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参考人(
加藤秀樹君)
構想日本の
加藤でございます。
今日は
会計検査院の
機能強化というテーマで三十分ほど時間をいただきました。
率直に申し上げまして、今、
日本で
行財政改革、いろんな面から
改革が必要だと言われておりますけれども、この
決算というところに光を当てて、それで何をどうやっていけばいいか、いろいろ
議論は行われていますけれども、なかなか効果のある
対策、
手だてが打たれていないのが
実態だと思います。
前回のこの
参考人質疑、それから今日もう一人の
西川参考人からいろいろ
制度についての詳細な、精緻な
お話というのはあると思いまして、私はむしろそうではなくて、どういうことを具体的にやればいいのか。
国会あるいは
政府、国の
レベルになってきますと、規模が大きい、あるいは
組織が非常に固いだけになかなか物事は進みにくい。それに対して、
市町村あるいは
都道府県といったもっと現場に近いところは、これは例えば
首長は日々実際の実務に直面して、毎年
予算をつくり、その
決算を締めていかないといけない。そういう
実態に直面しているだけに、むしろ気の利いた
首長がいるところではいろんな手を打っております。そういうことについて
構想日本も今までいろいろお手伝いをしてきております。そういうことの具体的な例を
お話しして、是非この
決算委員会から具体的なこれをやろうというようなことが出る、そのための一助になればと思って伺いました。
前提として、今日は私は、
検査院はこうあるべきではないか、あるいは
決算委員会、
国会というのがもっとこういう
役割を果たすべきではないかということは余り申し上げませんが、
前提として、せっかく先ほど、御自身も私は乱暴な司会しますからと
委員長おっしゃっていただきましたし、大変パワフルな
委員長を始め
委員の方がいらっしゃるわけですから、私の
前提として、残念ながら今の
会計検査院あるいはこの
国会の
決算委員会が、細かいいわゆる
法律にのっとった形での
決算の
チェックというものは、これは非常にちゃんとおやりになっておられるわけですけれども、
改革、
行政改革あるいは
財政改革、
財政の
健全化というものを進めていく上で何か有効な
手だて、有効なことをやっているかどうかと言われると、ほとんど無力に等しいと、そういう
前提で
お話をしたいと思います。
決算の
機能強化、
資料をお配りいたしました。お届けしております十数枚の
資料です。ざっとこれに沿って
お話をしていきたいと思います。
最近、
日本だけじゃなくて各国でこの
決算というものをもっと
機能を
強化していこうという
議論が行われております。
日本でもそうだと思います。いろんなニュー・パブリック・マネジメント、あるいはその一環としての
行政評価とか、
予算をインプット型からアウトプット、
アウトカム型に変えていこうとか、いろんな
議論が行われております。そういう中の関連で
決算というものが注目されているんだと思いますが、今、先ほども申し上げましたように、
組織をどうするかこうするかの前に、どういう
視点で
決算の
検査を行うか、要するに何を
チェックするのかということがもう少し
議論されていいんだと思います。
それで、何を
議論するかというところで、
資料の二ページ目の下半分に挙げておりますけれども、
三つの
視点があるんだと思います。
一つは、そもそも今、
行政、国であれ
地方であれ、
行政で行っているその
事業が、
行政がやるべきなのか、要るのか要らないのか。もし、どこそこでこういう
行政サービスを行っている、
事業をやっているとすれば、それはそこの省がやっていることが適切なのか、あるいは
自治体、ほかの
官庁でやる方がいいんではないかという
意味での
行政の
チェック、あるいはその主体の
チェック。
それから、二番目が税金の使い方の
チェックであります。これはこれまでも
会計検査院が行ってきていることでもありますし、あるいは数年前から
検査院が
経済性、
効率性の
検査をやろうということを言ってあります。そういうことが含まれる。あることをやるのに、例えば一億円でやっている、その一億円で、本当に必要なのか、七千万円ぐらいでできるんじゃないかといったたぐいのことであります。
それから、三番目でありますけれども、これはほとんど
議論されていないと思いますけれども、実はその
二つの、その
事業が必要かどうか、あるいは
お金がちゃんと使われているかどうかの背後にある国のいろんな
ルール、規制、関与、決まり事。それは、
計画とか
法律、政令、要綱、通達、
基準、いろんな
言葉で網の目のように掛かっているその
ルールですね、コントロール、それが果たして必要なものなのか、適切なものなのか、やめた方がいいんじゃないか。ここまでやはり及ばないといけない。この三番目が実は私は、
改革というものを、
制度を変えていくという上ではこの三番目が非常に大事だと思っております。
それで、今回のお題が
検査院ということですけれども、
検査院の
強化ということですけれども、私は本来は、この
会計検査院というものはこの三番目のことを、これは、例えば
国会が中心になって
議論していくに当たって、それの
材料提供者、非常に強力な
材料提供者であるべきであると、こんなふうに思っております。
具体的にちょっと
お話をします。
三ページを見ていただきますと、四角い箱が
真ん中にあります。これは縦と横と軸が、横の軸は何かといいますと、これは
事業の
範囲、先ほどの
三つの
視点の
最初のところであります。
例えばこれは、今、ある
行政官庁あるいは県でも市でもいいわけです、百個の
仕事をしている、その百個の
仕事が本当に必要なのか、そのうちの二十個は要らないんじゃないか、八十個でいいんじゃないかという、このグレーの
部分は百個から八十個あるいは七十個でもいいんじゃないかという
チェックをしましょうということです。
それから、縦ですね、現在の
事務コスト。先ほどの二番目の
視点であります。これは、百個を八十個にしました、じゃ残りの八十個、ある
項目を取ると一億円今掛かっている、その一億円が本当に適切であるのか、それが実は七千万でできるんではないかという
チェック、両面の
チェックをしていかないといけないということです。
前回の
参考人質疑での
議事録も拝見いたしました。そこでは
バリュー・フォー・マネーという
言葉が頻繁に出てきました。これも大事な
視点でありますけれども、私はその
バリュー・フォー・マネーの前に、そもそも今やっていることが
項目として必要かどうかということの
チェックも必要なんだと思います。
それで、まず
横軸ですね、百個のものが八十個でいいんじゃないかというものを
二つの
視点で具体的な例を挙げて見ていきたいと思います。
一つは、その
事業の性格、
性質による
見直し、もう
一つは、その
事業の
効率による
見直し。
性質というのは、そもそもそれが
行政が、あるいは官がやる話なのかどうなのかという
視点です。もう
一つの
効率というのは、官でも民でももしやれることであれば、じゃどっちがやるのが
効率よく
お金、
金額でいうと安くやれるのかという、この
二つであります。
まず、
最初の
性質による
見直しについてですけれども、一枚めくっていただきまして、四ページです。
構想日本、そこの下の箱の中に書いてありますが、今まで十二の
自治体、八県四市で、どこでやったかといいますのは六ページの一番下の
星印のところに書いてあります。八県四市で
事業仕分というものをやってきました。そこで、例えばある
都道府県を見ると、そもそも要らない、あるいは
民間でやったらいい、県じゃなくて国でやったらいいんじゃないか、あるいは県じゃなくて
市町村でやったらいいんじゃないか、こういう
仕分をやっていきます。
どうやってやるかというのは細かくなりますので割愛いたしますけれども、要するに、そこの
都道府県のそれぞれの
予算書を持ってきて、それで、例えばここは
教育の班だ、こっちは福祉の班だ、
班ごとに分けて、それでその県の
担当者に
予算の
項目の一
項目ずつ
説明をしていきます。
予算というのは、例えば国の
予算でも同じですけれども、
予算の
項目というのは全部ほとんど
漢字なんですね。
漢字が七つ、十二、ざあっと並んで、それを見ても分からないわけです。ですから、例えば
青少年育成対策何とか費とあっても、
青少年を育成するための
予算が一億円というともっともらしいんですが、実は、
中身は何ですかというと、具体的にあった例ですけれども、どこかの公園に子供を連れていって小馬に乗せているというふうな話があるわけですね。それは本当にそんなものを市とか県がやる話なんでしょうかねという、その
中身を聞かないとなかなか本当にそれが必要なことかどうか分からない。ところが、実際には、
職員の話を聞いていると、ほとんど七
文字熟語、十二
文字熟語でしか考えていなくて、
中身がほとんど
議論されていないということが多いわけですね。それで、去年一億円付いているから今年は一億一千万付けましょうみたいな話でずっと来ている。ですから、
中身を
一つ一つチェックすると、実は
職員自体も、いや、そうですね、よく考えるとこんなこと余り要らないかも分からないですね、あるいは県でやらなくてもこれは
市町村の方がいいかも分からないですねというふうなことになってくるわけですね。そういうことを、我々が押し掛けていって、それで外から言わば挑み掛かって、ほとんどけんかを売り付けるような感じで要らないじゃないかというようなことを
議論していく、それがこの
事業仕分であります。
それをもう少し詳しく書きましたのが五ページの絵であります。今の
事業が不要か必要か、必要であればそれは
民間でもやれるんじゃないか、あるいは
行政がやるべきなのか、その
チェックするときには、下に書いていますように、民業を圧迫していないのか、あるいは
民間の方がより
効率的にできないのか、あるいは採算、
お金が掛かり過ぎるようであればやらなくても済むような
事業なのか、それでもやっぱりやらないといけないのかというようなこと、さらに、
行政がやるとすれば国でやるべきなのか
地方でやるべきなのか、
地方でやるときに県でやるべきなのか
市町村でやるべきなのかということを
一つずつ
チェックしていくわけです。
今まで八県四市でやりました
平均が六ページにあります。
市町村の場合には、引き続きやっぱり
市町村でやった方がいいというのが七割、
仕分をした結果、ほかの
行政機関、要するに県あるいは国でやった方がいいというのが一六%、要らない、あるいはもう
民間に任せた方がいいというのが一三%に上ります。それから、県、八県の
平均でいきますと、引き続きやっぱり県でやった方が、やるべきなんではないかというのが六割、あとの四割は要らない若しくは、大
部分が
市町村なんですけれども、
市町村に任せた方がいいということになってあります。
平均すると十何%かになります。
雑な
議論にはなりますけれども、もし
地方財政計画、これが八十数兆円あるいは九十兆円弱ですから、これに当てはめますと、十兆円近くの
お金が要らない、あるいは
民間でやったらいいということになると、こういうことを今、
大分減って二千数百の
自治体ですけれども、当てはめていくとそういうことが言えると思います。
ちなみに、この
作業は大体二泊三日ぐらいの
合宿形式でやります。ですから、まあ二、三日やっただけで十兆円ぐらいの
予算が切れる、しかもそれはその
当該自治体の
職員も
納得ずくの上でこれぐらいのことができるんだということ。しかも、これは先ほど申し上げましたけれども、今百個のことをやっている、その百個が八十個でいいんじゃないかという
作業だけなんですね。一個ずつが一億円が八千万でできるんじゃないかという
議論はこの中に含まれていないわけです。ですから、それを更にやるともっと実は要らないなあということが縮まるんじゃないかということであります。
それをもう少し詳しく
項目別に並べましたのが七ページであります。これは
新潟の例です。
議会、総務、警察、
県民生活・環境、土木、これは
新潟県での
予算のくくり方なんですけれども、この辺は
最大項目が引き続き県ということです。それから、
教育になりますと六割は
市町村に移した方がいいということになりますし、
産業労働になりますと七割はもう要らないんじゃないかということでありますし、
地方労働ですと、これは一〇〇%国にやってもらった方がいいという結果に出ております。
以上が
仕分の話であります。要するに、
項目を切っていきましょうという
作業です。
それから、八ページですけれども、これは
最初の三ページの四角の中で
項目を
見直していく場合の
事業の二番目の、
事業の
効率による
見直しのところです。要するに、
民間でできることであれば
民間と、最近
市場化テストというようなことも言われていますけれども、
民間と
行政がやるのとどっちが
コストを
効率よくできるのか、
コストを安くできるのかというものを比較するに当たって、これは
民間企業では財務諸表というのを作っています。いわゆるバランスシートとか
損益計算書というものですけれども、それと同じような
発生主義会計でもっていろんな
コストを全部総合計していくとどうかということであります。
八ページの
真ん中に横長の四角い絵が並んでおりますが、
支出コスト、
発生コスト、
間接コスト、総
コストがあって、さらに
機会コストがあって
フルコストと書いてあります。今の、現在の
歳入歳出による
予算で数字が出てくるのはこの
支出コストのところだけなんですね。そこに対して
減価償却、あるいはそこで働いている人の
退職金をちょっとずつ積み立てていかないといけない。ですから、今すぐに払わなくてもいいけれども、既に実は発生してしまっているんですよという
コストを上に乗せていく。それから、間接的な
人件費などを乗せていきます。それが
間接コストです。それを合計すると総
コストというのが出てきます。更に考えるとすると、そこの
建物を使って、その
建物をもしほかの用に使ったらもっともっと有効なことができるんではないかといったような
機会コスト、これを全部勘案すると
フルコスト、ここまでやるかどうかという話があります。
具体的にそれを応用している
自治体があります。九ページ、次のページを見ていただきますと、
群馬県の
太田市、これは
構想日本でもう四、五年前からいろいろ一緒にこういうことをやっております。これは
給食の例なんですけれども、そうやってその
フルコストを出していきますと、右の絵ですね、今の小学校の
平均の
給食一食
当たりの
コストで四百八十九円、これが
民間委託した場合には三百九十一円、百円ぐらい減るということであります。もちろんこの
給食の場合には単に
コストを比較するだけじゃなくて、じゃ健康とか栄養などの面で本当に
ビジネスベースのものに任せていいのかという検討はもちろん別途必要であります。
これと同じ配慮というのは常に必要でして、私は常々思っていますのは、例えば
国有地の売却というのがどんどん進んでおります。しかし、あれは本当に売って、そこに
民間の大したことない
建物を一杯、
高層ビルを建てるのがいいのか、むしろそれは緑地として置いとく方がいいんではないかとか、あるいは、今それこそ
文科省、
会計検査院が今
建物を取っ払って、あそこは
民活でいろいろ
建物を建てようということですけれども、私は本当に、そういう
国有地に
民活という名の下に
ビルを、
高層ビルを建てるということが本当に長期的に見ていいのかどうかということには、実はかなり懐疑的でもあります。
そういう、例えば今
官邸、
余談になりますけれども、
官邸はそのまま残すわけですけれども、旧
人事院ビルにしても、
歴史的価値というものはなかなか
民間では考慮の中に入ってこない、そういうものは官の手の中でこそもっと考えるべきではないのか。
我々は、例えばロンドンとかパリ、アメリカでもそうですけれども、そういうところに行って
相手省庁の役所に行く、そこのいろんな
歴史があるわけですね。そういうものの中にやはりその国の
民主主義の
歴史というものも考えたりするわけですから、私は、そういう
意味での
日本の
政治に対する、あるいは
行政に対する外国の人の敬意というものも込みで本当は考えないといけない。
ですから、
コストの話が大事だという話を申し上げている一方で、
余談として逆のことを申し上げる、変なことを申し上げるようなことでありますけれども、そういうことも考えた上で、しかし一方で
コストは
コストとしてきっちり考えてやらないといけない、両建てで正に考えて御
議論していただくのが
国会の
役割だと思っているものですから、
余談ながら申し上げました。
そういうことを含めて、この
群馬県の
太田市では、この
予算に反映して、現に次の
予算を組むという
作業に生かしていっております。
一ページめくっていただきますと、これは先ほどの三ページ目の元の話に戻りますと、今の
事業の
チェック、それから
太田市の
フルコストを出して
民間と比較していく、これが
事業の
範囲を考えていく上での
作業ですけれども、もう
一つの、じゃ、ある
行政サービス、
事業が一億円でやっていることが七千万でできるんじゃないかという今度は
金額の
チェックの方の例であります。
十ページは、これは
長野県の栄村という、割合最近マスコミにも登場して注目されている村ですけれども、小さい
過疎地であります。
過疎地では、小さい村の例ではあるんですけれども、しかしこれは特殊な例ということではなくて、こういうことは私は国の
レベルでもできると思いますし、たしか私の記憶では、
塩川財務大臣のときに、
塩川さんがこの栄村の話をお聞きになって、
担当主計官か主査に見てこいと言われて、
財務省から見に来られましたということをこの
村長さんがおっしゃっていました。その
二つの例を挙げてあります。
道路建設で、通常の
道路構造令あるいはその
補助金をもらう
補助基準に従って
道路を造ると一
メーター当たり大体十一万円余り掛かるであろうというところを、いろいろ工夫してやったところ、一・九万円でできたという話であります。これはもちろんその幅を少し狭くする、雪の多いところですから
除雪車が通る必要はある、しかし、
道路構造令で定められて、それに従えば
補助金をくれるとはいうものの、そこまで、例えば幅が六
メーターとか広い
道路は要らないんではないか、もう少し
生活道路だから簡単なものでいいということで工夫すると一・九万円でできたということであります。
さらに、実はこの
長野県の今度は一番南の端に下條村というところがあります。ここの伊藤さんという
村長もなかなかの人でありまして、ここも
お金のない
過疎地なものですから、ここは何ともっと過激なことをやりまして、砂利とかセメントとか
材料だけは村が提供する、しかしその
工事はもう、そういう小さいところでも
土建屋さんは結構いるわけですから、その
土建屋さんを含めて
工事はもうやってくれということでやったところ、何と三千八百円でできたという数字があります。これは実際の数字であります。
ですから、この栄村でも六分の一近くになっているわけです。これほど過激じゃないにしても、こういう工夫というのは本当はいろんなところでできるということです。
右の例は、同じことを農地整備についてやったということです。
ちなみに、
日本には道普請という
言葉が今でもあります。これは下條村のように、要するに道を直したり造ったりというのは、もうそういうパブリックなことは今はすべて官、すなわちガバメントがやりますけれども、元々パブリックなことはパブリック、公共的なことは、もう
一つのパブリックの
意味であります大衆、民衆ですね、パブリックなことは、民衆という
意味での、住民という
意味でのパブリックがやるというのが道普請という
言葉の私は語源だと思っております。
ですから、パブリックなことはすべて官、ガバメントがやるという必要はない。むしろ、そうじゃないことでいろいろ知恵を出すと安くできる。必ずしもビジネスとして
民間に任せるという、よく経済学者が言うような単純な
議論ではなくて、パブリックなことはパブリック自らがやるという原点に戻ってやるということ、これがここで出てきている数字の私はその基にあるんだと思います。
十一ページは、それと同じことなんですけれども、
材料費あるいは機械代、舗装代ということに分けてやりました。
実はここで、
最初の三ページの絵の、一番
最初に申し上げました、個々の
コストとか
項目以上に何が大事かというと、その背後に実はいろんな
ルールがある。国から
補助金をもらおうと思ったら、例えば十一万円掛かるうちの半分ぐらいは
補助金が来るわけですけれども、それでも残りの半分、五、六万円は自分で出さないといけない。そこで、それも
お金がないから工夫してやると一・九万円でできたというわけですね。
それで、なぜ十一万円掛かるのか。五万円もらおうと思ったら、国で決められています車道の幅とか路肩の幅とか歩道の幅だとか、あるいはカーブのきつさの上限、勾配の上限、そういうものが事細かく決まっているわけですね。それを全部否定するわけではないんですけれども、必ずしもそれは現場、現地にどうしても必要なものでもないわけですけれども、やはり
日本全国一律一元的に決まるとそういうふうになってしまう。
そういう一律に決まっている
ルールの下でやることで掛かってしまう
コストがいかに多いかということを少し詳しく書いたのがこの十一ページであります。
次の十二ページから十三ページについてでは、これは十二ページはちょっと分かりにくいんですが、「
事業のシフトを阻む国の関与・規制」と書いてあります。これは何かといいますと、
新潟県の例なんですが、
新潟県で
事業仕分をやったところ、本当は
市町村でやった方がいいんだけれども、しかし
市町村ではやれない、県でやることになっているから県でやっているというものです。
十三ページは、同様に「県が自主的に
事業内容を決めることを阻む」と書いてあります。要するに、本当は県がもう少し、先ほどの
長野県栄村のように、
中身をもっと自分なりに工夫してやりたいけれども、しかしこの
仕事をやるんならこういうやり方、こういう
中身でやれということが非常に事細かく決まっている。だから、結果的に無駄な
お金も掛かっているというものの例であります。
例えば、上から二番目の農地のところです。県営圃場整備
工事費、これは百九十一億円掛かっております。これは、もう少しいろいろ県が自主的にその
中身を考えると安くできるかも分からない。ところが、その根拠規定というのがずっと長く書いてあります。土地改良
事業関係
補助金交付要綱あるいは
事業実施要綱とあります。こういう交付金の要綱でもって非常に事細かく決まっている。だから、この
仕事をやろうと思ったらこういうやり方しかない。その結果が百九十一億円。もちろん、これを自由にやったらどれぐらい削れるかという
作業をやっておりませんけれども、多分、先ほどの栄村の例のようにかなり削れる
部分もあるんではないか。同じように、次の農業水利改良
事業負担金百四十六億円。これは土地改良法九十条という根拠規定があるわけです。幾つか下に、土木の例を見てみますと、
道路改築費二百四十四億円。それに対して、これも細かい規定がありまして、
道路法あるいは
道路局所管補助
事業採択
基準。
ここで分かりますように、
法律であったり要綱であったり、何とか
基準であったり政令であったり、いろんな
レベルがあるわけですけれども、いろんな
レベルでの国の非常に詳細な関与・規制があって、そのことが実は
コストを高くしているという面がかなりあるということだと思います。
実はそういうことに対して特区のアイデアが出てきていろいろ
議論が行われているわけですけれども、実は特区についても、ちょっとこれは本題から外れますけれども、十四ページに、少し、これは去年、一年前のまだ第四次の特区申請の結果までしか書いておりませんけれども、実は特区で認められたものが
平均一五%。まだまだ低いわけで、そういうものに対する穴を空けようということで出てきた特区もなかなか進んでいないというのが
実態だと思います。
最後の、十五ページですけれども、今、幾つか
事業項目として必要ないんじゃないか、あるいは
一つ一つの
項目を見てもっと安くできるんではないか、そういうことを実は
決算の数字からいろんな現場で工夫もやっていますし、それを
予算の方に生かしている、あるいはその
制度面の
改革にも生かそうとしている
自治体がいるということを実例で
お話をしました。
そんなことを考えると、十五ページに、そこに書いていますけれども、
会計検査院あるいは
決算における参議院あるいは
国会全体の
機能強化の
議論と並行して、まず、例えばこういう
事業仕分なりを実施するということからスタートしてみてはどうでしょうかというのが今日の私からの御提案であります。
いろいろ
制度論も考えないといけない。しかし、
制度論で片付くわけではないわけですし、
最初に申し上げましたように、
検査院も大いにいろんな御努力はやっておられると思いますけれども、私も二十数年霞が関で働いておりまして、そのときの実感でも、今の
検査院の
機能、
検査が現在のような非常に大きい
レベルでの
行政とか
財政の
チェックあるいは
改革につながることになっているとはやはりどうしても思えません。
ですから、それは
組織改革も必要ですけれども、こういう具体的な
作業をまずやるというのも私は大事なんではないか。これを例えば
決算委員会主導でやることから、私はその
組織についても実はいろんなものが見えてくるのではないかなと思っております。そんなことを是非実現できたらと、大いに期待しております。
ちなみに、
事業仕分については埼玉県の越谷市で、今月中ですけれども、今度は議会主導でこの
事業仕分をやる予定になっております。このことなんかも
参考になると思いますし、私は是非この
委員の皆様方の何人かでも今度のこの越谷の
仕分の
作業をごらんになっていただきたいなと、こんなふうにも思います。
以上で終わります。ありがとうございました。