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2005-03-28 第162回国会 参議院 決算委員会 第5号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年三月二十八日(月曜日)    午後一時開会     ─────────────    委員異動  三月一日     辞任         補欠選任      島田智哉子君     林 久美子君      山本 孝史君     峰崎 直樹君  三月四日     辞任         補欠選任      加藤 敏幸君     辻  泰弘君  三月七日     辞任         補欠選任      辻  泰弘君     加藤 敏幸君      小林美恵子君     大門実紀史君  三月八日     辞任         補欠選任      大門実紀史君     小林美恵子君  三月九日     辞任         補欠選任      峰崎 直樹君     前川 清成君  三月十日     辞任         補欠選任      前川 清成君     峰崎 直樹君  三月十一日     辞任         補欠選任      坂本由紀子君     泉  信也君      山下 栄一君     風間  昶君  三月十四日     辞任         補欠選任      泉  信也君     坂本由紀子君      遠山 清彦君     山下 栄一君  三月十五日     辞任         補欠選任      風間  昶君     遠山 清彦君      西田 実仁君     山本 香苗君      小林美恵子君     紙  智子君  三月十六日     辞任         補欠選任      齋藤  勁君     小川 敏夫君      山本 香苗君     西田 実仁君      紙  智子君     小林美恵子君      又市 征治君     福島みずほ君  三月十七日     辞任         補欠選任      小川 敏夫君     齋藤  勁君      福島みずほ君     又市 征治君  三月十八日     辞任         補欠選任      山下 英利君     中島 啓雄君  三月二十二日     辞任         補欠選任      中島 啓雄君     山下 英利君      峰崎 直樹君     水岡 俊一君  三月二十三日     辞任         補欠選任      水岡 俊一君     峰崎 直樹君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         鴻池 祥肇君     理 事                 田浦  直君                 山内 俊夫君                 神本美恵子君                 松井 孝治君                 山下 栄一君     委 員                 小池 正勝君                 坂本由紀子君                 武見 敬三君                 中村 博彦君                 西島 英利君                 野村 哲郎君                 森元 恒雄君                 山本 順三君                 尾立 源幸君                 加藤 敏幸君                 佐藤 雄平君                 齋藤  勁君                 高橋 千秋君                 谷  博之君                 林 久美子君                 藤末 健三君                 峰崎 直樹君                 遠山 清彦君                 西田 実仁君                 小林美恵子君                 又市 征治君    国務大臣        法務大臣     南野知惠子君        国土交通大臣   北側 一雄君        国務大臣        (国家公安委員        会委員長)    村田 吉隆君    副大臣        法務副大臣    滝   実君    大臣政務官        法務大臣政務官  富田 茂之君         ─────        会計検査院長   森下 伸昭君         ─────    事務局側        常任委員会専門        員        和田  征君    政府参考人        内閣国民生活        局長       田口 義明君        警察庁長官官房        長        安藤 隆春君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        警察庁刑事局長  岡田  薫君        法務大臣官房司        法法制部長    倉吉  敬君        法務省民事局長  寺田 逸郎君        法務省刑事局長  大林  宏君        法務省矯正局長  横田 尤孝君        国土交通大臣官        房長       峰久 幸義君        国土交通省総合        政策局長     丸山  博君        国土交通省河川        局長       清治 真人君        国土交通省道路        局長       谷口 博昭君        国土交通省住宅        局長       山本繁太郎君        国土交通省鉄道        局長       梅田 春実君        国土交通省海事        局長       矢部  哲君        国土交通省港湾        局長       鬼頭 平三君        国土交通省航空        局長       岩崎 貞二君        国土交通省政策        統括官      上野  宏君    説明員        会計検査院事務        総局第一局長   諸澤 治郎君        会計検査院事務        総局第三局長   高山 丈二君    参考人        本州四国連絡橋        公団副総裁    倉林 公夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件理事補欠選任の件 ○平成十五年度一般会計歳入歳出決算平成十五  年度特別会計歳入歳出決算平成十五年度国税  収納金整理資金受払計算書平成十五年度政府  関係機関決算書(第百六十一回国会内閣提出)  (継続案件) ○平成十五年度国有財産増減及び現在額総計算書  (第百六十一回国会内閣提出)(継続案件) ○平成十五年度国有財産無償貸付状況計算書(  第百六十一回国会内閣提出)(継続案件)  (法務省国土交通省警察庁裁判所及び住  宅金融公庫の部)     ─────────────
  2. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) ただいまから決算委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日までに、島田智哉子君及び山本孝史君が委員辞任され、その補欠として林久美子君及び峰崎直樹君が選任されました。     ─────────────
  3. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 理事補欠選任についてお諮りいたします。  委員異動に伴い現在理事が一名欠員となっておりますので、その補欠選任を行いたいと存じます。  理事選任につきましては、先例により、委員長の指名に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  4. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 御異議ないと認めます。  それでは、理事山下栄一君を指名いたします。     ─────────────
  5. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 平成十五年度決算外二件を議題といたします。  本日は、法務省国土交通省警察庁裁判所及び住宅金融公庫決算について審査を行います。  これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 小池正勝

    小池正勝君 自由民主党の小池正勝です。  私は、警察法務省国土交通省さんに質問をさせていただきます。まず、今日の私の質問は、与えられた時間、安全、安心ということをテーマに質問させていただこうと思っています。  まず、警察関係でございまして、治安という意味での安全というのをお伺いしたいと思っています。  警察の方にお伺いしますと、警察の統計の取り方というのは年度じゃなくて暦年で取るということですから、十五年度決算ということの資料として、十六年の一月から六月における一般刑法犯総数というのを伺うと百二十七万七千八百件となっておりまして、前年同期に比べると四・五%減少したということですから、これはもう御当局が大変な御努力をされたその結果だろうと、その努力評価したいと思っております。  しかしながら、一方で、かつて十五年度、この決算のころはおれおれ詐欺と言っておったんですけれども、今は振り込め詐欺と言うようですが、こういった振り込め詐欺とか架空請求詐欺という知能犯が四七・二%増加した。また、来日外国人検挙件数も三七・二%増加したと。過去最多であった前年同期を更に上回るという状況になったと、しかも検挙率は二割台に低迷しておると、こういう状況だというふうに伺っております。  そこで、今日は十五年度決算でございますので、十五年度予算においてどんな施策を講じて、その結果どうなったかということをまずお願いいたします。
  7. 岡田薫

    政府参考人岡田薫君) ただいま最近の犯罪情勢等について御説明ございましたので、この私ども対策について御報告申し上げたいと思いますが、警察におきまして、いろいろな今委員指摘ありましたような厳しい犯罪情勢を踏まえて、国民が安心して暮らせる安全な社会を確立したいということで、平成十五年の八月に緊急治安対策プログラムというのを作りまして、街頭犯罪侵入犯罪対策、あるいは重要犯罪対策、さらに組織犯罪対策少年犯罪対策といったものを個々具体的にいろいろ展開してまいりました。また、十二月には、犯罪対策閣僚会議において犯罪に強い社会の実現のための行動計画が作成、策定されましたので、警察においても、関係省庁地域住民連携を図りつつ、いろいろな対策を進めてきたところでございます。平成十六年の数字を見ますと、先ほど御指摘いただきましたように、刑法犯認知件数増加傾向に歯止めが掛かってまいりました。そうした取組の成果が徐々に現れつつあるのではないかと思います。  また、おれおれ詐欺等の振り込め詐欺につきましても、警察庁における情報の集約・分析体制強化あるいは首都圏に各県の捜査員を集中する、そのことによって共同捜査、効率的な捜査を進めるといった体制整備、それから被害を未然防止するための広報、金融機関等との連携強化、そういったことを図りました結果、因果関係について個別の立証というのはなかなか難しいところがございますけれども月ごとのこの種振り込め詐欺被害総額を見ますと、この二月には、ピーク時が十六年九月でございましたので、その半分以下ぐらいにまで下がりつつあります。まだ高い水準ではございますので、決して警戒を緩めてはいけませんけれども、そうした効果も現れていると思います。  また、来日外国人犯罪につきまして、もう御指摘のように、過去最高の検挙状況を見たわけでございますが、来日外国人犯罪につきましては、その私どものデータというのは認知というのは取れませんで、検挙という結果でこう増減を見る面がございますものですから、検挙捜査活動強化したことによる結果の部分もあるのではないか。十六年の検挙件数検挙人員は過去最多を記録しております。  また、今後引き続きまして、警察といたしましては、組織人員効率的運用、優秀な捜査官の育成、科学捜査力強化関係機関との連携強化などにも配意した上で良好な治安の確保のための努力を進めてまいりたいと思っておりますので、またどうぞよろしくお願いいたします。
  8. 小池正勝

    小池正勝君 治安対策は今刑事局長さんからお話を賜ったわけですが、そこで、地域との関係でお伺いしたいと思っているんですが、私、徳島ですけれども徳島でこの治安というと、まず交番ということ。これもう地域にとっては一番の頼りになるところなわけです。治安対策として頼りになるというのはもちろんだけれども交番に何かあったら駆け込んで御相談するという意味でも、地域社会にはなくてはならない存在交番ということになっているわけです。もう今やKOBANというのは世界共通語だそうでございますから、それぐらいに世界的にも有名になった交番、それだけ一生懸命やってきたということだろうと思うんです。  ところが、その頼りになる交番というのが今空き交番化している。いない、いつ行ってもいない。これは徳島でもそうでして、行ってもいない。こういう状況がかなり増えているように思うんですけれども、まずこの交番現状というのをお示しください。
  9. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 今委員から御指摘ありましたように、近年増加する事件、事故への対応交番数増加等によりまして、勤務員不在が常態化しておりますいわゆる空き交番が全国的に生じておりまして、その解消を求める国民からの強い要望があるというふうに認識しております。  平成十六年四月現在でございますが、全国には六千五百九か所の交番がございますけれども、そのうち約三割の千九百二十五か所が交番勤務員不在が常態化しているいわゆる空き交番となっているという現状でございます。
  10. 小池正勝

    小池正勝君 空き交番というのは、我々地域社会にとってはもう頼りになるところですから、やはり解消してほしいというのがもう率直なところですし、地元の皆さんもそう言っているんですが、この解消に向けてどんなことをされるんでしょうか。
  11. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 各都道府県警察におきましては、いわゆる空き交番解消を求める国民からの強い要望があるということから、このための解消計画を策定しているところでございまして、具体的には、交番勤務員増配置交番配置見直し、あるいは交番相談員活用等によりまして交番勤務員不在の際のいわゆる留守を預かるというようなことをしながら、これを解消するための計画を策定しているところでございます。  現在、地域住民理解も得ながら、各県でそれぞれ十九年春を目途にその解消が実現するような計画を策定しておりまして、その取組を行っているところでございます。
  12. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は、三年間でゼロにすると、こう理解してよろしいですか。
  13. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 十九年春にはゼロにするという目標でございます。
  14. 小池正勝

    小池正勝君 そうしますと、一つ定数という問題もありまして、もちろん必要なものは増員するというのはちっともおかしくないし、これは現に一定の増員は認められておるところなわけですけれども、一方で、そうはいっても何でもかんでも人を増やせばいいという時代でもないというのは事実なわけでして、そこで、内勤の方の交番勤務への充当といいますか、そういうことについてはどうお考えになっていますか。
  15. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 空き交番をゼロにするというためには、御承知のように、ある程度の増員が必要になってくることは事実でございます。  増員やり方でございますけれども警察官全体の増員というものもございますけれども、今お話ございましたように、一つにはやはり他の部門で勤務する警察官交番員の方に、まあ内部捻出をして交番勤務員として充てていくというようなやり方一つございますし、これは増員ではございませんけれども、先ほど申しました交番相談員というのがございます。これはいわゆる昼間帯が主でございますけれども警察官不在の際にいろいろな交番での受付業務等の仕事ができる人たちでございますので、そういう人たちを充てて、交番不在のときにその対応に当たるというようなことも考えておるところでございます。
  16. 小池正勝

    小池正勝君 是非、空き交番なしにしてもらって、ゼロにしてもらって、これは地域社会にとっては大変頼りになる存在でございますので、いつ行ってもお話をしてもらえる、相談に乗ってもらえると、していただければ有り難いと思っています。三年間でゼロと、是非お願いいたします。  それでは次に、今度は法務省さんにお伺いをいたします。刑務所の問題でございます。  最近、刑務所定数超過といいますか、収容者定員を超過している状況にあると聞くんですが、現状はどうなっていますか。
  17. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) お答えいたします。  現状について申し上げますが、刑務所等収容人員は、平成十年以降急激な増加が継続しておりまして、特に受刑者等の既決の被収容者にありましては、平成十六年末現在約六万四千九百人、定員に対する被収容者の数のいわゆる被収容率にいたしますと約一一八%と、その収容状況は一段と厳しくなっていると、そういう状況にございます。
  18. 小池正勝

    小池正勝君 どう解消するお考えですか。
  19. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) お答えいたします。  これまでこうした過剰収容状態解消のために刑務所等収容棟増築工事等による収容能力の拡大を図ってきたところでございまして、本年度福島刑務所など約六千人分の収容能力増強のための工事を行ってきておりますが、それに加え、さきに成立いたしました本年度補正予算及び平成十七年度予算におきましても、いわゆるPFI手法を活用した刑務所整備も含め、刑務所等収容能力を七千三百人以上増強することとしておりまして、これらが完成した暁には過剰収容状態の緩和に大きく役立つものと期待しているところでございます。  それから、職員増員につきましても、関係各方面の御理解を得まして、平成十七年度予算におきましては五百三十四人の増員が計上されているところでございまして、これら職員有効活用により過剰収容に伴う職員負担の軽減を図ることができるものと考えております。  しかしながら、最近の犯罪情勢等からいたしますと、収容人員増加傾向はなお継続するものと予想されまして、これに伴い刑務所等収容状態は依然として厳しい状態が続くことが推測されますことから、今後とも収容能力拡充等に努めてまいりたいと考えております。
  20. 小池正勝

    小池正勝君 そこで、財政も非常に厳しい状況なわけですが、今局長さんおっしゃられたように、刑務所増設あるいは新設していくというお話ですが、安易に増設というわけにもいかないと、これも事実なわけですが、その際に、今おっしゃられた、PFIというお話をおっしゃったわけですけれども、恐らくまず第一号として山口県の美祢でやるということになっているわけですが、それを指しているんだろうと思うんですが、そのPFIを導入する、どんな業務を一体PFI対象として、民営化対象として、そしてそのPFIでやるその民営化について法務省当局はどんな見解を持っているのかということをお伺いしたいと思います。
  21. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) 法務省では、いわゆるPFI手法を活用いたしまして、今委員も御指摘の男女の初犯受刑者約一千名を収容する新設刑務所山口美祢市に整備することとしております。  この事業では、施設の設計、建設のみならず、施設の警備や受刑者の処遇の一部を含めて幅広く民間に委託し、官民協働による刑務所運営を実現したいと考えておりまして、民間創意工夫を発揮することにより、矯正教育職業訓練などの充実を図られるものと期待しております。  加えて、この事業のために必要となる所要の法制上の措置につきましても、構造改革特区制度を活用することといたしまして、本国会に提出いたしました構造改革特別区域法の一部を改正する法律案監獄法等特例規定として盛り込ませていただいたところでございまして、この制度を活用することにより、刑務所地域との共生を図ることを期待しております。  このように、PFI手法を活用することによって過剰収容対策として効率的に施設整備を図ることに加え、官民協働による運営地域との共生を図ることにより、国民理解され支えられる刑務所整備が実現できるものと考えております。
  22. 小池正勝

    小池正勝君 そのお考えはもちろんよく分かるんですが、問題はコストでどれぐらい削減になっているのかというのをお伺いしたいんです。
  23. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) これはこれから具体的に進めることになりますが、実際にはその事業者が、どのような事業者が入りまして、そしてどのような運営をするかによって異なりますけれども、私どもが試算したごくごく大ざっぱな数字で申しますと、通常の、いわゆる既設の刑務所運営に比較しますと、計算上の範囲でいいますと、三割から四割くらいは削減できるのではないかと、まあ部分によりますけれども、そんなふうにも考えているところでございます。トータルとしてどうなるか、ちょっと今後また見させていただいた上でまた御報告申し上げますが。
  24. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は三割ないし四割も削減される、これ大変大きい話になるわけですから、これは法務省としてはPFI刑務所を造るというのには非常に積極的な姿勢を示していると理解してよろしいんですか。
  25. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) 今申し上げたのは主として人件費のことが大きなものになりますけれども、私どもといたしましては、このPFIを活用することによって、新しい刑務所といいますか、言うならば二十一世紀の刑務所といったものを一つは模索するという、そういう考え方もございまして、今のところ予定されておりますのはこの美祢市の第一号とそれからもう一か所のみでございますので、このようなPFI刑務所を実際に造って運営した様子を見ながらまた検討してまいることになろうかと思います。
  26. 小池正勝

    小池正勝君 刑務所については、今のお話のように、収容者定数増といいますか、過剰になっているということで新しく造ると。それは、今のお話PFIではその二か所と、逆に言うと、それ以外のものは全部従来型でやると、こういうことですか。
  27. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) 私、大変申し訳ございません、事業者の提案によって、コストのことなんですが、大きく異なりますけれども、数%の削減現時点では、試算上は、ではないかということでございました。これは、今申し上げました、先ほど私申し上げましたのは、主として人件費の数で申し上げましたけれども、総トータルでいいますと二、三%ではないかと、現時点で分かっているのは。しかし、これにつきましては更に努力をして大きな数字に持っていきたいというふうには考えております。  それから、今申し上げましたように、現時点で、十七年度予算を含めまして調査費が付いておりますのはもう一か所でございまして、結局、美祢市とそれからもう一か所の二か所ということで、現状はそういうことだということで、今後につきまして、これから先PFI手法による刑務所新設はないのかとおっしゃられますと、そうだという趣旨では全くございません。今後ともまた状況を見極めながら考えていきたいというふうに考えております。
  28. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は、三、四割というなら話はよく分かるんですが、二、三%というお話になりますと、ここはそれほど大きな額ではないわけですよね。そうすると、PFIについての評価というのはどうお考えになりますか、刑務所PFIについての評価は。
  29. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) 今申し上げました数字が大変小さいというふうに思われるかもしれませんけれども、私どもといたしましては、今申し上げましたように、これは一番少ない、堅いといいますか、数字でございまして、今後の運営、それから契約によってこの幅をもっと広げるように努力をしたいというふうに考えております。そういう意味で、私どもといたしましては、在来型の刑務所とは違ったいろいろな処遇も取り入れるということも含めまして、大きな評価をしているということでございます。
  30. 小池正勝

    小池正勝君 是非一生懸命努力をしていただきたいと思うんですが。  そこで、これは後ほど御質問することにも関連するんですが、刑務所が、今の定数が超過しているという問題ももちろん一つあるんですけれども、もう一つ、非常に老朽化が進んでいるという話を聞くんですが、現状はいかがですか。
  31. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) お答えします。  ちょっと細かな数字は持っておりませんで申し訳ございませんけれども、経年化したといいますか、老朽庁舎、これは相当数まだ残っているということでございます。
  32. 小池正勝

    小池正勝君 そこでお伺いしたいのは、実は今日はテーマとしては耐震ということを取り上げたいと思っているんですが、刑務所の耐震化、これはどうお考えになっていますか。
  33. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) その耐震化の問題でございますけれども平成十二年度以降に一定の基準に基づきまして順次耐震診断を行って、補強が必要とされた建物につきましては現在耐震補強工事を実施しているという状況にございます。
  34. 小池正勝

    小池正勝君 そもそも耐震化率はかなり遅れていると聞くんですが、いかがですか。
  35. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) 失礼しました。  耐震診断が必要な矯正施設の建物が現在全国で八十八棟でございます。耐震診断を実施した建物が平成十二年度に二棟、十三年度に二棟、十四年度に一棟、で、十七年度におきまして耐震診断実施予定が四棟でございますので、委員おっしゃるとおり、まだまだこの点につきましては努力しなければならないと思います。
  36. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は耐震診断のお話ですね。耐震化率についてはつかんでおられないということですか。
  37. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) 失礼しました。  十七年度予算案に静岡刑務所収容棟一棟、それから福井刑務所収容棟予算措置されております。
  38. 小池正勝

    小池正勝君 耐震化率、刑務所全体の耐震化率はいかがかという御質問なんですが。
  39. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) お答えいたします。  はっきり申しまして、これからでございます。まだ一棟だけですから、十六年度に一棟だけでございます。
  40. 小池正勝

    小池正勝君 刑務所というところは、これはやはり収容者の問題があるわけですから、これは耐震の問題については非常に普通の施設以上に考えていかなければならない施設だろうと思うんですよね。それ、これからというのは少し具合悪いと思うんですが、いかがですか。
  41. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) 御指摘のとおりでございますので、私ども引き続きこの刑務所等矯正施設の地震対策については万全を期するように努力してまいりたいと思います。
  42. 小池正勝

    小池正勝君 これはもう、そうおっしゃられるとそれ以上言ってもしようがないんですが、ただ刑務所、よく言われることですけれども、地震にしても災害にしても、そういう災害が起こったら逃げることが一番とよく言われるわけですけれども、しかし刑務所の場合はそういう話にはならないわけですから、ここはやはり耐震ということは特に考えていかなければならない。収容者の人権も考えなければいけないわけですから、特に考えていかなければならない施設だと思いますので、是非決意のほどをお願いします。
  43. 横田尤孝

    政府参考人横田尤孝君) おっしゃるとおり、一生懸命考え努力してまいります。
  44. 小池正勝

    小池正勝君 一生懸命お願いします。  それでは、法務省さんへの御質問はこれで終わらしていただきまして、次に国土交通省さんに御質問をさせていただきます。  今回の検査院の報告を読ましてもらいますと、住宅金融公庫、十五年度融資残高六十一兆円、そのうち六か月以上の延滞債権が六千九百億円あると、で、回収が困難となった債権の税金による大幅な穴埋めを行うということが書いてあるわけですね。そこで、この住宅政策についてはいろんな御意見がありまして、一方で、もう政府による住宅の供給、直接供給なんというのは、もうその時代は終わったんだと、こういうことをおっしゃる方もいらっしゃるんですが、しかし私はそれは暴論だと思っていまして、セーフティーネット等を考えればこれはそんなことはないと、こう思っているんですが。  そこで、まずこの住宅政策について基本的なお考えを、局長さん、お願いします。
  45. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今、住宅政策の基本的な柱を根っこから見直して住宅政策改革を進めていこうということで、社会資本整備審議会にもかけ御審議を続けていただいているところでございますけれども、昨年末までに政府としての方針がまとまったものについて、政策の柱、今般通常会に法案としてお願いしておるところでございますけれども、その要点だけ申し上げますと、今お話がありました住宅のストックが非常に充実してきているんで、しかも民間の力でこれが非常に強力に供給されているんで、終戦直後の大変な住宅不足の時代に立てられた三つの住宅政策の柱、最初は住宅金融公庫に財投資金を直接融資するという柱、それから地方公共団体にお願いして公営住宅を直接供給するという公営住宅の制度、それから昭和三十年代に大都市をターゲットにできました公団の制度、それぞれ見直して、民間にできることは民間に、地方公共団体にやっていただけることは地方公共団体にやっていただこうという、そういう精神に沿って改革の方向を定めております。  しかし、その方向性を見ますと、マーケットに、市場にできることは市場にといいましても、市場で勝負できない御家庭もあるわけでございまして、そういう御家庭の住宅を的確に確保するためにセーフティーネットをどうしたらいいのか。これは根っことしては公営住宅がありましたけれども、その公営住宅の制度をどういうふうにしたらいいのかということも方針を定めた上で、今般、公的賃貸住宅の整備特別措置法案ということでお願いしているわけでございますけれども、マーケットを重視する、しかしその表裏の関係にセーフティーネットもきちんと充実していくという、そういう考え方で改革を進めていきたいという考えでございます。
  46. 小池正勝

    小池正勝君 そこで、公的直接供給の代表といいますか、一つの例として地方住宅供給公社というのがあるわけです。これについて御質問をいたします。  今回の十五年度の会計検査院の検査報告では指摘がされておるわけですね、この地方住宅供給公社について。その経営悪化ということが指摘されておるわけであります。公的な住宅供給の主体であるこの住宅供給公社というのは、住宅宅地の供給とか管理ということで一定の役割は担ってきたのは事実なんだけれども、バブルが崩壊後は経営環境が大きく悪化した、悪くなってきたということで、十五年の六月から十六年の二月にかけて三つの住宅供給公社が特定調停の申立てを行っていると、こういう状況になっているというのが現状だということが会計検査院の指摘でも書いてあるわけですが、そこで、まずこの地方住宅供給公社の現状、これをお伺いいたします。
  47. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 地方住宅供給公社の制度ですけれども、これは先ほど言いましたように、日本住宅公団の制度が昭和三十年に大都市圏をターゲットにできましたけれども、同じような問題意識を持っている各地方の住宅対策を同じ政策目標で各公共団体に努力してもらってやろうということで制度ができました。昭和四十年に法律ができました。ターゲットとする世帯は中堅勤労者でございますけれども、今日まで地方住宅供給公社は分譲住宅で五十六万戸、それから賃貸住宅で十七万戸を供給してきました。  その後の社会経済情勢の変化に伴いまして、特に分譲住宅が不振であると、宅地開発も含めまして、ということがありまして、一部の公社におきましては債務超過の状態になっているところもあるわけでございます。そのうち、北海道、それから長崎県、それから千葉県が設立しました三つの公社におきましては特定調停に至っているところでございます。平成十五年の決算で、全国で都道府県とそれから政令市合わせて五十七の公社ございますけれども、債務超過の状況にあるのは七公社でございます。
  48. 小池正勝

    小池正勝君 この住宅供給公社について、今おっしゃったように七つ債務超過だというお話ですけれども、かなりな率になるわけですよね。今後どうされるのか。と同時に、もう一つ、そもそも地方住宅供給公社は役割は終わったんだからもう畳んでいいんだという意見があるんですが、いかがですか。
  49. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) これは地域の住宅政策上の課題によって区々だと思うんですが、したがって設立団体である公共団体がどういうふうに考えられるかということが主なんですが、先ほどから例として引証していますように、大都市圏のために国が特殊法人としてつくりました住宅公団の場合、何回かの改革を経まして、分譲住宅からの撤退、それから宅地開発業務からの撤退、それから主として大都市地域の都市再生に民間の力を導入する、そのために必要な仕事に特化して民間の都市再生を応援する組織ということで昨年七月に独立行政法人都市再生機構という組織になりましたけれども、これは一つの改革の、各設立団体が住宅供給公社を改革される場合にも一つのひな形になると思います。各地方都市も中心市街地の停滞に非常に苦しんでおりますので、町中居住の推進とか、そういったものを柱とした都市再生、中心市街地の再生に住宅供給公社の力を生かしたいんだというお考えの設立団体もあると思います。  したがいまして、私どもとしましては、各設立団体の意向を徴しているところなんですが、公共団体によっては、もうこの際解散をして清算をしたいというお考えのところも少数ですけれどもございます。  ですけれども、四十年にこの法律ができましたときには、この公社の運営をどういう資金でやるかということについて、勤労者の資金を集めて、積立分譲住宅制度という制度ですけれども、それで資金を集めて、それに例えば住宅金融公庫の資金を加えて分譲住宅を造るとか、そういうことをやっておりました。それで、恐らく、今から振り返りますと、積立分譲住宅の制度を余り脆弱なものにしちゃいかぬという問題意識があったんだと思いますけれども、住宅供給公社法では公社の解散規定を定めておりません。ずっとお客様のニーズがある限りしっかりやれという趣旨だったと思うんですが、先ほど言いましたような状況考えますと、設立団体が解散をしたいというときには所定の手続を踏んで解散できるようにする必要もあると考えまして、今回の国会に法律の改正をお願いしているところでございます。
  50. 小池正勝

    小池正勝君 今の局長さんのお話は、地方に任せると、その判断をですね。大都市とは地方都市は少し違っていまして、地方都市は今おっしゃったように中心市街地の活性化というのが地方の景気の一番象徴的な事例なんでありまして、それは民間に任せろとだけ言ってみても地方都市の場合はなかなかできません。そうすると、やはり公的な部分がある程度イニシアチブを取っていかないと具合悪い、町中居住なんというのは正にその最たるものだと思いますから。  そういう意味では、正に地方の判断に任せていただけると。で、やめたい人はやめられるように法改正をすると。大変、正に地方の判断を尊重していただけるということですから、是非地方の判断を尊重していただきたいと、そう思っております。  そこで、今日申し上げたいのは、今のお話、先ほどの住宅政策の基本として住宅局長さんがおっしゃったのは、今までの住宅政策は直接供給重視、フロー重視だったのを、これからは民間重視、市場重視で、なおかつストック重視にしていくんだと、こういうお話だろうと思うんですね。それは確かに時代の流れですから、正に住宅政策もそういう流れに沿ってやっていかなければならない。もう世帯数よりも住宅戸数が上回ったと言われて三十年以上たつわけですから、もうそういう時代に来ているし、財政制約もあるし環境制約もあるし、それを考えれば正にその流れは止められないと思うんです。  そこで、今日はそのうちの、幾つも論点はありますが、このストック重視というところに的を絞って御質問をしたいと思っています。  このストック重視、新設住宅ならば、もちろんそれも建築確認の段階で安全のチェックはするわけですが、とりわけ既存住宅と。ストック重視というのは正に既存住宅の流通というお話になるんでしょうが、その既存住宅の安全性というのをどう担保していくのかということを御質問したいと思っております。  たちまちのお話として、ここのところ地震が、新潟の地震でも住宅の耐震化が言われました。今回の玄界島のところでも住宅が大変無惨な形になっておると、これも事実であります。阪神・淡路大震災のときには正に圧死と、家がつぶれて圧死という悲惨な事故が起こったと、これもまた事実なわけです。  そこで、阪神・淡路大震災の教訓を踏まえてこの耐震化を進めるということが言われておるわけですが、そのために十四年度から住宅耐震化に係る費用を補助する制度というのができたわけですけれども、しかしながらこの決算報告があります十五年度、十四年度にスタートして、十四、十五年度というんでは実績ゼロというふうにこの検査報告では書いてあるんですが、その点、どうお考えになりますか。
  51. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 今、我が国に人が住んでいる住宅が四千七百万戸ございます。そのうち、建築基準法が定めております耐震性能を満たしていないと推計されるものが千百五十万戸ございます。二五%です。そのうちのほとんどは戸建ての木造住宅です。一千万戸ございます。  これを何とかしなきゃいかぬというのが目の前の課題であるわけですけれども、なかなか耐震改修が進まない理由の中に、まあある程度のお金が、まとまったお金が掛かるということがあります。それで、今現に住んでいるところをいじらなきゃいかぬということがありますし、それに比べて地震の切迫性というのは少し離れているということもあって、住宅を持っておられる方が改修をしなきゃいかぬという気持ちになかなかなってもらえないというところにあるわけです。  したがって、今例に出していただきました耐震改修費補助、ごく最近できてきたものですけれども、それより前の段階から事業調査費を使って耐震診断の助成をやってきているわけですけれども、これまあ調査費ですのでかなり普遍的に市街地で、公共団体がやろうと思えば耐震診断の補助はできるということで、意欲的な市町村長さんはまずハザードマップを公表して、おたくの住宅は具体的にこういう危険がありますよというのを示した上で、耐震診断に助成しますのでどうぞ耐震診断してください、危険があれば改修してくださいという筋道で取り組んでおられるんです。しかし、非常に意欲的な制度を持ったところでもこの耐震改修を実際にやろうというところまではなかなかならないというのが実態でございます。したがって、なかなか例が出てこないというのが一つ。  もう一つは、国の制度としての補助制度に非常に大きな制約がございまして、住宅は個人の財産なんで、それを耐震改修するというだけで公の金を助成することはできないという考え方の下に、十四年度に導入しました耐震改修費補助の物の考え方は、救援路、いざというときに救援部隊が使わなければならぬ道路ですね、その道路に直面した建物が地震のときに道路に倒れ掛かって、これを啓開しなければ道路が使えないという状態になってしまうと。そういう状態になるのを防ぐために、道路に面した建物についてそういう状態にならないように改修費を補助しようと、そういうことなら国としても補助をすることに公共性が見いだせるということで制度を用意しまして、地域の限定が非常に掛かっているということもありまして、これまで実績が非常に限られたものになっているという状況だと認識しております。
  52. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は、制度が非常に限定的なんで利用しづらいと、要するに道路の周辺しか駄目だと、避難路になるところしか駄目だと。そこには、私有財産に税金入れるのが難しいというお話からそういうお話になっているんだと思いますが、しかし、ここは事命の問題になるわけですから、そういう形式的な議論というのは余り意味がないし、そもそも、じゃ一切税金入れた例がないかといえば、土地改良の予算なんていうのは入れているわけですから、そういう例がないわけではないわけですから、そこはやはりきちんと考えていただかなければならないんだろうと思っております。  そんな中で、この住宅の問題については大臣も非常に積極的に取り組んでいただいておりまして、昨年の税制改正のときも耐震促進税制というような話も出たわけでございますが、結局、検討課題で先送りされたわけですけれども、是非これは実現していただきたいと思っておりますので、大臣、非常によくこれ熱心に取り組んでいただいているわけですが、ひとつ御所見をお願いいたします。
  53. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 先ほど来お話が出ておりますように、地震の際の被害の多くは住宅又は建造物の倒壊、損壊に基づくものが非常に多いわけでございます。今、海溝型地震を始め、また直下型地震を始め、これからも想定をされている中で、やはり私は住宅、また様々な建築物、また構造物等も含めまして、それの耐震化をしっかり進めていくということは、これは国のやっぱり大きな責任だというふうに私は思います。  今、委員から御指摘があったように、これまで非常に、耐震改修補助につきましても非常に狭い範囲のものでなっております。それについても私はやっぱりどうあるべきなのかよく検討しないといけないと思っております。耐震化を進める、住宅の耐震化を進めるということは、その住宅の所有者の方にとってプラスになるのは当然でございます。居住者にとってプラスになるのは当然なんですが、それだけでは私はないと思うんですね。その周辺にお住まいの方々、その地域にお住まいの方々にとっても耐震化が進んでいくということは、これはプラスでございます。  そういう意味では、単に私的財産だということで片付けられない、非常に私は住宅というのは、住宅の耐震化を進めるということは公益的な側面も非常に私強いと思うわけでございまして、そういう意味でもこの耐震化についてもう一度よく議論をして、耐震化がしっかり進められるような制度を、仕組みをよく検討してもらいたいということをお願いしておりまして、今、国土交通省の中では、この住宅と建築物の耐震化をどう進めるか、専門家の方々にも入っていただきまして今精力的に議論をしているところでございます。  もうこの五月か六月には取りまとめをしてもらいたいと、で、十八年度予算概算要求にはきちんと間に合うようにしていただきたいと、理論武装をしっかりしてもらいたいと。また、耐震改修促進法という法律があるんですが、その法律につきましても、あれは阪神・淡路震災のときに、その年にできた法律でございますが、この法律につきましても見直しをお願いをしております。  やはりこの住宅の耐震化、建築物の耐震化を進めていこうとしましたならば、もちろん国のリーダーシップも大事なんですけれども、やはり私は、地方公共団体、市町村の方々が一番、自分の地域の中のどの建物が耐震化が進んでいないんだと、多くの人たちが出入りするこの建築物に耐震化が進んでいない、そういう状況はやはり一番よく御存じでありますし、また一番御関心があると思うわけでございまして、そういう意味では、地方公共団体の方にもっと権限といいますか、を持っていただけるような、そういうふうな制度改正も是非検討してもらいたいと思っておりまして、今幾つかいろいろ申し上げましたが、予算面、税制面、制度改正面、そうした面につきまして、今専門家の方々にも入っていただいて御検討いただいておるところでございまして、早急に取りまとめをさせていただいて、この耐震化、しっかり進めさせていただきたいと思っております。
  54. 小池正勝

    小池正勝君 大臣からは非常に力強いお話を承りまして、ありがとうございました。  正に大臣おっしゃられるように、住宅にはある面で公共性があるのも事実でございますから、この観点を、ただ単に私有財産という話にはならないということが一点あろうと思っています。  しかも、それを進めるには、大臣おっしゃるように、国も地方もということだろうと思っていまして、地方公共団体にも責務があると。そういう意味では、昨年も議論が出ましたけれども、地方税との関係で、地方公共団体、住民税とはできないんだという、単純な話にはならないということはやはりきっちり踏まえていかないといけない。地方も国も一緒になって命のために頑張っていかなければならないんだろうと思っています。  ここに徳島新聞の記事があるんですが、私ども徳島ではもう、東南海・南海地震というのがありまして、これは一面トップです。それぐらいにこの地震の話についてはみんな危機感を持っておりまして、もちろん地方も一生懸命やりますので、是非国も一緒になって取り組んでいただければ有り難いと思っております。  そこで、時間がもうなくなってまいりましたので、住宅はおきまして、公共施設の今度は耐震化についてお話をさせていただきたいと思っています。  今年の、これ十五年度の会計検査院の報告の中では橋梁について触れられておりまして、橋梁の耐震化ということについて、特に掲記を要すると認めた事項という中で特記されておるわけでございます。  それを読むと、東海地域を始めとして、地震防災対策に対する社会的要請は近年急速に高まっており、橋梁の耐震化は道路行政において重要な課題の一つとなっている。しかしながら、直轄事業、都道府県等が行う事業の緊急輸送道路内の旧基準が適用されている橋梁等の耐震化の状況は、その実施状況や推進体制が必ずしも十分であるとは言えないというふうに書いてございます。  そこで、まずこの橋梁の耐震化ということについて御質問するんですが、阪神・淡路大震災のとき以降もう十年がたつわけでございますが、そして橋梁の耐震化ということがずっと言われてきて取り組んでこられたと思うんですが、現状はどうなっておられて、これからどうされるお考えなのか。
  55. 谷口博昭

    政府参考人(谷口博昭君) お答えいたします。  委員指摘のとおり、大規模地震発生時におきまして救援活動や物資輸送を行う上で緊急輸送道路は極めて重要な役割を果たすものと考えておりまして、これまで耐震対策の推進に努めてきておるところでございます。  緊急輸送道路の橋梁の耐震補強につきましては、いわゆる阪神・淡路、兵庫県南部地震の教訓を生かしているということでございまして、昭和五十五年の基準よりも古い橋梁を対象に、また一本の柱から成る鉄筋コンクリートの橋脚でございますが、単柱橋脚を中心にしまして、耐震補強の整備を進めてきているということでございます。  特に、そのうち二次的被害の可能性の高い跨線橋や跨道橋等を最優先として対策を実施してきているということでございまして、平成十六年度末の時点で、この優先区間につきましては、直轄国道について約九割、都道府県管理道路につきましては約六割完了するという見込みでございますが、河川橋等につきましては進捗が遅れているという状況でございます。したがいまして、国と都道府県等が連携しまして、平成十七年度から十九年度対象とする緊急輸送道路の橋梁耐震補強三か年プログラムを策定させていただきまして、これに基づき橋梁の耐震補強を重点的に実施させていただきたいと考えておるところでございます。  また、新幹線の跨線橋や高速道路上の跨道橋につきましても大臣から指示がございまして、耐震補強を新たに強化するということを考えておりまして、先ほどの緊急輸送道路と同様に、平成十七年度から三か年プログラムを策定して重点的に推進を考えさせていただいているところでございます。いずれにしましても、平成十九年度までにはおおむね完了して支障のない状態に持っていければと計画を新たに策定して強化させていただいたということでございます。  今後とも、都道府県等との関係機関と調整を図りながら、連携強化しながら、地震に強い道路ネットワークの構築に努めてまいりたいと考えております。  以上でございます。
  56. 小池正勝

    小池正勝君 是非、この橋が落ちてしまったのでは避難といったって避難ができなくなるわけですから、是非これは急いで、十九年度というお話をいただきましたので、是非お願いしたいと思っております。  次に、港湾についても十四年度の検査院報告で同じように指摘がされているわけですが、現状と、これからどうされるおつもりなのか、お考えをお願いします。
  57. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) お答えをいたします。  港湾における大規模地震対策といたしましては、従来から耐震性を補強した耐震強化岸壁あるいは防災緑地等の施設整備、その背後の土地の液状化対策等を実施をしてきたところでございます。  ただいま委員より御指摘のありました耐震強化岸壁についてでございますが、大規模地震など災害発生時に被災者の避難やあるいは緊急物資の輸送路を、輸送ルートを確保し、併せて物流機能の維持により被災地域社会経済活動への影響を最小限にすることなどを目的に整備を進めてきておりますが、東南海・南海地震等大規模地震が切迫している中で、その整備は目標の約五割にとどまっているというのが現状でございます。  このため、昨年の五月に地震に強い港湾の在り方につきまして交通政策審議会に諮問を行いまして、本年三月二十二日に港湾における大規模地震・津波対策の今後の基本的な方針となる答申が取りまとめられたところでございます。  この答申では、耐震強化岸壁等の整備の推進といったハード対策と併せまして、港湾利用者等への被災情報の伝達等、ソフト対策の推進が必要とされております。  今後、本答申を踏まえまして、限られた予算ではございますが、例えば既存ストックの有効活用を図るなどコスト縮減にも努めながら、港湾における大規模地震・津波対策をハード、ソフト両面から一体として着実に推進をしてまいりたいというふうに考えておりますが、特にお尋ねのありました耐震強化岸壁につきましては、大規模地震の切迫性あるいは海上輸送への依存度等を考慮いたしまして、緊急度に応じた重点的な整備を図ってまいりたい、かよう考えているところでございます。
  58. 小池正勝

    小池正勝君 河川管理施設はいかがでしょうか。
  59. 清治真人

    政府参考人(清治真人君) 河川の堤防についてお答えしますが、河川の堤防につきましては、通常の構造物と違いまして土でできておりますので、地震のときにどのぐらい沈下するか、あるいは崩れて落ちるかというようなところで、その沈下量を評価しているわけでございます。  これも阪神・淡路地震の教訓を踏まえまして平成七年三月に点検マニュアルを作っておりまして、これで点検いたしましたところ、直轄の堤防で三百五十キロメートル、何らかの対策が必要だというのが出ておりまして、これに対する対策平成十五年度末で約百五十キロメートル完了してございます。  これらにつきまして、残りのところについても重要なところから着実に耐震化を進めていくように現在進めているところでございます。
  60. 小池正勝

    小池正勝君 今のお話は、三百五十キロのうちの百五十キロ、半分ということですか。是非これも急いでお願いしたいと思っております。これも堤防が切れたら大変なことになりますので、是非お願いしたいと思っております。  それから、鉄道の耐震化ですが、先日も魚沼トンネルからコンクリート片が落っこってきたという報道がありました。新潟の地震のときには脱線ということもあったわけですね。それがまた今回、トンネルでコンクリート片が落っこってくるなんて、こんな状況がありますが、この鉄道の耐震化についてどんな状況になっていますか。
  61. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 鉄道の耐震補強についてでございます。  阪神・淡路の大震災におきまして、鉄道の高架橋が倒壊する、あるいは地下鉄の開削トンネル、この部分が陥没するというような被害を受けました。これを教訓にいたしまして耐震補強を進めてきております。  まず、新幹線の高架橋でございますが、この柱の耐震補強につきましては、平成十六年度末現在で、補強が必要な高架橋の柱六万八千六百本のうち約七割が完了する予定でございます。昨年の中越地震の被害を踏まえまして計画の前倒しを実施いたしまして、おおむね平成十九年度末には完了させる予定でございます。  一方、在来線の高架橋でございます。  この柱の耐震補強につきましては、優先的に整備が必要とされた大都市圏の列車本数の多い線区を対象としておりまして、平成十六年度末現在で、補強が必要な高架橋の柱四万二千本のうち約六割が完了する予定でございます。引き続き推進するよう強く指導してまいりたいと思っております。  また、開削トンネルの耐震補強につきましては、平成十六年度末でほぼ完了しております。  なお、今先生御指摘のトンネル、これは開削トンネルじゃなくて山岳トンネル、こういうトンネルの部分でございますが、これにつきましても対策を講ずるべく、現在検討をしております。近々発表したいと思っております。
  62. 小池正勝

    小池正勝君 この魚沼トンネルの件を、これは新聞報道ですけれども、新聞報道によると、地震があって運転止まっておったわけですね。止まっておって、運転再開時には打撃点検などで全部点検し終わって問題ないということだったところが落っこったと、こういうふうになっていますが、事実ですか。
  63. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) 御指摘のとおり、魚沼トンネルにつきましては、被害を受けましたので、目視と打音で検査をいたしました。その時点では問題がないというふうに判断してたわけでございますが、その後、御指摘のように、側壁の一部が落下しているというのが発見されまして、これにつきましては当該のトンネルを含めましてもう一度点検をしている最中でございます。
  64. 小池正勝

    小池正勝君 時間もなくなってまいりましたので、まとめさせていただきます。  私は今日、安全、安心ということをテーマにして質問さしてもらいました。それは治安ということもそうですし、地震もそうなんですが。  で、いつも大臣は、政治にとって何が大事かというと、安全、安心が一番大事なんだとおっしゃっておられて、正にそのとおりだろうと思うんですが、そのためには正に国土交通省が一歩出るといいますか、積極的に取り組むということがどうしても必要、特にこれは命の問題ですから。是非、大臣には、もう従来から一生懸命取り組んでいただいておりますが、積極的な対応をひとつよろしくお願いして、私の質問を終わります。  どうもありがとうございました。
  65. 山本順三

    山本順三君 自由民主党の山本順三でございます。  決算委員会、初めての質問でございますけれども、どうかよろしくお願い申し上げたいと思います。  ちょうど入替え中でございますが……
  66. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どうぞごゆっくり。
  67. 山本順三

    山本順三君 ゆっくりとやらしていただきたいと思います。
  68. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) どうぞお掛けになっていてください。
  69. 山本順三

    山本順三君 ああ、そうですか。
  70. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) はい。  それでは、山本順三君。
  71. 山本順三

    山本順三君 それでは、質問をさせていただきたいと思いますが、先般、福岡県西方沖地震で被災されました皆様方に心からお見舞いを申し上げたいというふうに思います。  ちょうど土曜日、私、羽田空港におりましたら、防災服に身をまとった小泉総理が来られました。そして、今から福岡へ行ってくるというようなことでございました。全力を挙げて、被災地の皆さん方の災害復旧のために全力を挙げていただきたいと、このように思うわけでございますが、先ほど小池委員の方から耐震の問題についていろいろ質問がありましたので、この地震関係につきまして二点質問をさせていただきたいというふうに思います。  先般、中越地震で大変な被害を被ったわけでございますが、それに続いて、本来起こるべきところではないというふうに想定をされておったこの福岡県西方沖でまた地震が発生したということでございまして、もういつどこで災害に遭うか分からない、こういう災害列島の中で我々は生活をせざるを得ない、こういうふうな状況に立ち至っております。そんな中で、地震被害というものを最小限に食い止める、そういった意味におきましては、今ほどの議論のとおり、いかほどに耐震というものを進めていくべきか、これが一番の論点になるだろうというふうに思いました。そのときに一番大切なことは何といっても緊急時の初動体制、これが一番私は大切だろうなというふうに思っております。  そういった意味では、国交省の方にまずはお尋ねしたいと思いますけれども、住宅とか建物等の危険度判定、これを二次災害を防止するという観点からも極めて迅速に行うということが災害を防止する一つの大きなポイントになるんだろう、このように思っておりますけれども、今回の福岡県西方沖地震の発生に伴う国土交通省のこの対応についてまずはお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  72. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 地震災害時の応急危険度判定の重要性については御指摘のとおりでございます。    〔委員長退席、理事田浦直君着席〕  このことにつきましては、阪神大震災の経験でこれを再認識いたしまして、全国の都道府県ごとに、民間の建築士の方、それから都道府県、それから大きな市の建築主事に応急危険度判定の講習を受けてもらいまして、ボランティアベーシスで応急危険度判定士の登録をしております。全国で九万六千人余り今登録しておりまして、今回、福岡県西方沖の地震が起きました福岡県では二千百人余り判定士の御登録をいただいているところでございます。  今回の地震におきましては、発生後直ちに、福岡市の職員、建築主事ですが、四名、それから福岡県の職員二名、それから国土交通省の九州地方整備局から一名のこの登録されました判定士が、被害が大きいという情報が入りました玄界島に直ちに入りまして判定活動を行いました。それから、玄界島で、具体的には二十日、二十一日の二日間で、延べ二十一名の体制で二百二十五件の建物すべてについて判定を完了いたしました。  それから、玄界島以外の地域でございますが、福岡県、それから福岡市において判定を行いまして、若干残っているところにつきましては引き続き現在も福岡市において判定を実施しております。二十四日までに判定士を動員しました数が延べ百八十四名、判定を実施した建物は二千五百六十四件でございます。
  73. 山本順三

    山本順三君 ありがとうございます。  ところで、今日、実はニュースを見ておりましたら、お昼のニュースでしたけれども、日本建築学会というところが玄界島のすべての建物をチェックするんだと、こういう報道が流れておりましたけれども、今の、判定士がすべての住宅をチェックしていただいたという、そういう答弁いただきましたけれども、この日本建築学会との関係というのはどういうふうに判断したらいいのか、もし分かればお答え願いたいと思います。
  74. 山本繁太郎

    政府参考人山本繁太郎君) 応急危険度判定の方は正に地震災害時の応急措置として、具体の住宅、建物について使えるのか使えないのか、それとも更に再度チェックが必要なのかということを緊急にやって被災者の住民の方々の安全な生活に役立てようという、正に防災上の業務でございます。  それに対しまして、学会、やっていただいておりますのは、現場が落ち着いたところできちんと個別の建築物について詳細に調査をした上で、いろいろなことを縦横に分析した上でこれからの建築行政なり予防に役立てようということでございまして、対象は同じですけれども、観点が違うということであります。
  75. 山本順三

    山本順三君 よく分かりました。  それともう一つ、初動体制ということで考えるときに、地震を含め大規模災害が発生したときに、自衛隊に対応してもらう前に即座に対応できるというのは正に警察だろうというふうに思っておりまして、その警察がどういうふうな体制対応が大規模災害発生したときにできるのかということについてお伺いしたいのと、具体事例として福岡県西方沖地震の場合にはどういう対応を取られたのか、この点についてお示しをいただければ有り難いと思います。
  76. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) それでは、国家公安委員長として御答弁申し上げますが、二十日でございますが、福岡県西方沖地震が発災いたしまして、警察といたしましては、警察庁、それから九州管区警察局、それから福岡、佐賀、長崎各県警察に災害警備本部を設置をいたしたわけでございます。九州、中国及び四国管区内の警察ヘリを直ちに飛ばしまして、それから広域緊急援助隊約百八十名を福岡県と佐賀県に派遣したわけでございます。この派遣でもって現地の被災者の救助とかあるいは情報の収集を行ったということでございます。特に玄界島が被害が大きかったわけでございまして、福岡県警察から広域緊急援助隊を六十名派遣いたしまして、これを警察用の船舶とか警察ヘリで搬送したということでございます。  私が島に参りましたら、移動交番といいますか臨時の、これはパトカーが置いてあるだけなんでございますが、それで島内のパトロールに当たっておりましたが、なお、避難所となりました九電体育館におきましてもパトロール活動を行っておりましたし、それから避難所におきまして各種相談に応じていたと、こういうことでございまして、そういう意味では警察も総力を挙げまして被災地の救援に当たっているわけでございます。
  77. 山本順三

    山本順三君 ありがとうございます。是非、いざというときには警察の皆さん方にお願いするというのが我々にとって一番安全、安心の基本でありますから、今後ともひとつよろしくお願い申し上げたいというふうに思います。  続きまして、警察関係につきまして何点か質問さしていただきたいと、このように思っておりますけれども、実は福岡あるいは北海道等々の経理、捜査費の経理の不祥事、これが実は我が地元でございます愛媛県でも起きてしまいました。極めて残念に思っておるところであります。先ほど申し上げたとおり、我々の警察に対しての信頼感、これは極めて高いものがあるわけでございまして、そういった実は流れの中でこのような事件が発生してくるということは、もうざんきに堪えないというふうに思っております。  特に現場で働く警察官にとりましては、国民のあるいは県民の信頼というもの、これがだんだん不信感に変わっていく、このことは耐えられない話だろうと思いますし、私も地元でいろいろな会合をしておりまして、いろんな会合、地元の会合には駐在の皆さん方もよく出席されます。そして、どんなですかというようなお話ししましたら、いやもうこの話になってしまってなかなかいろいろな活動がしづらいんですよというような、そんな生の声を聞かせてもらうことが多々ございます。  そういったことで、警察に対しての国民あるいは県民の信頼をいかに取り戻すかという観点に立ちまして、この愛媛県の捜査費の不正経理問題について何点か質問をさせていただきたい、このように思っておるところでございます。  そのいろいろな問題が持ち上がってから以降でありますけれども、次から次へと県民の不信感を高めるような、そういうことが相次いで起こってくる、こういう状況でございまして、その何点かを申し上げたいと思うんですけれども。  例えば、今年一月でございましたけれども、現職の警察官が領収書の偽造について上司から指示をされたんだと、こういうふうな告白をしております。恐らく現職警官が内部告発というのはこれ初めてのことだろうというふうに思っておりまして、それについてはしっかりとまた対応していただければと思いますけれども、その後すぐに人事異動警察でいうと配置換えということに相なりますけれども、所属しておりました地域課内の鉄道警察隊から通信指令室の方にその内部告発をした人が異動になる、配置換えになる。このことに対応して、今度は人事委員会に向けて、これは報復人事である、したがって不服申立てをするんだと。二月に申立てをして、三月の八日の日には人事委員会の方でこれ受理をされておる。こういうふうなことが起こりました。  この一連の出来事というのが地元の新聞でも大変大きく報道をされておりました。その中身についてはこれから議論をしていくべきことであろうというふうに思いますけれども、その報道によって、先ほど申し上げたとおり、警察に対しての不信感というものがますますまた高まってきておるという心配、これを私は東京の地におりながら、地元の新聞見ながらですけれども、大変に心配をしておるような状況であります。  それから、もう一点ありまして、これは、この捜査費等の支出状況について愛媛県が特別監査をするというようなことを決定いたしました。その特別監査をしたところであります。  ただ、県の監査委員、私の県会議員時代の後輩でございますからいろいろと話を聞かせていただいたわけでありますけれども、この特別監査に際しまして、執行件数の約七割、金額ベースでいきますと九割についてマスキングが施されておる、いわゆる非公開になっておる。したがって、正しいことかどうか、適正か否かの判断というものが残念ながらできない、こういうふうな話。あるいは、支出の正当性をしっかりと説明をしていかなければならない、そういう県警がその監査を制約しているんではないだろうかというような報道すら出てきておるわけでございまして、そういった意味では、県の特別監査に対してのより積極的な対応ということが今実は県警には一番求められているんではないだろうかと、そのことが県民の不信感を払拭することになるのではないだろうかと。  もちろん、県警側のいろいろな議論、考え方というものも私どもも承知をしておるところでございますが、何はともあれ、県民、国民の不信感を払拭するということが肝心かなめではないかと、このように私なりに感じておるところであります。  そしてもう一点、ちょっと長くなって恐縮なんですけれども、その大洲署の偽領収書に係る執行についてでありますが、いわゆる県警本部長のお話によると、私的な流用は全くないんだと、したがって、これは適正に執行されたというようなことでありますけれども、その一方では、先ほど申し上げた特別監査の結論というものを真摯に受け止めて、そして利息込みで十七万八千十五円、これを返還するということを決定されたと、こういうふうなことでございますが、なかなかこのことが理解しにくいところがある。  ちょうどつい先般まで二月の定例県議会が開催されておりまして、その県議会でもこの議論はかなり行われましたけれども、各党の代表者のコメントを見ておりましても、このことについて若干の違和感を持っておる、こういうふうな報道もなされておったような状況であります。  そういうふうなことが次から次へ起こってくる、こういうふうなことにかんがみまして、愛媛県警の対応についてどのような所見をお持ちであるのか、まずはそのことについてお聞かせをいただきたいというふうに思います。
  78. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  委員指摘の三点につきまして、簡単に我々の報告受けた事実を御紹介したいと思いますが、まず第一点の記者会見を行った現職警察官についてでありますが、同人が発言しました内容につきましては現在県警の方で事実関係の確認を進めているところでございますし、可及的速やかに結果を明らかにする努力をするように督励しております。  また、人事異動といいますか配置換えの件でございますが、これは会見前後の本人の状況とか本人を取り巻く騒然とした環境の中で、やはり県民と直接接する鉄警隊の業務ということでありますが、万が一にも事故やトラブルが生じてはならないとの考慮から、同じ地域課内において鉄道警察隊から通信指令室への配置換えを行ったということでございまして、したがいまして、この配置換えは、会見したこと自体が理由ということではなくて、職務執行に伴う事故やトラブルを回避する必要から行ったものでありますし、処遇面で特段の不利益を生じるものではありません。むしろ、本人がそうした状況の中で、落ち着いた環境で仕事ができるようにとの配慮もあったものとの報告を受けております。  それから、二つ目の御指摘の点でありますが、特別監査における対応ということでありますが、これは愛媛県に限らず各県警におきまして、監査委員に対しまして真摯に説明責任を果たすべく真摯に対応してくれと、こういう基本的スタンスで、できる限りの御協力をしてまいっているというのが基本的な流れでありますが、ただ、この愛媛県警察におきましては、特別監査を受監するに当たりまして、監査委員の方から捜査協力者等に対しては直接の事情聴取を行う、行いたいとの申入れがなされましたことから、愛媛県警としては捜査への支障の有無を個別に検討の上、結果的にマスキングを施したものと承知しております。  この場合でも、愛媛県警としましては、直接捜査を担当して捜査費を執行しました捜査員百三十六人が監査委員の聞き取り調査を受けておりますし、執行の裏付けとなります備忘録とかその他犯罪事件処理簿等を提示するなど、できる限りの協力をしてまいったということを承知しております。  それから三つ目は、例の大洲署の偽領収書に係る執行の返還ということであります。これにつきましては、愛媛県警は、昨年の秋でございますが、調査結果としまして発表したわけでありますが、その調査に至る手法としましては、実際にその執行した者、捜査員に対する聞き取りはもとよりでありますが、その他、犯罪事件処理簿その他の事件記録とか、あるいは署日誌、備忘録、捜査メモ等による確認とか、あるいは聞き取り結果と事件記録等の突き合わせ、そういういろいろな、掘り下げたといいますか多角的に調査を行った結果、いずれも捜査活動用経費として使用したものと認められたと、こういう結論を出したものと承知しております。  これに対してその監査が行われたわけでありますが、この中で愛媛県警察は、先ほど、今申しましたようないろんな多角的なその調査手法というものに基づいて可能な限り監査委員説明をして努力を行ったわけでございますが、先ごろの監査結果におきましては、監査委員の方から、捜査費として適切に執行されたものであることを直接指し示すものではないということで、そういう判断がされまして、この監査結果では、偽領収書に係る執行額をもって愛媛県の被った損害と判断すると、判断されたという、こういう監査結果が出ましたので、愛媛県警といたしましては、今までいろんな努力をしてまいりましたけれども、結果的にこういう判断ということでございますので、これを、この判断を重く受け止めて、三月十四日、先ほど委員指摘の額を返還したものという報告を受けております。もちろん、かかる方針につきましては愛媛県公安委員会において了承されたものでございます。  いずれにしましても、警察庁としては、こうした一連の愛媛県の動きといいますか、かかわる流れにつきまして、とにかく事実関係を確認すべきものについては可能な限り速やかに確認するということとともに、同県警察対応、とりわけ県民に対する説明責任を引き続き果たすよう、警察庁として指導してまいる考えでございます。  以上です。
  79. 山本順三

    山本順三君 今の説明を聞いておりまして、警察側の論理としてはなるほどなというふうなところも私自身感じるところあるんですけれども、ただ、残念ながら、県民感情、国民感情として、続いて今ほどのことが起こってまいりますと、一番信頼をしていかなければならないそういう警察に対しての若干の不信感が、徐々にですけれども高まっていくと、これは極めて私は憂慮すべきことだというふうに思いますし、今おっしゃったとおり、県民に対しての説明責任をしっかり果たしていくんだ、そのことをしかとこれからも継続をしていただきたいということだけはくれぐれも要望しておきたい、このように思っております。  そこで、今ほどいろいろお話ございましたけれども警察庁がこのいろいろな案件について、ちょっと今もお答えが若干ありましたけれども、愛媛県警からどのように事情を聴取をしてきたのか、そして、今度愛媛県警に対してどのような指導を行っているのか、このことを若干、重なりますけれども、改めてお聞かせいただければと思います。
  80. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  愛媛県警からの報告ということは、今、先ほど申し上げたような内容を、その都度結果がまとまり次第、あるいは中間的な報告を受けているということであります。特に、やはりなるべく早く解明をするといいますか確認をするということでありますので、愛媛県警の調査体制あるいは調査方針等について適宜報告を受けておりますし、警察庁の方からもアドバイスをいたしております。とりわけ、先ほど言いましたように、不正経理の疑いが指摘された点については速やかに事実関係を確認すること、それからもう一点は、県議会に対する説明とか県民に対する広報といいますか説明責任を的確に行うということについては、とりわけここを重点に指導を行っているところでございます。
  81. 山本順三

    山本順三君 あと、先ほど申し上げたとおり、北海道あるいはまた福岡辺りでもこのようなことが起こったわけでございますけれども、全国の都道府県警に対して、この捜査費あるいは捜査報償費の経理処理についてでありますけれども、これについて不正がないか否か、この調査をしっかりと命ずる必要性があると思うんですけれども、どのような対応をされておるのかお聞かせいただければと思います。
  82. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  昨年四月に制定されました国家公安規則というものがございまして、これに基づきまして、現在、警察庁におきましては、まあ以前より監査の充実強化を相当図りながら、すべての都道府県警察対象にしまして、平成十五年はもとよりでありますが、文書保存されております平成年度予算執行までさかのぼって今鋭意監査を実施しているところであります。  この監査結果につきましては、取りまとめ次第国家公安委員会に適時適切に報告すると、こういう形でやっておりますが、委員指摘のように、この会計監査、警察庁が行う会計監査というのは非常に重要なものだという認識を持って今やっているところでございます。
  83. 山本順三

    山本順三君 是非、早くに県民、国民の信頼を回復できるような体制づくりのために努力をしていただきたいというふうに思いますし、我々も、重なりますけれども警察に対しての信頼感があればこそ安全、安心という生活が送れるんだと、こういうことを気持ちとしても持っていますし、一般の国民の皆さん方にも持ってもらいたい。すなわち、一刻も早く説明責任を果たして信頼回復に取り組んでもらいたい、このように思っておるところでございまして、是非ここはひとつ国家公安委員長の決意というものをお聞かせいただければと思います。
  84. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 警察におきます会計の予算の不適正な執行が幾つか見られていることにつきましては、警察の信頼を損ねることでもございますし、大変私どもゆゆしきことであるというふうに認識をしております。  まずは、これまでもそうでございますが、各そうした不幸にして不正事案が出た警察におきましてしっかりした調査を行いまして、そうした都道府県の公安委員会もしっかりとそうした調査について報告を受けて指示を行うということが一番重要なことであるというふうに考えまして、その上で、調査をした上で関係者の処分、それから県や国に対しての損害額の返還、それから再発防止策というものをしっかりと実施していかなければいけないというふうに考えております。  愛媛県の問題に関しても、せんだって、三月十日だと思いますが、私から愛媛県公安委員長に対して電話をいたしまして、次から次へといろんな不祥事案が発覚するような事態というのは誠に調査の信頼性を失わせるという意味でも好ましくない事態でありますので、愛媛県公安委員会におかれては、しっかりとした調査をするように警察に対しまして、警察を督励してほしいということを私から申し上げました。愛媛県公安委員長からは、そのとおりでございますと、こうした事態は警察の信頼を失わせることでございますので、私どもも同様の認識を持って、愛媛県警察に対しましてしっかり調査をやるようにということで督励してまいりたいという答えがございました。  ただいま官房長からもお答えがありましたように、警察庁で全国に対しまして、全国の警察に対して会計の監査を引き続き行っているわけでございまして、十六年度のその調査につきましてもやがて報告が上がってくると思いますが、国家公安委員会としても、しっかりとその報告を受けて、必要ならば警察に対しまして我々の管理権をしっかりと発揮してまいりたいというふうに考えております。
  85. 山本順三

    山本順三君 是非よろしくお願いを申し上げたいと思います。  先ほど小池委員の方から最近の治安情勢についてのお話がございました。犯罪認知件数の推移であるとか、あるいは新たな犯罪、特に振り込め詐欺あるいは来日外国人の刑法犯等々の話もあって、検挙率が二割台に低迷しておると、こういう話がありました。国民の安全、安心というものをしっかり築いていく、そして警察への信頼というものを回復するという意味においては、これほど多くの新たな犯罪が起こり出す世の中でありますから、対応する警察官の数というものも大変に重要だろうというふうに私どもも思っております。  これは決算委員会でございますけれども、先般の予算で確定いたしましたが、平成十七年度予算警察官三千五百人を増員というようなことで、これ大変喜ばしいことだというふうに思っておりますけれども、いつも村田大臣がおっしゃる世界一安全な国、日本と、これを復活さすんだ、こういう意味合いにおいて、今後警察官増員に対してどういうふうな対応をされていくのか、所見をお伺いしたいと思います。
  86. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 大変国民からごらんになりますと最近の治安情勢は悪化したという、そういう認識であろうかと思います。数字的に申し上げますと、刑法犯の認知件数は過去二年間続きまして減少をいたしました。しかしながら、平成元年と比べますと、なお、平成十六年と比較しますと刑法犯の認知件数は一・五倍になっております。それから、一一〇番の受理件数が二・二倍。それから、来日外国人犯罪検挙件数が八・二倍に上っていると。こういうような、情勢は依然として大変厳しい情勢にございます。  私どもは、平成十七年度予算におきまして地方警察官増員が三千五百人認められたということにつきましては、大変財政の厳しい中でございまして、そういう中でお認めいただいたということに対して非常に感謝をいたしておりまして、国民のそうした御要望を受けまして、私ども、その増員をされた警察官を活用して、今委員もおっしゃいましたような、再び世界一安全な国、日本を取り戻すために頑張ってまいりたいというふうに考えているわけでございます。
  87. 山本順三

    山本順三君 続いて、法務省関係について何点か質問させていただきます。ちょっと時間がせっていますので、何点かに集約させていただきたいと思いますけれども。  まず、司法制度改革ということで、今回、平成十六年の五月に裁判員の参加する刑事裁判に関する法律というのが公布をされて、そして平成二十一年からスタートをするということを伺っておるわけであります。基本的には裁判官三人に対して裁判員六人というようなこと、一人に対して四人というのもあるようでございますけれども、要は法律の専門家ではない人の感覚というものが裁判に生かされるような、そういうことを目指していきたい、あるいはまた、その結果として国民の司法に対する理解と信頼が深まっていくということ、これを目的としてスタートをするわけであります。  ところが、現状はといいますと、これ、制度の仕組みを知らない人、もうほとんどであります。恐らくこれがスタートして、あなた裁判員としてやってくださいよというような通知を受けたら、えっ、何ですかという、そういうふうなことが起こるかもしれない。そしてまた、この裁判、知っている方ですけれども、この裁判に参加することに消極的な人が非常に多い。この間のNHKの世論調査見ましたら、参加したくないという人が六四%にも上っている。ちょうどNHKでは裁判員のことについてドラマ形式でずっとやって、私も実はこれ見せていただきましたけれども、そういったことを見ておりましても、なかなかこれ大変だなというような、そんな感触を持っています。  そこで、南野大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、この裁判員制度というものを円滑に導入するために国民理解と協力を得るための啓蒙活動、法務大臣御自身、どのように取り組んでいらっしゃるのか、また今後どのように取り組んでいくお考えなのか、まずお伺いしたいと思います。
  88. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) お尋ねありがとうございます。  本当に裁判員制度が実施されるまでにはあと四年しかない、だけれども四年もあるというふうに考えていきたいというふうに思っておりますし、私が関与するいろいろな会合には必ず裁判員制度のことの御説明と、それを差し上げておりますが、私が今まで何をしてきたかということだと思います。裁判員制度といいますのは、国民の皆様方に御負担をお掛けする問題でもあろうかなと。先ほど賛成者がそれほど多くないというお話もございました。これからの課題であろうかというふうに思っておりますが、進んで刑事裁判に参加してもらえるようにするということがこれ大きなポイントになってまいります。  法務省といたしましては、最高裁判所、日本弁護士連合会と協力いたしまして、つい去年の十一月、日比谷公園で行われました江戸フェスティバルというのがございます。そこにはテントを張りまして、裁判員制度説明、それからクイズ大会などもやりましたが、これには前の法務大臣、野沢太三大臣と一緒にも私も参加いたしまして、たくさんの方々に私からパンフレットを渡しながら御説明申し上げるというようなこともいたしました。  また、去年の十二月と今年の一月には東京と高松で開かれました司法制度改革のタウンミーティングに私自身参加させていただきまして、会場に来られた方々ともう対話をさせていただいたところでございます。  中には、いろいろな質問がございましたが、中にありました質問一つ取り上げてみますならば、国会議員が裁判員になれないのはなぜかと、裁判員制度の法律をつくったのだから率先してやってもよいではないかというような声も聞かされました。こういう厳しい御質問に対しましては、三権分立の原則がありますので国会議員が立法と司法の両方にかかわることを避ける、そのような判断をしたというような御説明を申し上げ、御理解をいただくということもいたしました。また、国民の皆様の疑問や心配にも、そういった小さいことであってもきちんとこたえていくことが必要であろうかなと思っております。  実は、来月の十七日にも、このたびは宇都宮で同じくタウンミーティングが開かれる予定になっております。これにも私自身が出席する予定でございます。  今後も様々な機会に広く国民の方々に裁判員制度というものを御理解いただきたい、そのように努力していくつもりでございます。
  89. 山本順三

    山本順三君 是非ひとつよろしくお願い申し上げたいと思います。  それと、もう一点、これは法務省警察庁両方にお伺いしたいと思うんですけれども、最近子供を対象にした性犯罪というのがたくさん事件が増えてまいりました。大変に心を痛めておるところでございますけれども、先般のあの奈良の事件なんか本当に悲惨なことでございました。  十三歳未満の子供の被害状況を見ておりましたら、平成七年ごろには千二百九十八件であったのが、平成十五年には二倍近い二千百八十件、平成十六年、若干落ちておりますけれども増加傾向には変わりはないというふうに思っております。  この子供対象の暴力的性犯罪は絶対許すことができない、こういう気持ちで、私も報道を見るたびに憤りを感じておるところでございますけれども社会に対しての影響、特に子供、ダメージ大きいですし、また親御さん、保護者の不安感というものもこれ大変なものだろう、このようにも思っておりますし、そういった意味では、何としてもこれ子供対象の性犯罪の再犯防止というのが一番今求められている案件ではないだろうかなと、こういうふうに思っております。  そこで、まずは法務大臣にお伺いしたいと思うんですけれども、子供対象の性犯罪の再犯防止にどのように取り組んでいかれるおつもりなのか、まずお聞かせいただきたいと思います。
  90. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 今先生がおっしゃったように、本当に子供たちにこのような犯罪が起こるということはゆゆしきことだと思っております。日ごろ心を痛めておりますけれども、何が緊急な対策としてできるかということについて、我々、次のことを実施してまいるということにいたしております。  第一には、性犯罪者に対する適切な対策を講じるための基礎といたしまして、性犯罪者の実態、再犯の状況などに関するデータを把握して、多角的な検討を進めていこうと。  第二には、具体的な施策でございますが、これには三本の柱を立てていこうと思っております。  一つ目は、犯罪者に対する処遇の充実強化でございます。  これには、まず、精神医学、心理学等の専門家の方々の協力をいただきまして、施設内処遇、社会内処遇の両面における科学的、体系的な犯罪防止プログラムを策定していこうと。さらに、そのほかに、行刑施設におきましては、心理技官を活用するなどいたしまして、民間カウンセラーの導入を行う。また、処遇方法、処遇体制整備していきたいと思っております。また、受刑者に対しましては、さきに提出いたしました法案におきまして、その者にふさわしい矯正処遇を受けることを今度は義務付けたいというふうに思っております。保護観察対象者につきましても、教育処遇を受けることを、これを遵守事項としようということで運用を進めてまいりたいと思っております。  二つ目の問題点につきましては、犯罪者の社会復帰を円滑に実現する、これも支援体制強化していかなければならないと思いますので、そういうポイントの中ではいわゆる労働という問題が一つ課題としてあるだろうと思っております。職を提供するために国民の皆様の御理解と御協力をいただかなければいけないと思っております。犯罪者の更生に協力していただける雇用主の方々を多く確保することを努めてまいりたいと思っております。  三つ目の点といたしましては、犯罪の取締りを実効的に行うための情報の共有でございますので、我が省が有しております情報でこれに役立つものにつきましては、犯罪者の改善更生にも配慮をしながら、関係当局に積極的に提供してまいりたい、そのような施策で取り組んでいく所存でございます。
  91. 山本順三

    山本順三君 今の特に三番目のお話で、情報の共有ということでございますけれども、これは警察においては、その性犯罪者にかかわる出所情報というものを法務省と共有をして、そして犯罪の未然防止に向けて対応していただきたいというふうに思いますし、これは実は今の段階では十三歳未満の子供たちの性犯罪に対しての情報というふうに伺っておるんですけれども、これ実は子供たちだけではなくて女性全般にわたって大変つらい目をしている方々たくさんいらっしゃるわけでございまして、そのことにも更に広げていってもらいたいという気持ちもあるんですが、そんなことも含めて大臣の答弁をいただければ有り難いと思います。
  92. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 十三歳未満の少女に対します性犯罪、暴力的な性犯罪について、今法務大臣から、関係省庁と情報を共有すると、で、できるだけ犯罪の防止に役立てるという、こういうお話がありまして、私どももあの奈良の事件が起こったときにそういう考え方を少し外国の例にも倣いまして持ち始めておりましたところ、法務省とのその十三歳未満の子供たちに対しての情報提供はやっていただくという協議が成り立ちましたものですから、これをスタートさせると、六月の一日からスタートさせるということになっているわけでございます。  なお、ほかの件につきましては、その他の件については、なお私ども法務省と協議中のこともございますので、いろいろな観点から、犯罪の未然防止ということを考えながら検討していきたいというふうに考えております。  どうやって利用するかということですが、一つは我々が期待いたしますのは、警察がそういう出所情報を持つということが明らかになることによりまして抑止効果が図れるかもしれないということが一つ。それから、そういう情報を警察が持つことによりまして、子供たちに対して声掛けとか付きまといというような行為がどこかの地点で起こった場合に、警察がそうしたことに対して警告を発して犯罪の未然防止をすると、あるいは不幸にして犯罪が起こってしまったときには、犯罪の拡大を防止するということ等に役立てていきたいというふうに思っておりますが、警察としてそういう情報を基にしまして、学校とか地域とか御家庭とも協力して、本当におぞましい事件ができるだけ少なくなるように一生懸命努力したいというふうに考えているわけであります。
  93. 山本順三

    山本順三君 くれぐれもどうぞよろしくお願いします。  私もまだ小さい子供を持っておりまして、人ごとではないなというふうな、そんなことでニュースをいつも見せていただいておるわけであります。  そのほかにも何点か法務省の方に質問を用意しておりましたが、ちょっと時間がないようでございますので、国交省の方に切り替えたいというふうに思っております。  今日のお昼のこれまたニュースで出ておりました。岩崎航空局長が、安全総点検ということで、本日、JALの査察を行ったということでございまして、それをずっと私もテレビで拝見をいたしておりました。  新千歳空港での管制指示違反から始まりまして、もう何かJAL絡みで次から次へとミスなりトラブルなりが報道されておりまして、もう終わったかなと思ったら、また昨日、おとといですか、空港が一時閉鎖になると、少しの間だったというふうには伺っておりますけれども、そういうふうなことが出てくる。もう非常にもしかしたら危険な状態にあるのかなというような、そんな不安感すら私どもは抱いてしまうような、そういう状況にある。よく小さなミスがどんどんどんどん積み重なって大きな事故に到達する、そんなことが言われておるんですけれども大臣にそのことについてお伺いしようと思いましたが、その前に、取りあえず今日行かれたということでありますから、岩崎局長の方からまずはその様子についてお知らせいただければ有り難いと思います。
  94. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 先生御指摘のとおり、千歳の管制指示違反の事案ほか連続して安全上に絡むトラブルがJALグループについて続発をしております。私ども事業改善命令というのを三月の十七日に出しましたけれども、それ以降もこうしたトラブルが続いているというのは非常に問題だと、このように認識をしております。  今日、私も現場に行きまして、JALの現場が本当に幹部、現場一体となって安全に取り組んでいるかどうかというのを見てまいりました。本日の現場視察でも、かなり緊張感を持って私の見た現場ではやっておられましたけれども、それをきっちり今後とも継続してかつ現場とトップが一体となってこうしたことをやっていただかないと、本当に大きな安全上の問題が発生するという危機意識を持っております。  今後とも、JALをきっちり指導していきたいと、このように思っております。
  95. 山本順三

    山本順三君 今局長の方からもお話があったように、三月十七日に航空法に基づく事業改善命令、これ非常に重い命令だと思いますけれども、これが出されて以降も次から次へ出てくるということでございますから、大変憂慮すべき事態だというふうに思っています。  そこで、国土交通省として日本航空に対し更に厳重に指導徹底を図るべきではないかと思いますが、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  96. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) まず、結論から言いますと、もう極めて遺憾であるというふうに考えております。  航空輸送というのは、ほかの鉄道ももちろんそうでございますけれども、多くの利用者の方々の命を預かっているわけでございます。安全確保というのは最大の、企業にとって、それに携わる企業にとって最大の使命、役割であるというふうに思っております。そういう意味で、今回、JALグループにおきまして一連の様々な事案が生じていることに対しましては、私からも二度JALグループのトップを始め役員の方々に厳しく指導をさせていただいたところでございます。  この一連の事案を見てみますと、極めてヒューマンエラーと言われるような要素が多いんですね。どうしてこんなことになっているのと。管制の指示に違反をしているとか、本来使用不可の回答を得たにもかかわらず、きちんとその使用不可の部品につきまして的確に責任者に報告せずに、当該部品が交換されずにしばらく使われていたとか、これ、挙げれば切りがないんですけれども、それぞれの事案を見ますと、極めて人的なミスというのが重なっております。  なぜこのような人的なヒューマンエラーが重なっているのか、その要因は一体何なのか、背景は何なのか。私は、トップ自らが、従業員の方々と一体となって、なぜこのようなことになっているのかよく調べてもらいたいということを強く申し上げてございます。JALグループの方からは近々報告があるかと思いますが、厳しく注視をしていきたいと思っているところでございます。  また、JALグループだけではなくて、この機会に、鉄道の方でも踏切の事故等も起こっております。航空、鉄道、さらに私どもがやっております管制も含めまして、安全の総点検を是非この機会にやろうということで、三月二十四日に指示を出したところでございます。今日航空局長が参りましたのも、この安全総点検の一環として、JALが社内で行っているところを今日、その総点検の状況を査察を航空局長自らが今日させていただいたということでございます。しっかりと安全確保に向けてどのような取組をしているのか、厳しく見てまいりたいと思っております。
  97. 山本順三

    山本順三君 正に我々国民の身の安全に直接かかわる問題でありますから、今の大臣の強い決意というものをしかと受け止めてもらえるような対応策を是非とも続けてよろしくお願い申し上げたいと思います。  実は、もう一点、大臣に羽田空港の国際化についてお尋ねをしようと思ったんですが、時間がなくなってまいりました。今日は本四公団の副総裁も見えられておりますので、ちょっとそちらの方の質問をさせていただければというふうに思っております。  私も地元でございまして、しまなみ海道が開通してもうはや五年近くなります。そして、各、本四公団での架橋のそれぞれの言わば成果というものもたくさん出ているわけでありますけれども、一般的に言われましたら、本州と四国に三本も橋があるなんておかしいじゃないかというところから始まりまして、いろいろ批判も受けるわけではありますけれども、地元にとってはもう本当に宝物でありますし、恐らくや世界遺産に将来登録されるであろうというようなこともございますし、いずれ、これ観光の拠点に、たった一年しかこれならなかったんですけれども、これからまた地元努力してその拠点にしていかなければならない。そういったときに、やっぱり一番ネックになるのは通行料金でありまして、このことにつきましては大変な御高配いただいて、その割引というものが今も継続をされておりますし、また一年間の様子を見てということで、計画値に及ばなかったんですけれども、今のいわゆる割引で何とか対応していこうというような結論もいただいて、これは地元として大変有り難く思っているんです。  ただ、地元、例えば今治の場合でいいますと、十二の市町村が合併しまして、いわゆる今治市内を移動するだけで往復で五千円以上掛かるという現実があるわけですね。それに対してどういう割引制度をこれから考えていくか。これは、地元にとっても大きな問題ですけれども、国交省なり本四公団にとってもやはり大いに考えてもらわなければならないし、どういう割引が考えられるのか、そのことによっていかに有効に橋を活用できるのかというようなことも一体で考えてもらいたいなというふうに思うんですが、もう時間でございますから、何問か質問しようと思いましたが、これからの通行料金についての基本的な考え方、あるいは割引に対しての考え方等々についてお示しをいただければ大変有り難いというふうに思います。
  98. 倉林公夫

    参考人(倉林公夫君) お答え申し上げます。  ただいま先生おっしゃいましたように、料金の引下げを地方の出資もいただきながら行いまして、若干交通量等は予想よりは下回るということで、これはコスト縮減等でカバーして継続するということをいたしているわけでございます。  またさらに、料金の引下げというような御質問でございますけれども、公団といたしましては、まず確実な債務の返済ということは大前提でございます。しかし一方で、地域連携して生活の向上に寄与していくということも公団の大きな課題であるというふうに考えております。  今後、地方公共団体の要望も伺いながら、地域の発展に資するような弾力的な料金方策ができないだろうかということを積極的に今後検討してまいりたいというふうに思っております。
  99. 山本順三

    山本順三君 以上で質問終わります。
  100. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 民主党・新緑風会の佐藤雄平でございます。  今、山本さんの質問を聞いておりまして、ある意味では山本さんの続きにもなるのかなと思って。事日本航空の最近のミス、それから事故等についてそれぞれ質疑をさせていただきます。  先ほど大臣の強い決意を聞きましたが、三月の十日にも、私、国土交通委員会で実はもっと強い決意を聞いたような気がしてなりません。あの十日からわずか二週間のうちに、今日も新聞を見たらまた二件ほど日本航空のミスの事故が起きている。都合九件起きているんです。  ですから、厳重な大臣の通告、厳重改善命令から二日に一回何か日本航空の事故かミスか起きているということで、今、国土交通委員会で航空法の審議をしているやさきの中で、先ほどもありましたけれども国土交通省の中で一番大事なことは陸海空の運輸の中で安全と安心だということを言っておりましたけれども、この日本航空を見る限り私は馬耳東風という言葉をどうしても思い出して、この馬耳東風というのは日本航空のためにあるのかなと、そんな思いをしているような気持ちでございます。    〔理事田浦直君退席、委員長着席〕  そういうふうな中で私は、この航空行政というのは、単に今度の問題というのは日本航空だけの問題じゃない。この間、地元に行ったら、福島県でも大変ないわゆる新聞記事になっているミスを起こしております、これまた後で質疑申し上げますけれども。そういうふうな中で、日本航空はとんでもないな、ここまでならいいんですよ。ところで、日本の航空行政はどうなってますか、監督官庁は何をしておりますか、さらにまた国会議員は何をしているんだということになってしまいます。  そういうふうな中で、私どもの事福島県については、福島空港が開港しております。乗降率が非常に少なくて、実は県の空港会社も困っております。知事を先頭に本当に沖縄に行ったり今度中部空港に行ったり、そしてまた上海に行ったり韓国に行ったり、敢行して実はやっているんです。それは、大前提としては、安全というふうなことが大前提になっておりますし、航空会社に対する信頼、これも大前提になっております。ことごとく今度の日本航空のそのミスについてはもう憤慨をしておりますし、この間いただいた資料を見ている中で一番私は本当に驚いたのはこの三月の二十二日なんです。これ一時間置きに何か故障、事故を起こしている。九時十二分、広島発羽田行き、これが着陸態勢に入った操縦席で発煙筒計器の表示の異臭があった。それから、九時十七分、これは大阪発の福島行きの福島空港でその機体の後部がしりもちつきそうになった。さらに、十九時五分、今度は徳島なんです。それから、成田。  だけれども、これ冷静に考えてみると、その前段の三つの飛行場が、いずれも広島、福島、徳島と島の付いておるところが何かねらわれているんじゃないのかなと思いながら、まあ島根県は頭に島が付いて良かったななんて思っているところもあるんですけれども大臣、本当に、この間の私は十日の日の委員会での大臣とまた局長の決意も本当に大変な決意だったと思うんですけれども、残念ながらその決意が日本航空側に届いてないんです。  この件について大臣の御所見をお尋ねしたいと思います。
  101. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今日も先ほど答弁させていただきましたが、航空局長自ら……
  102. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 ちょっと聞こえません。
  103. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今日も航空局長自らが、JALグループが今行っております、これは我々が指示したわけでございますが、JALに参りましてその安全総点検の状況につきまして直接査察をさせていただきました。  今回のこの一連の事案につきましては、今も幾つか御紹介ございましたけれども、例えば管制の指示に違反する、またそれを誤解する、このような事案が、一つは帯広空港での事案がそうでございますし、また元々、新千歳空港での事案がそうでございますし、またソウルでの事案もそうでございます。更に言いますと、乗務員の方の操作の失念、また誤使用等々、非常にヒューマンエラーと言われておりますそうした事案が大変多いわけでございます。それがまた短期間に集中して起こっているわけでございます。  なぜこのようなヒューマンエラーが起こっているのか。私は、トップ自らが、JALのトップ自らが現場と一体となってその背景と要因についてよく調べてもらいたいということは強く指導をしたところでございます。これでもう直接二度、JALグループの役員の方々に直接お会いいたしまして、私の口から、安全の確保をもっと徹底してやってもらいたいということを強く申しているところでございます。  JALグループからは、今、安全総点検をやっておりますが、近々私のところにもまた報告があるというふうに思っております。その状況につきましてもよく監視をさしていただきたい、よく見さしていただきたいというふうに思っておりまして、こうした一連の不注意による事案が、またヒューマンエラーが重なって大変な事故になってしまうわけでございまして、過去の例を見ますと、そうしたヒューマンエラーが本当に重なって大きな事故をもたらしているという事案が多いわけでございまして、そうしたことが決してないように、今厳しくJALグループに対して指導をしているところでございます。
  104. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 今の大臣の話は、まあある意味では了解しますけれども。  それでは、今日、局長がJALへ行ってこられた、今日行ってこられた。そして、要するに今、正に人為的なミスで起こった事故が五件あるんですね。それぞれの、その五件の報告というのがあると思います。まずは、今大臣も申された仁川の、韓国での事故、千歳行きでの事故、それから帯広空港、それから福島、それから徳島、これは整備員のミスだというふうなことですけれども、この五件についてはどのように日本航空からお話を伺っておりますか。
  105. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 今御指摘のありました五件につきましては、そうしたトラブルがあったということについては、発生した直後、報告を受けております。  それから、その原因でございますけれども、例えば仁川の管制指示誤認違反では、これはパイロットが管制の指示を誤認しましたとか、あるいは千歳行きのやつの客室乗務員の非常口扉の操作が的確じゃなかったということについては客室乗務員が錯覚したとか、そのような推定される原因、一次的な原因については報告を受けているところでございます。  ただ、先ほど大臣が申しましたように、こうした一連のヒューマンエラーを生んでいる会社の中の体制、問題について、きっちり掘り下げて報告をしてくれと、このように今JALに話をしているところでございます。まだその結果については報告がない状況でございます。
  106. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 局長、この間もその委員会のとき、私、質問をさしていただきましたね。新千歳空港で、管制官が待機しろと言うにもかかわらず離陸の態勢に入ってしまったと。考えられないんですよ。ですから、それはボイスレコーダーか何か、私はだから一方通行なんですかってお伺いしましたよね。管制官が飛んでいいよ、飛んで悪いよと言って、それで返事なしで待機して返事なしで飛ぶのかと言ったら、完全に返事はしなきゃいけないわけです。ですから、人為的なミスと言いながらも、人為的にはどういうふうなことが原因で人為的なミスになったのか。これを何か、場合によってはボイスレコーダーでも聞いてもらいたいという話をしましたけれども、聞いているかどうか。  それと同時に、もう一つ、副操縦士というのは何をしているのか。この辺は聞いたはずなんですけども、これについて回答できるところあれば回答してください。
  107. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 千歳の事案でございますけれども、管制官が滑走路に進入して待機するように指示をしたと、その後、管制官の許可を得ないでJALは離陸滑走を開始した、管制官が直ちにそれに対して中止の指示を出したと、こういうことでございます。  この事案につきましては、この千歳の空港では、私ども航空局の管制官ではなくて防衛庁の管制官が担当をしております。この事実が判明した直後の二月の二十五日に防衛庁に問い合わせましたところ、管制交信記録が残っていないものの、当時の管制業務を担当した管制官の報告として今申し上げたような事実を防衛庁から報告を受けたところでございます。  ボイスレコーダーにつきましては、航空機のボイスレコーダーと、それから管制官の交信記録というのはございますが、航空機のボイスレコーダーにつきましては百二十分ごとにどんどん更新していくということになっております。それから、管制官の交信記録も保存期間一か月でございまして、この事案が発生したのが一月の二十二日で、私ども防衛庁に問い合わせましたのは二月の二十五日でございましたので、残念ながらそういうレコーダーによる確認はできておりません。  それから、副操縦士が何をしていたかということでございますけれども、通常でございますと副操縦士も操縦士と一緒に管制官との交信を聞いておるところでございますけれども、副操縦士から特に操縦士に対してまだ管制の許可が、離陸の許可が出ていないということを機長に話をしたということではなかったと、このように聞いております。
  108. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 本当に飛行機の運航というのは、私はもう正に小泉さんでない三位一体が大事であろうと思っております。そういうふうな中で、私はこの一連のミスをずっと見ている中で、やっぱり航空法での中のミスと事故のそのセパレート、これは私は間違っているんじゃないかなと思うんです。その事故という場合、一般論として我々やっぱり車をかすったとか自転車でもかすったというのは、かすった事故と言うんですけれども。  これは、局長、福島空港での事故あるでしょう。で、私はあえてこれは事故と申したいんですよ。我が地元の新聞でこれだけ大きく取り上げられて、あえてこれは事故でないというふうなことを航空局は言っているわけです。それはおしりの方を、要するに擦っているんでしょう。だから、これはちょっと間違ったらもう大惨事になるんです。だけれども、これをあえて、それを見ると国交省は事故ではないという表現をしている。この辺にやっぱり私は航空行政の中の一つの甘さがあるんじゃないかなと思うんです。  そういうふうな前提の中で、この航空会社がいろんなミスが起きたときの、どのような、そのことについては報告しなきゃいけないのか、また場合によってはどのようなことは報告しなくてもいいのか。いわゆるインシデントというふうな表現をしているみたいですけれども、重大インシデントというのは何なのか。それが結果的には、何というのかな、重大インシデントでもない、このこすったこと自体は重大インシデントでないことになっています。これだって、もう一秒、わずかの、寸秒の中で大変な事故が起こる可能性があるわけですから、この辺の事故とミスのいわゆるその言葉の解釈はどういうふうになっているのか。しかも、その航空法の中で報告する案件と報告しない案件というのはどういうふうになっているのか。これについてお伺いしたいと思います。
  109. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 私ども、決して一連のトラブルを言葉を言い換えて軽微なものというようなことで処理するつもりは毛頭ございません。ただ、航空法でございますが、事故、それから先生のおっしゃいました重大インシデントについては定義がございます。  まず、航空事故から申し上げますと、航空事故につきましては、航空法の七十六条、それから関係の規則において定義をしております。この定義は国際民間航空条約の附属書に、ベースにして、世界共通の定義としてなされているものでございます。航空機が墜落をしたとか、あるいは航空機の乗客に死傷が出た、あるいは航空機内のある者が行方不明になった、あるいは航空機が損壊をした、あるいは航空機が大規模な修理を必要とするような損傷を受けた、こういうものを国際共通の概念として事故と定義をしております。これについては報告義務を課しております。  それから、重大インシデントと言っておりますが、これは事故が発生するおそれのある事態と航空法の方で定義をしております。これにつきましても、航空法に基づきまして国土交通省への報告義務を課しておるところでございます。  この事故が発生するおそれのある事態というのを、どういうものかということにつきましても、今の国際民間条約でありますとか、それからこうした事故の報告、調査につきましてはアメリカが非常に進んだ事例でございますので、アメリカにNTSBという国家交通安全委員会がございますけれども、そこでの事例なんかを参考に、具体的にどういうものがこの重大インシデントに該当するかということについて省令ないし通達等で定めているところでございます。  ただ、その事故、重大インシデント以外も、先生のこの前国土交通委員会の質問にお答えさせていただきましたけれども、こうした安全上のトラブル、イレギュラー運航、こうしたものについては航空局の方に速やかに報告するようにと日ごろから行政指導をしているところでございます。  今回、千歳の事案あるいは貨物機の部品の取替えの事案は、報告が遅れたことにつきましては私ども大変遺憾だと思っておりまして、厳しく指導をしているところでございます。
  110. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 この間の質疑の中で、その新千歳空港でのいわゆる事故でありますけれども、その大臣の答弁で、これは明確な管制指示違反というふうな答弁をいただいておりますけれども、この管制指示違反というのは何か、ペナルティーか何かあるんですか。
  111. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 管制指示違反は航空法に違反をしておりますので、乗務員、パイロットに対して処分をすることができます。今その処分についても手続を進めているところでございます。
  112. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 はい、了解いたしました。  次に移ります。  この一連のミスとトラブルと事故をずっと見ておりますと、やっぱり、ある新聞はちょっと日本航空が大きくなり過ぎたんじゃないかなと。技術的なものは別としても、やっぱり管理体制とか現場とか、特に航空会社の場合は会社、そのフロント、それからその飛行機を操縦している、その三位体制というふうな話があるというふうなことを書いてありまして、私自身、ちょうど御巣鷹山から二十年、あの山崎豊子さんの「沈まぬ太陽」をどうしても思い出してしまうんですけれども。  そういうふうな中で、私は、航空会社そのもの、さっきの話の中でも人為的なミスというのはどうしても風通しが良くないんじゃないかなと、どこかにやっぱり欠陥があるんじゃないかなと、そんなふうに思っておりますけれども、そのことについて、局長、感ずるところ何かございませんでしょうか。
  113. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 先ほど大臣からも答弁させていただきましたけれども、やはり今回の一連の事案、トラブルを見ていますと、本当に現場まで、末端までこうした航空の安全についてきっちりした意識を持って、緊張感を持って、それを経営陣と一体となって取り組んでいるのかということについては、この結果を見ていますと、我々もいささかやっぱり疑念を抱かざるを得ないと思っております。  そういう意味で、私も今日現場に参らさせていただきまして、本当に、繰り返しになりますけれども、経営陣と現場と一体となって本当に安全の重要性を認識をしてこれを最重要課題としてやってくれという、こういう思いも込めて今日私も現場の査察に行かせていただいたところでございます。JALの体制をそういう形できっちり改善していただくということが重要な課題だと思っております。
  114. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 大臣に、繰り返すようですけれども、また本当に安全、安心という言葉、何回も大臣から聞いております。しかも、これも繰り返しますが、航空法の今度改正があって、あれは、二万九千フィートからその更に上空については垂直の幅を一千フィートにすると。二万九千フィート以下と同じようにするということで、その前提としては、非常に機械が、精密な機能性の見事な機械ができたというふうな前提で垂直の間隔を短くするということ、これはある意味では理解できます。しかしながら、それもこれも、やっぱりその人的資源がきっちりしていないと私は逆になっちゃうと思うんです。精巧な機械だからこそ誤った数字を、誤ったことを入れるとそのとおりの結果を出してしまう可能性あるんで、そういうふうな意味合いの中で、私は、やっぱりもう本当にそれぞれの航空会社、日本航空はもとより、それぞれの航空会社にやっぱり人的な教育、これをきちっとしていただかなきゃいけないかなと思っておりますけれども、その件についての御所見をお伺いしたいと思います。
  115. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) もう全く同感でございます。  技術がどんどん進歩いたしまして、航空輸送の効率化を図っていこうとすると。しかし、今問題になっているようなヒューマンエラーというのはもうそれ以前の問題でございまして、そうしたことが起こってしまいましたならば本当にこれは大きな事故につながりかねないわけでございまして、そうした現場の方々への教育というものは極めて重要な、私、航空会社また我々航空行政にとっても重要な課題であるというふうに認識しておるところでございます。  先ほどのお話で、私は、この現場の方々の教育とともに、やはり航空会社たるもの、やっぱり企業のトップの方々、経営に携わっている方々のやっぱり意識も大切であるというふうにも思うんですね。そういう方々が、やはりこの安全の確保というのが自分たちにとって最大の仕事である、使命であると、そういう認識をきっちり持ってもらって、現場で起こっている様々な事柄についてアンテナをしっかり高く掲げていただいて聞いてもらわないといけないわけでございます。そういうことをきっちり、私は、このJALのグループの一連の事案を通して、JALのトップの方々には是非その点のところはお願いしたいと思っているんです。  そもそも、この千歳の事案というのは一月の二十二日に起こっているわけでございますが、実を言いますと、JALのトップの方々に伝わっているのは我々が知ってからの話なんです。我々が知ってから、我々が、防衛庁、千歳の管制は、千歳は防衛庁でやっておりますから、情報があるところから入ってきまして、防衛庁の方に確認したらそういう事案があったということが分かりまして、どうなっているんだというふうにJALの方に聞いているわけなんですね。それまでJALの執行部の人たち知らないわけなんですよ。  そういうその組織のトップの方々のところに情報がきちんと行かないという体制そのものに大きな私は問題があるというふうに思っておりまして、今回のそのトップの方々と会ったときも、あなた方自身が現場と一丸となって自分たちの責任で安全総点検をしてもらいたいということを強くお願いをしたところでございます。  これから報告いただけるでしょうから、しっかりそのところは引き続き見てまいりたいと思っております。
  116. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 出しているその安全のマニュアルというのは、それを統一したマニュアルを出していると思うんですけれども、聞くところによりますと、その運用がそれぞれ、例えば安全確認のときの体制、確認の運用体制、それぞれまたその航空会社によって違うんだともちらっと聞いたことがあるんです。だから、場合によっては日本航空と全日空が違うのかな、こう事ここに至って、ずっと日本航空がそのようなトラブルとかミスを起こしているんであれば、場合によっては全日空がどういうふうな安全確認の手法を取っているのか、この辺も非常に参考になると思うんですけれども、その点については、知っているところ、局長お話を聞きたいと思います。
  117. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 例えば今回の事案、トラブルの中でありました客室の乗務員がドアモードをアームドポジションの確認をするということのやり方でございますけれども、各社客室乗務員が責任を持ってアームドポジションになったということを確認するというところまでは決まっておりますけれども、その確認の仕方を例えばだれかに代行させていいかとか、一つ一つのドアを全部確認をするとか、そういうやり方については若干旧JAS、それから今のJALあるいは全日空、これ違いがあると聞いております。  こうしたものを我々は参考にしながら、一番安全にとって確実できっちりした方法というのを我々も勉強をしてきっちり指導をしていきたいと、このように思っております。
  118. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 この辺は、局長、やっぱり今の答弁のように、いいところはやっぱり真似していく、敢行していくというようなことで、それぞれ航空会社の相互の中でいろんな意見交換をしたり、やっぱり局長が中心となって、これはもうともかく安全で安心だという航空行政を是非志向していただきたいと思いますが、また、ただ、この間またこの新聞の中で、エアバス十機欠陥のおそれありと、これまあ載っておりました。それで、TCD発令三か月とあるのが、運航しながら点検をすると書いてあるんですね。だから、その欠陥ある飛行機が運航をしながら点検というのはどうも私は解せないんですよ。この辺についての御所見をお伺いしたいと思います。
  119. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 今御指摘の事案は、エアバス機において耐空性改善通報というのがフランス政府から出されておりますけれども、それを受けてエアバス機に所要の点検を期しなさい、これを三か月の猶予期間でやりなさいと、こういうことは我々日本の政府からも出したわけでございます。  国際ルールがございまして、これもカナダでこのエアバス機が飛行中に方向蛇が脱落するという事故がございました。この事故当該機は無事引き返したわけでございますけれども、こうした事故が起こった場合、製造国政府、エアバスでございますのでフランス政府が世界各国にそのエアバスを使っている航空機会社に対しきっちりそれぞれの関係政府からこういうやり方でその不具合を直しなさいという指示が来るわけでございます。その指示の内容は、直ちにもう飛ばしちゃいかぬ、直ちに点検しろというようなものから、物事に応じまして点検をある程度の猶予期間をもってやれと、こういうものもございます。  今回の事例は、フランス国の政府から技術検討をした結果、三か月以内の点検が指示をされております。これを受けまして、私ども、エアバスを使っている航空会社に対しましてこの点検を指示したものでございます。
  120. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 これは、局長、技術的なことなんですけれども、欠陥というのはどういったところ、あるということですか。どのようなところに欠陥があるということですか。
  121. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) カナダの航空会社が飛行中に方向蛇が、方向蛇というのは尾翼のところに一緒に方向を制御するために付いておりますけれども、この方向蛇が脱落をするという事案でございました。
  122. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 これはもう大変恐ろしいことじゃないですか。方向蛇が脱落するって、もう大変なことじゃないですか。これは運航しながら点検してよろしいんですか、本当に。
  123. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 決して安全なこととは言いませんけれども、申しませんけれども、その方向蛇が脱落しましても、技術的には手動操縦できっちりこのカナダでの事例でも着陸をしておりますので、そうしたことを踏まえた技術的検討を製造国政府、フランス政府、もちろんエアバスとも十分話をしてやられた措置だと、このように承知をしております。
  124. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 だから、本当に何かさっきのそのインシデントを、ずっと法律を読んでみると、どうしても事故が起こってからじゃないと何か報告しないような理解をどうしてもしてしまうんです。どうも、今の局長の答弁を聞いていて委員の皆さんどういうふうに思ったか分かりませんけれども、どうしてもやっぱりその疑問を抱いちゃうんですね。  ですから、この間ちょっとお話を聞きましたけれども国土交通省の中にそれだけやっぱり飛行機にたけた機関がないという、これはやっぱり一つの、こういうふうな問題が起きている一つの原因にもなっているのかなと思いますけれども、将来的に、これだけ航空行政が頻繁になっているわけですし、またさっきの航空法の話じゃありませんけれども、千フィートのところに、二万九千フィート以上はずっと一杯飛んでいくわけですから、やっぱり極めてこれもその精巧度をどうしても必要とされるわけですし、そのような機関も将来的には考えておく必要があるのではないかなと、そんな思いをしております。  こればっかりやっていると日本航空で終わってしまいますから、次にまた変えさせていただきます。  これも、大臣、この間、一極集中の弊害を話をさせていただきました。今、人口減少時代に、東京、大阪、名古屋、これが日本の人口の約六〇%近く占めております。特にまた東京は、一年に八万人から十万人に実は人口増えているんです。昨年の台風、十個の台風が襲来した、そして地震があった、また福岡で地震があった。日本は正に災害列島と言っても過言ではないかなと、そんなことを思うときに、私自身、やっぱり災害というのは、これは止めようがないんですね。ですから、被害をいかに少なくするかというふうなことなんです。  やっぱりあの阪神・淡路のとき、あれだけのやっぱり犠牲者が出たというのは、人口が集中して、それが火災によった被害になってしまった。そんなことを思うと、今の日本の中でこの東京に、この間の地震の対策審議会からの報告でありませんけれども、マグニチュード七近い地震が東京の直下型起きれば十一兆円の損害と一万三千人が亡くなって、七百万人が避難しなきゃいけない。七百万人避難するところはもうないんです、現実問題として。さらに、私はもう一つ、これは落としているんじゃないかなと思うので、これもう電気も全部ストップするわけですから、人工透析なんてしている例えば病院なんというのは相当またお亡くなりになる方も計り知れないんじゃないかなと、そんな思いをしております。  この辺の質疑はこの間させていただきましたけれども、そのときもっと恐ろしいことには、この東京は文化も行政も政治も全部集中しております。これがやっぱりパニック状態になるというのは、日本の機能がまずパニックする。場合によっては世界的にも大変なこれは影響を及ぼすことになってしまう。  そんなときに私はついつい思い出してしまうのが、国会移転と首都機能移転をもう一回この辺で、国会国会の審議としてこれまた再考しなきゃいけない、近々私はこれが開かれるであろうと思いますけれども、行政府として、行政府として首都圏移転論をもう一回再考しなきゃいけないときが来ているんじゃないかなと、そんな思いをしてなりません。  正に天災が人災にならないように、大臣の御所見をお伺いしたいと思います。
  125. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) おっしゃっているとおり、東京を中心とする首都圏に経済、政治、教育等々様々な日本の機能が、重要な機能が集中をしておる。そういう中で、万一この首都圏に直下型地震等が起こって甚大な仮に被害が生じたとしたならば、それは独り首都圏だけの問題ではなくて、日本全体の、さらには世界の経済にも大きな影響を与えていくことになるわけでございまして、そういう意味で、首都圏が今果たしている様々な機能、危機管理という観点からやはりそれをバックアップしていくような機能をどこかの地域に持たせるべきではないのかという議論は私は十分議論をしていく必要があるというふうに思っているところでございます。もちろん、一方では、この首都圏の減災対策を強力に進めていくことということも大事でございますが、今委員のおっしゃっている危機管理機能の移転ということはしっかりとこれは調査検討していく必要があると思っているところでございます。  ただ、この首都機能移転につきましては、国会に設置されました国会等の移転に関する政党間両院協議会において今検討が進められているところでございまして、国土交通省といたしましても、この国会での検討が円滑に進められるように積極的に協力をさしていただきたいというふうに考えております。
  126. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 国交大臣が中心となって、内閣の中でも、この存亡につながるわけでありますから、中心的にこれは議論を進めていただきたいとお願いを申し上げておきます。  次に、公共事業の震災対策、さっき小池先生の方から橋梁とそれから港湾の方、出ておりましたけれども、特に私、今度のスマトラで、津波なんていうのは日本には関係ないのかなと思っておりましたが、いずれやっぱりそういうふうなことも十分計算に入れなきゃいけないであろうと、そんなことを考えながら、橋梁の部分は先ほど局長の答弁で分かりましたが、港湾についての、特に津波、この件について特別なお考えがあればお話を願いたいと思います。
  127. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) 港湾の大規模地震対策については先ほど御答弁をさせていただきましたが、その中でお話をしましたように、今年の三月の二十二日に交通政策審議会において、地震に強い港湾の在り方ということで御答申をいただきました。その中で津波についても言及をいただいておりまして、特に、港湾自身もさることながら、背後にも人口、資産の集積が大変大きな港湾が日本にはたくさんございます。  そういう意味で、港湾で津波対策をする場合にどういうことを考えるかということでございますが、当面、差し当たり、港湾で通常は波を防いで港の活動をしやすくするために防波堤というものを造ってございますが、この防波堤の機能が津波に対しても大変効果があるということが我々の調べで分かっております。特に、スマトラ沖地震、それに伴うインド洋大津波でも、防波堤のある港の背後では津波の被害が大変少なかったという事例も報告をされているところでございます。  そういう意味で、津波対策も緊急にする中で、特に防波堤、既存の防波堤のかさ上げ、あるいは少し延長を延ばすことによって津波の到達時間を遅らせるとか、津波の浸水域を減らすというようなこともかなりございますので、そういったことにも力を入れてやっていきたいというふうに考えております。
  128. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 局長、この情報網というのはどういうふうになっておりますか。情報、津波情報の伝達。
  129. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) 津波の情報につきましては、できるだけリアルタイムで津波が襲来するおそれのあるところに知らせるということが重要でございます。そういう意味で、今、日本の沿岸域に波浪観測網というものを我々整備をしておりまして、そういうものでも一部津波の情報を取れることがございますし、もう一つ、高知県の室戸沖にGPSを利用した津波計というものを今実験的に設置をしております。少し水深の大きなところに設置をしておりますので、例えば東南海・南海地震で地震が発生して津波が起こった場合でも、少し、そのデータが取れてから陸側に津波が到達するまで時間がございますので、そういうものを少し全国的に展開をすることによって情報をできるだけ早く住民の皆さんにお知らせできるような、そんなことも我々としてこれからやっていかなければならない、かよう考えてございます。
  130. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 しっかりその津波対策をやっていただきたいと思います。  道路局長、せっかく来ていただいておりますから、道路特定財源についてお伺いさせていただきたいと思います。  去年の暮れまでそれぞれ町村長の皆さんが陳情書という、要請書というものを持ってずっと歩いております。その最初の項目に、道路特定財源は受益者負担の原則に基づき一般財源化することなくその全額を道路整備に活用すること、これはどなたかが教えてそれぞれ町村長が持ってきているのかなと思いますし、またこれ、地方に行きますと、この道路はガソリン税と重量税からできておりますと標語があります。これはみんなやっぱり地方の人は信じているわけでありますけれども、道路特定財源の五兆七千億のうちの約八千億ぐらいは、あっ、五千億か、これは重量税。重量税のうちから、これは我が党の直嶋委員からこの間、予算委員会か何かで質疑があったと思うんですけれども、本四の方に約四千億、去年の倍行っておると。となると、何となく道路特定財源が借金払いじゃないかなと、場合によっては、これは暫定税率ですから、その際、じゃ暫定税率を直さなきゃいけないんじゃないかなと、二つの大きな疑問を抱くわけでありますけれども、この点についての局長の御所見をお伺いしたいと思います。
  131. 谷口博昭

    政府参考人(谷口博昭君) お答えいたします。  平成十七年度予算におきます道路特定財源税収、国費でございますが、の予算額は三兆五千六百三十三億円ということになっております。今御指摘のございました重量税の国税分は五千八百五十一億円と、うちでございますが、そうなっております。  一方、道路整備特別会計に計上されております公共事業としての道路予算は約三兆九百九十七億円となっておりまして、そのうちでございますが、揮発油税収の四分の一に相当する七千四百八億円が地方道路整備臨時交付金に充てられているというところでございます。  また、そのほかに、国債費に計上されております本四公団の債務処理のための国費が四千八百二十九億円、及びその他の一般会計に計上されている道路特定財源を活用した関連施策であります例えばETC車載器リース制度やまちづくり交付金等のための国費、計九百四十三億円が道路特定財源で活用されているということでございます。  したがって、我々としましては、すべて道路関係予算に道路特定財源は充てられておるというような考え方でございます。  また、御指摘の税率等の問題でございますが、道路特定財源制度は御指摘のとおり受益者負担の考え方に基づいているということでございまして、五か年間の道路整備の所要事業量と必要国費、必要額とを踏まえまして、維持管理も含めてでございますが、法律に基づきまして、道路整備費の財源等の特例に関する法律に基づきまして、平成十五年度以降、五年間の措置として……
  132. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 簡潔にお願いします。
  133. 谷口博昭

    政府参考人(谷口博昭君) はい。暫定税率と、国と地方の配分等が決定されているということでございますので、地方の財源を充実するという観点のみからの議論につきましては、今の経緯等からいって慎重に検討すべきものではないかと思っています。  いずれにしましても、暫定税率を含めた道路特定財源制度と道路整備の在り方全体の議論から見直すべきということではないかと思っております。
  134. 佐藤雄平

    ○佐藤雄平君 時間がなくなっちゃったんですけれども、私が五兆七千億と言ったのは、地方と国合わせたあれですよ、道路特定財源、そのうちの三兆二千億はそれはもう国だ、で、地方が二兆一千億だ。  それで、私が申し上げたいことは、本四にそれだけ行っているんであれば、道路特定財源の本来の趣旨からすれば、最近、国土交通省に道路の要望が少なくなっている、この二年間で一〇%ぐらいずつ少なくなっているんです。ところが、地方に行くと、やっぱり道路を造ってくれの話なんです。そうすると、何で少なくなったかというと、地方の財政が非常に厳しいから、裏負担ができないから出したくても出せないんだよ。  だから、逆言うと、今の国の三兆二千億、場合によっては、その重量税の本四に行っている分を更に地方に分配できないかということを聞きたかったんですけれども、時間がありませんので、要望して、質疑を終了さしていただきます。  ありがとうございました。
  135. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 次に、加藤敏幸君。いましばらく、いましばらく。──次に、加藤敏幸君。
  136. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 委員長、ありがとうございます。  民主党・新緑風会の加藤敏幸でございます。  本日は、同僚議員から航空機の安全確保策についていろいろ質問、意見等ございました。私の方は、空を飛ぶ方ではなくて、それを受け止める空港の問題について少しく御質問申し上げたいというふうに思います。ポイントは国際ハブ空港なり国際ハブ港湾と、こういう視点での質問でございます。  よく言われることでありますけれども、我が国の空港使用料は非常に高い、世界に比べてもトップクラスだと。また、港についても、費用の問題もありますけれども、手続が煩雑であると。そういうふうなことから、産業立地といいますか、私は物づくり日本と、もうこれ以上海外に工場出すな、日本で物づくりやろうじゃないか、工場が日本に戻ってくれるように産業インフラを整えなければならない、会社の中のコスト削減は一生懸命やっておる、会社の外のコスト削減はだれがやるんですかと、こういう視点で経済産業委員会でもいろいろ質問さしていただいておりますけれども、そういう意味での産業立地としての空港のインフラコストなりアクティビティーの問題もあります。また、国際的な物流システムの発展においても、例えば韓国の仁川に東アジアのハブ空港としての地位が移るんではないかとか、そういうふうな危惧もあると。  そういうふうな意味で、我が国の国際競争力だとかあるいは民生の発展だとか、いろいろなことを考えたときに、言わば国の戦略の問題、基本的な問題ではないかと、こういうふうな意識を持っておるわけでありますけれども、まず冒頭、こういう点について北側国土交通大臣の御所見を伺いたいと思います。
  137. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今、経済がますますグローバル化しております。なかんずく、今世界の中で一番経済が発展しているのは東アジアでございます。この東アジアとの、中国を中心とする東アジアとの関係考えましても、特にまた、我が国日本の企業が水平分業という形で中国を中心として立地をして様々生産等をしていることを見ましても、私は、物流、国際物流というのをいかに強化、また簡素化していくかということはもう非常に重要な課題であると思っております。  メーカーの方々、また荷主の方々がコストを抑制するためにまた様々な努力をし、また様々な付加価値を付けていい物をつくったりしても、それがきちんと安く、そして早くしかるべきところに物が流れていくというふうにならないといけないわけでございまして、そういう意味では、私はこの国際空港にいたしましても、それから国際港湾についても、大変立ち後れてしまっているというのが正直なところ今の現状であるというふうに思っております、物流という観点からいいますと。  そういう意味で、その基盤をしっかりと整備をしてコストをできるだけ抑制し、そして時間をできるだけ短くするためのそうした基盤をしっかり整備をしていくことは、これは急務であるというふうに思っておりまして、国際空港についても、また国際港湾についても、そうした機能強化が図れるようにしっかり取組をさせていただきたいというふうに考えております。
  138. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 大臣から大変言わば的確な御所見をいただきましたので、私があえて付け加えることもないかと思います。  そういうふうな国の国際競争力を、例えばスイスの国際経営開発研究所、IMDは、日本は二十三位だと。その要素の中に、やっぱり国の持つインフラ、インフラ競争力と、そこを評価して二十三位と。まあこれを国民が見たときは、何々二十三位、こんなつまらない順位かと、がっかりもしておるわけですけれども。そういうふうな視点からとっても、インフラに関して、特に空港あるいは港湾の利用者の満足度を上げていくと、こういう視点での取組も併せてお願いをしたいし、そういう趣旨で以下少し具体的な御質問をさしていただきたいと思います。  まず第一に、最近の我が国の貿易における国際航空貨物の実情について、航空貨物の占める割合がどのように変化してきているのか、また、成田や関空の貿易量の推移に、あるいは特徴点などについて概略説明いただきたいと思います。
  139. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 産業貿易構造が大きく変わってきております。原料を輸入して完成品を輸出していくと、こういう形態から水平分業が進んでおりまして、我が国で製造した部品や半製品をアジア地域で組み立てる、それを完成品を欧米や我が国で販売するといったような形態が出てきております。  また、荷主のサプライ・チェーン・マネジメントと言っておりますけれども、在庫をできるだけ少なくして適時適切に部品等を輸送するというニーズが非常に高まっております。また、消費者ニーズの高度化に伴いまして、製品化したものは直ちに市場に出していくと、こういうようなことを背景に航空需要というのが拡大し、国際航空貨物取扱量が増加しているという実情でございます。  数字で申し上げますと、国際航空貨物量は平成年度百七十万トンでございましたが、平成十五年度では三百万トンと、約倍増しております。特に、金額ベースで申し上げますと、航空輸送の占める割合が平成年度二〇%であったものが、今や平成十五年度は三〇%と大きく増加している実情にございます。  個別の成田空港、関西空港も同じような事情でございまして、この十年間に成田空港では百四十万トンから二百十万トン、関西空港は、平成五年、大阪伊丹空港の時代でございましたのでそのときからの数字でございますが、そのとき十六万トンだったのが関西空港になりまして七十万トンと増加をしている状況でございます。  特徴は、成田や関西空港に二極集中しているという実情がございまして、全国の取扱輸送量の九割以上は成田、関空から出ているという今の実情でございます。今後、先月開港いたしました中部空港からも貨物の取扱いが増加するものと、このように期待をしているところでございます。
  140. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ただいま実情についてお伺いをしたわけでありますけれども、非常に需要が伸びておるし、その位置付け、役割も重要性を増しているという状況の中で、国際ハブ空港の未整備がボトルネックとなって国際航空需要が近隣諸国に転移をしていくとか、あるいはそれに付随する人、物、資本、情報、文化が我が国を素通りをしてしまうと、そういう懸念があるのではないか。  特に、IT関連、自動車、精密、そういった国際航空を必要とする先端産業の言わば空洞化につながるというような事態については、これは避けなければならない、あるいはまた日本の航空会社の経営基盤を弱めることにもなるのではないかと、こういうふうなことを考えまして、正にアジアとの水平分業と、あるいはジャスト・イン・タイムだとかサプライ・チェーン・マネジメントだとか、いろいろに非常に高いニーズが航空貨物に、空港輸送に課せられてきていると。  こういうふうなところで、ハブ空港というふうなものがアジアの他の地域に移転してしまうとこれは我が国経済に非常に大きな影響を及ぼすであろうということで、正に国土交通省としての本件に関する危機意識、あるのかないのかとは聞きませんけれども、是非そこを話していただきたいと思います。
  141. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 今先生がおっしゃったようないろんな事象が、今後ますますこれが加速していくものだろうと思っております。そういう意味で、国際拠点空港の整備というのを早急に行う必要性というのは十分認識しているところでございます。このため、私どもの方も投資の重点化に努めているところでございます。  具体的に各空港で申しますと、まず成田の国際空港でございますが、一本は四千メーターの滑走路になっておりますが、まだ二本目の方は二千百五十メーターということでジャンボが着陸できないというような状況になっております。これを一刻も、地権者の方と話合いを尽くしながら、スケジュール感を持ってきっちり整備をしていきたいと思っております。  関西国際空港につきましては、二〇〇七年の限定供用に向けまして二本目の滑走路の整備というのに着手をしてまいります。  中部空港は開港をいたしました。  そのほかに、国際拠点空港ではございませんが、羽田につきましても四本目の滑走路の整備に着手をしております。ここから、今国内線だけでございますが、四本目の滑走路ができますと発着の容量が増加をいたしますので近距離の国際線等を飛ばしていきたいと、このように思っております。  こうしたことをきっちり進めながら、我が国の経済の発展を支えていく観点から航空ネットワークの充実強化やっていきたいと思っております。
  142. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 よろしくお願いします。  さて次に、空港使用料の問題について御質問を申し上げます。  二月十七日に開港した中部国際空港はいろいろな問題提起をしていただいたと、このように思っています。中部国際空港はジャンボ機の国際線着陸料を六十五万五千七百円に設定をした。成田空港の九十四万八千円、関西空港の八十二万五千五百五十円を大いに下回る料金となっておるわけですけれども、この料金設定に当たっては、工事費の削減努力と、民間の社長さんが随分頑張っていわゆる削減努力をされたということが実ったということもございますし、空港の建設、運営民間で行われたということも含めまして、国土交通省としては、この中部国際空港の建設並びにそのコストということについてどのように評価されているのか、御見解をいただきたいと思います。
  143. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 中部国際空港の事業費でございますが、当初七千六百八十億ということでございましたが、現時点で千二百億円程度の縮減が可能だと聞いております。  土地の地盤が非常に安定していたこと、あるいは金利が低下したこと、施設先送りをしたこと等々、いろんな事情が重なっているところでございますが、更にこの千二百億円から二百億円の縮減を目指したいと、このようなことで聞いております。  中部空港独自の契約手続も採用しておりまして、特に旅客ターミナルビルの工事等の建設、建築工事におきましては、独自の資材単価の積算、あるいは価格交渉を実施しており、これらも事業費の縮減に寄与したものと聞いております。好条件に恵まれたということはございますが、事業主体である中部国際空港会社の全社一丸となったコスト縮減努力を高く評価しておるところでございます。  こうした事業費の縮減の結果、今先生申された成田、関空を下回る着陸料というのが、設定に寄与したものと認識をしておるところでございます。
  144. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 新聞で知った、私の知っている友人も皆さん方大変感心をいたしまして、やっぱりこういうやり方によって国の事業が二割安くできるということであるならば、ああ、正に高速道路も含めて、各種の事業についても大いに応用していただくと、そういうことによって私は国自体も非常に事業がうまくいくんではないかと、こういうふうなことで、評価されるならば更にそれを全体的に押し広げていくと、こういう努力もお願いをしたいというふうに思います。  さて、もう一度空港使用料に話を戻しますと、中部国際空港は今大いに評価された方式で頑張っていただいた結果、六十五万五千七百円と国内では安い金額の着陸料を設定できましたけれども、それでも国際ハブ空港として、例えば韓国の仁川、香港、そういうふうなところが三十万円台と、これに比べると相当に差があるなと、こういうふうなことでございます。  そこで、着陸料を始めとする空港使用料が割高であると、こういう問題でありますけれども、先ほども説明にございました、一般的に用地取得の問題、借入金の金利あるいは各種、騒音を始めた、他の空港ではやらなくていいのかも分からない対策など、いろいろと議論がされていますけれども、世界一高い成田などのその状況を踏まえまして、空港使用料が高くなっている要因ということについて国土交通省の方の見解をお伺いしたいと思います。
  145. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 我が国空港を造ります場合に、中部空港、関西空港もそうでございますけれども、やっぱり海上に埋め立てて造っていくという形になります。羽田の四本目の滑走路も海上部に埋立てと桟橋を組み合わせるという方式でやっております。内陸空港になります成田空港でございますと、騒音対策等の費用も掛かっておるというのは事実でございます。  数字で申しますと、先生今御指摘のあった仁川空港でございますが、これは七千八百五十億ででき上がっております。これは二本の滑走路でその値段でございます。頑張ってもらった中部空港でございますけれども、残念ながら一本の滑走路で、当初で七千六百八十億、大分節約されて六千億前後になろうと思いますけれども、それでも一本の滑走路しかできないと、こういう現状でございます。  そのような現状でございますけれども、やはり経営の効率化、あるいはよく言われておりますけれども、航空の着陸料等の収入だけではなくて、免税品等々の非航空系収入と言っておりますけれども、こういうやつの増加努力をしていただきたいと思っておりまして、一層の経営効率化が図られるよう私どもも適切に指導してまいりたいと、このように思っているところでございます。
  146. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 着陸料など以外の非航空系の収入を増やされる努力ということもございましょうし、中部国際空港は二か月で二百万を超えるという大変、空港なのか何なのか分からないと、こういう説があるぐらい今活況を呈しているわけですけれども、そういう御努力をしていただくといたしまして、中部国際空港が約六千四百億円、成田の一期、二期が約二兆円、関西国際空港滑走路一本の一期工事が一兆五千億円、二期工事含めまして一兆四千二百億円が予定されていると、こういうふうなことで、先ほど言われました韓国の仁川よりもはるかに高い費用が掛かっておるということであります。  そこで、掛かった費用は利益者の利用を通じて回収すると、こういうことであるならば、正に、例えば関空、これ二期工事更に一兆四千二百億円の予算を必要とするわけですけれども、これを再び空港使用料という形で回収するという仕組みになれば、これ、いつまでたっても高い使用料と。お客さんたくさん来て、いろいろやってもらう収入にしても、それを埋め合わせするほどの収入にはならないんじゃないかと、このように思いますけれども、膨大な累積債務を抱えながら正に第二期工事、関空をやるわけですけれども、その必要性等について少しお伺いをしたいと思います。
  147. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 関西国際空港でございますけれども、一期の事業費、中部空港と比較いたしまして確かに高くなっておりますけれども、空港島、空港を設置する地点の水深が非常に深かったこと、中部空港では六メーターでございましたが、関空では十八メーターございました。それから、地盤が軟弱でありました。あるいは、金利水準が高かったと、こうしたいろんな事情が重なった結果でございます。  二本目の滑走路でございますけれども、できるだけ事業費を使わないでやっていこうということでございまして、二本目の滑走路に当初一兆五千億弱の事業費を予定をしておったところでございますけれども、用地費含めまして、用地、施設、造成費含めまして九千百六十五億に縮減をしてやっているところでございます。また、その資金につきましても、できるだけ利子の付かない金を活用するというようなことで努力をしているところでございます。  国際競争力を強化していくためには二本目の滑走路を造る必要があろうと思っております。現在でも関西国際空港、時間帯、国際空港でございますので、どうしても朝の十時台ですとか十九時台がピークになります。既に満杯近くになっております。今後の需要予測をいたしましても、二〇〇七年度には十三万回程度、二〇〇八年度には十三・五万回程度に達すると、このように見込まれております。必要最低限のものとして二本目の滑走路を整備していきたいと、このように思っているところでございます。
  148. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 水深の関係が非常に、海上空港ですからコストに影響を与えているというのはそのとおりだろうと、よく分かりますけれども、関西国際空港の計画段階で埋立て方式とともに浮体空港、メガフロート工法ということも随分話題に上がったと覚えております。また、昨今の羽田拡張もこの浮体空港案、これも考え出されて、しかし入札の制約でうまくいかなかったと、こんなふうに私は聞いておるわけでありますけれども、浮体空港は今一つもないわけですから、いいの悪いのと言っても実証できていませんけれども、環境保全面あるいはコスト面、そういうような面も含めてこれもうメリットがあるんではないかと、このようにも感じますし、我が国物づくり技術の新たなる発展を模索すると、そういうふうな意味においても、これは私は捨て去るにはもったいないと、こういうふうな思いがあるわけですけれども、浮体空港をどのように評価し検討されてきたのか、お話をいただきたいと思います。
  149. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 関西国際空港の二期事業、それから今度の羽田の再拡張、四本目の滑走路について浮体工法が採用できないかという検討を行ってまいりました。  まず、関西国際空港の二期事業でございますが、これは平成七年当時検討いたしました。当時、この二本目の、関西国際空港の二期事業を浮体で造る、あるいは桟橋で造る、埋立てで造るといういろんな工法が検討されたところでございますが、七年当時では、浮体工法について浮体の動揺と空港の施設としての技術的信頼性が十分でないと判断されて、より確実である埋立て工法が採用されたものでございます。その後、浮体工法につきましては横須賀沖で実証実験をされるといったことで技術的な検証を詰めてこられました。  それらを踏まえまして、羽田空港の新滑走路の建設でございますが、平成十四年に工法評価選定会議というのを学識経験者を交えて行いました。当時、埋立てでやるという工法、桟橋でやるという工法、それからこの浮体でやるという工法が応募されました。この三工法について評価、検討いたしました。その結果、平成十四年度のときでございますが、技術的信頼性についても十分あると、周辺環境への影響あるいは経済性等にも今の埋立てあるいは桟橋等と大きな差異がないということでございまして、浮体も含めた三工法での入札の参加を可能とすると。値段で後は勝負してもらおうという工法を決定することといたしました。しかしながら、昨年、入札募集をしたわけでございますけれども、造船業界を取り巻くいろんな状況の変化から浮体工法の入札の参加はなかったものでございます。  今後とも、機会があれば浮体工法につきまして、周辺環境への影響あるいは経済性も勘案しながら、適性を確認の上検討していきたいと、このように思っているところでございます。
  150. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 これからも大切に見守っていただきたいと、このように思います。  次に、国際競争力を持ったハブ空港を整備し、また利用者負担を減らしていくには、空港建設にかかわる国の補助と、ここを考えざるを得ないというふうに思います。  まず、本日のテーマである平成十五年度決算から、この中には、空港整備特別会計の十五年度の支出済歳出額は約四千七百六十億円、歳入については、収納済歳入額の総額は五千五十五億円で、このうち一般会計からの受入額は一千七百八十七億円となっています。しかし、これには実質的な利用者負担である航空燃料税が入っているので、これを差し引くと、純然たる一般会計からの繰入額は九百二十四億円であります。  基本的に我が国においては空港建設は利用者負担に頼ったものとなっていますが、しかしその建設費用のほとんどを借入金ということになっておりますし、まあいろいろ工夫はされておりますけれども、金利の問題も将来に発生する、これは大きな問題があるんではないかと。現在でもこの借入金は、羽田、成田、関空の三つだけで二・五兆円もあると言われております。今後とも、このようなスキームで空港の整備を進めていけば、結果として、利用者負担の大きさというのはなかなか軽減されないということと同時に、真に競争力を持った国際ハブ空港はできないんじゃないかと、こういうふうなおそれもあると思います。  国の財政が逼迫している中で補助金を出せとかいう話はなかなか言いづらいわけでありますけれども、正に今後、戦略的な物流拠点であるハブ空港整備について、やはりある程度国の基本施設だという視点で、やっぱりこの辺の考え方を少し転換する必要もあるのではないかと、こう思いますけれども大臣の御所見をいただきたいと思います。
  151. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 大変貴重な御意見、ありがとうございます。  もう御承知のとおり、公共事業予算全体が厳しく抑制されている中で、国土交通省としても優先順位というものを明確にしながら予算配分していくしかないというふうに考えております。  今委員のおっしゃった、国際競争力を向上させていくために国際物流の拠点である国際空港、また国際港湾もそうだと思いますけれども、そうした整備は国が責任持ってやるべきじゃないかというお話は私も本当にそのとおりだというふうに思うわけでございますが、ただ予算の制約がある中で、やはり優先順位というものをしっかり高めて、こうした国際拠点空港等に重点的に投資をしなければならないと考えているところでございます。  この十七年度予算、先般成立しました十七年度予算におきましても、空港整備事業費が二千九百四十八億円でございますが、そのうち、そうした国際競争力の向上という観点から、やはり大都市圏の拠点空港が重要でございまして、そこに約八〇%の予算を配分をさせていただいているところでございます。また、大変厳しい公共事業予算の中で一般会計からの受入れも少しプラスに、十六年度に比べますと〇・八%増でございますが、にさせていただいているところでございまして、今後ともこの大都市圏の拠点空港の整備にしっかりと投資を向けれるように頑張ってまいりたいと思っております。
  152. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 民主党の割には空港に予算よこせとか、政党間違っておるんじゃないかと、こう誤解されるかも分かりませんけれども、本件についてはそう与野党がしのぎを削ってああだこうだ言うことではなくって、やはり日本の産業、そしてその基幹はやはり物づくり、製造業がこれつぶれてしまうと、もう雇用の問題含めて、雇用が失われるとその地域の経済が、地域経済駄目になりますし、働く人の所得税、住民税、社会保険料、これがこの国の今の基本的なシステムを支えておるわけですから、そして私たち働く者として雇用の確保が幸せづくりのスタートラインと、こういうふうなことでございますので、やっぱりそのポイントというのは、この物流とか非常に戦略的なところはこれ時間が掛かるわけです。後で気が付いて、ああ、駄目になったと思ったらあと十年掛かるとかではこれ間に合いませんので、早め早めにやっていただくと。そういう意味で、最初に、冒頭、大臣の決意、考え方は大賛成だと。  だから、冒頭のそのあいさつの気合を持って最後の予算という、ここも併せて努力をしていただくということを少し申し上げまして、次に、国際ハブ港湾について、これはもう同じ構造だというふうに思います。当然のことながら、港湾についても整備が急がれるということでございます。  まあ、使用料金も高いということと、手続の煩雑さなどが指摘されてきました。これを受けまして、国土交通省はスーパー中枢港湾プロジェクトを推進されようとしておりますけれども、まず、我が国における港湾利用コストが高くなり、なぜ近隣アジア主要国との競争で実質劣勢になりつつあるのか、海運王国日本がなぜこういう状況になってきたのか、その要因をお聞かせ願いたいと思います。
  153. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) お答えを申し上げます。  冒頭の大臣の御答弁にもございましたように、経済のグローバル化に伴って国際間の物の動きが大変活発化しております。そういう中で、我が国の港湾におきましても、扱われるコンテナ貨物量、着実に増加をしておりますが、他のアジア諸国の港湾の取扱量が大変大きく伸びる中で相対的にその地位を低下をさせてございます。これは、中国を始めといたしますアジア地域の急速な経済成長に加えまして、我が国の港湾が、コストを含めたサービス水準が近隣のアジア諸国の主要港に比べて低下をしてきているということがその大きな原因であるというふうに私どもも認識をしておるところでございます。  やや具体的に申し上げますと、港湾のコストにつきましては、我が国の主要港の場合は、ターミナルが小規模で個別に運営されているということからスケールメリットが出にくい状況になっていることと、さらにIT化への対応が遅れているというようなことなどから、近隣の高雄港あるいは釜山港に比べてコストについては二、三割高い、あるいは船が港に入ってから手続が終わって港を出て内陸に運び出されるまでの、リードタイムと我々申し上げておりますが、この時間につきましても、例えばシンガポールでは一日以内であるのに、日本では二、三日掛かっていると、そういう現状にあります。
  154. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 正にそういう事情から、我が日本の港は競争力を失いつつあると。ただ、一つ感じますのは、前の総理大臣はIT、IT、IT立国ということを言っておられたんですけれども、港湾のIT化が遅れているということについては、私もその産業の出身だから言うわけじゃないんですけれども、是非ともこれは努力を願いたいなと、こんなふうに思います。  次に、既に社会資本整備重点計画の中で、一、大水深国際海上コンテナターミナルの整備、二つ目が、ソフト面における港湾手続の簡素化、フルオープン化を打ち出されて施策を推進されているようでございますけれども現状における推進状況の御説明をいただきたいと。また、本年一月の新聞で報道されましたけれども、入港手続の簡素化やバースの一体運営、これらの施策についての具体的な御説明をいただきたいと思います。
  155. 鬼頭平三

    政府参考人(鬼頭平三君) 我が国の港湾の国際競争力を強化するため、国土交通省におきましては、アジアの主要港をしのぐコスト・サービス水準の実現を目指す、先ほど委員からもお話のありましたスーパー中枢港湾、このプロジェクトを始めといたしまして、港湾における物流改革といたしまして、今お話のありました大水深国際コンテナターミナルの整備ということで、中枢・中核国際港湾等への予算の重点配分、あるいは港湾諸手続の簡素化ということで、平成十三年にターミナル作業の三百六十四日・二十四時間オープンというのが実現をいたしましたし、さらに、平成十五年七月、一昨年の七月でございますが、港湾の諸手続あるいは輸出入手続の電子手続につきましてシングルウインドー化が実現をしております。そういったことなど、ソフト、ハード一体となった施策を現在進めているところでございます。  特に、スーパー中枢港湾プロジェクトにつきましては、昨年の七月に京浜港、伊勢湾、そして阪神港の三港を指定をいたしまして、これらの港湾において港湾コストを三割低減をいたしましてお隣の釜山港に並ぶ水準にする、そういった目標を掲げ、それを達成するためにコンテナターミナルの大規模化、統合化を進めるとともに、それを民間事業者が一元的かつ効率的に運営をする、そのための環境づくりをするなどの施策を集中的に展開をすることにしてございます。  また、港湾の利便性を向上させ、さらにリードタイムの短縮にも効果があります港湾諸手続の簡素化につきましては、本年に予定をされております国際海上簡易化条約、いわゆるFAL条約と呼んでおりますが、この条約の締結に対応いたしまして、港湾管理者等の入出港届の様式の統一化、さらに、それを踏まえた港湾諸手続の電子化についても一層推進を図りたい、かよう考えているところでございます。
  156. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ありがとうございました。  次に、バリアフリー政策に関して御質問を申し上げたいと思います。  交通バリアフリーに関する議論はいろんな委員会を含めまして随分とされてきたというふうに思いますけれども、また交通バリアフリー法では、駅舎については一日の利用客数が五千人以上の駅では二〇一〇年までに原則としてバリアフリー化することになっております。  本日は十五年度決算がメーンテーマでございますけれども、この交通バリアフリー法のいわゆる今日における進捗状況なり、あるいは今後の政策展開について御質問したいと思います。
  157. 梅田春実

    政府参考人(梅田春実君) まず、鉄道について申し上げます。  鉄道駅のバリアフリー化でございますが、御指摘のように、高齢化社会の到来あるいは障害者の社会参加への要請の高まり、こういうのがございまして、鉄道駅等のバリアフリー化が強く求められております。鉄道の駅につきましては、交通バリアフリー法に基づきまして、一日当たりの平均的な利用者数が五千人以上の鉄道駅等につきまして、平成二十二年度までに原則としてすべてバリアフリー化することを目標にしております。  この目標を達成するために、私どもといたしましては、鉄道事業者自らがバリアフリー化の取組を強力に促すということとともに、エレベーター、エスカレーターの整備などの取組に対しまして補助等の支援を行ってきたところであります。その結果、平成十六年三月末の時点で、一日当たりの利用者数が五千人以上の駅のうち、段差が解消されたものの割合は四四%となっております。バリアフリー化に一定の成果を上げていると認識しているところでございます。  今後とも、この目標の達成に向けまして、事業者あるいは地方公共団体の自主的な取組を促しながら支援を行うことにより、更にバリアフリー化が進むように努力してまいりたいというふうに思っております。
  158. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 私は比例区選出の議員でございまして、全国を政策を提げていろいろと活動したわけでございますけれども、地方に行って大変感じますのは、重い荷物を持って階段を引きずり上げていくと健康な私でも大変だったと。当然、高齢者の方、あるいはハンディキャップドパーソンの皆さん方、私は非常に大変だな、移動の自由がないと、こういうふうなことでございまして、特に地方における充実ということを本当に真剣に考えていきたいと、このように思っております。  現在、全国で各自治体が主導してバリアフリーの基本構想づくりが進められていると、このように思いますけれども、こういった住民のニーズも踏まえたバリアフリー化について今後の施策に反映すべきだと、このように考えますが、御見解をお伺いします。
  159. 丸山博

    政府参考人(丸山博君) 全国で見まして利用者数が五千人を超える旅客施設を持っている町が五百五十六市町村ございまして、そのうち基本構想がございますのが百六十二市町村、構想でいいますと百七十四ということで、一町で二つ持っているところもございますので、そういう状況でございます。バリアフリー法ができまして、十三年が十四基本構想、十四年が四十六、十五年が五十九、本年度は三月一日まで五十五基本構想ということで、どんどん進んできておるわけでございます。既に今年度、二十九市町村で策定に着手しておりまして、百九十二市町村で策定を予定しているということで、策定は着実に進んでいるということであります。  国土交通省としましては、従来から、基本構想の策定を進めるために、例えば基本構想策定促進セミナーでございますとか、バリアフリープロモーターの派遣なども行ってまいりました。さらに、本年度からは各都道府県のバリアフリー化の状況を取りまとめましたバリアフリー指標の公表を予定しておるところでございまして、引き続き基本構想の策定に向けて各種の取組を進めてまいりたいというふうに思っております。
  160. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 ありがとうございました。  最後に、バリアフリーの問題というのは、昇降機だとかそういうふうなものを、直接そこだけじゃなくて、建物だとか道路だとか、非常に広域にわたる改良を必要とするという意味で非常に話が大きくなるしお金が掛かるということで二の足を踏む、そういうこともあろうかと思います。  私は、やはり少子高齢化、いろんなことを考えてみても、やはりこのバリアフリーというのをしっかりと進めていただきたいし、その推進力はやっぱり政治の力であり行政の熱意だと、このように感じております。  そういう意味で、福祉、高齢者、障害者に大変思いやりのある北側大臣に、最後、バリアフリー化に対する今後の決意をいただきまして、よろしくお願いします。
  161. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 委員おっしゃっているとおり、我が国社会はこれから本格的な高齢社会を迎えます。今はまだまだ序の口でございまして、これからいよいよ本格的な高齢社会が到来をしてくるわけでございまして、様々な交通、また町づくりに当たりましてこのバリアフリー化はしっかりと進めていかねばならない。市町村の方々と連携を取ってやらせていただきたいと思っているところでございます。  交通バリアフリー法というのは駅のバリアフリーなんですけれども、もう一つハートビル法というのがありまして、こちらは病院とか百貨店とかの不特定多数の方が利用する建築物のバリアフリー化。これ旧建設省がこのハートビル法、旧運輸省が交通バリアフリー法、これそれぞれあったんですね。今回、今回というか、国土交通省で一本になりましたので、これ本当にこのハートビル法、交通バリアフリー法、更に発展をさせていきたいと今検討しております。  バリアフリーという観念を更に一歩前進をさせまして、高齢者、障害者の方々はもちろんでございますけれども、すべての人々が安心して自由に動ける、どこでもだれでも自由に使いやすくという、ユニバーサルデザインと言うんですけれども、このユニバーサルデザインに基づく町づくりとか交通環境整備を進めてまいりたいということで、現在、国土交通省の中にユニバーサルデザイン政策推進本部というものを設置いたしまして、この六月に取りまとめをしたいということで、今検討をしているところでございます。  このハートビル法や交通バリアフリー法をできればもう一本化して、国土交通省も一本化しましたので、一本化して、本当に駅、交通機関、町づくり、全体を包含するようなバリアフリー化、またユニバーサルデザインに基づく、考え方に基づく整備をどう進めていくか、その辺のところの骨格を今議論をさせていただいております。しっかりと推進をさせていただきたいと思います。
  162. 加藤敏幸

    加藤敏幸君 最後に予備質問として改正ハートビル法というシートがあったわけですけれども大臣の方から先に答弁をいただきましたので、私の質問は以上をもって終わりたいと思います。  ありがとうございました。
  163. 神本美恵子

    神本美恵子君 民主党・新緑風会の神本美恵子でございます。  残された時間、わずかでございますので、もう早速入らせていただきます。  今日、私は、警察不正経理問題一点に絞って、国家公安委員長、警察庁の方に、それから時間ができるだけ時間内に済むように、会計検査院の方も院長おいでいただいておりますので、御質問させていただきます。  昨年末のこの決算委員会のスタートに当たって、昨年の会計検査報告の中で警察問題については特定検査対象事項として掲記されておりました。それについて、掲記された内容は北海道、福岡県警のことが主だったかと思いますが、その後新たに出てきた問題として、やはり内容的には同じような手口で行われている愛媛県警の問題でございます。  今日お手元に委員の皆さんにも、愛媛県警本部が内部調査をいたしました調査結果報告書というのを、ちょっとページ数が多かったんですけれども、皆さんにもお配りをしています。これ、今すぐ読んでいただいても時間がないんですけれども、私これを一読しまして、大変疑問点、矛盾点、何か所も見付けてしまいました。当然、国家公安委員長もお読みになっていただいていると思いますけれども、その一つ一つ本当はこれはどうなんだどうなんだとやりたいんですけれども、相手は県警本部です、愛媛県警ですから、それは存ぜぬ、知らぬと言われれば意味がありませんので、指摘をまずしたいと思います。  まず一点、この報告書の随所に「使用頻度の高い店舗」云々という文言があります。委員の皆さんにお配りしています、まず二ページ、この愛媛県警大洲警察署の捜査費執行調査なんですが、この(1)、①、アのところに、捜査費の執行は三千四百八十一件、千四百三十万四千四百四十八円あるんですけれども、この中で「使用頻度の高い店舗のものと、当該店舗において使用されている領収書との照合等を調査した。」というふうに書かれてございます。その下の方にも、②調査結果、ア、(ア)の三行目のところにも「使用頻度の高い店舗に対する聴取及びこれらの当該店舗において使用されている領収書との照合を行った」というふうに、なぜその使用頻度の高い店舗五店だけを対象にしたのかという疑問がまず浮かびます。すべての領収書を確認すべきではないか。その領収書の店が実在するのかとか、協力者が本当に受け取ったのかということをやるべきなのに、こんな調査だからやっぱり駄目なんじゃないかというふうに、まあ結論付けるの早いんですが。  二つ目の問題点は、三ページの(エ)と(オ)のところに書かれているんですが、このゴム印で作った偽領収書のことを「白地の領収書」というふうにこの中では使ってありますけれども、(エ)のところに「その際に白地の領収書を渡された上、これに金額及び日付を書き込むように言われ」たというふうに記述されています。これはもう明らかに組織的にこの白地の領収書を使って偽領収書が作られたということがこのことで分かると思いますけれども、これについて、そのすぐ下に、署長、副署長は「偽領収書が使われ、事実と異なる会計書類が作成されていたことを知らなかった。」ということがその下にも書いてございます。年度、十一年から十三年、十四、十五年、いずれも署長、副署長は「知らなかった。」というふうに書かれています。それから、署長、副署長が知らずにこういう偽領収書が作られるということがにわかには皆さん信じ難いんではないかと思います。  また、その次の四ページの一番最後に、「関係者から聴取を行ったが、これらのゴム印を使用して、誰が、いつ、どこで白地の領収書を作成したのかについて、確認できなかった。」。でも、現に、先ほど読んだところでは、白地領収書を渡され、上司から渡されて作りましたという供述といいますか説明が記述されているのに、だれが作ったか分からないというのは、私、これは非常に矛盾しているんじゃないかなと思いましたのが二点目。  三点目が、この調査の聞き取り対象者が警察捜査員とか会計担当者に限られているんではないか。幾つか店舗にも、店舗の方にも聞いたというふうに書かれていますが、その店舗は文房具店とかゴム印店のようであって、領収書を発行した、偽領収書を発行したふうになっているその店舗には当たってない、それから協力者にも当たっていないのではないかと。それでは完全な調査とは言えないのではないか。  四点目、ここが一番大きいんですけれども、三ページの(ウ)のところです。先ほどお読みしたところの上、(ウ)の一番最後のところに、「いずれも捜査費として執行されたものと認められ、個人的利得を疑う事実は認められなかった。」と早々に結論付けていらっしゃいます。ところが、今日ちょっともう一つ、県の、愛媛県の監査報告が出ております。その中には、個人的流用がなかったというふうなことは結論付けられないと、これとは全く違う結論が出ている。そのことは今日ちょっと御紹介できないんですけれども、そういうような県の内部監査が行われております。  これについて、委員長、どう思いますかということを聞きたいんですが、もう時間がありませんので、こんなこと、こんな内部調査が去年の九月十七日に結果が出て、そして今年の一月二十日に現職の警察官の方が、先ほど山本委員からも御質問がありましたけれども、実名を公表して顔も出して内部告発をされました。その方は、その四日後には異動、配転になって、報復人事ではないかという、この疑いもまた別の機会に明らかにしたいと思いますけれども、そういう新たな事態が起きていますけれども国家公安委員長、この愛媛県警本部の内部の調査と、それからその後内部告発が起きた、この新たな事態が起きて、国家公安委員会としてきちっと警察庁に指示をして再調査をすべきではないかと思いますけれども、いかがですか。
  164. 村田吉隆

    国務大臣(村田吉隆君) 前段の、まず、御質問が二点ございましたから、それにお答えを申し上げたいと思います。  この愛媛県警による昨年九月の時点での調査報告書でございますが、これは愛媛県内で報道がございまして、それに基づいてこの大洲署の問題、会計経理の不正執行の問題ということで、それを明らかにするために調査が行われたと、こういうふうに私は考えておりまして、そういう問題点を絞ったところの調査であったということでございますが、その報道の事実関係を明らかにするために、愛媛県の公安委員会の指導の下に愛媛県警が調査を行ったと、こういうふうに私は考えているわけでございます。  二点目でございますが、二点目は、現職警官が内部告発をしたと、こういうことでございますが、事実関係を、まず本人にも御協力をいただいて、現職警官が言っていることにつきましてしっかりとした調査を行うということが必要だと私は考えているわけでございます。  最後の点でございますが、国家公安委員会といたしましては、昨年の四月に国家公安委員会規則を改正いたしまして会計監査をすると、こういうことになっておりまして、昨年も全国的に会計監査をしているわけでございまして、その結果の報告についてはやがて私どものところに報告があると、こういうふうに思いますので、国家公安委員会としては、会計監査に関しますその報告を聞いた上で、一層更に、警察庁に対しまして、会計執行の適正化について我々としての指示、あるいは改正すべきことがあればなお我々は厳しく指導をしていきたいと、こういうふうに考えているわけであります。
  165. 神本美恵子

    神本美恵子君 国家公安委員会規則を改正して昨年四月からまた監査を充実しているというお話でしたけれども、それをもってしてもこういう内部監査しか、監査といいますか、内部検査しかできてないということを私は申し上げているんで、何にも前進してないというふうに思いますが、これはもう公安委員長に聞いてもしようがないので警察庁の方にお伺いしますけれども、県の監査委員の報告を読みましたら、愛媛県警の対応が余りにもひどいです。  今日、時間がないんで本当にまたの機会にしなきゃいけないんですが、まず新聞報道等でも、それから先ほどの山本委員もおっしゃいましたけれども、開示された資料が九割は非開示だったとか、ほとんどマスキングされていたとか、聞き取りの、協力者への聞き取りは全然協力してもらえなかったとか、そういう県警の対応に基づいて監査報告を監査委員の方から出されているんですが、読んでいると本当に怒りに満ち満ちています。  ちょっとだけ分かりやすいところを御紹介しますが、情報の開示については、口頭でも、それから文書でも警察本部に強く要請をしたけれども、また公安委員長に対しても申し入れたけれども、それがかなわなかったと。協力者等の住所、氏名等はコピーやメモをせずに、併せて協力者等に対し直接調査をしないのであればそれは見せてもいいですよと言われたり、それから捜査員に対する聞き取り調査をするときも、ほかの人を立ち会わせないようにって言ったのに、上席者を立ち会わせないと聞き取り調査をさせないというふうに制限をしたりというようなことが行われているわけですね。  こういった県の監査に対する不誠実な対応について、警察庁は通達を出したりして、きちんと対応するようにというふうに行われているんですけれども、改めて通知をすべきじゃないですか。この愛媛県警の県の監査に対する対応について、簡単に、どのように思われるか、そして改めて指導をやり直して、協力者にも会わせるようにすべきではないかと思いますが、いかがですか。
  166. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) お答えいたします。  警察庁は、これまで各都道府県に対しまして監査委員の監査に対してはできるだけ協力をするようにと、具体的に言いますと、特段の支障のない限り、捜査協力者の氏名などについても可能な限り、まあこれは個別具体的に判断してということでありますが、監査委員に提示すべきものと考えて指導してきたわけであります。  今御指摘の愛媛県警についてでありますが、一点、最後の方の立会人を入れることについてということでありますが、これは監査委員会との最終的な交渉で監査委員と話合いが付きまして、これは立会人を入れるという協議が整ったということを御指摘をしておきます。  基本的にどうかということでありますが、先ほど言いましたように、できるだけ協力するということでありますが、愛媛県につきましては、これはちょっと他県と特殊な状況にありまして、監査委員の方から捜査協力者に直接聞き取りを行うという申入れが、強い申入れが何回もされたということで、県警と監査委員の間でいろいろ協議が持たれたわけでありますが、やはり県警としましては、現に捜査協力者に事情聴取がなされるということになれば、捜査協力者との協力関係が、これまでの協力関係が損なわれる、あるいは今後の情報提供の期待ができない状況となるなど多大な支障が生じると判断しまして、捜査協力者の氏名を開示しないなどの措置をとらざるを得なかったと我々警察庁は報告を受けているわけでございます。  いずれにいたしましても、監査委員の監査に当たっては、引き続き、愛媛県警ができるだけ、できる限りの努力を行うよう指導してまいる所存であります。
  167. 神本美恵子

    神本美恵子君 立会いの件は話合いが付いたというふうにおっしゃいますけれども、これは上席者が立ち会っているために捜査員はいろいろ聞かれても本当のことが言えないというようなことも言っているんですよね。ですから、話合いが付いたのは、本当はこれは監査委員、県の監査委員の方は所属の会計課職員だったらいいというふうにおっしゃっているのに、わざわざそうではない上席をそこに立ち会わせたというようなことで、やむを得ず、やむを得ないと判断したというふうにこの報告書にはにじみ出ているんです、悔しさが、県の監査委員のですね。  それともう一つ、協力者、協力者への聞き取りといいますか、直接面接をしてっていうことについても、その捜査上の秘密だの協力者の保護だのっておっしゃいますけれども、そういったことで直接聞けないがために、県の監査委員は、ずっと調査の結果のところを読んでみますと、全部語尾が、理解できる説明が得られなかったということが繰り返し出てくるんです。理解できる説明が得られなかった。何ら回答が得られなかった。捜査報償費の適正な支出とは言えないと。詳しい中身言えませんが、疑義が払拭できる説明は得られなかった。各捜査協力者に対し交付した謝礼の額とも符合するものではなかった。不適切である。明確な回答は得られなかったという、もうこういう調査結果がずっと羅列され、記述されているわけですね。  そして、最後の結論に、協力者に対する金品の提供や協力者等との接触費については、適正に執行されているとも、違法又は不当な執行であるとも判断することができなかったという結論が出されております。これでは本当に、警察のこの不正経理問題でこのような監査に対する対応で疑義が払拭できる、あるいはここまでは不正があってこれは適切だったというようなことを明確にできないんじゃないですか。  協力者に会わせるということをおっしゃいませんか。
  168. 安藤隆春

    政府参考人(安藤隆春君) その前に一点、ちょっと私の表現が適切でなかったかもしれませんので。  監査委員会との何回かのやり取りで話が付いたということを申し上げましたけど、そういう何回かの話合いのことで、我々の主張を引き続き申し上げましたところ、監査委員から特に異論がなかったということでそのような対応を行ったというのがより正確な表現であると思いますので、訂正いたします。  それから、捜査協力者に会わせるということにつきましては、先ほど言いましたように、我々の警察活動の、とりわけ捜査活動の根幹に触れるところ、すなわち捜査活動に大きな支障を生じる懸念が大きいということで、この点につきましてはやはり事情聴取については実施すべきではない、捜査協力者に対する事情聴取については実施すべきでないという認識に変わりはございません。
  169. 神本美恵子

    神本美恵子君 内部調査でも駄目だし、県の監査でも駄目だと。  会計検査院が、じゃこれから検査をされると思いますけれども、そのときには協力者に、会計検査院は守秘義務もちろんありますでしょうし、協力者の保護というような面でも心配ないと思いますけれども、検査院は協力者に会うつもりはありますか。  質問が全然違ってごめんなさい、予告しているのと。
  170. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 都道府県警察捜査費の経理につきましては、昨年、検査を精力的に実施をいたしまして、決算検査報告に掲記をしたところでございます。  いろいろな検査の過程で必要があれば、そのような可能性も排除しないで臨んでいきたいというふうに考えております。
  171. 神本美恵子

    神本美恵子君 時間が来ましたので。  警察庁には、是非協力者と県の監査が会えるようにという取組、これからお願いをしまして、終わります。  済みません、延びまして。
  172. 遠山清彦

    遠山清彦君 公明党の遠山清彦でございます。  今日、私、法務省、それから国土交通省に後ほど質問させていただきますが、最初、法務省関係で公正証書及び公証人制度の問題についてお伺いをしたいというふうに思っております。法務大臣、余り今日、私質問いたしませんけれども、しっかり聞いていただいて、最後の方で前向きな御答弁いただきたいと思っておりますので、よろしくお願いを申し上げます。  五年前、約五年前ほどでありますけれども、強引な取立てで大きな社会問題となりました商工ローンの問題がございます。この際には、体を売れとか内臓を売れとか目玉を売れとか、そういう暴言を浴びせて脅し取るというやり方が横行いたしまして大きな問題になりました。現在ではこういった手法は、法務省の指導監督の強化もあって影を潜めたというふうに私も聞いておりますけれども、その代わりと言ってはなんですけれども、最近問題になっておりますのは、この商工ローンや貸金業者あるいはやみ金融業者が、法務大臣が任命をする公証人が作成をした公正証書を武器にして債権の回収を行っているのではないかという問題でございます。これはまあ行っていると言ってもいいと思います、裁判が多数起こされておりますので。  この公正証書というのは、大臣御存じのとおり、契約が真正に成立していることを証明する文書でございまして、不動産の売買でありますとか金銭消費貸借の契約でありますとか、最近は遺言などに利用する方も多いという文書でございます。  この金銭貸借の契約の場合は、この公正証書が作られますと、ほぼ裁判所における確定判決と同じぐらいの強い効力を持つ法文書でございます。特に、この公正証書の中に強制執行認諾約款、具体的に文言申し上げますと、本契約上の債務を履行しないときは直ちに強制執行に服するという記載がありますと、貸金業者は裁判を起こすことなく債務者あるいは連帯保証人などの給与や預金などを差押えをすることができるわけでございます。  問題は、例えばこれは昨年の八月十九日付けの東京新聞に報道されておりますけれども、この報道の中で、商工ローン大手のSFCGという会社の元社員が証言をしております。どういうことを言ってあるかといいますと、連帯保証人契約に必要な書類は通常六から七種類重ねてあると。一番上が債務弁済契約書であると。この二枚目に公正証書の作成委任状を紛れ込ませて、保証人とか債務者が書類書きますと、カーボン紙でこの下に置いてある委任状が作られてしまうと。当然、この書いた保証人あるいは債務者本人は、全くそれが作られたことに気付かないということ、こういうやり方でできると。しかも、当然押印も、押さなければいけないんですが、大体この貸す側の会社の担当者が、私がちゃんとしっかり押しましょうということで相手の印鑑を借りて押すということをやることによって、契約者本人が気付かないうちに公正証書の作成委任状が貸金業者の手元に残ると。それで、返済不能になった場合は、今度は代理人をこの貸金業者が立てて、で、委任状ありますからその委任状を持たせて、まあ後ほど御答弁あると思いますけれども、印鑑証明書持っていけば、この契約者本人がいなくても公証人が公証役場で公正証書を作ってしまうという問題があるわけでございます。  この印鑑証明書については、貸金業者はどうも実態上はいろんなことを言って本人から、契約者本人から、後で必要になりますからちょっと複数くださいということで取ってしまいますから、後ほどこれまた議論したいと思いますけれども、代理人が本当に真正な代理人かというところもこういうところで非常に疑義があると私は思っておりますが、いずれにしても、そうやって、要は連帯保証人とか契約者が分からないうちに公正証書が作られて、しかしこれは有効な文書になってしまいますから、それでもう差押えになってしまうと、あるいは強制取立てになってしまうということでありまして。  最初の御質問は、これは民事局長お答えになるんだと思いますが、こういう契約者が、あるいは連帯保証人が認識していない形で作られた公正証書というのは有効なんですか。
  173. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) これは事実がどうかという問題でございますが、仮に、今委員が御指摘になられましたように、その委任状の作成名義人である債務者あるいは連帯保証人御本人が、それはどういう文書であるか、委任状であるかどうか、あるいはどういう形での委任がされているかどうかということについて理解を全く欠く状況で公正証書が作成されたということであれば、その委任状によりまして代理人に代理権を授与したものと見ることはできませんで、したがってそのような委任状というのは基本的には有効とは言えないというふうに考えられております。
  174. 遠山清彦

    遠山清彦君 有効と言えないということでございますが、しかし、まあ現場では、これはもう大臣御存じだと思うんですね、今年の二月十五日でしたかね、衆議院の予算委員会で民主党の中塚委員がかなりこの件で質問しておりまして、私も議事録読んでおりますので。  ただ、これ、民事局長、ちょっと次にお聞きしたいのは、私も二月、今年の二月九日に法務省が出された通達、これ読ませていただきました。その一番最後の「第三 規則第十三条の釈明方法について」という項目のところにも、確かに、まあちょっと私の方で分かりやすくその解釈をして述べますと、この代理人が公証人のところに来て公正証書を作りたい、こちらが委任状ですと言ったときに、委任状の筆跡が同一人のものではないんではないかとか、あるいは委任状の記載がカーボン紙を用いて転写されたものであるような場合には、その結果として無権代理、つまり本当に権限がないのに代理をしているということが疑われるようなときには、この本人に対して、契約者本人に対して委任の意思の確認を書面等で公証人が直接行うなどした上で、委託に応じるか、あるいは拒絶するかということを判断すべきであるって書いてあるんですね。  これ、本当にやっていますか、現場で。これ、通達出る前からやってたのか、通達出た後やれということになって、それ以降本当にこれやっているのかどうか、その点、ちょっと確認をしたいと思います。
  175. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 一般的に申し上げまして、公証人は非常に疑わしい場合は確認をするということを従来からも行ったことがあることは事実でございますけれども、この通達によりまして御指摘のような疑義がある場合には一般的にそのような取扱いをするよう私どもの方で求めたと、こういう趣旨でございます。  しかし、現にカーボン転写というのがあるかどうかでございますが、私どもの今確認した範囲では、最近ではカーボン転写というものは見当たらないと、あるいは筆跡同一というようなことも現実にはないので、通達発出後もこのようなことが現実に適用された例はないわけでございます。ただし、いろんな形での釈明がございまして、印鑑証明書の年齢に比べまして筆跡がどうもこのような年の人が書いたようなものではないというようなケースがないわけではないわけでございます。
  176. 遠山清彦

    遠山清彦君 局長、ないわけではないという御答弁なんですけど、ということは、ちょっと聞きますけど、法務省として、後でちょっと言おうと思ったんですけど、公証人というのは、大臣、国家公務員なんですよ、国家公務員。だから、公証人が作った公正証書に間違いがあったら、それで損害生じたら、国が国家賠償法に基づいて損害賠償しなきゃいけないという重大な行為なんです。ところが、後で指摘しますけど、問題は、公証人は国家公務員といいながら、独立採算の自営業者みたいにしようとしていますから、法務省は余り押さえてないんですよ、実態上。  これ、民事局長、こういう、だから明らかにこの通達に反するような疑わしい状況があって、公証人が本人に本当にあなたは委任したんですかって確認した事例がどれぐらいあるかって調べたことあるんですか、法務省で。それ答えてください。
  177. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) この通達を発するに当たりまして公証人会からは十分事情は伺っております。
  178. 遠山清彦

    遠山清彦君 だから、その事情の中身言ってください。あるのかないのか。
  179. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) そういう事情はございませんでした。おっしゃる御質問の趣旨はカーボン紙を現に転写の形で出したというようなことがあるかどうかでございますが、それはございませんでした。
  180. 遠山清彦

    遠山清彦君 じゃ、カーボン紙じゃなくて、例えば公証、まあいいですよ、じゃ、ちょっとこれ、違います、質問変えます。  公証人が公正証書の作成申請を受理した際に、私は十分な審理をこの代理人の件も含めてまだちゃんと行っていないんだというふうに疑問を持っております。  最初ちょっと数字を、ちょっと質問の観点変えて聞きますけれども、公正証書は平成十五年度で約三十九万六千件作られたと。そのうち金銭消費貸借関係の公正証書はどれぐらい作られたのか、お答えください。
  181. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 平成十五年の公正証書で申し上げますと、全体は御指摘のとおり三十九万六千件でございますが、そのうちの三万七千件、約九%強でございますが、それが消費貸借の公正証書でございます。
  182. 遠山清彦

    遠山清彦君 違うだろう。何言っているの、あなた。局長、意図的にごまかすのやめてくださいよ。残りの五〇%の債務契約のやつあるでしょう。それも言いなさい。
  183. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) はい。  債務確認の公正証書というものは約二十万一千件、五〇%でございます。
  184. 遠山清彦

    遠山清彦君 ですから、合計で、この債務関係も含めて六割の、全体の公正証書の約六割、二十四万件がこの消費貸借と債務の契約の関連の公正証書だというふうに理解をしております。  その、じゃ二十四万件のうちで、例えばさっき私が言及した商工ローンの大手のSFCGが申請した数、分かりますか、お答えください。
  185. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) これは、特定の会社、SFCGがどの程度の公正証書を用いているかということは当局では把握いたしておりません。
  186. 遠山清彦

    遠山清彦君 分かりました。  雑誌の報道等によれば、この会社だけで四万件ぐらいあるというふうに言われておるわけですが、私は、これ何度も申し上げますけれども、公証人制度というのは国家公務員でやっているわけですから、旧建設省所管の入札制度についても具体的な企業名ある程度把握してやっているのに、法務省の方はこういった商工ローンの問題が出てきても余り問題になっている企業についても公正証書の申請数とかについてモニターしていないというのは、私は個人的に問題じゃないかと思いますが、それは指摘だけにとどめておきます。  それで、お聞きしたいのは、これはある雑誌の記事に書かれていた話ですけれども、こういう商工ローンの大手の会社は特定の公証人に公正証書を作る依頼を集中させているのではないかという指摘がございます。その一つの記事によれば、ある公証人は、債務者本人の意思確認は当然しないで、一時間に三十件から四十件ものペースで大量処理をしていたと。一件の処理時間というのは、一時間で三十から四十ですから、二分以下で作っていたんではないかということでございます。  それに対して、昨年九月二十五日に開催された日弁連のシンポジウムで、パネラーとして出席をしておりました日本公証人連合会の樋田理事長は、御発言で、日本で、本人が納得しないとか、ましてや知らない間に公正証書が作成されることは絶対にあり得ない、日本では当事者に対して懇切丁寧に教示をしているというふうに発言をしておりますけれども、にわかに私は信じ難いというふうに思っております。  法務省として、恐らく公証人で扱っている件数に非常に差があるんではないかと思いますが、大量に、余りそれぞれの案件に時間掛けずに処理をしている公証人の存在等について実態を把握しているんでしょうか。
  187. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 御指摘のように、一部の業者が公証人に公正証書の作成を嘱託する場合に特定の者に嘱託を集中して行うという例があるということはこちらの方でも承知をいたしております。  これは、事務の効率上、近くの公証役場にあるというところが主たる原因であろうかというふうに思っておりますが、そうであっても、公証人は、公正証書の作成を始めといたしまして国の事務である公証事務を取り扱う者といたしまして、当然のことながら公正にその職務を行わなければならないわけでございまして、特定の者からの嘱託が多いということがあっても、その審査が甘くなってしまうということは、これはもう絶対に許されないことでございます。私どもの方でも、公証人の関係者に様々な御意見を伺い、あるいは事情を伺っておりますけれども、一時間で三十件というような公正証書を作成するということはおよそ困難なことであって、ないというように伺っております。  もっとも、その点はともかくといたしまして、債務者の意思に基づかない公正証書が作成されるという指摘があるということは、これは重大に考えなければいけないことでありまして、私どもといたしましても、個々の公証人が適正に事務を処理するように十分な指導監督を今後も行ってまいりたいと考えております。
  188. 遠山清彦

    遠山清彦君 ところで、先ほど来私申し上げておりますが、公証人の法的身分は法務大臣が任命をする国家公務員であるということであると思いますけれども、他方で、事業形態面から見ると手数料収入による独立採算の事業者というふうに見てもいいかと思いますが、これで間違いないでしょうか。
  189. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) おっしゃるとおり、公証人は国家公務員法上の国家公務員ではございませんけれども法務大臣が任命する個別の法令において公務員と規定されている者の中に法令の解釈上含まれる、そういう立場にございます。したがいまして、実質的には国家公務員に当たるというふうに解されております。  そして、御指摘のとおり、嘱託人から手数料を受けて職務を行うということにされているわけでございます。
  190. 遠山清彦

    遠山清彦君 公正証書作成の手数料はお幾らに設定されているのか、お答えをいただきたいと思います。
  191. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 公証人は職務の執行について嘱託人から手数料等を受けることとされておりますが、その額は政令の定めるところによるものとされておりまして、これ以外の報酬は名目のいかんを問わず受け取ることができないということでございます。  具体的に申し上げますと、公正証書作成の手数料の額は目的の価額に応じて定まるということになっておりまして、例えば消費貸借契約の目的が百万円以下であれば五千円、一千万円以下であれば一万七千円というように定められているわけでございます。
  192. 遠山清彦

    遠山清彦君 それで、全国に公証人は、法務省に伺ったら、今五百十六人おるということでございますけれども、この公証人の全国の平均の年間売上げはどの程度なのか、お答えをいただきたいと思います。
  193. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 公証人の平均での手数料収入は月額約二百七十万円程度でございます。
  194. 遠山清彦

    遠山清彦君 年収は。
  195. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 年額に直しますと三千三百万円程度ということになります。
  196. 遠山清彦

    遠山清彦君 実はこの公正証書を作っている公証人は売上げが平均で三千三百万円というかなり高額の収入が得られる職になっております。国家公務員でありますが、そういうことになっていると。  法務大臣が任命をするということになっておりますが、私、一点だけちょっと次の質問を聞く前に指摘をしておきたいのは、何度も言いますように、この公証人というのは国家公務員でありますから、職務の遂行で生じた損害は、国家賠償法上、国の責任とされるわけでありまして、公証人個人に賠償義務は生じないわけでございます。法務省は、ということであれば、公証人に対しては厳しく監督すべき立場にあるんですけれども、一方で独立採算の事業者という面もあって、十分な指導監督ができているのかどうか、私は懸念を持っております。  ここでお伺いをいたしますけれども、公証人の任命手続というのはどのようになっているんでしょうか。
  197. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 公証人は公証人となり得る十分な能力を有する者から選ばれております。具体的には、私どもの方で公証人審査会がございまして、その審査会に対しまして候補者名簿を提出し、その結果に基づきまして任命されるわけでございます。現実には法曹有資格者の中から選ばれているのが通例でございます。
  198. 遠山清彦

    遠山清彦君 ちょっとこれ通告していませんけれども、済みません、先ほどの質問にちょっと関連で戻るんですが、平均で三千三百万の売上げですけれども、一億を超える売上げをされている公証人の方いますか。
  199. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 売上げベースで申し上げますと一億円を超える者もおります。
  200. 遠山清彦

    遠山清彦君 それで、平均三千三百万の売上げで、多い人は億単位の売上げを年間上げているというこの公証人ですが、今、法曹経験があって法曹資格がある方とか、いろいろ局長おっしゃっていましたけれども、これは公証人法という法律がございまして、これはたしか一九〇八年に施行された古い法律でございますが、よろしいですか、この法律を見ますと、第十三条は、裁判官とか検察官とか弁護士の資格を有している者は試験をしなくても任命されると。第十三条ノ二では、いわゆる司法試験受かっていない人の中でも法務に長い間携わった人、つまり法務省OB、裁判所事務官OBなどは任命できると書いてあるんですね。  ただ、その前に、民事局長、第十二条で試験をやって採用することもある、任命することもあると書かれているんですが、この試験はいつ始まりましたか。
  201. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 第十二条の試験はいたしておりません。
  202. 遠山清彦

    遠山清彦君 じゃ、二〇〇二年に初めてやった試験というのは何ですか。
  203. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) これは、先ほど申しましたように、法曹有資格者以外にも、これに準ずる方々に対しまして公募制度が取れるという仕組みになっておりまして、これについて、その手続中で試験を実施することにいたしたわけでございます。公証人法によりまして……
  204. 遠山清彦

    遠山清彦君 じゃ、第何条に基づいた試験なの、その二〇〇二年の試験は、二〇〇二年から始まったのは。
  205. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 公証人法の十三条ノ二の規定でございます。
  206. 遠山清彦

    遠山清彦君 済みません、私の方でちょっと事実誤認があったようなので訂正をいたしますけれども、ちょっと聞いていただきたいんですが、委員会の皆さんにも聞いていただきたいんです。  一九〇八年に施行された法律の第十三条ノ二に基づく公証人を公募して一般から採る試験が最初に始まったのは二〇〇二年なんですね。九十五年間一回も試験やっていない。じゃ、試験やっていない間だれが公証人に任命されたかというのは、今構成されている公証人の前職を聞けばすぐ分かるんですが、民事局長、答えてください。五百十六人の公証人のうち前職、どういう仕事をしていたか、出身別内訳でお答えください。
  207. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 今年の三月二十五日現在で申し上げますと、トータルで五百十六名、先ほど御指摘にありましたように、公証人がおりますが、裁判官の出身者が百四十六名、約二八%、検察官の出身者が二百十七名、約四二%、法務事務官その他の出身者が百五十三名、約三〇%でございます。
  208. 遠山清彦

    遠山清彦君 つまり、総数五百十六のうち、元判事百四十六、元検事二百十七、元法務事務官等百五十三。  民間出身者、民間の弁護士出身者、この中で一人でもおりますか。
  209. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 純然たる民間出身者はございません。
  210. 遠山清彦

    遠山清彦君 つまり、これはもう私が申すまでもなく、一部のメディアで指摘されておりますが、この公証人という国家公務員で法務大臣が任命する、しかし売上げは年間一億円以上の人もいるし、平均でも三千三百万円という職は、司法関係の方々、しかも公の仕事出身者しかなっていない。法律で民間からも公募できる規定が一九〇八年からありながら、二〇〇二年まで一度もやっていなかったわけでございます。  ちなみに、二〇〇二年から試験やっていますから、二〇〇二年、二〇〇三年、二〇〇四年と実施したと思いますけれども民間からの応募者はそれぞれの年度何名で、任命者はいたのかどうか、お答えください。
  211. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 平成十四年度から、御指摘のように、公募制度を開始いたしまして、これまでの間九十五名の公証人を任命いたしましたけれども、残念ながらいわゆる民間出身者を公証人に任命した実績はございません。
  212. 遠山清彦

    遠山清彦君 二つお聞きします、その試験について。まず、法務省が実施をしているこの公証人の公募試験でございますが、選考基準とか試験の中身について公表しているかどうか。それからもう一つは、民間人受けたけれども採用になっていない、残念だということでありますが、理由は何だったんでしょうか。二つお答えください。
  213. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 試験結果がどのようなものであるかの公表はいたしておりません。  実際にこの試験をいたしていたわけでございますけれども、この試験の中身に対しまして、残念ながらこの応募された方の基準が、基準に達しなかったということが理由でございます。
  214. 遠山清彦

    遠山清彦君 大臣、南野大臣、これ公証人の試験始めたんです。九十五年たって初めて試験した。これ自体大問題なんですが、試験を始めたということを評価したとしても、今度は選考基準も明らかじゃない、試験の中身も明らかじゃない。私が聞いたところによりますと、受けた民間人の方は学識不足で不採用になっておるようなんですね。  じゃ、今五百十二名、以前はもうちょっと多かったみたいですけれども、公証人は学識豊かで法曹経験豊かな方々ばっかりだということになるわけでありますけれども、実は法務省がまとめた平成十五年公証役場検閲報告書というのがございます。このときは公証人が五百五十二名全国でいたそうなんですけれども、何とこの五百五十二名の公証人のうち五九・四%に当たる三百二十八人が何らかのミスを公正証書作成に関して犯したと。例えば、債権額の額面を間違えたとか、あるいは利息制限法違反の額面を書いたとか。  これ、民事局長、おかしくありませんか。学識不足で民間人だれも採用しませんよと言ってて、学識不足じゃない人たちが六割もミスを犯しているんじゃないですか。これはどういうふうに解釈しているんですか。
  215. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 私どもといたしましても、大変残念な結果でございます。  公証人の監督事務は全国の法務局、地方法務局で行ってございますが、年一回、すべての公証人につきまして、職員を公証役場に派遣して、書類の検閲等をし、調査をいたして、そして職務上の過誤あるときは法務局長から公証人に対して指摘をすることにいたしておりますが、先ほど御指摘のとおり、相当数の指摘すべき事項があったということでございます。  公証人制度というのは、やはり公証人の信用というのが非常に制度上のポイントでございますので、このようなことでは国民の信頼を得られないと、私どもも極めてこの結果を重視しているところでございます。  指摘すべき過誤というのはいずれも運用上の問題でございますので、慎重な職務の遂行、適正な職務の遂行によって防止することができるものでございます。そのように、法務省としては適正な公証事務が行われるよう、今後とも公証人に対して厳正な指導監督にあらゆる機会を通じて努めてまいりたいと思っております。
  216. 遠山清彦

    遠山清彦君 法務大臣、最後にまとめてお伺いをしますけれども、今のやり取りをお聞きになってもかなり御理解をいただけたと私は信じております。  つまり、この公証人は公正証書という裁判における確定判決と同じような効力を持つ書類を作る制度でございます。しかし、その公証人、前職は裁判所の元判事、元検事、法務省のOBのみでずっと百年近くやってきた。そして、この公正証書が、まあ今はカーボンコピーとかやってないと言ってますけれども、間違いなく数年前まで悪用されて、だれに悪用されたか、商工ローンですよ。そして、一般庶民がだまされて、もう詐欺にかなり近いような形で強制的に給与差し押さえられたり財産差し押さえられたりしてきたわけであります。  で、戻りますけれども、じゃこの公証人というのは、法務大臣が御任命になった国家公務員、学識豊かで法曹経験豊かである。あのドイツの公証人制度をモデルに日本の公証人制度、二十世紀冒頭つくられたんですが、ドイツでは公証人の平均年齢三十五歳と言われているんですね。日本では、もうみんなこういう経歴ですから、仕上がった人たちですから、平均年齢大体六十歳でなるんです。で、六十歳から大体六年から十年間、七十歳近くまでやるんです。年収三千三百万、一億超える人もいる。それで、この制度が悪用されて商工ローン取立てに使われていると。じゃ二〇〇二年から試験やって民間人採用しましょうねと公募したけど、一人もまだ採用もしていないと。非常に閉鎖的で、しかも法務省のOB入っているわけですから、それは、指導監督厳しくやります、残念です、遺憾ですと幾ら並べても、本当にやっているんですかという疑念は、申し訳ないけどぬぐえないです。  ですから、法務大臣、副大臣、政務官、そちらお座りですけど、今日、本当に政治家のリーダーシップでこれ改善していかないと、私は、先ほど局長がおっしゃっていた国民の信頼回復するなんていうのはできないと言わざるを得ません。ですので、是非いろいろやっていただきたい。公証人の選考基準とか試験内容を透明化していただきたい。それから、これは能力のある民間人が試験受けてこなければなかなかできないことでありますけれども民間人の血を入れていただきたい、公証人制度の中に。  また、フランスやドイツの制度、先ほどドイツの制度を申し上げましたけれども、日本がモデルにした制度でございますが、そういったところの制度は、私もにわか勉強でございますけれども、債権者よりも債務者の利益により配慮をした制度になっていて、この公正証書の意味とか債務契約の意味について非常に丁寧に公証人が契約者本人に説明をしているということを聞いておりますので、そういうふうに変わったという声が国民の間から起こるような改善策を、改善措置をとっていただきたいと思いますけれども、御答弁願います。
  217. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 南野法務大臣
  218. 富田茂之

    大臣政務官(富田茂之君) 済みません、委員長
  219. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 質問者に伺いますが、どなた。  それでは、富田法務大臣政務官
  220. 富田茂之

    大臣政務官(富田茂之君) ちょっと大臣の答弁の前に、御質問の中で前提事実に欠けている部分、誤解されている部分があると思いますので私の方から説明させていただきたいんですが、先ほど年収三千三百万というふうにおっしゃりましたけれども、売上げですので、この中から事務所の賃料とか事務員さんの給料等全部出ます。そういう意味では決して三千三百万円が高いというふうには、私も弁護士出身ですので、そうは思いません。一億円を売り上げている事務所というのは基本的に東京のかなり賃料も高いような事務所ですので、そういう点をまず御理解いただきたい。  もう一点は、国賠法上責任を負わないというふうにおっしゃられましたけれども、第一条二項で重過失がある場合には責任を負うふうになっていますので、そういう意味で、民間人の方に、登用した場合にこういう責任もきちんと負うんだという前提が必要になります。  委員おっしゃるように、民間の血を入れるべきだ、また試験の透明性等はもう大事なことだと思いますし、そういった面は政治主導でこれから取り組んでいかなきゃいけない問題だと思います。  あとはもう大臣の方にお任せします。
  221. 遠山清彦

    遠山清彦君 政務官、ありがとうございました。私、ちょっと年収と言ったのは、私の先ほどちょっと間違いで、売上げに訂正をしたいと思いますが。  じゃ、その重過失ということでございますが、先ほど法務省が検閲報告書を出して、三百人以上の人がミスを犯したのは罰せられないんですか。ほとんど罰せられたことないと思いますよ、公証人は。
  222. 寺田逸郎

    政府参考人(寺田逸郎君) 国賠法上、公証人が重過失でもって求償をされた例というのは私ども承知しておりません。
  223. 遠山清彦

    遠山清彦君 政務官のおっしゃる趣旨は理解しますが、実際には罰せられた例はないんですよね、過去に一度も。ですから、それでいてミスはこうやって指摘をされておるわけです。それは法務省の調査で指摘されているわけですから、私はこれは弁解の余地ないと思います、申し訳ないですけれども。で、売上げの、事務所の事務費等についての御説明はそのまま了解をいたします。  じゃ、大臣、お答えください。
  224. 南野知惠子

    国務大臣南野知惠子君) 私も申し上げたかったのは今政務官がお話しになられた二点でございます。そのことについては御了解いただけたというふうに思っております。  公証人の問題につきましてはDV法の関係でも我々活用させていただいておりますし、今はもう扶養手当の問題についても多くの利用者がいるというふうなことも聞いていますので活躍はしていただいていると思いますが、先ほど言いましたように、一般の方がなかなか応募できない、それはやっぱりその人の稼ぎが三千三百万では多分難しいのであろうと。それは、人も雇わなければいけませんから、そういうような形でする場合、事務所も借りなければいけない、そういうようないろいろな問題点がそこにあろうかというふうに思っておりますが、先ほど、不透明な部分についてはしっかり勉強してみたいと思っております。
  225. 遠山清彦

    遠山清彦君 大臣、私は何もすべての公証人が悪者だとか言うつもりは全くございませんし、公証人制度そのものを否定する気も全くございません。  ただ、いわゆる、本来は法務大臣が任命をして国家公務員という立場で、本当に正にその公正証書という名前のとおりですが、公正な立場で間違いなくそういった法的効力の強い文書を作らなければいけない立場にある方々が、ちょっと売上高だけを強調するのは余りいい方法ではないかもしれませんけれども、しかしながら、それだけの高収入というか高売上げがあるということは、それだけ難しい専門的なお仕事をされている、大事なお仕事されている証左でもあると思うんです、私は。そういう方々が法務省の内部調査でミスは六割見付かるわ、あるいは商工ローンの取立てとの絡みで、契約者本人、連帯保証人本人が全く分からないうちに公正証書が作られて送られてきて財産差し押さえられるという事件が多発をして裁判所に訴えが続いたということにかんがみて、やはり法務省として強い指導監督をしていただきたいということなんです。その趣旨を御理解をいただきたいということを最後に強く申し述べたいと思います。答弁は要りません。  済みません、国土交通省さんに通告をしていたんですが、一点だけ国土交通省さんにお聞きをしたいことがございます。入札参加の資格の申請についてなんですけれども、現在、国においても地方公共団体においても、入札参加資格の申請を二年に一回企業は提出をしなければならないわけでございます。ところが、国の事業と地方自治体の事業で、様式が統一されているところも一部ありますけれども、大体統一されておらないというふうに理解をしております。そのため、独自の様式を各自治体で採用しておりますので、提出書類が企業側にとっては非常にまちまちであると。そのために、会社によっては社内に五名から六名ぐらいのチームを一つつくって、約一か月ぐらい、この入札参加資格を取るための申請書類作るためだけに人を割いて、またお金も割いてやっているということなんですね。  そこで、国土交通省として、各都道府県ごとにこの統一様式の作成を促したり、あるいは国の入札では既に使われております中央公共工事契約制度運用連絡協議会の統一様式をなるべく普及をするようなことは考えていらっしゃらないんでしょうか。その点だけお答えください。
  226. 峰久幸義

    政府参考人峰久幸義君) 公共工事の競争参加の資格については、会計法令上、各発注者が一応決めるようになっております。そういう中で、それぞれの工事によりまして、発注する主体によりまして工事内容も違うものですから、おっしゃるように申請内容が随分変わってきております。そういう中で、国の方においては、今おっしゃられましたような中央公共工事契約制度運用連絡会議ということで関係者が集まりまして、やはり事務処理の迅速化、それと申請者の負担の軽減の観点から、統一的な申請様式に変えてきております。  それと同時に、特に最近におきましては電子化を促進しておりまして、それでインターネットによる一元受付を行っておりまして、例えば十七年度、十八年度の競争参加資格審査におきましては、国の機関等では二十四機関が参加しておりまして、例えば、近畿地方整備局に窓口になってもらっていますが、そこにデータを送れば各、他の省庁含めましてデータが送信されるということ、それと同時に、過去の工事の完成工事高を一つの様式例、インターネットで流しますと、それが各発注機関ごとに工事に求められる種類は違うわけですが、それが自動的に振り分けられる、こういう形で窓口の一元化あるいは様式の統一化あるいは簡素化が行われております。  一方、おっしゃられましたように、公共団体のところについても、これは基本的にはやはり地方公共団体が地方自治法等によりまして責任を持って定めるべきものとなっておりますので、我々がその指導する立場にはなかなかならないのでございますけれども、しかし例えば、おっしゃられましたように、県と市町村が連携しまして統一の様式化を図る、そういうような取組は可能でございますし、それから国土交通省としても我々が行っております先ほどのような取組を、これは国同士の発注関係者の連絡会議だけじゃなくて地方とも連絡会議をやっておりますので、発注者としての連絡会議でございますが、こういう、これは地方公契連と呼んでおりますけれども、こういう場で国の取組を、申請手続の簡素化の観点から紹介などして、国の手続の簡素化を努めているところでございます。
  227. 遠山清彦

    遠山清彦君 終わります。
  228. 小林美恵子

    小林美恵子君 日本共産党の小林美恵子でございます。  今日、私は関空二期事業問題について質問させていただきます。  国土交通大臣と財務大臣が二〇〇二年十二月の合意で行った内容は、二期事業について今後の需要動向や会社の経営状況などを見つつ行うというふうにしていたと思います。しかし、昨年十二月の北側大臣、谷垣大臣の両大臣合意では、二本目の滑走路の供用に踏み出したものだと言わざるを得ないというふうに思います。  そこで、お聞きしたいと思いますけれども、需要動向について、どういうふうな認識、判断をされたのでしょうか、大臣にお伺いします。
  229. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 今委員の御指摘のように、二〇〇二年の大臣合意で、「供用開始に必要な施設整備については、今後の需要動向や会社の経営状況等を見つつ行う。」というふうに、これは塩川前財務大臣と扇前大臣との間でこのように合意をされました。  それで、昨年末、この関空の二期事業につきまして議論をした際に、当然その需要動向について検討したわけでございます。精査を行いました。  具体的には、関西国際空港の需要予測につきましては、国際線について順調に回復をしている、それから、関西圏における伊丹、神戸空港の役割分担を明確化をしたことに伴う伊丹空港の運用見直しを行わしていただきまして、関西国際空港へシフトすると、さらには、新規航空会社でございますスカイマーク社の羽田―関空便が就航する等の要因、こちらはプラスの要因でございますが、一方、中部国際空港や神戸空港の供用開始による影響がどのようになるのか、こうしたことも考慮いたしまして精査をいたしたところでございます。  その結果、二〇〇七年度には二本目の滑走路を必要とする十三万回程度、二〇〇八年度には十三・五万回程度の総発着回数に達するというふうに見込みまして、これを踏まえ、二〇〇七年限定供用を開始というふうに判断をしたところでございます。  ちなみに、私、昨日も関西空港で会議を持たしていただいたわけで、関係者に集まっていただきまして、そのときに関西空港株式会社からも報告を受けましたが、二〇〇五年の夏ダイヤ、今年の夏ダイヤでございますが、便数では過去最高でございます。週当たり七百十二便でございますし、また、この冬ダイヤにつきましても同様、六百八十便、ともに週でございますが、これも過去最高でございまして、非常にテロの影響、それからSARSの影響等も脱して非常に堅調な状況になっているということでございます。  平成十七年度の関西国際空港の総発着回数は、私どもが需要予測していますとおり十一万回半ば程度になるものというふうに考えております。
  230. 小林美恵子

    小林美恵子君 更にお聞きしたいと思いますけれども、昨年の本委員会で関西空港についての要請決議として、需要予測と実績の乖離が年々拡大しており、また、その収益目標も達成できないことは看過できないと、中を飛ばしまして、関西国際空港の精度の高い需要予測に基づき、関西国際空港二期事業の在り方を含め、関西三空港の機能分担と連携について改めて検討すべきであると全会一致して採択をしました。この決議に対する政府の検討というのは、先ほどの御答弁の内容と同じということでしょうか。
  231. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 同様でございます。  三空港の役割分担につきましても、昨年の予算編成過程の中で、伊丹空港、そして神戸空港、そして関西空港の役割分担について議論をし、明確にさせていただきました。伊丹はやはり、これは環境調和型の空港としていかねばなりません。そういう意味でジェット枠の縮減等の見直しを行わせていただきました。その上で、関空は国際拠点空港、伊丹は国内基幹空港、神戸は地方空港という形で、三空港の役割分担を明らかにしたところでございます。
  232. 小林美恵子

    小林美恵子君 その伊丹の空港についてでございますけれども、昨年の両大臣合意を見ますと、伊丹空港について、先ほど大臣は環境調和型とおっしゃいましたけれども、その費用について、二〇〇五年度から十五年間で六百三十七億円以内にするとともに、利用者負担とするとありますけれども、それ確認ですけれども、いいですか。
  233. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) はい、そのとおりでございます。
  234. 小林美恵子

    小林美恵子君 私はこの伊丹空港、つまり大阪国際空港は、関空いかんにかかわらず、原点は公害対策であったというふうに思います。国として環境基準の達成に責任を持って、安全・公害対策を第一義的にすべきであって、その負担を利用者にするということはもってのほかだということをここで御指摘を申し上げたいというふうに思います。  では、関西国際空港の需要動向について引き続いてお聞きしますけれども、先ほど大臣、御答弁ございました二〇〇七年度十三万回、二〇〇八年度十三・五万回程度としてということで、さらにこの両大臣合意には、集客・利用促進・就航促進に向けた更なる努力を行うとあります。  しかし、先ほど御答弁もありましたけれども、この間では二〇〇三年の十万回の最低ラインから上向きになったというだけで、これから私は、先ほどのお話を聞いても、目標とする推計にどんな根拠があるのかということを申し上げたいと思うんですね。しかも、滑走路処理能力も年間十六万回としていたものを十三万三千回に変更して、二〇〇七年度に十三万回と予測して、二本目の滑走路が必要ということで変更したものじゃないかというふうに思うんです。  改めて、こうした両大臣合意の需要予測の、この努力ではなくて、その根拠というのをもう一度お示しいただけるでしょうか。
  235. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) ちなみに、成田空港も今暫定平行路、平行滑走路が供用されているわけでございますが、その際も、その供用前の発着回数、一本だけのときですね、これは年間十三・三万回だったわけですね。それと同じ程度の発着回数にこの二〇〇七年度には達するというふうに見込んで、二〇〇七年に二期事業、供用するということにしたわけでございます。
  236. 小林美恵子

    小林美恵子君 成田の場合と対照にするというのは、余りにもおかしな話だというふうに私は思います。  それで、先ほどの答弁から伊丹の運用の見直しとかスカイマークの就航の話がございました。ここで私はちょっとお聞きしたいと思いますけれども、便は政治的に動かしても、利用客が来るかどうかというのはやっぱり問題だというふうに思います。  そこで、資料を配っていただけるでしょうか。    〔資料配付〕
  237. 小林美恵子

    小林美恵子君 お手元におっつけ資料が行くと思いますけれども、これは日経リサーチが行ったアンケート調査で、全国十八歳以上の千六百七十人から回答を得たものです。それで、昨年の十二月十三日、大阪の日経夕刊に報道されたもので、それを基に作成をしました。これでいきますと、羽田発のビジネス客にとりますと、伊丹から関空に便が移された場合との問いに対して、関空を使うと答えた方が二一・四%、新幹線にするという方が七四・三%です。  大臣は当然こういうことは御認識されていると思いますけれども、こういうことについてどういうふうに掌握されて、認識されているのでしょうか。
  238. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 伊丹空港でございますが、現在、騒音問題がございまして、三百七十回、百八十五便の発着枠がございます。そのうち、今までジェット機を二百五十回、百二十五便飛ばしてもらっても結構ですと、こういうことを言っておったわけでございます。今回、伊丹空港を環境調和型にするということで私ども言っておりますのは、すべてのジェット機を伊丹空港からやめてくれと、こういうことではございませんで、ジェット機二百五十回、百二十五便を二百回、百便に減らしてください、これを三年間で段階的に減らしてくださいと、このように申し上げているところでございます。したがいまして、伊丹から発着、繰り返しになりますけれども、伊丹から出てくる国内便をすべてやめてくれと、こう言っているわけではございません。  どの便をやめるかというのは、これはエアラインの判断でございますけれども、私どもとしても、伊丹の利便性を考えますと、北海道あるいは沖縄等の遠距離便を関西空港のユースということを考えてください、このように申し上げているところでございます。
  239. 小林美恵子

    小林美恵子君 私がお聞きした関係者の意見も、では紹介をしたいというふうに思います。  この四月から伊丹から関空へ六便が移されたJALの担当者がおっしゃっていましたけれども、お客様の利便性最優先の立場から検討するが、国内線の航空事情はダイヤが重要であり、それが悪ければお客も減る、状況をよく見て適切に対応する、政府の言いなりになるものではないというふうなお答えでした。またさらに、ANAの担当者の方は国の航空政策にコメントできないとしつつも、政府の要請に対しては航空会社としての営業第一で対応する姿勢だと。容易に政府が思うように進まないことを私はここにやっぱり示されているというふうに思います。  そこで私はお聞きしたいと思いますけれども、関空会社、国交省として、この両大臣が合意する前提として、こういう利用者の調査などはされたのでしょうか。いかがでしょう。
  240. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 私ども、やっぱり伊丹空港利用者の利便ももちろんございますけれども、また環境対策というのもきっちりやっていかなきゃいけないと思っております。そのために少々制約を掛けるということはやむを得ないものだと思っております。  今先生のおっしゃったようなことにつきましては、私どもエアラインからもそうしたことは聞いておりますけれども、しかし、伊丹空港というのを、利用者の利便と環境の制約と、環境調和型というのをうまくバランスを取っていかなきゃいけないと、このように思っておりまして、繰り返しになりますけれども、ジェットの発着枠を制限をすると、このようにさしていただいたところでございます。
  241. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、伊丹空港のその問題について言っているわけじゃないんですよ。そのことによって関空にシフトされて、でも空港会社の方々はそううまくはいかないですよということを指摘していますよということを申し上げたわけですね。  それで、調査されているのですかというふうな質問だったんですけれども、調査はしていないわけですよね、国交省も関空会社も、そうですね。
  242. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 私どもとして、直接に利用者の意向調査したことはございません。
  243. 小林美恵子

    小林美恵子君 私は、そういう利用客の動向について調査もしないでどうして二本目の滑走路を供用開始ができるのかということを申し上げたいというふうに思うんです。  それで、ここで私は会計検査院長にお伺いをしたいと思います。  会計検査院は、二〇〇〇年の検査報告の中で、この文書がございますけれども、特定検査対象とした関空会社の検査状況を公表されています。所見も出されました。その中で、開港初年度の航空輸送の程度や需要の伸びを大きく見込むなど、結果、実績はそれをはるかに下回るものとなっていると。経営予測では経営成績の実績が予測を下回っていて、単年度の黒字化の経営上の目標は達成できないということが指摘をされています。  私は、この指摘をベースにして、会計検査院長として、今政府は九十億円もの利子補給も二〇〇三年度から投入し出しましたけれども、その点について、関空の過大見積りについて、それが与える影響とか是正のための方策、適正な見積りについてどうお考えか、お聞きしたいと思います。
  244. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) お答えいたします。  十二年度決算検査報告で会計検査院は、この関空会社の需要予測、それから経営予測についてなお一層の精度の向上を図って適切な事業運営を行うことが望まれるということを掲記いたしました。会計検査院は、そのことにその後も関心を持ってフォローアップの検査を行ってきているところでございます。  関西空港の二期事業につきましては、用地造成が行われ、これから平行滑走路等の整備が行われてまいります。それから、利子補給も行われるということになっております。会計検査院といたしましては、このような状況を念頭に置きながら、その事業の執行、その結果について検査をしております。本件二期事業につきましても、その事業執行状況について検査をすることとし、需要予測や経営予測については将来それらの実績値と対比するなどして検査をすることとしていきたいというふうに考えているところでございます。
  245. 小林美恵子

    小林美恵子君 では、今の会計検査院のお話を聞いて、国土交通大臣、北側大臣にお聞きしますけれども、この検査報告に対して、国交省はちょうど昨年の本委員会の理事会でその見解と対応という文書が出されました。その中に、需要予測の精度の向上についての手法の見直しでありますとか、また予測時点においてその後の経済成長率を正確に予測することは困難であり、特に先の時点になるにつれて乖離が発生する、その可能性も大きくなると。さらに、他の交通機関との競合関係、近接空港との競合関係などを考慮するというような文言があります。  この点は国交省の今の基本的立場だと理解していいですか。いかがですか。
  246. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) さきの指摘を受けまして、私どもも、二〇〇三年十月にやりました社会資本整備計画で需要予測をやりましたけれども、その精度を向上させるべく手法の見直しを行っております。  従来の需要予測モデルでは海外の経済状況の変化を反映できない、こういうことがございましたので、今回はアジアあるいは欧米の経済成長率を勘案できるモデルと、このように構築をしております。近隣空港や鉄道以外の交通機関の影響は考慮できないと、こういう問題点もございます。  今回の関西圏の空港の問題では、関空にとっての伊丹空港、あるいは中部国際空港などの近隣空港との影響を考慮したモデルにしております。それから、鉄道のほか、自動車や高速バスとの競合も考慮しております。地域の区分なぞにつきましても、より厳密化するために、国内の地域区分を百六十区域から二百十四地域、あるいは海外の地域区分を細分化すると、このようなことでモデルの精度を向上させているところでございます。
  247. 小林美恵子

    小林美恵子君 要するに、基本は、この見解、対応が基本だっていうのは間違いないですよね。そうですよね。  それで、それからいきますと、私は、今申し上げましたけれども、利用客のアンケート状況や空港会社の意見を紹介しましたけれども、そういうことを踏まえますと、それも、しかも会計検査院の指摘を受けた今の国交省の立場、見解を受けましても、両大臣が昨年合意をした供用開始に踏み切ったというのは、こういう立場からも私は大変矛盾をして乖離をしているものだということを指摘をせざるを得ないというふうに思います。  そこで、最後に会計検査院長にお聞きをしたいと思います。  こうした、何といいますか、根拠のないといいますか、努力でしかない両大臣の合意の需要の予測で九十億円もの利子補給金が投入されていきます。二〇〇七年度の供用開始に向けて関空二期事業が正に推進されようとしているわけですけれども、これまでの需要、経営状況からいって、本当に重大だと思います。  それで、二〇〇〇年度の特定検査が行われたように、今、関空会社にして特別な検査をして国民に公表することが求められている時期ではないでしょうか。いかがですか。
  248. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) 会計検査院といたしましては、そのような事業が有効なものになって推進されていくのかどうかについて検査に当たっているわけでございますけれども、会計検査院の立場といたしまして、事業の執行、その結果を基に判断をしてまいるところでございます。  需要予測や経営予測については、将来、それらの実績値と対比するなどして十分検査をしていきたいというふうに考えております。
  249. 小林美恵子

    小林美恵子君 結果を基にとおっしゃいましたけれども、これは今後のことではないと思います。既に二〇〇〇年の検査からいいますと、もう四年間たっているわけですね。その間、何度も言いますけれども、累積損失というのは二〇〇〇年度は一千七百二十九億四千五百万円、それで二〇〇三年度でいきますと二千二百四十九億六千七百万円と、その損失は増え続けています。放置するのなら、私は国民と、また関西、地元の大阪府民にもやっぱり大きな負担を将来に強いるということになります。  その点で、やっぱり改めて会計検査院として国民に公表ができる検査が必要ではないかというふうに思うんですけれども、もう一度確認をして、私の質問を終わります。
  250. 森下伸昭

    会計検査院長(森下伸昭君) この関空事業の実施状況については、強い関心を持っております。したがいまして、いろんな面からの検査をこれからも進めていきたいというふうに思います。
  251. 小林美恵子

    小林美恵子君 ありがとうございました。
  252. 又市征治

    ○又市征治君 社民党の又市です。  私は、特別会計の改革について一貫して取り上げてまいったわけですが、一昨年十一月、財政審の小委員会の答申が出まして、財務省もようやく昨年から改革に乗り出しておりますけれども、量的にはまだ微々たるものだと、こう言わざるを得ないわけです。  そうした中で、小泉総理があれだけラッパを吹いた道路関係四公団の改革も、私たちから見れば竜頭蛇尾に終わった、こう言わざるを得ないわけですが、今年の予算でも、公共事業は表面の金額は抑制をしても、構造的には計画レベルも含めてやはり大盤振る舞いが続いているんではないか、こう思います。今ほども出ました関西空港の第二期工事が正にその典型だろうと思うわけです。  そこで、今日はこの五大公共事業特別会計の一つである空港整備特別会計について質問をしたいと思うわけです。  この特別会計は、二〇〇三年度決算では歳入が五千五十五億円でありまして、一般会計からの繰入れが二種類あって、航空機燃料税から八百六十四億円、純粋一般財源が九百二十三億円となっています。なお、借入金残高は依然九千七百億円余り、大変巨額でありまして、事業関係の特会のうち実質三番目ぐらいに多い、こういう実情にあると思います。  支出で見逃せないのが今ほど出ました関西空港会社への出資金二百六十六億円、同じく補給金の九十億円なわけですが、この部分は以前は成田空港会社へ、そしてまた今後は中部会社へ出資金であるとか補給金という形でずっと連続している、こういう実態にあるわけで、また投資による借金が多いから、当然に国債の償還も一千五十二億円で、この特会歳出の二二%を占めると、大変高い比率を占めているわけです。  空港造りの財政というのは道路整備と同様で、プール制で行われていることが空港の乱造と赤字共倒れをもたらしているという、こういう意見が、あの例の有名な猪瀬さんを始め、多く聞かれるわけであります。ただ、私は、過疎地の空港がすべて採算可能でなければならないとはもちろん思いません。むしろ、過疎地住民の交通アクセス権、これを確保するために公費助成してでも存続すべきものはある、こんなふうに思うわけですが、しかし今出された関空二期工事と伊丹と神戸新空港計画、これは来年の春開港予定だというふうにお聞きをしますが、この関係は私は完全に、この院の中でも随分と指摘がありますように、重複であり過剰投資だ、こう言わざるを得ないわけです。  そこで、質問に移りますけれども、例えば、今ほども出ていましたが、私、それを含めて、もう一歩突っ込んでお聞きをしますが、例えば関空の予測は四年後に一・四倍ということですけれども、これが本当に実現するというふうにあなた方は見ておられるのかどうか。これがまず第一点。第二点目に、仮に関空だけ一・四倍というのが増えたとしても、伊丹と神戸新空港と合算した場合の見通しは一体どうなのか。これが二点目。三点目に、伊丹の存続は地元の要望だというわけですけれども、では騒音・環境対策費は削っていくという考え方なのか。元々は関空そのものが、伊丹の公害対策上沖合に造るんだ、伊丹は閉鎖するということの考えでスタートした、こう思っているわけですが、そうすると、この騒音・環境対策費というのは削っていくという考え方なのかどうか。四番目に、また成田の拡張であるとか羽田の国際線枠新設で関空は国際線需要を奪われる、これはいろんな専門家たちが言っていますね。それは見込んでいるのかどうか。それでもなおかつ一・四倍というふうになるのかどうか。  以上について簡潔、明快にお答えください。
  253. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) まず、一点目の関西国際空港の需要予測でございますけれども、先ほど大臣が答弁させていただきましたとおり、国際線の順調な回復、それから関西圏における伊丹、神戸空港の役割分担を明確化したことに伴う伊丹空港への運用の見直しによる関空へのシフト、それからこの三月から来ておりますスカイマークが羽田―関空便が就航をしております。こうした要因、それからマイナス要因としての中部空港、神戸空港の供用開始、こうしたものを考慮、個別に精査をいたしまして、この関西国際空港の二〇〇七年の需要予測をおおむね十三万回だと、このようにしたものでございます。私どもこの予測は十分達成できるものと、このように思っているところでございます。  それから全体でございますけれども、関西圏の空港利用、これは社会資本整備計画でやっておるものでございますけれども、関西圏でも国内線の需要というのが二〇〇〇年、二千三百六十万人でございましたけれども、二〇〇七年、二〇一二年と順調に伸びていくものと、このように見込んでおります。  その中で、まず神戸空港につきましては、二万回という容量制約がございますので、この二万回という容量制約の中で約三百三十万人の方が御利用されると、このように見込んでおるところでございます。残りの、この中での関空と伊丹との分担でございますけれども、当然伊丹から関空にシフトすると言っておりますので、今伊丹空港、平成十六年で十二・七万回でございますけれども、このうちの先ほど申しました伊丹のジェット枠を二十五便削減すると、こういうことでございます。そのうちの一定部分が関西空港に移ってくると予想しております。その分につきましては、伊丹空港約一・三万回ぐらいでございますけれども、減るんだろうと思っておりますが。  ただ、このジェット枠の削減部分は、ジェット機を飛ばさないでください、プロペラ機なら結構ですよと。あるいはプロペラ機とほぼ同程度の騒音であります百人程度以下の小型のジェット機であればプロペラ機と同じような騒音でございますので、こういうものは構いませんよということを言っておりますので、順次そういうものに代替されると思っておりまして、伊丹空港も十二・七万回から、関空にシフトする分がございますけれども、またそういうプロペラ機を活用して近距離に飛ぶということは考えられますので、おおむね十三万回前後にまたなってくるだろうと、こんなふうに思っているところでございます。  それから、三点目の伊丹の騒音対策費でございますけれども、今申し上げましたジェット枠は五十便削減するということと併せまして、特にやっぱりジェット機でうるさいのは二発のエンジンを持っているジェット機よりも、今のジャンボジェット機でありますとか、DC10でありますとか四発、三発のエンジンを持っている飛行機が非常に一機ごとの騒音が大きゅうございます。こうした高騒音機材についても併せて伊丹から順次撤退していってくださいと、同じジェット枠二百五十を二百にしますけれども、二百の中でできるだけ低騒音のジェット機にしてくださいと、このようなことを決定をしているところでございます。  これに伴いまして環境対策をやる地域、範囲なんかが狭まってくる、このように思っておりまして、そうしたことを踏まえながら、今環境対策事業費、年間百億弱、八十億強使っておりますけれども、これを順次削減をしてきたいと思っております。今後十五年で大体年間平均いたしますと約半減する、四、五十億ぐらいのものに持っていくということを計画をしているところでございます。  それから、最後でございますけれども、成田空港、二千百八十メートルでございます。これを二千五百にするとか、あるいは羽田の再拡張とか、首都圏での国際拠点空港の整備を進めております。関空の二〇〇七年の約十三万回と申しておりますけれども、これについては我々頑張ってやりたいと思っておりますけれども、羽田空港の再拡張も二〇〇九年でございます。成田の二千百八十を二千五百にするのも、これから頑張ってもこれ三年、四年掛かる事業でございますので、そういう意味で、厳密に言いますと二〇〇七年は見込んでおるところではございます。  将来どうかと、こういうことでございますが、関空の今の利用者でございますけれども、近畿二府四県の割合が約七割、それから近隣の中国、四国、西日本を合わせますと約八五%でございます。首都圏における大都市圏拠点空港の容量拡大はあっても、国際需要は増大しておりますので、その需要は増加していくものと、このように見込んでおります。
  254. 又市征治

    ○又市征治君 そのように説明をなさっていますが、例えば航空会社の関係でいえば、伊丹で減便した分、すべてそれはもう関空へ移してくださいと言われたってそのとおり応じられませんよ、こういう指摘が航空各社からもあったり、あるいは本当の意味で羽田の国際枠新設などの問題を含めて、影響がどの程度出てくるか。やっぱり関空が非常に高い。だから、そういう点でいえば、羽田や成田が拡張されればそちらへ移りたい、こういうのがアジア各国あるいは国際線の関係で随分あるわけで、極めてそういう意味で私は甘い、楽観的な予測ではないかということはぬぐい切れないわけでありまして、その点、是非しっかりともっとチェックをしてやはり出されるべきだと、こういうふうにも申し上げておきたいと思います。  そこで次に、この一般会計からの受入れは、特定財源である航空機燃料税の十三分の十一と純粋一般財源とがあるわけでありますけれども、最近の純粋一般財源分がどんどん増えているという傾向にあります。その大半が関空会社や中部空港会社への出資金であったり貸付金と、こうなっているわけですね。  そこで大臣に伺いますが、このやり方は道路公団ファミリー企業と同様のトンネル会社であって、民営化といいながら税金をつぎ込んでいると、こんな格好になっているわけですね。こうした出資金、貸付金というのは、むしろ民営化というんですから中止をして、税金からの繰入金をむしろ減らすべきではないのか、この点がまず第一点、お聞きをしたいと思います。  それから二つ目には、羽田、成田、関空、中部、この四大国際空港は民営化するという方針で来たわけですから、そうである以上、独立採算制でいくべきであって、その建設拡張費も空港ごとの個別会計にして、これ以上空港整備特別会計への依存を断ち切るべきだろうと思うんです。そして、残る空港整備特別会計の役割というのは、地方中小空港の振興やその補助、あるいはそして借入金の返済に限るべきであって、そのことが特別会計としての筋ではないか、こう私は思います。そういう点で、この点について二点目としてどういうお考えをお持ちなのか、お伺いしたいと思います。
  255. 北側一雄

    国務大臣(北側一雄君) 最初の御質問も後の御質問も結局、大都市圏の国際空港、これをどう位置付けていくのか、国のかかわりはどうなのか、国としてどこまで責任を持って進めていくのか、その辺の認識の問題が私、恐らく委員と私どもでもしかすると少し違うのかなというように思うんですね。  我々は、この国際空港、成田、そして今は中部、そして関西がございます。で、いずれ羽田が国際化されるわけでございますけれども、これから国際航空需要というのはますます、経済がますますグローバル化する、特に中国を中心とする東アジア経済がすさまじい勢いで経済が伸びている、また日本国内の企業も中国を中心として水平分業をやっている。そういう中で、国際航空需要というのは、旅客面もそして貨物の面でも私はこれから伸びていくというふうに判断していますし、そういう意味で、国際空港についてはやはり国が、この日本の国際競争力の強化向上ということを考えましても、今後の日本の経済の基盤をしっかりつくっていくという面でも、これをやはり一定限度国がきちんと責任を持って整備に努めていくということが大事なんじゃないのかなというふうに私は考えておるところでございます。  また、関西空港について言わしていただきますと、これ二〇〇七年に供用が二本目の滑走路開始になるわけでございますけれども、四千メートルの複数滑走路を、二十四時間空港、こういう空港というのは、国際空港見たらもうグローバルスタンダードなわけですよ。そういう空港というのは我が国には全然ないわけなんですね。この関空で初めて、四千メートル二本、二十四時間空港というのが初めてできるわけです。成田もまだ平行滑走路二千百八十メートルという状況でございます。また、中部はまだ一本でございます。二本目の計画なんかまだまだ全くありません。羽田は国際化するといっても国内の拠点空港であるのが主でございます。  と考えたときに、関西空港のやはり持つ意味というのは私は大変大きなものがあるというふうに考えているところでございまして、これからの日本経済の発展また国際協力の機能強化ということから考えますと、国際空港をしっかりとした、ほかの国の空港にも負けないような、そういう競争力を付けた空港にしていくというのは、国がやはりきっちりと責任を持って進めていく必要がある事業であるというふうに考えております。  そういう意味で、限られた公共事業予算、抑制されている基調の中で、やはり重点分野として私は位置付けていくべきであると考えております。
  256. 又市征治

    ○又市征治君 私は何も、国際空港そのものは軽視をしたりなんか、そんなのしているつもりはありません。問題は、この空港整備特別会計というプール制の、都合のいいこういう特別会計を持っておるために、採算を度外視をしたり、そういう意味で過重な、そういう意味で重複するようなこんなことがやられているんではないのかいうことで、これは、会計検査院からもこれは指摘をされている問題ですから、時代の推移とあるいは財政状況等を踏まえて一般財源への繰入れを減らしていくべきじゃないか、このことを申し上げているのであって、関西空港の重要性、そんなの要らないなんてこと言っているつもりは全くありません。その点は指摘を申し上げておきたいと思います。  ところで、もう一つお聞きをしておきますが、先般、運輸多目的衛星「ひまわり」がようやく打ち上げになりました。これを使って航空管制をするという計画は一体どうなったのか。  常陸太田と神戸に航空衛星センターを造って百人以上を常駐をさせたまま、五年間百億円以上の無駄遣いをしてきたわけです。その間にGPSが発達をして、今では航空管制に衛星は要らないという、こんなふうに言われてきた。打ち上げ費用八百六十九億円のうちの気象衛星用は、これは一般会計で二百七十四億円見ているわけですが、残り五百九十五億円は空港整備特別会計の負担じゃないですか、これは。そしてさらに、航空管制用の地上施設にも一千九百億円掛かると、こう言われているわけですね。今から、航空への利用中止を含めて、これは一体どういうふうに改善をされるのか。  さっき申し上げたように、私は、ここでも空港整備特別会計という誠に便利な財布があるために、まるでそんなところへ、別のところに流用している、莫大な無駄な金が使われているんじゃないかと、こう申し上げている意味なんです。この点について改善策をお示しください。
  257. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 航空機が安全に運航するためには、まず航空機自体が自らの位置を正確に把握するということが必要でございます。それと併せて、航空機というのは前後左右どういう航空機が飛んでいるか分からないものですから、それを私どもの管制官で全体の交通を把握いたしまして他の航空機との間で適切な間隔を確保していくと、こういうことをやっているわけでございます。  GPS等が発達いたしましても、航空機の自らの位置は分かりますけれども、前後左右の航空機の周辺の状況は分かりません。これを、国内でありますと私どもの管制官がレーダーの画面でもって今全状況を把握しております。太平洋上、洋上でございますと、残念ながらレーダーが届きませんので、パイロットから私はこういう位置にいますよという位置通報を受けております。その手段が現在短波というのを使っておりますけれども、短波ですと、どうしても短波通信が太平洋上長距離でございますので不安定でございます。位置通報や管制官による指示が直ちにできない場合がございますので、相当の間隔を空けて今洋上は飛ばしている状況でございます。  今、北米とアジア諸国との太平洋の航路というのは、航空路と申しますのは、日本と北米も交通路も増えておりますけれども、中国あるいは韓国あるいは東南アジアから直接に北太平洋を通って北米の方に行き来するという交通が増えております。こういう航空機の間隔を狭めていくには、今の短波を使ってというやり方の位置通報ではどうしても安全上問題がございます。今回上げました衛星によりまして、衛星のデータ通信を使いまして適時適切に、よりきっちりしたデータで、よりきっちりした間隔で、その航空機の位置を我々管制官の方に教えてもらいまして、それを踏まえて間隔を詰めていきたいと、このように思っているところでございます。  このようにして、この衛星を活用していきたい、管制間隔を詰めてやっていきたいと、このように思っているところでございます。
  258. 又市征治

    ○又市征治君 都合のいいところだけ言わないで、五年間で百億円以上全く無駄に職員を遊ばせてきた問題はどう改善するんですか、そこの点だけ最後にお伺いしたいと思います。
  259. 岩崎貞二

    政府参考人(岩崎貞二君) 残念ながら、この衛星、委員指摘のとおり、最初の衛星がおっこちまして、その後いろんなトラブルがございまして、先般のひまわり六号を上げるまで時間が掛かりました。その間、できるだけ、私どもも、衛星センターにいる職員のほかへの活用でありますとか、訓練でありますとか、努力してきたところでございます。  今後、こうした努力をきっちり生かして、この衛星の運用に遺漏なきものを期したいと、このように思っているところでございます。
  260. 又市征治

    ○又市征治君 終わります。
  261. 鴻池祥肇

    委員長鴻池祥肇君) 他に御発言もないようでありますので、法務省国土交通省警察庁裁判所及び住宅金融公庫決算についての審査はこの程度とし、本日はこれにて散会いたします。    午後六時六分散会