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2005-07-05 第162回国会 参議院 外交防衛委員会 第17号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年七月五日(火曜日)    午前十時開会     ─────────────    委員異動  七月五日     辞任         補欠選任      喜納 昌吉君     松下 新平君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 浅野 勝人君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君     委 員                 岡田 直樹君                 柏村 武昭君                 桜井  新君                 谷川 秀善君                 山谷えり子君                 犬塚 直史君                 佐藤 道夫君                 田村 秀昭君                 白  眞勲君                 松下 新平君                 荒木 清寛君                 澤  雄二君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君        外務大臣    谷川 秀善君    大臣政務官        防衛庁長官政務        官        柏村 武昭君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        内閣官房内閣審        議官       大石 利雄君        内閣官房内閣審        議官       松井 房樹君        内閣大臣官房        遺棄化学兵器処        理担当室長    高松  明君        警察庁情報通信        局長       武市 一幸君        防衛庁防衛参事        官        横山 文博君        防衛庁防衛参事        官        大井  篤君        防衛庁防衛参事        官        佐々木達郎君        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛庁運用局長  大古 和雄君        防衛庁人事教育        局長       西川 徹矢君        金融庁総務企画        局審議官     大藤 俊行君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房審        議官       西宮 伸一君        外務省総合外交        政策局軍縮不拡        散・科学部長   天野 之弥君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        外務省国際法局        長        林  景一君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○政府参考人出席要求に関する件 ○防衛庁設置法等の一部を改正する法律案内閣  提出、衆議院送付) ○参考人出席要求に関する件     ─────────────
  2. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会を開会いたします。  委員異動について御報告いたします。  本日、喜納昌吉君が委員を辞任され、その補欠として松下新平君が選任されました。     ─────────────
  3. 林芳正

  4. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  5. 林芳正

    委員長林芳正君) 防衛庁設置法等の一部を改正する法律案を議題といたします。  本案の趣旨説明は既に聴取いたしておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  6. 山谷えり子

    山谷えり子君 自由民主党、山谷えり子でございます。  ミサイル防衛についてお伺いします。  二〇〇四年版アメリカ国防省年次報告書では、中国衛星攻撃用レーザー兵器開発に取り組み、実戦配備計画を持っているとレポート。また、台湾の二〇〇四年版国防報告書では、中国偵察活動写真撮影阻止の高エネルギーレーザー兵器開発したとあります。  日本はこれをどう受け止めていらっしゃるのでしょうか。軍事衛星が破壊されればMDシステムそのものが機能しないと思いますが、いかがでございましょうか。
  7. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、衛星攻撃用レーザーの問題であります。  これ衛星搭載センサーを言わば盲目化する、破壊するということでございますけれども、本件含めて日米間で様々な情報交換を実施いたしております。  具体的にどういう情報交換やっているかということは、こういうことでございますので答弁を差し控えさせていただきたいと思いますけれども、一般的に衛星攻撃用レーザーについてアメリカの対応は、一つ技術進歩宇宙空間の競争を助長していくこの可能性が非常に強いということであります。したがいまして、将来、衛星などの重要な情報インフラを防護するための研究資源投入、こういうことが必要になる、このようなことを米国は意識しているようでございます。さらに、アメリカのいわゆるトランスフォーメーションにおきましても、努力目標一つといたしまして、宇宙システム能力生存性を高める必要があるということを言及いたしております。  日本といたしましても、やはりこういう意味世界軍事科学技術動向を十分注視していかなきゃいけないと思いますし、さらに冒頭申し上げましたようなアメリカとの情報交換、これを緊密に進めていかなきゃいけない、このように思っているところでございます。
  8. 山谷えり子

    山谷えり子君 ペンタゴン筋は、二〇〇九年ごろまでに中国軍事衛星を破壊する能力を持つというような報道も一部ありますし、また、最近、アメリカの元中国大使が、コロラドで中国レーザー兵器に対抗する武器アメリカは今開発中だというふうにも言っているようですが、その辺についてはもう少し詳しくお答えできませんでしょうか。
  9. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 済みません、手元に資料がないので正確なところをお答えはできないことをお許しいただきたいんですが、大臣から今お答え申し上げましたとおり、低い能力の、何といいますか、低エネルギーレーザーでありますとセンサー機能が破壊され得るということから、これ種々のいろいろな技術を使ってそれに対抗する手段を当然米側研究しているという認識は持っておりますが、詳細なところをお答え、今できないことをお許しいただきたいと思います。
  10. 山谷えり子

    山谷えり子君 SM3は七回中六回迎撃成功PAC3は十二回中十回迎撃成功という試験結果でございますが、もちろん一〇〇%ではないわけで、つまり、国内弾着することを認める政策日本は取るということなんですけれども、国民はこれで納得するとお考えでございましょうか。
  11. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 兵器技術的なところだけお答えをさせていただきますが、現在、米国が既に配備しておるPAC3及び最終段階に来ているイージス艦発射スタンダードミサイルは、これブーストフェーズ、つまりロケットエンジンを燃焼させている段階を過ぎた後、ミッドコース以降のものを迎撃をすると、こういう性格のものでございます。でございますので、当然、基本的に日本地理環境を考えますと、公海上ないしはPAC3の場合は我が国領土上で飛んでくるミサイルを破壊するという性格のものでございます。  他方、発射基地の上空上で破壊をするためには、今よく言われておりますのがレーザーを使うというやり方がございます、言われておりますが、これについてはまだ開発段階でございまして、実用化はされていないというふうに認識をいたしております。
  12. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 山谷先生から、国民はこれで納得するのであろうかと、こういう御質問でございます。  我が国専守防衛という考え方並びに二重で防御をしていくという考え方、この二重で防御する考え方で、成功率の問題でございます。我々、現状で、法制の問題、日本防衛思想の問題、さらに現状でできる限りの技術的な防御体制ミサイル防衛体制を取っているわけでございます。万々が一ということを考えた場合に、それは完全に一二〇%迎撃できるとは言い切れないわけでありますが、我々としては逆に一二〇%の努力をしている、このことを申し上げたいと思います。
  13. 山谷えり子

    山谷えり子君 一二〇%の努力であるならば、憲法違反ではない敵基地攻撃手段研究ということにも着手すべきではないかというふうに思いますけれども、それについては後ほどの答弁に回すことにいたしまして、弾道ミサイルによる国民生活への影響についてお伺いします。  電波障害飛行禁止区域の設定、外出禁止、いろいろ考えられます。PAC3は移動性のものなので民有地を借りる場合も出てくるでございましょう。一九九一年一月十七日の湾岸戦争で、イラクイスラエルミサイル攻撃を掛けました。このときアメリカイスラエルに反撃を控えさせました。そして、イスラエルは、四十二日間、四十二発のミサイル攻撃を受けて、直撃で死者二名、負傷者二百二十六名、約七千七百の建物、ビルが損害を受けました。灯火管制学校閉鎖輸送ストップ、シールされた部屋かシェルターに逃げて六週間。ガスマスクはパレスチナ人全員にも配られました。  イラクからイスラエルミサイル着弾まで七分間。北朝鮮から日本までは十分間と言われておりますが、イスラエルでは事前によく指示教育がありましたけれども、日本の場合、一〇〇%防御できない今システムしか日本は取ろうとしていないわけですから、国民保護のシミュレーションはどのようになっているでしょうか。
  14. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、対処時間が極めて短い、御指摘のとおりでございます。そういうことでありまして、我々はベストを尽くしていく、しかし万々が一という場合がある、このことは御指摘のとおりでございます。  まず我々は、第一に、そういう事態が発生すれば、あらゆる手段を通じて、こういう事態が発生したということを国民皆様にお知らせをする必要がある、このように思っております。そういうことを前提として、言わば緊急対処事態という問題に触れざるを得ません。  基本的には、武力攻撃事態対処法第二十五条に規定する緊急対処事態ということでございます。この場合、緊急対処事態が認定されますと、国民保護法に基づき、対処保護措置として、国、地方公共団体等が一致協力して、連携協力いたしまして、国民皆様への警報を発令していく、さらに避難の指示をしていく、こういう態勢を取るわけでございますけれども、このような国民全体として行動していくためには、というか、国民保護のための措置を的確に実施していくためには、やはり広く国民皆様の御理解、御協力を得ることが必要であります。そのためには情報提供が一番、事態が起こりましたら直ちにこのことをお伝えする、このことは冒頭申し上げたとおりでございます。  そういうふうな国民皆様の御協力を期待するためには、御協力の方向で対処していくためには、やはり国及び地方公共団体は必要な支援を行うようにしなければいけない、こういう意味で申し上げて、平素から国民に対する啓蒙活動、あるいは住民の訓練への参加というようなことを通じまして、国民皆様の御理解、御協力を得られるよう、今後の課題として努力していかなければならない、このように思っているところでございます。
  15. 山谷えり子

    山谷えり子君 イスラエルでは個別法があって、人的被害への補償国民保険制度が、また物的被害に対しては戦争損害補償基金法がございますけれども、民間防衛法、あるいは民間防衛仕組みというのをつくる必要があると私は考えておりますが、一昨年成立したあの事態対処法のときに、民間防衛仕組みというのは諸外国にもあるのだからということで日本でもどうかというような議論はあったわけですが、しかし先送りになりました。  今、大野長官がおっしゃられましたように、地方公共団体、国、指定公共機関、またそれぞれ民間役割分担をこなす中で、国民保護措置が円滑に行えるようにしていかなければいけないという、これは基本的な考え方だと思いますが、一昨年の議論から今日に至るまで、具体的にどのような協力体制をおつくりでございましょうか。
  16. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 武力攻撃事態対処法の際に正に今御指摘のような議論がなされまして、実際はその下で、私もメンバーの一人でございますが、内閣官房を中心に関係各省庁の局長クラスが集まりまして、いろいろなケースの念頭に置いた、正にどういうような形で国民連絡をするか、地方公共団体にどのような連絡をするか等々具体的なところを念頭に置いて、現在ある意味のシナリオといいますか、マニュアル的なものを練っているという段階でございます。
  17. 山谷えり子

    山谷えり子君 国民防衛構想がよく分かるように、要所要所のポイントで御報告などもお知らせいただけたらというふうにお願いしておきたいと思います。  ところで、化学弾頭が使用されているか否かというのは弾着前に分かるものなんでしょうか。
  18. 大野功統

    国務大臣大野功統君) どういうものが弾頭に搭載されているか、化学兵器なのか生物兵器なのか核兵器なのかという問題でございますけれども、弾頭の形からだけではこれは判断することはできません。したがいまして、当該ミサイル弾着する以前の段階で何が入っているのかな、装備されているのかを判断することは、もう極めて難しい問題であると認識いたしております。  しかしながら、ある国がどういう面で研究をしているのか。弾道ミサイル保有国の戦略、戦術、あるいは技術動向、こういうことを十分勉強をして情報を取ってなきゃいけない。そういう意味で、これは情報合戦になるのではないか。各種の手段を通じて情報収集、分析していくことが大変必要なことじゃないか。ある国から撃たれた弾頭にはこういうものが入っている可能性があると、この推定は情報によりできるわけでございますので、情報収集し、どのような弾頭を搭載する可能性があるのか、この見極めをしていく上で情報収集に努めてまいりたいと思っております。
  19. 山谷えり子

    山谷えり子君 大野長官は、法理論世界では防衛出動下令後に敵基地攻撃することは許される、しかし日本政策として他に代替手段がある場合には控えておくべきではないか、代替手段ということで考えれば、場合によって解釈が変わってくる問題かというふうに答えていらっしゃいますけれども、衆議院安全保障委員会で、今年の四月十五日でございます。  今のお答えですと、何が積まれているか分からないと。例えば、北朝鮮核開発実験も終えたらば、場合によっては解釈が変わってくるというこの部分は変わるのでしょうか。敵基地攻撃能力を持つような研究を着手しなければいけないということも含まれるんでしょうか。
  20. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 敵基地攻撃という問題は、日本防衛に対しては基本的な考え方でございます。敵基地攻撃ができないというわけではないけれども、我が国政策としてそれはやらない、こういうことを申し上げているわけでございますけれども、この例えば弾頭に何が詰まっているかという情報と、それから敵基地攻撃能力あってもそれはなるべく使わないという防衛思想との間に私は先生おっしゃるような関連はないのではないか。やはり、我々は敵基地攻撃能力があっても、もちろん防衛出動下令前の話でございますけれども、防衛出動下令前といたしましては、やはり申し上げましたように専守防衛思想でやっていくべきではないかと。弾頭に、ミサイル弾頭に何が搭載されているかということは、私は考慮に入れないでそういう判断をしたいと思っています。
  21. 山谷えり子

    山谷えり子君 国民の生命と財産を守る上で、そのような答えでいいのかなという疑問は非常に感じますけれども。  アメリカは、日本に向けてミサイルを発射してくる相手敵基地攻撃をするのか、どの規模でするのか。今現在ですと、それの決定はだれがなさるのか、何分掛かるのか。この辺についてお伺いいたします。
  22. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、日米防衛協力のための指針におきましては、米軍は必要に応じ打撃力を有する部隊の使用を考慮する、このように書かれていることは先生御存じのとおりでございます。アメリカミサイル基地攻撃を行う場合、その判断をだれがどのようにどのぐらいの時間を掛けて行うのか、これ一概に申し上げることは極めて困難であると思っております。  しかしながら、先ほども触れさせていただきましたけれども、敵基地攻撃につきましては、従来から、我が国に対して急迫不正の侵害が行われ、その手段として我が国国土に対し誘導弾等により攻撃が行われた場合、そのような攻撃を防ぐのに万やむを得ない必要最小限度措置をとること、例えば誘導弾等による攻撃防御するのに他の手段がないと認められる限り、敵の誘導弾等基地をたたくことは法理的には自衛の範囲に含まれ、可能である、このように申し上げている次第でございます。  こういうことを前提日米間でどうかということでありますけれども、日米間の適切な役割分担の下で我が国の平和と安全を期することが重要であります。現時点では敵基地攻撃の目的とした装備は、装備保有は考えておりませんけれども、先ほど申し上げたようないわゆる日米間の協力の問題、こういうことを考えれば、攻撃能力米国にある、防御能力のために我が方はBMDを導入している、こういうことでございます。  したがいまして、日米協力相まってその辺を対処していく、具体的にどうこうと一概に言うことはできない、このことだけは御理解いただきたいと思います。
  23. 山谷えり子

    山谷えり子君 一九九八年、テポドンが飛んできたとき、一か月前にアメリカより情報がありましたけれども、いよいよというそのときは、何分とは申しませんけれども、私の印象ではかなり短過ぎて十分な迎撃態勢が取れないような状況だったのではないかと思います。  今、アメリカで意思決定するのは恐らくチェイニー副大統領だというふうに思いますけれども、何分掛かるかというふうにアメリカの方に聞いたときに、ディペンド・オン・シチュエーション。このような状況の中で国民本土攻撃にさらすということは、私は政府としては無責任ではないかというふうに思っております。独立国であるならば敵基地攻撃研究を進めると、これはむしろ抑止力を高めることになると思うわけでございます。  続きまして、中国遺棄化学兵器問題についてお伺いします。  化学兵器禁止条約は、元々自国で生産した国内化学兵器処理するための条約です。現在、しかし、世界じゅうで我が国だけが中国遺棄化学兵器処理する義務を負っている。条約には、相手方の同意なくして遺棄した化学兵器処理する義務があるとありますけれども、日本ポツダム宣言の九項で武装解除しました。完全武装解除降伏条件でございました。大砲、弾薬、馬、車、財産すべて、旧満州地域ソビエト軍に、それ以外は中華民国軍に、一部共産党軍に引き渡されたとも言われておりますが、それぞれの軍の所有になったわけでございます。  この引き渡したもの、そして向こうが管理していたものも遺棄化学兵器になるんでしょうか。
  24. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 化学兵器禁止条約上、遺棄自体についての定義でございますけれども、これは他国の、御指摘のとおり、同意を得ることなく遺棄した化学兵器だということが言われているわけでございますけれども、中国で発見され又は今後発見される化学兵器が旧日本軍の所有していたものであることが明らかであれば、これらの化学兵器を旧日本軍が残置することに中国側同意していたことを示す明らかな根拠がない限り、我が国としてはこのような化学兵器については遺棄締約国として廃棄する義務を負うものと考えております。
  25. 山谷えり子

    山谷えり子君 ソビエト中国共産党の間で、一九四七年から四八年の間、ハルビン協定モスクワ協定が結ばれました。この中に、敗戦した日本軍武器を二回に分けてすべて提供すること、ソ連日本軍から接収した満州弾薬軍用物資も安い値段で中共に提供することというのがあるやに聞いております。同意を得てソ連、そしてそこから中共に渡った。相手に引き渡したと解釈できることもまた学説としてあるわけでございまして、遺棄したと主張する立証責任中国側にあるんじゃないんでしょうか。
  26. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 私どもといたしましては、旧ソ連からいろいろ提供されているということを確実に裏付ける資料存在がないものというふうに承知しておるわけでございます。
  27. 山谷えり子

    山谷えり子君 日本武装解除により中国側に引き渡された兵器は現在の貨幣価値にして数兆円とも言われております。管理責任中国にあるのではないでしょうか。普通、武器一式、書類、数量、保管場所武装解除のときそろえて渡すはずですけれども、関東軍のものは日本にはないということなんですか。
  28. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 政府といたしましては、平成十五年に化学兵器と思われる兵器、これは手投涙弾などでございますが、を含む引渡し目録と題されている資料存在していることだけを確認しておるわけでございまして、この中身は、旧日本海軍の第二復員局作成とされるリストでございますが、その中で触れられている武器手投涙弾等約四千六百発でございまして、それ以外の資料については我々存在を確認しておりません。
  29. 山谷えり子

    山谷えり子君 関東軍のものはソ連に渡っている可能性もありますし、また中華民国に対するものは台湾に残っている可能性があります。また、当時の関係者がまだ御存命ですけれども、その辺は問い合わせられたんでしょうか。
  30. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 政府といたしましては、化学兵器禁止条約に従って忠実に遺棄化学兵器処理する観点から、できる限りのいろいろな情報収集をしておるものと理解をしております。
  31. 山谷えり子

    山谷えり子君 なぜ日本だけがこれをしているんでしょうか。ベトナム戦争アメリカはどうだったのか。イラン、イラクはどうだったのか。中越戦争中国化学兵器を使用したと思われますが、そのほかの国々はそのような処理条約、約束をしておりませんが、なぜでしょうか、日本だけというのは。
  32. 天野之弥

    政府参考人天野之弥君) お答えいたします。  これまで化学兵器禁止条約にのっとって自国の領域内にある遺棄化学兵器について申告を行った国は、中国のほかイタリア及びパナマでございます。ただし、先生指摘のとおり、中国以外の二国については、いずれかの国が当該化学兵器を遺棄したとの申告は行っておりません。  なぜ日本のみが自ら申告し、廃棄の義務を認めたかということでございますけれども、これまでの日中共同現地調査における専門的な鑑定の結果、中国国内には旧日本軍化学兵器存在していることが確認されております。他方、これまでの累次にわたる調査の結果、これらの化学兵器を旧日本軍が残置することについて同意したということを示す根拠は見いだされておりません。したがって、条約上、このような化学兵器我が国が遺棄した遺棄化学兵器に当たり、我が国はこれを申告し廃棄する義務を負うものと考えております。
  33. 山谷えり子

    山谷えり子君 根拠を見いだせておりませんとおっしゃいますが、もう少しまじめに根拠を探していただきたいというふうに思います。  町村外務大臣、遺棄という言葉が先行していないでしょうか。また、中国側二百万発と言っている。日本は最初七十万発と言いましたが、調べてみたら三、四十万発ではないかというふうに今言われております。また、当初の予算は二千億円だったのが今一兆円、あるいは複数箇所で建設、処理施設を建設というようなことも中国側からは言われているとも聞いておりますけれども、いずれにせよ条約は発効しているわけで、条約の目的は遺棄化学兵器処理で、中国への経済援助ではございません。将来に禍根を残さないような十分な検証作業をしていく必要があると思いますし、また中国側説明を求める必要もありますが、どのような姿勢で今後臨まれていらっしゃいますでしょうか、いかれますでしょうか。
  34. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) この問題につきましては、化学兵器禁止条約に従って日本が必要な資金負担をするということになっているわけでありまして、今委員からは経済援助ではないよという御指摘がありました。それは正にそのとおりであろうと思います。  実際、どのように経費が掛かっているか、使われているかということについては、外務省の職員が作業現場で、何台の車が来て、何人の人が従事してという現場を見ながら、彼らの必要、掛かった経費というもののその妥当性をチェックをすると、もちろん書類上のチェックもするというようなことで、請求内容というものを精査して対応していくということをやっておりますので、向こうからとにかくつかみでどんと請求があって、それを全部払うというようなことをやっているわけではございません。  また、何万発というのは確かに必ずしも決め手のある話ではないとは思われますが、一応我が方からは幾つ幾つということを言いました。しかし、実際ここにはどのくらいあるだろうと推測をしながら作業をしてみると、それより少なかったりする場合もあるし、より多く出てくる場合もあるということなものですから、あくまでもこれは推計としてこの程度があるのではないかということで、実際そこは作業をやってみないと分からないという部分も現実にはあるようでございます。
  35. 山谷えり子

    山谷えり子君 中国の作業者に平均、日当、日本は数十ドル払っているんですが、本人たちに支払われた額は百三十円。外務省はちょっとおかしいんじゃないかと言いましたところ、中国側はちゃんと答えていないということもあるわけでございまして、もう少し明細書もしっかりともらうようにしていただきたいと思います。  また、その遺棄の定義があいまいであるということについてはどのようにお考えでございましょうか。
  36. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 今大臣からお答えした点の繰り返しになるかもしれませんが、経費の内容につきまして透明性の確保が必要不可欠であることは御指摘のとおりだと存じます。この点につきましてはいろんな場で中国側に強調しておりますが、先ほど大臣からもやや細かめに言って、答弁申し上げましたように、我々といたしましても、中国政府から必要な経費として提示された請求に対しては、請求内容をよく精査して中国側に確認しているところでございます。  それから、化学兵器の遺棄の定義そのものは先ほど来ございますけれども、実際の化学兵器処理に当たりましては、中国で発見される化学兵器が旧日本軍のものであるかどうかを判断するということは非常に重要でございまして、そのために現地調査を行っておりまして、専門家による鑑定等により旧日本軍のものと確認された場合に日本側がその処理のための措置を行っておるわけでございますけれども、この専門家による鑑定といいますのは、OB自衛官など本当の専門家による厳密な鑑定を経た上で旧日本軍のものであるということを確認しておるわけでございます。
  37. 林芳正

    委員長林芳正君) 山谷君、時間でございます。
  38. 山谷えり子

    山谷えり子君 外務省には、国の名誉を考え、国際的視野に立って国際社会における正義の実現を考えていただきたいと思います。日中のケースが今後の世界のモデルケースになることもあり得ると思いますので、冷静なやり取りを期待いたします。
  39. 白眞勲

    ○白眞勲君 民主党・新緑風会の白眞勲でございます。  先日、中国を訪問した北側国土交通大臣と呉儀副首相との会談におきまして、小泉総理との五月の会談取りやめ、いわゆるドタキャンについては触れられなかったとのことですけれども、普通、一般論としまして、それは理由はどうであれ、やはり約束したものをキャンセルして帰った場合には、いや、せんだっては失礼しました程度のことは言うのが一般論であるというふうに思うわけなんですけれども、それにつきまして外務大臣、いかがお考えでしょうか。
  40. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 北側大臣と呉儀副総理が会われたと、その際にいわゆるキャンセルに関する言及は確かになかったというふうに私も報告は受けております。  呉儀副総理の訪日に当たって、先方の希望があり、総理との会談を設定をした、それを先方がキャンセルをしたということを当日の朝私ども連絡を受けたわけでございまして、それは非常に残念なことであると、外交上も礼を失することであるということで先方には話をしたわけでございますが、北側大臣にちょっとそこは聞いていただきたい部分もありますが、なぜそれを触れられなかったのかどうか、私も定かではございませんけれども、このことを何度も何度も何度も取り上げるということはしないでおこうという判断が北側大臣なりにあったのかなと想像をいたしております。
  41. 白眞勲

    ○白眞勲君 与党席が全く人がいないんですけれども、これでは委員会が私は続けられないという感じがするんですけれども、ちょっとお願いしたいんですけれども。
  42. 林芳正

    委員長林芳正君) 速記を止めてください。    〔速記中止〕
  43. 林芳正

    委員長林芳正君) 速記を起こしてください。
  44. 白眞勲

    ○白眞勲君 そのキャンセルは靖国問題とのことですけれども、今後、大臣、靖国問題等を解決するためにはどうしたらいいのか、その知恵はどういうふうに考えていらっしゃるのか、お答えいただきたいと思います。
  45. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 靖国の問題につきましては、これは小泉総理が累次、なぜ自分が靖国に行くのかということはお話をしております。また、そのことは、中国の胡錦濤国家主席あるいは温家宝首相にも直接、なぜ自分が行くのかということについてお話をされているということでございます。  そうした首脳同士の直接の話合い、あるいはもちろん日中外相会談でも、あるいはその他いろいろなレベルでの話合いの中でも、先方の理解を得るべく、再三にわたっていろいろなレベルで話合いを行っておりまして、そういう外交努力を通じて先方の理解を得るというオーソドックスな方法でやっていくことが大切であろうと、かように考えております。
  46. 白眞勲

    ○白眞勲君 中国のサッカーの試合で日本の公用車が壊された事件がありました。そのとき、前回私の質問において損害額は二十五万円だったとのことですけれども、その後この金額は支払われましたでしょうか。
  47. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 今支払を厳しく求めているところでございます。払われておりません。
  48. 白眞勲

    ○白眞勲君 今厳しくとおっしゃったんですが、どういうふうに厳しくされているんですか。
  49. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 北京及び東京におきまして、中国側に要求をしているということでございます。
  50. 白眞勲

    ○白眞勲君 続きまして、中国の反日デモの日本の公館の被害額については、その後計算の方はできましたでしょうか。
  51. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) この件につきましては、今中国側から大使館、大使公邸等に生じた、これは上海も含めますけれども、原状回復について対応するという意向が伝えられておりまして、現在中国側と詳細を調整していると、損害額も含めてということでございます。
  52. 白眞勲

    ○白眞勲君 今私が言っているのは損害額の金額です。損害額の金額は幾らかということを聞いているんですけれども。
  53. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 我々の取りあえずの見立てでは数千万円というふうになっています。
  54. 白眞勲

    ○白眞勲君 数千万円というのは、一千万円から九千九百九十九万円のことを数千万円というふうに言うわけでして、余りにも幅が広過ぎるんですけれども、もう四月から大分たっていまして、この辺もう一度ちょっと、幾らぐらいなんでしょうか、もっと詳しく言っていただきたいと思います。それじゃ答えになっていないと思います。
  55. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 取りあえずの数字ということで申し上げた次第でございますけれども、数千万円というのは五、六千万円ということだと思います。
  56. 白眞勲

    ○白眞勲君 それと、五、六千万円ということは、その五、六千万円で確定ということですか。
  57. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 確定ということではございませんで、我々が当初見積もった額がそういうことでございまして、今中国側と詳細の被害額を含めまして調整をしているところでございます。
  58. 白眞勲

    ○白眞勲君 何で中国側とその詳細の被害額についての調整をしなきゃいけないんでしょうか。これは日本側が自らその被害額を考えるんであって、何で中国側がそこに関与しなきゃいけないんでしょうか、お答えください。
  59. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 損害を受けた施設の、何といいましょうか、施設の単価であるとか、そういったもの、あるいは原状を回復する際の費用ということでございますから、当然中国側とそれは調整する必要があると思っています。
  60. 白眞勲

    ○白眞勲君 調整するのは、支払ってもらえるかどうかの調整は分かりますけれども、まずこちらの金額がきちっと定まっていない以上、中国側とその金額についての調整をする必要はないんじゃないかと思いますが、いかがでしょうか。
  61. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 先ほど申し上げました五、六千万円ぐらいということで我々は見積もっておりますけれども、例えばガラスが幾らであるとかいったことも含めまして、中国側と調整の上、事を進めていくということだろうと考えております。
  62. 白眞勲

    ○白眞勲君 その後、例の日本企業等についての金額はどうなりましたでしょうか。
  63. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 中国側、失礼いたしました、委員長、失礼いたしました。日系企業につきましても、我々として当該企業から報告がある限りで聴取しておるところでございますけれども、それが全貌であるかどうかについては私今のところ資料を持ち合わしておりません。
  64. 白眞勲

    ○白眞勲君 資料を持ち合わせていないって、私ちゃんとこれ聞いたんですけれども、前もってですね、事前レクで申し上げているんですけれども、資料を持ち合わせていないというのはどういうことでしょうか。
  65. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 失礼いたしました。申し上げたかったのは、あくまでも企業の方から申告があったベースということで、我々今集計をしているところでございます。
  66. 白眞勲

    ○白眞勲君 幾らぐらいになりますか。
  67. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) これはあくまでも申告ベースということでございまして、個別の企業におきまして更にいろいろとまだ増えてくる可能性などなどあるという前提で申し上げれば、一千万円のベースだろうと思います。あくまでも申告、今の時点での、一千万円台と。
  68. 白眞勲

    ○白眞勲君 あと、先ほど参考人の方から、中国側が原状回復という話をしてきていますけれども、これはあくまでもやはり賠償請求という形じゃないかなというふうに思うんですけれども、その点についての町村外務大臣の御認識、お願いします。
  69. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 五月の日中外相会談の席に、私は陳謝を求め、損害の賠償を求め、加害者の処罰を求め、再発防止を求めたところでございます。  先方からの言いぶりといいましょうか、これについては原状回復という表現を取っているところでございまして、コインを右から見るか、左から見るかというところなのかなと、こう思っておりまして、私どもはそういう位置付けで先方と話をしているところでございます。
  70. 白眞勲

    ○白眞勲君 今、上海の総領事館の現状はどういうふうになっているんでしょうか。
  71. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) 原状回復はされておりません。そのままでございます。
  72. 白眞勲

    ○白眞勲君 これはしばらくそのままに、解決するまではそのままにしておくというスタンスですね。
  73. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) もちろん、上海総領事館に勤務する者の勤務環境というものは当然あると思いますけれども、原状回復がされるまでと決めたわけではございませんけれども、やはり現状をある一定の形で維持するということも当然念頭に置いてのことでございます。
  74. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっともう一度そこをきちっとしたいんですが、損害賠償が行われた時点なんでしょうか、原状回復が行われた時点なんでしょうか、もう一度お答えください。
  75. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) この上海総領事館の物的な状況をどうするかという意味では、原状回復ということを念頭に置いております。
  76. 白眞勲

    ○白眞勲君 次に、防衛庁設置法等の改正に関することにつきまして聞きたいんですけれども、前回の私の本会議での代表質問におきまして、に関連することなんですけれども、在日米基地というのはすべて極東の範囲内になるんでしょうか。
  77. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 安保条約六条で、したがいまして、米軍日本の安全及び極東の平和と安全のために在日米軍施設・区域を使用できるという規定になっているものでございます。
  78. 白眞勲

    ○白眞勲君 それは条文なんですけれども、結局在日米基地はすべて極東の範囲内という認識なんでしょうか。
  79. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 在日米基地がすべて極東の範囲内という御趣旨が必ずしも明確、私、理解、正確に理解しかねるところがあるのでございますけれども、在日米軍施設・区域を何のために使用するかということであれば、それは我が国及び極東の平和と安全のために使用するということでございます。
  80. 白眞勲

    ○白眞勲君 ディエゴガルシアは、そうしますと、在日米軍の基地なんでしょうか。前回の委員会での私の質問において、河相参考人は確認の上御報告するということだったんですけれども、その件についてはどうなっているんでしょうか。
  81. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 先般御質問があった際に、ディエゴガルシアが、一つは極東の範囲内、極東の中であるかどうかという点につきましては、私が答弁申し上げましたのは、ディエゴガルシアは極東の範囲の外であるということを答弁した次第でございます。  それからさらに、今の御質問のディエゴガルシアの基地が在日米海軍の基地であるのかどうかということにつきましては、必ずしも在日米海軍の基地であるかどうかということの定義次第の部分があると思います。ただ、仮に在日米海軍の基地であるかということが、日米安保条約に基づいて日米地位協定の適用を受けながら存在している基地、そういうのが在日米基地であるという定義であるとすれば、ディエゴガルシアはそういう存在ではないということでございます。
  82. 白眞勲

    ○白眞勲君 非常に、何かちょっと訳分かんないようなお答えなんですけれども。  在日米軍は、そうすると、ディエゴガルシアの基地の支援隊を指揮しているんでしょうか。
  83. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 在日米海軍司令部の任務といたしましては、全般的に言いますと、その任務は施設の管理や海上自衛隊との連絡調整をするといった管理的なものになっておる次第でございます。その下で、米海軍ディエゴガルシア基地支援隊がその隷下にあるというのが事実関係だと承知しております。
  84. 白眞勲

    ○白眞勲君 結局、在日米海軍がディエゴガルシア基地を指揮しているということですよね、河相参考人
  85. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 在日米基地、これにつきましては、在日米海軍司令部の任務は先ほど御説明、御答弁申し上げたとおりでございます。この隷下にディエゴガルシアの基地支援隊が存在をしているということでございますが、これにつきましては、同基地支援隊の予算それから人員といったいわゆる組織管理上の事項について、機構上、在日米海軍司令部の下に置かれているということで理解しております。
  86. 白眞勲

    ○白眞勲君 回りくどく説明しなくとも、組織とお金が在日アメリカ海軍から出ているということは、在日アメリカ海軍のものだということじゃないですか。
  87. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 具体的に予算が在日米海軍司令部から出されているかどうかということは、私、現時点でここで承知しておりませんけれども、存在としてその隷下にあると、組織上その管理下に置かれているということは事実でございます。
  88. 白眞勲

    ○白眞勲君 これは結局、アメリカ陸軍の座間の場合、結局、トランスフォーメーションの観点という観点からすると、実はこれ海軍でも起きているとも私は言えなくないんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、極東条項におけるディエゴガルシアは、そうすると、どういう位置付けになりますか。
  89. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 極東条項におけるディエゴガルシアの位置付けというのが、仮にディエゴガルシアは極東の、安保条約六条で言う極東の範囲内にあるのかという御質問だとすれば、先ほど御説明したように、それは極東の範囲外のものでございます。
  90. 白眞勲

    ○白眞勲君 私は日米安保におけるディエゴガルシアの位置付けはどうなんだと聞いているんです。つまり、在日アメリカ海軍がディエゴガルシアを実質的に管理しているわけですね。それでいて、極東条項、日米安保条約の絡みの中のディエゴガルシアがどういう位置付けになっちゃうのかということなんです。
  91. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) お答えいたします。  ディエゴガルシアが日米安保条約若しくは地位協定の関連でどういう存在であるかということであれば、それは、先ほども申し上げたように、ディエゴガルシアの基地日米安保条約に基づき、そしてまた地位協定の適用対象にはなっていないという理解でございます。
  92. 白眞勲

    ○白眞勲君 前回の代表質問におきまして、私のアジア太平洋地域という用語ですね、それにつきまして、大臣が、日米両国が安全保障認識を示す上で常識的な文脈で解されるべきものであり、明確な境界を画し得るものではありません、したがって、例えばディエゴガルシアといった個別の地域が含まれるかどうか否かについてお答えすることは、そもそも用語の性質になじまないと考えておりますと言うんですけど、これさっぱり私、意味が分からないんですが。  このアジア太平洋地域というのは、まず国連でいうとどこからどこまでの地域というふうに言えるんでしょうか。
  93. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 国連につきましては、加盟国は幾つかのグループに分けられておりまして、その中でアジア太平洋地域という存在はございません。ただ、アジア・グループというものがございます。ほかに、アフリカ・グループ、ラテンアメリカ・グループ、東欧グループ、西欧その他グループと五つの地域に国連では分けられておるわけでございます。  その中でのアジア・グループにつきましては、一般的なアジアの国がもちろん入っておるわけでございますけれども、それに加えて、シリア、レバノンといった中東アラブ諸国、それからウズベキスタン、カザフといった中央アジア諸国、それからフィジー、ナウルといったミクロネシア諸国を含む計五十三か国が国連におけるアジア・グループというふうに分類をされている。  ちなみに、太平洋地域というグループ分けは国連では存在しておりません。
  94. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうしますと、このアジア太平洋地域というのは、外務大臣お答えされたんですけれども、常識的な文脈というのはどこからどこまでが常識的なんでしょうか。その辺ちょっともう一度御説明願いたいと思うんですけれども。
  95. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 申し上げたかったことは、この島はとかこの国はとか、そうやって地図で色分けをして、ここまでですよということを議論するのにはなじまない用語であるということを申し上げたかったのでありまして、一般的に、これはまあ何もこのときの答弁というか、あるいは2プラス2の表現が初めてではなくて、今までも何度もこういう表現を取ってきているわけでございまして、常識的にアジア太平洋というのはまあ大体この辺だろうということを申し上げているのであって、したがって、ディエゴガルシアがその中に入るのか入らないのか、スリランカがどうだ、シリアがどうだ、どこがどうだというような議論をするための用語ではないということを申し上げたかったわけであります。
  96. 白眞勲

    ○白眞勲君 でも、一般的に国民が解した場合に、そのアジア太平洋地域がどこどこの島は入る入らないを意味してないというふうに言われますと、非常にそれは混乱を招くんではないのかなというふうに私は解されるんですね。  まあ変な話ですが、アジア太平洋地域といいますと、これ太平洋が入ると、これタヒチとかガラパゴス諸島だって太平洋地域になるわけですね。ですから、これ非常に重要なこの言葉を最近非常に多様にこれ使っておりますけれども、その定義付けについてきちっとやはり外務省としてもやはりしていかないと、これ国民に非常に分かりにくい用語になるんじゃないのかなというふうに思うんですけれども、外務大臣、いかがでしょうか。
  97. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) これは、先ほど申し上げたように、今回初めて使った言葉ではなくて、一九九〇年代から累次、日米首脳会談等々の共同声明などでアジア太平洋地域という表現は使っているところでありまして、それで何か大きな混乱が起きたとか何か大きな問題が生じたということもございません。あくまでもその文脈の中で一般的に理解される表現としてこれを使っているわけでございます。
  98. 白眞勲

    ○白眞勲君 今まで混乱が起きなかったというのは、有事の際とかいう、これ日米安保が実際に作動されてなかったという部分も私はあると思うんですね。いざというときのためのやはり地域というものはきちっと限定すべきものではないんだろうか。あるいはある程度の、まあグレーゾーンはあるにしても、やっぱりある程度この辺りは間違いなくそうですよというのはやはりこれは話としては当然成り行きとして出てくるんではないかというふうに私は解されると思うんですけれども、その辺もう一度御答弁願いたいと思います。
  99. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 安保条約の発動とかあるいは極東条項というところについては、これまで、これもまた累次、それこそ昭和三十年代からの答弁でここははっきりしているわけでございまして、そういう意味で、法律の発動、条約の発動という面で何か大きなそごが生じたり疑義が生じたりする性格のものではないと私は理解をいたしております。
  100. 白眞勲

    ○白眞勲君 今法律の発動というふうにおっしゃいましたけれども、実際このアジア太平洋地域という文脈からミサイル防衛とか何かも考えられてきていると。防衛大綱の中にもその言葉が含まれているんではないかと思いましたけれども、そういう観点からしますと、非常に重要な部分が私はあると思うんですけれども、もう一度御答弁願いたいと思います。
  101. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 極東ということについては、これまでの答弁で、例えばフィリピン以北並びに日本及びその周辺の地域であって、韓国、台湾地域を含むという答弁を安保条約改定の際以降、昭和三十五年の政府統一見解等によって述べられているわけでございまして、そこのところについて何ら疑義はないと、こう私は思っております。  しかし、それとは別に、アジア太平洋地域、例えば今手元の資料を見ますと、昭和五十二年、福田総理とカーター大統領の共同声明、平成四年、宮澤総理・ブッシュ大統領、日米グローバル・パートナーシップ東京宣言、あるいは平成八年の日米安保共同宣言、それぞれアジア太平洋地域という表現がありまして、そのこととこの今言ったいわゆる安保条約第六条の極東条項との関係ということについて、私は、今までその地域の範囲を、厳密な安保条約六条についての議論は既に確立をしているという前提の上に立って、このアジア太平洋地域という表現が分かりやすい表現でもありますし、また十分それで共同声明等の理解ができているわけでございますから、それで何か問題にされるちょっと意識が私には恐縮でございますがよく分からないわけでございます。
  102. 白眞勲

    ○白眞勲君 非常に私は、このディエゴガルシアの部分においてもこのアジア太平洋地域とか入っていると、そういったことを考えますと、例えば、じゃ外務大臣にお聞きしますけれども、インドネシアはこのアジア太平洋地域に当然含まれると解されていいんですね。
  103. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 大臣からもこの委員会で度々御説明していますとおり、アジア太平洋地域の範囲、これについては一般的な意味ということで、具体的にその地理的範囲を厳密な定義を定めることは必ずしも適切ではないということが政府考え方でございますので、一か国一か国を取り上げて、これがアジア太平洋に入るのか入らないのかという議論はここで差し控えさせていただきたいと思います。
  104. 白眞勲

    ○白眞勲君 ちょっとおかしいんじゃないですか。インドネシアといったら一般の国民はやっぱりこれはアジア太平洋地域に入るというふうに認識すると思うんですけれども、それがそういう議論はしたくないということなんですか。
  105. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) 2プラス2の共同声明その他のいろんな場で政府としてアジア太平洋という言葉を使っている前提といたしまして、考え方といたしまして、日米安保体制を基調とする日米関係、良好な同盟関係というのがこのアジア太平洋地域の平和と安定のために非常に重要な役割を果たしているというこの客観的事実、また我が国の平和と安定のためにはこのアジア太平洋地域の平和と安定が同時に大切であるというこの客観的状況ということを念頭に置いて、このアジア太平洋地域云々といういろいろな議論をしてきているわけでございます。  ですので、一つ一つ国を挙げて、この国はアジア太平洋に入るのか入らないのかという議論を重ねていくことが意味があるとも思いませんし、適当だとも思わないということでございます。
  106. 白眞勲

    ○白眞勲君 何か大分認識国民の常識とちょっと違うんじゃないかなというふうに私は思うんですけれども、ミサイル防衛システムについてちょっとお聞きしたいと思います。  防衛庁長官、六月九日の共同電で、早期警戒情報の供与でアメリカ日本のイージス艦が受信するシステムに対して難色を示したという報道があるんですけれども、この事実はいかがでしょうか。
  107. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 日米関係につきましては、常日ごろから密接な情報関係情報交換並びに意見交換をやっているわけでございます。  具体的な問題についてどうのこうのという話は答弁を差し控えさせていただきたいと思っております。
  108. 白眞勲

    ○白眞勲君 これ、非常に重要な問題だと思うんですね、これ。情報が与えられなければ、これはシステムとしては作動しないと思うんですけれども、その具体的な情報について何とかという問題以上の問題がこれあると思うんですが、もう一度お答え願いたいと思います。
  109. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 早期警戒情報というのは静止衛星から入ってくる情報でございますけれども、この情報がなければBMDシステムが作動できない、こういう問題ではないことはもう十分御存じだと思います。しかし、あった方が有益である、このことも御存じだと思います。  しかしながら、言わば我が方としては必要なレーダーをきちっとそろえて、そして二重の防護をやっているわけでございますので、まあ言ってみればこの早期警戒情報というのは、BMDの対処により万全を期するという意味では有益でございますけれども、はっきり物を申し上げますと、アメリカの早期警戒情報がなくても、なくても我が国のBMDシステムの運用は可能であるわけでございます。  したがいまして、我が国独自のレーダー網によりまして我が国に飛来する弾道ミサイルをとらえ、そして追尾してそれを迎撃する、これは十分可能なわけでございますので、その点は御了知いただきたい、御理解いただきたいと思います。
  110. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、これアメリカ衛星がなくても大丈夫なんだということですね。
  111. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 先ほども申し上げましたが、くどいようですが再び申し上げますと、要するに静止衛星から見るわけでありますから、地球は丸いわけでございまして、レーダーですと発射段階がとらえられない、こういう問題はあります。したがいまして、そういう情報をもらった方が有益である、このことは申し上げました。しかし、なくても、なくても、ブースト段階に数分、何分か掛かるわけでございます。このブースト段階できちっととらえることができるわけでありますから、なくても大丈夫だというのはそういう趣旨でございますので、御理解をちょうだいしたいと思います。
  112. 白眞勲

    ○白眞勲君 イージス艦が迎撃してから統合幕僚長に報告が上がるのかと思うんですけれども、その場合のシビリアンコントロールはどのように確保されるのでしょうか。
  113. 大野功統

    国務大臣大野功統君) イージスが迎撃をする、このシステムミサイル防衛全体のシステムとして考えていただきたいと思います。  ミサイル防衛をやる場合の一番の問題は、これは飛来するミサイルをそのまま放置しておけば我が国国民の生命に危害が及ぶ、財産に危害が及ぶ、だから撃ってきたものは必ず撃ち落とさなきゃいけない、これはマストでございます。そのマストを達成する上でこれは武器を使用するわけであります。武力攻撃ではありませんが武器を使用する。そして、ミサイル攻撃があった場合には防衛出動につながっていく可能性がある蓋然性が非常に高いわけであります。  したがいまして、そういう意味で安全保障会議あるいは閣議の了解、シビリアンコントロール、極めて大事な問題でありますので、一つ、必ず撃ち落とす、二つ、シビリアンコントロールをきちっと確保していく、こういう観点から事前に、事前にそのシステムをつくっておく。そして、現場は、現場はつくったそういうシステムに基づいて飛来するミサイルを確認して撃つんだと。判断はございません、レーダーに映るミサイルを確認して撃つんだと、こういうシステムででき上がっている。それによりましてシビリアンコントロール及び必ず撃ち落とすと、こういう二つの問題を達成できると、このようなシステムでございます。
  114. 白眞勲

    ○白眞勲君 せんだっての私の本会議での答弁におきまして、巡航ミサイル迎撃においてはPACミサイルがあるんだというお話を防衛庁長官されているんですけれども、PACミサイルPACミサイルを両方PACシステムの中で運用できると思うんですけれども、それはするんでしょうか。
  115. 大井篤

    政府参考人大井篤君) お答えいたします。  PACシステムにつきましては、これは主に航空機対処を目的としたものでございます。それから他方、PACシステムは、航空機対処に加えまして弾道弾対処を目的にしていると。そのために、PACシステムにつきましては捜索追尾能力等も向上させておりますし、それから高速で飛来する弾道弾を捕捉するとともに、これは基本的に直撃によって飛来してくる弾道弾の破壊をすると、こういうものでございます。
  116. 白眞勲

    ○白眞勲君 PACミサイルPACシステムの中に入りますよね。
  117. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 全体の中でPAC2のミサイルそれからPAC3のミサイルというものを並行的に置いてそれぞれに対処していくと、こういうことになると思います。
  118. 白眞勲

    ○白眞勲君 そうすると、このPACミサイルPAC3で巡航ミサイルについてはどのような組織で運用し、PACミサイルの場合にはどのような組織で運用するんでしょうか。
  119. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 基本的に、巡航ミサイルというのは言わば航空機類似でございますが、ジェットエンジンを付けていわゆる空気の浮力で接近してくるものでございますので、基本的にはPACシステムが有効であるというふうに考えております。
  120. 白眞勲

    ○白眞勲君 法律体系違いますよね、そうすると、PAC2とPAC3については。
  121. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 基本的に、PACミサイルで巡航ミサイル迎撃する法体系といたしましては航空侵犯の法体系がございますので、それを適用しながら対応をしていくということに整理をしておるわけでございます。
  122. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、そのPACシステムの中で二つの法体系が存在していくということになりますよね。
  123. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 飛来しますいろいろなミサイルに対しまして、それぞれの法の適用については適切な法体系を活用していくということになると思います。
  124. 白眞勲

    ○白眞勲君 つまり、その別々の法律で一つシステムを運用していくという問題点が私はあると思うんですよ。それを防衛庁長官、どういうふうに思われますか。
  125. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 巡航ミサイルといわゆる弾道ミサイルに対して法律が混同、混乱しているんじゃないか、こういう御指摘だと思います。  まず、弾道ミサイルにつきましては、今回御審議いただきます八十二条の二というところでございます。  それから、巡航ミサイルにつきましては、今申し上げましたように、これは本来、航空機、無人航空機とでも考えてもらったら分かりやすいんじゃないかと思いますけれども、ジェット推進力あるいはプロペラでもいいのではないかと思いますが、大気圏内を飛来してくる、こういう問題でございます。当然領空侵犯という考え方で、これ、本来ならば、領空侵犯してきた飛行機は、無線通信によりまして、出ていってくれと、あるいは着陸してくれとこう言って、それに従わない場合は最終的に武器使用ができるわけでありますけれども、無人機ですから幾らこちらが退去しろと命じても退去しないわけですから、これはその場合には撃墜する可能性も出てくる、こういう領空侵犯ということでございますし、このミサイル防衛の方は、言わば新しい八十二条の二というのを作りまして、その体系の中で一つの項目を起こしている、こういうふうに仕分は私はあると思っています。
  126. 白眞勲

    ○白眞勲君 いわゆるミサイル防衛システムのプログラム、当然コンピューター、プログラムされていますけれども、そのステップ数につきましては何ぼぐらいあるんでしょうか。
  127. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 従来から、ペトリオットシステムのプログラムにつきましては米国から開示がなされておりません。その関係上、どの程度のステップ数があるかということにつきましてはお答えすることはできないわけでありますが、ただ、相当複雑なシステムでございますので、相当のステップ数があるとは認識しております。  ただ、これは非常に機敏に対応しなきゃいけないシステムでございますので、その意味でステップ数が多いといってもそれは機敏に対応できるような仕掛けがなされているというふうに考えておるわけでございます。
  128. 白眞勲

    ○白眞勲君 何かお答えよく分からないんですけれども。要するに、だから多いんだか少ないんだかその辺がよく分からないんですけれども。  大体でいいですけれども、どのぐらいなんでしょうか。
  129. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 中身のソフトウエアのプログラムがちょっと開示されていないものですので、ちょっと、ステップ数ということで考えたのが適切なのかどうか、そこら、ステップ数ということでそのプログラムの大きさなりを把握することが適切なのかどうかということがちょっと私どもとして分からないところです。  先ほど申し上げましたのは、通常であれば、ステップ数が物すごく大きいということは非常にその処理時間が掛かるということになりますので、しかし、これ処理時間長くすると正に目的が達成できないわけでありますので、その意味で速く作動するようなプログラムの工夫がなされているというふうに考えているわけであります。
  130. 白眞勲

    ○白眞勲君 銀行のオンラインシステムのステップ数と比べてどのぐらいだか分かりますか。
  131. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) 銀行関係システム数についてのお問い合わせでございますが、いわゆる勘定系システムのステップ数につきましては、勘定系システムにどの範囲のシステムを含め整理するかなどによりましてステップ数が異なるために、一概にそのステップ数を申し上げることには難しい面がありますけれども、いわゆる主要行について見ました場合に、勘定系システムのステップ数は、銀行からの聞き取りによりますと、おおよそ三千万から五千万ステップ程度であるものと承知しております。
  132. 白眞勲

    ○白眞勲君 銀行のオンラインシステムもすぐそこの場で反応するんですよ、瞬時にね、キャッシュディスペンサーなんか見ていても。それに比べて防衛庁のこのMDシステムは、大体多いんですか、少ないんですか。
  133. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 恐らく、銀行のプログラムのつくりとやはり兵器体系のつくりというのはやっぱりかなり違っていると思いますので、それを一概に比較するということはちょっと、必ずしも、私ども今までしたことがございません。  やはり先ほど申し上げましたように、このシステムというのは非常に速く、瞬時に反応するものでございますので、やはり銀行のシステムの反応速度と私どもの装備の反応速度は格段に違うものだというふうに考えてはおります。
  134. 白眞勲

    ○白眞勲君 私の聞いているところによると、相当、この銀行のステップ数よりも数倍あるいは数十倍多いんじゃないかというふうにも予想されているというふうに聞いているんですね。  ちょっと金融庁の方にもう一度、もう一本聞きたいんですけれども、大体一年間にいわゆるその事故の発生件数は何件ぐらいあるんでしょうか。
  135. 大藤俊行

    政府参考人大藤俊行君) コンピューターシステムの障害に関しましては、決済機能に遅延等が生じているもの又はそのおそれがあるもの等につきまして、各金融機関は銀行法に基づきまして金融庁に報告することになっております。  平成十六年度におきまして主要行から報告がありましたものは、その大半が障害が発生後、当日中に復旧しておりますけれども、二十七件でございました。
  136. 白眞勲

    ○白眞勲君 銀行のオンラインシステムというのは、一九七〇年代ぐらいからもうスタートしたシステムで、もちろんそれはどんどんどんどん雪だるま式にプログラムは膨らんでいても、いまだに年間二十何件の事故が発生していると。これは大小問わずですね。  これは、防衛庁、このMDシステム、これ、これだけ膨大なシステム、バグ発生する可能性ないと言えるんでしょうか。
  137. 大井篤

    政府参考人大井篤君) バグが発生する可能性がないということを必ずしも断定的に言い切ることはできないかもしれませんが、ただこれは、私ども一般的に申し上げまして、防衛庁・自衛隊がこういったコンピューターシステム兵器体系に用いられておりますコンピューターシステムにつきましては日々点検整備をしておりまして、作動状態を確認をしながら、通常、正常に働くように努めているということが現状でございます。
  138. 白眞勲

    ○白眞勲君 防衛庁長官、ちょっとお聞きしたいんですけれども、こういう形で、バグも全く発生しないとは言い切れないというシステムです。  そういう中で、例えばミサイルの誤射ということだってあり得るわけですね。ですから、そういう観点からしますと、PAC2とPAC3が同じそのシステムの中に含まれていて、巡航ミサイルも中には、だから、要するに領空侵犯した航空機もそこに含まれているとなると、ミサイル誤射の可能性については、防衛庁長官、どういうふうにお考えでしょうか。
  139. 大野功統

    国務大臣大野功統君) ミサイル迎撃の場合でございますが、これは第一にレーダーを見ながら確認していくわけでございます。  したがいまして、そういう意味では、私は技術的なことはよく分かりませんけれども、レーダーを見ながらそこへ誘導して爆破していくわけでありますから、そういう意味では誤射ということは考えられないのではないか、このようには思いますけれども、専門的な事項にわたりますので、参考人の方から答弁さしていただきます。
  140. 大井篤

    政府参考人大井篤君) 私どもといたしまして、PAC2とPAC3の運用につきましては、今先生が御指摘にあったような、そういった誤射等が生じることは決してないような形で対応をしております。それは、ソフトウエアの面においても又は機材の面においても、また運用の面においてもそういうことがあってはならないということで対応をしていくということでございます。
  141. 白眞勲

    ○白眞勲君 対応はするの当たり前であって、それはどこだってしているわけですから。  ただ、それはやっぱり、あってはならないということではなくて、あってはならない、絶対あってはならないわけですね。そういう観点からすると、いわゆるこの法体系の中での見直し規定というのをきちっと作りながら、やはり何かあってはならないようにどんどんどんどん変えていくという観点も私は必要だと思うんですね。それについて、防衛庁長官、何で見直し規定を作らないんですか。作った方がいいんじゃないんですか。
  142. 大野功統

    国務大臣大野功統君) このミサイル防衛の基本的な趣旨でございますけど、これは、一番は、ミサイルが飛んでくる、で、我が国に飛来してそのまま放置しておけば必ず国民の生命、財産に危害を与える、だから絶対に撃ち落とさなきゃいけないんだと、こういう問題が一つ。それからもう一つは、さはさりとて、これ武器を使用するわけでありますし、そのミサイルの飛来がやはり防衛出動につながっていく可能性がある、だからそれこそシビリアンコントロールをきちっとしておかなきゃいけない。この二つの考え方はきちっとしているわけでございまして、この二つの考え方は絶対に変えるべきものではありません。  法制的にいうと、あと八十二条の一項と三項の関係どう考えるかというような問題があります。これも考え方で、今は原則として、兆候があれば必ずしっかりした構えで撃っていこう、迎撃していこうと、兆候がない場合でも補足的に、補完的にやっていこうと、こういう考え方で、この考え方現状では私はベストの基本的な考え方、それから対応の仕方、このように思っております。  ベストのものであります。そういう意味で、ベストのものを今から変えることを考えるというのはいかがなもんでしょうか。やはりベストのものをベストに運用していく、こういう心構えが必要ではないか。そういう意味で、私は今この見直し規定を置いていく必要はないのではないか、というよりも、ないと考えております。
  143. 白眞勲

    ○白眞勲君 最後ですけれども、ベストはベストと、今はベストだと思っている、みんなそうだと思うんですね、これはね。何でもそうだ、商品を買うときも、これが一番いいと思って買ってみたら、やっぱりいろんな不都合が生じることというのはあるわけですから、それを全く、ベストだからベスト、ベスト、ベストよということでは、やはり部分、ちょっとなかなか無理があるんじゃないかなと私は思いますので、よく自民党の皆さんもその辺考えて、見直し規定をみんなで作りたいというふうに思いますのでよろしくお願いします。  以上です。
  144. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 この法案を審議するに当たりまして、今日は警視庁の方、それから官房の情報セキュリティ政策会議の方にも来ていただいているんですが、やっぱり一番今日は私は話題にしたいのは統合運用ということでございます。  統合運用、新しい脅威がある、そして多様な事態がある、これに対処するためにはどうしても統合運用しなきゃいけないという考えはよく分かるんであります。しかし、今、大野長官言われたように、完璧ではない中でどういうふうにベストを目指していくのか。しかも、相手は核弾頭付けてくるという可能性もあるわけですから、これはマストのことであると。一発たりとも許してはならないという事態に、一体何がベストなんだと考えたときに、私は今日は申し上げたいのは、統合運用に関してはIW、インフォメーションウオーフェア、このインフォメーションウオーフェアに我が国の資源を集中するという、そういう視点から今日は質問をしたいと思っております。  まず、新聞の報道によりますと、これは今年の五月十四日、朝日新聞なんですが、五月一日に、まだ記憶に新しい北朝鮮の短距離ミサイル発射の際に、当初米国が軌道計算を間違え、日本に向かっているとの情報日本側に伝達をし、三十分後に訂正したとここに報道されているんですが、まず、これは事実でしょうか。
  145. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今の犬塚先生指摘の五月一日の案件でございます。  北朝鮮ミサイルを発射したという未確認情報がありました。その情報、第一報は政府部内で共有しております。これ以上のことは、詳細につきましては、いろんな問題点が生じてまいりますので答弁を差し控えさしていただきたい、このように思います。
  146. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今政府部内で共有をしたとお話があったんですが、ここに更に書いてありますのは、日本政府関係者が第一報を受け取ったときミサイルは既に日本海に没した後だったと、ここに書いてあるんですよ。これは事実なんでしょうか。
  147. 大野功統

    国務大臣大野功統君) その点も含めて、誠に恐縮でございますが、答弁を差し控えさしていただきたいと思います。  ただ、一つ申し上げたいのは、いずれにいたしましても、このミサイルは極めて短い距離を飛しょうするミサイルでございまして、我が国の安全保障には関係がない、直接特段の影響を与えるものではなかった、こういうことは申し添えておきたいと思います。
  148. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私は、そこの御説明では、到底国民の安全が守れている、ベストの選択をしているとは言い難いと思うんですね。  先ほど来話題になっております静止衛星からの情報で第一報が来たと私は理解しておるんですが、これはこれでよろしいんでしょうか。
  149. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 情報源についても、事柄の性質上、お答えを差し控えさしていただきたいと思うんです。
  150. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 これ、新聞報道でもう既に出ている話なんですけどね。静止衛星上にある米軍軍事衛星からの情報日本に第一報が入ったと書いてあるんですが、これは、それは認められないと、ここでは答弁できないということなんですか。
  151. 大古和雄

    政府参考人大古和雄君) 一般的に、我が国の安全保障上影響を与えるようなミサイルの飛しょうがあった場合については、適切に米軍の監視衛星から情報が来る手続になっております。  ただ、今回の場合の第一報の政府部内の共有につきましては、その情報源についてはお答えを差し控えたいということでございます。
  152. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは質問を変えますが、静止衛星というのは一体どういう性格のものなのか、お答えください。
  153. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) これは、今般の事案ということではなく、一般的なアメリカの監視衛星性格でございますが、一般的に弾道ミサイルもそれから巡航ミサイルも、エンジンを、ロケットエンジンなりジェットエンジンを吹かしている間は赤外線を発しますので、それを静止衛星なりでキャッチをして、巡航ミサイルなり弾道ミサイルなりが発射をされたという事実及びおおよその地点を確認するという性格のものであるというふうに認識いたしております。
  154. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ほかの衛星ではなく、静止衛星でこれを監視をするというメリットはどこにあるんでしょうか。
  155. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) これも一般論でございますが、当然、地球を周回するようなものでありますと、たまたまその周回をした時点と発射された時点が一致すればキャッチできるけど、逆に裏にいるときにはキャッチできないということございますから、一般論で申し上げれば、特定の地点を常時、二十四時間、三百六十五日見たいということであれば、その上空に常に静止衛星を置くか、常に巡回した衛星をどれかがその地点をカバーするといったような運用をする必要があるということだと思います。
  156. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 おっしゃるとおりなんですね。  静止衛星、私は、三百六十キロ上空ですか、軌道は赤道上にあると、地球の自転と同じスピードで動くことができるから、いつもそこに、天空の一角にあると。そして、この静止衛星から常に角度を決めて、今であれば、中国やあるいは北朝鮮の方向に常にこのレーダーを向けておるということをしない限りは事前に本当に相手の動きを察知することは難しいというふうに私は聞き及んでいるんですが、日本はこの静止衛星持っているんでしょうか。
  157. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 静止衛星といった意味で、一般的には通信の衛星とか気象衛星とかいろいろ日本も所有している衛星がございますが、少なくとも防衛庁の所有の衛星はございません。つまり、防衛庁情報収集するために防衛庁のいわゆる国有財産として所有している衛星はございません。
  158. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、防衛庁以外で日本が所有している静止衛星というのはあるんですか。
  159. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 気象庁の方で所有されている気象衛星ですか、あれは気象観測専門の静止衛星であるというふうに理解しております。
  160. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 もう一回頭に話を戻しますけれども、マストというお話がありました。あらゆる手を使って、先ほどの大野大臣の御答弁で、白委員の質問、答弁の中で、なくても大丈夫という、なくても大丈夫だと、独自のレーダー網で機能するんだと、まあ、あればあった方がいいんだというような御答弁だったんですが、私は到底これは納得できないんですよ。日本にあるあらゆる資源を使って我々の国民の生命、財産を守るというのは、これは当然の話であります。日本が十分な資源を持っていなければ、アメリカと積極的に情報を共有するということ、これが早期警戒情報供与ということについても、いや、なきゃないんでいいんだというお話では、とてもじゃないけれどもお任せできないと国民は思うと思うんですけれども、いかがですか。
  161. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今、世界情勢、安全保障環境を考えていきます上で、いろんな場面で、ミサイル防衛、テロリスト、あるいは災害救援活動でもそうです、情報というのは大事だし、その情報を共有し合う、本当に大事なことだと思います。  先ほど私が申し上げたことは、このアメリカの静止衛星がなくても日本のBMDは作動しますよ、できますよと、こういうことを申し上げているわけでありまして、今の世の中でやはり、先ほども御質問ございましたけれども、一体弾頭に何を積んでいるんだろうか、こういうことを推測するに当たりましてもいろんな情報を考えておかなきゃいけない。これは全く私はそのとおりであります、そのとおりだと思っております。  したがいまして、私の発言は、アメリカからの情報を排除しようという意図で言っているわけじゃありません。情報共有、大事なことだ、しかし、なくても日本のBMDシステムは大丈夫ですよ、こういうことを申し上げているわけであります。
  162. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私はそこの部分が、日本のBMDシステムは大丈夫ですよという御認識がとてもではないけれども共有できないんですね。静止衛星が十分に機能していたとしても、BMDのこの機能ということについては各方面から疑問が投げ掛けられているわけなんですね。  例えば、今手元にございます資料なんですが、去年のこれ五月十三日に発表されたアメリカ・コネティカット州の憂慮する科学者会議というところが出したこれ文章なんですけれども、BMD、ミサイル防衛については余りにも不安材料が多過ぎると、もう少し検証してからこれだけ多額の資金を使うべきではないかということをるる述べておりまして、その中で最も憂慮していることを幾つか今申し上げますけれども、お答えいただきたいんですが、まずデコイ、そしてジャミング、こうしたものに対する日本側の対応というのはどういうふうに考えているんでしょうか。
  163. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 技術的なことですので、私の方からお答えさせていただきます。  確かに、これは最近だけではなくて、もう一九八〇年代、九〇年代からミサイル技術の高い国、特に冷戦時代の名前で具体的に国名挙げればソ連といったものですと、かなりもう精巧なミサイル防衛に対抗するような技術を持っていると、持っていたということもまた事実でございます。  他方、その中で、デコイにどう対応するか。御承知だと思いますが、宇宙空間ですから、風船みたいなものをちょっと膨らまして上げれば、一般的には普通のセンサーではなかなか弾頭との区別が付かないというふうにも言われております。こうしたものに対しまして、現在私どもが導入を計画しておりますものでは、現段階では対応、見極めが付かない、付かないことが多いであろうということは事実でございます。  また、これについては、今後、今現在日米で共同開発をやっております、研究をしておりますが、これが開発段階等に移行した段階で、センサー技術も含まれておりますので、次のステップとしてこれらに対応できるような能力を目指せないかどうか、今防衛庁の中で次の概算要求に向けて検討中でございます。  また、ジャミングの件も、これは当然、ミサイル防衛に限らず、いろんな電波をもって誘導するものに対して逆に妨害があったときどうするかと。これは一般的な、極めて重要な技術でございますが、当然その研究も進めなければいけないというふうに認識しております。
  164. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今おっしゃったように、デコイに対してはこれ有効な手だてはないんですよね。それはもう政治とか防衛判断ではなくて、これはもう科学者が言っていることなんですね。物理的にデコイに対しては、つまりおとりですよね、発射した後にこれを迎撃するのに相手にぶつかって止めるということをやろうとしているんですが、そのときにおとりをたくさんばらまくと。これは簡単な技術だそうですけれども、そのおとりの弾頭がたくさん出ますので何キロにもわたって飛んでくると。それに対して、じゃPAC3や何かで一発で当てられるかといったら、これはもう不可能だと。そういう科学者の、これははっきりとした事実関係、今お認めになったけれども、そういう、何というか、技術に基づいたミサイル防衛だということなんですね。  防衛庁長官にお尋ねしますが、キネティック弾頭というのはどういう意味なんですか。──いや、これはもう本当に基本的なことですから。キネティックというのはどういう意味なんですか。キネティックぐらいはやっぱり知っておいていただきたいんですけれども。
  165. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 言わば運動エネルギーというふうに考えていただければいいんじゃないでしょうか。
  166. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 いや、運動エネルギーと言うとちょっと分からなくなるんですけれども、キネティック弾頭というのは、要するに相手に体当たりをして止める弾頭ですよね。よろしいですか、それで。
  167. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 御指摘のとおりでございます。
  168. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ということは、我が国防衛するミサイル・ディフェンス・システムはキネティックですから、あくまでも飛んできたものに体当たりをして止めていくんだと。体当たりをしようとする相手側のミサイルがたくさんに分かれて何キロにもわたって飛んできたときには、決してこれは防衛する有効な手段とはなり得ないと。これは確認したいんですが、いかがでしょうか。
  169. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 現状の、今導入を計画しておりますものはあくまで一つのキネティック弾頭一つということでございまして、更に申し上げれば、宇宙空間でデコイとそれから通常のいわゆる中身の詰まった弾頭ですね、明確に区別するセンサーの段階に至っておりません。  ただ、ちょっと一つだけ。将来これが永久にできないというふうには私ども考えておりませんで、技術開発でいずれできるようになるということもあるというふうに考えております。
  170. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 こういうことなんですね。現状では非常に心もとない防衛システムであると、しかし将来的には研究開発やっていって何とかなるだろうという見通しをおっしゃられたわけです。  しかし、これはイタチごっこなわけですよね。圧倒的に攻撃側が有利なんですよ。それをあらゆる手だてを使って、じゃそのデコイ、おとりについてこちらが何らかの、じゃその近くに行って核爆発を起こして、何とかこれを防止する手段とかいろんなことをやればやるほど今度は相手は違う方法でやってくる可能性が高い。  例えば、もう一つ申し上げますと、まずおとりのミサイルを撃ってくる。これはもうデコイのミサイルを撃ってくると。日本側がわあっと防衛をする。もう一回撃ってくる。もう一回防衛をする。三回目ぐらい、どうですか、もう駄目なんじゃないんですかね。これに対しての対応はどうされますか。
  171. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) おっしゃるようなケースは、例えばスーパーコンピューター等を入れて計算をすれば一定の答えは出ると思いますが、むしろ実際の国際政治の現状では、一回目撃たれて、二回目撃たれて、三回目撃たれてと、それで、弾頭に最悪のケースは核弾頭が来るという場合には、これはもはや武力攻撃を受けている事態であると。正に、もしそうだとすれば、正に日米同盟の中でどういうふうに我が国防衛するかということで、ミサイル防衛だけの問題という認識は持っておりません。
  172. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 今大変大事なことを言われたと思うんですが、ミサイル防衛は、専守防衛では国は守れないということなんですよ。何発も打たれたときは、相手の国が、あるいはテロ集団が核弾頭やあるいは違う大量破壊兵器を積んだ弾頭をこれから打ってくるかもしれないと、そういうときには、いや、専守防衛だと、ミサイル防衛だけに頼っているんじゃない、米国協力をしながら相手発射基地をたたくということまで踏み込まないとMDというのは機能しないと、そういうふうにおっしゃったと今理解するんですが、よろしいですか。
  173. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 正に飛んできたミサイルを破壊することも必要ですし、場合によっては、先ほど御質問あったと思いますが、ミサイルが発射される基地に対応するということも必要だと。これは軍事的に必要であると。我が国防衛上必要である。  じゃ、どういう手段を取るかということは、また別途、先ほど申しましたように、日米安保条約等の中で考えていくということでございます。
  174. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私はこれ、だからこそ、冒頭に申し上げましたけれども、IW、インフォメーションウオーフェア、これに我が国の資源を集中する必要があると申し上げたいんです、今日は。  発射をする、あるいは燃料が注入されている、あるいはノドンが隠れたところから出てきたと、そういうときにミサイル防衛では誠に心もとない。そういうときに、それでは、今いろいろなサイバーウオーというのは言われているんですが、相手の例えばミサイルシステムにハッキングをして中に入ってこのシステムを落としてしまう、あるいは重要な電力を落としてしまうことによって防衛をするということが今各国で研究をされているわけなんですね。これは、法整備も含めてやはりこれから我が国研究しなけりゃいけない分野だと思いますが、防衛庁長官、このIWについての御認識をお聞かせください。
  175. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、我々が今回、先生方に御審議をお願いしている、これは防衛出動下令前のBMDシステムでございます。したがいまして、防衛出動下令後の敵地攻撃とか、あるいは相手側とどういうふうに対処していくか、これは全く別問題と考えていただきたい。あくまでも防衛出動下令前の問題でございます。  それからもう一つ情報の問題でございますけれども、この辺は、新たな脅威や多様な事態の中には当然サイバー攻撃が含まれている、我々はそのように認識しておりますし、我が国の平和と安全のためには、正に先生がおっしゃるようなインフォメーションウオーフェアというのが大事であると、こういうように思っておるところでございます。  そういう点、きちっと認識いたしておりますからこそ、新しい防衛大綱の中では、「防衛力の基本的な事項」のうち「科学技術の発展への対応」といたしまして、「サイバー攻撃にも対処し得る高度な指揮通信システム情報通信ネットワークを構築する。」というふうに記されているところでございます。  このような観点からも、今後の課題として、犬塚先生がおっしゃることは十分認識しながらそのような方向で進めていかなければと、このように考えております。
  176. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 と防衛庁長官はおっしゃるんですけれども、ここに新防衛大綱ですね、これは閣議決定が平成十六年十二月十日。これを見ますと、「防衛力の在り方」、「防衛力の役割」としまして、「新たな脅威や多様な事態への実効的な対応」として、ア、イ、ウ、エ、オと書いてあるんですね。弾道ミサイル攻撃への対応、ゲリラ、特殊部隊への対応、島嶼部に対する侵略への対応、周辺海空域の対応、大規模災害への対応とありますが、これ、IWのIの字もサイバー戦のサの字も出てこないんですけれども、この辺はいかがでしょうか。
  177. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 正に情報というものを大事にしているからこそ、今回の防衛庁の組織変更に当たりましても、情報本部というのを新たにつくりまして、それを長官直属にして、そしてその情報本部に情報が一元的にかつ有効に入ってくるようにさせていただいているところでございます。  繰り返しになりますが、情報というものの大事さ、これは我々としては、防衛庁としては十分に認識いたしております。
  178. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 それでは、我が国情報に対する取組について重ねてお伺いをいたします。  クリントン大統領のときですね、二〇〇〇年、五年前です、クリントンがサイバースペース防衛計画というものに予算を付けまして、このときの予算が二千億円です。同じころ、防衛庁がサイバー防衛研究に十六億円の予算を付けて三名の自衛官を米国に留学をさせたというふうに聞いております。この五年前の時点で予算規模が百分の一以下ですね。  そして、これからが質問なんですが、アメリカの場合、その二年後、ブッシュ大統領が国家安全保障大統領命令第一六号、これにブッシュ大統領が署名をしているということが二〇〇三年二月に明らかになっているということなんですが、これちょっと内容をかいつまんで申し上げますと、サイバーウオー、インフォメーションウオーの攻撃防御だけではなくて攻撃情報による攻撃まで考慮に入れた、相手のインフラを情報によって落としてしまうことまで考慮に入れた大統領命令にこれサインをしているんですが、まずこれ御認識をお伺いします。御存じだったでしょうか。
  179. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) お答え申し上げます。  御指摘の件は、二〇〇三年二月七日のワシントン・ポストで報道された事実関係かと思いまして、その報道自体、私どももちろん承知をしておる次第でございます。  この中では、今御指摘がございましたように、ブッシュ大統領はいつ、どのように敵のコンピューターネットワークに対してサイバー攻撃を仕掛けるか否かを決定する国家レベルの基準を策定するように命じる大統領命令を署名をしたというふうに報じられ、またその中で、ただこれは秘密の大統領命令だという報道もございますし、また同命令は今日に至るまで公表されていないという報道ぶりになっております。  一般的に、国家安全保障大統領命令というものは、国家安全保障に関する大統領の決定を通知するための命令でございますが、基本的には非公表というものと承知しており、一、二例外的に公表されているものはございますが、基本的には不公表という存在でございまして、その内容につきましてはこの場で答弁は差し控えさせていただきたいと思います。
  180. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 外務大臣にお伺いをしたいんですが、こうした情報戦といいますか、サイバーウオーといいますか、こうしたものの持つ巨大な潜在力を米国認識をして、特にサイバー防御ではなくサイバー攻撃を仕掛けるためにこうした環境整備を行っていると今理解をしているんですね。つまり、自国を守るためであっても相手のコンピューターネットワークやあるいは発電所やあるいは地下鉄を止めたりとか、そういうことをやってもいいんだろうかということを今法的にも検証していると、それがそろそろ終わりそうだと、これは時期的にはそうなんですけれども、こういう選択肢といいますか、日本を守るための選択肢が進行しているようなんですが、外務大臣の御認識、お伺いできますでしょうか。
  181. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 米国におけるそうした様々な検討をどう認識しているかというお尋ねかと思います。  これだけいろいろな意味の、あらゆる分野の科学技術が進歩している中での様々な攻撃あるいは防御のためにアメリカがいろいろな研究をし、場合によってはそれを実践的に活用するというようなことを幅広く考えているという一般的な状況を私も承知をしているつもりでございます。ある意味では、日本よりははるかに進んだ意識で、進んだ研究等も着手をしているということでありまして、先ほど防衛庁長官が、日本も、後ればせながらかもしれませんけれども、そうした分野についても、特に情報の分野で様々な研究日本もやっていく必要があるということが大綱に書かれているんだろうと、こう思います。そういうことに取り組む必要性は日本としても十分にあるんだろうと、かように考えます。
  182. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 正にこれは我が国が本当に資源を集中して取り組む分野であると。我が国の憲法上、あるいはいろいろな機構上の制約を乗り越えて本当に日本を守るんだということを考えた場合に、こうしたIWにどういう形で今取り組んでいくんだと、特に今回のこの法律に当たっては全くIWについての、特に統合運用に際してIWを一生懸命やるんだと、重点的にやるんだという記述がないんですね。このMDに関して、これだけ我々が不安を感じているときですから、何としても前向きな取組をしないことには、国民は決して私は納得することはできないと考えております。  防衛庁長官にお伺いします。サイバー攻撃というのは、通常兵器攻撃と比べて一体どんな特徴があるとお思いになりますか。
  183. 大野功統

    国務大臣大野功統君) サイバー攻撃というもの、通常の攻撃と比べてどういう点で違いがあるんだろうかということでございますけれども、まず、人命を傷付けない、物を損傷しない、こういう違いがあるんじゃないでしょうか。それから、相当遠いところから、国境を越えた相当遠い遠隔地から攻撃が可能である、こういう問題もあろうかと思います。それから、よく最近話題になっておりますけれども、だれがそういうことをやったんだろうか、これを識別するのは極めて難しい攻撃ではないでしょうか。  したがいまして、このサイバー攻撃という情報システムへの電子的な攻撃というもの、そしてその情報システムをいわゆる破壊というか停止させてしまう、情報の入手ができなくしてしまう。大変深刻に受け止めていかなきゃいけないし、その対策をどうやって構築していくのか、今後の課題として考えていかなきゃいけない、このように思っています。
  184. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 おっしゃるとおりなんです。こういう新しい概念に一体どういうふうに対応したらいいかという準備はしなきゃいけないんですね。  例えば、Eボムというのがあります。非常に高高度でこのEボムを爆発させるとこの地域一帯の電子機器のすべてを麻痺させることができると。そうなりますと、当然のことながらミサイル発射もできなくなると。ひいては我が国防衛に資することができるというようなEボムみたいなものもあるわけですね。  ここでもう一度防衛庁長官お伺いしますが、そういろんな事態を考えたときに、サイバー攻撃とサイバー防御というのは一体どこが違うとお思いになりますか。
  185. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私、技術的によく分かりませんけれども、これを防御攻撃、つまり今申しましたようなサイバー攻撃というのは極めて対応の難しいことでありますけれども、私の常識的な考えでいいますと、やはりこの科学技術、電子技術の発展によって何らかの対策を講じることが可能となる世界ではなかろうか、このように思いますが、専門的な問題でありますから、もし参考人の方で何かありましたらお願いしたいと思います。
  186. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 正に、我が国の場合は、敵地攻撃かどうかという憲法上、法律上の問題はまだ十分議論されておりませんが、ただ、他国を直接の、コンピューターシステムなり他のシステムを破壊するような形でいわゆる攻撃をするということが憲法上できるのかどうかという法律問題もございますので、防衛庁としてはそういうところにはまだ踏み込んだ当然検討はいたしておりませんが、他方、先般の大綱及び中期防で、受ける方ですね、サイバー攻撃等を受けるという事態は多様な脅威という認識の下に、それに対して十分な準備をしなきゃいけないということで、大綱、中期防の中にも必要な対策を取るべしという記述をしてございます。ある意味では、そういうことで、防御については私ども最重点を置いていきたいと思っております。
  187. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 ここに、本年三月十六日、アメリカの上院軍事委員会資料がございます。これ、JFCCNWと、要するに統合運用の中で一体この情報戦争をどういうふうに取り扱っていくんだという参考人質疑資料がここにあります。この中で、攻撃防御、両方についての記述があるんですけれども、まずこれについて外務省と防衛庁から概要の説明をお願いします。
  188. 河相周夫

    政府参考人河相周夫君) お答え申し上げます。  御指摘の件は、本年三月十六日、米上院軍事委員会の公聴会の場におきましてカートライト米戦略軍司令官が証言をした、説明をしたということでございます。御指摘のとおり、JFCCNWということで、ネットワーク戦のための機能別部隊統合司令部ということについて言及をしているというふうに承知をしております。この統合部隊司令部自身は、米戦略軍の一部を成しまして、コンピューターネットワークの防御及び攻撃情報戦における他の国家機関との協力活動を促進するための役割を果たしているものであるというふうに承知しております。
  189. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 おっしゃるとおり、米国も統合運用、多様な事態に対する統合運用、その中核にこうしたIWを据えて、攻撃防御、あるいは法整備についてもこうした真摯な議論が今行われているわけなんですよね。  私は、今回のこの法律案で、やはり統合運用をこれから進めていくんだという法律なわけですから、今一言も述べられていないこのIWに対する重点的な取組をここに入れないことには、私は国民は決して納得しないと思うんです。今、どんなにお話を聞いても、いや安心できると、ミサイル防衛でここには絶対ミサイルは飛んできても絶対撃ち落としてくれるというような確信を持って断言できる科学者もいなければ、政治家も私はっきり言っていないと思いますね。  この統合運用を機に、是非この情報、特にIWについての重点的な運用を行うんだということをここに入れてもらいたいと、入れなければいけないと思うんですけれども、防衛庁長官、いかがでしょうか。
  190. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 度々申し上げておりますけれども、新たな組織改編におきまして情報本部というのを作ります。その上で、情報本部で情報収集、分析等、あるいは情報の国際的な協力というのをやっていくわけでございます。先生のお考えでは、それだけでは不十分だと、もう少しサイバー攻撃なりサイバー防御ということも考えてみろと。これは当然これからの課題として考えていかなきゃいけない問題であろうと、このように思っております。  と同時に、私は、この問題というのは国民全体の問題でありますので……
  191. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 済みません、それで結構です。
  192. 大野功統

    国務大臣大野功統君) よろしいですか。
  193. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 済みません、途中で切りまして。  私が今、今日一番申し上げたいのは、統合幕僚長が今度防衛庁長官の下に入られるわけですね。統合幕僚長が自衛官のトップになるわけですよね。ということは、十五万人ですか、自衛官が、統合幕僚、十六万、(発言する者あり)ごめんなさい、二十五万。統合幕僚長をトップとして、この専門家が防衛庁長官にアドバイスをするという立場になるわけですね。  そうしたときに、一体どういう人材がここでアドバイスをするかということを考えたとき、これ、今どういうふうに自衛官の能力開発をしていくのか、統合幕僚長をどういうふうに育てていくのかということを考えたときに、今までのようなゼネラリストといいますか、持ち回りでいったり、あるいは陸海空の順番でいったりというようなやり方では、これは到底収まらない。やはりこれからの時代をしっかり見据えて、あらゆる経験のある人たちを育てなきゃいけないというふうに思うんですが、取りあえず今の教育システムシステムと言ったらいいんでしょうか、能力開発教育カリキュラムを検討中と防衛庁の人事教育局長がこの間おっしゃったようなんですが、その進捗状況を教えてください。
  194. 西川徹矢

    政府参考人西川徹矢君) お答え申し上げます。  先般四月十五日の衆議院の安保委員会の方で私の方からも御報告いたしましたが、現在、統合運用についての教養あるいは技能、そういうものが大変重要視これからされるということでカリキュラムの検討をしていると、こういうふうに申し上げております。これにつきましては、実はそのときにも少し触れたんですが、現時点においても統合教育についてはある程度必要に応じた形でやっております。あるそういうような統合学校とかそういうところでは、その期間中に数百時間とかそういう格好でいろんな機会を通じてもやっておりますので、これを今後更に充実強化していくという形で現在検討しているところでございます。  個別具体的には、各学校教育、これは統合幕僚学校というのがございますが、ここが一番、その統合の教育については一番重責を担うところの一つであろうかと思いますが、そういうところを中心にした体系づくり等を考え、充実強化を考えております。具体的にどういうことをやっているかといいますと、防衛戦略あるいは統合作戦あるいは各自衛隊の運用等のどういう教育項目を教育するかということ等とか、あるいはそれに対する時間の割り振りとか、非常に細部にわたるものを現在事務的には検討している最中でございます。
  195. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 私は平成十七年度の情報本部の募集要項のホームページを昨日見させていただいたんですけれども、募集が終わっていたんですがね。募集の受験資格、要はこの情報本部に職員を応募するに当たってはⅡ種試験を合格しなければいけないと。Ⅱ種試験の採用に当たって、受験資格は昭和五十一年四月二日から昭和五十九年四月一日生まれの者というのが第一番に上がっておるわけなんですね。  これ結局、新卒の、新規学卒の一括採用で、何しろ真っ白い子たちを入れて防衛庁内で教育をしていくんだということのこれは表れなんですけれども、しかし今これだけ早急にIW戦についてもこれは整備をしていかなきゃいけないということをかんがみて、諸外国では、例えば有名なハッカーをわざわざ中に入れて、そういう人たちも含めたチームをつくっているという話も聞いたことあるんですが、この今後の見通し、この中途採用の人たち、能力を持っている人たちの登用ということについてはどういうお考えを持っておられますか。
  196. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 情報本部の新卒の、若い世代の採用の今ホームページだと思います。済みません、手元に資料がございませんので正確なお答えできませんが、これは恐らくシビリアン、いわゆる何といいますか、情報本部二つの職員がおりまして、一つは制服の職員がなる場合と、それからシビリアンがなる場合とございまして、そういうシビリアンの職員の募集のホームページだと思いますが、それにつきましては、例えばその情報だけではなくて語学の関係ですね、それから地域の専門性等々いろんなバランスを考えて採用いたしております。  また、御指摘のとおり、既に高い技能を持った方をどういうふうに使うか、職員として雇うのか、あるいはアドバイザーとしてあるいは契約ベースでお知恵をかりるということになるのか、その辺はちょっと今現状についての資料を持ち合わせておりませんが、いずれ、必要なことですので、引き続き最善の成果が上げられるようにいろんな形を考えていかなきゃいけない課題であるというふうに認識いたしております。
  197. 犬塚直史

    ○犬塚直史君 時間になりましたので最後の質問しますが、いずれにしましても、我々がこれだけ不安を持っているそのミサイル防衛につきまして有効な手だてをどうしても取らなきゃいかぬと、我が国が置かれたこの能力とこの制約された状況の中でIW、インフォメーションウオーフェア、これのディフェンスとそれからアタックと、この両方の面から是非今回をいい機会に、統合運用をいい機会に重点的に取り組んでいただきたいというお願いをしまして、防衛庁長官外務大臣のお二人の御所見をお伺いして、これでおしまいにいたします。
  198. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 情報というのの重要性、十分認識いたしております。今の問題につきましては検討をさせていただきたいと思います。
  199. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 防衛庁長官と同じでございますが、本当にそういう意味の科学技術の進歩に対応した我が国の平和と安全を守るための様々な手だて、今、犬塚委員、大変貴重な御指摘を多々いただいたと受け止めたところでございます。
  200. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 まず長官にお尋ねしますが、今朝のニュースによりますと、四日二十三時、日本時間でいう今日の午前四時ですが、サマーワの陸上自衛隊宿営地付近で砲撃によると見られる爆発音が数回ありまして、隊員が退避行動をしている、こういう速報が入っております。  大変我々も心配をするわけでございますけれども、現在の分かっている状況について御報告願います。
  201. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 現地部隊におきまして、現地時間七月四日二十三時十五分でございます、飛しょう音及び着弾音らしき音を数発確認いたしております。着弾地点等については情報がございますけれども、現地の部隊におきまして確認中でございます。現時点で宿営地内に着弾したということはありません。なお、自衛隊諸君の人員には全く異常はございません。  以上でございます。
  202. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いずれにしましても、隊員の安全確保に万全を尽くしていただきたい、このように思います。  そこで、今回の防衛庁設置法案の中で弾道ミサイル防衛構想につきまして、お尋ねをいたします。  先ほど来の質疑の中で、技術的にはまだまだ万全な対応はできないということでございますけれども、しかし昨年の新防衛大綱にもこの整備の指針が盛り込まれているところでございますし、是非税金の無駄遣いにならないように実効的なミサイル防衛体制を整備していただきたい、まず冒頭に要望いたします。  そこで、私は今日は、新設されます、提案をされております自衛隊法八十二条の二の各項の論点につきまして、時間をいただきまして質疑をいたします。  まず第一は、ミサイル等に対する破壊措置の法的性格についてでございます。  今回の提案では、弾道ミサイル等を破壊をするための根拠法は平時における活動であるという前提で八十二条の二に位置付けました。これは、八十二条の海上警備活動あるいは八十三条の災害派遣あるいは八十四条の領空侵犯に対する措置と同列に置かれております警察権という、こういう位置付けです。  率直に言いまして、私も最初防衛庁からこうした説明を受けましたときには違和感を抱いたわけですね。いわゆる弾道ミサイル等、ほとんどの場合これはもう兵器であると思います。それが我が国に飛来する場合に、こちらの方もミサイルという武器を使いまして破壊をする、砲撃をするわけでありますから、まあ普通に考えると、これは自衛権の行使ではないかというふうに思うわけですね。これは何もそういう説明の仕方の違いというだけではなくて、シビリアンコントロールの在り方ですとか、あるいは集団的自衛権との関係ですとか、そういうことにもかかわりますから、この法的位置付けはきっちりとしておかなければいけないと思います。  そこで、今回、そうしたミサイル等に対する破壊措置を警察権であるという、そういう位置付けをした理由につきまして御説明願います。
  203. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 正にポイントを突いた御質問でございます。  まず第一に、自衛隊が武力を行使できるのは防衛出動が下令されている場合でございます。この今回のBMDシステムの法体系というのは、防衛出動が下令されていないケースであります。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  防衛出動の手続となりますと、安全保障会議、閣議決定が必要であります。あるいは国会の承認ということも必要でございます。そこで、考えてみますと、ミサイルが仮に飛んできた場合、場合によっちゃもう十分程度で日本に飛来すると、こういうケースでありますから、安全保障会議、それから閣議決定を行う時間が全くない、この点は考慮しなきゃいけないと思います。  それから、自衛権発動につきましては、荒木先生十分御存じのとおり、もう三要件満たしているかどうか、こういう問題があるわけでありまして、この三要件というのは、我が国に対する急迫不正の侵害があること、これを排除するために他の適当な手段がないこと、必要最小限度の実力行使にとどまること、この三条件でございますけれども、第二、第三の条件については、これはミサイル防衛、今回考えておりますミサイル防衛は適応しているわけでございますが、第一の急迫不正の侵害といった場合に、やはり不正ということをどういうふうに考えていくのか。誤射した場合もあろうか、あるいは何らかの破片が落ちてくるというケースもあろうかな、こういう問題点が残されているわけでございます。そういう意味で、防衛出動並びに自衛権発動の三要件、こういう観点から考えていかなきゃいけない、これが第一のポイントでございます。  しかしながら、これを迎撃するためにはどうしても武器を使用しなきゃいけない、そして飛んでくるものも武器である、このような考え、当然であります。しかも、それが、ミサイル攻撃防衛出動下令前でありますけれども、ミサイル攻撃を受けた場合、それが当然のことながら防衛出動に発展していく、進展していく、こういう可能性は大きいと思います。そうなりますと、やはりシビリアンコントロールという点を十分考えなきゃいけない、こういうことであります。  そこで、ミサイルが飛来する場合に、単に飛来の事実のみをもって、およそ事故や誤射でなく、我が国に対する急迫不正の侵害であるとの判断一つ困難ではなかろうか。それからもう一つ弾道ミサイル等が飛来した場合、飛来する場合、破壊する以外に国民の生命あるいは財産の被害を防ぐ方法はないということであります。したがいまして、これはもう絶対にマストとして落とさなきゃいけない問題であります。言い換えてみますと、この措置というのは必要かつ当然の措置である。  こういうような以上のような考え方からいたしまして、この自衛隊が対応できるような法制度として、どちらかといえば警察権の発動と、防衛出動とかそういうことではなくてですね、警察権の発動という位置付けにしたわけでございます。
  204. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 そこで、自国の警察権が及ぶ範囲というのは領土、領海、領空であると言われております。しかし、今回のイージス艦からの射撃というのは公海やその上空あるいは大気圏の宇宙空間、これは当然我が国の領域ではないわけですね。そういうところにも、そういうところに対しても射撃をするわけでありますけれども、このことは何か法的に矛盾はありませんか。
  205. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 問題は、大気圏に対するもの、それから公海の上の上空はどうなんだろうか、こういう問題でありますけれども、一つは、これはあくまでも、我が国の領域に飛来することがはっきり判断されて、我が国国民の生命、財産に被害を及ぼす、それを防止するための措置であって、この我が国に飛来する弾道ミサイルを破壊するだけの行為である、他国に対する武力行使ではありませんよ、これは明快にしておきたいと思います。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  それから、弾道ミサイルを破壊しなければ我が国領域における国民の生命、財産に対しましては重大な損害が発生する、被害が発生する、これを防止するために他に手段がない、こういうことでございます。その場合に他の国の領域にまでは及ばない、このことはひとつ御理解いただきたい。  公海の上空あるいは大気圏外の上空でございますけれども、権限行使の範囲は領域及び必要な場合は領域外に及び得る、そういう意味で、公海の上それから大気圏外、ここにも権限行使はできるものと、このように解釈しているわけでございます。  そういう意味で、他の国の領域には及ばない、しかしながら公海の上あるいは大気圏外でも権限は行使し得る、この解釈でございます。
  206. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 防衛出動発令の下で我が国ミサイル等、他国のミサイル等を破壊をすれば、これは自衛権の行使としての武力の行使になると思います。同じ、客観的に、客観的にといいますか、同じ措置を平時にとるとこれは武力の行使ではないというのは、これはどういうことなんですか。同じミサイルを撃ち落とす行為が、防衛出動が出ていると武力の行使であって、出ていないと警察権というのはどうなんでしょうか。
  207. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 同じ武器を使っても、それが言わば武力の行使になるか、それとも警察権なのかと、こういう問題でありますけれども、武力の行使、いわゆる憲法第九条に言われております武力の行使ということにつきましては、基本的には、国家の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環としての戦闘行為というふうに解釈されているわけでございます。  ここで、国家の物的、人的組織体による国際的な武力紛争の一環であるかどうか、これはまだ判明いたしません。そういうことでありますし、それから武力行使の判断でございますけれども、今回の法制に基づく措置というのは、我が国に飛来する弾道ミサイルについて自衛権の発動の三要件がまだ確認されていない、こういう状況でございます。したがいまして、我が国としてはほかの国を、他国を攻撃する意思はその時点ではないわけであります。武力行使とは言えません、したがいまして。専らですね、専ら国民の生命、財産を守るんだ、こういうシステムでございます。  そういう意味で、必要最小限の現段階技術という意味では該当するかとも思いますけれども、全体として言えば、言わば同じ武器を使っても、それは武力行使ではないしそして自衛権の発動にも当たらない、極めて受動的で限定的な行為である、必要やむを得ざる当然の行為である。ほっておけば日本に飛来して国民の生命、財産奪うわけですからね、これは政治の責任として絶対撃ち落とす。  しかし、その解釈としては、戦争をするんじゃありませんよ、自衛権の発動でも、まだもうこれも確認できません。したがって、そういう意味で、強いて仕分すれば警察権の行使と、こういうことでございまして、同じ実力を使いながら、やはり私はそのけじめというのははっきりしておかなきゃいけないんではないか、こういうふうに思っております。
  208. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今回の法体系では、ハワイなど米国をねらった弾道ミサイルにつきましては、仮に我が国の上空を飛来するとしても迎撃できないという、こういう体系になっているわけです。それは我が国財産や人命に関係がないからいいんだと言ってしまえばそうですけれども、しかし、同盟国に着弾することが分かっていて、仮に技術的にそれを破壊できるのにしないというふうなことが本当に私は許されるのであろうか、このように思うんですね。  これができないのはどういう、できないようにしたのはどういう理由なんですか。
  209. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 大変悩ましい問題であります。同盟国同士をお互いにかばい合えないということは極めて深刻に受け止めざるを得ません。しかしながら、この問題、やはり武器を使用する、それが場合によっては武力行使、防衛出動につながっていくかもしれない。したがいまして、そういうことを考えておりますと、やはり集団的自衛権の問題に行き当たるわけでございます。  集団的自衛権というのは、申すまでもありませんけれども、持っているけど使えないと、こういう解釈になっておりますから、集団的自衛権は行使できない、こういう解釈の下に、やはりそういうような防衛出動につながっていくような問題としてはそこできちっと歯止めを付けておく必要があるのではないか。そういう意味で、私は、やはりもう本当に日本の領域に限定して、その領域に飛来することが明らかになったそのミサイルを撃ち落とす、これに集中させていただきたい、このように思っております。
  210. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今おっしゃったように、集団的自衛権との関連が出てくるということ自体、やはり警察権というよりも武力の行使といいますか、自衛権というとらえ方が素直ではないかというふうに私は思うんですね。  もちろん、このマストである、我が国に飛来するものは絶対撃ち落とさなければいけないということはもう全くそのとおりですし、その場合安全保障会議を開くということがまた非現実的であるということももうそのとおりであると思います。  ただ、先ほど長官おっしゃった自衛権発動の三要件、特に第一項目めの急迫不正の侵害があるかどうかということですね。仮にこれが誤射ということであれば、これはもう過失によるそういう一つ攻撃ですから、自衛権発動できると思いますし、そういう理解もできると思うんです。  論評等によると、いわゆる平時における自衛権ではないか、こういう見解もあるんですね。私は、むしろそういう平時における自衛権という理解で今回の法体系を組み立てた方がより国民理解できるようなものになったんではないかと思いますけれども、そういう検討はされたんでしょうか。
  211. 飯原一樹

    政府参考人飯原一樹君) 立法過程の技術的な問題を含みますので、私の方から。  まず、大臣からお答え申し上げていますように、仮に自衛権といいますと急迫不正の侵害という事実も認定しなければいけないと。そうしますと、これ、急迫不正の侵害ということは、特定の国が我が国に対して害を加える意図を持っているという認定をするということで、これは極めて重いというのが一つでございますね。もう事実上、昔で言えば戦争状態に入るような事実の認定に近いと。  それから、自衛権の発動は自衛隊法上で、八十八条、日本の持っているありとあらゆる能力、武力を使って全力を挙げて攻撃に対応するんだと、こういう概念でございますが、累次大臣から御説明申し上げましたとおり、これは、とにかくミサイル発射される兆候があればそれを認定をして、ミサイル防衛に限定した限られた武器を限られた対象に対して、つまり日本に向かってくるミサイルに対して使うという、極めて限定的に使うということで、あくまで目的は我が国国民の生命、財産を守るということでございますね。自衛隊法上、国内法的には第三条の公共の秩序維持の方に当たるんだという考え方の下に、自衛権という構成は取らなかったというのが経緯でございます。
  212. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 警察権というそういう位置付けは理解をいたしますが、そうであれば、米国に、よその国に飛来するものは一切できないということはもう少し検討されたらどうかということを御提案をしておきたいと思います。  次に、八十二条の二の一項の命令と三項の命令の関係。  これも衆議院の議事録を読みますと相当長時間、濃密な議論をされておりますので、私も簡単にお尋ねしたいと思いますが、この三項は補完的な措置だというふうに承知をしております。それゆえにといいますか、一項に比べて手続は、首相の承認等がなく、簡素化されているわけですね。そんなこともあって、あくまでも本来は一項で迎撃といいますか破壊をするという、そういう建前になっていると、組立てになっていると考えます。  そこで、この一項か三項か。一項はそういう我が国に飛来する兆候が認識できる場合ですね、三項はその兆候がなくて、不意に来てしまう場合ということでありますけれども、それを区別をいたしますミサイル等発射の兆候の有無の判断の基準といいますか、これはどのようにして認定をされるんでしょうか。
  213. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 第一項、兆候がある場合の具体的な判断基準でございます。  これは一概には申し上げるわけにもいかないと思いますけれども、先ほどから議論のございました、情報というのは大変大事な問題になってくるだろうと思っています。その場合の国際情勢がどうなっているか、その国がどういうような意図表明をしているか、こういう問題も参考というか、事情の一つになろうかと思います。それから、ある国が弾道ミサイル発射に対して何らかの意思表示なりをしたかどうか、あるいは意思表示に至らぬまでも何らかのサジェスト、示唆をしたかどうか、それから、弾道ミサイルを運用する部隊がどういうような活動をしているのか、展開をしているのか、そのようなことをとらえて考えていかなきゃいけない。一概には言えませんけれども、いろいろな情報収集した上で考えていかなきゃいけない問題だと思います。
  214. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 いずれにしましても、この兆候は判断ができるという、そういう前提であろうかと思います。  ただし、例えば北朝鮮ミサイルというのを例に取りますと、固定サイトからのテポドンと異なりまして、ノドンなどの移動式ミサイルやあるいは潜水艦からのミサイルにつきましては、なかなかこれは発射の兆候は探知できないのではないかと指摘をされておりますけれども、この点はどうなんでしょうか。
  215. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 荒木先生指摘のとおり、正に固定サイトからのミサイルに比べれば移動サイトからのミサイル攻撃というのはつかみにくい、把握しにくい、こういう問題点はあろうかと思います。  しかしながら、やはり我々は最大限の努力をして弾道ミサイル発射に関する動向を常に探知していかなきゃいけない。画像情報、電波情報、ヒューミント、各国情報機関との意見交換、あらゆる手段を使いましてその問題を、その兆候というのをつかんでいく努力、これは必ずさせていただきます。
  216. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 今日の委員会でも先ほどから議論されている点でありますが、米国ミサイルの発射時に放出される赤外線を探知する早期警戒衛星で地上を監視をしております。現在では、この衛星からの情報米国が分析をした上で、数十分後に我が国情報提供されていると聞いておりますけれども、これでは間に合わないわけですね。  したがいまして、生の情報を提供してもらえるような米国との協定の締結、あるいは、先ほどもありましたけれども、我が国の監視衛星というようなことも、これはコストの問題もありますけれども、あるいは宇宙空間の平和利用の問題もございますけれども、そうしたことも踏まえて検討していきませんと現実にこの兆候をとらえることは困難ではないかと考えますが、いかがでしょうか。
  217. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 今、荒木委員から、数十分後に静止衛星からの情報を得るんだと、こういうお話ございました。数十分というのはちょっと多過ぎる分数だと、時間だと思います。数分というふうに御理解いただければ、正確に何分というわけにはいきませんけれども、数十分という単位ではございませんので、そこは御理解いただきたいと思います。  この問題、先ほども議論させていただきました。我が国独自のレーダー、レーダーサイトを持っているわけでございます。米軍の早期警戒情報からの、ここからの情報でございますが、赤外線利用して初期段階から当然取れる情報でございます。しかしながら、ブースト段階に来ればこれは日本のレーダーサイトでつかまる、こういうことでありますので、それは情報を速やかに得た方が、これはもういいに決まっておるわけでございます。ただし、先ほども答弁させていただきましたが、この早期警戒情報がないとしても、日本の持っているレーダー情報収集システムで対応できることは間違いありません。  誤解がないように、こういう情報の共有とか情報収集、分析、これはやはり同盟国間でこれからきちっと共同でやっていくように対応していかなきゃいけない。長官としましても、その辺の努力を今後続けていきたいと思っています。
  218. 荒木清寛

    ○荒木清寛君 是非、察知ができるように、我が国独自の努力、あるいは米国とのそうした連携を深めていただきたいと思います。  といいますのは、もう察知が難しいということになりますと、シビリアンコントロールがより緩やかなこの三項が実際にはこの運用上の原則といいますか本来の在り方になってしまうということは、私は余り望ましくないと考えておりますので、この点、最後に大臣の見解をお尋ねしまして、終わります。
  219. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 一番の問題は、兆候がある場合と兆候がない場合に、法律で体系分けていますから、兆候があるということを把握できない、これは大変な問題だと思っております。したがいまして、この点はこれからきちっと情報収集できるように、分析できるように努めてまいりたいと思っております。  それから、兆候がある場合には、これ原則ですから、この点については御理解いただいておると思いますけれども、いただけると思いますが、三項の場合であります。  三項の場合は、兆候はないけれども急変、事態が急変してミサイル防衛をやらなきゃいけない、こういうケースでありますが、せっかく、例えばイージス艦が出動している、こういう時期にもしそういう事態が起こった場合に、やはり命令を出していないとすれば飛んできたミサイルを撃てない、こういうような状態になると困るわけであります。困るというか、本当に政治の責任になると思います。  したがいまして、これは、そういうような兆候がない場合であっても長官がきちっと命令を発しまして、そして対応しなさいと、こういうことを、言わば第一項の大原則を補完する。この場合は第一項できちっと対応しなさい、兆候はないけれども、その場合の対応できるようにしておきなさいと。こういう意味で私は補完と言った方がいいのかなと思いますけれども、補完できるような体制を長官の命令で期間を定めてやっていこうと。  なぜ期間を定めるのか。一つは、シビリアンコントロールをその都度明確にやっていこう。もう一つは、やはり例えばイージス艦の航海の運用に合わせて命令を出すこと等もあるだろう。こういう観点から、しかしながら、私は一番はやはり長官のシビリアンコントロール、シビリアンコントロールを重点的に考えて、やはり命令は期間を定めてやっていこうと、こういう考えでこの三項の運用をやってまいりたい、このように考えています。
  220. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 ミサイル防衛について防衛庁長官にお伺いいたします。  新設される自衛隊法第八十二条の二、ちょうど今議論されているところですけれども、その第一項というのは、今答弁にもありましたけれども、これが基本だということですね。第三項は一項の補完の意味を持つという御答弁がありました。そしてまた期間を定めるということについても今答弁がありましたけれども、それでは、どのくらいの期間を想定されているのかをお尋ねしたいと思います。
  221. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、無期限に出すものではない、このことを申し上げたいと思います。  現実的には、イージス艦の運用の期間に合わせて出していく、あるいは合理的な期間を定めて命令を出していく、こういうことであろうかと思います。そういう意味で、一概に申し上げられませんけれども、イージス艦の運用の期限、これが一つの目安になるのかなとは思いますが、これは一概に言うわけにはいきません。
  222. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 まあ具体的にはよく分からない話なんですけれども、防衛庁長官は、衆議院の議事録を読ませていただくと、その期間について、三百六十五日、二十四時間が理想だと、そういうことも繰り返し答弁されています。記者会見でもそう言われているのを聞きましたけれども、だとすると、限りなく長い期間ということになってしまいませんか。
  223. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 確かに私は、ミサイル防衛をやるのであれば、三百六十五日、二十四時間体制でやるのが国民皆様に安心、安全をお届けする一番のベストな方法だと、このように思います。しかしながら、現実の体系、装備の体系ではそれはできません。残念ながらできません。そうすると、もうはっきり申し上げて、そこにすき間ができる可能性はあるわけであります。  しかしながら、兆候がある場合はどんなことがあってもこれはきちっと対応していかなきゃいけない。兆候がない場合にどうしていくか、こういう問題であります。  そういう私の考え方は、現実問題として、じゃ一年じゅう、あるいは限りなく長い期間で命令を発したらどうかと、こういうことでございますけれども、私はやはりシビリアンコントロールを一つ一つ確認する、部隊に対して、イージス艦に対して確認していく、こういう意味で期限を区切る、このことは非常に大事なんじゃないかと、このように思っています。
  224. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 長官、私、長い期間命令出したらいいと言っておりませんので、そういう立場で全くありませんので、念のために申し上げておきますけれども。  そうすると、例えば、実際問題として百日とか百五十日とか、そういう期間下されているというケースって想定されるんですか。
  225. 大野功統

    国務大臣大野功統君) これも、一回ごとのイージス艦の運用というのがどの程度になるのか、これを参考に考えていかなきゃいけないと思います。一般論で漠然とした言い方で恐縮でございますけれども、やっぱり数週間単位かなと、こんなふうに想像、想定するわけでございます。
  226. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 やはり私、数週間単位という答え、今ありましたけれども、まあ仮の話でしょうけれども、三百六十五日ということを一方で言いながらそういうことも言う。そしてまた、合理的な期間と言う。いずれにしても、非常にはっきりしないわけですよね。一つは、第一項の補完の性格があるということ、それからまた同時に、なるべくそのすき間は小さくしておきたいと言う。そう言い、また合理的にと言う。そしてまた、理想としては、能力と体制があれば三百六十五日、二十四時間と言う。私、これは本当にはっきりしない話だと思います。  そこで伺いたいんですけれども、条項的に期間については歯止めがあるんですか、この法律案の中には。
  227. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、私の言っていることがまちまち、ばらばらじゃないかという御指摘でございます。  例えば、イージス艦に対する命令が例えば数週間であっても、ダブって運用されているイージス艦、あるいは次のイージス艦に直ちに命令を下す、命令を発出する、こういうことは可能でありますから、一つ一つの命令が数週間だからといってこの期間が短い、一方において三百六十五日と言っているじゃないかという御指摘は考え直していただきたいと思います。理想論としてはあくまでも三百六十五日ではありますけれども、現在の能力からするとそれはできない、こういう問題がありますので、私はきちっと正直にその点を申し上げているわけでございます。  そこで、その他すき間がどの程度になるのかと、これはもうなるべく小さくしていく、こういうことでございます。
  228. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 条項上の歯止めについて、条項上の歯止め。
  229. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 条項上の歯止めにつきましては、そういう点は何ら触れられておりません。
  230. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私、それはやはり非常に一つの大きな問題だと思うんですよね。ですから、そうすると大臣答弁が非常に大事になってくるわけですよ、どう考えるかと。しかし、それに対して、今考え方を述べられて、理解してほしいと言われたような話でしたけれども、私は到底理解できないんですね。  やはり先ほども兆候がなくても命令を発することがあると、そういう答弁がありました。これは包括的な命令ですから、ですからこれをずっと出しておく、そしてしかも、これは非公表ですから、国会の側もどの期間出されたということについては分からない。恐らく、国会で聞いても答弁申し上げられませんと答えるに違いない、そういう範疇の話ですよね。  そうすると、この問題というのは、やはり法的に縛りがない。しかも、大臣が理想としては三百六十五日、二十四時間と言われる。私は、この点は、やはりシビリアンコントロールと言われたわけですし、そして、現場の自衛官に飛来してくる可能性のあるものを撃ち落とす、そういう権限を命じるわけですから、この点についてはしっかりとした答弁が必要だと思いますけれども、その点では合理的と言い、そしてまた同時に、すき間を小さくしたいと言い、三百六十五日と言われる。こんなまちまちな答弁が繰り返されているわけですよね。私は、やはり少なくともシビリアンコントロール、そしてまた、数週間という話がありましたけれども、それが続いていけば、合わせればそれに近くなるという話かもしれませんけれども、少なくとも三百六十五日、二十四時間というそういう体制は取れないわけだし、能力的にも。やはりそういう答弁は今後言ってほしくない、そのことを申し上げておきたい。
  231. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、制度をもう一度繰り返させていただきたいと思います。  第一項におきましては、これは兆候がある場合、これは絶対にやっているわけであります。
  232. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 結構です。分かっている。分かっております。
  233. 大野功統

    国務大臣大野功統君) お分かりの上、しかしながら、そこは大事なところですからもう一度繰り返させていただきたいと思います。  それから、兆候がない場合、このところをどう考えるかと。私は、兆候がない場合でも、やはりこの安心、安全を確保するためにはきちっと警戒態勢をしいておくべきである、この点につきましては御異論はないかと思います。しかしながら、それをどのように考えていくのか、そういう点で理想は確かにこのすき間がないことであります。しかし、運用上はこれはなかなかすき間ができないということは大変なことである。したがって、私は理想を思いながら、理想に向かってすき間をできる限り少なくしていこう。  で、じゃなぜ公表しないんだ、なぜ期間を公表しないんだと、こういう御質問であります。期間を公表すれば、必ずこのすき間がどこにあるということが分かってしまうわけであります。  そういうことを考えれば、私はやはりこのすき間は少なくする、期間はどこにあるのか、これは示さない、こういう考え方が大切であると、このように思っております。
  234. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 この三項というのは非常に大事な、重要なやはり部分だと思うんですよ。  やはり防衛出動にしても、それを、その下令するためには非常にバーが高いわけですよ。しかしこれは、言ってしまえば法的な縛りはない。今大臣はそうお認めになった。それから、非公表である。とすると、これは政府が恣意的に幾らでも長くできるということにもなりかねない、そういう分野なんですよ。しかも、大臣は、理想としては三百六十五日、二十四時間と言われているわけでね。  ですから、私はその点で、法律上その期間について縛りがないということははっきりいたしましたけれども、やはりこの答弁の中で、やはりそういう期間についてそれが無限に広がるということ自身、私は非常に重大な問題であると、このことを指摘しておきたいと思います。  次に、この今回の措置国民の権利にどういう影響を与えるかという問題なんですけれども、その一つとして、PAC3のレーダーはどういう範囲にどの程度の電波障害与えるのかと、このことについてお尋ねいたします。
  235. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、恣意的に長くなる、その限度がない、これは大変な問題である、こういうことをおっしゃったわけでございます。  私は再々申し上げておりますとおり、イージス艦の運用に合わせて命令を出していく、これが重要なことではないか、こういうふうに申し上げているわけでございまして、この国民の、我々政治の責任として、国民皆様に安全、安心を確保するためには、やっぱり二十四時間、三百六十五日、そこへなぜ期限を付けるんだと。しかしながら、期限はシビリアンコントロールの観点から数週間ということをめどに考えておりますよと、こういう答弁をしているわけでありまして、何の問題もない、私はこのように思っているところでございます。  それから、今お尋ねのPAC3、迎撃のためにどのような展開を考えているかということでございますか。はい、展開につきまして……
  236. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 違います。障害。
  237. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 電波障害の問題ですか。電波障害につきましては、これはPACシステムというのは、当然電波障害の問題を考えなきゃいけません。で、電波監理当局などの関係省庁と十分調整の上、運用する、このことは当然のことでございますので、予定しております。  それから、PAC3が迎撃するためにレーダーを照射する時間の幅は極めて短いというふうに御理解いただきたいとお願い申し上げます。まあ大ざっぱな言い方して恐縮でございますが、数分間程度じゃないか。  関係省庁との調整でございますけれども、自衛隊の活動と他の保護法益の関係を調整する枠組みが存在しております。そういうことで、その電波障害につきましては十分に調整させていただきながら考えていきたい、このように思っています。
  238. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 先ほどの大臣答弁にかかわることなんだけれども、やはり法的に縛りがないということ、このことはやはり非常に重大ですよ。  それと同時に、何ら問題がないと言われたけれども、やはり私は、この間の日本政府防衛方針を大きく変更させる、そういう可能性のある条項だと思いますよ。それは、なぜならば、要するに自衛官が、現場の自衛官が、まあ言ってしまえばミサイルを押す、そういうボタンを押すことができる、そういう命令を包括的に受けてそれを実行できる、そういう、そういう形に置かれるわけですから、この点は非常に重大ということを述べておきたいと思います。  それから、今の話で、電波障害関係なんですけれども、この問題については、電波障害について短時間だから限定されているという話かもしれません。しかし、私は電波障害について考えたときに、やはりその私権の制限が出る、このことははっきりしていると思うんですが、その点はいかがですか。
  239. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 電波障害の問題で私権の問題が出るというお尋ねでございますけれども、具体的にどういうことを想定されているのか、その辺をお聞きした上の方がいいかとは思いますけれども、確かに障害が出る可能性はあろうかと思います。その点につきましては、先ほども申し上げましたとおり、やはり電波監理当局など関係省庁と十分打合せをしてやっていかなきゃいけない、このように考えておるところでございます。  さらに、もう一度繰り返しになりますが、数分間という、一般的な言い方で恐縮でございますが短い、こういうことも御理解いただきたいと思います。
  240. 林芳正

    委員長林芳正君) 緒方君、時間でございます。
  241. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 それで、それで、そうすると、いずれにしても市民生活にも影響が出る、電波障害もある、このことははっきりしていますよ。  そうすると、有事の際に適用される特定公共施設利用法を見ると、例えばほかの無線局に対して混信、妨害を与えることを禁じた電波法第五十六条の適用除外を定めている、そういうものがあるわけですけれども、なぜ今回、同様な措置をとられないのか、必要ないと考えているのか、お尋ねいたします。
  242. 林芳正

    委員長林芳正君) 大野長官、時間ですので簡潔に御答弁をお願いいたします。
  243. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 基本的にちょっと申し上げたいと思いますが、これは撃ち落とさなければ国民の被害になるんです、国民の生命、財産。だから、やることは当然であって、やらなければもちろん政治として責任問われます。私はそのことを申し上げたい。その上で、今の問題等につきましては様々な調整を行っていく、このことを申し上げたいと思います。
  244. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 最後に一言。
  245. 林芳正

    委員長林芳正君) 時間でございます。
  246. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私は、有事の際のことを述べているんであって、述べたんであって、そのことは、そのことはやはりきちっとする必要があると、法律上不備があるということを述べて、質問を終わります。
  247. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務大臣にお願いいたします。  防衛施設庁の資料によりますと、沖縄では、一九七二年の復帰から二〇〇四年までの三十三年間に、在沖米軍とその家族による事件、事故が四万二千四百十六件発生しています。これはもちろんすべてではありませんが、概数でございます。これは全国での発生件数の約六〇%を占めています。四万二千件余の事件、事故のうち、殺人、暴行、窃盗などの刑法犯件数は五千三百五十八件に及んでいます。  この種の事件、事故が起こるたびに、米軍政府も、二度と起こさないようにすると繰り返してきました。しかし、つい先日の三日、またもや米兵による小学校女子児童に対する強制わいせつ事件が発生しました。県民の怒りは頂点に達した感があります。  外務大臣は、これらの事件、事故を防止できない根本的な理由は何だとお考えですか。また、今回の事件をどのように受け止め、今後どう対応なさるおつもりですか。
  248. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) 要点のみ申し上げますが、事件が起きたわけでございまして、これに対して三日の午後、梅本北米局参事官よりラーセン在日米軍副司令官に対し、また四日には宮本沖縄担当大使よりジュアス嘉手納飛行場司令官に対し遺憾の意を表明するとともに、綱紀粛正、再発防止の徹底を申し入れたところでございます。  アメリカ側からも遺憾の意が表明され、綱紀粛正と再発防止に取り組む旨、表明をされているところでございます。また、事件を起こした米兵に対して米軍としても適切な処分を行うとともに、日本側の捜査への全面協力をするということを表明をしておるところであります。  再発防止、綱紀粛正、さいの河原ではないかというような御指摘でございます。一九九五年に少女暴行事件というのがございまして、それ以降いろいろな措置、対策が講じられております。昨年の六月からは基地の外への外出規制カード、リバティーカードというようなものも設けられておりますし、また、国、米軍、沖縄県あるいは地方公共団体による三者連絡協議会、さらには事件・事故防止のためのワーキングチーム等の場で、具体的な策につきましてそれぞれ関係者が緊密に協議し取り組んでいるというふうに承知をしておりまして、更に一層こうした事件の再発防止に取り組まなければいけないと、かように考えております。
  249. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今、対応については伺いましたけれども、私はこれまでもう何度も同じような答弁をいただいておりますが、大臣は、四万件余りの事件が起こっている、そして更にずっと続いているという事態、何が、根本的に防止できない理由は何だとお考えですか。
  250. 町村信孝

    国務大臣(町村信孝君) これは米軍兵士のみならず日本人による様々な事件も現実いろいろ起きております。それは沖縄のみならず日本国じゅうで起きている、誠に遺憾なことであるというふうに思っております。  いずれにしても、この特に米兵の問題につきましては、かなり若い人、社会的経験の乏しい人も多いというようなこともあるものですから、沖縄に着任後、研修をしっかりやったり、公務時間外の自由時間の過ごし方についていろいろな指導を行ったり、基地のゲートにおける飲酒のチェックを行ったり、生活指導巡回を行ったり、いろいろ考えることは相当程度やっているとは思われます。  にもかかわらず、なぜこれが起きるかと言われると、そういう指導等がやっぱりまだまだ不十分なのかなと思ったりもいたしますが、可能な限りの対策を全力を挙げて講ずることがいずれにしても肝要であろうと、こう思っております。
  251. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ありがとうございました。  ありがとうございました。もう大臣にはほかに質問ございませんので、どうぞお引き取りください。  次に、防衛庁長官にお伺いいたします。  私は戦争体験者として防衛庁法や自衛隊法が改正されていくたびに、どうやら戦前の旧日本軍に似てくるようなある種の危惧を抱いておりますが、そこで極めて素朴な質問で恐縮ですけれども、自衛隊と旧日本軍は本質的にどこが似てどこが違うのか、長官の御認識を簡潔にお聞かせいただけたら有り難いと思います。
  252. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 国を守る、この点では全く私は同じだと思います。  しかし、一般的に一つ、例えば海外で武力行使をする、これは今の自衛隊ではできません。それから、いわゆる長距離、相手方、相手側を攻撃する長距離的な攻撃兵器を持てない、こういう意味じゃ昔の軍隊とは違うと思います。それからもう一つ、集団的自衛権というものが行使できない、昔はその集団的自衛権の議論はなかったとは思いますけれども、そういう意味で軍隊というものとは違う。私はやはり今の自衛隊なり防衛の基本的思想というのは専守防衛ということが基本になっている、その中でいかに国を守っていくか、これがもう一番大切な問題であると思っています。  そういう意味で、私は、軍隊との違い、昔の軍隊との違いを指摘してみろと、こういうお尋ねでございますけれども、私は国を守る、これは本当に昔も今も命を懸けて国を守る、したがって命を懸けるに値するだけの国づくりを政治家はやっていかなきゃいけないと同時に、国を愛する気持ち、民族を愛する気持ち、同胞を愛する気持ち、家族を愛する気持ち、こういうようなことも政治家として考えていかなきゃいけないな。しかし専守防衛であって、今申し上げ、具体的に申し上げたようなところだけは違う、このように思っています。
  253. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今、国を守るとおっしゃったんですが、国防というのは国民の生命、財産を守るのが第一義的じゃないでしょうか。
  254. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 私は、国を守るといった場合に、国民、そして国民財産国民の生命、財産、それから我がふるさと、我が日本、こういうことを頭に思い浮かべながら考えております。
  255. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 自衛隊法にはそういう国民の生命、財産を守るというふうな記述がありますか。
  256. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 「自衛隊は、わが国の平和と独立を守り、国の安全を保つため、」というふうに書いてございます。
  257. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 今回の防衛庁設置法改正案では、軍事専門的見地から一元的に防衛庁長官を補佐する機関として統合幕僚監部を置き、その長として統合幕僚長を新設することになっています。ところが、現行の防衛庁設置法第二十六条には統合幕僚会議が防衛庁長官を補佐するとあり、また、同法第二十七条三項では、議長は統合幕僚会議の会務を総理するとあって、陸海空の各幕僚長の調整役となっています。現行法ではなぜ統合幕僚会議の議長には直接防衛庁長官を補佐する権限が与えられていないのですか。その理由についてお聞かせください。
  258. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 統合部隊が編成された場合には、その運用に関して長官の命令を執行する、これが統幕議長の任務でございますし、そういうふうな統合部隊の運用にかかわりましてはこの統幕議長が、統幕議長が長官を補佐する機能を持っているわけでございます。したがいまして、統合運用調整をやる場合には統幕議長は持っているということでありますから、全然補佐機能を持ってないということは必ずしも当たってないわけでございますけれども、これまではやはり陸海空それぞれの幕僚長が補佐する、こういうことでございます。  その理由は、歴史的に安全保障環境がどんどん変わってきて、昔はもうそういうような状態で国の守りはできた。しかし、今やこの安全保障環境が変わってまいりまして、例えばミサイル防衛一つ取ってみましても、これは海とそれから空とで共同していかなきゃいけない。島嶼防衛一つ取ってみましても、やはり海と空と陸と三者で統合してやっていかなきゃいけない、こういうふうに変わってまいりました。歴史的な流れが一つあるのではないでしょうか。
  259. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 古い話で恐縮でございますが、一九五四年五月に、自衛隊法と防衛庁設置法の両法案が参議院の内閣委員会で審議された際、木村議員が、統合幕僚会議議長は相当強い権限があった方がいいのではないかという趣旨の質問をしたのに対して、当時の木村篤太郎保安庁長官はこう答弁されています。そういう懸念ならば、統合幕僚会議の議長がまたどういうことをやるか分からぬというような懸念も生ずる。我々は、あらゆる角度から検討して、昔のような弊害を再び繰り返さしてはいかぬ。この幕僚会議の議長も執行機関であってはいけない。これは調整役として働かせるのがいいのではないかという。つまり、統合幕僚会議の議長に強い権限を与えると、戦前、戦中のように軍部による支配が復活しかねないという危惧を当時の政府は抱いていたからこそ議長の権限を制約したと考えられます。  今回の改正によって権限を有する統合幕僚長を設置するのはどういうねらいからですか。
  260. 大野功統

    国務大臣大野功統君) まず、戦前と戦後の軍の運用の在り方、これはもう根本的に変わっているということを私は認識しているわけでございますが、それは何かといいますと、やっぱりシビリアンコントロールの問題であります。  そういうシビリアンコントロールの下で、仮にこの統幕、統合幕僚長が運用に関しては権限を持つわけでございますが、その権限というのは部隊の指揮命令ではありません。長官を、長官を補佐する、長官にアドバイスをする権限でございます。指揮命令をするのは総理大臣であり、防衛庁長官でございます。そういう意味で、この考え方の違いが一つ大きくあるということは、私は十分痛感いたしておるところでございます。  それから第二点は、先ほども申し上げました安全保障環境が変わってきている。今やテロに対してどうするんだ、島嶼防衛をどうするんだ、ミサイル防衛をどうするんだ、どの一つを取ってみても、昔のような陸海空それぞれ単独のファンクションだけでは対応できません。そういう意味で、やはり統合ということが必要になってきた。しかも、抑止力だけではやっていけません。抑止力だけではやっていけない、つまり、どちらかというと対応力の問題が出ております。したがいまして、迅速かつ効果的に運用していかなきゃいけない、この問題が一つあるわけでございます。  もう一つ、あえて申し上げれば、その中で統合運用した方がやはり資源を効果的に、効率的に使えるのではないか、このような問題点があろうかと思います。
  261. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 昨年の十二月二十七日、防衛庁は、防衛参事官制度の在り方や内部部局の組織改編など、現在検討を進めている制度や組織の見直しに関する中間報告を公表されました。今回の防衛庁設置法改正案には、防衛庁内局を改編する内容が盛り込まれていますが、参事官制度の在り方については触れられていません。中間報告にある参事官制度の見直しは今後どのようになさるおつもりですか。また、見直しをするとすれば、その内容についても簡潔に御説明ください。
  262. 大野功統

    国務大臣大野功統君) 参事官制度でございますけれども、基本的な考え方、私はこれは維持していくべきではないか。つまり、防衛庁長官を幅広い視野から基本的な問題について、固定した分掌にとらわれないで補佐、助言していく、このことは私は広い視野で安全保障を考えていく上で大変大事な問題である、このように思っております。  この問題、何か月か前にも私、中間報告を受けました。そういう観点から、もう少し機能させてほしいと。機能さすためにはどうしたらいいんだ。正直申し上げて、十分に今参事官制度が、防衛参事官制度が十分に機能を発揮しているかといえば、イエスとは言えない状態だと思っております。したがいまして、機能させる、基本的な考え方は変えないで十分機能させるためにはどうしたらいいか、こういう考え方で検討してほしいというふうにそのとき指示したわけであります。その結果につきましては今月中に私は報告を受けることになっておりまして、そのときにまたいろいろ議論をして、より良い参事官制度をつくり上げていきたい、このように思っております。
  263. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 ありがとうございました。終わります。
  264. 林芳正

    委員長林芳正君) 本日の質疑はこの程度にとどめます。     ─────────────
  265. 林芳正

    委員長林芳正君) 参考人出席要求に関する件についてお諮りいたします。  防衛庁設置法等の一部を改正する法律案の審査のため、来る七月十二日、参考人出席を求め、その意見を聴取することとし、その人選等につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  266. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後一時九分散会