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国務大臣(
大野功統君) 正にポイントを突いた御質問でございます。
まず第一に、自衛隊が武力を行使できるのは
防衛出動が下令されている場合でございます。この今回のBMD
システムの法体系というのは、
防衛出動が下令されていないケースであります。
〔
委員長退席、理事浅野勝人君着席〕
防衛出動の手続となりますと、安全保障会議、閣議決定が必要であります。あるいは国会の承認ということも必要でございます。そこで、考えてみますと、
ミサイルが仮に飛んできた場合、場合によっちゃもう十分程度で
日本に飛来すると、こういうケースでありますから、安全保障会議、それから閣議決定を行う時間が全くない、この点は考慮しなきゃいけないと思います。
それから、自衛権発動につきましては、荒木
先生十分御存じのとおり、もう三要件満たしているかどうか、こういう問題があるわけでありまして、この三要件というのは、
我が国に対する急迫不正の侵害があること、これを排除するために他の適当な
手段がないこと、
必要最小限度の実力行使にとどまること、この三条件でございますけれども、第二、第三の条件については、これは
ミサイル防衛、今回考えております
ミサイル防衛は適応しているわけでございますが、第一の急迫不正の侵害といった場合に、やはり不正ということをどういうふうに考えていくのか。誤射した場合もあろうか、あるいは何らかの破片が落ちてくるというケースもあろうかな、こういう問題点が残されているわけでございます。そういう
意味で、
防衛出動並びに自衛権発動の三要件、こういう観点から考えていかなきゃいけない、これが第一のポイントでございます。
しかしながら、これを
迎撃するためにはどうしても
武器を使用しなきゃいけない、そして飛んでくるものも
武器である、このような考え、当然であります。しかも、それが、
ミサイル攻撃が
防衛出動下令前でありますけれども、
ミサイル攻撃を受けた場合、それが当然のことながら
防衛出動に発展していく、進展していく、こういう
可能性は大きいと思います。そうなりますと、やはりシビリアンコントロールという点を十分考えなきゃいけない、こういうことであります。
そこで、
ミサイルが飛来する場合に、単に飛来の事実のみをもって、およそ事故や誤射でなく、
我が国に対する急迫不正の侵害であるとの
判断は
一つ困難ではなかろうか。それからもう
一つ、
弾道ミサイル等が飛来した場合、飛来する場合、破壊する以外に
国民の生命あるいは
財産の被害を防ぐ方法はないということであります。したがいまして、これはもう絶対にマストとして落とさなきゃいけない問題であります。言い換えてみますと、この
措置というのは必要かつ当然の
措置である。
こういうような以上のような
考え方からいたしまして、この自衛隊が対応できるような法制度として、どちらかといえば警察権の発動と、
防衛出動とかそういうことではなくてですね、警察権の発動という位置付けにしたわけでございます。