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近藤正道君 社民党の
近藤正道です。
私は、
ODA、インドネシア・スマトラ島のコトパンジャン・ダムについて
お尋ねをしたいというふうに思っています。
一九九六年、
日本からの
ODA約三百十二億円の
円借款でインドネシアのスマトラ島にコトパンジャン・ダム、これは水力発電所でありますが、これが
建設されました。そのため、約五千世帯、二万三千人の人たちが強制移住ということになりまして、家や農地が水没をしたわけでございます。当時のスハルト政権は現地に軍隊を駐留させて住民の抵抗を抑えてかなり無理な同意を、住民同意を取り付けたと、こういうふうにも報じられております。しかも、
代替地がかなり問題になるところでありますし、アセスメントの手続もかなり問題があったと。
環境破壊だとかあるいは生活破壊で大変な問題となった事案でございます。
このダムの問題につきましては、
ODAの在り方について様々な問題点をはらんでいるということで、この国会でも議論になりました。今千葉県の知事をやっておられます堂本さんが
平成三年に初めてこの問題を取り上げまして、この
委員会でも何度か議論になっております。
現地からも直接被害を訴える人たちが
日本に来られたこともありましたし、
政府も
調査や
対応を講じたわけでございますけれ
ども、現地の人たちは納得せず、ダムによって強制移住させられた二万三千人のうち実に三分の一に当たる八千人の人たちがこの
円借款をした
日本と
日本国際
協力銀行、JBICなどを相手取って東京地方裁判所に裁判を起こすと、こういう今事態になっておりまして、間もなく証人調べも始まると、こういうことであります。
ODA事業で初めての裁判でありまして、大変問題になっているわけでありますが、私はそもそも
日本に借款の決定手続、先ほ
ども議論がありましたけれ
ども、この透明な手続だとかあるいは運用の手続だとか成果を検証する各手続を定めた
ODA基本法、こういうものがあればこうした紛争は抑止できたんではないか、こういうふうに思っております。
このコトパンジャン・ダムも教訓となりまして、その後
ODAの実施に当たって様々な人権や
環境配慮のルールが整備改善をされてきておりまして、
ODA大綱も古いものから新しいものに変わったと。しかし、より徹底した配慮をするためにはやっぱり
ODA基本法というものが必要なんだなと、こういうふうに思いながら、以下、質問をさせていただきたいと思っています。
最初は、先ほど来話をいたしましたけれ
ども、一九九六年にダムが完成して貯水が始まったわけでありますが、それによって被害が出てまいりました。そして、その後、国際
協力銀行、JBICは現地のコンサルタントに被害の実態を
調査させて報告書を作らせております。これがそのダムの
援助効果
促進調査報告、SAPS、これは二〇〇二年五月にできたわけでありますが、この附属書ナンバースリー、これがその後二〇〇四年、去年の十月に翻訳されて、「NGOによって実施された村アセスメントの結果」と、こういうタイトルで本になって出ております。私もこれをざっと見まして、これは被害の一部を書いたものであるとは思いますけれ
ども、かなり深刻な被害が出ているな、こういうふうに思って読まさせていただきました。
JBICが自分で費用を出して現地のコンサルタントに作らせたものでありますので、私は、このダムによる水没の被害をかなり正直に、赤裸々に書いたものと、記したものだというふうに受け止めておりますが、
外務省はこの被害実態、これをどういうふうに受け止めておられるのか、これは真実なのか、いい加減なものなのか、どういうふうに見ておられるのか、お聞かせをいただきたいと思います。