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政府参考人(倉吉敬君) ただいまの
委員の御
指摘のありました民事
法律扶助
制度でございますが、まず現行の
制度でございますが、これは御承知かもしれませんが、資力の乏しい者に対する訴訟の援助を中核とするものでございまして、民事訴訟等の裁判
手続のための
代理人費用を立て替えると、こういった事業を行っております。したがって、現行
制度の下では、
社会保険労務士が
ADR手続の
代理人となる場合の
代理人費用について援助の対象とするということはできません。
恐らく御
指摘の
趣旨は、これを加えられないかと、こういうことであろうかと思いますが、この点についてはいろんな考え方あると思うんですが、私ども、今のところ三つほど問題があるかなと思っております。
それを御紹介することで御容赦いただきたいと思いますが、まず、各種の
行政分野において様々な
ADRがございます。その
ADRの中の一部を扶助の対象として取り込むとすると、それをどういう基準でどのような範囲で取り込むのかと、そのことがまず
検討しなければならない問題であろうと思います。
それから第二に、問題の観点が若干異なりますが、
ADRにおける費用負担の在り方そのものの問題でございます。それぞれの
ADRは、それぞれその特殊性、それから専門
分野、
専門性というのを持っております。そういうことを踏まえまして、むしろ当該
ADR自体あるいはこれを
所管している省庁等において別途
検討していくべき問題ではなかろうかと、これが第二の問題かなと思っております。
それから三番目に、これは
ADRの特質ということなんですが、そもそも費用を掛けずに簡易迅速な
紛争解決を図るというのが
ADRの目的でございます。そこに
代理人の費用を支出する具体的な必要性、これをきちっと
説明できる理屈があるだろうかということ。
三番目はやや付随的かなと思いますが、そういったことを
検討していかなければならないと思いますので、今後の
ADRの運用実態等も踏まえながら見ていかなければならないなと、このように思っておる次第でございます。