○佐藤道夫君 かつて大量破壊兵器を持っていたから今でもまた持っているはずだというのは、お粗末な警察官の犯人を捕まえるときの、前に悪いことやったから今度もやっているに違いないといって捕まえてくるような、本当に一体これ何なんだと思いたくなるくらいですよ。
やっぱりあれだけの地域に大量の、多数の軍隊を派遣して、それで政治をやっていくのか何か知らないけれ
ども、うろうろしていると、とても許されることではない。やっぱり慎重にも慎重を期して、やってみたけれ
どもなかったと、申し訳なかったと、しかし、またやるおそれがあるからもう少し軍隊を投入させてくださいとかいうようなことならば、まあしかし、それだって分からない、
具体的な証拠もなしに犯人扱いしていると、そうとしか言いようがないわけですよ。
もう少しこういうことについては、各国ともに歩調をそろえて、慎重を期そうということは当たり前のことなんです。そして、やってみて、発見できなかったらすぐ引き揚げてきて、その後をどうするかということはまたみんなで頭をひねって
考えていく、それだけのことではないかということで、私は本当に法律家の立場からして、今回の
イラク戦争、戦争の大義がなくなってしまったんじゃないかと、だれでも
考えることだろうと思います。
それから、これもまた大変
日本の、世界の人類にとって大切なことですけれ
ども、捕まえてきたフセインは一体どうなっているのかと。何かたまに新聞
報道があって、近々裁判が行われるらしいと。アメリカのしかるべき人は、なに、あんなものはすぐ、裁判やって死刑にするんだというようなことまではっきり言っていると。こんなことは許されることじゃないんですよ。司法の、法的な支配、法の支配という言葉が出たのは、イギリスとアメリカから出て、そうして、どんなに悪いというふうに世間の人が思っている、でもやっぱり時間を掛けて裁判をして、証拠をきちっとそろえて、弁護士も付けて弁論をさせると、有罪判決が確定するまではどんな極悪犯人でも皆
無罪の推定を受けていると、当たり前のことです。こんなことはもう世界の常識ですから。
ですから、あのオウム裁判での麻原彰晃などは、まだ何を一体いつまでぐずぐず裁判なんかやって、早くさっさと死刑にしろと、そう言う人も多いようですけれ
ども、それはもう野蛮国のやり方なんでね。やっぱり
日本も、アメリカ、イギリスを先頭にする法治
国家の
一員ですからね。そのフセインを一体どう扱うのか。これは
国会、
国会じゃなくて、国連などでもそういう話が出ないんでしょうか。あるいはまた
外務省の人たち、特に
外務大臣、それから
防衛庁長官な
ども、捕まえてきたフセイン、あれ、どうするんですかと。
何かアメリカの主要な人は、すぐ死刑にするから安心してくれと、こう言っているけれ
ども、そんな簡単に人を死刑になんかできる、野蛮国でならあることですけれ
どもね、世界の先進国を自負しているアメリカ、それがそんなことをやらせるというのか。
イラクの裁判所をつくらせて、そこでやらせるんだとも言っていますけれ
ども。
一体、フセインがどんな罪名で、どこにどんな状態で入れられているか、だれも知らないんですよ、これ。時に何かひそひそ話のようなことがあって、どうも独居房に入れられて、そして
自分で部屋掃除までやらされているんだなんというようなことが、そんなこと信じられますか。
いずれにしろ、弁護士を通じてはっきりそこは世界全体に知らせるべきだと思う。みんなが関心持って眺めているわけですから。
そして、どんな極悪犯人でも、やっぱりそういう裁判をきちっとやって、そして判決を下しているんだなと。当たり前のことなんです、これ。それが当たり前でないと
考えておるとすれば、申し訳ないけれ
ども、そういう
考える人たちは大学を出てないんじゃないかというふうにも言いたくなるわけでありましてね。そこは大いに
議論をして、アメリカの人たちが、あんな悪いやつはすぐ死刑にするからちょっとだけ待ってくれと。それは、あなた、おかしいですよということをきちっと申し、
意見交換をするのがこういう場合の法治
国家としてのあるべき姿だと思うんですよ。
いかがでしょうか、その辺は。
防衛庁長官もついでに、ついでと言っちゃ失礼ですな、御
意見をお聞かせ願えれば。