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2005-07-14 第162回国会 参議院 外交防衛委員会 第19号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年七月十四日(木曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員の異動  七月十四日     辞任         補欠選任      福島啓史郎君     野上浩太郎君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 浅野 勝人君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君     委 員                 岡田 直樹君                 柏村 武昭君                 櫻井  新君                 谷川 秀善君                 野上浩太郎君                 山谷えり子君                 犬塚 直史君                 喜納 昌吉君                 佐藤 道夫君                 田村 秀昭君                 白  眞勲君                 荒木 清寛君                 澤  雄二君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    谷川 秀善君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        柏村 武昭君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       増田 好平君        内閣官房内閣審        議官       松井 房樹君        内閣官房内閣情        報調査室内閣衛        星情報センター        次長       上原美都男君        警察庁生活安全        局長       伊藤 哲朗君        防衛庁防衛参事        官        横山 文博君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        防衛庁長官官房        長        北原 巖男君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  大古 和雄君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務大臣官房参        事官       川田  司君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省北米局長  河相 周夫君        経済産業省貿易        経済協力局貿易        管理部長     柴生田敦夫君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付)     ─────────────
  2. 林芳正

  3. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  4. 林芳正

    委員長林芳正君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  5. 白眞勲

    白眞勲君 ライス国務長官による総理表敬官房長官との会談及び日米外相会談が行われましたけれども、それと絡んで、昨日、ニューヨークで、国連安保理事改革をめぐる国連総会審議アメリカが四か国の枠組み決議案に反対することを明言したというニュースが飛び込んできたんですけれども、このライス長官との日本での会談において、町村外務大臣は、その件についてライス長官から何か反対するぞということを言われたんでしょうか。
  6. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この安保理改革あるいは国連改革全体についてはこれまで何度かライス長官と話をしてまいりました。  アメリカの方はずっと、まず第一に主張している点は、国連改革全体を進めることが大切であると。安保理がその一環であることはもとよりだけれども、同時に、例えば、今、国連人権委員会というのがありますけれども、それを人権理事会というような形に格上げをして、より強力な、世界じゅうの人権状況を改善する、そういう機関にしたいとか、あるいは平和構築委員会といったようなものをつくったらどうかと、これはいずれも累次のレポート、ハイレベルのレポートであるとか、あるいは国連事務総長レポートにも入っているところですけれども、そういう改革。あるいは、国連事務局というものが大変肥大化して硬直化してきている、この改革合理化が必要ではないかと。  様々なそういう改革一環としての安保理改革という位置付けで、安保理改革だけが先にどんどん走っていくという姿はアメリカとしてはとても、例えば対議会説明が付かないんですと。米議会においては大変国連批判が強い。今も何か予算が一本人質になっているというような説明をしておりました。  そういうアプローチからすると、この時期の決議案採択というのは、いずれの決議案採択も時期尚早ではないかと。もっと全体がバランスよく、例えば九月に入ってから全体の一環の中でこの安保理改革について意思決定をするのがいいのではないかというようなことがまず一つあります。  それから、もう一つの主張は、日本常任理事国になることについてはかねてより賛成をしているけれども常任理事国の数が増え過ぎたりあるいは非常任理事国の数が増え過ぎたりして、今十五か国あるものが二十五とか二十六とかいうことでは効率的な安保理意思決定ができなくなるではないかと。明確にどの数とは言っているわけじゃございませんが、まあ二十以下といったような感じであるならば納得し得る安保理改革であるというようなことを私に対しては言っておりまして、それはかねてよりアメリカ主張でございました。  その辺を今回G4決議というものに絞って態度表明をするということになったものですから、十二日の日にケリ国務省上級顧問が、端的に言えば、G4決議に反対するという態度表明をしたんだろうと思います。
  7. 白眞勲

    白眞勲君 そうしますと、この日本の今のG4の一員としての安保理常任理事国入りというものについては極めて難しくなったんではないかというような報道もあるわけなんですけれども大臣としての御見解はいかがでしょうか。
  8. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、私どもとしては、まず枠組み決議というものを三分の二以上の賛成で通すということ。それから第二段階として、これが通った上で、第二段階として、国ごとにそれではどの国が適切であると判断するか、これも国ごとに投票して三分の二以上の賛成と。それらをまとめて、例えば常任理事国の国は憲章上明記されておりますから、憲章改正という第三段階の作業に入ってまいります。  もちろん、その際には、安保理以外のこと、例えば敵国条項を削るとか、こういったような中身も憲章改正事項として出てくる。ほかにも、さっき言った人権問題等々出てくるかもしれません、これは分かりません。  そうしたものについて、その第三段階になって初めて常任理事国賛成というものが必須要件になってまいります。三分の二であると同時に、その三分の二の中には現在の常任理事国五か国が入っていなければいけないということになるわけでありますから、その段階に至るまでアメリカが徹頭徹尾反対するかどうか。実際に選ばれる常任理事国の数がどうなるか、他の憲章改正事項あるいは他の国連改革事項がどうなるかということによって、トータルの判断が、アメリカならアメリカ、それぞれの常任理事国がなされるんであろうと、憲章改正という姿になった時点でですね、そのように私は思っておりますから、今の時点では、とにかく数で三分の二以上になるかどうかということについて今全力を挙げ、特にアフリカとの関係が大変重要であるということで、アフリカとの調整ができるかどうか、これから今週、来週掛けて最大限の努力をしていきたいと、かように考えているところであります。
  9. 白眞勲

    白眞勲君 それと同時に、韓国が今回重大な提案として、北朝鮮の問題なんですけれども核開発完全放棄同意すれば二百万キロワットの電力を直接送電し提供するという重大な提案というのを発表したわけですけれども、これと対比しまして、昨日の細田官房長官発言としては、核の廃棄検証を前提として行わなければ意味がないと。つまり、細田長官検証廃棄ということ、それから韓国側同意という、廃棄同意ですよね、という微妙にニュアンスが違うんですけれども、どうしてこう違うんでしょうかね。
  10. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今この時点で話しているのは、少々それぞれの国々の考え方なり、またある種アバウトな表現がこの時点ではいろいろ出てくるのはやむを得ないんだろうと、こう思います。  今後、まず今日ですか、韓国、今日は十四日、今日ですね、今日、韓国において日米韓政府代表が集まって議論をいたします。そこでどういう対処方針にするのか、また、実際に今後北朝鮮話合いの中でそこをどう詰めていくのかという問題が出てくるのであって、今そこで、検証という言葉があるのかないのかというところで、余り違いがあるではないかというようなことをここで今取り上げてもさほど意味がないことだと。  ただ、約束、口約束をするだけで、それが実行が伴わない、第三者的な検証も行われないというようなものでいいのかといえば、それはやっぱりまずいんだろうと私は考えております。
  11. 白眞勲

    白眞勲君 この件につきましては、昨日、大臣外務委員会において、前もって相談もあったと、韓国側から、そういうお話もあったわけですけれども相談があったんならば、当然この辺りについての詰めというのもあったんじゃないのかなというふうに私は感じるんですけれども、なかったんでしょうか。
  12. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ですから、余り実務者話合いをする前からそこをぎりぎりぎりぎり日米で、日韓間で詰めてみてもそれはしようがないわけですよ。そこは実際、協議に臨む前の打合せであり、協議に入った後の打合せでありという部分にゆだねていただきませんと、すべて白先生のように頭脳明晰な方が事前にぴしゃっと詰め切った形で物事がすべて運ぶというわけにはこれはいかないと思います。
  13. 白眞勲

    白眞勲君 今大臣の方から核廃棄については非常に厳しくやっていかなきゃいかぬというお話があったわけですけれども、この場合、当然これは高濃縮ウラン計画も含めた形ということで理解してよろしゅうございますか。
  14. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私どもはそういう理解でおります。
  15. 白眞勲

    白眞勲君 北朝鮮日本について、日本だけは六者会合再開に寄与したことがないというようなことも言っているわけでして、これについてどうこう一々コメントする必要は私もないというふうには思っているわけなんですけれども、恐らく拉致問題というものを意識しながらこういう発言北朝鮮ではあったんではないのかなというふうに私は真意を何か考えているわけなんですけれども。  以前から大臣拉致問題も含め六者会合で取り上げるということを発言されていますけれども、当然今回取り上げるつもりでいらっしゃるわけですよね。
  16. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 六者の中で日本以外の国々は主として核というものに関心が、重点があると。それは当然のことだろうと思います。ただ、日本立場からすると、当然、核があり、かつそれが運搬されるミサイルという、運搬手段というものについて当然関心を持つことは日本立場からすれば特に当然だろうと、こう思いますし、またこれは日朝間人権問題といえばもう少し普遍的な問題になりますけれども日朝間でいうならば、人権問題の最たる事例でありますところの拉致問題も当然それは取り上げると。今までの六者協議でもその問題を提起しております。実際、六者協議の中で行われるであろうバイの日朝間話合い、先方、応ずるように私どもは説得するわけでありますけれども、その場で拉致問題も取り上げていきたいと考えております。
  17. 白眞勲

    白眞勲君 その際に、めぐみさんの遺骨が偽物であったということについて言及されるおつもりでしょうか。抗議されるおつもりでしょうか。
  18. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 昨年の十二月の偽遺骨という以降から、現実に日朝間の少なくとも公式的な接触がほとんど行われ得てないという実情にかんがみれば、その原因となったことについて話合いが持たれるのは当然だろうと思いますが、同時に拉致の問題全体、そして日朝間をどうするのかという広がりを持った話合いができればいいなと、こう思っております。
  19. 白眞勲

    白眞勲君 今回、ライス長官には、この拉致問題を六者会合で取り上げるということはお話しされましたでしょうか。
  20. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 当然、日本のこの六者協議に臨む基本的スタンスということで、今申し上げたことを含めて話してありますので、日本としては核だけではなくてミサイルの問題、拉致の問題、大変重要な関心事項としてこの六者協議で引き続き話合いが行われるべきであるというふうに私どもライスさんには言い、ライスさんも日本拉致日本政府の、あるいは日本国のこの拉致問題に関する取組について十分理解をし、支持するという発言もあったところであります。
  21. 白眞勲

    白眞勲君 それとまた別なんですけれども、BSEにつきましてお話があったということなんですけれども大臣科学的知見に基づいて本件の早期解決に向け引き続き努力をしたいという旨の発言をされたというんですけれども、この場合の解決というのは何を意味しているんでしょうか。
  22. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今、プリオン専門委員会ですか、食品安全委員会の下のプリオン専門調査会というんですか、ちょっと言葉はあれですが、専門家の方々が議論をしておられるわけでありまして、そこで出てくる答えが正に解決案だろうと、こう思っております。
  23. 白眞勲

    白眞勲君 そうしますと、輸入再開ということでの解決ということはないですね。
  24. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 輸入再開が可能であるかどうかという諮問をされたと私は聞いておりますから、その答えが正に日本答えということになるわけであります。
  25. 白眞勲

    白眞勲君 続きまして、在日米軍基地につきましてちょっとお聞きしたいと思うんですけれども、まずその位置付けについて御説明願います。
  26. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 在日米軍基地、これは安保条約六条に基づきまして、日本の安全に寄与し、並びに極東における国際の平和及び安全の維持に寄与するために米軍は施設・区域を使用することができると、そういう位置付け存在をしているわけでございます。
  27. 白眞勲

    白眞勲君 そうしますと、前回、外務省の方で、アメリカ海軍ディエゴガルシア基地については、この基地在日米海軍組織上その管理下に置かれているというふうに答弁されているわけなんですけれども極東範囲外にある基地が入っているとすると、これは安保条約違反ではないんでしょうか。
  28. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 必ずしも御質問趣旨、私、正確に理解しているかどうかあれでございますけれども、先般の委員会で御説明したとおり、在日米軍基地というものが安保条約に基づいて、そして日米地位協定適用を受ける基地であるという位置付けでいうんであれば、ディエゴガルシア在日米軍基地には該当しないということでございます。
  29. 白眞勲

    白眞勲君 在日米海軍基地ディエゴガルシアが入っていないのにアメリカ在日米軍のその管理下にあるならば、これは安保条約違反の場所だということになりますよね。
  30. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 在日米海軍はいろいろな管理任務を負っておるわけでございます。基本的には日本にある在日米海軍の種々の基地管理に当たっているところでございますけれども、その中での一部として、その一部というか任務の中にディエゴガルシア管理上その隷下に置かれているという事実はございますけれども、それをもって安保条約違反だということには該当しないというふうに理解しております。
  31. 白眞勲

    白眞勲君 ちょっと意味がよく分からないんですけれども、もう一回聞きます。  日米安保条約で定められている極東の平和と安全の維持に寄与する在日米軍極東とは関係のないディエゴガルシア在日米海軍管理下に置かれているというのは、じゃどういう意味なんでしょうか。
  32. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 米軍の中の組織、その予算等々のシステムというものがどういうことになっているかというのをここで、必ずしも私、詳細を把握しているわけではございませんけれども在日米海軍司令部がその管理に当たっているという事実が仮にあったとしても、在日米海軍司令部極東我が国の平和、それから極東の平和と安定に寄与しているという実態においては何ら変わったことはないというふうに理解しております。
  33. 白眞勲

    白眞勲君 では、ディエゴガルシア極東の平和と安全にどのように寄与しているんでしょうか。
  34. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) ディエゴガルシア基地そのものが、私が先回からここで御説明しているとおり、ディエゴガルシア極東範囲の中に入っているというふうに私は理解をしておりません。また、ディエゴガルシア基地そのもの極東の、我が国の平和、また極東の平和と安定に寄与しているということではないと理解しております。
  35. 白眞勲

    白眞勲君 そうしますと、いつからディエゴガルシア機構上、在日米海軍の下になったんでしょうか。
  36. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) ちょっと現在手持ちの資料の下でいつからというところは、私、つまびらかにしておりませんけれども、現在、機構上、現時点において米軍機構の下でディエゴガルシア基地、そこを管理している部隊アメリカ管理手続の下では在日米海軍隷下にあるというのが事実でございます。
  37. 白眞勲

    白眞勲君 そうすると、ディエゴガルシアというのはアジア太平洋地域における平和と安定には寄与しているというふうに見ていいんでしょうか。
  38. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 先般から御質問のありますアジア太平洋地域の定義とこの地理的範囲というのは、必ずしも、その性格上、厳密なものがあるわけではございません。その中においてディエゴガルシアというのがアジア太平洋地域の平和、安定というものに寄与しているかどうか、一概に今ここですぐ断定的に答弁することは差し控えたいと思います。
  39. 白眞勲

    白眞勲君 つまり、安保条約というのは、安保条約の中に在日米海軍というのは入っているわけですよね、もう一回聞きますけれども
  40. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 在日米海軍安保条約に基づいて存在をし、日米地位協定適用を受けているということでございます。
  41. 白眞勲

    白眞勲君 今おっしゃったように、安保条約在日米海軍存在するのに、その安保条約ディエゴガルシア基地が入っていないというのはどうしても分からないんですけれども、私には。つまり、在日米海軍日米安保条約に基づいて存在するにもかかわらず、そのディエゴガルシア基地在日米海軍のその隷下にあると、支配下にあるということはどういうことなんですかということを聞いているんです。安保条約から逸脱しているんじゃないですか、ディエゴガルシア基地だけは。
  42. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 先ほどから御説明しているとおり、ディエゴガルシアにある米軍組織というものが安保条約の下にある、若しくは日米地位協定適用を受けている存在ではないという意味においては在日米海軍の、若しくは在日米軍の一部を成しているものではないということでございます。ただ、片や日本にいる在日米海軍司令部米軍管理上その下に、その隷下に、組織的にはディエゴガルシア基地部隊隷下存在をするということでございます。
  43. 白眞勲

    白眞勲君 何か御発言されていて矛盾していると思いませんか。私は非常に矛盾を感じるんですね。その位置付けの中では在日アメリカ海軍の中に入っているけれども、入っていないというような言い方をされているわけなんですね。  もう一度その辺ちょっと御説明願いたいんですね。つまり、その安保条約の中で在日アメリカ海軍存在するわけですよね。その中でディエゴガルシアはその安保条約からは逸脱しているということは今おっしゃっているわけじゃないですか。そうしますと、その安保条約ディエゴガルシア基地というのは、ディエゴガルシア基地自体安保条約違反になるというのが普通の解釈なんだと思うんですけれどもね。
  44. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 繰り返しの答弁になりまして申し訳ございませんけれどもディエゴガルシア基地日米安保条約に基づいて存在するということではございません。片一方で、在日米海軍司令部というものは日米安保条約に基づいて存在しているものである。そして、その下で偶々その在日米軍司令部ディエゴガルシア予算等々の管理の責任を有しているということでございます。
  45. 白眞勲

    白眞勲君 これもう一度ちょっと、私ももう一回、答弁を精査しました後でもう一回聞きたいというふうに思っております。どうしても納得いきません。  続きまして、防衛庁長官にお伺いしたいんですけれども、先日の私の代表質問におきまして大臣は、米国へ提供された武器第三国移転ミサイル共同開発において我が国事前同意がなく行われないよう、国際約束により担保されることとなります、また、米国政府により第三国移転要請があった場合には、当該供与趣旨及び武器輸出原則等を踏まえて、その可否について慎重に検討することとなりますと答弁されておりますが、これは要するに武器第三国に売るということもあり得るということでございますね。
  46. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今回の武器輸出原則の緩和につきましては、白先生御存じのとおり、現在アメリカ日本でやっておりますミサイル防衛共同技術研究がやがて開発段階に入る、生産段階に入る、これを予期してやっているわけでございます。したがいまして、ミサイル防衛のみ、そしてアメリカに対する、アメリカとの関係に関するもののみ、こういう構成でございます。  当然のことながら、交換公文等でその辺ははっきりしていきたい。アメリカへ提供された武器第三国移転につきましては、やはり事前日本同意を取り付ける、このことをはっきりさせておきたいし、仮に実際に現実的にそういう問題が起こってアメリカから要請があった場合には武器輸出原則の精神にのっとり慎重に検討することになろうと、こういうことを申し上げたわけでございまして、結論を申しますと、そういうことでありますから、場合によっちゃそこに第三国供与ということがあり得る可能性がある、こういうことでございます。
  47. 白眞勲

    白眞勲君 非常に、要するに武器輸出原則が、今回そういった面ではこのミサイル供与に関してはあり得ると、第三国輸出が、ということを今明白に答弁されたということでいいですね。
  48. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 慎重に慎重を重ねてと、このところは十分御記憶にとどめおきいただきたいと思います。
  49. 白眞勲

    白眞勲君 続きまして、八千億円から一兆円も掛かるという弾道ミサイル防衛システムについて、何とか少しでも安くならないのかなと私も思って、まあ恐らくここにいる委員の皆さんもそういうふうにみんな思っているとは思うんですけれども。  前回の私、あの代表質問でも申し上げたんですけれども、いわゆるオフセット取引などもまあ今回積極的に導入すべきであるというふうに私は思っているんですが、今日は経済産業省の参考人の方もいらっしゃっていると思いますが、このオフセット取引の概要と世界の趨勢について御説明願いたいと思います。
  50. 柴生田敦夫

    政府参考人柴生田敦夫君) お答え申し上げます。  オフセット取引とは、武器等の輸出の際に相手国政府又は企業に対して経済的な補償を約束するものでございます。具体的には、相手国企業に対して共同生産への参加、ライセンス生産、下請生産、技術移転、それから工業製品、農産品等の反対売買、国際投資を約束とするというような、こういうような内容になります。  オフセット取引のねらいといたしましては、装備品の取得に必要な外貨の削減や同盟国の工業レベルの向上ということが挙げられます。  それで、公開統計が入手できますアメリカ商務省の報告によりますと、米国企業はオフセット関連として一九九三年から二〇〇三年までの間に三十六か国の間で七百九億ドルの輸出を行い、これに伴うオフセット契約が輸出契約の七三・八%に当たります五百七億ドルであったということを届け出ているところでございます。  オフセット取引上位五か国を挙げますと、イギリス五十億ドル、フィンランド約三十二億ドル、イスラエル約三十億ドル、オランダ約十七億ドル、韓国約十六億ドルとなってございます。  また、米軍資料によりますと、トルコへのF16の販売に関連して、ロッキード・マーチン社が数十億ドルのオフセット取引として航空機産業とその基盤の創出を行ったという例がございますし、また、FA18のスペインへの販売に関連しまして、マクダネル・ダグラス社がスペイン製の鉄製品、化学製品等を米国で販売することなどに合意したという例がございます。  以上でございます。
  51. 白眞勲

    白眞勲君 非常に分かりやすく御説明ありがとうございました。  これがアメリカの商務省が出した報告書なんですけれども、これ見ますと、今も御説明ありましたように、相当多くの数の国々がこういうオフセット取引をして、少しでもいわゆる価格の低減について努力をしているということが分かるんですけれども、どうでしょうか、大野長官、これ日本では全然行われてないわけですから、是非、国民の血税を一滴も無駄にしないという観点から、こういう取引というのも積極的に導入してみたらどうかなというふうに思うんですが、長官の御意見をお聞きしたいと思います。
  52. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 白先生の御指摘、正に血税を使って防衛装備品を調達する、このときは必ず価格をできる限り安くして購入しろ、調達しろと。こういう意味じゃ大変、私は今、注意深く聞いていたところでございます。  そういう意味で、今、日本では何をやっているか、防衛庁何をやっているかといいますと、例えば、一昨年の九月からでございますが、総合取得改革委員会というのを設置いたしております。その中で、研究開発から調達、補給、すべてを一つのライフサイクルととらえて、そしてなるべく安い価格で調達していこう、こういうことで抜本的な改革を今試みているところでございます。  そういう意味で、例えばミサイル防衛についてどうか、こういう問題で考えてみますと、我々、アメリカとの間で常に協議を行っております。例えば、アメリカミサイル防衛長官との協議、あるいは事務レベルでの定期協議、いろんな協議を通じまして価格低減ということで要請を行ってきております。  御指摘のオフセット取引どうか。大変難しい問題があろうかと思います。白先生がおっしゃったとおり、今、日本ではやっておりません。例えば、予算執行上の問題として歳入歳出を一緒にやっていいのかとか、場合によっちゃ第三国への武器の輸出というような考え方にもかかわってくるのかなとか、いろんな問題があります。  我々としては、大変大事な価格低減という基本的な理念、これを大切にしながら、法令上どこまでできるんだろうか、これは是非とも検討してみなきゃいけない、このように思うわけでございますけれども、現状においては非常に厳しい、こういうことは十分御理解をいただきたいと思います。  いずれにしましても、我々としては、ライフサイクル全体にわたるプロジェクトマネジメントをやっていかなきゃいけない、そして短期集中的な調達の実施をやって価格低減には現在十分努めていこう、こういうことで、一つの、先生の御指摘は一つの御示唆として聞かせていただきました。
  53. 白眞勲

    白眞勲君 正におっしゃるとおりでして、日本の場合には武器輸出原則等問題等もありますので、なかなかこれをすぐに適用することは難しいかもしれませんけれども、やはり日本独自のアイデアを、またいろいろ頭をひねっていただきまして、今、町村大臣からは、白先生はうんちゃらかんちゃらという話もありましたけれども防衛庁の皆さん非常に優秀な方々が多うございますので、もちろん外務省もですけれども、是非よく検討していただきたいというふうに思っております。何か研究会みたいなものを立ち上げてもいいんじゃないかなというふうには思っております。  もう一つお聞きしたいんですけれども、また別の問題で、PAC3が弾道ミサイルに当たらなかった場合、このミサイルってどうなるんでしょうか、地上に落下するんでしょうか。
  54. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) PAC3が当たらなかった場合には、少量の、PAC3の中に、火薬と申し上げた方が分かりやすいと思いますが、それによりまして、そのまますとんと地上に落ちるということがないように、何というか、自ら破壊をするという機能が中に組み込まれておりますが、その限りにおきまして破片が地上に落下することはあり得ます。
  55. 白眞勲

    白眞勲君 そうしますと、想定される被害というのはどれぐらいになりますか。
  56. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) これは、イラクのときもあったと言われていますが、そのまま裸の形で迎撃ミサイルなりなんなりが落ちますと、これは大きな被害を生じたという例もあると報道されておりますが、それにつきましては極めて小さな破片に破壊をするというような形のシステムになっておりますので、全くどんな場合にも一切被害が生じませんということを申し上げられる、まあ、物体が落ちてくるわけでございますので、いろんな万が一のケースを積み上げますとそうは言い切れないわけでございますが、まず通常のケースであればそのような大きな被害は生じないであろうというふうに考えております。
  57. 白眞勲

    白眞勲君 せんだって、参考人質疑におきまして三菱重工業の方が、ミサイルが破壊、要するに当たらなかった場合ですね、弾道ミサイルに、甚大な被害が生じる可能性があるということをお話しされました。それに比べると何か被害が、何か余りないようなことをおっしゃっているんですけれども、何でこう違うんですかね。
  58. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 済みません、その参考人のおっしゃったことの趣旨、ちょっと私、直接御趣旨を確認できないんですが、まあ、二つ。  一つは、当たらなかったらば、正に飛来するミサイルは当初の、向こう側にとってみれば破裂をすると。場合によっては、核弾頭が破裂をするという場合ですと、これは甚大な被害が生じます。他方、さっき申し上げましたように、撃ったPAC3自体が地上にそのまま落ちるということはありませんが、そういう場合も考えられるし、撃ち損ねたミサイルが落ちてくるということもあります。どの辺りを言われたのか、ちょっと私、直接確認しておりません。
  59. 白眞勲

    白眞勲君 是非一度確認していただきたいというふうに思うんですけれども、私の理解では、いわゆるPAC3自体が、弾道ミサイルに命中しなかった場合にそのPAC3が落っこってきて大きな被害を生じる可能性があるという内容だったというふうに記憶しております。是非一度御確認願いたいなというふうに思うんですけれども。  要するに何を言いたいかといいますと、PAC3というのは今までも、日本全国あまねく、郵便局じゃないですよ、あまねくミサイルが置いてあるわけじゃありませんから、当然それは人口集中地域、非常に重要な地域に置いてあるわけですね。そこで、もしミサイルが発射された場合に、逆に大きな被害が生じる可能性があるというのも念頭に置く場合もあるんだろうなというふうに思うんですけれども、その場合、やはり私は、シビリアンコントロールという観点から、国会への事後報告だけではなくて承認というものも必要ではないんだろうかというふうに考えているわけなんですね。  国民の生命、財産を守るという観点から考えると、やはりどのような観点であれ、そういうシステムの不具合も含めて大きな問題が生じる可能性があるんではないかなというふうに思うんですけれども、その際の責任の所在というのをしっかり見定めなければならないのかなと思うんですが、その点について、長官、いかがでございますか。
  60. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) まず、技術的な点だけ。  当たらなかったという場合にはいろんなケースがあると思います。例えば、情報入手に失敗をしたと、それで撃つタイミングが遅れたとか、それから、迎撃するミサイルがたまたま、メカニカルフェーリアの可能性をゼロにはできませんから、が生じてしまったとか、あるいはたまに不適切な操作があった可能性もあります。逆に、飛来するミサイルが当方が予想を超えたような回避能力を持っていたと。いろんなケースがございますが、いずれにいたしましてもそれは、武器を使用してその結果がどうなったかということを含めまして、今回の法律案では国会に事後に御報告をするということになっております。
  61. 白眞勲

    白眞勲君 前回も私の質問で、やはりシステムのバグの可能性は否定できないということもあるわけでして、やはりいろいろな部分が想定されるということは考えられるわけなんですね。  そういう中で、やはり私は、その際の責任の所在というのはどこかにやはりきちっとさせなければいけないというふうに私は思うわけなんですけれども長官はいかがお考えでしょうか。
  62. 大野功統

    国務大臣大野功統君) この責任の所在、まず、現場の部隊というのは何ら判断をいたしません。マニュアルに応じて確認をして発射する。そういう意味で、発射とかそういう意味での責任はありません。すべて内閣で決めた、そして防衛庁長官が指示するやり方でやっていく、こういうことでありますから、私は、責任の所在というのは防衛庁長官であり内閣である。  その責任は何だ。これは度々私、申し上げているんでありますけれども我が国に飛来するミサイル、これは撃ち落とさなけりゃ我が国の国民の生命、財産に重大な甚大な危害を与えるわけですから、これはとにかく撃ち落とさなきゃいけない。それこそ正にマストであります。このマストをやらなければ、そこに正に責任があるわけでございまして、国会との関係でいえば、しかしながら、そういうことをやったということをいち早く報告する。  報告する意味は、やはりそういう行為がその時点以降において防衛出動につながっていく可能性もある。そういう意味では報告をしておかなきゃいけないし、もちろん国民保護、これはもう国民の皆様の生命、財産を保護するわけですから、国民保護という観点からもきちっと早く報告しなきゃいけない。こういう意味で、私は、報告をする、こういう責任はあると思っております。
  63. 白眞勲

    白眞勲君 是非、本当は私は報告だけではなくて承認というものもきちっと必要ではないかなというふうに思いますので、もう一度考えていただきたいと思うんですけれども、それと同時に、今回の統合運用の件につきましても、やはり見直し規定、これは、小さな会社でも、やはり何らかの人事構成が変わると、当然それは何かいろいろな不具合というのは、予想されない不具合というのは生じるものであるというのが当たり前だと思います。長官はベストだベストだと、何度も何度もお話しされております。長官がベストだと思ってもベストじゃない場合もあるかもしれないわけです。あるいは、防衛庁の皆さんがベストだと思ってもベストじゃない場合もあるかもしれない。  これは一般的に、例えば防衛庁長官も、結婚する際には奥さんがベストだと思って選択をされて、ずっと、やはり今もベストだと思っていらっしゃると思います。でも、人によっては見直しという考え方もある人もいるかもしれない。そういうことを考えると、やはり見直し規定というのをやっぱり付けてもいいんじゃないかなというふうに思うんですけれども長官、いかがでございますか。ちょっと簡単に答弁願います。
  64. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は、結婚する前に女房をベストと思って、今でもベストと思って、見直し規定は置いておりません。ただ、ミサイル防衛とは違います。ミサイル防衛は、ミサイル防衛は、ミサイル防衛とか統合運用、こういう問題とは違います。  統合運用につきましては、これはもう今の歴史的な流れその他を考えれば、これはもう当然の方向であり、私は、今国際安全保障環境がこういうふうに多様化している、それを統合的に、一つ一つの自衛隊がやるのではなくて、陸海空三自衛隊が統合して共同してやっていく、これが今のやり方であって、今考えているやり方というのは、部隊運用の実績あるいは部内における十分な検討を踏まえてつくり上げたものであり、今私はベストな選択だと思っております。ベストであるからこそ、見直されることを前提とした見直し規定は置く必要はない。  しかしながら、しかしながら、やはり見直し規定がないからといって今後一切見直しをしない、こういう意味ではないと思っております。ただ、我々はこの目的に向かって一生懸命進んでいく、これが大事なことだと思っています。
  65. 白眞勲

    白眞勲君 郵政民営化でも見直し規定、今回つくったんですよね。そうすると、郵政民営化はベストじゃないということなんでしょうか。
  66. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 時代に応じていろいろ時代背景が変わっていきます。そういうことを考えてやる場合と、それから、もちろん、我々が考えている現状でいろんな歴史を踏まえてつくり上げてきたこの統合運用体制、統幕長の下にやっていく。  しかし、誤解がないように申し上げたいのは、統幕長が全部仕切るんじゃありません。統幕長は軍事的、専門的な見地から長官を補佐するわけであります。長官が指揮命令するわけ、内閣総理大臣が運用を指揮する、特に防衛出動の場合ですね。そういう意味で、このベストな方向に向かって努力してみようじゃありませんか。それを私は言いたいですね。
  67. 白眞勲

    白眞勲君 是非、やはり見直しを付けたっていいじゃないかというのが私の考え方です。是非その部分で考えていただきたいというふうに思いまして、私の質問を終わります。  以上です。
  68. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 民主党の犬塚です。  今日は、防衛庁設置法の一部を改正する法案の主に統合運用に関して、しかも、その狭義の自衛隊の中だけの統合運用ではなくて、やっぱり各省庁あるいは米軍との統合運用にまで広げた広義の統合運用という視点から質問をさせていただきます。  まず、迎撃ミサイル発射の指揮命令系統について、一体だれが決心をして、だれがボタンを押すのかということについて質問いたします。  ここにあります五月七日の読売新聞によりますと、原則は府中の航空総隊司令部司令官がモニター画面で着弾地点が日本の領域と重なっていることを確認の上、発射を指示すると。司令官がモニターの前にいないときはイージス艦艦長や高射群司令にも権限を与えるというこの新聞記事があるんですが、これが正しいかどうか、まずお答えください。
  69. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、先ほども答えいたしましたけれども、判断するということとそれから確認するということ、これは私は違うと思っております。現場は、現場は確認をするということであります。こういう場合に発射しなさい、発射のボタンを押しなさい、こういうことは確認の行為であります。その判断は、内閣であり、そして防衛庁長官の命令に基づいているものであります。このことを前提に申し上げたいと思いますが。  じゃ、現場に人がいなかった場合どうする、だれが実際にボタンを押すんだ、だれが実際に確認するんだ、これが御質問のポイントかと思いますけれども、これは別途、長官が指定することを予定いたしておりまして、今現在、例示的にだけ申し上げたいと思いますが、例えばBMD統合任務部隊というのをつくることになっておりますけれども、恐らく、イージス艦でやる場合、全体でイージス艦とPAC3でやる場合、これは言うまでもありませんが、八十二条二項の、一項のケースでありますけれども、そういう場合には、BMD統合任務部隊組織されておると思いますから、その場合には、航空総隊司令官、BMD指揮官がやると、こういうことになりましょうし、第三項に基づいてイージス艦だけが例えば、例えばですよ、イージス艦だけが対処する場合には、現場の海上部隊の長、艦長とかあるいは隊司令又は群司令が指示することになろうかと思います。  じゃ、だれが一体発射ボタンを押すんだ、こういうことにつきましては、物理的に実際押すんですね、現実的に押す者、こういう者につきましては、部隊の運用を、部隊における運用を踏まえて決定していくということでございます。
  70. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 長官、私は新聞記事が事実に即しているかどうかと簡単な質問をしましたので、それにお答えいただければよかったんですが。  こんな質問しますのは、要するに、モニターを見て、このミサイル日本の領域に入ってくるかどうかを非常に短時間の間に判断をして決断をしなきゃいけないという状況になるわけですね。そうしたときに、統合運用と、ちょっと広義の統合運用から考えますと、いろんな総合判断をしなきゃいけないときに、アメリカ軍のカウンターパートは一体だれになるんですか。疑問があったときに質問する相手、アメリカ軍はだれになるんですか。
  71. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 正に、具体的な運用の段階でどういうふうにインターオペラビリティーといいますか、日米双方の運用の調整を行うかということに係る問題だと思いますが、正に、今現に、事前相談等の、何といいますか、問題点等の相談は始めておりますが、具体的には法案が成立後、より詳細に、いわゆる制服組同士の話も含めまして今後詰めていくべき問題だというふうに思っております。
  72. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私、そこの米軍との統合運用といいますか、広義の統合運用の部分が物すごく大事だと思うのであります。  例えば、中国からハワイに向けて撃ったミサイル、これをモニター上で誤認をして、これは沖縄だと、あるいは北朝鮮が人工衛星を打ち上げようとしたときに、モニター上でこれを見て、いや、これは横田だといってミサイルを発射する可能性はゼロとは言えませんね。どうですか。
  73. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 最初の御質問にかかわると思うんですが、そのモニターは、モニターを見て云々というのは新聞記事的には極めて分かりやすいんだと思いますが、実際はそのモニターに映る前に当然計算をしているわけですね。ですから、センサーで三次元の方向と速度がブースト段階以降出ますと、あとは物理学の計算でほぼ正確に着弾地が予測できると。これがだからモニターの場面に映るのか、それかほかの装置に着弾地の予想が出る、これ、ちょっとでき上がったシステムの問題になると思います。  いずれにしましても、それが正確に出るということで初めて迎撃ができるわけで、それが大幅に狂うようであればそもそも迎撃はできないと、こういうことでございます。
  74. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今おっしゃったことは大変大事なことだと思うんですよ。当然のことながら、モニターというものに集約された情報は総合的な情報であり、しかもそれだけの情報で判断するわけではありませんので、米軍との間にいかに緊密な統合的な運用をしなきゃいかぬかと、正にここに懸かっているわけなんですね。  結局、私が広義の統合運用って言っているのは、一体日本アメリカとイコールパートナーになれるのかどうかと、一体どこまで米軍に頼らなければいけないのかと。こういうやり方未来永劫やっていて、日本の責任ある自国の防衛というのはできると思いますか。
  75. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 防衛をどの範囲までとらえるかと、こういうことにもかかわると思いますが、あえて残念ながらと申しますが、今回の導入を予算化しておりますミサイル防衛システム自体は、これはアメリカで開発をしてアメリカで生産をすると。一部分、日本でライセンス生産をするということもございますが、そういう意味アメリカからの武器導入というものは不可欠ということでございます。  他方、いったん導入された後は、もちろん米国からの情報提供等、それから運用のマニュアル等の共有はもちろん必要ですが、実際にミサイルが発射された後、我が国独自でも使用できるような形でシステムをつくり上げ、運用するということにいたしております。
  76. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 現在の国際情勢考えますと、特に分かりやすい例でありますとテロであります。テロというのは国家主体持たないし、いつどこで発生するか分からない、だからこそ国際協力というのは物すごく大事になってくる。  犬塚先生の御指摘は、正に日本独自の防衛体制ができるんだろうか、こういう御質問でございますけれども、私はそれも大事かもしれない、大事だと思います。でも、やはりパートナー同士がお互いに協力する、情報の面で協力する、運用面で協力する、こういう考え方が正に大事な世の中になってきているんじゃないか。あるいは、同盟国でないものが協力するということはあり得ません。あり得ません。同盟国同士が協力し合って世界の国際安全保障環境を良くしていく、こういう考え方というのは私は大事な考え方だと思っています。
  77. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 長官がおっしゃったこと、全くそのとおりなんですよ。パートナーでやらなければいけないんですね。しかし、今は完全に米軍に隷属をしている状態だと言わざるを得ません。もちろん、米軍がつくったものをかなめにして防衛をするわけですからそれはいいんですが、日本なりの戦略を持って、仮に仮想敵国の一つに米軍が入るぐらいの気持ちでやらない限りはパートナーとは言えないと思います。  そうした意味で、もう一つ聞きますが、このミサイルディフェンスは重層的なディフェンスをするんだと。ブースト段階とミッドコースとファイナルと言っておられるんですが、日本はこのブーストフェーズのディフェンスをやるつもりがあるんでしょうか、ないんでしょうか。イエス、ノーでお答えください。
  78. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) ブースト段階フェーズにつきましては、導入の具体的検討は全くいたしておりません。
  79. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今ブースト段階での導入は全く考えていないというお話でした。  それでは、ここに今年の一月十日の毎日新聞の記事があるんですが、ブースト段階の今エアボーンレーザーという、飛行機からレーザーでやる、あれの共同開発米国日本政府に対して一月の九日の日に非公式に打診をしたという毎日新聞の記事があるんですが、これは事実でしょうか。
  80. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 一月九日打診云々というところはちょっと今確認できませんが、アメリカがそういったエアボーンレーザーについての研究をしていると、それについての説明ですね、説明は事務ベースで受けたことはございますが、そのたびに私どもは今申し上げましたような、我が国としては法律的にも極めて困難な問題があるということを説明いたしております。
  81. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 防衛の問題と政治の問題はきっとそこでごっちゃになる部分があると思うんですけれども、そのブーストフェーズの、外務省の方に聞きたいんですが、ブーストフェーズの防衛をやるときの法律的な問題点というのはどういうところにあるんですか。防衛庁
  82. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) まず、検討の担当者の一人として今までの議論の一部御紹介しますと、まずブースト段階というのは相手国の基地の上空にあるということで、一つは相手国の領域の中に踏み込んで物を破壊すると、こういうことが一つと。さらに、ブースト段階ですので、先ほど申しましたようなまだロケットエンジンが燃焼中ですから、最終的な速度、角度等は決まっておりませんので、どこに着弾するか予測ができないということで、必ず我が国に来るということが確認できないという意味で、多分集団的自衛権の問題と大きく関係をするといったような事情がありますので、極めて法律的に難しい問題があるという説明をいたしております。
  83. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 米国はこのエアボーンレーザーの実戦配備を予定しているんでしょうか。
  84. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 今、現在研究開発段階ということで、まだ具体化をして、何年何月に導入をするといったことが具体化している段階だというふうには認識いたしておりません。
  85. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 アメリカの一番大切なのは当然ながら本土防衛であります。その本土防衛やるためにブースト時点ミサイル防衛もやると、これは明言をしているわけなんですね。そうしたブースト段階の防衛をやるに当たって、日本アメリカの前線基地になるという認識はありますか。
  86. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) まず、繰り返しになりますが、我が国としては現時点におきましてブースト段階のものを導入する意図はございません。あとは、在日米軍基地云々がどういうふうに使われるかという問題だとすれば、これは外務省の方の、日米安保条約との絡みだというふうに理解しております。
  87. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 統合運用の話にちょっと戻します。  各省庁間の統合運用といいますか、の防衛、あるいは情報セキュリティーということについてお伺いしますが、これは七月十三日の日経なんですが、今日、本日、情報セキュリティ政策会議が初会合だという記事が出ているんですけれども、十四日の初会合で、議長が細田官房長官、情報セキュリティ政策会議、これをつくって政府のサイバーテロ対策を検討するという記事があるんですが、今日、官房の方いらっしゃったら内容を教えていただきたいんですが。
  88. 松井房樹

    政府参考人松井房樹君) お答えいたします。  情報セキュリティ政策会議でございますけれども、去る五月三十日にIT戦略本部の中に設置された会議でございまして、委員おっしゃるとおり今日初会合、今日の夕方開く予定になっております。  具体的にはこれから検討すべき情報セキュリティー政策に関します我が国の基本戦略について検討することにしておりまして、そういったことについて今日初会合で検討を始めるということでございます。
  89. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 これの取りまとめが官房で、関係四省庁は警察、防衛庁、総務省、経産省となっておるんですが、防衛庁長官、これ、夕方参加されますか。
  90. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私ども当然防衛庁として参加いたしますが、個人的に言いますと今津副長官が参加予定でございます。
  91. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 副長官に是非これお願いをしたいんですが、情報セキュリティ基本問題委員会の第一次提言に基づいて今日の夕方この打合せが行われると聞いておるんですけれども、その内容を見ますと、第一次提言では政府自身の情報をセキュリティーの対象とするのが今日と。第二次提言では重要インフラ、これは空港、鉄道、電力、ガス、水道、そうした社会インフラ。第三次提言で企業、個人というふうにこれはなっているんですけれども、私、全くこれでは足りないと。一番初めからこういう提言では私は非常に心もとない。やっぱりIW、インフォメーション・ウオーフェアの世界では防御も攻撃もシームレスに考えなきゃいけない世界でありまして、今年はもう既にアメリカでは攻撃の方を準備を進めていると、先般私が指摘した上院の議事録にも載っているんですね。今からこんなことやっているようじゃとても、また後手後手に回るという可能性が非常に高いと思うんですが、是非IWの攻撃の方も併せて検討するように御提言いただきたいんですが、いかがでしょうか。
  92. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 実は大臣の代わりに今日御出席させていただくものですから、昨日事前のレクを受けておりましたが、レクを受けながら、先般の先生の質問などを思い浮かべながら聞いていたところでございまして、私もそういう意見を機会があれば申し上げたいと思っております。  以上です。
  93. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ここで、ちょっと古い資料なんですが、皆さんの注意を喚起したいと思います。  一九九四年にデータストリーム・カウボーイ事件というのがございました。これは九四年、十年前の三月から四月にかけて、イギリスの十六歳の少年が米空軍ローム研究所のコンピューターネットワークに侵入し、これを占拠するとともに、韓国の原子力開発研究所に侵入し、同研究所内の情報をローム研究所のコンピューターにダウンロードしたと。そして、この少年は米国各地の民間企業を踏み台に利用し、攻撃の痕跡を消去していたために、空軍は少なくとも三日間は攻撃されていたことに気が付かなかったというんですね。これが十年前の話です。  今度は五年前の話ですが、米国国防省のエリジブル・レシーバー演習というのがございました。これは、パソコンに精通した職員三十人に、米国、自分自身の送電システム、電話回線など重要インフラの遮断と国防総省へのコンピューターへの侵入をやらせてみたという記事なんですね。三か月後、たったの三十人で電力会社のコンピューターはあっさり制圧され、国防総省も四十回の侵入を許していたという記事がございます。  そして最後に、これは去年の、これは読売の記事なんですが、防衛庁の方はよく御存じと思うんですが、防衛庁の内部資料で、中国の情報戦という想定があったと。中国の情報戦、不気味な動きを分析したと。金融危機を日本に起こし、システムに潜入させておいたウイルスとハッカー部隊で攻撃をし、電力、交通、金融、通信を麻痺に陥れ、社会恐慌、街頭騒乱、政府危機を誘発させる。最後に大軍が国境を越える。同じ時期に、韓国軍のソン・ヨングン司令官は、北朝鮮の精鋭ハッカー部隊、金正日総書記の指示でサイバーテロ能力を強化しつつあるという記事が、これは去年の読売に載っております。  正に日進月歩でサイバー世界の攻防が今行われていると思うんですが、ここでお伺いしたいんですけど、今現状の警視庁のサイバーフォースの取組、三年前に六十名ですか、のハッカー追跡の専門家体制と聞いているんですが、現状はどうなっているんでしょうか。
  94. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 警視庁と申しましょうか、警察庁の方では、サイバーフォースというものを設けまして、各情報通信の専門家がその問題に、様々なサイバー犯罪あるいはサイバー上の問題について、いろいろとパトロール等もしながら、そうした事態が発生したときの状況について、捜査の活用したり、あるいは様々な、何と申しましょうか、いろいろなサイバー攻撃の状況について観測をしているという状況でございます。
  95. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今、何名体制でこのサイバーフォースはやっておられるんですか。
  96. 伊藤哲朗

    政府参考人伊藤哲朗君) 体制としましては、全国で約八十名の要員がおります。
  97. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 三年前に六十名ですから、若干増えておられるんですけど、米国が一千名以上と、しかも、中心になるところ、あらゆる省庁から人間を集めてという体制を考えますと、今日の夕方始まるそうですけれども日本の体制が誠に心もとないと言わざるを得ないと思います。  陸上自衛隊の、平成十六年の防衛力の整備と予算の概要というところで、平成十六年なんですが、陸上自衛隊システム防護隊の新編と、新しく編ずるということが載っているんですが、これの今の現状を教えてください。
  98. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 現状でございますけれども、サイバー攻撃等の防護を任務しておりまして、サイバー攻撃等に対する防護機能を常時発揮できますように、まず一番はシステムの監視、二番が侵入経路の特定、三番、攻撃への対処、こういうことを二十四時間体制でやっておる次第でございます。  通信団の中にシステム防護隊がございます。その下に、隊本部、防護隊、技術隊、三つの隊がありまして、全体で五十名、約五十名の体制でやっております。
  99. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 先ほども申し上げましたが、警視庁の方が今八十名で、陸自が五十名、合計百三十名、ほかにも幾つかあると思うんですが、一刻も早く、統合的に日本の全般の防衛を考えるような統合運用を是非一刻も早くお願いをしたいと思います。  次に、今度はアメリカの本土の防衛と、それから日本の防衛と、この二つがパートナーとして同じ重さで見ているのではないと。やっぱりここに優劣があると。デカップリングがあるんじゃないかというふうに、これはまあ事実だと思うんですけどね、そういうふうに思うんですが、この件についてお尋ねをいたします。  平成十六年度版の「日本の防衛」という資料によりますと、アメリカは、英国とデンマークに早期警戒レーダーの改良を要請し両国はこれを受諾、ロシアとは早期警戒情報の交換に取り組むとしていると書いてあるんですが、このとおりでまずはよろしいでしょうか。
  100. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 防衛白書の記述、その時点で最新のものにしておりますので、そのとおりでございます。
  101. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、六月三日の、今年の産経新聞によりますと、米国防総省オベリング局長が、レーダー情報を常時共有する日米のシステム構築検討に来日したと記事があるんですが、これはこのとおりでよろしいんですか。
  102. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 具体的にちょっと確認する材料を持ってないんですが、いずれにしましても、先ほど申し上げましたように、日米の情報共有というのがミサイル防衛も含めまして極めて重要な課題なんで、いろんなレベルで技術的な意見交換を含めやっているのは事実でございます。
  103. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私が言いたいのを繰り返しますが、アメリカを仮想敵国にしてもいいぐらいのIWの戦略を我が国が持っていて、それを実現するためにアメリカを利用するぐらいのミサイルディフェンスの技術を取っていくんだというぐらいの戦略がなければ誠に心もとないということを申し上げたいと思っているんです。  今お手元に配りました資料をごらんください。沖縄のことについてお伺いします。  私、先般沖縄に行ってまいりまして、そこで沖縄タイムスの記者の人と話をする機会がございました。この記者の方はイタリアに行って取材をしてきたそうなんですけれども、ここで基地の使用について、イタリア上院副議長のランベルト・ディニー氏という人の、これインタビュー記事がここに載っております。イタリアには、御存じのように、NATOの地位協定によって、コソボ紛争のときにイタリア国内の基地が物すごい出撃拠点となって使われたんですね。そのときの話が出ておりまして、激しい軍事行動が住民生活を混乱させたが、同盟の責務と負担は担うということを言っているんですね。しかし、平時の事故のような無謀な犯罪行為の犠牲は絶対に許容しないと、こう言っているわけですね。  まず第一点、伺いますが、沖縄の基地使用について、平時と戦時を明確に区別はしないんでしょうか。
  104. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) お答えいたします。  日本における米軍のための施設・区域提供に当たりましては、これは日米地位協定の規定に基づいて行っているわけでございますけれども、その個々の施設・区域を提供するに当たりましては、日米合同委員会の場での協定を締結をして、その下で位置、範囲等を明記するとともに、使用目的でございますとか使用条件等について規定をしておるわけでございます。  この使用条件につきましては、個々の施設・区域の実情を踏まえながら定めておりますので、施設・区域によってその内容は異なるわけでございますけれども、一般的にいわゆる有事の際の米軍の必要な運用について認めることが前提になっているということでございます。  また、これはもう委員御承知のとおり、日米安保条約の下でいえば、我が国から行われる戦闘行動、これは安保条約五条の我が国有事の場合は除くわけでございますけれども、それ以外の場合の戦闘作戦行動につきましては事前協議の対象になっているということでございます。
  105. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 お手元の資料の一枚目、ごらんください。  これは、基地提供の法的根拠、それから基地に関する協定の再検討及び返還というようなことをちょっと一覧にしまして、一番左が日米地位協定と。右から二番目がNATOの地位協定なんですね。今申し上げた、冒頭申し上げたイタリア軍についてはこのNATOの方は当然適用されるわけですが、驚いたことにNATOの地位協定には基地提供の法的根拠はないと、明記されてないと。基地区域の決定も原則規定されていないと。協定の再検討及び返還についても規定されていないと。にもかかわらず、イタリアでは非常に強腰の交渉をしているわけですね。  例えば、一九九八年二月三日、イタリア北部で起きた米海兵隊戦闘機によるスキー場ゴンドラケーブル切断事故、これがあったときに、米政府はイタリア当局とすべての証拠物件を共有するとして、双方による捜査が進められた、こう記事が載っているんです。これに比べて、沖縄で起きたあのヘリ事故のときには、まず米軍が真ん中にいて、その周り、ドーナツのように県警が取り囲んで住民が入れないようにしてあきれさせたということなんですけど、この違いは一体どこから来ているんですか。
  106. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 御指摘の、一九九八年イタリアでのゴンドラケーブル切断事故に関して御指摘のような報道がなされているということは承知しておるんでございますけれども、具体的にどういうような形で捜査が行われたかということは必ずしも詳細把握していないので、それについてのコメントは差し控えさせていただきたいと思います。  片や、日本における取扱い、これは日米地位協定で定められておりまして、その下で米軍の財産に対する捜索、差押え、検証というものは原則として米軍自身がこれを行うということがございます。ただ同時に、日本側が検証をするということにつきましては、日本側がそういう要請を行った場合には、それに対して米側が協力をする、捜索、差押え又は検証を行うことを約束するという規定が置かれておりまして、米側が日本側のためにこれを行うという手続になっておるわけでございます。  それから、今御指摘のあった昨年八月のヘリ事故のときの現場の状況、若しくは現場をどういう形でコントロールするかということにつきましては、その後日米間で協議をいたしまして、本年四月にその結果というのを発表させていただきまして、内周部分については日米が共同でコントロールをすると、外周部分については日本側がコントロールをするということで整理をした次第でございます。
  107. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 いろいろ取組あるんでしょうけど、現場に行って話を聞いたり見てみますと、とてもイコールパートナーとは思えないんですよ。こういう言い方はちょっとおかしいかもしれない。気に入らないんですよ。日本があたかも米軍の下にあるかのような雰囲気で物事が進められている。  例えばこれ、イタリアの例をまた持ち出しますけれども、イタリアのこの当該空軍基地では、夏の午後一時から四時までの三時間、軍用機は飛べないと。何で飛べないかというと、イタリアの伝統で、これ昼寝の時間だからと言うんですね。昼寝の時間帯は航空機飛ばさないと。自国でやるんだから、そのぐらいのことは私は当たり前だと思うんですけどね。私は、これぐらいの態度で交渉して初めてイコールパートナーだと言えると思うんですけれども、どうでしょうか。
  108. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 政府といたしましても、米軍施設・区域の周辺に住んでおられる方々の御負担、これをできるだけ最小限にしなくてはいけないという基本的考え方があるわけでございます。ただ同時に、在日米軍というのが我が国それから極東の平和と安全に寄与をしていると、そのための抑止力としての存在としてあるわけでございますので、そのために必要な基地の運用と、この二つの命題をどういう形でバランスを取っていくかということが政府の基本的姿勢でございます。
  109. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 おっしゃるようにバランスを取ってやらなきゃいけないというのはよく分かるんです。今、バランスを取ってないためにこういうことを申し上げているわけで、例えば、これまた米軍ロバート・ヤテス准将、第三一航空団司令官のこれ発言が載っているんですが、イタリアのパイロットの話なんですよ。  米空軍のパイロットがそれぞれ一日一回訓練飛行できる回数があればいいと。要するに、パイロットが、米軍のパイロットが一日一回だけ訓練できればいいんだということから計算をすると、必然的に一日何回飛べばいいんだと。昼寝の時間帯を外して、しかもイタリアの場合は夜の十時から翌朝の八時までだと思うんですが、基地は閉まっているんですよね。基地は閉まっているんですよ。オープンの時間とクローズの時間があると。当たり前ですよね、住民がいるんですから。そういうことを決め、一日一回パイロットが飛ばせばいいということを決めると、必然的にスケジュールも決まってくると。そういう交渉をしなきゃいけないと思うんですが。  例えば、嘉手納での飛行は年七万回、一日の飛行回数は二百回を超える。平時、有事の境なく、全く米軍の自由使用が許されており、近隣の皆さんに大変迷惑を掛けているんですが、これ、どう思いますか。
  110. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 恐らく、まず前提としてありますことは、イタリアが置かれている安全保障状況と、それから日本が置かれている安全保障状況、これの違いというのは基本に一つあるんだろうと理解しております。  それから、嘉手納、例えば今御質問がありました嘉手納飛行場等々いろんな飛行場について、日本においても、夜間の飛行活動というのは運用上の所要のために必要なものに制限をされているという一定の制限は課しておるわけでございますけれども、同時に、その運用の所要に必要な場合というのの例外が置かれているということでございます。
  111. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 嘉手納も普天間もそういう決め事がすべて努力目標で、米軍にこれはもうすべて恣意的に任されているんですよね。こういう努力目標は決して日米で決めたというような、そういう決め事ではないんですね。  お手元の紙を一枚めくっていただいて、二枚目をちょっとごらんいただきたいんですが、これ、沖縄米軍キャンプ・ハンセン内のレンジ4の銃器の射程距離であります。一番上に訓練施設というふうに書いてある四角い白抜きのところから、これ、伊芸地区の集落が五百メートルのところにある、そして九百メートルのところにあると。これもう一目瞭然、私もここに行ってきましたが、訓練施設がこうやって見ることできるんですね。同時に、下に書いてありますM16A2ライフルの最大射程距離が三千七百メートル、重機関銃の最大射程距離が六千百メートル。  外務省にお尋ねします。このレンジ4の都市型訓練施設の射撃訓練始まったようですが、これ安全だというふうに考えておられますか。
  112. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 政府といたしましては、御指摘のキャンプ・ハンセンにあります陸軍の複合射撃訓練場、これについては、基本的に安全、環境に配慮した内容になっているというのが基本認識でございます。  ただ、他方、沖縄県、それから金武町等を始め地元の方々が懸念を有しておられるということも十分承知しておりまして、その点を考慮した結果として、キャンプ・ハンセン内の、ありますレンジ16というところの奥に代替施設を建設をすると、そして訓練をそこに移転をさせるというのが基本的方針でございます。
  113. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 危険だとは思えないがレンジ16をつくると、そういう御答弁でよろしいんでしょうか。
  114. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 基本的に安全性は確保されている。これにつきましては、具体的に申し上げますと、射撃用建物では流弾それから跳弾対策として、標的の後方に弾丸トラップを設置をしているということ。それから、野外での射撃訓練というのにつきましては、この写真でいうと北西方向に向けて行うということで、居住地域と全く違う方向に射撃を行うということをとっていると。さらに、米側としては、追加的に、射撃用建物のうち訓練塔に面した外壁に高密度のゴムを設置するということ。それから、訓練のために使用するときは安全管理者等を現地に配置をするという措置をとっているということでございまして、それに基づいて基本的に安全性は確保されているという考えでございます。
  115. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 お手元の資料をもう一枚めくっていただいて、この写真を見ていただきたいんですが、これは伊芸地区の都市型訓練施設建設に反対する人たちが持っていた資料なんですけれども、民家屋上の貯水タンクにこのように被弾している、それから伊芸パーキングの男子トイレの窓ガラスにこのように被弾をしていると。これは事実なんですね。(発言する者あり)そうなんですよ。怖くてトイレも行けないと。こういうものがありながら、危険ではないからレンジ16に移すんだと、レンジ16ができてもレンジ4は相変わらずやるんだという理屈に通らない話は是非やめていただきたい。  特に、日本の、当初から申し上げているように、防衛を考えるときに、やはり米軍の下ではなく、イコールパートナーになるんだという戦略と政治的な意思が私は決定的に欠けていると思います。是非そうしたイコールパートナーに向けての今後の取組の意欲と努力を持っていただくことを最後に両大臣からお願いをしまして、コメントをお願いしまして、私の質問を終わります。
  116. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私、日米関係というのは歴史的に考え直してみなきゃいけないし、この将来の展望を持っていかなきゃいけない。  かつて、安保条約を結びましたときは、日本基地を提供する、アメリカは人間力を出す、人間と物との協力関係であったと思います。しかしながら、やはり日本が主体的に行動していかなきゃいけない。人間と人間との協力関係でなきゃいけない。  したがいまして、今、犬塚先生様々な御指摘がありましたけれども日本もこれから言うべきことを言っていく。これは、今米軍再編成の協議をやっておりますけれども、その中でも私は言うべきことはきちっと言おうと、こういうことを指示しているところでございます。正に、人間と人間の協力によってこれからの世界平和を構築していこう、これが私は最大のねらいであり、それであってこそこの日米関係が世界平和に貢献していくことになる、このように信じております。  先生がおっしゃるように、きちっとした対応をしていかなきゃいけない。こういう問題についても、やはり、今御指摘のいろんな問題ありましたけれども、言うべきことは言っていかなきゃいけない、このように思っています。
  117. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 確かに、戦後六十年たって、日米関係、六十年前、五十年前、どんどん変わってきていると、私もそう思います。何といっても、六十年前は日本米国に負けたというところから出発をして、そして今日の日米友好関係、深いきずながあるということでございましょう。  私はちょっと今先生の話を聞きながら思い出したんですが、私どもの先輩の議員と、二十二年前でしたか、初当選したとき、先輩の議員がどうしてもアメリカ人あるいはアメリカの議員と話をすると気後れすると言うんですね。なぜかというと、この人たちにおれたちは戦争負けたんだと、必ずそれが頭をよぎるから言いたいことの半分も言えないとか、そういう気分にどうしてもなってしまうんだという話を聞いて、私などは、個人的なことを言って恐縮ですが、たまたまアメリカに留学をして、まるでそういう意識がなかったものですから、ああ、そういうふうに、やっぱり先輩というか、実際戦争を戦った方はそう考えるんだなということを痛感をしたことがあります。ましてや、また犬塚先生の世代になってくると、また随分変化があるんだろうと思います。  同じように、国と国との関係も、それを担う人が、先ほど、今、大野長官言われたように、替わってくると随分変わってくると思います。私は、日米関係がそういう意味でイコールであり、パートナーであり、またともに極東あるいはアジア太平洋地域の平和と安全を担う同じ役割と完全に言い切ることはそれはできないと思います、現実に持っている軍事力、その他の力の違いというのがあるわけですから。  しかし、多くの局面において正にイコールパートナーとして様々な一緒にやる行動があり、また対話もあるというふうに思っておりますので、今先生が言われたことをよく頭に置きながら、今後いろいろな日米交渉その他を進めていかなければいけないと、こう考えております。
  118. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 お二人の同僚議員の質疑に関連いたしまして、引き続き幾つかたださせていただきたいと思います。  今、犬塚議員の最後の部分の都市型訓練施設の実地訓練といいましょうか、実弾練習ですけれども、私も過日一緒に行ってまいりました。両大臣、あるいは副大臣いらっしゃいますけれども、沖縄にもそれぞれ行かれていると思うんですが、このキャンプ・ハンセンの、行って地域住民の方々と話し合ってきていただきたいと思いますよ。是非お願いいたします。  私も現場を見て、本当に至近なところに民家もありますし高速道路もあるというところで、伊芸の区長さんから、今、犬塚議員が紹介された写真等を見ながら話し合ってまいりました。是非現場へ行っていただきたいというふうに思いますが、いかがですか。
  119. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は、今年の一月に金武町、レンジ4を視察させていただきました。  誠に、今、齋藤先生がおっしゃったように、道路のすぐわきにある、それから人家から極めて近い、こういう意味で金武町の皆様のフラストレーションというのはよく理解したつもりでございます。そういう意味で、その後レンジ4を移設していこうという話はできたんでありますけれども、その移設する間に訓練をさせてくれということになっているわけでございます。  しかし、先ほどから犬塚先生からも御指摘がありました、やはりこちらからもこういう、話し合ってより良き形にしていかなきゃいけないなと。さらに、機会がございましたら金武町の、そのときは町長さんとしかお話しできませんでしたけれども、金武町の皆様ともお話合いをさせていただきたい、このように思います。
  120. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 大野長官言葉に尽きると思います。  私自身も金武町の、住民の方とは直接お目に掛かったことはございませんが、町長さん、あるいは知事さん、あるいは議員の方々からいろいろなお話は聞いております。嘉数議員からも何度となくこの話も聞いたりいたしております。実態は私なりに認識しているつもりでございますので。  そこで、まあこれを言っても沖縄の皆さん方は余りお認めいただけないんだけれども、いまだかつて、キャンプの中である訓練場を奥に移すというような決断をして、実際それを実行したのは、私は今回が、全部過去をさかのぼれば分かりませんが、多分初めての経験ではないかなと、こう思います。  それはやっぱり地元の皆さん方の懸念にこたえるという、日本政府としてそういう決断をし、アメリカ側とそれで交渉して奥の方に移設をするということを決めたわけでございまして、是非、そういう意味で、住民の皆さん方の御懸念というものを我々も真っ当に受け止めているんだという辺りはひとつお認めをいただければ幸いかなと、こう思っております。
  121. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 近く沖縄へ視察をする計画、今立てておりますので、是非そういう機会をアレンジしたいと思っております。
  122. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 この伊芸区は基地返還というのをかつて求めていなかった地域なんですね、返還ということを。しかし、今回の都市型訓練施設の新たな実施ということで返還ということを打ち出した。ある意味では、そこまである意味では現状と将来について思い、そして町長とも地域住民とも問題提起をしているということですので、是非現場へ行って話し合っていただくということを求めさせていただきたいと思います。  もう一つちょっと気になりますのは、先ほどイタリアの例で、犬塚議員、地位協定の話ございました。問題は国内法令との関係なんですね。日本の国内法令と外国の軍隊の行動についてどう整理をしていくのかということになって、今イタリアの例については国内法令の方が優先しますよという話をしております。  私も、この何年間かいろいろこの地位協定の問題について改定含めまして現実的な様々な問題点含めて話し合ってきて、国会の中でもやり取りしておりますが、例えば、あした私は横田の在日米軍司令官に、在日米軍基地従業員、約三万人以上働く労働者の方々の労働条件問題で国内法令に遵守しなさいよということで、こういう申入れをさしてもらいます。  これは、具体的に言いますと、日本の官民、いわゆる会社員、従業員、社員あるいは公務員も含めまして、日本の国内労働基準法を含めまして労働法である意味では働いているわけですけれども、ルールで。基地従業員の方たちはこの国内法令に遵守されないままの状況が、例えば具体的に言いますと、祝休日休が日本の労働者の方たちと比較して五日少ないとか、例えばもう一つは年間休、休日が翌年二十日とか十五日、多分公務員の方々もそうだと思う、翌年繰越しをします。その繰越しの制度がないとか、えっ、そんなのがというふうなことが出てくるわけですね。  これは、犯罪があったときの米兵の引渡問題でもいろいろ運用、運用でやっている点もありますが、もう一度やっぱり今統括的に、後ほどの質疑にも入っていくんですが、両大臣長官も御説明いただきましたように日米国際関係、そうなんですが、やっぱり本当にいろいろ私も質問をして、国会で仕事をしていますと、我が国は主権国家、独立国家なんだろうかということをいつも疑問に思うと。  まず国内法令に遵守してもらうということについて、日本の国で確かに軍事行動、軍準備活動をするかも分かりませんが、基地従業員のこの様々な仕事に関して日本人の労働者が、日本人の税金で基地を提供して負担をして賃金も払っているのに国内法令も遵守されないなんというのはおかしいと思って、私、実は横田へ行ってけんかをしてきまして、来週時間があれば、このことだけじゃないんですけれども、ワシントンまで行ってこのことも含めてやり合ってくるつもりでありまして、国内法令、地位協定というのは、これは本当に主権国家であるということについての基軸の問題だというふうに思いますので、質問の大部分はこれじゃなかったんですけれども、あえて、なかなかかみ合わない質疑だったものですから、私自身の気持ちも含めて率直に今吐露さしていただきました。長官、いかがですか。
  123. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今、齋藤委員から御指摘の、例えば休日の問題一つ取ってみても労働条件の問題として日本の国内法令にのっとってないじゃないか。これはやはり私は問題だと思いますですね、日本で働いているわけでありますし。そういう意味で問題点をチェックして検討を進めたい、このように、改善されるように検討を進めたい、このように思います。
  124. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ミサイル防衛に関しまして、この間、衆議院の議事録も、同僚議員や与野党議員の議事録を見さしていただきましたり、この参議院でも委員会で大変細部にわたりますこのミサイル防衛に関しましての議論が続いております。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  ミサイル防衛に関連して、究極の防衛というのは一体何なんだろうかなというふうに、こういうふうに思うんですね、究極の防衛というのは。  これも先ほど同僚議員の二人からありまして、それも答弁も聞いているんですけれども、BMDとか次世代の防衛システムを、日米共同による技術研究を進めていくと政府はおっしゃっていますけれども、イージス艦、イージス艦同様、この技術の最重要部分というのは、この中心部分というのはアメリカ合衆国、アメリカにしっかりと押さえられているというふうになっているんではないかというふうに指摘をせざるを得ないんですね。  このBMD、そしてまた次世代システムの研究開発が宇宙、これは榛葉議員もこの前の議論で言っていましたが、かつての国会での決議答弁ありましたが、宇宙の平和利用に抵触しないのかどうかという、こういった観点もあり、このことはまた新たに、防衛であるといったって攻撃にも転化できるとしたら、これは軍拡競争を生み出すんではないかということもあり、この究極の防衛ということについてどういうふうにお考えなのかどうか、まず総括的に長官大臣にお尋ねいたします。
  125. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 大変、究極の防衛という大変大きなテーマをちょうだいしたわけでありますけれども、私はやはりミサイル防衛につきましては、現在の国際安全保障条約、国際安全保障環境というのは言わば抑止力だけでいいのだろうか、こういう問題が一つ出てきていると思います。  抑止力といった場合に、当然ながら、拒否的な抑止力があれば懲罰的な抑止力があるんだと思いますけれども、懲罰的抑止力といった場合には当然この日米関係でやっていこう。この抑止力が利けば、私は本当に究極のと言っていいぐらいのミサイル防衛になると思うんですね。  ただ、今、世の中で、先ほど申し上げましたように、国際安全保障環境が随分と変わってきた。何が一番恐ろしいのか。これは、テロリストがミサイルを持って大量破壊兵器を、攻撃してくる、使ってくる、このことが一番恐ろしいわけでありまして、テロリストに対しては抑止力はなかなか利かない、こういう問題があろうかと思います。そういう意味で、やはりテロリストがミサイルを持つ、あるいは大量破壊兵器を行使すること、これだけは絶対に防止していかなきゃいけない。こういう問題として、私はミサイルが飛んできても必ず撃ち落とせるようなシステムをつくっておかなきゃいけない。  これは、先生、今一番目に御指摘になったのは、アメリカに全部押さえられているじゃないか。しかし、これは今、日米で共同で技術研究をやっておりますし、その中で、四つやっておりますけれども、例えばノーズコーンは日本の技術が大変優秀であります。また、シーカーについてもアメリカが先行しているような格好でありますけれども、やはり日本も少し違った切り口で進歩を遂げている。キネティック弾頭もそうでありますし、第二段のロケットの噴射のところもそうであります。いろんな意味日本の技術が認められている、くる余地は十分あるわけでありまして、このミサイルが正に近代の科学技術の発展に支えられている。このことを考えると、やはりすべてアメリカに押さえられているじゃなくて、こういうような技術面でも、あるいは人間と人間の協力、運用の面でもやはり私は努力していくべきではないか。  それから二番目に、宇宙の平和利用の問題がありました。そしてまた、攻撃的に使えるじゃないか。この点につきましては、もう先生御存じのとおり、国会における宇宙の平和利用の決議につきましては、私どもが云々するわけじゃなくて国会で議論していただく問題でありますけれども、これはやはり問題は、日本が今装備しようとしているミサイルというのは攻撃のために使うものじゃありません。防御のために使っている。しかも、相手国にはほとんど被害ない。何ら被害がない。法律的に言いましても、日本の領域、そして公海の上空、ここで迎撃をするわけであります。相手国に何ら、相手国の被害ということは考えられません。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  そういう意味で、やはり抑止力を利かせたもの、しかし抑止が利かないテロリストなんかの場合にどういうふうに考えるか。やはり撃ち落とす以外に手はないわけであります。そういうことを究極の防衛と言えるのか言えないのか。私は、それは究極の防衛という切り口から言うとイエスとは完全に言い切れない。しかし、日本の守りというのはやはり国の総合力、外交力があって、その外交力を裏付けるものが言わば防衛力であり、経済力であり、文化力であり、人間力である、そういうふうに考えていかざるを得ないのかな。大変難しい問題だと思いますが、私はそのように考えております。
  126. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございます。  両大臣と申し上げましたけれども、究極の防衛と言った以上、長官で結構でございます。  後段の方に触れられた点だと思うんですね、私は。非常に我が参議院の方は外交防衛委員会ということで総合的に、外交防衛という総合的に質疑する場として衆議院と違った意味を持っているということで、私は常々この委員会のある意味では大切さというのを思いながら出席をしております。  そこで、ミサイルで、今、全部アメリカばっかりじゃないんだよと言っているんですが、今回御提案いただきまして資料も見ておりますが、このいわゆる日米共同技術研究の中には、この制御、ミサイル制御、この制御ということについては技術研究の対象になってないですよね。これはどういうような研究対象、アメリカがやるんだということになっているのかどうか、伺いたいと思います。
  127. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 御指摘のとおり、制御、いろいろな段階あると思いますが、最初の情報を得るところですね、センサー部分については協力しております。また、ロケットエンジンの一部もございますが、全体のシステムとしては、これはアメリカ側が単独でやるということでございます。
  128. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 そのことの技術の研究は、例えば日本側から共同技術研究しようではないかとかですね、そういった申入れをしているんですか、していないんですか。
  129. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 現段階におきましては、全体についてやろうということでの申入れはいたしておりません。
  130. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私も必ずしも専門家ではないわけなんで、このミサイルがどう感知をするのか、いわゆる誘導システムすべて、私の聞いている限り、このミサイル制御ソフトウエア、ここの部分に、相当の部分のいわゆる心臓部と言われる頭脳の部分ですね、ここが最大のポイントであるということが、ある意味では科学技術者のこれが常識な世界であると。  このことが、幾ら共同技術研究、ノーズコーン、赤外線シーカー、キネティックなど、まあいろんなことが出ておりますけれども、ここをすべてアメリカ合衆国ですよということになりますと、さっき自衛隊の統合運用の話もあります、これから米軍再編の中でのいろいろ基地の中の共同運用、共同行動となっていくと思うんですが。極論で、先ほど犬塚議員は、仮にアメリカ合衆国を仮想敵国であってもといういろんな様々なやり取りがありましたけれども、我々は、我々自身、我が国の専守防衛ということで、これミサイル防衛ということで共同研究へ入っていくとなると、この心臓部の部分について独自に研究開発していくというこういうまず思想性を持っていかない限り、私は、これはこのこと自身も、先ほど国内法令、地位協定の話をさしていただきましたが、本当に独立国家なんだろうかというふうに思いますけれども、こういうのはけんかしてやり取りするものじゃないんですか、普通。
  131. 飯原一樹

    政府参考人(飯原一樹君) 政策的なところはおきまして、経緯のところだけ御説明させていただきますと、イージス艦システムのスタンダードミサイルの3型、これも実は現有の既にアメリカが開発したスタンダードミサイルをベースにソフトウエア、ハードウエアとも改良、付加を加えてミサイル防衛に使うというものでございます。  また、PAC3も、PAC2という既にアメリカが開発したものを改良、機能を付加してミサイル防衛に使うようにするということでございまして、結局ゼロからプロジェクトを組み上げて日米でやるという経緯ではございませんので、基本的にあるソフトウエア、ハードウエアのところは米軍が既に開発したものを使うというのが経緯でございます。
  132. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ということなんですよね。それが実情なんですよ。  だから、その米軍アメリカ側がペンタゴン、国防総省で開発したもののソフトウエアで、今までそうだし、これからもそうなんですよ。少なくとも、このことについての議論もあったと思うんですが、非常に危ういというふうに思うわけですね。さっきも、白さんの方は安くしなきゃ駄目だよという話をしました、これは税金ですから。それからもう一つは、犬塚さんの方からは、これは何だっけ、サイバー攻撃に対する、あるいはサイバー防御に対する話がありました。壮大な無駄遣いの研究と開発をしているんではないかというふうに思われてなりません。  イギリスのロンドンのテロリストだということでブレアが言った人と、今度捕まえてみたらイギリス人だったということになっていくわけで、これもまた愕然とする思いであって、今こんな膨大な、莫大な金を使うということについて、技術的、研究的にも、点からもいっても、あるいは今のアジアの状況から含めて、果たして、こういったことについて志向していくということについては、本当にこれは国益にかなうことかどうかということについて、肝心なソフトウエアの部分の中枢、コントロール部分についての技術様々をアメリカ自身が持っているということについて、在日米軍基地の状況だということに思うと、本当危惧せざるを得ないんですが、その点について総合的にいかがですか、長官
  133. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 日本は科学技術立国と言われておりますけれども、軍事面の科学技術に対しては一部でやはり拒否反応があるわけでございます。しかしながら、軍事科学技術と民生用の科学技術と、それは接点が十分あるわけでございますから、私は、国の政策としてその辺をどう考えていくのか、これからの課題として取り組んでいかなきゃいけない。恐らく私は、軍事につながっていくものであっても科学技術という基盤を、すそ野を広くして構築していかなきゃいけない、このことが一つの問題点であると思っております。  アメリカの場合には、大変この科学技術の研究開発費を多く持っておりますし、また大学でも研究がなされている。こういう状況の中では、中という状況と比べますと、日本の現在の状況というのはどう考えるか、この点は議論の余地があろうかと思っております。  それからもう一つは、いわゆる人間対人間のイコールパートナーという、既に先ほども議論さしていただきましたけれども、そういう点で、本当に今、我々は日本アメリカがイコールパートナーとしてやっていかなきゃいけない時期が来たのではないか、このように思っております。  そういう両面からこのことを考えて、やはりこの日米協力の中で世界平和を構築していこう、こういう気概を私は日本も持つべきである。日本が平和を唱えているだけじゃなくて、やはり平和を構築というか、私はサポーティングという言葉を使わしていただいておりますけれども、そういう意識を持っていかなきゃいけない。そのことは昨年末の新しい防衛大綱の中でも明記されているところでございます。そういう意味では、人間力とそして科学技術力と、その辺を十分考えなきゃいけないし、特に軍事と科学技術の関係については十分御議論いただきながら物事を進めていかなきゃいけないのではないか、このように思っております。
  134. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 あらゆる武器がこれ無用の長物にならなきゃならないというのがこの人間社会の目標だというふうに思いますが、なかなか人類がそうなってきてないという、愚かな今ずうっと人類の繰り返しだと思うんですね。  ですから、外交でいえば二国間から多国間ということで、当然、日本自身もそういうふうに志向していると思います。防衛交流でいえば、韓国とも中国ともロシアとも、残念ながらこのアジアの中では北朝鮮との関係が非常にこれはもう緊張関係あることも承知をしております。  先ほど、今度サイバーでいいますと、これ前回も犬塚さんが本当に詳しく説明されておりますが、この日本のいわゆる研究、それから体制、サイバー攻撃に対する、非常に後れている、前回に次いで今回も指摘さしていただきました。外務大臣アメリカにもあるいは外国にもいろいろ行かれると思いますが、私は、防衛庁長官を含めて、この部分は日本が最も得意になる分野、日本が最も得意になる分野として行っていくことによって、今予算化もしている、そして今法律として提案しているものについて、変わり得る、変わり得る実は技術分野になっていくというふうに私は信じているんですよ。今一生懸命研究をして、正にこれは専守防衛たる我が国の私は技術開発、研究分野ではないかなというふうに思っていまして、ミサイル防衛ミサイル防衛って、一兆円だなんてやらせたって、いや、これは本当は早くやめてほしいと思いますよ、これ。  しかし、専守防衛という意味で私たちは、我が党は、何か研究していろいろしなきゃならないということについては民主党自身も思っているんですが、技術的にいろいろ研究すればするほど、愚かなことをやっているんではないかというふうに思って、アメリカの軍需産業が一生懸命やって、日本も一緒にやりましょうよというような、時代遅れの今、技術開発、研究を今進めているというふうに思わざるを得ません。  サイバー攻撃、サイバー攻撃、それは攻撃、攻撃という言葉は、これは取りますけれども、サイバーに対するあらゆる攻撃、防御も含めまして一生懸命研究していくと、開発していくと、取り組んでいきますという決意をお示しいただきたいと思いますが。
  135. 大野功統

    国務大臣大野功統君) サイバーの分野、正に齋藤先生がおっしゃったとおり、日本が得意分野とすることのできる分野である、私もそのように思いますし、これからの防衛を考えた場合、情報とかサイバーとか、そういう問題が非常に大切になってまいります。  一段とその辺を十分に研究し重点的に取り上げていかなきゃいけないと思っておりますし、それから、ちょっと先生お触れになりましたが、防衛交流ということも極めて大事、これはヒューマン、人間力の方で大事なことでありますけれども、私は、防衛交流、常に心掛けて、これまでも機会あるごとに日本の防衛政策、日本の在り方等について訴え、各国の首脳、防衛首脳に訴え、かつ相手の言うべきことも聞いてまいっておる、こういうことを続けて努力してまいっております。
  136. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 残り時間わずかになりましたので、ちょっと外務大臣に何点か伺いたいと思います。  先ほどもアメリカの、いわゆるG4の提案に対します国連改革に対して、国連改革のG4の提案に対しまして、アメリカ国連の演説で、いかなる提案もとにかく反対と、しかし日本はいいんだけどということで、G4の提案は駄目ということで、なかなか矛盾しているんです。  十二日に、外務大臣ライスさんが、これは一昨日ですか、来られたときに、お話合いをされたときに、これは報道で、もう国内放送全部でございますが、ライスさん自身はいかなる提案が出てきても賛成できないということを言っていったということで、首相も落胆をされたというのはこれまた見出しとして使われております。  三分の二を確保するために頑張りますという、大臣のこれはまたテレビに対するコメントも私も拝見をしておりますけれども大臣、ニューヨーク行かれるんですよね、週末。行かれるのに、落胆だとかもう駄目じゃないですかなんて言って送るのも何か失礼なんで、私も個人的にもそんなことを言うつもりはないんですが、ただ、ちょっと心配ですよね、本当に。  大臣就任されて以来、だって本当に東奔西走をされて、こういうふうにされてきて、最も信頼する、先ほどの二国間でいうと最大のパートナーが、いや、もういかなる提案でも駄目だよと、反対です、反対しろということでほかの国々に言っているわけでしょう。これは、二国間も一生懸命やってきたんだけれども、一体全体どうなっているんだと、ブッシュさんと小泉純一郎さんのホットラインというのは一体どうなっているんだ、それは言い過ぎじゃないか、ライスさん、あなた言い過ぎじゃないかとかやり過ぎじゃないかということを言ってもいいんじゃないかと思います。  そんな親しさはないものなんだろうかということも、感想も含めて、これからどうされる、どうされるって無責任な言い方ですけれども、本当に外務大臣、大変なことですよ、本当に。本当に今、国益を懸けてやってきていることですので、大臣としての今後の方向、取組について、決意を含めてお尋ねいたします。
  137. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私どもとしては、来週二十日前後にこのG4の決議案採択を求めて、三分の二以上の国々の賛同を得るべく今努力を引き続き傾注をしているところでございます。特に、国の数が多いアフリカとの調整ということが当面一番大きな課題かなと、こう思っておりますから、そういう意味で、先週金曜日の夜、G4とアフリカを代表するガーナの外務大臣とも話をいたしました。  今週、来週、このアフリカ、五十三か国もあるわけでございますので、それらが丸々全部まとまるかどうかは分かりませんが、ほとんどすべての国がどう動くかということが大変この三分の二確保にとっては大きなかぎを握っていると、こう思っておりますので、このアフリカの皆さん方との今様々な接触も、現地の大使館レベルあるいはニューヨークのレベル、あるいは日本からいろいろな、こちらにいる大使館、いろんなルートで活動しているところであります。それらをやってみて、日曜日の日にG4の外務大臣、さらにはアフリカ外務大臣とも話合いをして、その時点で冷静かつ客観的な分析をしてみなければいけないと、こう思っております。  しかし、なかなか国、それぞれの国が最終的にどういう行動に出るか率直に言って分からない部分もございます。したがいまして、完全に読み切るというところまでにはいかないかもしれませんが、大筋の大きな流れだけは把握できるんだろうと、こう思っておりまして、いずれにしても、日曜日に最終分析みたいなものをやりますが、その前提として、どれだけ現在その支持が広がっているのか、また広げる努力が進んできたかということはきちんとやらなければいけないと思います。  アメリカについて御心配をいただいております。  アメリカアメリカのやはり国益というものがやっぱりまずどうしたってあるわけでありますし、先ほどもちょっと申し上げましたように、米国内、米国議会と行政府との関係というものもなかなか微妙なものがあるようでございます。そういう意味で、米国議会を説得する材料が欲しいんだということを二度ほどライスさんもやっぱり言っておられました。そういう彼らの国内事情というのもそれはあるんだろうと。  そういったことを含めて、米国とはしかし幅広い国連改革をしていくんだという方向性、あるいは安保理が現状のままでいいとアメリカも言っているわけではない。常任理事国、非常任理事国の数が増えることについてアメリカも反対をしているわけではないわけでございますので、全くこれで日米間の接点がないと私は思っておりません。  そういう意味で、様々な可能性を追求しながら、とにかく当面はこのG4の決議を通すということに最善を尽くしてまいりたいと考えております。
  138. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 小泉内閣がスタートした時期等についてのこの国連改革に対する取組という姿勢について、私も何回か前の委員会で指摘をしたことがありますが、それはそれで別にいたしましても、現段階、私は、国連改革に取り組むことについて、私自身はこれはもちろん頑張っていただきたいということを申し上げざるを得ないわけで、そういう意味で姿勢は変わらないです。  ただ、当初から若干予測されたとはいえ、大変厳しい、大変衝撃だと私は思っていまして、そのことがまた、今後仮に、日本自身が今度、残念ながら結果というふうなことを今言うのも大変失礼かも分かりませんが、私たち思いたくもありませんが、国連をやっぱりこれから改革をしていくということで、今回のやっぱり様々な経過や取組に対し総括する上に立って、国連ということについての必要性については追求をしていくということについては、大臣、変わらないでよろしいですよね。
  139. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員御指摘のとおりでありまして、日本の外交の基礎は、一つは日米同盟、一つは国際協調、なかんずく国連というものに私どもはかねてより重きを置いてやってきているわけであります。  その国連が、六十年前にできた当時と今とでは、もう言うまでもなく非常に様変わりの国際環境があるわけでありまして、その国際状況を的確に反映をした国際機関の在り方、国連の在り方であるべきだろうし、安保理においてもまたしかりだろうと、こう思っております。  そういう意味で、今後とも、国連そのものの機能をより効果的に、より実態を反映する組織、形態にするために、これは安保理のみならずいろいろな面での改革はやっぱりしていく、その努力日本は引き続きやっていかなければいけない、かように考えているところであります。
  140. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 残りわずかになりました。米軍再編について、スケジュール的な点についてお伺いしたいと思います。  先日、防衛庁長官が、米軍再編について九月にも中間報告、日米政府が調整ということで、いわゆる外務、防衛当局の審議官協議などで九月の公表を目指す考えで一致をしたと、それから再配置の対象となる個別基地についても、様々な別な問題についての方向を打ち出して地元調整にこの段階から入っていくと、こういう報道でありました。  これは、地元調整に入る、この九月にも中間報告をして、その後地元調整に入って、そして最終的には日米首脳会談なんでしょうか、こういった流れについて、これ防衛庁長官の記者会見のようですので、外務大臣、これは一致した多分考え方でいられると思いますが、まず相違はないんですねということが一つ。そして、このことについて、具体的な今後の進め方についてお伺いしたいと。  あと一つですけれども、関連いたしまして、先ほど、冒頭、基地従業員、労働者の話をいたしました。絶えず非常に不安定な中におります。基地が整理、縮小されますと、解雇かあるいは異動ということになっておりますが、これは我が国自身がいわゆる政府雇用で、使用者が米軍ということなんですが、政府がきちんとやっぱりいろいろこの雇用関係については責任を持って当事者としてしているわけで、あらゆる状態について責任を持って政府として対応していくと、今後起こり得る状況に対してですね、こういうことで基本的な考え方をたださせていただきたいと思いますが、二つについてお尋ねいたします。
  141. 林芳正

    委員長林芳正君) 時間が参っておりますので、簡潔に御答弁お願いいたします。
  142. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、米軍再編成のスケジュールの問題でございます。  これは中間報告として、それぞれの役割、任務あるいは能力ということについてのみこの中間報告を出すのであれば簡単でございますけれども、やはりその中にあらあらとした各基地の方向付け、この程度は入れた方が全体の議論を加速できるんじゃないか、全体の決着を加速できるんじゃないか、こういう考え方もありまして、やはりそこまでやっていくのが筋かな、そうなりますと、やはりもう少し時間を掛けなければできないのではないか、今現在何ら決定したものはございません、具体的な基地、施設等につきましては。そういうことで九月ごろを目標にしてそういうあらあらとした方向、細かなことは別としまして、どの基地はどういうふうに考えようと、この程度のことは同時に書き込んでいこうじゃないか、こういう点ではお互いに共通の認識が今できつつあるように思います。  それから、それがいつやるのか。それはやはり私は、あらあらとした方向が内々にでき上がったところで各市町村、地方公共団体等の皆様に御理解を求める行動を開始すべきじゃないか、このように思っております。したがいまして、今どの時点か、どの時点でそれができるのかなと、私は九月ごろまでには中間、九月ごろには中間報告を出させていただきたいなと思いますんで、なるべく早くこの今の協議を、日米間の協議を早く進めていかなきゃいけない、このような思いでございますけれども、今現在、何月何日にどうするということは言えない段階でございます。  それから第二の問題として、齋藤先生が御指摘になりました例えば基地縮小後の離職者の問題あるいは配置転換の問題、こういう問題が起こってくる可能性は大でございます。したがいまして、そういう方々、駐留軍従業者の皆様の処遇の問題について齋藤先生大変御心配をいただいた御発言でございました。私は、齋藤先生の御心配、御配慮を十分身にしみて聞いておりました。その点につきましてはその方向で努力していきたい、努力する、このことを申し上げたいと思います。
  143. 林芳正

    委員長林芳正君) いいですか。
  144. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) じゃ、一言だけ。  再編スケジュール、今、防衛庁長官言ったとおりでございます。
  145. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 まず、日本ミサイル防衛で協力する米軍のシステムについてお伺いしたいと思います。  米軍は弾道ミサイルの発射や飛行を捕捉するために、地上レーダーや艦載レーダーだけでなくて、早期警戒衛星も当然使用するものと思うわけです。衛星の能力はより早い段階での脅威への対応に重要だということでしょうけれども、兆候やブースト段階においてそれがどういう役割を果たすのか、お伺いいたします。
  146. 大野功統

    国務大臣大野功統君) ブースト段階での、日本ミサイル防衛システムというのはブースト段階での迎撃は考えておりません。すなわち、ミッドコースになりましてから方向とか高度とか速度とか、これをきちっと精査して、日本に飛来することが確実になってから迎撃するわけでありますから、ブースト段階においての警戒、早期警戒衛星はどのような役割を果たすのかということで考えてみますと、やはり発射した、これがいち早く分かるわけであります。このことは、やはり日本のBMDシステムに対して補足的に役に立っている、このように思います。  しかしながら、ブースト段階の、初期のブースト段階の問題でありますから、そこは仮にないとしても、迎撃態勢は取れる。しかし、早期警戒装置があった方がより完璧にやれるのではないか、このように認識いたしております。
  147. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 発射がいち早く認識できるというのは当然のことだと思います。  長官が、当委員会でも答弁で、地球は丸いわけで、レーダーだと発射段階とらえられないと言われた。まあ、それはそういうことになると思うんですね。ですから、当然、衛星を持つ米軍日本よりも早く弾道ミサイルの発射をとらえることができる、このことは当然だと思います。これは自明のことですのであえてお聞きしませんけれども、そうだと思うんですね。  そうすると、米軍のMD構想では、弾道ミサイルが発射された場合、真っ先に情報をつかみ、発射されたと判断できるのは日本ではなくて米軍ということになりますよね。
  148. 大野功統

    国務大臣大野功統君) その点でございますけれども、それは本当に秒単位の差であろうかと思います。つまり、どの地域からミサイルが発射されたか、ローンチされたか、この問題は静止衛星、早期警戒衛星の方が早く分かるわけでありますが、しかしながら、その方向にレーダーがあれば、レーダーを配置してあれば、もう本当数秒の差であろうかと、そういうふうに認識いたしております。
  149. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 今の、今までの大臣答弁から、能力の問題として私は一般的に聞いているんですが、差は若干あっても、いずれにしてもはっきりしていることは、やはり米軍の衛星がそれを先に捕捉するということは明らかだと思います。  そうすると、その点で考えたときに、長官、繰り返し日米の情報の共有が重要と御答弁されております。発射の兆候やブースト段階で捕捉するとすると、そういうことになると、まあこういうことでいうと、技術的に言えば、日本米軍の協力を得ることなしにはその兆候や発射をとらえることはできない、そういうことになると思いますが、いかがでしょうか。
  150. 大野功統

    国務大臣大野功統君) その点は、今申し上げましたとおり、ほんのもう秒単位の話になるわけでありまして、早期警戒装置についてはそのような問題であるし、それからその他の分野、その他の面で申し上げますと、アメリカのイージス艦が日本の近くに来ている、そういう場合にはお互いに共同で情報を交換し合う、こういうこともありますから、情報交換といった場合、日米間で行われるものは、早期警戒装置を含めて、その他のレーダーの情報交換もあるわけでございます。
  151. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 政府委員答弁でも、ミサイルの飛しょうがあった場合には、適切に米軍の監視衛星からの情報が得る手続になっておりますと、そういう答弁があるわけで、秒単位のということを強調されますけれども、いずれにしても時間の差で、最初にそれを察知するのが米軍だということは、技術的にも、またシステムの上からも当然だと思うんですよね。  そうすると、こういうことになると、結局、衛星を持っているのはアメリカだと、それからまた、ブースト段階の対応でレーザー攻撃ということを、研究開発を今進めているのもアメリカだということになります。日米のシステムを全体としてとらえてみると、弾道ミサイル発射の兆候から捕捉まで一貫したシステムを持つのは当然アメリカなわけですね。  そうすると、私は、以前から長官が主体的に自己完結的にできるということを繰り返し答弁されておりました、私の質問に対してもそう答えられた。しかし、やはり自衛隊はシステムの全体のうちの一部についての役割を担うということを言わざるを得ないと、そういうことになると思います。
  152. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私が従来から度々申し上げておりますのは、アメリカの早期警戒情報というものは確かに役に立ちますと。だけど、それがなくても自己完結的に日本ミサイル防衛日本に飛来するミサイルは迎撃できますと、こういうことを言っているわけです。  で、それを言わば、どう申し上げたらいいんでしょうか、できますけれども、やはりお互いに情報交換した方がより安心ができると、こういう問題はあると思うんですね。そういう意味での日米関係ということであります。
  153. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それでは、ちょっと別の角度から質問したいんですが、そうすると、日米ミサイル防衛システムの運用がどうなるかということになるわけですけれども、システムの運用についても今正に大臣がおっしゃられた日米間の協力で一緒にやっていった方が効率的だし、また効果的でもあると、そういうことになりますよね。
  154. 大野功統

    国務大臣大野功統君) お尋ねの趣旨がどういう趣旨か分かりません。お尋ねの趣旨日米共同のミサイルを持って迎撃しろということであれば、それは答えはノーでございます。日本日本としての……
  155. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 運用のことです。
  156. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 日本日本としてのハードを持って、それに日本の自衛官が乗り込んで、乗ってやるわけでございます。  運用につきましては、お互いに情報ということを共通にシェアし合う。さらに、レーダー、ミサイル防衛のレーダーに掛かってくる情報だけではありません。このミサイル防衛をやる場合の情報というのは、あらゆる国際上、国際情勢の情報から、あるいはヒューミントによる情報から、いろんな情報があるわけですから、そういう情報の共有あるいは分析、これは大変大事なことだと思って、そういう意味での共同は大変大事なことだと私は思っております。
  157. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そういう意味でお聞きしました。  ですから、その意味で、つまりシステムの運用について、やはりシステムの運用としての日米協力が大事だということが大臣の御認識だということは分かりました。  それで、次にお伺いしたいのは、じゃ、今度の再編で、航空総隊司令部を移転させ共用化すると言われている横田基地についてなんですけれどもミサイル防衛を念頭に日米の統合共同作戦センターをつくる方向での検討があると、そういう報道があるんですけれども、そういうものはつくられるんでしょうか。
  158. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 具体的な話はまだ私は聞いておりませんけれども、そのように日米で共同対処するということを話し合う、このことはあり得ると思っております。
  159. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 アメリカ側から既にそういう構想がかなり具体性を持って語られているわけですね。ここに資料がありますけれども在日米軍のブルース・ライト司令官は五月の十一日に日米エアフォース友好協会で講演をしております。そこでこう言っているんですね。  統合共同指揮統制の将来ビジョンと題する講演の中で、衛星、AWACS、イージス艦、ペイトリオットミサイル、地上システム等が全体を通して円滑に機能するためには、日米双方の各コンポーネント間での情報共有と指揮統制の演習が極めて重要になると述べております。  この発言を見ると、一つは、日米は一つの基地に一緒に司令部を置くということ、そして、それぞれが取られた情報をお互いの部隊の間や司令部でリアルタイムで共有するということ、三つ目に、指揮も同じ場所でやるということを考えているということがこの講演から浮かび上がるわけですね。  そういうことは検討されているんですか。
  160. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、問題といたしましては、お互いに情報交換なり話合いによって共同で脅威に対して対処していこう、このことはもう当然のことでございます。したがって、そういう意味で情報交換をやる等でございますけれども、情報共有の在り方も含めて様々な議論はやっております。緊密な協議をしていくことには間違いありませんけれども、今先生のおっしゃったような、すべて共同で運用するとか、そんな話はまだ全然ございません。
  161. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 具体的に聞きますけれども、一つの基地に一緒に司令部を置いて、そして指揮も同じ場所でやるというそういう可能性、そういう検討ってあるんですか。
  162. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 例えば、同じ基地アメリカの司令部もある、日本の司令部もある、こうすればお互いの意思疎通が良くなるじゃないか、こういう話は当然ながらあると思いますけれども、具体的にそれが決められたとか、今の先生が御指摘の新聞報道のようなことはまだ全然決まっておりません。
  163. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 新聞報道じゃないんですよ。ライト司令官が、正に専門家を前にして、自衛隊の現職の職員もOBも前にして、日米エアフォース友好協会の中で述べている講演なんですよ。  それで、もう一つ具体的に聞きます。  そういう講演の中でこれが述べられた、今聞いたことですね。もう一つ、お互いにオペレーションの中で各部隊、司令部の間でリアルタイムで情報を共有する、交換する、これはもう既に行われていることがかなりあると思いますけれども、こういうことになっていくのか、それもお答えください。
  164. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、情報の共有の問題でありますが、リアルタイムで共有するのか。  これは、そういうような日米間の情報伝達方法の一例としまして、日米間でデータリンクを用いてやるとか、そういうことは考えられますけれども議論をしている最中でございます。  それから、ライト司令官は私も度々話をします。一緒に、司令部同士が一緒に話合い協議をやるというのは共同対処をするとき望ましいなという話は聞いております。しかし、共同で運用しようというようなことではございません。
  165. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ライト司令官は、この講演を読みますと、こういうことも述べているんですね。両国が肩を並べて二十四時間、三百六十五日一緒に仕事を行うため、指揮統制体制の確立に向けた訓練が必要だと、将来的に統合共同作戦センターを打ち上げたいと、そう言っております。  大臣御自身の御見解としてお伺いしますけれども、こういうライト司令官が述べている方向に大臣賛成ですか。
  166. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、ライト司令官が述べているのが具体的にどのようなものか、これはもう少し私も勉強してみないと、一概にここで回答するわけにはいきません。  しかしながら、お互いに情報交換をすること、そして相談をし合っていくこと、これは大事なことだと思っています。そういう前提の上で、お互いに日本の自衛隊とアメリカの兵隊が一緒になって行動するという意味をもう少しきちっと考えなきゃいけない。それは私は別であります。別であるけれども、同じ共同対処をして、同じ情報に基づいて同じ方向で行動していこう、こういうことはあり得るのではないか。しかし、そういう議論を今正にこれからやっていかなきゃいけない、こういうことであります。
  167. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣日米間の緊密な協力が極めて重要であるということを今も述べられたし、前からも述べられていますね。その行く末は何かというと、結局、アメリカのライト司令官の言葉にも示されているように、結局、二十四時間、三百六十五日一緒に運用しようということです。  ですから、先ほどから日本が自己完結的にということで日米一体化というのは当たらないと言われるわけですけれども、私はやはり、アメリカの構想、そして日本がその構想に緊密に協力していくということになったときには、やはり私は結局一体にならざるを得ないと、そのことを大変危惧するということを意見として述べておきたいと思います。  そして次に、私、具体的にお伺いしたいんですけれども、共有する情報がどこまでの範囲で使われるのかという問題です。  自衛隊のイージス艦や地上レーダーがとらえた情報は、在日米軍と共有するだけではなくて、例えば北米航空宇宙防衛司令部などアメリカ本土の指揮中枢にまで伝達されるのかどうか、お伺いいたします。
  168. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 通常でありましたら、同じような戦略地域の中で共有していくのが情報でございます。そういうことが後どういうふうになっていくのか。  まず第一に申し上げたいのは、第三国のための情報ではない。これは絶対ありません。第三国のための情報共有ではない。そういう問題はきちっとしておかなきゃいけません。  次に、弾道ミサイルの対処に関する具体的な、情報共有に関して具体的な在り方というのは、今後きちっとアメリカ協議してやっていかなきゃいけない。通常であれば、この戦略地域での情報共有ということになりましょうが、それは当然アメリカとしてどういうふうにという話がまあ出てくると思います。そういう問題につきましてはきちっとやっていかなきゃいけない。  あとは、強いて言えば、集団的自衛権というような問題もありましょうが、日本が取る情報というのはあくまでも日本の防衛のための情報である、このことをはっきり明快にしておかなきゃいけない、こういう問題点はあろうかと思います。
  169. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 アメリカ本土の中枢部に行くかどうかについては、実際アメリカがそれをどう扱うか分からないという、そういう話になりますよね。正にそうだと思うんですね。  つまり、アメリカのMD構想というのは、既にNMDとかTMDを区別なくして、アメリカ本土の防衛、前方展開部隊の防衛、同盟国の防衛、それを全部一体化して考えているわけですよね。ですから、日本は区別してもアメリカにはそういう区別ないわけですよ、第三国だどうこうということもですね。  ですから、そうなると、自衛隊が収集し、日米で共有する情報というのは、日本の本土防衛のみならず、やはりアメリカ本土や日本領域外の米軍部隊を防衛するためにも活用されるということは否定できないんじゃありませんか。
  170. 大野功統

    国務大臣大野功統君) それは私は否定できないと思います。  しかし、これは前にも申し上げたことだと思いますけれども、こういう情報がある、したがって何度、何時何分の方向で撃てとか、高度何キロのところで撃ちなさいとか、そういう指示は絶対してはならない。こういう歯止めはあると思います。  ただ、日本の防衛のために収集した情報をアメリカに提供する、パートナーであるアメリカに提供する、アメリカの集めた情報を日本がもらう、こうして情報を共有し合うこと、これは極めて大事なことだと思っています。
  171. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 いみじくも大臣が否定できないとおっしゃられた。つまり、日本領域外の米軍部隊を防衛するためにも活用される可能性があるということは、私、非常に重大な御答弁だというふうに思います。  時間ですので、最後にお伺いいたします。  長官は、ブースト段階の迎撃や敵地攻撃は、理屈ではできるが政策判断の問題としてやらないという見解だということを述べられたと思います。  今後、米国から求められたらそれにどう応じるのかという問題なんですけれども、オベリング・ミサイル防衛局長は、航空機搭載レーザーは将来期待の持てる技術であり、日本ミサイル迎撃で直面しそうな時間的制約に対しても対応可能だと、そうした上で、ブースト段階日米協力についても我々は何も排除しないと、そういうふうに講演しているんですね。  日本の協力を、大臣はその点についてどうお考えになるのか、お伺いします。
  172. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、何度も申し上げておりますけれども、一つは、ブースト段階では日本ミサイル迎撃は考えてない、というよりも、考えられないと言った方がいいと思います。なぜかといいますと、ブースト段階ではミサイル日本に飛来してくるのかどうか分からない、これが問題であります。  したがいまして、この段階でのいろんな様々な提案があるとしても、そういうことを念頭に対処していかなきゃいけないんだろうと、このように思っております。  それから、敵地の問題であります。  法律の歯止めとして、法律の歯止めとして、御存じのとおり、日本の領域並びに公海の上と、こういうふうになっているわけでございます。そこで初めて日本に飛来することが明快になる、ミッドコースに入ってくるということでありますから、法律の縛りはきちっとなっているわけですね。しかも、このシステム自体が敵地まで行かない。仮に公海の上空で撃ち落としたとしても、被害は敵地には、相手国には及ばない、こういう状況になっているわけであります。  したがいまして、ブースト段階について様々な提案がある、これに対して、先生は、どういうふうに日本は対処するんだと、こういうお尋ねでございます。  そのところは私ども検討はしておりませんけれども、検討する場合に、今申し上げたような柱をきちっと踏まえながら考えていかなきゃいけない、このように思います。
  173. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 アメリカは、ブースト段階も含めて日米協力について何ら排除しないという、そういう構えなんですよね。やはり、私はそこに大変な奥深さと底なし感を感じるわけです。そのことを述べて、時間になりましたので、質問を終わります。
  174. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 大野防衛庁長官にお伺いいたします。  去る七月五日の本委員会で、今回の設置法等の改正によって権限を有する統合幕僚長を設置する必要性についてお伺いしましたところ、長官は、安全保障環境が変わってきているので、昔のような陸海空それぞれ単独のファンクションだけでは対応できない、そういう意味で統合運用ということが必要になってきているし、三自衛隊を迅速かつ効果的に運用していかなければならないからだという趣旨の御説明でした。  しかし、一九九八年四月の自衛隊法の改正によって、同法第二十二条一項及び同二項において、防衛出動、治安出動並びに海上警備行動、災害派遣、地震防災派遣、原子力災害派遣その他の事由により必要がある場合、陸海空各自衛隊の部隊が二以上から成る特別部隊を編成し、かつ第三項では、その特別部隊を統合幕僚会議の議長が防衛庁長官の命を受けて指揮に当たれるようになりました。  つまり、現行法下でも統合幕僚会議の議長が陸海空各自衛隊の統合運用の任務に当たることは可能であります。なぜ改めて法改正が必要なのか、いま一度御説明ください。
  175. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今、大田先生おっしゃっていただきましたように、まず一つは、時代の要請があると、こういう問題点であります。それからもう一つは、脅威の在り方が、抑止力で対応するのか、それとも実際に対応力、対処力でやっていくのか、こういう違いができてきていると思います。  したがいまして、自衛隊といたしましては、任務の迅速かつ効果的な遂行をやっていかなきゃいけない。しかも、今申し上げたような統合運用の場面が増加していることも言うまでもありません。さらに、統合運用をやることによりまして、私は、資源を節約できる、資源を効率的に使用していく、このことも考えなきゃいけないことだと思っています。もう一つ言えば、これはもう世界の流れ、潮流である。  こういう観点から、先生は、一九九八年の改正があるから十分じゃないかと、そういう考え方よりも、むしろ、やっぱり統合運用というのは原則なんだと。この原則に従って今の日本の防衛を考える場合に、時代の要請、対処力、迅速な行動、資源の効率化、こういう面を重視すれば、私は当然ながら統合運用ということを考えるべきだと、このように思っております。
  176. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 失礼ですが、お聞きしていてもよく意味が分かりません。  つまり、一九九八年のあれでは足りないということなんですか。どこが足りないんですか。
  177. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 統合調整ができるという問題と、それから原則的にこの陸海空自衛隊が統合運用されるということは、迅速性の面、これで大いに変わってくるのではないでしょうか。それから、この問題は、じゃ、統合調整しましょう、しません、こういう議論を省くことができるわけですね。さらに、時代の要請として、脅威の在り方が統合型でないとなかなか対処できない、こういう問題がある。再度説明させていただきますけれども、そういう問題があろうかと思います。
  178. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今回米国から購入し、海上自衛隊のイージス艦に配備する迎撃ミサイルSM3が迎撃できる高度はおよそ何キロですか、教えてください。
  179. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、概要でございますけれども、高度百キロメートル以上、高さは百キロメートル以上の弾道ミサイルを迎撃するということであります。その平面での半径、平面での範囲は半径数百キロというふうに考えて、数百キロでございます。
  180. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 去る四月二十六日の衆議院安全保障委員会の参考人質疑で、慶応大学の神保謙参考人の陳述では、今度取得、収得するMDシステムは、高度百六十キロから二百キロに対応すると解説されています。つまり、今度配備するSM3の射程距離は百六十キロから二百キロと考えてよろしゅうございますか。
  181. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今の先生がおっしゃった百数十キロ、これは、こういう目標を破壊したということは事実でございます。SM3の発射試験につきましては、地上試験やコンピューターシミュレーションと同様、能力確認のための一連の試験の一部として行われたものであります。  今の百数十キロという問題点でありますが、その試験の一部として様々な試験目的及び制約の下、大気圏外の百数十キロの高度における迎撃を実証するものであります。しかしながら、これをもってSM3が百数十キロまでしかできないよというものではありません。
  182. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 北朝鮮のノドンミサイルは射程距離千二百キロから千三百キロと言われていますが、それが最長弾道で発射された場合の最高到達高度、つまりミッドコースの高度はおよそどれくらいになりますか。
  183. 大野功統

    国務大臣大野功統君) ノドンの射程は約千三百キロ、正に大田先生御指摘のとおりであります。なかなか透明性がない国でありますから、その性能の詳細というのは確認されておりません。一般的に射程千キロ級の弾道ミサイルの最高高度でございますけれども、まあ三百キロぐらいかなというふうには言われております。
  184. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 弾道ミサイルの最高到達高度は射程距離の三分の一から四分の一程度と言われておりますが、だとしますと、ミッドコースの高度は今おっしゃったように三百キロから三百二十五キロ程度となります。しかし、SM3が届く高度はせいぜい二百キロだと言われておりますが、これではノドンに届かないと思いますけれども、その辺の整合性はどのように認識なさいますか。
  185. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 先ほど申し上げましたように、まあ百数十キロというのが、これ限界を示すものではない、こういうことを再度申し上げたいと思います。詳細につきましてはお答えを差し控えさせていただきたいと思います。
  186. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 つい最近号の、七月二十七日付けのサピオという雑誌に、「一兆円MDシステムでは金正日のノドンを一発も撃ち落とせない」という見出しで記事が載っています。それによりますと、マサチューセッツ工科大学のセオドア・ポストル教授、この方は専門家だそうですが、この方が、ミサイル防衛の重要な役割を担うPAC3は、システム上の欠陥と運用上の難しさを抱えている旨指摘していると報じられております。  すなわち、ノドンミサイルの射程距離は、先ほど申しましたように約一千二百キロから三百キロメートルと言われておりますが、これは日本全土を射程に、日本全土が射程に入ると言われておりますけれども、発射されると秒速約三キロメートルという速さで飛行するとのことです。しかし、PAC3はトップスピードで秒速一・五キロメートルだとのことです。したがって、一兆円近くも掛けて導入を図っているミサイル防衛システムの中でも重要な、特に重要だとされておりますPAC3が期待どおりの機能を発揮できないというわけであります。PAC3はいまだ長距離ミサイルの迎撃に使用されたことがないし、米軍は射程距離五百キロメートル以上のミサイルの迎撃実験をしていないと。そのために、ノドンミサイルの効果と客観的評価はいまだ未知数だということがこの教授の説なんですが、その辺についてどういうふうにお考えでしょうか。済みません、これは通告はしておりませんけれども、どなたでも結構でございますので。
  187. 大野功統

    国務大臣大野功統君) よろしゅうございますか。  それでは、事務方から答弁させます。
  188. 林芳正

    委員長林芳正君) 登録がないんで、駄目です。
  189. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 登録がない。  それでは、きちっと精査いたしまして、後ほど先生のところへお答えをお届けします。
  190. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 町村外務大臣にお願いいたします。  去る十三日の衆議院外務委員会で、社民党の東門議員が、高校生のころ米兵から性暴力を受けた女性が稲嶺知事にあてた手紙について答弁されておりますが、これが今沖縄で大変な反発を買っております。その経緯について、それから真意について御説明いただけますか。
  191. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 経緯というか、東門議員がお手紙を急に読まれまして、何か感想はありますかと言われたもんですから、ちょっと私、正確に今一言一句覚えているわけじゃございませんけれども、その被害に遭われた方のお気持ちはそれは大変なものがあっただろうから、それはそれで受け止めなければいけないということは申し上げました。  また同時に、そのお手紙の中に、米兵の仕事は人殺しの術を学ぶことであると、そのために訓練しているというくだりがあったものですから、確かにそれは軍隊、軍人というのは本質的にそういう性格のことはあるけれども、しかし、軍隊というのは、その軍備、軍事色を持つがゆえにそれで平和が保たれてきたと。戦後の日本が平和を保たれてきた、それは日本の自衛隊の力であると同時に、米軍の力、抑止力、そしてそれが働いてきたと。そういう側面もあるということも是非理解をしてもらいたいということを述べたわけでありまして、僕は何も、その方の考えというか、その手紙を批判をしたりとかなんとかそういうことではなくて、感想を述べなさいと言われたもんですから、お気持ちはよく分かると、ただ軍隊にはそういう側面、人を殺すというそれだけの存在だという言い方というのはいささか一面的なのじゃないんでしょうかという感想を述べたわけでございまして、何かこれ、今ちょっと手元に新聞記事が届きましたけれども、その女性の方のお気持ちなりを別に何も批判をしたりなんなりというつもりは全くございません。
  192. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 つまり問題は、軍隊を置いていることによって平和が保たれるということをおっしゃるわけなんですが、沖縄では軍隊がいることによって事件、事故が起こっているわけなんですね。先ほど同僚議員からも質問がありましたけれども、有事の際と平和の際と全く区別のない状態が今起こっているわけです。前回も申し上げましたが、復帰した後、既に四万二千件以上の事件、事故が起こっていて、今申し上げた婦女暴行とかというそういう刑法犯罪でも五千件以上起こっているわけですよ。  ですから、今沖縄県民が非常に怒っているのは、被害を受けた女性の痛みというのが全然分かっておられないということで怒っているわけです。その辺の、ですから、そういう点、先ほど、有事と平和時においても全く変わりのない状況が起こっているものですから、例えば地元の人たちは、外務省の北米局長にしても一度でいいから沖縄に来て三か月ぐらい生活してください、どこに平和があるか、絶えず命の危険にさらされて、今申し上げたような不幸な事件が次から次へと起こっていると。安全対策を取っていると言うけれども、全く効果がないわけですよね。  そして、その場合に、前回、外務大臣が、日本人の間でも似たような事件、事故が起こっているという趣旨発言がありましたが、これはちょっと信じられない。そういうことをおっしゃるということは、到底沖縄の人たちの気持ちがお分かりではないというふうに申し上げなくちゃいけないわけですね。  ですから、その辺を、外国の軍隊が来ていて、しかも国民の平和と国民の生命、財産を守る、そのためにいるんだといいながら、現実には沖縄の住民の生命と平和が毎日のように侵されているわけですよ。それをどういうふうに本当に整合性を持って、日米安保条約が国民の生命、財産を守り、そして、その地域あるいは国の平和と安全を守っているということがどういうふうにして整合性を持ち得るんですか。
  193. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) どうもこういう、私、いつもマスコミというのは、別に批判するつもりもありませんけれども、ある一言だけをとらえてそれを批判するというのは誠に残念なことだと思っております。答弁全体を、発言全体を見ていただきたいと思っております。  その性犯罪が、何も私は、一般的にあるんだから米軍の性犯罪を正当化しているかのごとき報道になってしまうのは、誠にこれは遺憾千万でありまして、それは米軍であれ日本人であれ、そういう犯罪が非常に最近増えてきているということは非常に残念なことで困ったことだということをまず申し上げたわけでありまして、一般的にどこでもあるんだから米軍のそうした行為がいいんだとか、そんなことを言うつもりで言ったわけでは全くないということをまず一点御理解をいただきたい。  その上で、なおかつ、米軍がいるということで米軍人によるこうした問題が沖縄に起きているという事態を認識をしているからこそ、私どもとしては、まず一つ、当面モラルの強化でありますとか再発防止策の徹底ということを重ねて要請し、いろいろな対策もこれまで講じられてきております。  そのことと併せて、こうした県民に対する負担を正に軽減をしなければいけないという思いから、私どもは、今米軍再編の中で、できるだけ基地の返還であるとかあるいは米軍人の数を減らすであるとか、そういうようなことを今やっておりますのは、それは、正に沖縄の皆さん方に大変重い負担を強いているという実態を私どもなりに認識をした上で、今そうした仕事に取り組んでいるんだという点を理解をしていただきたいのでありまして、一向に分かっておらぬじゃないかと、それは本当に、それは私も生活をしておりませんから、本当に全く沖縄県民の方々と同じ思いに至れるかどうか、それは私も自信はございませんが、少なくとも私なりに理解をし、また外務省全体でも理解をした、さらに防衛庁も一緒になって今こうした、米軍アメリカ政府と交渉しているというのは、そういう皆さん方の思いを体して一生懸命作業しているんだという点だけは是非御理解を賜りたいと存じます。
  194. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 町村大臣が大変熱心に取り組まれておられることは私なんかも理解していて感謝しているところでございますが、問題の基本点は、今申し上げたように、日米安保条約があるために日本の国民の平和と生命の安全が守られているという趣旨のことが、よく外務省おっしゃるわけですよ。ところが、現実にはそうなっていない。有事でも平時でもないけれども、有事態勢そのもののような形で事件、事故が毎日発生していると。  じゃ、次に伺いますが、今大変大騒ぎになっておりますキャンプ・ハンセンのレンジ4の都市型実弾射撃演習場の問題について、なぜそれをレンジ4からレンジ16に移そうとなさったんですか。
  195. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 御質問の点、従来からこの委員会、ほかの委員会等でも御説明してきたことの繰り返しになりますけれども、政府としては、レンジ4にあります陸軍複合射撃訓練場、これについては安全、環境等に配慮した内容になっているというのが基本的考え方でございます。  他方、沖縄県、それから金武町を始め地元の方々が本件施設に強い懸念を有しておられるということも事実として承知しており、それを考慮した結果としてレンジ16の奥に代替施設を建設をする、そしてそれが完成された暁には訓練を移転させるということを決定した次第でございます。
  196. 林芳正

    委員長林芳正君) 大田君、時間が参っております。
  197. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 はい。  レンジ4からレンジ16に移した場合に、レンジ4はすぐに撤去しますか。
  198. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) お答えいたします。  代替施設が完成した後、これは陸軍の基本的に訓練はレンジ16の奥にできる新たな施設に移転をされる、その後レンジ4の陸軍複合射撃訓練場において実弾を、それを使用して実弾訓練は行われないということで理解をしております。
  199. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 いや、撤去しますか、撤去しませんか。
  200. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 撤去の点につきましては今後米側と種々協議をしていきたいというふうに考えておる次第でございます。
  201. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  202. 林芳正

    委員長林芳正君) 午前の質疑はこの程度にとどめ、午後一時三十分まで休憩いたします。    午後零時四十七分休憩      ─────・─────    午後一時三十分開会
  203. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会再開いたします。  休憩前に引き続き、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題とし、質疑を行います。  質疑のある方は順次御発言願います。
  204. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 弾道ミサイル防衛には、イージス艦四隻の改修とペトリオットのPAC3化、そのほかセンサーや通信システムに要する総経費は八千億円から一兆円と、先日の防衛庁答弁でその規模を知りました。国民の生命、財産を守る大切な手段とはいえ、多額の税金を使わせていただくことになるなと認識を新たにしております。  おとといのこの委員会でも、技術専門家の参考人との質疑の中で、当たるの当たらないのという議論が盛んでありましたが、これによってどんな脅威から国を守ることになるのか、改めて分かりやすく説明をいただきとう存じます。
  205. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今この世の中で一番恐ろしいもの、何だろうかなと考えてみますと、やっぱり専制独裁者あるいはテロリスト、これがミサイルを手にして大量破壊兵器である核とか化学兵器、生物兵器を使用することではないでしょうか。そういう脅威からやはり守っていかなきゃいけない。従来のような重装備をしていれば何とか抑止力は利いてということではなくなってきたのではないか。これがやはり現在のテロリストの発生の問題であり、そういうテロリストというのは本当に国家主体でありません、領土を持っていませんから。それに対してどういうふうにやっていくか。これも国際的に協調していかなきゃいけないし、あるいはミサイルを防止するための国際的な枠組みが十分かなというと、やはり十分じゃない。こういう現状の中で、やはりこの現実に起こってくる可能性がある弾道ミサイルの脅威へはしっかりと対処していかなきゃいけない、私はこのように思っております。  このような情勢の中で弾道ミサイル攻撃から国民の生命、財産を守る、これは正に政治がやらなきゃいけない安心、安全をお届けするという役割でございます。更にもう一つ言わせていただきますと、我が国の防空体制の中で、防空機能の中で一つだけ、このミサイルのところだけが欠落している、こういう問題もあろうかと思います。  そういう意味で、朝日新聞の世論調査でございますけれども、国民の三分の二の方々がこのミサイル防衛に対してイエスとおっしゃっている。このことはやはり、安心感が大事なんだな、これを意味するものではないでしょうか。
  206. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 イージス艦に搭載するSM3の高度について、先ほど大田委員質問長官は回答を控えたいというお答えでありましたけれども、私は上の射程は百キロから三百キロぐらいと承知をしております。横は御答弁のとおり数百キロカバーできるということと承知をしております。それから一方、PAC3は上は十五キロ、横は数十キロだそうです。そうなりますと、イージス艦は四隻あれば日本列島がすっぽりカバーできる勘定になります。だから現在四隻保有しているんでしょう。  イージス艦とPAC3による二重の対処方式よりもイージス艦の質を更に向上させる方がコストが安いし効率もいいという指摘がありますが、いかがですか。
  207. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 一つの考え方であろうかと思います。  これは、イージス艦から発射される迎撃ミサイルが百発百中である、これが確証されればもうそれで安心感がわいてくるわけでありますけれども、やはり万々が一失敗する可能性がある、そこで二重層、三重層の防備をしていくことの意味はあろう、あるんだと私は確信いたしております。したがいまして、イージス体制とそれからPAC3体制、二重層の対処方針で安心感はますます高まると思っております。
  208. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 度々論議されている集団的自衛権との関連ですけれども、これまでの政府答弁によりますと、我が国の上空をアメリカへ向かって飛んでいく弾道ミサイルに関して、そちらに飛んでいったよと知らせるのは集団的自衛権の行使には当たらない。何時何分、これこれの角度から着弾するので迎撃ミサイルを発射した方がいいですよと言うと、集団的自衛権に抵触する。これでよろしいですか。
  209. 大野功統

    国務大臣大野功統君) おっしゃるとおりでございます。  その上に一つ加えれば、我が国ミサイル防衛というのは、防衛の基本方針である専守防衛、自衛のためのものである、このことを一つ加えさせていただきたい、このように思います。
  210. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 今、私と大野長官とのやりとりですね、中学生が聞いていたら、ああ随分と、一体どういう意味があるんだろうと、どれほどの意味があるんだろうと。飛んでいったよと言うのはいいけれども、こういうふうに飛んでいったから撃ちなさいよと言うとそれは違反だという議論に一体どれだけの意味があるのか。気休めになるかならないかというほどの意味しかないような気がいたします。  集団的自衛権の行使とは、自衛隊が外国へ行ってよその国の軍隊と一緒に戦をすることですね。で、武力の一体化という定義の範疇で宇宙での行為を律することには元々無理があるのではないでしょうか。集団的自衛権の行使に関連して、弾道ミサイル類は従来の定義の範囲と範疇を異にするという前提で理論構成をする勉強を始める必要を感じますが、いかがでしょう。
  211. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 御指摘の問題点、大変示唆に富むものでありますし、議論のしてみる価値があろうかと思います。  しかし、日本の防衛の基本的な姿勢というのはやはり専守防衛であります。で、国連憲章五十一条では個別的自衛権と並んで集団的自衛権も認められておりますけれども、憲法の解釈は必要最小限度の防衛をやるんだ、自分を守る行為をやるんだということになりますと、どうしても集団的自衛権という概念が入ってこない。  そういう中で考えますと、やはりこのBMDの導入というのは、我が国の国民の生命、財産を守る、これが一番目の問題であると。そして、純粋に防御的である、ほかに代替手段のない唯一の手段である、そしてシビリアンコントロールをどう利かすかと、これが基本の問題でありまして、こういう考え方は既に平成十五年十二月十九日の閣議決定でなされているわけであります。同じ閣議決定で、第三国の防衛のために用いられることはない、このようにも述べているわけでございます。  こういう観点からしまして、今回のBMDシステムの法案というのは、他国に向かう弾道ミサイルは迎撃することは想定いたしません、このような考え方に基づいてやっているわけでありまして、その防衛思想の根本のところをどういうふうに考えていくか、こういう深く重い問題を残しているかとは思います。しかしながら、我々の防衛思想というのはあくまでも専守防衛である、他国に向かう弾道ミサイルは迎撃しない、こういう思想で成り立っているわけでございまして、自衛のための必要最小限度を超える武力の行使はしない、してはならない、こういうような信念に基づいてでき上がっているものでございます。  先生のおっしゃったような観点からの御議論もあろうかと思いますけど、今の法制というのは今申し上げたような我が国の基本的な防衛思想によってでき上がっていることでございまして、御指摘の趣旨、私も分からないではありません。様々な論点があろうかと思いますが、引き続き勉強さしていただきたいなと、このように思います。
  212. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 申し上げたのは、専守防衛に準ずる措置、決して他国を攻撃するあるいは脅威を与えるというたぐいのものではなくて、専守防衛に準ずるという分野のことを、これはこれまでの既存の範疇で考えていくと律し切れないときが早晩やってくると。元々今やっている、長官とやらせていただいているこの議論は実は荒唐無稽で、ICBMが飛んでいく高度というのは恐らく一千キロ余でしょうから、これは今の能力ではとても手も足も出ぬわけですから、実は荒唐無稽の議論をしていることになるわけですけれども、次の時代、しかも弾道ミサイルが四十六か国に拡散しているような国際状況の中で、これまでの考え方にとらわれ続けているのはいかがかなと、幾らか勉強を始めることについてはそう問題があることではないのではないかと。決してけしかけているわけではありませんけれども、そういう思いがいたします。  それから、宇宙の開発利用は平和利用に限ると、つまり非軍事に限るという国会決議がありますね。この解釈に従って、宇宙空間で弾道ミサイルを破壊するのは駄目だと、それはいかぬという指摘する向きがあります。今申し上げた集団的自衛権の行使との理論構成をする前に、まずこの宇宙の平和利用と弾道ミサイル攻撃との調整をしておく必要があると存じますが、いかがですか。
  213. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 御質問にお答えする前に、私のさきの御答弁答弁申し上げた中で、第三国の防衛のために用いられることはないと、これを閣議決定というふうに申し上げましたけど、これ間違いでございます。官房長官談話でございましたので、おわび申し上げて訂正さしていただきます。  さて……
  214. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 十年十二月二十五日の談話。
  215. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 十五年十二月十九日の閣議決定がありまして……
  216. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 十五年、ああ、失礼しました。分かりました。
  217. 大野功統

    国務大臣大野功統君) それを受けて同じ日に官房長官談話があったということでございます。  官房長官談話のところを、私ひょっとしたら閣議決定と申し上げたと思いますので、謹んでおわび申し上げて訂正さしていただきます。  それから、宇宙空間の平和利用についてでございます。  正にこの問題、深く考えていかなきゃいけない、ミサイル防衛を考える場合にこの問題をきちっと整理していかなきゃいけない、御指摘のとおりであります。  弾道ミサイルというのは、言わば我が国領域における人命、財産に対する被害を防止する、つまり人命を尊重するんだと、平和のために、破壊が行われない、平和のためにやっているんだと、このところはまずポイントとして私は挙げたいと思っております。  それから、我が国のBMDの特徴といたしましては、相手方からミサイルを撃ってこない限り迎撃ミサイルは打ち上げませんよと、こういう正に専守防衛的なものであります。更に申し上げれば、これはもうほかに代替する手段がありません、これをやらなきゃ本当に日本人の命も危うくする、財産も被害を受ける、こういうことでありますので、私は国会の宇宙の平和利用の決議と思想の問題としては相矛盾するものではない、このように思いますけれども、この国会での決議でございますから、この有権解釈はやはり国会で御議論いただくべきではないかなと、このように思います。  いずれにしましても、我が国領域におきまして日本人の生命、財産を防護するためのものであります。したがいまして、国会決議趣旨及び平和国家としての基本理念というものを大事にする、その大事にする中でBMDというのは、システムというのは矛盾するものでない、相反するものではない、このように思います。
  218. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 同感でございまして、そこの辺り、矛盾しないということを更に明確にきちんとしてこの作業を進めていくことが肝要かと存じます。  大野長官は、六月の五日、シンガポールで、弾道ミサイルに関する日米共同研究がいよいよ開発の段階に移行すると発言されています。いつから、どのテンポで開発を進めますか。共同開発の対象となる特に二十一インチミサイルですね、現在イージス艦に搭載されている十三・五インチに比べるとシーカーの能力が数段高まって、例えばデコイ弾と本物を見分ける能力もけた違いに鋭くなるらしいですけれども、これらの分野をいよいよ研究から開発することによって、その時期とそれに要するお金はどのくらいの計算をしておいでですか。
  219. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず政府全体として、将来的なミサイルの開発、配備段階への移行につきましては、今後の国際情勢等を見ながら、見極めつつ別途判断する、このように言っております。これも先ほどの官房長官談話、平成十五年十二月であります。  そこで、日米間では、今、浅野先生御指摘の十三・五インチから二十一インチ、性能が大変良くなってくるという予定でございますこの二十一インチミサイルでございますけれども、共同研究段階をもう過ぎまして、恐らくやがて開発段階に入る、そしてその先には共同生産というものも見え始めている、こういう段階でございます。言わば、早急に、早急にやはり私はシーカー等の、シーカーその他ですけども、能力等の、開発すべき能力向上型ミサイルの概要は決定していかなきゃいけない、この日米共同技術研究の成果をきちっと確認して開発段階に移っていかなきゃいけない、もうその時期は来年度ではないだろうか、できれば来年度から開発段階に移行したいと、こういうことを、こういう趣旨のことをシンガポールで申し上げました。  で、現在、概算要求に向けまして、日米間で緊密に協議しながら概算要求に向けまして、日本としては概算要求に向けまして検討、調整を加速しているところでございます。来年度の予算の政府案決定までにと申しますと年末ということになりますけれども、検討の上判断してまいりたいと思っております。おおよそのところは夏ごろまでに開発の経費、すなわち平成十八年度の概算要求の内容について防衛庁としては方向性を出していきたいなと、このように思っておりますが、現在のところまだその数字を申し上げる段階ではございません。  いずれにしましても、最終的な支出につきましては毎年度の予算プロセスの中で確定してまいりたい、このように思っております。
  220. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 やがてとは来年だということが分かりました。それでよろしいわけですね。
  221. 大野功統

    国務大臣大野功統君) はい。
  222. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 アメリカの統合運用を規定したゴールドウオーター・ニコラス法では、統合運用の経験を積まないと偉くしないんですね。将官には昇進させないと法律にきちんと書いてある。  我が方はこれからスタートするわけですから統合運用に習熟した人材が乏しいのは無理もありませんけれども、そういう状況の中で統合幕僚長にオペレーションを一元化して、陸海空の幕僚長を、幕僚長を部隊の運用から切り離して本当に大丈夫なのかなと危惧をいたします。  そもそも、陸海空の幕僚長は、最も重要な部隊を動かす任務、オペレーションから外れて何するんですか。
  223. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) 私の方からお答えさせていただきます。  統合運用の問題については、防衛庁、五十一年目になりますが、正に画期的なことであると思っておりまして、確かに議員がおっしゃるとおり、初めてのことですからなかなか大変だと思いますが、私は自衛官、日本の自衛官は非常に優秀ですから、私は何とかこなしていって立派な運用というものをしていただけるというふうに信じております。  御案内のとおり、近年は、防衛出動、治安出動、海警行動、災害派遣など、新たな対応が陸海空一体となって行動せざるを得ない状態になってまいりまして、私もインドネシアのバンダアチェへ行ってまいりましたが、「くにさき」という船に私も泊まってその様子を見ましたが、みんな一生懸命、陸海空一体となってやっておりました。  確かに、自衛隊の運用に関する軍事的、専門的見地からの長官補佐を統合幕僚長に一元をし、敏速かつ効果的な任務を遂行を可能とするのが今回のねらいでありますけれども、他方、自衛隊がある事態に対処する際には、部隊の運用そのものはもとより、運用する部隊の編成、使用する装備品の調達、補給などが必要になってまいりまして、ある事態に対処するために統合幕僚長は陸海空自衛隊の部隊を運用をして、そして統合幕僚長が運用面から、陸海空各幕僚長がそれ以外の事項についてそれぞれの所管に応じて長官補佐をするという、対して立派な役があるわけであります。
  224. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 それ以外というのは、オペレーション以外ということになってくるという意味ですね。
  225. 今津寛

    ○副長官(今津寛君) そうです。
  226. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 そうしてスタートをさせるわけですから、それぞれ統合運用に習熟した人材が育っていく中で一元化するやり方が効率的かなというのは結果として出てくることを期待いたしますけれども、どうも陸海空の幕僚長の役割というのが部隊の運用から外れちゃってなあという気が引き続きしますので、その辺り、きちんとその役割を、目標を定めて組織の充実を図っていただきたいと存じます。  一点だけ基本的なことを確認しておきますが、統合運用体制に変更したら、シビリアンコントロールは強まるんですか、弱まるんですか、変わらないんですか。
  227. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 問題は、統合幕僚長であろうと各幕の長であろうとも、これは軍事専門的な見地から長官を補佐する、こういう役割でございます。指揮命令をするのは総理大臣であり、防衛庁長官でございます。そういうことで申し上げて、シビリアンコントロールは同じようにきちっと機能する、私はそのように確信いたしております。
  228. 浅野勝人

    ○浅野勝人君 終わります。
  229. 三浦一水

    ○三浦一水君 自民党の三浦でございます。  引き続き関連の質問をさしていただきたいと思います。  まず、今回の改正の柱の一つであります統合運用の強化について伺いたいと思いますが、自衛隊は二十九年に、昭和二十九年に発足以来、ちょうど私が生まれた年でありますが、統合運用は、それ自体は行ってきたものであると認識をしております。これまで、複数の自衛隊の部隊が運用される場合でも、陸海空の各自衛隊が個別の指揮権を保持したままでの運用でありました。それが、今回の改正では、一つの部隊を運用する場合であっても、新設される統合幕僚長が一元的に長官補佐を実施する体制へ移行することになったわけであります。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  この改正が今なぜ必要だったか、改めて防衛庁長官にお尋ねをしたいと思います。
  230. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、現状につきましては、三浦先生御指摘のとおりでございます。しかし、現状を見ますと、やはり統合幕僚会議はあくまでも合議体であります。したがいまして、迅速な意思決定という観点から見ると一定の制約がある、このように思うわけでございます。  一番大きな問題として考えていかなきゃいけない、やはり時代の要請ということであります。新しい安全保障環境の下で、抑止力ということももちろん大事でありますが、それにも増して対応力、迅速な対応力、これが必要になってまいります。新たな、更に新たな脅威、多様な脅威に対しましては、これはいろんな意味で陸海空の三自衛隊が協力し合わないとやっていけない、こういう場面も出てきているわけでございます。  このような意味で、多機能、弾力的、対応力のある、実効性のある防衛力をつくっていくためには、やはり時代の要請として統合運用が必要なのではないでしょうか。統合幕僚長が陸海空自衛隊を統一的な運用構想の下に運用していく、大変大事なことでございまして、部隊運用に関する軍事的、専門的見地から補佐も、運用に関しましては補佐を、長官を補佐をするのは統幕長である、統合幕僚長である、こういうことでございます。  まとめて申し上げますと、一つ、自衛隊の任務の迅速かつ効果的な遂行、二つ、統合運用が行われなければいけない場面が増えている、三つ、世界の流れだな、四つ目、資源を効率的に使えるのではないか、こういう観点から、今この統合運用という方向でやっていくべきだと確信いたしております。
  231. 三浦一水

    ○三浦一水君 今回の改正で、その運用の権限そのものは統合幕僚長の権限とされるわけで、陸海空の三幕僚長にはないことになりました。この点、先ほど浅野先生も御確認がありましたし、今津副長官お話も伺ったところでありますが、大野長官におかれましては、その点につきましてお互いにやはり意思を疎通することは実際上必要であろうという発言もあったようでございますし、長官のところでそういう問題をきちっと総合的に判断をしていく、そのためにそういう幕僚長なりの話を聞く、あるいは各幕僚長の話を聞く、こういうこともあり得るといったような御答弁もあったようでございます。  運用に関して意見交換や意見具申が実際上行われるということであれば、法律上、そのことを書いておくべきではなかったかということも思います。この点、いかがお考えなのか。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  それから、併せて、これを実効を得ていくために、どのようにそのことを担保されていくかということも併せてお答えいただければと思います。
  232. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 一つは、統合幕僚監部の組織をごらんいただくと御理解いただけるのではないかと思いますけれども、やはり統合幕僚監部の中に運用のほかに総務部といいまして、人事とか教育とか、こういうものを扱うところがございます。また、首席後方補給官というのがございまして、やはり装備等どうしていくのか、こういうものを扱うところがございます。  こういう部署では各幕ときちっと意思疎通をしておかないと、一方的に統幕長がこういう部隊を編成するよと言っても、一方的過ぎてそれが実現できない可能性だってあるわけでございます。運用に関してはすべて統幕長が持って、権限持っておりますけれども、それを支えているのがそういう各幕の部隊であり、人間であり、それから教育された、訓練を受けた隊員であり、装備である。こういうことから、その辺の意思疎通というのは常になければいけない、私はそのように思っております。  それをなぜ書かないのかという趣旨でございますが、我々としては、それはもう当然のことではないかな、このように思っておるところでございます。  常に統合幕僚監部の人事、教育の、人事・教育面についてこう思う、各幕のそういう担当者でこう思う、この連絡はもう常に密に、密にやっているわけでありまして、当然のことではなかろうか。それから、装備についても、各幕と統幕との間で密接な連携、情報交換なりなきゃいけない。しかしながら、部隊の運用についてはもう一元的に統幕長がやっていこう。そういう意味で、私は、意思疎通のある統合運用、こういうふうに申し上げたかと思いますけれども、その辺は、部隊の運用はすべてもちろん統幕長ということでございまして、各幕には人事とか教育とか装備とか、そういう面の権限が残っている。そういう意味では、そういう分野での長官補佐はある、こういう理解でございます。
  233. 三浦一水

    ○三浦一水君 統合幕僚会議を廃止して、そして統合幕僚監部や幕僚長を新設するという大きな改正、変更でありますから、私は、これは防衛計画の大綱も五年で見直しということがあるわけでありますが、それに合わせて、今後、統合運用体制の在り方については検討、再検討もしていくべきであろうというふうに考えますが、その点、いかがですか。
  234. 大野功統

    国務大臣大野功統君) この点も、今、時代の要請等々によりまして、統合運用、そして統合運用という目的のためにつくり上げました今回のシステム、我々はこの体制がベストである、そしてベストの体制に向かってお互いに頑張っていこうと、こういうことでやっておるわけでございます。他方、中期防におきまして、「統合運用の成果を踏まえて、統合運用を実効的に行い得る組織等の在り方について、検討の上、必要な措置を講ずる。」とされております。  まず、今般の改正による成果というものを出していきたい、その成果を見詰めていきたい、このように思います。その結果を踏まえながら、効率的な統合運用体制の構築に関する更なる措置の必要性について防衛計画の大綱の見直し等を念頭に置きつつ検討していく。見直しは書いていないからといって見直しをしてはいけないということではありません。しかし、初めから見直しを念頭に置いて進んでいくのはどうだろうか。今考え出した案というのはベストであるからそういう方向で進んでいこう、こういうことでございますので、御理解を賜れば幸せでございます。
  235. 三浦一水

    ○三浦一水君 次に、弾道ミサイル防衛についてお尋ねをいたします。  北朝鮮のノドンミサイルを想定すると十分間で着弾すると、我が国に対しては、と言われておりますから、いかにシビリアンコントロールを確保しながら、現場の裁量というものもまた一方で考えていくということに尽きるかと思うわけでございます。ただ、現場指揮官の裁量をできるだけやっぱり少なくして、そして過度な現場の負担を軽減をしておくという考え方も大事になるというふうに思っております。  具体的な現場の裁量についてはどのようなものをお考えになっているのか、また現場指揮官というのはどのようなレベルを考えていらっしゃるのか、改めてお尋ねしたいと思います。
  236. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず第一に明確にしておきたいと思いますのは、現場には裁量の余地がないということでございます。  判断の余地はない。裁量の余地はない。現場は日本へ飛来することが明確になった段階で撃たなきゃいけない、発射しなきゃいけない、こういうことでありますから、レーダー上、日本に飛来することが明確になればその段階で必ず撃ち落とす、これが現場の責務、責務でございます。したがいまして、現場の裁量とか判断とか、これはございません。そういうシステムをつくるのが我々の仕事であり、そして今回の法律でございます。  内閣内閣の責任においてやる、防衛庁長官の命令において期間を定める、そして具体的なマニュアルに応じて、現場がマニュアルに従ってミサイル飛来を確認してボタンを押す、こういうことであります。このことをまず明快にさせていただきたいと思っております。  じゃ、具体的にだれが押せと命令するのか、だれが現場で具体的にボタンを押すのか、こういう問題のお問い合わせがあったかと思いますけれども、このミサイル防衛を実施する上で、具体的に自衛隊の部隊のだれが事実を確認して迎撃ミサイルを発射するのか、発射する指示を行うか。合理的かつ迅速に実施できる者として、これからの問題でございますが、別途長官が指定することを考えております。  あえて一例として申し上げれば、BMD統合任務部隊というのが組織されることもありますけれども、その場合には航空隊総司令官、BMD指揮官ですね、この指揮官が指示する、命令をするという場合。それから、第三項に基づくイージス艦が対処する場合、この場合には最終的に現場の海上部隊の長、艦長あるいは隊司令又は群司令が指示する、こういうことも考えられます。さらに、実際にボタンを押すのはだれか。これはもう詳細にこれからきちっと作って、そういう系統をですね、系統図を作ってまいりたい、このように思っております。
  237. 三浦一水

    ○三浦一水君 次世代型のイージス艦搭載ミサイル日米共同技術研究については、先ほど浅野先生からもお尋ねがありましたが、私は、この点については、来年から開発に移行したいという長官の御姿勢を先ほど承ったんですが、その成果については、共同研究の成果についてきちっとやっぱり公表をすべきだというふうに思っております。そして、それから開発に対する、開発に移行するかどうかという判断はされるべきだろうというふうに思っておりますが、その点、改めて防衛庁長官の御見解をお聞きしたいと思います。
  238. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 日米共同技術研究の成果は、きちっと確認して、しっかりと説明して公表しろと、公表して説明しろと、当然のことでございます。  私どもは、この開発すべき能力向上型のミサイルを、早急にこの概要を決定するということはこういうことですよということもきちっと皆様、国民の皆様に御説明をいたしたい、その上で開発段階に移行したい、このような考え方でございます。正に御指摘のとおりであります。概算要求に向け、これから検討、調整行ってまいりますけれども、先生のおっしゃることは基本だと思っております。  参考までにでございますけれども、今後の開発段階への移行というのは、これも十五年の十二月の官房長官談話で書かれておりまして、将来的な開発・配備段階への移行につきましては、今後の国際情勢等を見極めつつ別途判断するということでありますから、別途判断が必要であるということでございます。予算等につきましては、これから来年度予算編成のプロセスの中で決めていくわけでございます。  いずれにいたしましても、先生御指摘の点、日米共同技術研究の成果は、成果をきちっと反映させろ、それからこれまでの研究の成果を、そして研究の成果及びその見通しを国民の皆様の目の前に明らかにしろと、こういう点はきちっと守ってまいります。
  239. 三浦一水

    ○三浦一水君 巡航ミサイルへの対処についてお尋ねします。  巡航ミサイルについては、今改正の八十二条の二、弾道ミサイル等には該当しないで、飛行機と類似のものとして自衛隊法八十四条の対領空侵犯措置で対処すると、政府側の説明を聞いておるところでございます。  この八十四条は、外国の航空機が我が国領域の上空に侵入したときは、着陸をさせ、又は我が国の領域の上空から撤退させるため必要な措置を講じさせることができるとなっております。強制着陸や退去については条文上明らかでございますが、破壊措置そのものについては触れられていないと理解をしております。また、我が国の領空で措置を講ずることとあり、公海上ではできないということにもなっております。  巡航ミサイルの対処については、八十四条そのものでは無理があるのではないかという疑念も残るわけでございますし、また、PAC2で対処するとしておりますが、これまで対領空侵犯措置では、ソ連機に対して信号弾を発射した例はあるが、実弾を発射したことはないということでありますから、どのような手続でこれが行われるのか、それも併せて伺わせていただきたいと思います。
  240. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、法的な枠組みでございます。八十四条で巡航ミサイルは対処するんだと、こういう説明に対しての御質問でございますけれども日本に巡航ミサイルが飛来してくる場合、これが我が国日本に対する武力攻撃の一環として行われる場合にはもちろん自衛隊法七十六条が適用されます。通常はこのケースに該当するというふうに理解しております。  ただ、防衛出動下令がされてない場合、防衛出動が下令されてない場合、つまり、平時において巡航ミサイル我が国の領空を、許可なくですね、許可なく通過する、これは言うまでもありません、日本の領空主権を侵害するわけでありますから、当然、国際法上は認められることではありません。この場合には自衛隊法第八十四条に基づく対領空侵犯の措置で対応する、このことを申し上げているわけでございます。  そこで、いかなる措置を八十四条で、自衛隊法八十四条でとり得るんだろうか、このことを考えますと、今、三浦先生おっしゃったとおり、着陸させる、又は我が国の領域の上空から退去させる、そのための必要な措置を講じさせる、このように規定しているわけでございます。さらに、正当防衛又は緊急避難の要件に該当する場合には、この必要な措置と今申し上げました、この必要な措置の中身として武器使用も可能である、このように理解しております。  したがいまして、平時におきまして巡航ミサイル我が国領域を全く許可もなく通っていく場合には、武器を使用し、当該巡航ミサイルを迎撃することも可能であることは言うまでもありません。これ、無人機でありますから、この領空から出ていけと言っても言うことを聞いてくれない、そういう場合も当然出てくるわけでございますから、そういう場合には今申し上げましたような必要な措置を講じることはできるわけでございます。  そこで、武器使用の手続をどう考えればいいんだろうかなと、こういう問題が出てまいります。対領空侵犯措置、自衛隊法八十四条に基づきまして通常の対領空侵犯措置の武器使用の手続に従って行われます。基本的には通常の対領空侵犯措置と同様に要撃機によって対処する、飛行機が飛んで対処していく。さらに、その飛行機が、我が国の飛行機が積んでおります搭載武器を使用することも考えられます。必要に応じ、先生お触れになりましたPAC2、これも使用することがある、使用することがあり得る、このように理解しております。
  241. 三浦一水

    ○三浦一水君 最後に、外務省にお尋ねをしたいと思います。  午前中、齋藤先生も厳しくお話があっておりましたが、実にアメリカの態度というものは理解し難いものがあるわけでございまして、我が国常任理事国加盟は支持すると、しかしすべての提案を拒否するというなら、それはもう全く論理矛盾と言わざるを得ないわけであります。  ブッシュ、小泉という関係もそうでありましょうが、それ以前に、我々のこの日米安全保障、この根幹にやっぱり触れるものだと、私はもうゆゆしきことだなという受け止めをしております。この日米安全保障は、我が国を守ってもらっているばかりではない。極東アメリカの戦略を考えるときには欠くことができない我々の様々なものの提供でありましょうし、沖縄の痛みもその一連の中にあるということでもありましょうし、これは同盟国としてきちんとした姿勢を打ち出してもらう必要が僕はあるというふうに思っております。その点を一点。  加えて、AUとは、五十三か国と言われておるんですか、どういう連携をしていくか。これはやっぱり今の現状下、もう欠くことのできない、私は絶対になしていかなければならないことではなかろうかというふうに思っております。その点、御決意を改めて伺いたいと思います。
  242. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) ただいま三浦先生から御指摘のアメリカのいわゆる表明につきましては非常に残念なことだというふうに思っておるところでありますが、我が国といたしましては去る六日にG4枠組み決議案国連事務局に提出をいたしまして、十一日に国連総会に正式に上程をされまして総会において審議が開始されたわけであります。その中でアメリカの代表がああいう発言をしたと、こういう経過になっておるわけであります。  しかし、枠組み決議案を支持する国の数は、これまでG4を中心とした説明、働き掛けもございまして、着実に増えていると認識をいたしておりますが、アフリカ連合はアフリカ常任理事国を二議席、非常任追加二議席、拒否権を要求する独自の決議案を総会に提出するということで合意をいたしておりまして、もうそろそろ出るのではないかというふうに思っておりますし、八日にはコンセンサスグループが非常任理事国のみの拡大を軸とする決議案の参加国への配付を、加盟国への配付を開始するなど、決議案をめぐる情勢は、今、三浦先生がおっしゃったように、非常に流動、大変流動的な様相を呈しておるということであります。  我が国といたしましては、去る八日にロンドンにて開催をされましたG4外相会合において合意したとおり、今後、アフリカ諸国を含む幅広い加盟国の支持、協力を強化するための働き掛けを継続をいたしまして、十七日にニューヨークで再度、G4外相会合を開催をして票読みを行った上、今月の二十日前後にG4枠組み決議案採択を目指していく考えでありますが、このアフリカ、五十三か国ございますので、このアフリカとの連携を是非これやらないと、到底三分の二という国数を、参加してもらうわけにはいかないと思いますので、このアフリカとの話合いを今後どうするか。ただ、常任理事国、非常任の二か国と、一番問題になっておりますのは拒否権をどうするかということでございますので、この辺のところはいろいろ話合いの余地があるというふうに思っておりまして、是非この常任理事国入りについての最初の入口でございますので、是非三分の二の国の確保に最大の努力をいたしたいというふうに今現在のところ考えておるわけでございます。
  243. 三浦一水

    ○三浦一水君 頑張ってください。
  244. 谷川秀善

    ○副大臣谷川秀善君) はい。ありがとうございます。
  245. 三浦一水

    ○三浦一水君 終わります。
  246. 澤雄二

    ○澤雄二君 公明党の澤雄二でございます。  最初に、ミサイル防衛と国民への告知の問題についてお伺いをいたします。  ミサイル防衛の破壊措置でいわゆる第一項が発令されましたときに、国民への告知及び避難勧告等については現在どのようにお考えになっておりますか。
  247. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) お尋ねの第八十二条の二第一項に基づく弾道ミサイル破壊措置を発令した場合につきましては、混乱の回避に配意しつつ、その旨を遅滞なく国民に公表することが重要と認識しております。  その際、緊急対処事態が認定された場合には、国民保護法に基づきまして緊急対処保護措置として警報の発令、避難措置の指示等の措置を講ずることになると考えております。
  248. 澤雄二

    ○澤雄二君 第一項が発令される前後、一体日本だとか国民とかというのはどういう事態になっているんだろうかということを、元テレビ局の報道にいて政治部にも籍を置いた経験から少し考えてみました。  それで、第一項が発令される前にはいろんな兆候があるということが条件になっていますね。例えば、その兆候というのは、偵察衛星が、移動式のミサイルが動き始めたとか、ある地点に集中し始めるとか、燃料が注入されたとか、それからエージェントであるとか、いろんな各国からの情報が様々な形で兆候として日本に寄せられてくる。それをどう判断するかということで、多分各省庁の間でいろんな調整が行われるんだろうと思うんです。  日本のマスコミもかなり優秀でありますから、これをどう取り扱うか。第一項として閣議決定するかしないかという調整が各省庁間で行われている間に一部その情報が察知されてしまうというようなこと、まあ正確では多分ないと思うけど、というようなこともあるかもしれない。そうすると、部分的ではありますが、大きな記事になったりすることがあるかもしれません。  少なくとも第一項を決めるという臨時閣議が招集されると、これはもう全員が知ることになるわけですから、その時点では間違いなく全マスコミがそのことを察知をします。テレビ局的に言うと、それはもう、その瞬間から二十四時間のブレーキングニュース、つまり特別番組に入っていきます。間違いなくその第一項が閣議決定されるかされないか、その時点から全国民に向かって二十四時間各テレビ局が一斉に中継でその情報を刻々と流し始めるというような状況で、閣議決定をされましたというようなことができるわけですね、事態になるわけですね。  それを聞いた国民の人たちというのは一体どういう状況になるだろうかというと、多分これはもう日本全土パニックになっているんだと思うんです。第三国が北海道に上陸するというと、西とか南の人たちというのは余り、少し時間があるなとか思うかもしれません。ミサイルの場合にはどこに落ちてくるか分からない。しかも、余り命中精度は良くないらしいとなると、どこかますます分かんなくなっちゃうぞと。  それから、場合によったら核弾頭だということになると、よく映画で言われているような、本当に日本国じゅうが大パニックになっている。国民は例えば水とか食料だとかを買いあさりに走り始めるかもしれないし、それが役立つかどうか分かんなくても、ヘルメットみたいな少しでも身を守れるものを買いに出掛けるかもしれない。外でその情報を聞いた人たちというのは一斉に、やっぱり家族と死ぬときは一緒だってみんな思いますから、家に帰りたい。電車、交通渋滞って、そういうものが大変なそれもパニックを起こすだろうというふうに想像できるわけです、現実分かりませんよ。  お伺いしますが、こういう状態になったときに、それから、これ余分な話ですけれども、これまでの衆議院の国会の議論なんかを聞いていますと、サイレンを鳴らして攻撃の事態を国民に知らせるというような答弁もありましたけれども、太平洋戦争のときの空襲警報じゃあるまいし、サイレンを鳴らしてどうするんだなんて思うんですが、一体その第一項の発令が閣議決定されたときにどうされるのか。  今、概括的な答弁はございましたが、もう少し具体的に、どういう告知を国民にして、どういう避難勧告、誘導をするんだろうか。また、その第一項の発令と同時に、今ちょっと近いことを答弁されましたけれども、武力攻撃事態対処基本法に基づいた緊急対処事態というのが認定されるのか、その時点で、というようなことについて御答弁いただけますか。
  249. 増田好平

    政府参考人増田好平君) お答えいたします。多少ちょっと法技術的な点も含めまして答弁をさせていただきます。  まず、今先生が御指摘のような事態、取り出しますと、正に弾道ミサイル等が我が国に飛来するおそれがあり、そして今御審議をいただいておりますその法案の八十二条の二第一項の命令を防衛庁長官が発するというふうな事態が考えられますけれども、これは私どもとしては基本的に、今もその事態は同時に基本的には武力攻撃事態対処法に基づきます緊急対処事態にも当たるもの、また認定されるものであろうと考えているところでございます。  そういたしますと、かかる事態におきましては、まず内閣総理大臣が緊急対処事態対処方針というものを武力攻撃事態対処法に基づきましてまず案を作成し、閣議決定を求めることとされているところでございます。この対処方針におきましては、まず対処事態、緊急対処事態の認定ということを行うということは法定されておりますけれども、そのほかに、今御指摘の事態であれば、防衛庁長官が第一項の命令を発出することについて内閣総理大臣の承認を与えるということもその内容として定められることになろうと思っているところでございます。  そういった意味におきましては、緊急対処事態対処方針が閣議決定をされ、内閣総理大臣の承認が得られると、後に防衛庁長官が自衛隊の部隊に対し第一項の命令を発出することになると、法的にはこういう流れになろうかと思っております。  それから、先生が今いろいろな、もう既にマスコミなりがいろいろな形で報道しており、それが様々な形で国民の皆さんに反響若しくは反応を呼び起こすことではないかという御指摘がございました。私どもも、それは正に今の状況を考えますと当然そういうこともあり得ることだろうと思っております。ですから、私どもとしてはできるだけ前広に、何といいますか、状況なり情報を国民の皆様に提供するということが重要なことではないかなというふうに思っているところでございます。  その上で、政府として何を国民の皆さんに取りあえず求めるかということであれば、それは屋内へ取りあえず避難していただくということが一番真っ先にお願いすることになるのかなというふうに考えているところでございます。
  250. 澤雄二

    ○澤雄二君 ということは、第一項の閣議決定よりも先に緊急事態、緊急対処事態が認定されることが先に行われるということですね。分かりました。  その場合、今も少し御答弁をいただきましたけれども、その第一項の閣議決定と緊急事態であるということを認定される場合には、その時間差というのはどれぐらい想定されますか。いろんな可能性があると思いますけれども
  251. 増田好平

    政府参考人増田好平君) 今先生からいろんな可能性があるという御指摘がありました。正にそのとおりだろうと思いますが、基本的には、我々としては、極めて切迫した事態というものを想定するとすれば、その閣議決定と、緊急対処事態の認定をする閣議決定と、それから防衛庁長官が命令を部隊に対して出すという間に基本的に時間差がほとんどあってはいけないというものだろうと思っております。  ちなみに、先生、第一項の命令は防衛庁長官部隊に対して命令するということを定めておると私、定めようとしていると理解しております。その第一項の中に「内閣総理大臣の承認を得て、」という部分がございまして、この部分が閣議にかかっていると。私どもとしては、この閣議のかかっている部分、内閣総理大臣の承認の部分が緊急対処事態に当たるのであれば緊急対処事態の対処方針の中で処理されるということになろうと、ことではないかと考えているところでございます。
  252. 澤雄二

    ○澤雄二君 分かりました。  そうしますと、第一項による破壊措置が閣議決定される前にもそういう事態の認証が行われることがあると。その場合に、一つお伺いしますけど、通常の弾頭の場合の核弾頭の場合、国民に告知、避難誘導される内容というのは違うことが考えられますか。
  253. 増田好平

    政府参考人増田好平君) いわゆるミサイル攻撃の場合には、今先生が御指摘のような弾頭の種類による違いもあれば、それから、正直どこに行くか、それが、何といいますか、分かる場合、分かる場合というのがあるかという御下問あるかもしれませんが、理論的には分かる場合と分からない場合があると。またそれが、何といいますか、連続して行われるものであるのか、それとも単発にとどまるものであろうかというような、様々な種類に応じて対応が分かれるのではないかというふうに考えております。  特に、それが、想像はしたくございませんけれども、核弾頭の場合ですと、正直破壊力も非常に大きなものがございますので、基本的にはその場合でもやっぱり屋内にとどまっていただくということが取りあえず行われることであり、その後、正に被害の程度に応じて避難を、避難先に避難をしていただくとかいうことに次の、何といいますか、措置が移るということではなかろうかと思っております。
  254. 澤雄二

    ○澤雄二君 これは防衛庁長官にお伺いしますけど、こういう事態になったら国民は大変なパニック状態になっているわけですから、国民がどういう行動をすればいいのか、どういうことを考えればいいのか、そういうことはやっぱりだれかが国民に伝える必要があって、多分それのベストは総理大臣ではなかろうかというふうに思いますけれども防衛庁長官は個人的にはどう感想を持たれますか。
  255. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 澤先生御指摘のとおり、やはりいったん八十二条の二の第一項の兆候がある場合の閣議決定が行われた場合には、これはやっぱりブレーキングニューズになる。当然、ブレーキングニューズになってもらわなきゃいけない。世の中で何が怖いかというと、もう何も分からないことが一番怖いんですね。正確な情報を伝達してもらう、これがマスメディアに期待するところでございます。テレビ、ラジオ等によりまして正確な情報を出してもらいたい。そのためには、今、増田議官も指摘しておりましたけれども、前もって正確な情報を政府側から発信していく、これはもう基本だと思っております。  そして、その次に、やはりあらゆる手段、例えば地方公共団体の職員等を通じてでも、まずこういうことがあるから、それはもう核弾頭付いているのか生物兵器が付いているのか化学兵器が付いているのか分かりません、分かりませんけれども、落ち着いて行動する。その行動の体系の中には、やはり近くのコンクリートの強固な建造物があればその中に入ってくださいとか、あるいは建物の地階に避難するとか、地下街、地下、地下鉄などの中へ入るとか、そのような問題が随分と出てくると思います。  この問題は、この問題はやはり国民の保護に関する基本指針というのが出ておりますけれども、対策本部長、対策本部長は迅速に避難措置の指示をするということが大事でありまして、今申し上げましたように、具体的に指示する、具体的にそれをいかに広めていく。この広め方は、これはマスコミであり、かつマスメディアであり、かつ地方公共団体等でありますけれども、このことが一番大切で、その中できちっとした情報を流して混乱を避ける、無用のパニック状態を避けていく、こういうことを今から考えておかなきゃいけない。既に国民の保護に関する基本指針では書いてございますけれども、これを具体的に、本当にどういう場合はどうだというようなマニュアルをもう勉強しなきゃいけないな、私個人はそういうふうに思っています。
  256. 澤雄二

    ○澤雄二君 今防衛庁長官にお答えをいただきたかったのは、やっぱり総理大臣が国民に訴えることが必要ではなかろうかと。その場合に、一体総理大臣は何を国民に訴えたらいい、どう思われますかという、その感想をお聞きしたかった。
  257. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 総理大臣は、やはりこういう状況であって、国民の皆様、落ち着いて行動してほしい、正確な情報は流していきますから落ち着いて行動してほしい、パニックにはならないように、この正確な情報と落ち着いて行動する、このことを私は総理のメッセージとして期待しております。
  258. 澤雄二

    ○澤雄二君 絶対、一〇〇%僕はこういうことはないと思っておりますけども、万が一のことを考えるのが我々と政府の役目でございますので、これから詳細についてはいろいろ検討されることと思いますが、万遺漏なき検討を隅々までされるようにお願いを申し上げます。  続いて、統合運用とシビリアンコントロールについてお伺いいたします。  今までも同僚の委員の方からいろいろその点について質問がございましたけれども、私も、三月のこの委員会で統合幕僚長について、三人寄れば文殊の知恵の形から唯我独尊型になるけども大丈夫ですかというような質問をさせていただいたことがあります。  今日は、そのシビリアンコントロールの点から大丈夫ですかということをお伺いしたいんでございますけども、先ほども質問がありましたけど、今回の統合運用では、統合幕僚長が運用面、つまり作戦の最終責任と最終判断を持つことになりますよね。命令権者は防衛庁長官、総理大臣でありますから、こういう仕組みの中ではシビリアンコントロールは守られていると言えると思いますけれども、大変申し訳ない言い方でございますが、統合幕僚長と防衛庁長官は、はたから見るとやっぱりプロとアマかなと、大変申し訳ありませんが、という気がします。  で、そのプロが最終判断をする、統合幕僚長が判断するということを、その独走若しくは、何といいますかね、断定するようなことを本当に防衛庁長官は止めることができるんだろうか。大変優秀な方が統合幕僚長になられると思います。ということは、自分が恣意的判断をしているなんということは絶対分からないようにされると思うんですよね。つまり、そういうことも含めて一体だれがチェックする、判断することができるんですかって、そういう仕組みはないんでしょうかということ。
  259. 大野功統

    国務大臣大野功統君) シビリアンコントロールをやるのは総理大臣であり、防衛庁長官であるとお答えしようかと思ったら、プロとアマの差で、それでは不十分だとあらかじめ先制攻撃をされましたので、もちろん、シビリアンコントロールというのは正に統幕長の行動をチェックするわけですから、統幕長というのは、単に軍事専門的な見地から長官を補佐する、長官に助言する、こういう立場でございます。  ただ、先生は、澤先生は、まあプロとアマの違いだから大丈夫かなとおっしゃるわけでございます。それを補って余りあるというか補ってくれるのがやはり内局の局長であり官房長であり、そういう方々でありまして、そのことは、軍事専門的というよりも幅広い視野からもちろん助言をしてくれる。さらに、軍事専門家の方では統幕長のほかに、海幕長、空幕長、陸幕長おります。そういう方々は、運用については別としても、運用以外の分野でやはり専門的見地で長官を補佐してくれるわけでございます。  そういう観点からしますと、私はやはり今申し上げたようなシビリアンコントロール、仮にプロとアマの差があるとしても、システム的にきちっと保障されているのではないか。  それともう一つ運用面で大事なことは、やはり統幕長の人事じゃないか。この統幕長の人事というのは、やはりそういうような独走、まあ独走と言うとこれちょっと語弊があるんですけれども、総合的、大きな視野から判断できる人、陸海空のことをよく分かっている人、そういう見地からやはり選んでいかなきゃいけない。そういう観点からしますと、陸海空持ち回りなんてとんでもないと、やはりそういう資質に合った人を統幕長に据えていく、そのことも一つの運用面での重要な問題点ではなかろうか、このように思う次第でございます。  そういう意味で、この人事は大変重要でございますので、私は、統幕長の人事というのは内閣の承認を得て、そして長官が任命していく、こういうシステムにしていきたいと、このように思っております。     ─────────────
  260. 林芳正

    委員長林芳正君) この際、委員の異動について御報告いたします。  本日、福島啓史郎君が委員を辞任され、その補欠として野上浩太郎君が選任されました。     ─────────────
  261. 澤雄二

    ○澤雄二君 三人寄れば文殊の知恵から唯我独尊になりますので、私は、個人的にはどちらかというと性善説を取る方でございますけれども、どんな方が統合幕僚長になるか分かりませんので、できるだけいろんなチェックをする機能は考えておいていただきたいと思います。  それでは、次に統合部隊についてお伺いしますけれどもアメリカ、イギリス、フランスの統合運用の組織図をいろいろ見ていますと、それぞれ名称は違うんですけれども、必ずいわゆる常設の統合司令部というのが設置されていますよね。日本の今度の仕組みを見ると、それないんですよね。じゃ、どういうふうにその統合部隊つくるんですかと伺ったら、そのいろんな事態が想定されていますけれども、その事態ごとに、起きたら統合部隊を編成するんだって言われるんですよ。そうすると、何かあったら部隊編成するという寄せ集め部隊のような気もしますよね。  それで、アメリカ、イギリス、フランスというのは、常設の統合司令部がありますから、多分そこで日ごろからいろんな事態の想定は考えているんだと思うんですよ。それがないということで事態ごとに対処すると。広く普遍的に考えてみると、日ごろ何をしなきゃいけないかといったら、ありとあらゆる事態に、考えられる事態に応じて日常訓練をめちゃくちゃしていないと寄せ集め部隊になってしまうぞと。  ですから、本当にこれで統合運用大丈夫なのかなと。スマトラ沖地震のときも、いい話、悪い話、両方ありましたね。そういう心配が、常設の司令部がないと大丈夫かなと。ですから、今の仕組みにはないんですけれども、そのことをどうお考えになるかということと、今後そういうことを検討されるお考えはないかということですね。
  262. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今、澤委員のお説を耳を傾けて聞かせていただきました。  現時点におきましては、御指摘のとおり、平素から統合司令部なり統合部隊を保持するということは考えておりませんが、私は、やはり今後いろんなことを考える上で、常設の統合司令部が必要か否か、このことは頭にしっかりと入れながらやっていかなきゃいけないだろうな、こんな気がしております。その点は今後頭に入れて慎重に検討していきたい、このように思っているところでございます。  新たな統合運用体制といいますと、各事態に対応して統合部隊を編成して活動する場合、あるいは、相互に指揮関係のない各自衛隊が、各自衛隊の部隊が密接に連携し合う場合、両面あると思います。この二つのケースがあると思います。それもひとつ頭に入れてやっていかなきゃいけない。  また、中期防におきましては、統合運用の体制が整備された後、統合運用の成果を踏まえて、統合運用の実効的に、統合運用を実効的に行い得る組織の在り方、組織等の在り方について検討していきましょうと、こういうことも書いてあるわけでありまして、私は、今常設の部隊はありませんが、今先生の正におっしゃったことを頭に置いて検討していかなきゃいけないな、このように思っています。
  263. 澤雄二

    ○澤雄二君 この後、統合運用と関連しまして、アメリカ軍との情報データの共有についていろいろお伺いしたいと思っておりましたが、時間が余りなくなってきました。  このことについては、三月の下旬のこの外交防衛委員会防衛庁長官が私の質問に対してかなり丁寧にお答えしてくださって、一つ一つ少し詰めたことをお伺いしたいなと思っておりましたんですが、時間がなくなりましたので、象徴的なことをちょっとお伺いしたいと思いますが、その御答弁の中に、目標の位置情報等について詳細なデータの把握としてデータリンクを拡大していくこと、高速かつ詳細なデータの共有を推進していくというふうに説明をされました。  自衛隊と米軍との連携行動において、両国の部隊間の相互運用を高めてアメリカ軍との効果的、効率的な共同作戦を取るためにはデータリンクの能力の向上というのは不可欠だというふうに言われています。今回のミサイル防衛における日米のデータリンクは、リンク16を整備するというふうに報じられておりますけれども、これはリンク16で整備するということでよろしゅうございましょうか。
  264. 大野功統

    国務大臣大野功統君) おっしゃるとおりでございます。
  265. 澤雄二

    ○澤雄二君 そのデータリンクで米軍との情報を共有化するということは、もちろんそのミサイル防衛がかなり重要なところを占めるわけでありますけど、日本海に配備されているアメリカ軍のイージス艦とも情報が共有されるということになります。先ほどからこのことについていろいろ質問がされていますけれども。  その場合、米国アメリカが、米国への、米国へ向けて発射された弾道ミサイル、ある国から発射された。で、日本海にアメリカ軍のイージス艦がいます。発射された弾道ミサイルに対してそれを、迎撃を、アメリカ軍のイージス艦ですから、迎撃を判断します。その判断をする上で、データリンクで我が国のイージスから提供されたデータですよね。このデータは、何といいますか、何時何分、何度の方向に撃てという、その撃てはありませんが、何時何分、何度の方向だというデータはもちろん共有するわけですね。  ですから、そういうものを共有するということは、先ほどから言われている集団的自衛権の問題はないかということと、それからもう一つ、同じ視点でありますけれども、それが日米の共同対処という事態になっていない段階ですね、で、アメリカのイージスが迎撃ミサイルを発射したというときはどう考えればいいかというのをちょっとお答えいただけますか。
  266. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、問題は情報の共有でございますが、データリンク前提にしたお話だと思います。その場合に、日本の情報というのはあくまでも日本を守るというための情報でございます。その情報網の中に、アメリカへ飛来していくミサイルがあろうとなかろうとそれは、そしてその情報をアメリカ側が自己の防衛のために使おうと使うまいとそれは問題ではない、このように理解いたしております。  そこで、あくまでもこれは日本が防衛、日本の防衛のために収集して、それを日米間で共有する、そのことについては、まず第一として問題は全くない、このように理解をしているわけでございます。  その次に、問題点としては、情報を共有するけれども、今先生御指摘のとおり、何時何分のところへ撃てということまで言いますと、これはやはり集団的自衛権の問題として問題になってくる、当然のことではなかろうか、このように思います。さらに、もう一つの問題として、その情報を共有しつつ、さらに共同対処をしていく、この共同対処というのはどういうふうに理解したらいいのか。ここで二つ問題がある、あろうかと思います。  共同交戦能力というような視点からするとなかなか問題だなと。それを、その情報を使いながらそれぞれの部隊が対応していく。それで、日本の近辺、日本の守りについて、アメリカ部隊日本部隊も同じ情報を使って共同対処していく、このところは別々に共同対処していく。これは問題ないかと思いますけれども、言わば共同交戦能力というか、そういう問題になってくると更に大きな疑問が生まれてくるのではないかな、このように思っているところでございます。  実施、自衛隊が実施するいわゆる共同交戦能力というのは、ちょっと幅広い概念なものですから、どういう点に焦点を当てて議論さしていただいたらいいのか、ちょっと戸惑いますけれども、もし仮に、他の艦艇や航空機等からの情報のみでも射撃可能なシステムの導入ということを念頭に置いて考えるのであれば、現在、海上自衛隊の艦艇等はこういう能力は全く持っていませんし、こういう機能を持っていません。したがいまして、共同の交戦能力という意味では私は情報交換は行うことができない、できないと、このように思っております。  自衛隊が実施する能力を現に持っていません。そういう意味じゃ、自衛隊がそういう意味で共同行動を実施する能力持っていません。そういう意味で、また、またこれからもそういう計画も持ちません、持っていません。そういうことで私は少しこの辺は精査してみる必要があろうと。  一番大きな問題は憲法との関係だと、もう先生の御指摘、頭の中にあるのは憲法の関係だろうと私、思いますけれども、ちょっとその辺は、憲法との関係につきましては予断を持ってお答えするわけにいけないのかなと。しかし、そういう共同交戦、交戦能力というのは持っていないし、持つ計画もありません。ここは明快に申し上げたいと思います。
  267. 澤雄二

    ○澤雄二君 時間来ました。終わります。
  268. 林芳正

    委員長林芳正君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の修正について齋藤君から発言を求められておりますので、この際、これを許します。齋藤勁君。
  269. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私は、本案に対し修正の動議を提出いたします。その内容は、お手元に配付されております案文のとおりでございます。  民主党・新緑風会を代表さしていただきまして、その趣旨及び概要を御説明させていただきます。  本法律案の主たる内容の一つである弾道ミサイル防衛については、専守防衛の観点から我が国防衛にふさわしいものであり、さきの参議院選挙の民主党マニフェストでも、弾道ミサイル防衛については、その必要性を踏まえ、費用対効果など総合的観点から検討を進めると公約しました。また、弾道ミサイルの飛来など、突発的な被害が予測される事態を列挙して閣議決定を合理化するなど、迅速な意思決定の在り方を可能とする法制について論議を深め、民主党は、その必要性を十分認識しながら、国民の生命、財産をしっかり保護していくことについて真摯かつ建設的な態度で取り組んでいるものと自負しております。  我々は、本来あるべき弾道ミサイル防衛について、迅速かつ適切な対処に配慮しつつ、シビリアンコントロールの徹底を図っていくことを主な内容とする修正案をここに提出し、心ある委員の皆様の賛同を得たいと思います。  以下、修正案の概要を申し上げます。  第一点は、自衛隊法第八十二条の二第三項後段の防衛庁長官が命令に係る措置をとるべき期間を定めるものとする規定を削除することであります。  命令に係る措置をとるべき期間については、命令を発出していない期間が存在することを法律に明記する必要はなく、また、シビリアンコントロールの観点からも特段の意義を見いだせないため、これを削除することといたします。  第二点は、自衛隊法第八十二条の二第三項の規定により命令を発した場合において、内閣総理大臣の承認を得るいとまがあると認めるときは、当該命令を解除して、同条第一項の命令を発することであります。  これに関して、政府は、政令で定めるところにより緊急対処要領に明記する方向で考えているようですが、命令発出に係る重要事項であり、よりシビリアンコントロールの趣旨に沿ったものとするためにも、あくまで閣議決定を経て発出される第一項による命令が原則であることを明確にすべきであり、当該事項を法律に規定することが必要となります。  第三点は、弾道ミサイル等破壊措置の命令が発せられた場合又は弾道ミサイル等が我が国に飛来する事態が生じた場合において、その旨を直ちに国民に公表するとともに、速やかに国会に報告することであります。  弾道ミサイル等に係る事態については、事態対処法における緊急対処事態として扱われるべきことはもとより承知しておりますが、数分単位で飛来するという弾道ミサイルの特性や国民の生命、財産に直接影響を及ぼし得る事態であることから、特に迅速かつ確実な公表、周知が必要であり、当然、国会にも直ちに報告する必要があることから、これを義務付けることといたします。  第四点は、弾道ミサイル等が我が国に飛来する事態が生じた場合において、事態が終結したとき、内閣総理大臣は速やかに国会に報告して承諾を求めなければならないことであります。  衆議院送付案では、国会に報告しなければならないとしていますが、これでは、弾道ミサイルが飛来したが、政府の対処が遅れ破壊措置をとれなかったような場合には報告が行われないことになります。また、弾道ミサイル等への対処は国民の生命、財産の保護に直結するものであり、とりわけ自衛隊の実力行使が予定され、これによって防衛出動につながる可能性もある重大な事態であることからも、国会報告にとどまるのではなく、国会承諾として、国民の代表で構成される国会による事後検証、責任追及の仕組みを設けることといたします。  第五点は、自衛隊の行動に係る長官の指揮監督及び長官の補佐の在り方について、本法の施行後三年を目途として、必要な見直しを行うことであります。  今般の改正によって、長官が統合幕僚長を通じて部隊運用についての指揮監督を行う一方、統合幕僚長は部隊運用に関する最高の専門的助言者として長官を補佐することとなります。このように部隊運用を一元化するのは自衛隊創設以来初めてのことであるため、かかる体制の下、陸海空各自衛隊が有機的に連携し、実効的な統合運用体制を確立するのは容易ではありません。よって、一定期間経過後に統合運用体制の実態について検討を行うべく、本改正法の附則に見直し規定を追加することといたします。  以上、修正案の概要を申し上げました。  政府は、弾道ミサイル等破壊措置による国民の権利の制限は、防衛出動等の他の行動類型と比較すると限定的であると累次にわたり答弁しておりますが、国民生活との関連でいえば、弾道ミサイル等破壊措置は国民生活に重大な影響を及ぼすものであると言えます。  このような観点から、我々民主党・新緑風会は、措置を実施する側だけの視点ではなく、広い意味での国民の視点に立って、国民への速やかな公表、国民の代表で構成される国会による関与の強化等の修正を求めます。この修正要求は、これまでの論議によって問題点が明らかになったものについて取りまとめたものであると思います。  委員各位の賛同を十分に得られる我々の修正案は、心ある委員各位に御理解いただいたことと存じます。  何とぞ御賛同いただきますようお願い申し上げまして、趣旨説明とさせていただきます。
  270. 林芳正

    委員長林芳正君) これより原案及び修正案について討論に入ります。  御意見のある方は賛否を明らかにしてお述べ願います。
  271. 榛葉賀津也

    榛葉賀津也君 私は、民主党・新緑風会を代表しまして、ただいま議題となりました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に反対、民主党・新緑風会提出の修正案に賛成立場から討論を行います。  討論に先立ち、衆議院における与党との修正協議の過程で、政府並びに与党の態度が硬直化し、参議院での審議においては原案から一歩も譲らないという悪弊に陥ったことは、日本の防衛政策にとって極めて不幸な状態であると指摘いたします。  安全保障の分野、特に新たな脅威の下では、防衛政策にセンスとバランス感覚が求められることは言うまでもありません。愛国的であると同時に、広い視野、国際的な視点、そして客観性が不可欠であります。国際性という点では、外から見れば明らかに自衛権である行為を国内事情で警察権という不自然さを補う説明に多くの時間を費やしたことは、政府の想像力の限界を端的に示しています。政府、特に安全保障政策をつかさどる防衛庁には、是非とも必要な変革や変更を恐れない柔軟性をお持ちいただきたく思います。  国会審議に対して、始めから一言半句とも修正させない、解釈も絶対に変えないというかたくなな態度ではなく、議論を通してより良い提案や政府の想定を超えたケースを扱った良い質問が出た場合には適切な修正を行い、国民の利益を優先させるべきであります。  さて、本法律案は、御存じのとおり多くの問題点が指摘されながら、政府は答弁の繰り返し、質問の曲解、論理のすり替えに終始して、正面から説明責任を果たしておらず、極めて消化不良の印象が我々委員の間で共有されている法案であります。  以下、政府案に反対する五つの理由を申し述べます。  第一に、統合運用に関しましては、統合幕僚長と陸海空幕僚長との関係が不明確であり、法の趣旨と実態が乖離していくおそれが明らかであるにもかかわらず、政府はこれを率直に認めようとせず、納得のいく説明もいただけませんでした。  第二に、弾道ミサイル破壊措置に関する国会の関与について、こちらも同一の答弁を繰り返し、誤射の可能性や誤射又は撃ち損じの際の責任の取り方など、委員会審議で指摘された想定をすべて排除して答弁するという政府の姿勢は極めて不誠実なものであります。  第三に、言うまでもなく、ミサイル防衛日米同盟の中で運用されていくシステムであり、この先も米国の攻撃力、軍事戦略と組み合わされていくことが不可避であります。すなわち、実態として米国への一層の依存の方向で深く一歩を踏み出してしまうということに気付きながらも、憲法と集団的自衛権との関係議論を尽くさずに封じ込めたことは、我が国の安全、我が国の防衛政策の根幹から目を背く態度でしかありません。  第四に、MDの性能はこれからの技術開発に掛かっており明らかに見切り発車である事実を、隠ぺいするような答弁がなされてきました。政府の説明責任の著しい欠如と断じざるを得ません。  そして第五に、ミサイル防衛に関する命令及び措置の中には閣議決定の秘密扱い等、政府の恣意的な判断によって事実が抹消される可能性があることを示唆する発言がありました。  以上、もはや本法律案は国民を欺くに等しいことを指摘し、政府案に断固として反対いたします。  他方、民主党案におきましては、まず弾道ミサイルの破壊措置において武器の使用をすることの重要性並びに誤射の可能性にかんがみ、事後承諾の仕組みを導入することによって、国会として政府の措置が正しかったかどうか一定の評価をする責任を盛り込む点が特徴的です。シビリアンコントロールの観点からより望ましいことは言うまでもなく、議会の役割と責任を進んで果たしていこうとする積極性は評価されるべきであります。  さらに、統合運用において見直し規定を設けるべきという建設的な項目が盛り込まれているのは極めて適切な提言だと考えます。  現在の政府は、郵政しか目に入っていない小泉総理を先頭に、まるで目隠しをして走っているように見えます。都合の悪いことから目をそらし、自分の関心のあることだけを追求する自己中心的かつ思考停止状態の政府に真に国民のための政治ができるでしょうか。  本法律案に対しましては、与野党を問わず多くの委員からこれほど多くの問題点が指摘され、しかも答弁が甚だ不十分であるにもかかわらず、あたかもこれを黙殺することが政府の強さであると誤解しているのではないでしょうか。国会審議における政府の態度は余りにも狭量だと指摘せざるを得ません。これを見過ごすことが参議院の良心と言えるでしょうか。  以上、心ある委員の御判断を期待いたしまして、原案に対する反対討論、民主党・新緑風会提出の修正案に対する賛成討論とさせていただきます。
  272. 山谷えり子

    山谷えり子君 私は、自由民主党及び公明党を代表いたしまして、防衛庁設置法等の一部を改正する法律案賛成、民主党・新緑風会提出の修正案に反対の立場から討論を行います。  この法律案は、統合運用体制の強化、弾道ミサイル等に対する体制の整備等を主な内容とするものであります。  まず、統合運用の強化につきましては、世界的な潮流であり、現実に陸海空自衛隊が一体となって活動するニーズが増大しておりますことから、正に時代の要請を踏まえたものと申せます。  また、現に存在する我が国を射程に収める弾道ミサイルに対する脅威から国民の生命、財産を守るために弾道ミサイル防衛システムの導入を進めるに当たって、法の空白となっていた防衛出動下令前の対処について法の整備を行うことは、システムの実効的な運用を可能とし、我が国の対処能力の向上にもつながるものであり、国家として当然の責務であります。  なお、民主党・新緑風会提出の修正案は、弾道ミサイル等破壊措置について国会承諾を求めること等を内容とするものでありますが、相手国の人命を傷付けることはないこと、日本国民の主権はほとんど制限されないこと、不承諾となった場合に取るべき対応がないことなどから、国会承諾を求めることは必要とは申せません。  以上、本法律案の成立により、弾道ミサイルに対する自衛隊の行動類型及び新たな統合運用体制が整備されますが、新たな脅威の時代に対処するための万全な防衛体制の確立に一層努力されるよう切に要望して、私の討論を終わります。
  273. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、日本共産党を代表して、自衛隊法、防衛庁設置法等の一部改正案に対し、反対の討論を行います。  本法案の第一の眼目は、防衛出動下令前から弾道ミサイル対処の行動権限を新設することであります。  法案は、三百六十五日、二十四時間、現場の司令官に迎撃判断をゆだねることを可能にするものですが、これは自国のシステムと統合し、高度に自動化をするよう求めるアメリカの要求にこたえるものにほかなりません。政府は、我が国自らが主体的に判断して運用するなどと言いますが、システムの構築から運用まで日米間の緊密な協力を前提に進めるものであり、政府の言い分は通用しません。  ミサイル防衛は、相手の弾道ミサイルを無力化することによって、圧倒的な軍事的優位と報復の心配なく先制攻撃できる体制の確立を目指してブッシュ政権が同盟国を組み込み、推し進めている計画であります。これは、自衛隊部隊の運用を事実上米軍主導の下で一体化させ、米ミサイル防衛構想全体の対処の一翼を担わせることにもなり、断じて許されません。  そもそも、ミサイル防衛によって国民の生命、財産を守るということ自体、現実には成り立たず、その穴を埋めようとすれば、結局、際限のない軍拡競争と巨額の財政負担を招くことになることは明らかであります。  ミサイル防衛計画は直ちに中止することを強く求めるものです。  第二に、従来の統合幕僚会議を廃止し、自衛官の最上位として陸海空三自衛隊の部隊運用を一元的に担う統合幕僚長をつくるとしていますが、これは、自衛隊を統合幕僚長に権限を集中した本格的な軍隊組織に作り替え、正に日米が一体となって海外に軍事介入していく体制づくりにも通じるものであり、断じて容認できません。  なお、修正案はこうした法案の骨格を変えるものではなく、賛成できません。  以上で討論を終わります。
  274. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 私は、社民党・護憲連合を代表して、ただいま議題となっています防衛庁設置法等の一部を改正する法律案並びに民主党の修正案に反対する立場から意見を申し述べます。  今年は戦後六十年の節目の年であり、改めて、さきの大戦で百十万人の尊い人命を失っただけでなく、二千万人とも言われる近隣諸国民の命を奪ったことへの深い反省の所産として誕生した平和憲法の理念に立ち返るべきときであると考えます。  戦前、戦中の過ちの一つは、旧軍に政治への支配を許したところにありました。したがって、敗戦後間もなく、やむなく自衛隊を創設した際にも、制服組のトップが自衛隊を自由に動かすことにならないように統合幕僚会議議長の権限を制約する法体系が確立されました。  ところが、議題の防衛庁設置法等の一部を改正する法律案は、弾道ミサイル防衛の導入をきっかけに、陸海空三自衛隊の統合運用の必要性を強調して、従来の陸海空各幕僚長を凌駕する権限を有する統合幕僚長を新設し、統合幕僚長が名実ともに制服組のトップとして強大な権限を行使できるようになり、自衛隊の旧軍的様相を一層促進するものと言わざるを得ません。  また、弾道ミサイル防衛は、そのシステム上、弾道ミサイルの発射段階の情報収集を始め、すべての過程において米軍との一体化が不可欠となり、場合によっては我が国の迎撃態勢が憲法第九条が禁じる集団的自衛権の行使に事実上踏み込むことにもなりかねません。  しかも、この間の審議において、迎撃ミサイルの技術はいまだ未完成のものであり、かつ開発、配備に億兆単位の巨額な費用を要することから、その有効性や費用対効果などについて疑問が浮き彫りとなりました。  仮に、我が国に対する弾道ミサイルの軍事的脅威があるとすれば、再開される六か国協議等において、また北東アジアの平和と安定のための国際的協調体制を確立することによって脅威の解消を図るべきであります。弾道ミサイル防衛体制は、日本の厳しい国家財政からいっても許容できない事業と言わざるを得ません。よって、私は、現行憲法を否定することにもなりかねない設置法等の一部改正案には到底賛同することはできません。  強く廃案を主張して、反対討論といたします。
  275. 林芳正

    委員長林芳正君) 他に御意見もないようですから、討論は終局したものと認めます。  これより防衛庁設置法等の一部を改正する法律案について採決に入ります。  まず、齋藤君提出の修正案の採決を行います。  本修正案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  276. 林芳正

    委員長林芳正君) 少数と認めます。よって、齋藤君提出の修正案は否決されました。  それでは、次に原案全部の採決を行います。  本案に賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  277. 林芳正

    委員長林芳正君) 多数と認めます。よって、本案は多数をもって原案どおり可決すべきものと決定いたしました。  山本君から発言を求められておりますので、これを許します。山本一太君。
  278. 山本一太

    ○山本一太君 私は、ただいま可決されました防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対し、自由民主党、民主党・新緑風会及び公明党の各派共同提案による附帯決議案を提出いたします。  案文を朗読いたします。     防衛庁設置法等の一部を改正する法律案に対する附帯決議(案)   政府は、本法の施行に当たっては、次の諸点に留意し、その運用に遺憾なきを期すべきである。  一 統合運用の推進に当たっては、陸海空各自衛隊の特性に配意しつつ、各自衛隊が指揮通信や教育訓練分野等における各種施策を通じて有機的に連携することにより、実効的な体制を確立すること。統合運用体制の在り方については、防衛計画大綱の見直しに併せて検討を加えること。  二 統合幕僚長の任命に当たっては、最適任の人材を任命することとし、統合幕僚長は、陸海空各幕僚長と連携しつつ、円滑に職務を遂行するよう努め、また、必要に応じて陸海空各幕僚長の所掌に関わる事項について調整を行うこと。  三 弾道ミサイル等を迎撃するシステムの導入を進めるに当たっては、我が国安全保障に資するように配慮しつつ、文民統制の確保及び均衡ある防衛力の整備の要請に応えられるよう、その効果・費用等について適時適切に国会に説明をすること。  四 自衛隊法第八十二条の二第一項に基づく弾道ミサイル等に対する破壊措置に係る命令が発せられた場合又は弾道ミサイル等が我が国に飛来する事態が生じた場合には、混乱の回避に配意しつつその旨を遅滞なく国民に公表するとともに国会に報告すること。弾道ミサイル等が我が国に飛来する事態が生じた場合において、当該事態が終結したときは、当該事態に係る事項及び当該弾道ミサイル等に対処するために講じた措置について国会に包括的かつ詳らかに説明し、説明責任を尽くすこと。    右決議する。  以上でございます。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。
  279. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいま山本君から提出されました附帯決議案を議題とし、採決を行います。  本附帯決議案賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  280. 林芳正

    委員長林芳正君) 多数と認めます。よって、山本君提出の附帯決議案は多数をもって本委員会決議とすることに決定いたしました。  ただいまの決議に対し、大野防衛庁長官から発言を求められておりますので、この際、これを許します。大野防衛庁長官
  281. 大野功統

    国務大臣大野功統君) ただいま御決議のありました附帯決議につきましては、その趣旨を十分尊重いたし、努力してまいります。
  282. 林芳正

    委員長林芳正君) なお、審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  283. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後三時十五分散会