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浜四津敏子君 公明党の
浜四津敏子でございます。
本日は、各地を回る中で寄せられた様々な現場のお声などに基づきまして質問をさせていただきます。
まず初めに、西副
大臣にお伺いいたします。
現在、我が国には、強度の遠視や近視、両眼の視力が著しく異なる不同視、先天性の白内障などの
原因によりまして、弱視や調節性内斜視などの眼疾患と闘っている子供たちがたくさんおられます。これらの病気は、治療しないまま放置いたしますと、低い視力のまま固定したり、正常な両眼視機能が発達しないなど、視機能に一生障害を残すことになります。しかし、視機能が発達する子供のうちに治療を受けることで症状が大きく
改善又は完治することが期待できます。
治療法としましては、それぞれの子供の症状に合った眼鏡やコンタクトレンズなどを装着して、目の網膜に像を結ばせて物を見る
訓練をしながら、子供の視力の変化に合わせて眼鏡やコンタクトレンズを買い換えながら治療を継続するということになります。
また、左右の視力が著しく異なるお子さんの場合には、良い方の目をアイパッチと呼ばれるばんそうこう、本日ちょっと皆さんに見ていただきたくて現物をお持ちいたしましたが、(資料提示)これを目に張って遮断して、悪い目を強制的に使う健眼遮断
訓練を毎日何時間も長い間継続して行います。見える目を遮断して、見えない目で学校に行ったりあるいは日常の生活をする、この
訓練は子供たちにとっては大変な苦痛を伴います。
斜視のお子さんの場合には、角度を
調整するためにプリズム状のシールを眼鏡に張って目を真っすぐに向ける
訓練を続けるなどの治療法があります。
これらの治療に使用する眼鏡、コンタクトレンズは、子供たちの症状が様々なため、既製品では間に合いません。特注をせざるを得ないというのがほとんどだそうでございます。眼鏡を
一つ作るのに二万円から六万円ほど掛かっているということでございます。また、度の変化などの治療上の必要性や子供たちの成長などによりまして頻繁に買い換える必要があります。
弱視や斜視のお子さんを持つ家族の会である「あいぱっちくらぶ」というのがありますが、その「あいぱっちくらぶ」のアンケートによりますと、眼鏡、コンタクトのために支出した費用として五
年間で三十万円以上、また一年半で二十万円以上などという結果が出ておりまして、家計に大きな負担となっております。
専門の医師の診断を受け、医師の
指示と
指導の下で治療のために眼鏡やコンタクトレンズを装着しているにもかかわらず、現在こうした眼鏡あるいはコンタクトレンズとも療養費として認められておりません。その最も大きな理由となっているのが、昭和三十九年十一月二十六日に厚生省が出した以下の
通達でございます。
その
通達とは、疾病又は負傷の治療のために必要な用具、補装具は支給されることになっているが、眼鏡はこのような用具とは性質を異にしているので支給の対象から外されていると、こういうものでございます。恐らく四十年前の当時には治療上必要な眼鏡の存在というものはなくて、
通達にある眼鏡というのは私たちが日常使用している近眼や老眼、乱視などの屈折異常を矯正するいわゆる一般の眼鏡のことを念頭に述べておられるものと
考えられます。しかし、現在は眼鏡やコンタクトレンズを装着して弱視等を治す方法が確立されておりまして、この
通達は
現状に即していないものと
考えられます。
昨年四月、「あいぱっちくらぶ」が
厚生労働省に対し以下のような問い合わせをしております。すなわち、この
通達は治療用かどうかということが考慮されずに、一律対象外とされているのはなぜか、こういう質問でございます。それに対しまして
厚生労働省の答えは、眼鏡については現在は治療目的のための装具ではないと判断されています、それは、治療上必要なものか、それとも単に日常生活に必要なものであるかの判断が不明瞭であるためと
説明をされております。
現在、多くの子供さんが専門医の
指導、
指示の下、治療のために眼鏡、コンタクトを使用しているにもかかわらず、
厚生労働省は眼鏡は一律に治療目的のための装具ではないと判断しているわけでございます。また、その理由として、治療上必要なものか生活に必要なものか、その判断が不明瞭だからとしておられますが、専門の医師の診断書や意見書で明らかにできるものと
考えられます。
帝京大学医療技術学
部長の丸尾敏夫教授も、弱視の治療用の眼鏡は最初はっきり見えないが、眼鏡が視力を発達させる役割をして次第に見えるようになると、眼鏡は掛ければすぐ見える日
常用の眼鏡と明らかに異なると、こう述べておられます。
また一方、療養費の支給については各保険者の判断にゆだねられていることから、支給、不支給の判断が大きく分かれております。例えば、
東京社会保険事務局では幅広く支給が認められております。しかし、大阪
社会保険事務局は一切認めないと断言しております。また、北海道
社会保険事務局は、煩雑な審理請求を経て認めていると、こういう
状況でございます。昨年十月現在で百十一の保険者で療養費の支給が認められておりますが、国保を
中心に、先ほどの厚生省の
通達を理由に不適用、若しくは
受付すら拒否するということが圧倒的に多いという
現状でございます。
このような
状況の中、「あいぱっちくらぶ」を
中心に多くの
皆様が、こうしたコンタクトレンズ等を保険給付の対象とするよう求めて
全国で署名運動を展開しておられます。私も、本年二月二十四日、
尾辻大臣あての子供の眼疾患治療に必要な装具への保険適用を求める要望書を持って、「あいぱっちくらぶ」の
皆様とともに西
厚生労働副
大臣を訪ね、三万人の署名を手渡させていただいたところです。
通達が出された昭和三十九年当時に比べ、現在は比較にならないほど医療技術は飛躍的に発展しております。弱視等の治療方法として眼鏡、コンタクトレンズを使用することは既に確立した医療であり、しっかりした効果を上げているという
現状を御考慮いただき、新たな
通達等により、治療目的の眼鏡、コンタクトレンズ、アイパッチ、プリズムフィルムなどを保険給付の対象とすべきと
考えます。
厚生労働省においては、
現状に即した新たな
通達を出して、すべての保険者が混乱なくこうした治療用の眼鏡等を補装具として認めて療養費の支給対象とすべきと
考えますが、いかがでしょうか、西副
大臣にお伺いいたします。