れば、これ珠江デルタ、珠江デルタというとやっぱり珠江を中心にした中国一番発展しているところですよ。  それは九〇年代どうなっているかと。九〇年代の方、江沢民のおかげで、彼はトウ小平の精神を受け継いで、それで取りあえず一部分の人を先に富にさせようと、豊かにさせようと、そういうところから江沢民の方は上海を中心にして開発したんですよ。特に浦東開発区、今、日本人の方から言うと、上海の方は九月十一日のニューヨークの例の事件の代わりに今、大上海になりましたよ。大都会はイコール上海だと。皆さんも行ったら、私の方で行っても上海はこんなに変わったのかというところ、私もびっくりしていると。しかし、それは江沢民の時代ですよ。  中国の方は皆さんが、中国は私の方から言うと仁治の社会と。日本の方はどっちみち徳治というかモラルというか、そういうところ、徳治の社会と。アメリカの方は法治社会と。法治というところ、法律の方によってすべて決められると。中国人がよく言うんですよ。三人の中国人そろったらすぐチャイナタウン作ると。三人の日本人はすぐそろったらすぐ会社作りますと。三人の欧米人そろったらすぐこれの方の教会を作ると。こういうふうに三か国、人が違いますから、こういうところを言うと、やっぱり中国も仁治というんじゃなくて、仁治じゃなくて、やっぱり人によって時代変わりますから、おとといの方はトウ小平時代、昨日は江沢民の時代、それは今日は胡錦濤の時代。胡錦濤の時代になると、やっぱり彼の方は上海も作らないし、それから広東もやらないし、彼の方は今スローガン出しているのは、東北は中心じゃなくて北京と天津を中心にしてオリンピックを向かってやっていこうと。そのプラスアルファの方は山東半島と遼東半島と、それからまだ東北三省の方は一緒に入れていこうと。  こういうところを言うと、私の方は、胡錦濤の体制ですね、これからやっぱり二十一世紀の方は、揚子江、珠江よりもやっぱり黄河を中心にして、黄河デルタの方をやっていくじゃないかなと。外交的にも、やっぱりさっき国分先生の方にいろいろ話した、中国の方は、やっぱり経済の持続的な成長とともに日本との経済貿易関係の発展を着実に進展しているところで、やっぱり中国側は対日政策において民族感情を考慮しなければならないというところですよ。そうすると、彼らの方からすると対日政策の最重要点というところは戦略の目標と国益が合っておると。もちろん、これは一部民衆の感情ではないと。  中国の方、やっぱりこれから胡錦濤の方からの体制の外交、外務省というか外交部ですね、李さんの性格から、私、李さんがまあ何回も会って、チンドウの出身、私もチンドウ出身ですから、会っているところ、彼はやっぱり強い姿勢があるんですよ。強い姿勢があるけれども、納得できればすべて柔軟性があると。こういうところから中国、先日の方からこういうところ、先生の方から対日新思考の挫折という言葉、馬さんというところで、時さんのところ、やっぱりこれ日本に対して対日姿勢の方変えようと、こういうところを一度中国の方は強大な反発出てきまして、馬さんが元々香港テレビの論説委員やっているところ、それでもうパアになりまして、実は私の方からというと、胡錦濤指導部の方は対日、対してすごく柔軟性が元々持っていたんですよ。なぜ、ここまで挫折したというところを、やっぱり小泉の靖国神社参拝という問題で中国言っておるところをこういう中国の上層部は今困っていると。  なぜ、今は中国の共産党は政治党じゃないから、私の方から言うと今、政治党から、革命党から今政権党になっているんです。ある面で民主的になっているんですよ。そういうところは胡錦濤幾ら言っても下の方から反発というか、特に軍部辺りの方は反発とか意見が出れば彼はやっぱり聞かなければならないと。そういうところを私の方から知っているところでは、今まで胡錦濤は外交の外に出るところはマスコミのすべてのインタビューとか記者会見できるんですよ。それで、去年の九月一日から、本当軍事委員会主席になってすべてのマスコミの接触は全部ノーサンキューと。そういうところからいうと、やっぱり中国の姿勢からというと、私の方は強いところももちろんあるし、柔軟性もあるんですよ。できれば、やっぱり日本中国の方は互いに平等的な対話というところは必要だろうと思っているんですよ。  特に、中国の方は仁治の世界だから、中国上層部との上のパイプ持たないと駄目だし、それから民の方から国民の感情考えるところは今、今年の方は今、王毅大使の方は一生懸命頑張って、彼の方から、先日、早稲田大学の方から彼は講演したんですよ。アジア地域の合作と中日関係の方に、彼は大体二ページぐらいの方はこういうふうに載ったんです。見ているところやっぱり中国の方は本当さっき国分先生おっしゃいましたように、こんな珍しい大使いないと。こんな注目されて話題になる人物いないと。もちろん彼の人格はあるし、しかし、彼はこっちにいるころ、私の方は、今の大使と昔の大使と違いまして、今、直接外務大臣の国務委員と、まあ総理大臣までは別にして、やっぱり直接のパイプはありますから、私はできればこういうところを今度、王毅大使の在任中を通して日中関係の方は少しずつ少しずつやっぱり改善していかないと、いつかどこかでまた経済問題出して、新幹線の問題、今、日本は全然決めてないし、ただ決めているのは北京からチンドウまでの川崎重工の方は千三百億の高速電車というか高速鉄道ですよ。元々中国は新幹線という言葉を付けてやろうというところを、結局、日本からの技術とか日本の問題で中国の方パアになりました。そういうところを私の方はこういうところを見て、さっき国分先生の賛成する、やっぱり日本と日中の共同基金というのを作るところ、それから研究基盤の確立ですね、やっぱり大事だなと思っているんですよ。  さっき先生からも、今毎号出している中国日本学刊」という雑誌あるんです。これは中国社会科学院の日本研究所が作っているから、日本の方は、国から多分できないから、こういうところは、中国研究所じゃなくて、お互いやっぱり研究基盤が確立しないと、やっぱり日中関係の方はいつおかしくなっても、私の方は、ある面でこれはだれも予測できるというところですよ。  今日は私、ざっくばらんでこういうところを、私は一人のジャーナリストとして、新聞の編集人として、今の日中外交関係について、これ、以上、私の考え方です。  どうもありがとうございました。謝謝。
  9. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ありがとうございました。  それでは、これより質疑を行います。  本日も、あらかじめ質疑者を定めず、質疑応答を行います。  質疑を希望される方は、挙手の上、私の指名を待って質疑を行っていただきたいと存じます。  できるだけ多くの委員の方々が質疑を行うことができますよう、委員の一回の発言時間は五分程度でお願いいたします。  また、質疑及び答弁とも御発言は着席のままで結構でございます。  なお、理事会協議の結果ではございますが、まず大会派順に各会派一人一巡するよう指名いたしたいと存じますので、よろしくお願いいたします。  野上浩太郎君。
  10. 野上浩太郎

    野上浩太郎君 自由民主党の野上浩太郎でございます。  今日は、両先生に本当に有意義なお話をいただきましてありがとうございました。心から感謝を申し上げたいというふうに思います。  今お話ありましたとおり、本当に日中関係、今重要な局面を迎えているなというふうに思います。貿易面では、日本にとって、二〇〇四年、中国最大貿易相手国になったということがございます。しかし、一方で、国分先生からのこの資料の中にもありますとおり、日本中国に対する感情あるいは中国日本に対する感情というものが大変悪化をしてきているという状況があります。  例えば、この中国に対する親近感という資料を見ましても、これは十月の大体調査なんですかね、今回の調査というのも恐らく平成十六年十月の調査であるということだとしますと、その後の原潜の侵犯の話ですとか、東シナ海の原油の、油田の開発の話ですとか、こういう問題もこの後に出てきておりますので、恐らく今調査をすると更にこの数字は悪化しているのではないかというふうに懸念もされるところでございます。  そういう中で、こういうような状況認識しつつ、両先生に大きく二点についてちょっとお伺いをしたいというふうに思うんですけれども、まず一つは、この日中外交を考える上での大枠の話といたしまして、国分先生からもまた孔先生からもお話がありましたとおり、外交と内政の関係ですね、これを考えますときに、中国のいわゆる対日政策の方向性としましては、この胡錦濤主席、胡錦濤政権ができてから、恐らくその方向性というものは少し変わるんではないかと、柔軟な路線になるのではないかというような当初の受け止め方もあったわけでございますが、昨年の日中首脳会談等々、その後の状況を見ましても、必ずしもそういう状況にはなっていないと。  そういう中で国分先生も孔先生も、内政の関係もあるし、あるいは靖国の問題もあるし、そのようなことが大きく影響もしているんだというお話もございましたが、まずはその前政権から胡錦濤政権に変わった中で、根本的にはそのような状況を切り離すことは難しいんですけれども、対日政策として路線を転換をしていこうというような志向が胡錦濤政権にあるのかどうかお聞きをしたいと、御所見をお聞きをしたいというふうに思いますし、それと併せて、内政の問題をとらえますときに、社会の構造問題というのが一つ大きなポイントではないかなと思っておりまして、それも、例えば、農村と都市部のこの格差というものがやはりかなり広がってきているんではないかなと。去年の十月末にも四川省で数万人規模の農民の暴動があったというようなこともございますし、この農村と都市部だけではなくて、都市部の中でも出稼ぎに来ておられる労働者の不満というものが高まってきているんではないかと、こういうことが、例えばインターネットの、先ほどのお話にもありましたとおり、インターネットの中でも大きくなってきているのではないかというようなお話もございました。  この格差について、胡錦濤政権が本当に公正な分配ができるシステムをしっかりと作っていくことができるのかどうかというのはこの内政問題においても一つの大きなポイントではないかなというふうに思いますが、この格差についての、内政問題についてお聞きをしたいと思います。  そして、最後ですが、しかしながら、やはりこういう状況を乗り越えて相互理解をしっかりと進めていくということは、これはもう重要なことであるというのは論をまたないことであるというふうに思います。今お二人の先生からは政界のネットワークが大分細くなってきているのではないかと、これをしっかりと確立していくことが重要であるというお話もございましたし、基金の話もございましたが、そのほかに、もし民間レベルあるいは文化レベル等々で相互理解を促進していくための何か具体的な御提言等々がございましたらお聞かせ願えればというふうに思います。  以上でございます。
  11. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、国分参考人
  12. 国分良成

    参考人国分良成君) まず、御質問いただいたことに対して厚くお礼を申し上げたいと思います。  大きく分けますと二つないし三つの問題をいただいたかと思います。  まず第一点目の外交と内政の関係について私も報告の中でしばしば触れてまいりましたけれども、胡錦濤政権は思ったほどに全体的にソフトではないという評価が今出てきております。中国の中でも胡錦濤に対する失望感が大分もう既に出てきているという現実があるわけですね。これはどういうことなのかということであります。つまり、日中関係だけの問題ではなくて、恐らく国内状況とやっぱり一番密接に関係があるということだと思います。それはつまり、二つ目に御質問くださいました格差の問題とか、そういうことに一番関係があるかと思います。  例えば、津波が起こって、この事件の深刻さということについて世界は、まあ瞬間的には気が付かなかったわけですが、実は中国も遅かったわけですね。この対応に関していうと、私の知り得る限り中国は非常に遅かった。その後、ほかが動いたものだから中国が非常に積極的になった。その後、非常に積極的に見えると。しかし、当初は動きが鈍かったんですね。そのとき、中国の例えばインターネット上に何が出ていたかというと、自分たちのところで手一杯なのに何で外に援助するんだというようなインターネットが結構出ているわけですね。それはもう、つまり、中国社会の中にかなり不満、これがもう充満しているということは間違いない。  かつては農村のへんぴなところで起こりますから、だれもそれを起こっているのが確認できなかった。それが最近は都市や都市近郊で起こりますから、そうすると、外国人が見ているか、あるいはデジカメで撮られてそのまんまインターネットに張り付けられて、そして外の人間に目に触れるという、そういう現実で今よく中国の中で起こっている数万人規模の暴動が目にすることできるようになってきたわけですね。つまり、そういう状況の中で、胡錦濤政権が最初は人に優しい政策、人を基本とすると言っていたわけですが、しかし、現実にはそれが今非常にしにくいということになっているわけですね。ですから、報道統制もかなりあるという現実はあるわけです。  この間の、趙紫陽元総書記が亡くなられたと。これは天安門事件との関係でありますけれども、これも非常に微妙な対応だったと思います。もちろん、全面的に趙紫陽氏を否定してしまえばこれはまた不満の渦になりますし、しかし同時に、ここでまた変な対応をしますと、二十年後ぐらいに今の指導部はどういう評価したかという話になるわけですね。しかしながら、やっぱり天安門事件の評価を今変えるわけにいきませんから、その辺のジレンマみたいなものが如実に出てきたという感じがしますけれども、つまり、中国国内にあるやっぱり社会不安みたいなもの。  もう一つ付け加えますと、例えば、今、外資に対する優遇策をやめたいという話になってきているわけですね。やめたいというよりは、これは、中国の中の産業がいろいろと興ってきているわけですけれども、その企業家たちが、何で外国企業にそんなに所得税の優遇をしているんだと、我々も平等にしろということですね。その辺の調整が今、下からかなり起こってきているのでどうするかというような話になってきているわけです。つまりは、これまで声を上げなかった人たちが声を上げたということが、やっぱり内政が外交に大きな影響を与えるというのが一番大きな要因だろうと思います。ですから、日本のことは直接触れませんでしたけれども、その延長線にある。  ただ、外交的には、現在、中国の外交の中では日本との関係だけが飛び抜けて良くない状況にあると。アメリカとも比較的いいですし、それこそEUとの間には、御承知のように、EUが市場経済として中国を認定する可能性もある、そしてその暁には中国に武器輸出をするということで、フランス辺りが今積極的になっていますね。これも有名な話です。インドとも良くなってきた、南米とも良くなってきた、東南アジアとも今いいと。ただ、東南アジアにおいても南シナ海では中国は非常に静かなんですね。  ですから、なぜ日本のところにはそういう問題が起こるかというと、先ほど言ったように、日本とは直接的に、日本と傷付いても失う人はいないということだったんですが、しかし、胡錦濤政権のスタンスは、全体としては、見れる限りにおいては、日本との関係をどうにかしようというところは至る所に見えるわけです。ただし、今、日本との関係が断トツに悪いものですから、日本とは少し距離を置くというか、むしろそれの方が得策であるという感じになってきているというのが私の印象ですね。  それは、国際関係よりも中国にとっては恐らく内政の方が圧倒的に重要であるというふうに思います、今の段階では。ただし、国際関係がうまくないと中国の内政も安定しないというのは、国際的な経済的結び付きによって中国の今経済成長が起こっているわけですから、その点では、国際社会との協調をどうしても中国は取らざるを得ないということになると思います。
  13. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、孔参考人、お願いします。
  14. 孔健

    参考人(孔健君) 私の方は、さっき、日中外交と内政のことにという質問ですけれども、実は、皆さん方も日中首脳会談を覚えているかもしれないですけれども、日中間の政治的な障害は、日本の指導者が靖国神社参拝する、参拝していることだというところですね。これを胡錦濤指摘されたんですよ。やっぱり中国の方は、問題点というかポイントの方は、靖国神社の問題と。それで、これが、問題が解決できれば中国の方は多分外交の方も前一歩に進むと。  なぜというと、やっぱり胡錦濤の方から、先ほどの馬さんの、馬立誠さんというと対日新思考というところですね。彼の方からじゃなく周りの方は、これは、胡錦濤体制の発想というか構想は、日本に対して少し姿勢変わっていこうと。なぜというと、今皆さん見ているところ、江沢民と比べると、日本に対して十分、今、胡錦濤の方は柔軟性を持っているというところですよ。やっぱり、なぜといって、中国共産党のところよりも中国共産主義青年団の方は、私の方から見れば柔軟性を持っている、私はその経験者だから。例えば、日本から三千人の青年たちの方は、胡耀邦時代中国招かれて、その時代の方は、北京のリーダーの方は胡錦濤をリードしていたんですよ。私は、当時の方は中国文部省の代表として一緒に仕事をしましたから。あの姿勢から見れば、本当、かなり胡錦濤の方は、やっぱりエンジニア出身というか技術の畑出身だから、日本に対してはすごくいい印象、いいというか、やっぱり友好的の態度というところを取ったんですよ。  しかし、それから変わっているのが、私の方は、彼は国家副主席で日本を訪れて東レとか日本のいろいろのところを訪れたところ、日本に対して彼は変わっていないですよ。多分、中国の上層部の方は、今六人ぐらいの方は清華大学出身というかエンジニアの出身というところ、彼は日本に対してやっぱり尊敬の意があるんですよ。しかし、その裏が何あるのかというところでやっぱり言っている、靖国神社の問題と、これさえ解決できれば前に一歩進むと。  こういうところを私の方は、胡錦濤の対日政策のところを、ある面で唐家センの時代というところは、彼はいろいろ、対日政策六点ぐらい作ったんですよ。六点ぐらい作ったんですけれども、やっぱり江沢民のところに行っちゃって、全部パアじゃなくて、やっぱり反対されまして、結局、いい対日政策を進めなかったんですよ。今は私の方、一番いいチャンスなのに、逆に歴史の問題、歴史的認識のところで今邪魔になっていると、障害になったんですよ。  それからもう一つ、さっき、日中関係というと、実は去年の四月の二十一日かな、新日中友好二十一世紀委員会を作ったんですよ。二十一世紀委作ったんだけれども、日本側の方は富士ゼロックスの会長小林さんから座長にして、中国は、中国共産党の、共産党学校の常務副校長から、これ委員会両側の責任者になっている。彼は、私の方からこれは見たらぱっと分かるの、これは何の役にも立たないと。なぜというと、日本側にしても中国側にしても話にならないというか、だれも、まあ言うたところで、小泉首相と胡錦濤の方に報告するんですけれども、ただ報告だけじゃない、対話とか、直接何が解決できるか、何が影響あるのかといったら、何の影響もないというところですよ。そういうところは、私、こんな日中、まあ委員会幾ら作ったんでも役に立たないと。なぜ、私の方は中国画報で政府広報を担当しているから、一大学校の校長を日中間の問題の委員会委員長というと何ができるかというと、宴会くらいはできるんですが、問題解決できないという。
  15. 国分良成

    参考人国分良成君) 私、二十一世紀委員会のメンバーですので、ちょっとそこのところを説明しておきたいと思います。  簡単に説明いたしますと、私も委員でありますので、これは小泉首相と胡錦濤さんが作られたという委員会で、メンバーも一応両方がチェックしているということで……
  16. 孔健

    参考人(孔健君) 済みません、全然知らない話で。失礼いたしました。
  17. 国分良成

    参考人国分良成君) いや、今言われたのは中国側の座長の問題を言われたんですが、中国側の座長の鄭さんという方は、この方はもちろん胡錦濤氏に直々に命じられたわけなんですね。その背景は何かといいますと、胡錦濤氏が、今お話ありましたように、八〇年代の日中のあの三千人の日本の青年を招待するというあの胡耀邦時代、それの事務局長を実質的にやっていたわけです。そのときの胡耀邦の秘書だったのが鄭必堅さんなわけであります。ですから、二十一世紀委員会の席上でも、鄭必堅さんは、胡耀邦氏から遺言で言われていると、日中関係を大事にしろということですね。いわゆる中国共産党の理論ブレーンとして、実質的にナンバーワンのずっと内部で仕事をしてきたわけであります。その人が、やはり胡錦濤さん自体が胡耀邦さんとのつながり、まあ先生に当たるわけですから、そうしたところから、今回なぜ鄭必堅さんを持ってきたかというのは、そういう意味があるということですね。  ですから、私はもう少し裏の意味があるというふうに思っておりますし、かなり上には話は通じているというふうに思っておりますが、ただ、それだけですべてが解決するわけではないし、我々ももちろん、小泉首相とはもちろん議論しておりますし、報告もしておりますけれども。  まあ、ですから、まだ一回か二回ですので、これから見ていただきたい。
  18. 孔健

    参考人(孔健君) というのは、私の提案として……
  19. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ちょっと、孔参考人、じゃ、もう一言、はい、簡潔にお願いいたします。
  20. 孔健

    参考人(孔健君) というのは、私の方からは、できれば、さっき、鄭さんは私は反対じゃなく、できれば中国のもう少し上の国務委員とかその辺り、やっぱり影響力もっと強いところじゃないと、今は中国の方は、さっき鄭さんのことは、背景は私はよく分かりますけれども、よく知っているから、そういうところはもう少し影響力の人を中国から選ばないといけないと。  それから内政問題について、さっき四川省の話触れますけれども、何万人ぐらいも暴動したというところですね。私の方は、今中国、今二つの問題と、農民政策とそれから土地の問題だけで皆さんが暴乱していると。なぜ土地の問題というと、どんどん開発区を作られまして、農民の土地の方は、本当、これから二十二世紀とか二十三世紀は中国人どこで住むのか、どこで畑は持つのかというと、今分からなくなっていると。それを国土資源部の方は今厳しく追及されまして、どんどんクローズしたり、いろいろ問題発生して、多分農民の方は暴乱していると。  中国の方は、私、内政というと、やっぱり格差というところは確かにあります。今は聞いたところじゃなくて、中国の方は、この前の、私、中国にいまして、中国は今リッチマンの方は七千五百万ぐらいと、二億六千万ぐらいの方は中進国生活レベルの人たちいると、もちろん半分ぐらいまだ少し苦しいの生活を送っているんですけれども、しかし、一番貧困の人口の方は既に二千七百万か二千八百万くらいは下がっていると。中国が豊かになっている、これは私の方から言うとまあ今事実ですから、しかし、その中にやっぱり農民は半分以上示しているから、絶対問題あるというところですよ。
  21. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 孔参考人、また後ほどもたっぷり時間ありますので、質疑者がお待ちでございますので、質疑を続行いたします。工藤堅太郎君。
  22. 工藤堅太郎

    工藤堅太郎君 民主党の工藤堅太郎でございますが、今日は国分先生、孔先生、ありがとうございました。  私、先ほど来、国分先生から日本の対中イメージというようなことがございましたけれども、私の対中イメージと申しますと、大ざっぱに申し上げますと、私は中国という国が親近感を極めて持っている方だろうというように思っております。これは今始まったことじゃないんですが、小さいときから、仏教伝来だとかいろんな、中国からいろんなことを日本が学んできたというようなことが一番大きいんじゃなかろうかというような気がしておりますけれども。ただ、最近といいますか、近年、何とも付き合いにくい国になっているなという、そういう思いがいたしております。日本中国のことを言えば内政干渉といったようなことにすぐなりますけれども、中国は言いたいことを言っているような感じを受けるわけなんですが、いずれ、それでもなかなか嫌いになれないなと、そういう国だなと。私も何回も中国には訪問しておりますし、友人もおりますので特にそう感じるのか、そういうふうに思っておりますが。  大ざっぱな、初歩的な質問で大変恐縮でありますけれども、二点、ちょっとお伺いをして、お二方にお伺いをしたいんですが、申し上げるまでもなく、今中国はアジアにおいて極めて大きな存在感のある国になってきていると、このように思うわけでありますが、その中国が現政権に批判的な考え方の人たちを力で排除をするといったような現実もあるというようによく言われているわけでありますが、これはロシア、ソ連のスターリンとかレーニンの時代と同じように共産党一党独裁で、それと余り違いがないのかというような、時代が、また年月が進んでいってもなかなかそう、それを変えていけないのかというような、経済もどんどん発展しているわけですけれども、そういうような余り違いがない国なのかなという、そういうような思いがあるんですが、それはお二方は、先生方はどのようにお考えになるのか。  また、もう一点。トウ小平さんの時代から改革・開放というようなことで、一国二制度の制度を取り入れてやっているわけですが、私から見れば、一国二制度なんというのは、何を考えたあれなんだろうというふうに、もし、社会主義国家では経済が発展しないというように判断をしたのか、そうであるとすれば資本主義になればいいわけだし、そう判断したけれども自分たちの体制を維持していかなければと、立場を維持していかなければといったようなことなのかどうか。いずれにしても、こういうやり方をすれば格差がどんどん、所得格差なんかも広がっていくと思いますし、いずれ突き当たるときが来るんじゃないかなというような気がするわけなんで、この一国二制度というのはずっとこれからも続けていくとお考えなのか、いや、いずれこういう時点でこうなるだろうといったようなことなのか、その辺の二点、お伺いをしたいと思います。
  23. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 両参考人ですね。
  24. 工藤堅太郎

    工藤堅太郎君 はい。
  25. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、今度はじゃ孔参考人の方からお願いします。
  26. 孔健

    参考人(孔健君) さっき、中国の方の、大きな存在感中国というところで、今現在、現政権を反対する人たちどうなっているかと。  私が知っている限りに、江沢民時代というか、トウ小平時代の方は随分柔らかくなりましたと。実は、一月かな、十二月辺りで、北京の香山という、香りの香山のところで反政権の人たちにパーティーというか、会議を行いまして、それで、ただただ中国の方は、注意はしましたんですけれども何の行動取らなかったと。そういうところからというと、今、例えば北京大学の、この前、中国共産党宣伝部に反対する教授も現れたし、本も出しているし、それから中国共産党反対している北京大学の学者もいるし、今そういう人たち、国内の方は、昔みたいに、ウルカイシと魏京生の時代の方、全然違いまして、今ある面で民主、ある面での自由の雰囲気は感じているんですよ。彼らの方は本国で本を書いて、それから香港で本を出しても、だれも今は逮捕されたりいろいろするというところは今ほとんどないです。ちょっとやり過ぎると、エスカレートするとちょっと公安の方はやるかもしれないですが、今、アメリカのメンツもひとつあるから、そういうところの方は今はほとんど止めないと。  それからもう一つトウ小平の改革・開放と社会主義の国家の体制どうするかと。今は、胡錦濤もそうですから、胡錦濤の方は今模索というか、これからどうするか我々の方も今思索中だと、思考中だと、そういうふうに言っているから、もちろん、さっき国分先生の方から、今中国国内は手一杯というところ、そういういろんな、こういう問題抱えているんですよ。  社会主義の看板が資本主義の経済というところはいいかどうかと。そういうところは、中国の方は、やっぱり指導部の方はすごく頭痛いのところ一杯ありまして、私の方は、これからどうなるのか、我々の決めるじゃなくて、やっぱりトウ小平もおっしゃっているように次の世代に決めてもらおうと。そういうところを中国の方は今試しているところ、テストしているところ、私、それしか答えられないと。
  27. 国分良成

    参考人国分良成君) 私は政治の問題についてはやや厳しい立場を取っておりまして、と申しますのはどういうことかというと、中国の本質的な課題というのはやはり経済改革と経済成長だけでは賄い切れないテーマが残っていると。それはやはり政治の改革の問題なわけです。胡錦濤政権もこれについて元々かなり取り組む姿勢を示していたわけですが、実際始まってみると全く取り上げなくなったということであります。実はそれだけ難しいテーマになってしまったということであります。  中国で一番はやっている、流行語大賞になった言葉が、お聞きになったかもしれませんけれども、日本では「チョー気持ちいい」でしたけれども、中国では執政能力、統治能力、これが中国の昨年の流行語大賞です。つまり、共産党に統治能力があるのかというテーマです。執政能力、これが一番のテーマになったというのは、その決議が出たからですね。しかも、その点については、中国のもう要人もすべて認めているわけです。このままいったら共産党がかなり危ないということですよね。それはもう政治の根幹の問題を揺るがしているということです。  それはどういうことかというと、天安門時代は学生と知識人だったと。この学生と知識人はもう今やエリート化して体制の中に入ったと。この人たちの不満ではないと。この人たちは不満はない、というよりは、今の体制が壊れることをむしろ嫌がっていると。どこに問題が起こっているのかというと、つまりそのエリートの社会に入り切ることのできない人々、あるいは競争社会の中で負けた人々、切り捨てられていく人々、簡単にいけばこれはつまり労働者、農民であります。この人たちの気持ちあるいは意見をどういうふうに政治世界にくみ上げていくかと。このチャンネルがしっかりしていれば暴動は起きないわけであります。しかしながら、それを吸い上げていくもちろん政党は一つしかありませんので、共産党がそれをどう吸い上げていくかという話になるわけです。  ところが、御存じのように、共産党自体がかなり、下の方でもまた上の方でも政治腐敗の問題が起こっているということ以上に、組織力、指導力に問題が出ているということなわけであります。そうなってくると、つまりは、そういう声をどういうふうに政治に引き上げるかというメカニズムを作らなければいけない。しかしながら、現在の問題というのは、共産党そのものがそれをチェックすると言っているわけですけれども、私は、法はたくさんできた、法整備は良くできた、しかしながら司法の独立が存在していないというようなことが何をもたらしているかというと、やはり政治腐敗の温床になっていると。今でも憲法が上なのか党が上なのかという議論があります。これはまだ結論を出していません。私は、この点は最終的にも解決していないし、今後も恐らく経済成長が起これば起こるほど、それに負けていったつまり人々、あるいはそれに乗り切れない人々、それが物すごく増えてきているわけであります。これをどういうふうに吸収するかというそのメカニズムがないと、私は中国はこれからも問題が多いと思っておりますし、つまり問題の先送りでしかないということであります。ですから、今日あしたという問題ではありませんけれども、このやはり議論は、中国の人たちもみんな分かっていることですけれども、あると。  それから、一国二制、時間が長くなりますので簡単に申し上げますと、このテーマも、一国二制度は連邦制なのかどうかという議論があります。中国の中にもあります。実質的な連邦制の始まりだと、中国経済的には連邦制をやっているという論文ももう出ています。現実には、政治的には中央集権だけれども、現実経済運営は連邦制になっているという議論もあります。  しかし、問題は、どういう形で台湾問題も含めて解決するかというときの議論としての連邦制はありますけれども、もちろんこれはまだオープンな議論にはなっていないし、そのときに、一国二制度といったときに、香港ではもちろん様々成功した面もあれば、問題もかなり多いわけであります。その問題というのは、御承知のように、政治的な問題が少し出てきているということは御承知のとおりでありまして、五十万人規模のデモが二年連続で起こってしまったということがあります。  私は、経済的に見れば中国が社会主義かどうかという議論は余り意味のある議論ではもうなくなってきたというふうに思っています。つまり、中国自身が今ある段階というのは、もう既に私有財産を憲法で認めたわけであります。私有財産を認めるか認めないかがマルクス主義かそうじゃないかの基本でありますから、もうそこまで入り込みましたので、中国自身は実質的に資本主義の、ある人に言わせれば資本主義の原始蓄積段階に入ったと、それも大競争の時代に入ったと、搾取の時代に入ったと。だから、中国に必要なのは、まともな資本主義にどうするかということの方が重要なテーマだ。ただし、中国共産党の看板を下ろすわけにいかないから名前は変えられないと。中華人民共和国も変えられない。そのままで恐らく走るけれども、現実がどこまで変わったらばどう変わっていくかはもちろん分からない。こんなようなのが恐らく中国現実なんだろうなというふうに思います。
  28. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 加藤修一君。
  29. 加藤修一

    加藤修一君 公明党の加藤修一でございます。  今日は、国分良成参考人、そして孔健参考人においでをいただきまして、極めて有益なお話をいただきました。大変ありがとうございます。  先ほど、国分参考人からはWTOのお話が若干あったり、市場経済国際社会にどういうふうに中国を呼び起こすかということで、いわゆる我々の側に呼び寄せると、そういったとらえ方は極めて私も大事だと思っております。我々の側ということについては、多少ニュアンスの違いがあるかもしれませんが、私は今日は環境とエネルギーの観点から少し御見解をお伺いしたいと思います。  今月の、二月のいわゆる十六日に気候変動枠組条約、それの京都議定書が発効するわけでありますけれども、中国の過去二十年間のことを考えてまいりますと、CO2の排出量が二・一倍に増大しておりますし、世界の排出量に占める比率というのは八・二%から一三・七%になっている。二〇二〇年には、ある予測によりますと、アメリカを抜いて第一位に排出量がなると、そんなふうに言われているわけなんですけれども、様々なエネルギー政策があると思いますけれども、私は、省エネルギー、これも極めて重要なことではないかなと思います。エネルギー効率を上げていくこと、これが中国のエネルギー政策においても第一番目に考えていかなければいけないと、そんなふうに言われているようでありますけれども、全く同感だと私は思っております。  京都議定書が発効になりましたので、これは中国にとってもメリットがあると思います。中国ODA卒業論がある中で、例えばこれが仮に実行されたといたします場合には、やはり外国からいかに投資を呼び寄せるかということを考えていった場合には、京都議定書におけるいわゆる京都メカニズム、CDM、これをいかに効果的に使用するかということが非常に大事である。しかも、気候変動枠組条約の目的というのは気候を安定的にするというのが究極の目的でありますから、これは非常にそういった面に大きな影響を与える話ですから、プラスの影響を与えるような話ですから、これは積極的に利用していけることでないかなと思います。  そういった意味では、CDMをいかに促進させるかということがいわゆるエネルギー分野の技術革新を進めることになりますので、そういった意味では非常に重要なとらえ方ではないかと思いますので、こういった面についてどういうふうにお考えがあるかということについて、第一点目の質問でございます。  それから、京都議定書の発効以後の話になるんですけれども、もちろん各国がそれを履行していかなければいけない。とりわけ、先進国の話になるわけでありますけれども、更に重要なことは、今後はポスト京都、すなわち二〇一三年以降にどういうふうに新たな約束、枠組みを作るかということだと思うんですけれども、それは、今までは先進国だけの義務であったものを、今度、発展途上国にもそういう義務を課そうということに当然なってくるわけでありますので、先ほどの、中国がやはり国際協調路線を取らざるを得ないという、そういう観点を考えていきますと、こういうポスト京都における削減の義務ということについても私は、当然だと私自身は考えておりますが、しかしながら、中国の二十年後の成長を考えてまいりますと、いや、そんなことは言っておれませんよというふうに向こうは言うかもしれません。相当抵抗するかもしれませんが、ただ、地球的な環境の問題が極めて大きいわけですから、こういうポスト京都に対する中国の政府の考え方というのは一体どういうふうなとらえ方をしているのか。今後、どういう戦略で中国政府はやってくるのかなということについては非常に関心を持っておりますので、この辺について御見解を伺いたいと思います。これが二点目です。  三点目が最後になるわけでありますけれども、これは地球環境問題の状況といわゆる地球的な統治の在り方、グローバルガバナンスというふうに言われているようでありますけれども、前回のこの調査会におきまして、東アジア共同体の形成においてアクターの構成、それについて質問をいたしました。  その場合に、NGO等の参加について参考人意見を聞いたときには、やはり共同体を構成する場合に、そのアクターの一つとしてNGOの参加は極めて重要であると、そういう指摘をいただいておりますが、特に地球環境問題の分野ですが、地球的統治、これが関心を呼んでいると私はとらえておりまして、地球的統治といってももちろん地球政府があるわけでもありませんし、世界政府があるわけでもないわけでありまして、ないという意味では非常に無政府状態、アナーキーであるというふうに言わざるを得ないわけでありますけれども、ただし、地球的統治と言われる背景は私は整いつつあるなと思っております。  それは、やはり地球的な環境問題というのが一つは考えられるわけで、各国が同じテーブルに着くと、その中で地球的テーマについて議論を行うと。その場合に、NGOの在り方というのは非常に私は、国際的なネットを持っているNGOも含めて大事な点というふうにとらえなければいけないんではなかろうか。だんだんこの辺については力を持ち始めているなと、決して無視できるものではないなと、そういうふうに思っております。まだ全体としては非常に小さいわけでありますけれども、しかしこれは無視はできないであろうと。  これは中国においても恐らくそういうふうに考えざるを得ないようになってくるんではないかなと思っておりまして、二〇〇二年のときにヨハネスブルグ・サミットが行われまして、私も参加させていただきました。そのときに、中国からも実はNGOが来まして、中国にNGOあるというのは、私非常に驚いたわけでありますけれども、我々が、日本が持っているようなNGOと同じようにあるんですけれども、さらに政府御用達のNGOもあるということでちょっと理解に苦しみましたけれども、そういうNGOに対する中国政府、要するにNGOの活動とか市民的な活動とか、そういったことは非常にこれから中国においても無視できないんではなかろうかなというふうに実は考えております。  それで、国分先生の新聞の記事の中に、論文の中に、いろいろな意味でばらけてきているという言葉がありました。これが、NGOとか市民的な活動それ自体もそういったばらけてきているという中に加えて考えることができるのかどうなのか。そういうちょっとぼわっとした質問であるかもしれませんが、この辺について御見解をよろしくお願いしたいと思います。  以上です。
  30. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ありがとうございました。  それでは、国分参考人からお願いいたします。
  31. 国分良成

    参考人国分良成君) ただいまの御質問は共通項が三つともあるかと思います。簡単に言えば、中国存在感が非常に大きくなってきたと。つまり、世界のガバナンスというか、その中での中国の位置というものが、エネルギーの側面を取っても環境の側面を取っても、あるいは人民元の世界でも、あるいは安全保障の世界でも、あるいは様々それ以外の部分でも大きくなってきたという、こういう事実があるわけでありまして、これは別に日本だけが中国とどうするかというテーマではなかろうかと思います。  その中で、WTOに中国が加盟したということ自体は、これはまあ一つの革命だろうというふうに思います。恐らく、中国自身世界の中に飛び込んでいくという行為がそれほどこれまではなかった。むしろ、中国自身は、世界との接し方が、今でもそれほどまだ習熟しているとは思いませんけれども、そういう意味でいきますと、中国自身がWTOという市場経済をつまりは前提とするそういう組織に入ったということは、国内経済体制をも市場経済にするという前提で入っているわけですから、つまりは国際社会に合わせた形にすると。  現在では中国の税収の二〇%近くが外国系企業になっているとか、あるいは輸出の、つまり中国の成長がかなり輸出でもっているわけですが、その輸出が六〇%近くが外国系企業であるとか、こういう中国のいわゆるグローバル化というのは予想しなかったことであります。ですからこそ、外資に依存し続けていいのかという議論が起こるわけですが、現実にはもう中国はその方向に行かざるを得ない、もうこれが中国の道であります。  そういう意味でいくと、先ほど我々の側という言葉をちょっと言われました。私も言いましたけれども、ただもう、むしろ我々も、日本も恐らく、何といいますか、グローバル化というのは逆に遅くなってしまったという、そういう点があるかと思いますけれども、中国はそうしないと中国自身を変えることができないということになった。それぐらい体制の巨大な転換をしなければならないという、そういうことだと思います。  その中で、今挙げられました京都議定書あるいは環境問題、エネルギーの問題、そしてグローバルガバナンスと、全体的にいうと、これ日中関係にも関係していることでありますけれども、私は、例えばある人がこう言いました、つまり今の日中関係で抱えている問題というのは、つまり日関係で摩擦が起こったときに、アメリカは、自分の経済が落ちていく、そしてその大国としての振る舞い、そのときに、自分が非常に問題を抱えているというときにその対応の仕方を分からなかったと。逆に、今度日本は、自分の存在の大きさが分からずに自分自身の主張を通すと。つまり、それが日米の経済摩擦の根幹に一つあったと。  つまり、今の日中関係においてもそういうところがあるのではないかと。つまり、日本が今非常に苦しいという一つ状況の中で中国が台頭していると。中国自身も、つまりは世界の中で自らをはめ込んで、そして行動したことはないし、どうしても行動そのものが大国的な振る舞いになる。これが恐らく、やはり今の日中関係にも心理的な大きな効果を与えているというか、マイナスのものをお互いに与えているという感じがいたします。それが恐らく中国の、今御提起されました問題点は、つまり世界の枠組みに中国がきちんと入っていくかどうかというテーマだろうというふうに思います。  そのときに、京都議定書の問題について言えば、つまり中国自身が今持続可能な発展という言葉がむしろ中心になってまいりました。それは経済成長一辺倒だけではどうもいかぬ、つまりは持続可能な成長が必要だということになってきたわけであります。しかし、この持続可能な成長というものは中国にとっては政治安定ともかかわってまいります。余りにスピードを落とすと経済成長が鈍化すると、そうすると政治不安のもとになるわけであります。ですから、ここにジレンマがあるわけでありまして、つまりは、基本的にはそのような主張をしていますけれども、現実に起こっているのはやはりどうしても経済成長の方に行くと。その経済成長の方に行くということは、つまりは国内投資ばっかりが盛んになって不良債権が増えていくという過熱経済が起こると。それを抑えろ抑えろということですけれども、抑えようとすると今度は鈍化すると危ないと、こういうテーマであります。  その中で起こっている環境問題にいたしましても、私はこれも政治の論理にも関係があるというふうに思っています。と申しますのは、日本でもこの環境問題がこれだけ大きくなり、そしてここまで改善されてきたというのは、例えば住民運動があり、様々な市民集団のグループがあり、それが問題を摘発しながら、そして徐々にそれが裁判になり、そして法律化されていくというプロセスの中でこれが解決していったという、そういう順序があるわけです。  中国の中でも住民運動がかなり起こっています。問題は、それが法的な手続で、かなり今中国でも訴訟が増えていることは間違いありません。もうとてつもない数で増えています。その中にはこの環境の問題、公害の問題もあるわけでありますけれども。ただ、しかし問題は、中国経済成長というものが今のところはいいと、しかしながら、環境問題がやがて経済成長を阻害していくという部分が起こってくると、これは恐らく大きなテーマになる。ただし、中国は広いですから、今のところは公害をどんどんどんどん内陸の方にもたらしていくということで、沿海の方はだんだんとそれから脱却するという方向に少し動いていますけれども、私はまだ時間が掛かるというふうに思っています。  それから、NGO、NPOにしても、私は今の問題に関係していると思いますけれども、確かにそういうのは出てきています、あります。しかし、先ほどから申し上げているように、政治的な安定との調和がありますので、かなり厳しい管理条例というものは存在しています。
  32. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 孔参考人、お願いします。
  33. 孔健

    参考人(孔健君) 私の方は、環境とエネルギーの問題についてさっき国分先生がおっしゃって、中国の方はかなり今は意識しまして、なぜというと、中国の自然環境の破壊されましていろいろ問題点出てきまして、特にさっきCO2の問題の二・一倍とか、それから世界の八から一三ぐらいですね、排出量を出していると。そういうところ、中国の方はこれから車をどんどん増えていきますから、去年五百万台ぐらいかな、それでこれからどんどん増えていくところで、中国の方はいろいろ問題発生していくと。そういうところを、今中国の方はわざわざ国家環境保護局というのを作りまして、そういう、やっぱりWTO加盟すると同時に国際的にやっていかないと駄目だと。そういうところを、やっぱり彼らの方からというと、これから一つの方は京都議定書に基づいて中国の方はいろいろ検討しているし、いろいろこれからやっぱり対策ですね、取り組んでいるところですよ。  なぜというと、中国の方は、今一番彼らの方は関心するというところは、例えばオリンピックは目の前にそろそろ見えるから、オリンピック見えるところで、実は三年前に中国の空のところで黄塵というか砂というか一千二百トンくらい飛んでいると。それから、北京の方は、これから五十年というところでなると、北京の方は砂の都になると。そういうところ、中国の今深刻な環境問題というところをよく分かっているから、やっぱりこれ、彼らの方は国際社会と協調しながら私の方はやっていくだろうと思っています。
  34. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、大門実紀史君。
  35. 大門実紀史

    大門実紀史君 本日はありがとうございます。  私の方は、日中というよりも、日本アジア外交中国アジア外交という、そういう角度でお伺いしたいと思います。  私の問題意識、先に申し上げますと、日本の政府、外務省にそもそも今までアジア外交と言えるような戦略だとかそういう先見性だとかポリシーというものがあったのかどうかということをまず思うわけですけれども、根底にいまだ欧米志向といいますか、脱亜入欧といいますか、とにかくアジアを脱してヨーロッパ列強の仲間入りをするというような、明治維新以来のそういうものが根底に続いていて、なおかつそれは裏返すとアジアべっ視になるわけですけれども、そういうものはずっと根底にいまだあるんではないかと。特に、戦後、日米同盟体制の中でアメリカ、対米政策が重視に偏って、アジアとか、あるときはやっぱりヨーロッパなんかに対してもそういう外交が副次的になってきたんじゃないかというふうに全体として思います。  その中で、特のこの間、アジアの中で東アジア共同体、コミュニティー構想とかアジアの中でいろんな共同の機運が高まっている中で、日本というのは非常に後手後手に回っているんではないのかなと。例えば、共同体構想そのものが、中国がASEANとそういうことに積極的に乗り出した後で日本も慌ててASEANとそういう会議なりいろいろやっていくと。あるいは、東南アジアの友好協力条約のときもそうでしたけれども、最初日本は拒否をしておいて、中国とインドが入ると決まった途端、慌てて後から日本も入ると決めるとか、この間で、EPAもFTAもそうだと思いますけれども、中国が、特にアジア通貨危機以降、FTA、EPAに積極的になってASEANと結び始めると、日本はそれまで多角貿易主義だったんですけれども、急にFTAに積極的になると。  とにかく、何か全体として、中国が動くとそれにイニシアチブ取られないように対抗的に動く、だから場当たり的にずっと日本アジア外交というのはやってきたんではないかというふうに見て取れるんですけれども。アメリカの顔色をうかがいながら中国に主導権を取られないみたいなところだけを考えていて、何かアジア外交全体のポリシーが、戦略がなくやってきたんではないかというふうに、私の方はそういう問題意識を持っている上でお聞きするんですけれども。  お二人の参考人に同じことをお聞きいたします。  一つは、今申し上げた日本アジア外交というものをどのように評価されておられるか。あわせて、中国はかなりしたたかに動いてきたような気がいたしますが、アジア全体に向けた中国アジア外交というものはどういう方向性を持っているか、あるいはどんな戦略を持っているか、御存じでしたら教えていただきたいと思います。
  36. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、国分参考人からお願いします。
  37. 国分良成

    参考人国分良成君) 非常に的確な御質問をいただいたというふうに思います。日本の対アジア外交、その中で、例えば中国をどう位置付けるかと、こんなようなテーマ一つ。それから、中国の対アジア外交ということだろうと思います。  日本の対アジア外交というのがなかったかというと、それは恐らくないということはないと思いますけれども、恐らく七七年の福田ドクトリン、もちろんそれ以前からも賠償外交というのはありました。もちろん、今年は日韓の国交の四十年ということになるわけでありますけれども、もちろんその後にも環太平洋構想とか、あるいはAPECとかASEANプラス3とか、つまり日本が表に出なくても、もちろん裏で様々日本も動きを見せたということはあります。  ただ、今の御質問の趣旨をもう少し私なりに解釈いたしますと、私が最初にお話ししましたけれども、つまり日本自身がアジアにどう面するかというテーマそのものをどのくらい自分自身の問題として考えてきたかということについて問われますと、私も一人のアジア研究者、三十年やってきた人間として考えますと、やはり今かなりショックを受けているというのが今の日本現実だろうというふうに思います。  と申しますのは、やはり二十世紀は日本の優位性の時代があったことは間違いありません。その優位性の時代が、やはり二十一世紀へ向けて日本が非常に苦しい状況に陥ってきたというのは、どの指標を見ても、どの今後の可能性を見ても分かるわけであります。その中で、今アジアが急激に、中国のみならず元気になってきていると。そして、同時に発言力も増してきているということですね。  そういう中で、日本はアジアとどういう形で付き合ってきたかというのは、中国のみならず、私は、やはり反省の前に、とにかくこれはもう現実でありますから、私はもう物事に何も遅いことはないと思いますけれども、多分時間が掛かると思います。それは、つまりアジア世界というのは欧米世界とはやはり違う世界でありますから、そういう世界と今国民レベルで付き合わなければならないという時代になったというのは、やはり日本にとっても一つの革命的な転換の時期に来ているというふうに思っています。ですから、その心理的な調節を、葛藤をどういうふうにしていくかと。  エズラ・ボーゲル先生がかつて「ジャパン・アズ・ナンバーワン」というのを書かれたわけであります。そのエズラ・ボーゲル先生が最近大きな論文を書いています。それは日本に対する警鐘でありました。それは、「ジャパン・アズ・ナンバーワン」を私が書いたときに、それは日本が台頭しているぞと、それをアメリカ人に警鐘として書いたと、その意味だったと。今、アジアで起こっているのは、つまりは中国が台頭しているぞと。その台頭している現実の中で一体日本はどうするんだということが問われているんだと。そこに日本から答えが出てこないということで、かなり厳しい批判をしています。  ボーゲル先生があれだけ批判をするというのは珍しいことだと思いますけれども、私自身、そういうことを見ても、日本自身が今問われている。その中で書いていることは、例えばアジアに行っても、どの国際会議に出ても日本人が少ない、日本人が英語でやっていないと。中国人やほかの東南アジアの人たちがみんな英語でがんがんやっていると。どうして日本人がいないんだと。アメリカでもそうだと。もう中国人は英語でみんなやっていると。そして日本人が少ないと。この現実を非常に嘆いているわけですね。  ですから、この辺は、元々日本が好きだったボーゲル先生がこういうふうに嘆いているというのは一つの警鐘だというふうに思っております。ですから、やはりアジアとの付き合い方というのは真剣に考えなければいけない。  時間の問題ありますので、中国アジア外交でありますけれども、簡単に申し上げたいと思いますが、中国の中であなたはアジア人ですかという質問をしたときに、えっ、私は中国人だと。アジア人だと言われても、ほとんど恐らくだれもが自分は中国人であってアジアという意識は非常に薄かったと思います。  ただし、政策的に見ますと、アジアというものをかなり強調し始めたということは間違いありません。恐らく一般の中国人の、本当に町の人からすればアジアという意識は薄いかもしれません。中国中国だというやはり中国を中心にして物を考える。しかし、今の中国の政策当局の方向性としては、例えば周辺外交ということが頻繁に出てまいります。その周辺外交というのは、基本的にASEANプラス3になったわけです。これも、ASEANプラス3はむしろ日本がその中で後ろでイニシアチブを取ってきたという背景はあるわけですけれども、突然中国が元気になり、中国が前に進み出したらば、日本が後ろにちょっと後ずさりするという現実があるわけですね。これもボーゲル先生は書いています。つまり何で先に行かないんだということですね。  これは、つまりは決断がないということだろうと思いますけれども、別にここで競争する必要は必ずしもないわけでありまして、正直申しますと、やはり日本経済的なプレゼンスと経済的な存在感というのはまだいまだに中国と比べても圧倒しているわけでありますから、それを前提にどう考えていくかということであって、そのときに、やはり将来的には中国という巨大なあのマーケット、そのマーケットというのは二つの意味があって、工場であり消費市場であるということ。この工場だけがこれまでの中国だったわけですが、やはり中国の中で売るということを考えたら、そう考えていけば、もうこれはこれから数十年は最低この地域は安泰になるわけでありますから、中国が良きマーケットになるということはこれは重要なことであります。そういう方向性の中で我々は生き延びていく以外にもう方法はないわけでありますから、そうなってくると、そこは戦略を立て直すということが必要だというふうに思っております。  以上であります。
  38. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 孔参考人、お願いします。
  39. 孔健

    参考人(孔健君) 私の方からというと、日本はアジアの地位というところは、日本は、一番、日米関係はナンバーワンと、第二番の方は国際協調と、第三番の方はアジアをついでに考えると。これ、日本のアジアに対しての外交の考え方というか、方針だろうと思っているんですよ。  そういうところになると、やっぱり中国の方から見れば、日本はアジアじゃないと、日本アメリカついでに、アメリカの付き物だと、そういうところを見ているんですよ。やっぱり何だかんだというと、中国の方からというと、すべてアメリカ一辺倒というところになっていると。こういうところは、中国、最近の方はよく分かりまして、日本との交渉とかいうの話はするよりも、先にアメリカぽんと引っ張って話し合うと日本自然に付いてくると、私の方は見てこういう関係になってきたんですよ。  そういうところでアジアの方は、中国の方から、特に東アジア共同体と、10プラス3というところですね、10プラス3の首脳会議とか、中国積極的にやっているんですよ。積極的にやっているところは、やっぱりアジアの中に、我々、もちろん中国の考え方は、今は人口一番と、経済の方は二番か三番かもしれないですけれども、しかし日本は一番かもしれないし、そういうところは私、さっきの三十分の中の話した中に、今、中国の中に、中国の方は日本見ていると。これはやっぱり競争関係になっているところあるんですよね。例えば、この前の津波の援助というか支援金のところで、日本の方五億ドル、ところが中国五億ドル出せないから五千万ドルかな。それで、全国民の方は五億元を目指してやっていこうと。まあ五億元と五億ドルは全然違いますから。  そういうところからいうと、中国の方は、やっぱりアジアのところで一つの方は、周りの方は一つのエネルギーの合作をしたいと。もちろん今は、今ガスの話も多分出てくるだろうし、ところですが、日本の方は余り合作したくはないと。それからもう一つはFTAの話、合作と、これに中国側の方はアジアとしてはやりたいと。もう一つの方は先ほど環境の問題と。こういうところを中国の方は、東アジアの中にやっぱり自分で、これ人口から見れば、その周辺からという、例えば環日本海、環渤海の渤海、環黄海、黄色い黄海ですね、それからメイコーフォーというベトナムの川とか、この周りの方はできれば川利用して、周辺の方とつないで経済合作のパートナー作ろうというところですよ。これ中国の考えです。  なぜというと、中国から見れば日本はどっちみち一つ日本列島だから、一つ島だから、アジアの方は海あればつながるんです、海なければ一緒につながらないと。そういうところも私の方から見れば今あるだろうと思っているんですよ。もちろん、日本経済大国だし、日中の問題いろいろあるし、本当、こういうところは、私の方からの提案ですけれども、日本アメリカ一辺倒じゃなく、できれば日中の方、よく対話を行って、やっぱりアジアをどうすればいいかというところもお互いにやっぱり、共同戦略じゃないけれども、やっぱり協調しながらやる、やっていくべきじゃないかなと思っているところですよ。
  40. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 以上で各会派一人一巡いたしましたので、これより自由に質疑を行っていただきます。  それでは、質疑のある方は挙手をお願いいたします。  それでは、小林温君。
  41. 小林温

    小林温君 はい、会長、ありがとうございます。  自民党の小林温でございます。  お二人の参考人に同じ質問をさせていただきたいと思いますが。  国分先生のお話の中でもあったように、中国の中で政治経済がどういうふうに今後リンクしていくかと、それが対日政策にどう影響を及ぼすかということは、大変これから重要なことなんだろうというふうに思います。それで、日中関係が、今中国にとって国際関係見たときに突出して悪いというお話もございました。日本から見ても実は日中関係が今突出して悪いというのも現状でございまして、例えば、三、四年前までは、歴史認識の問題が一つ出ると、中国も韓国も実は同じトーンで批判をしたわけでございますが、今は日韓の間は比較的そういうトーンがどんどんトーンダウンしてきていると。一方、中国の場合は逆にエスカレートしているという状況もあるというふうに、まあそういう意味日中関係というのは非常に悪いんだろうと思いますが。  そこで、いろいろお互いに理解をするための努力が必要だというお話、お二人の参考人からありましたが、仮に歴史認識の問題がこれから全く進展をしない、つまり総理が替わっても引き続き靖国神社には毎年参拝をする、あるいは教科書問題も、近隣諸国というか特に中国の感情を逆なでするようなことがこれから続くというふうに仮定した場合に、悲観的な見方をすれば、例えばODAはもう中国は卒業する体制も整ってきている。それから、そういう中で、例えば日本からの投資とか技術協力とか経済関係全般について、そういう経済的なメリットをある一部分あるいはかなりの部分失うかもしれないというリスクを背負っても、その中国政府としての正統性を追求するためにこの経済的な部分は少し目をつぶるということがあるのか。これは、例えばいろんな国家事業に対する日本の入札がけられるというようなこともありますし、先ほど来出ているマーケットとしての重要性を中国自身認識して、分野によっては日本がなかなかもう既に参入できない部分もあるわけでございますが、この辺を中国が意識して、その政治の正統性と経済をはかりに掛けた場合に政治の方を優先するというのが多分悲観的な見方だろうと思います。  それからもう一つ、楽観的に見ると、やはり中国はこれから国際化の中でプレーヤーとしてこれから活動していかなければならない、経済的なルールも含めて遵守する、あるいは日本はそうはいっても経済的にまだまだ重要だから、パートナーとして、あるいは日米同盟という点を通して見た場合に、やっぱり対日の関係もある程度良好にしていかなければいけないということで、この歴史認識の問題については、仮に日本側が譲歩しなくても中国側が何らかの形で折れてくるようなことがあるのか。まあこれは、今お話し申し上げたのは非常に極論ですが、仮に先ほど来申し上げるように、その歴史認識の問題が変わらない場合にどういう方向で進んでいくのかということを二人の参考人にお伺いしたい。  それから、その時間軸ですね。戦後六十年、それから世代交代をしてきています。こういう変化がこの今の話の中にどういう影響を及ぼすのかということについてお話を伺えればと思います。
  42. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 国分参考人、お願いします。
  43. 国分良成

    参考人国分良成君) ありがとうございます。  ちょっと先ほどの質問の中で、私ちょっともう一点付け加えたかったのが、アジアの中で日本がという話でしたけれども、私はASEAN、随分私も実際足を運んでいろんな人に話を聞いていますけれども、日本の評価は私は決して低くはないと思っています。それはつまり、ある人に言わせれば、日本は随分援助してくれたけれども野心がなかったと。全くぎらぎらしていなかったと。つまり何も言わなかったと。お金だけいただいたというのが逆に効果があった部分もあって、そういう意味では私はそのフォローアップが足りないというふうに思っています。  それから、ただいまの御質問であります。  中国も、今、孔参考人日本アメリカ一辺倒だという話がありましたけれども、実は中国もかなりのアメリカ一辺倒的なところがあります。これは、アメリカ一辺倒という言い方が正しいかどうか分かりませんが、一辺倒ではありません、外交は非常に多角化しています。つまり、リスクヘッジを取りますので、アメリカとやりつつヨーロッパとやる、そしてインドとやる、あるいはどうやると。それはもうそこらじゅうに足をあるいは手を伸ばしますけれども、基本はアメリカですよね。それから、先ほど申し上げたように陳水扁氏がグアムに立ち寄っても全然一言も言わない、シアトルにいても一言も言わない。これはもう、つまりその表れだと思います。それ以外にも枚挙にいとまがないぐらいアメリカに対してはかなり気を遣っているというか。  ですから、ある率直に言う中国研究者、しかも日本と全く関係のない、やっている人の中には、日中関係米中関係の従属変数だということを率直に言う人がいます。つまり米中関係さえ良ければ日中関係はいいはずだと端的に言うわけであります。ですから、別に日中関係がどうであろうと大丈夫だと、米中関係さえ安定していればというリアリストは結構多いという感じがいたします。ですから、つまり日中関係というのは日米関係米中関係の従属変数だという、そういう立場なわけですね。  ですから、今中国はトランスフォーメーションの問題については一言も言及してまいりません。つまり、アメリカ軍のこの問題については非常に繊細なテーマでありますから、質問をしても絶対に答えません。つまり、それぐらい繊細なテーマと。これは、アメリカとの関係というのがもうすべてを成しているという意味では、私は、もう中国も同じようにアメリカだけ見ているなという、アメリカだけじゃないですね、中国の場合はもちろんもっともっと多角的な外交を展開しているという感じがいたしますけれども。  その場合に、歴史認識の問題が解決しないと駄目なのかと、あるいはどうなのかということでありますけれども、正直申しますと、この問題が解決できるという可能性はますます難しくなってきているというのが現実ですね。これは国内化している、国内政治化しているということを最初に申し上げました。そうなってくると、私はやや懸念するのは、つまり中国に対して今私が私がと言ってくる国は幾らでもあるわけです。つまり、中国は今正に時代の寵児になっているわけですから、そうなりますと、日本が余り参入してこないということ、あるいは関係が深くならないということに対して、中国はどれぐらいのデメリットを被るかということにかかわってくるんだろうと思うんですね。  私は、中国はやはり日本の技術、科学、これに対する評価は非常に高いというふうに思います。これは間違いないことだと思います。ですから、この辺は、中国人の正に心理状況は孔さんの方がお得意だと思いますけれども、どんなに中国で抗日的、反日的な学生が強硬なことを言っても、それじゃ、あなたのうちに今から一緒に行こうと、あなたのうちにある日本の電化製品を全部一緒にたたこうと言ったら、それは急に黙るわけですね。その辺の複雑な心理構造みたいなのがありますので、つまり、日本の電化製品ですとかあるいは技術ということに対する信仰は私はやっぱりかなりあるというふうに思っています。ですから、その辺の複雑な部分がある。  ですから、そういう意味では、私は、日本中国が無視するとかあるいは重要でないということはまずあり得ない。これだけの直接投資をし、しかもその直接投資が、つまり日本の場合は契約をすると大体そのまんま履行してくれると。欧米の場合は大体四〇%からまあ大体五〇%、多くても。つまり、契約をしても履行しないと。日本の場合は大体すぐに契約まで進んでくれるし、契約から履行まで行くという律儀な形でやっておりますし、そういう点でいくと、私は、やっぱり中国にとっても重要であるということは間違いない。  ただ、歴史問題というのは、正直なところ今解決のめどは立っていないということだと思います。ですから、この六十年を期して何らかのポジションを取るのか、何らかのその一つの、何といいますかね、一つのシンボルみたいなものを作るのかどうか、やるのかどうか。  中国では、今度ロシアでも五月にございますね、連合国が集まってやると。中国でも同じような勝利、つまり中国の場合は、先ほどからお話ししているように、国是、共産党の勝利、それの背景、つまり正統性になるわけでありまして、正統性というのは、私は、中国はどうしても歴史に正統性を求める。自分たちはなぜ正しいか、共産党はなぜ正しいか。本当の正統性はそれだけではありません。今の生活、国民をどれぐらい豊かにさせているかということが重要だと私は思います。  ただ、どうしても、そちらの方にだけ力点を持ってくると、中国共産党もなかなか大変なものですから、どうしても愛国キャンペーンに行かざるを得ないと。ですから、今年我々が何度も言っていることは、愛国キャンペーンというものが抗日、つまり反日、これに結び付かないようにしてもらいたいというポイント一点でしかないわけですね。私は、正直申し上げると、今のところは今年はかなり苦しい状況になるかもしれないというふうに思っております。
  44. 孔健

    参考人(孔健君) 私の方は、さっき先生のところ配っている紙ですが、去年の中国社会科学院日本研究所のこれは中国国民の対日意識調査結果ですね、日本に親しみ感じてるのはただ六%と。それが、感じてないのは五四%と。二年前と比べて約一〇ポイント上昇と、対日感情は一段冷え込んでいると。また、日本の首相の靖国神社参拝については、四二%がどのような状況でも認められないという、まあそういうところですね。  私の方、さっき、歴史の認識への問題がどうなのかというところですね。多分このまま今年の方、できれば、私の方から、やっぱり多分中国の方も同じように、多分ひとつ今年はできれば避けてもらいたいと。なぜというと、避けてもらいたい、今年の方は戦争の方から六十周年というところですね、戦後というところですね。そういうことを避けられなければ、いろいろ中国の方、もっと反発出てくるし、もちろん、もっと言うと、小泉首相の認識しなくていいと、まあそういうところそのままとなると、やっぱり政冷経熱と。経済の方は熱はあるんですけれども、少しやっぱり日本の方に対しては不利の立場になるんですよ。例えば新幹線の問題、ダムの問題、いろいろ工事の問題を結局棚上げしたり、それから逆にドイツとかフランスとか回しちゃったところですね。  私の方は、経済のところは少し、ちょっとまあ考えてもらいたいと。なぜというと、中日関係の方はやっぱりこれから相互補完関係ますます強くなってきますから、やっぱり共通の利益の拡大を二国関係の基本というところで認識しないと、私の方は、まあちょっとやっぱり日中関係の方はやばいところ入っちゃうと、もちろんマスコミの方はばんばんやったら喜ぶかもしれないですけど、結局、経済の方は打撃を受けてると。中国は強くなればなるほどやっぱり日本の技術を求めますから、やっぱり中国からというと、我々の方はこれから、中国特需という言葉あるですから、できれば私の方は政治の方も少し、まあ中国政治経済一緒となっているけれども、日本の方は全然分離してるから、そういうところですね。まあこれは国の事情は全然違いますから、私の話。
  45. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 前田武志君。
  46. 前田武志

    前田武志君 両参考人、ありがとうございます。  私は、都市戸籍と農村戸籍ということについて、実態、歴史等、現状に、底辺にある、一番根本的な構造ではないかと思うものですからお聞きするわけです。  都市と農村の問題、あるいは沿岸部と内陸の問題、いや、これはもう幾らでも内陸部から廉価な労働力が無限に供給されるぞという見方もあれば、この十二億、十五億の民が全部近代化していくと大変なことになるぞと、いろんなお話がありますが、どうも我々、その基本的な構造、実態というのをしっかりと把握していないのではないかという気持ちがあるんですね。  例えば、テレビなんかを見ておりますと、都市に出てこられた農村部の方々、出稼ぎでしょうか、あの上海の、都市のスラムと言っちゃなんでしょうが、随分多くの方々が住んでいて、普通教育、なかなか受けるのが大変だというような放映されたりしている。要するに、都市戸籍を持たないから義務教育的なものも受けられないというような報道もあった。  そういうのは、確かに厳密に都市住民とそうでない農村に住んでおられる方と戸籍で区別して管理している。まあ共産政権だからしっかりしているんだなと私は思っていたところ、中国のある友人とお話をしていたら、いやいや、前田さん、これはもう昔から中国の歴史とともにあることであって、まあはっきりはしないけれど、春秋戦国時代ぐらいからあるんじゃないかと、こういうふうに言っておられました。  要するに、確かに中国というのは都市国家のところがあります。城塞を組んで、古い都市というのも、まあ私の、奈良県出身なんですが、飛鳥京、藤原京、平城京、これはすべて当時の中国の、まあ今の西安ですね、洛陽であったり、都市計画を入れてやっているわけですが、日本の入れた都市国家は、京都にしろ奈良にしろ城壁はない。向こうはちゃんとあるわけで、統治機能、中枢機能、そういったものが城壁で囲まれた中にあって、そして周辺の、まあ農村でしょうか、牧畜も含めて、そういったところにこの統治のサービスをしていく。それがうまくサービスが利かないときには城壁を越えて乱入して革命になるというようなことを言っておられました。  そういった歴史的な都市と農村とのコミュニティーの違いであったり役割の違いであったりというものが今に至っていて、都市戸籍、農村戸籍というのが厳格に今そうやって分けられているのかどうか。だとすれば、先ほど来議論になっている沿岸部と内陸、あるいは都市と農村、あるいは一国二制度、あるいは公害等の問題についても、ある意味では歴史的に割とマネジメントしやすい。そして、もちろん体制が共産党一党政権ということもあって、巷間非常に危機的に言われているほどのこともないのではないかというふうにさえ私は思うんですけれども。  その辺のことについて、まずは、実態については孔参考人から、そして、中国の研究家である国分先生については、その社会システムの歴史的なことを背景にしてどう考えて見ておられるかをお聞きいたします。
  47. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、孔参考人から。
  48. 孔健

    参考人(孔健君) さっき、都市の戸籍と農村の戸籍と、たしか今、上海、北京辺りで戸籍取るのにお金掛かるし、結構、例えばマンション一戸買ったら、中国の方は三人家族は都会の戸籍になるとか。今なかなか、上海、北京は一番、昔と同じように入りづらいと。  私の経験からというと、私の方は元々中国画報社勤めているから、例えばうちの社員、社員というか、軍隊から兵隊さんリタイアして中国画報社へ入って、画報社入ってから二十年間にしても、やっぱり夫婦で、奥さんは農村と、主人の方は北京だと。なぜ。戸籍は、都市の戸籍は二十年間待ってもならないから奥さんは農村と。ずっと別々の生活というところをなっているところ、こういう話の方は一番多いです。私は、北京の方に入ったところで、あなたは絶対北京以外の人、結婚してはいけないと。なぜですかと。結婚したら、二人戸籍一緒にならないから、あなたのふるさとに帰れというところですよ。今は少し柔らかくなって、お金さえあればいいですけれども、しかし農民の方はお金ないからと。  今はどういうふうになっているか。大体、今、都会の方はどんどん、農村の方も都会化されているから、開発区作ったりいろいろ、そういうところは、中国のさっき私申しました国土資源部の方は厳しく今摘発されているところは、なぜ、農地の方は工業用地になっているというところで、農民の方は、戸籍の方は一緒に与えると。与えて、お金も与えても、そんなにお金与えないから、農民たちは農地、土地はなくなっていると。そういうところですね。これからもちろん、これは都市の戸籍と農村の戸籍の、これは中国、すごく私の方は問題になるだろうと思っている。  しかし、その逆に言ったら、中国の方は、例えば都市の中国と農村の中国と。都市の中国、例えば海の中国からいうたらばいいだろうと思っている。例えば、市場経済主導の発展とか外資の導入と輸出の拡大の成長に伴って、それから自動車と住宅など内需の拡大、民営化などの協力を、強化して、実は都会の方はどんどん豊かになっている。豊かになっていると、今度は農村の方に影響いくと。農村に影響いくというところで、これは農村の中国と言ってもいいし、山の中国と言っている。今度、農村のところ、産業も出てくるし、企業の保護策とか財政の出動によって需要の喚起とか農業・農村・農民制度の改革、それからもう一つ、これから多分戸籍の制度も改革するかもしれない。  そういう動きは今既にあるんですから、そういうところは私の方は、豊かなところは、今度、農村の方に少しずつ少しずつ持っていくと。今度、農村の方から何が持ってくるのか。今は深センは、既に問題になっているのは、農民たちは出稼ぎたくないと。幾ら深センに行っても、出稼ぎに行っても、そんなお金になるよりも、重慶の郊外で二千元もらえるから、わざわざ今深セン行かなくていいと。今、深センの実は労働力は全然足りないというところですよ。なぜというと、さっき、戸籍の問題。戸籍なければ、いろいろ、子供の入学の問題、税金の問題、税金じゃなくて、いろいろ家庭の問題出てくると。そうすると、二人共稼ぎにしたら子供入学できないと。それ、上海の既にテレビのドキュメンタリーあるように、子供たちの方は何万人、何十万人ぐらいの方は、北京じゃなく、上海の郊外のところに自分で自立した学校をつくっていると。  そういうところ、もちろんこの中で一番やっぱり言っているところは、貧富の差というところがどんどん拡大していきますから、これは私も深刻の問題と思っています。
  49. 国分良成

    参考人国分良成君) 二点申し上げたいと思います。  まず第一点目は、今起こっている現実をどうとらえるかということだと思いますが、中国をどう見るかといったときに、台頭し成長する中国、これも事実でありますし、格差が広がり、そして問題が拡大し暴動が起きる、これも現実中国であります。  その背景にあるのは、中国は大きいということになるわけですね。それは正に歴史的なパターンでもあるわけだと思います。つまり、中国の歴代の王朝の交代であるとか、そうした過去のパターンを見ていっても、これは正にある意味では農村社会をどう統治するかというところに懸かってくるわけで、十九世紀の清朝の時代に、一八五〇年から一八六〇年ごろの辺り、太平天国の乱が起こりますが、この辺りの中国でどれぐらいの犠牲者が出たかというと、統計上一億人近くの犠牲者が出ています。近くどころか、一億を超えていると思います。つまり、それぐらいの大混乱をしているわけであります。それは、統治力を失い、飢餓が生まれ、そして自然災害が生まれ、そして反乱が起きるという形だったわけであります。  その後、御承知のように、中国が、清朝が滅亡し中華民国という形になり、中華人民共和国になっていくわけでありますが、つまり農村社会、あるいは先ほどから申し上げている広がっていく格差や、つまり統治能力の問題になってくるわけでありますけれども、恐らく今の中国が以前と違う点は何かといえば、それは組織力と同時に軍事力と物理的強制力であると、それと情報コントロールであるということですね。これは、恐らくかつてはそこまではコントロールできなかった。今は一瞬にして飛んでまいりますので、警察が飛んできたり、そのことによって鎮圧すると、威圧すると。しかし、問題は本質的に解決していないという部分はあるわけで、これはつまり行政権力によってやるわけですから。  もう一つ大きな変化は何かというと、それは数が全く違うと。つまり、十三億人という人口は歴史上もちろん初めてであります。当時の中国はせいぜい三億、四億段階だったわけであります。中国の人口は大体ずっと一億だったと言われているわけですが、それが清朝の時代から豊かになって人口が増えていったというふうに言われているわけです。それが十三億まで来ているわけです。これも、つまりは数が大き過ぎて、今言ったような行政権力によって抑える部分と、数が多過ぎて抑え切れない部分と、その辺がどういう形でなっていくか。  つまり、中国で必要なのは、結論は簡単でありまして、経済成長さえあればいいわけであります。その経済成長を一定程度でも各層に分配できればという状況が続くかどうかということですけれども、どうもそこからも外れた人たちが出てきているので、それをどうするか。  それからもう一点申し上げておきたいのは、今申し上げたように、中国というその国の名称そのものも中華民国から来ているわけであります。それ以前は中国という名称は存在しないわけであります。中華というのもないわけであります。  我々が今考える中国というのは、正に中国自身が今戻ろうとしているのは、清朝の十七、八世紀の最大の版図を持った時代に戻りたいと。それが中国の固有の領土であるということで、台湾さえ戻せばそれで全部戻るということであります。しかし、中国というのは歴史上それが中国であったわけでは必ずしもないわけであります。その場合に、我々は今中国というものを考えたときに、国家、政治として考える中国は北京を通じて考えますが、経済的に考える中国というのは、もはや中国は国という単位よりも巨大な地域というふうになってきているんだろうというふうに思います。そこの地域をどういうふうに我々が活用するかというテーマ、しかし、中国自身はこの政治経済を最終的にバランス付けなければいけないというテーマがあるわけであります。  ですから、私は、その中国の規模ということ自体が普通ではありません。例えば、孔さんは出身が山東省でありますけれども、山東省の人口は九千万人ですね。九千万人の山東省、大体面積は十五、六万平方キロメートルですから、日本の半分以下ですけれども、四割ぐらいでしょうか。山東省と日本を比較するということはないと思います。日本中国を必ず比較するわけです。現在、EUは二十五か国です。このEU二十五か国が全部で四億五千万人、十三億の約三分の一、そして面積は四百万平方キロメートル、中国は九百六十万平方キロメートルであります。そう考えていきますと、中国の中に物すごい数の、中国の中に日本よりも大きな面積を持っているのが九ぐらいあるんでしょうか。つまり、EUが二十五か国ですから、二十五か国集まって大体その中国のサイズにもまだいかないということであります。ということは、中国というのはどれぐらい巨大であるかということですね。  ですから、そういう意味でいくと、日本中国を比較するという単純比較は成り立たないというふうに私は思っています。しかも、日本の場合は経済成長が一応実現でき、その次の価値目標を追い求め、中国は国全体としてどう潤せるかという、そこにあるわけであります。ですから、そこの二つを単純比較するのは私はおかしいかもしれないというふうに思っています。
  50. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、先ほど、先に挙手された、いいですか、済みません。水落さんの方から、じゃ。
  51. 水落敏栄

    水落敏栄君 今日は先生から大変いいお話をお聞きしまして、本当に参考になりました。ありがとうございました。  そこで、両先生からのお話の中で、日中友好の一番のネックはやはり歴史認識の問題だと、中でも靖国神社の問題が一番のネックになっているんだと、こういうお話でございました。  すなわち、戦争指導者であった方々、いわゆるA級戦犯と言われる方々が祭られている靖国神社に総理が参拝するのはけしからぬと、こういうことが原因だということだと思いますけれども、いわゆるA級戦犯と言われる方々が合祀された後、後ですね、大平総理にしても鈴木総理にしても、あるいは中曽根総理も二回お参りをしているんですが、中国は何とも言っていないんですね。  一九八五年、昭和六十年のとき、そのときに靖国、中曽根総理が三回目の参拝をしたときから言い出したわけでありまして、つまり、中国の外交政策といいますか、対日政策の一環として、外交の切り札として言い出したと思うんですけれども、なぜこの時期に、A級戦犯という方々が祭られたときは何も言っていないで、そしてその後、申し上げたように、大平、鈴木両首相、あるいは中曽根首相が二回参拝したその後から言い出したというのは、どうした背景がそこにあったのかな、こんなふうに思うわけですが、もしこの背景についてお分かりであればお聞かせをいただきたいと思いますし。  そこで、そのA級戦犯という方々をよそに移したらいいんじゃないかとか、あるいは別の施設を造ればいいんじゃないか、そうすればこの問題解決すると言った方がおられますけれども、決してそうではないと思います。もし、百歩譲って、百歩譲ってA級戦犯という方々をよそに移した、そうしたときに、靖国神社は絶対移すことはできませんと言っていますけれども、百歩譲って移したときに、中国側としてはやはりその次のB級戦犯あるいはC級戦犯も外せ、こうしたことを言うことは可能性はあると思うんですね。  したがいまして、その背景はどういうことかといいますと、やはり先生御承知のように、対日、抗日教育、これ行っているのが背景じゃないかと思うんですが、盧溝橋あるいは南京の抗日記念館にしても、そこに小学生をどんどん連れていって、日本はこんな悪いことをしたと、こういった教育をしているわけですけれども、そうしていきますと、こういう抗日教育を国策として進めているということになりますと、この歴史認識の問題、平行線をたどって、いつまでたっても解決をしないんじゃないかな、こう思うわけです。  したがいまして、申し上げたように、この対日政策の中で外交の切り札として言い出したその背景というものと、もしこれの歴史認識の問題、靖国神社の問題を打開するにはどういう方法があるのか、このことについて両先生から端的にお答えをいただきたいと思いますし、もう一つは、国分先生が論文の中で、東シナ海の海洋開発やあるいは原子力潜水艦の領海侵犯、こうしたことは胡錦濤主席が指示したんではないと、これは民間や企業、中国がいろんな意味でばらけてきているから民間や企業や軍が勝手にやったんだろうと、こうしたことをおっしゃっていましたけれども、あの中国で、果たしてああいう指導者体制の中で民間企業や軍が勝手にそういうことできるのかどうか疑問に思うわけですけれども、これらについて教えていただければ有り難いと思っています。  よろしくお願いします。
  52. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、国分参考人から。
  53. 国分良成

    参考人国分良成君) ありがとうございます。  正直申しますと、靖国についての解決策を提示できればもちろん解決できるわけですけれども、私には正直、今のところ妙案はございません。  この問題について、なぜ八五年から急激に大きくなったのかということでありますが、当時の新聞の社説を全部ここに持っておりますけれども、一律に靖国は反対が多いわけであります、当時は。つまり、八〇年代は、つまり時代の雰囲気だと思いますけれども、当時のメディアはほとんどが靖国参拝に批判的だったというのがあるわけですね。
  54. 水落敏栄

    水落敏栄君 日本のメディアですか。
  55. 国分良成

    参考人国分良成君) 日本のメディアです。中国はもちろん何にもやりません。これを見てつまり中国は反応を始めるというのが現実でありますから、つまり日本の新聞どこを見ても、全部とは言いませんけれども、差し障りがありますので申し上げませんけれども、基本的には反対をしているというそういう世論があった。これが八〇年代、二十年前の状況だったんだろうと思います。つまり、それがやっぱり世代交代時代の変化で変わったということだろうと思います。  ですから、そういうものを見て中国はかなりたたいてきたというのが現実でありますから、日本の中にも、中国に行ってこの問題が問題であるという人もたくさんいたわけですから、そういう形で問題が発生し、こうなってきて、結局のところシンボル化されたという部分がやっぱりあるかなというふうには思っています。ですから、日本国内問題がやっぱり半分あるというふうに私は思っています。  もう一つは、それがなぜ愛国キャンペーンなのかというと、先ほどから申し上げているように、私は、今中国は全部一枚岩だというふうにお話ありましたけれども、恐らく中国研究やっている人たちに百人に聞けば百人はどうなっているんだろうかというのが、政策決定が分からないくらいとにかくばらばらであるというのが恐らく答えとして返ってくると思います。それは現実中国に住む、あるいは人の話を聞く、それはもう肌身に感じるわけでありますが、つまりは、それでよく全体としてもつなという、だからこそ一党独裁なんだというところがあるわけですね。つまり、中国人の感覚では分かるんだと思います、これをやったらどういうことになるかと。つまり、民主化したら一体どういうことになるかと。みんながそれが恐怖になっているわけであります。  ですから、一々、一つ一つ調査したわけではありませんけれども、大体いろんな決定は、別に、先ほど申し上げたように、胡錦濤さんが正に小泉首相に会うちょっと前に、まさかそんな、事を壊すようなこともないでしょうし、それからそのときちょうど橋本元総理が軍の要人と会われていたと、そのときの様子では全く理解していなかったということが新聞紙上でも出ていましたけれども、それが恐らく中国の今の現実なんだろうと。しかし、それは我々にとっては問題ではなくて、やはり中国は我々にとっては一つなんですね。ですから、それは中国の行動として我々は理解しなければいけないし、それについてはきちんとやらなければならないというふうに思います。  それから、愛国キャンペーンの問題についても、やはり九五年からというのは事実だろうと思います。それはつまり、戦後五十年のところで中国共産党の指導力が弱まった、中華人民共和国についての指導体制の問題、その辺から愛国キャンペーンが始まり、その愛国がイコール抗日と、抗日が・・・反日というのに結び付いていったという、そういう部分はなかったかと言われれば私はあったというふうに思います。今は、それでもってやってしまったところが逆に中国自身が困っている部分があるということは事実だというふうに思います。  最後に一点だけ付け加えますと、先ほど孔参考人が御紹介いただいたものの中に、日本の軍国主義化を心配するかという調査がありまして、その中での答えは、五四・八%が日本の軍国主義化を心配する、三〇・九%が余り心配ないと。この現実なんですね。つまり、日本認識がここで止まっているということ自体が問題なわけでありまして、これは我々の、先ほど御質問ありましたように、中国に対する認識もそうですけれども、やはりこれは時間が少し掛かるなというのが、先ほどから申し上げる、それから、私は報告でも申し上げましたけれども、靖国だけが問題なのではないと、より構造的な問題と、それにかかわる心理的な今状態といいますか、そういうことの調節、この二つだというふうに思っています。
  56. 孔健

    参考人(孔健君) 中国は皆さんメンツの国だから、こういうところでいったら本当、なぜというと、靖国神社という問題と、私の方から、これは歴史の認識の問題です。靖国神社の問題だけじゃないです。なぜ、歴代首相の方は大体二回目ぐらいは、みんな終わりにしているんです。しかし、小泉首相は頑固で四回やっちゃっているから、中国言葉、再一再二、不再三再四。再一、再二はいいです。再三、四になると絶対許さないというところですよ。これ一つと、できれば私の方は、A級戦犯の方は分離して、それで両国協議してすればいいと。中国、メンツの国だからそれぐらい約束はできるだろうと思っているんですよ。  もう一つ中国の方はなぜというと、中国の大臣クラスの方、文部大臣、一度グランドパレスのところ泊まって、靖国神社入って、彼の「上海の朝」という小説有名ですけれども、帰りましたら、ぽんと首飛んじゃったぐらいですよ。そういうところですね。  もう一つ中国人、若い世代、二十代、三十代、日本のこと全然知らないと。皆さん、私の方から、彼らが知っているところは教科書辺りの本当抗日戦争の場面だけですから、日本の今現代の、今皆さんが頑張っている勤勉日本と、今経済大国日本の、中国の方は今若者全然知らないと。やっぱり私の一番声聞いているのは、本当、結構皆さんが、中国の幹部たちは、反日反日というか、日本は嫌な気持ちあると。しかし、日本に来て帰ったらみんな尊敬の気持ちで帰ってくるんですよ。もちろん、留学生違いますから。なぜこんな強くなっているの、こんなにルール守っていると。こんな社会主義の、中国よりも社会主義の日本だと。  そういうところを、私の方は、愛国心は何だというところは、やっぱり中国共産党の今だんだん求心力はこういうふうになっているから、何かキャンペーンとか、そういうところないと、だんだん中国は、既に中国共産党は党員になってはつまらないという、それみんな全部各民衆の方にいっているところ、これは事実だから、こういうところは、さっき、私は、国分先生いいことを言っているから、前の歴代首相どうなっているかという、あの時代、皆さん、メディアがまだそれほど発達していないから、これが原因だろうと思っているんですよ。
  57. 国分良成

    参考人国分良成君) 一点だけ。  靖国の第一回目の参拝のときは、私の知り得る限りでは、これは外交当局お互いに折衝して、そのときの、一応そのダメージコントロールをどうするかも大体でき上がっていたというふうに私は認識しておりますけれども、二回目のときに問題が起こったと。つまり、二回目のときは代替施設の議論が出てきて、中国が期待してしまったと。そして、ボーアオというところに初めて小泉さんが行かれまして、そして朱鎔基さんと会われて友人になって非常に親しくなったわけですね。そのときに首相レベルで行かれたのは小泉さんともう一人ぐらいしかいなかったわけですけれども、それから戻られてからすぐに靖国に行かれたと。その間、中国の指導部は、外交当局は、今年はありませんということを上に上げていたということを、そういう交渉がなかったということでそうなったというふうに私は伺っておりますけれども。
  58. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) ありがとうございます。  それでは、澤雄二君。
  59. 澤雄二

    ○澤雄二君 ありがとうございます。  公明党の澤でございます。  私は、日本中国の安全保障の問題についてお伺いをしたいと思います。  先ほど国分先生、半分ぐらい答えられておりましたけれども、去年、原子力潜水艦の問題が起きましたけれども、時々、日本中国との安全保障問題と、こうぽっと出てくるんですけれども、基本的には根っこにずっとある問題だと思います。この問題を考えるときに一つ複雑だなと思うのは、日本アメリカ中国アメリカという、その日米、米中のそれぞれの問題をバイラテラルで持っています。これ、日米中で考えると、どういうふうにこの日中の安全保障を考えていけばいいのかというのは少し難しいかなと思っています。  先ほど国分先生もおっしゃいましたけれども、実は年末に北京に行ってきました。そのときに、トランスフォーメーションの話は、先生おっしゃるとおり全く中国側は言及しません。第一軍団司令部が座間に来るというのは、それは朝鮮半島と台湾海峡の危機の増大というのも大きな理由の一つになっているにもかかわらず言及はありませんでした。しかし、日本の防衛計画大綱については物すごい批判のあらしがありました。そういう面も実は抱えている。  それからもう一つは、対アメリカとの関係というのは、安全保障の問題だけではなくて、政治経済にも実は大きく影を落としている歴史があるんじゃないか。それは今後ももしかしたら影を落とすかもしれない。一九八五年にヤング・リポートというのが提出されて、これは経済レポートでありますけれども、日本も大変なことになったわけですけれども、実はこれ、未確認情報ですけれども、今年の二月にIBMの社長のパルミザーノという人がパルミザーノ・リポートというのを提出と、経済問題で、と言われています。それで、テーマは実は中国だというふうに言われています。  そうすると、日米中の経済問題がまた大きな問題になってくると思うんですけれども、この日本中国の基本的には安全保障の問題、どういうふうに考えていけばいいかということを両参考人にお答えをしていただきたいと思います。
  60. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、国分参考人からお願いします。
  61. 国分良成

    参考人国分良成君) 日米中というのは一九九〇年代の後半に一番はやったテーマであります。これは、台湾海峡危機の問題が起こったときに、日米中の対話が必要だということでいろんなプロジェクトができ上がりました。私も数多く参加いたしました。そのときのやはり議論というのは、日本の役割というのはかなり大きかったというふうに思います。  日本アメリカ中国の間に入ってどうするのかというような議論も随分ありましたです。しかし、今は正直申しますと米中のパイプは本当に太くなりました。米中の民間の対話、それから実際ホットラインもかなり頻繁に動いているというふうに聞いておりますけれども、そういう意味では、米中のパイプはもう学者も含めて本当に太くなってきたという感じがします。  ただし、アメリカにとってみると、根底的には中国の将来を心配しているということはあるわけであります。それはもちろん政治体制も含め、そして安全保障上一体中国はどういう国になるのかということだと思います。それは別にイデオロギーとかそういうことではなくて、恐らく中国はどういうパワーになるのかという部分だろうと思います。その根幹にあるのが恐らく台湾問題ということに集約されるんだろうというふうに思います。  ただし、現在のブッシュ政権のこれからの四年間を考えてみますと、恐らくテロの問題とイラクの問題、そうしたことで恐らく忙殺されるだろうというのが中国の見方でありますし、恐らくアメリカにとってもそうでしょう。という意味から考えると、この四年のブッシュ政権の時期は、恐らく米中はこの形で進んでいくと。戦略的な関係、つまりは、様々疑心暗鬼の部分を持ちつつ、さらに問題を抱えつつも、恐らく戦略的な大人の関係を持っていくというふうにならざるを得ないだろうというふうに思います。その間、北朝鮮問題については中国に六者協議積極的にやってもらうという形の構図は崩さないというふうに思います。  中国から見ると、米中関係最大テーマは、一言台湾問題だろうと思います。つまりは、台湾問題に、どういうふうに処理するか、あるいは処理しないかということでありますけれども、つまり米中関係の根幹の問題の一つはやはり台湾問題でありますので、今のところは、先ほど申し上げたようにアメリカが陳水扁氏をいさめる行動を取ってくれていると。それは簡単に言えば、アメリカにとってみれば今はそれどころではないという話だと思いますが、そういう点ではそういう関係を続けていくと。  ただ、この事実は何を表すかというと、実は台湾問題は既に国際問題になっているということであります。これを事実上中国現実の行動で認めているということであります。日本に対しても台湾問題についての一定の行動をということをしばしば言ってくるわけですね。それは中国の内政問題じゃないんですかという言い方をすると、日本にも役割があるでしょうという言い方をいたしますけれども、実際、小泉首相が台湾の陳水扁さんに対していさめる発言を一昨年の十二月にやっていますけれども、これに対して中国は絶賛するという反応をしたわけですね。  そういう意味でいきますと、実は台湾問題そのものがもう現状維持を支えてくれているのが国際勢力であると。特に、アメリカ日本も若干それに関係しているという事実があるということを一応認識していただきたいと思います。そういう意味では、日米中関係は依然として重要である。ただし、パイプの点では今米中に後れを取っているというふうに思います。
  62. 孔健

    参考人(孔健君) いや、私の方は、さっき国分先生の話は米中関係が良くなれば日中の安全保障問題ないと。しかし、その中には、台湾問題の方は既にこういうふうになって、今中国の方も前向きに進めて交渉しているし、アメリカ関係は今は良くなっているから、できれば台湾問題解決すれば、アジア全体の安全保障の方は、中国の方は特に北朝鮮に対して今抑えているからと。それで王毅大使の有名になりましたから、六か国協議で。  そういうところで、中国の方は、例えば先日皆さん、原子力潜水艦が中国の外務省知らないのか、私の方からというと、見て、私は、政府広報からいうと本当外務省全然知らなかったと。なぜというと、何回も何回も軍事演習を行ってたまたまおたくは一回見付かったというところですよ。それで運がいいかどうかというと、運が悪かったと。そういうところを反発出てきた。しかし、あれは見て分かるように、日本に対してじゃなく台湾に対しての軍事演習ですから、そういうところは御理解して、もちろん日本は、日本の方入っているじゃないかなというところを言うかもしれないですけれども、そういうところは、中国目標の、あくまでも今もそうですから、台湾の方で今度陳水扁政権の方はなぜ怖がっているのは、万が一また武力を行うかもしれないと。武力行使という言葉出てきたんですよ。それは、中国日本に対して、私の方は今はないし、多分これからないだろうと思う。今台湾問題解決すれば自然に、こういう北朝鮮の問題解決すれば、私の方はやっぱり平和に見えるじゃないかなというところです。
  63. 松田岩夫

  64. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございます。  時間も迫っているようですので、短い質問をさせていただきたいと思うんです。  政治的に日中間にいろいろ問題があるというのはなかなか簡単にはいかないと、解決できないというふうにはもちろん思いますし、国分先生おっしゃるように、構造、新しい構造を見付けるためには長期的な取組が必要だと。全くそのとおりだと思うんですが、しかしいずれにしても、両国のお互いの国に対するイメージが極めて悪いということについてはほっとくわけにいきませんので、いろんな手を打たなければいけないんだろうというふうに思うわけです。  端的にお聞きをしますけれども、例えばこれから二〇〇八年の北京オリンピック、それから一〇年の万博、上海万博があります。日本では今年愛知万博がありますけれども、そういった大きなイベントを一つのきっかけにしてお互いの国のイメージを良くするようなイメージ戦略というものは何か考えられ得るのでしょうか。もう愛知万博なんかは既にもう始まろうとしているわけですが、中国側でのオリンピック、万博を機会としての日本一つのPRと申しましょうか、キャンペーンのような可能性というのはあるんでしょうか。一つお聞きをしたいと思います。  それからもう一つは、私は前職がフィンランド駐在の大使だったわけでありますけれども、仲間の大使たちと話をしておりますと、必ず中国のことをいろいろ聞かれるわけです。日本はどう思うんだと言って聞かれまして、もちろん説明をするんですが、その際に非常に困ったのは、中国の人の名前ですね。我々は、例えば胡錦濤さんとこう言うわけです。彼らはウーチンタオさんとこう言うわけですね。最初聞いたときはウーさんってだれだと、分かんないわけですね。  そういうことを考えると、日本中国関係というのはやっぱり同種同文というんですけれども、余りにも親しいがためにちょっとどこか取り違えているところがあるのではないだろうかと。近くて、そしてお互いに非常に国境を接している大事な国だと。お互い大事にしなきゃいけないんだけれども、何か漢字はあるし、お互いに読めちゃうし、我々も水滸伝だとか三国志だとかよく知っているし、お互いに外国、完全な外国だという意識を乗り越えたちょっと甘えがありはせぬだろうかという気がいたしまして、そういったことを直すことによる効果などどんなふうにお考えか、時間がありませんので簡単にお答えをいただければと思います。両先生にお願い申し上げます。
  65. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) それでは、今度は孔参考人から。
  66. 孔健

    参考人(孔健君) そうですね、さっき両国の相互のイメージ、どういうふうに高めていくというところですね。私の方は、実は私の経験から、実は去年、私の提案と企画でチンドウのところですね、オリンピック今度開催のヨットレースの会場になりますけれども、去年の十月でアジアカップのいろいろ反日感情とかいろいろ日本のテレビのマスメディア言っているところで、私、あえてチンドウでジャパン・ウイークを企画したんですよ。大成功しまして、日本の三百人ぐらい見えまして、ちょっと日本の方、なかなか議員の先生たちは呼べないというか、あの時期ですから、海江田さんを連れていったんですけれども、こういうところ。今年の方は実は一月二十五日ですね、またオークラホテル、チンドウ市の副市長で自ら記者会見というか、発表したんですよ、京王プラザとそれからオークラで。  こういうところを私の方はどんどん中国でジャパン・ウイークというか、こういうふうに行って、やっぱり両国の相互感情、聞いたところ、ジャスコの日本の米、食品、お酒、果物、リンゴ、全部完売したんですよ。やっぱり私の方は、反日感情感情といいながら、日本は全然PRしていないからもちろん反日になるのかもしれないと。そういうところは、皆さんが、やっぱりこれから日本どんどん、広報というところは、テレビのコマーシャルも総理大臣出ているんですけれども、それよりも本当外一歩出てPRするべきだと。こういうところ、チンドウの方は、一つの市の方は、オリンピックの宣伝、去年私の企画で、東京駅、大阪の梅田、それから横浜、全部展示会くらいまでやったんですよ。これお互いにやっぱり相互PRというところは必要だなと思っているんですよ。私は、政府広報ずっとやってきましたから、やっぱり広報というところはどれほど大事なのかというところです。
  67. 国分良成

    参考人国分良成君) まず第一点目に申し上げられることは、恐らく今のような中国を見ているのは恐らく我々にとっても初めてのことであります。つまり、清朝の末期から中国自身はかなり停滞してきたわけでありまして、その中国がもちろん内部にかなり大きな問題を抱えつつも台頭しているという、この中国を見るというのは我々の初めてのことであります。十九世紀まではある意味では中華世界が広がるのがこの地域であった。そして、二十世紀は日本の優位性というのがこれが支配をした。二十一世紀は、日本中国だけではありませんけれども、ほかのアジアも含めて皆対等になってきたと。この付き合い方、そのやはり構造と心理的な問題、ここをどう調節していくかということが一つ大事な点であろうというふうに思います。これが一点目。  二点目は、どういう形でその日中の関係を調節していったらいいのかと、何かいいきっかけはないかというお話でありますけれども、一つ二つほど申し上げたいと思いますが、一つは何かというと、それは確かに日本に対して厳しい言論も向こうにはありますけれども、しかしインターネット上ではそれに対する反論も結構たくさんあります。日本とどうにかしようじゃないかというのも結構ありますし、また日本の電化製品、先ほどお話ししましたけれども、それはみんな使っているわけです。  それからもう一つ、よく言われる最近のジャパニーズクールというやつですね、つまりゲームソフトあるいは漫画、漫画はもうこれは世界共通ですけれども、大人はみんな日本に来るとみんな買いに来るわけですね。中国の人たちも同じですね。皆とにかくデパートに行って買いに行くと、どこだどこだと漫画を買いに行くあるいはゲームソフトを買いに行くと。これはやはり日本にとっての一つの財産であります。つまり、そうしたサブカルチャーの部分、やはり音楽ですとか、今は日本のやっぱりジャパニーズポップスというものがかなり今アジアに広がってきていて、台湾で受けるものは大体上海で受けますので、台湾に入ると大体上海に入ります。そうすると、それがはやっていくと。日本料理がいつの間にか上海ではやったりするということがあります。  ですから、別にその台湾のその問題もありますけれども、実は台湾が媒介となって中国日本の文化が入っていくという側面もあります。ですから、このような側面をどういうふうにもう少しうまく企画していくかというようなことがやはり一つの仕掛けとしては十分考えられるということであります。これは長期的な戦略としては重要だと。  二点目に申し上げたいのは、もう時間も来ましたので、私は、中国研究三十年でありますけれども、メモされてもあれですけれども、比較的皆さんに若い若いと言われるわけですけれども、中国研究をやっていると何が起こっても驚かない、どんなことが始まってもどんなことになろうがほとんど驚かないという状況になってまいります。  それは、文化大革命の時代に私は中国研究を始めましたけれども、つまり林彪が失脚したのかしないのか、そして文革はどうなんだ、このまま革命が継続されるのかとか、そんなところを私の卒論にしてきたわけでありますから、そういう時代から考えてみますと、まあ中国はここまで変わったという事実もあるわけであります。その中に天安門事件もあり何もありということで、やはり中国との付き合い方、中国の見方というのは、正直申し上げて、そんなに単純ではないし簡単ではないと。先ほどから言いましたように、初めて日本が今見ているわけであります。  という意味では、私が申し上げたいのは、とにかく中国との付き合い方は焦ってはいけない、感情的になってはいけない、むきになってはいけない、これが中国研究者として生き延びる秘訣でありますので、それを皆様方にお伝えして、終わりたいと思います。
  68. 長谷川憲正

    長谷川憲正君 ありがとうございました。
  69. 松田岩夫

    会長松田岩夫君) 予定の時刻が参りましたので、本日の質疑はこの程度といたします。  一言ごあいさつを申し上げます。  両参考人におかれましては、長時間にわたり大変貴重な御意見をお述べいただき、おかげさまで大変有意義な調査を行うことができました。  お二方のますますの御活躍を御祈念申し上げて、本日のお礼とさせていただきます。ありがとうございました。(拍手)  本日はこれにて散会いたします。    午後四時二分散会