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武見敬三君 この十億の
予算がどのような形で
効果的に
執行されるかということは、今後の
我が国のODA行政全体の中でどういうふうに現地機能を強化していったらいいかということを考えるときの新しいモデルになりますので、もう絶対に失敗しないように上手に使ってくださいね、これ。
それともう
一つ、ODAの
予算全般に関してであります。
昨年は、シーリングだとかあるいは概算要求でもこういう文言になったんですよ。「ODAについては、
我が国にふさわしい姿を目指し、諸外国の動向や外交を戦略的に展開するための適切な水準を見極めつつ、その内容を精査し、効率化を進める。」というのが去年のこの文言なんですね。ところが、実際にこの概算要求の段階で
財務省主計局は、何と官房本体の
予算を二〇%削減するという、ある
意味では脅しに近い、そういう球を
外務省に投げてきて、そしてODAで変に頑張るとこちらの官房の方の
予算しっかり削らせてもらいますよという駆け引きに出てきた。その結果として、当時の官房長も相当慌てたようでありましたが、残念ながらこの圧力に屈して、去年ODAは引き続き削減されるという惨めな結果に終わりました。
私は、この
財務省の
主計局のやり方は極めて問題があったと思っていますよ。その結果として、いざ
国連改革を進めよう、
国連の
常任理事国としての
役割も確保するための積極的な外交を展開しよう、そしてさらに最近では、例えばUNDPの総裁というような人事が新たに行われるときに
外務省からもその優秀な人材を候補者として送り込もう、こういう積極的な
国連に対する働き掛けをしようとするときの基盤が壊れましたよ、これ。
財務省主計局の果たしたこの罪は大変に私今から振り返ると重かったと思うよ。それを実際にきちんと
認識をしてもらわなければ困る。
その上で、実際に組立ての仕方として、私は、今回
外務大臣、非常に英断でやっていただけたと思っているんですけれ
ども、
国連の改革というものを実際に進めていくことは非常に重要で、制度や機構を変えるということも大変重要なんですけれ
ども、これはなかなかやっぱり一朝一夕すぐできるものではありませんが、やはり
国連関係機関の幹部に
我が国から優秀な人材を積極的に送り込むことを通じて、現在の制度あるいは仕組みの中でおいても、
我が国が
国連に対して非常に大きく影響力を行使できるという人材戦略というのは私は
一つの大きなかなめだと思います。
そういう点で、今回、現役の経済
局長をそのUNDPの総裁の候補として立てられたことは非常に大きな意義があったと思う。今まででいえば、どこかいろいろ
局長をやって、どこかいいところの大使幾つかやって、ある程度功成り名遂げた方がこういう国際機関の事務総長とか総裁とかいうそういう立場になるための候補者になられたと。しかし、私はそれじゃもう遅いと思うんですよ。現役の
局長ぐらいで優秀な方がいたら、何も別に、その後、功成り名遂げて、先進国のいいところの大使をやって、ああ、私はいい外交官
人生を送れたなんていうんじゃなくて、むしろそういういい人材は、積極的に
政府が働き掛けて、こういった国際機関などの長として大きく活躍をするように育て上げるという戦略が私は必要だと思いました。そういうことを
外務大臣初めてやってのけたので、私は本当、心からそれに対して敬意を表しているものであります。
実際にその当人も物すごく
努力をして、そして最後まで候補者として残られました。私は、この御当人の果たした非常に大きな責任感と
努力を心から敬意を表すると同時に、
外務省の皆さんも一生懸命それを
支援するために
努力されたことは大変なすばらしいことだと思う。
しかし、残念ながらその際も、現実にこのミレニアムの目標というものに対して、GNIですか、
国民総所得の〇・七%という
一つのODAの達成目標、そしてそれが十分達成されていないどころかむしろ減らされているという
我が国のODAにかかわる財政
状況、加えて
国連関係機関に対する拠出金というものが
主計局によって大幅に昨年削られてしまったこと、これらがいずれもこういう積極的な
国連外交を展開しようとするときに物すごく大きな足かせとなって今現在あるわけですよ。この罪は、
財務省主計局、物すごく重いですよ。いざ積極的に
国連外交、
国連改革をやろうという、あらゆる
努力をしようとするときの、その闘うための材料を半分以上取り上げたようなものだ、これは。
そういうような、正に近視眼的なそういう
主計局の
考え方というものは今後徹底的に改めてもらわないと
日本外交などうまくいくわけがありません。この点について
外務大臣はどうお考えになるか、お聞きしておきたいと思います。