○西島英利君 是非前向きな御
検討をお願い申し上げたいと
思います。
次は、
社会保障制度の在り方について
お話をさせていただきます。
私は、
社会保障というのは平時の国家安全保障というふうに
考えられるだろうというふうに思っております。特に医療の
部分につきましては、揺りかごから墓場までと、教育期間中、それから仕事をしている間、そして退職後と、常に医療というのが深くかかわってきているわけでございます。
しかし、この
社会保障制度を
考える中で、今まさしく医療が経済的な観点からのみ
議論されているとしかもう思えないところでございます。二月十五日に経済財政諮問
会議の民間議員の
方々が、
制度の持続性の観点という視点から、給付の伸びを管理するための提案として、名目GDPの伸び率が妥当であると、さらには、保険給付範囲の
見直しをしなければいけないということをおっしゃっているわけでございます。
今、日本の医療は、健康寿命、つまり寝たきりでない人の寿命は世界一でございますし、乳幼児の死亡率は世界で第二位の低さでございます。そういうことで、OECD加盟国の医療費
状況を見てみますと、総医療費の対GDP比七・八%ということで、世界でも十八位ということでございます。しかし、将来を
考えていきますと、当然何らかの対策はしなければならないだろうと
考えています。
この伸びの主要因、これは老人医療費の増加ということがよく言われております。ここでやはり
考えなきゃいけないのは、今度、これから
議論される予定になっております高齢者医療
制度の問題でございます。今、二〇〇二年十月以降、公費負担比率が年四%と引き上げられまして、二〇〇六年十月に公費五〇%となるということですが、これはまさしく財源論だけで
議論されているところでございます。
しかし、高齢者の医療はどうあるべきかということをしっかりと
議論しなければ、なかなか医療費の抑制にはなっていかないだろうというふうに
考えています。そういう観点から、終末期医療の在り方をしっかりと
議論をして国民のコンセンサスを得て、高齢者医療の、まさしく医療内容のやはりその
制度をきちんとしていかなきゃいけないだろうというふうに思っております。
もう
一つの問題は、この伸び率管理の問題でございますけれ
ども、これは
平成十三年九月の二十五日に医療
制度改革試案というのを厚生省が出しまして、老人医療費伸び率管理
制度の導入目標を、この医療
制度で目標を超過した場合の措置という形で、要するに罰則的に、オーバーした
部分は二年後、決算後、すべての医療機関に均等に振り分けて返還させるというような
制度を導入をしようとしたわけでございますが、これは憲法の問題、それから医師の応招義務の問題、つまりこれが、伸びがオーバーしようとしても、医師は患者さんが来られるとその患者さんの求めを拒んではならないというふうになっているわけでございまして、もしこの応招義務違反を起こしたということになりますと、医師の不法行為に伴う損害賠償責任請求の
可能性も出てくるというようなこと等もありまして、この伸び率管理
制度は一応影を潜めたところでございます。
さらには、財政的要素が入り込むことによりまして需要過多、供給不足に陥る
可能性があるということでございまして、この
制度を導入したイギリス、ここはサッチャー首相がまだ経済
状況が悪いときにこの伸び率管理
制度を導入しまして、イギリスの医療はがたがたになったところでございます。
特に、当時、これは二〇〇二年ごろでございますけれ
ども、百二十万人の患者さん
たちが手術待ちの
状況にありまして、そのうち七万人は十五か月以上待たされていると。がんの診断を受けてがんの手術を受けるまでに一年以上待たなきゃいけない。がんは進行するわけでございますから、がんの五年生存率はヨーロッパ諸国の中でイギリスは最低となってきたわけでございます。
また、欧州裁判所の二〇〇一年七月二十一日の判決ですと、患者が自国では必要となる手術を適正な期間内に受けられない場合、欧州圏内国でその患者が適切な病院で手術を受ける権利があると。その手術の費用は自国の保険者に支払う義務があるとして、この判決を受けて、イギリス
政府は患者の海外手術費用を支払うことを認める旨の発表を行ったということでございます。
しかし、その後もなかなか厳しい
状態が続きまして、二〇〇二年にイギリスは、今後五年間医療予算を毎年実質七・四%ずつ増加させ、二〇〇一年時点対GDP比七・五%の医療費を、二〇〇七年度には九・四%に引き上げる計画を発表したと。つまり、一度駄目になった
制度を元に戻そうとしますとこれ大変なコストが掛かるというのは、これで証明をされているところであろうというふうに
思います。
また、公的保険の守備範囲の
見直しということをやりますと、本当に必要な医療が受けられない
状況になってまいります。アメリカがまさしく、お金がなければ必要な医療は受けられないという、そういう
状況にあるわけでございますが、二〇〇五年の一月二十一日付けのニューヨーク・タイムズ紙のコラム記事でこういうのが載っています。医療保障、キューバに頼んでくれと。ヘルス
ケア・アスク・キューバというコラムの記事が載っておりまして、これはどういうことかといいますと、悲しい事実を伝えようと。もしアメリカ合衆国の乳幼児死亡率がキューバ並みであったなら、我が国は一年で二千二百十二人の子供を救うことができただろうと。しかしキューバよりも悪いわけですね。
これはCIAが最新世界
調査レポートということで、キューバはアメリカよりも乳幼児死亡率が低い国だということを言ったわけです。そしてその理由が何なのかといいますと、大
部分が貧困と密接に結び付いていると。つまり、お金がない
状況の中でこういうことが起きているんだということがここで言われているところでございます。
そういうことからいきますと、今、せっかく日本が乳幼児の死亡率が世界で第二位の低さ、さらには健康寿命が世界第一位と、こういう
状況はまさしく今の医療
制度であるわけでございますので、そういう、外国に学ぶという
状況からいきますと、やはり伸び率管理
制度等は非常に大きな問題があるのではないかなというふうに感じておりますし、経済財政諮問
会議の中でも
大臣がそれのコメントをなさったということを聞いておりますので、もう一度ここで
大臣、コメントをいただければと
思いますが。