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2005-04-12 第162回国会 参議院 外交防衛委員会 第6号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年四月十二日(火曜日)    午前十時一分開会     ─────────────    委員の異動  三月三十一日     辞任         補欠選任      岡田 直樹君     南野知惠子君      荒木 清寛君     草川 昭三君  四月一日     辞任         補欠選任      南野知惠子君     岡田 直樹君      草川 昭三君     荒木 清寛君     ─────────────   出席者は左のとおり。     委員長         林  芳正君     理 事                 浅野 勝人君                 三浦 一水君                 山本 一太君                 齋藤  勁君                 榛葉賀津也君     委 員                 岡田 直樹君                 柏村 武昭君                 桜井  新君                 福島啓史郎君                 山谷えり子君                 犬塚 直史君                 喜納 昌吉君                 佐藤 道夫君                 田村 秀昭君                 白  眞勲君                 荒木 清寛君                 澤  雄二君                 緒方 靖夫君                 大田 昌秀君    国務大臣        外務大臣     町村 信孝君        国務大臣        (防衛庁長官)  大野 功統君    副大臣        防衛庁長官   今津  寛君    大臣政務官        外務大臣政務官  福島啓史郎君        文部科学大臣政        務官       下村 博文君        厚生労働大臣政        務官       藤井 基之君    事務局側        常任委員会専門        員        泊  秀行君    政府参考人        防衛庁防衛局長  飯原 一樹君        防衛施設庁施設        部長       戸田 量弘君        防衛施設庁業務        部長       土屋 龍司君        外務大臣官房審        議官       遠藤 善久君        外務大臣官房審        議官       齋木 昭隆君        外務大臣官房審        議官       西宮 伸一君        外務大臣官房審        議官       鈴木 庸一君        外務大臣官房審        議官       長嶺 安政君        外務大臣官房国        際社会協力部長  神余 隆博君        外務省北米局長  河相 周夫君        外務省中東アフ        リカ局長     吉川 元偉君        外務省経済協力        局長       佐藤 重和君        文部科学大臣官        房文教施設企画        部長       大島  寛君        厚生労働大臣官        房審議官     岡島 敦子君        厚生労働省労働        基準局安全衛生        部長       小田 清一君        厚生労働省労働        基準局労災補償        部長       森山  寛君        経済産業省製造        産業局次長    奥田 真弥君        経済産業省製造        産業局次長    塚本  修君        環境大臣官房審        議官       寺田 達志君     ─────────────   本日の会議に付した案件 ○外交防衛等に関する調査  (アフガニスタン訪問及びアジア協力対話(A  CD)第四回外相会合への出席等に関する件) ○政府参考人出席要求に関する件 ○専門機関特権及び免除に関する条約附属書  XV締結について承認を求めるの件(内閣提  出) ○石綿使用における安全に関する条約(第百六  十二号)の締結について承認を求めるの件(内  閣提出)     ─────────────
  2. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまから外交防衛委員会開会いたします。  外交防衛等に関する調査議題といたします。  まず、外務大臣から報告を聴取します。町村外務大臣
  3. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 私は、四月五日から七日までの間、アフガニスタン大統領との会談アジア協力対話ACD第四回外相会合出席等のため、アフガニスタン及びパキスタンを訪問し、八日に帰国しました。  アフガニスタンでは、カルザイ大統領及びアブドラ外相会談しました。私からは、民主的な国家づくりに邁進しているアフガニスタン国民努力に敬意を表するとともに、引き続き同国の国づくりに幅広い支援を行っていきたい旨述べたのに対し、カルザイ大統領からは、元兵士の武装解除動員解除社会復帰事業、DDRやインド洋上での自衛艦による給油活動にも言及しつつ、我が国支援に対する謝意が表明されました。  アジア協力対話第四回外相会談では、参加した閣僚と地域国際情勢等議論し、ACDにおける協力基本原則を盛り込んだイスラマバード宣言を採択しました。  私からは、北朝鮮問題につき、六者会合早期再開重要性を訴えるとともに、拉致問題について、各国理解協力を要請しました。国連改革については、その重要性を強調するとともに、常任・非常任理事国双方を拡大して安全保障理事会改革することを通じて、国連をより機能的、効率的にすべき旨訴えました。  イスラマバードで行った日韓外相会談では、日韓関係を正常な軌道に戻すとの観点から意見交換を行いました。竹島問題や教科書問題については、双方立場の違いに基づく厳しいやり取りもありましたが、それぞれの立場立場として、大局的な観点から、両国友好協力関係に影響を与えないようにすることの重要性を確認しました。また、過去をめぐる問題については、私から、引き続き歴史共同研究を進めるとともに、遺骨の調査・返還、サハリン韓国人支援、在韓被爆者支援について、韓国国民の気持ちに深い理解と共感を持って取り組んでいく旨述べました。また、シャトル首脳会談等を継続することを双方で確認しました。  また、今次会合機会をとらえ、パキスタン、オマーン、カザフスタン、タイ及びミャンマーとも外相会談を行い、それぞれとの間の二国間関係の強化や、共通の関心事項について協議を行いました。  以上で私の帰国報告とさせていただきます。
  4. 林芳正

    委員長林芳正君) ありがとうございました。  以上で報告の聴取は終わりました。     ─────────────
  5. 林芳正

  6. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。     ─────────────
  7. 林芳正

    委員長林芳正君) 専門機関特権及び免除に関する条約附属書ⅩⅤの締結について承認を求めるの件及び石綿使用における安全に関する条約(第百六十二号)の締結について承認を求めるの件の両件を一括して議題といたします。  両件の趣旨説明は既に聴取しておりますので、これより質疑に入ります。  質疑のある方は順次御発言願います。
  8. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 現在は、日本外交をめぐる重大な事態が起こっていると思います。条約に関しては後で触れるとして、まず、外務大臣に聞きます。  日本安保理常任理事国入り日本外交悲願であり、大事な国益でしょうか。それを質問します。
  9. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員承知のように、本年、国連全体の改革というものについて昨年来からずっと議論が行われてきております。その中身について、最近時点で申し上げるならば、三月にアナン事務総長から国連改革の全容について報告書が出され、いよいよ本格的な議論が始まっているという状況であります。その中で一つの大きなテーマ安全保障理事会の在り方でございまして、その中にはいろいろな要点はありますけれども常任理事国あるいは非常任理事国の数をどうするのかということが大きなテーマになっているのは委員承知のとおりであります。  日本といたしましては、この安保理常任理事国入りというものを、昨年の九月の国連総会において小泉総理からその責任、役割を果たす用意ありという意図表明をして以来、それの実現に向けて今様々な努力を行っているところでございまして、この常任理事国入りというものは日本外交にとって大変大きな重要テーマであるというふうに認識をいたしております。
  10. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 質問します。  さきに世界地域別常任理事国入りの運動、キャンペーンをする外交使節として大使経験者らを任命しましたが、これも悲願実現国益実現のための布石ですか。
  11. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) お答えを一言で言えば、それはそのとおりでありまして、それぞれの外交官としての様々な勤務経験等を生かして、アジアあるいはアフリカあるいはヨーロッパあるいは中南米、それぞれ地域に特段に深い造詣もあり、また人的なネットワークも持っておられるそういう方々を、活躍をしてもらって常任理事国入り環境整備を大いに活動してもらいたい、そういう趣旨で任命をしたところでございます。
  12. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 質問します。  日本はインドとともにアジア諸国代表格として常任理事国を目指すと、目指しているのですか。
  13. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 現在、アジア地域という意味では中国常任理事国をしております。  当初の、今の常任理事国五か国というのは必ずしも、どこまでその地域というものを意識して現在の五か国が決まっているかどうか、必ずしも定かではありません。むしろ、第二次大戦中の一番枢要な国々五つ選ばれているという状況。その後、例えばアフリカも当初、国連が設立した当初と比べると、今やその数も五十数か国ということで大変増えてまいりました。アジアの国もまたしかり。非常に独立国が増え、したがいまして現在は百八十か国を超える大変な国の数になっている。  そういう実情だけを見ても、アジアから常任理事国が一か国というのはいかにもバランスが悪いのではないだろうか。例えば、アフリカも五十数か国あると思いますが、常任理事国には一か国も入っていないという姿で本当にいいんだろうかといったような、地域バランスという観点から見てもいかにも今の五か国というのはアンバランスがあるということが言えるんだろうと。  そういう意味で、私は、アジアの声をより大きく国連あるいは安保理意思決定に反映をさせるという観点から見ても、日本常任理事国になることがアジア全体にとっても必要なことであると、かように考えているところでございます。
  14. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 常任理事国入りに必要な国連規則を簡単に説明してください。
  15. 遠藤善久

    政府参考人遠藤善久君) お答え申し上げます。  常任理事国入り関連国連規則内容という御質問かと存じます。  まず、国連憲章第二十三条におきまして安全保障理事会構成が定められ、特に常任理事国すべての国名が明記されていることから、新たに常任理事国を拡大するためには国連憲章当該部分改正することが必要となります。  他方、国連憲章改正を行うためには、憲章第百八条において改正手続が定められておりまして、すなわち、「総会構成国の三分の二の多数で採択され、且つ、安全保障理事会のすべての常任理事国を含む国際連合加盟国の三分の二によつて各自の憲法上の手続に従つて批准された時に、すべての国際連合加盟国に対して効力を生ずる。」旨、定められております。
  16. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 現在の常任理事国のうち、日本常任理事国入りに賛成している国を挙げてください。外務大臣
  17. 遠藤善久

    政府参考人遠藤善久君) お答え申し上げます。  アジアアフリカラ米、欧州と、各地域でこれまで約九十か国が公に我が国常任理事国入りを表明しております。また、これに加えまして、公以外でも、二国間の文脈で我が国常任理事国を支持している国が多数ございます。
  18. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 米国は日本の加入に賛成しているとのことですが、米政府は七日に安保理拡大の九月決着に反対を打ち出し、この点では中国と同じ姿勢になったわけです。日本常任理事国入り戦略の行方に暗雲が立ち込めたと見受けますが、外相はどう受け止めていますか。そして、打開策はありますか。
  19. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 七日の日にアメリカ事務総長報告に関する国連総会審議においてステートメントを行っているわけでありますが、安保理改革についてアメリカは、安保理効率性が強化されるとの前提の下で安保理改革を支持すると述べました。その上でアメリカは、人為的な期限を設けることなく、以前にも述べたとおり、幅広いコンセンサスに基づき改革を前進させていく考えであると、こういう発言をしているわけであります。  日本としては、もう既に安保理の問題、先ほど申し上げましたように、かなり長い間議論をされてきておりますし、世界的に見ても改革の機はかなり熟してきているという考えでございます。実際に、今次の国連総会においても百六十六か国もの加盟国安保理改革必要性というものに言及をしております。内容はそれぞれ違うところはありますが、改革が必要であるということについてのコンセンサスは私はある、こう思っております。そういう意味で、日本としては、この事務総長報告において述べられておりますとおりでありますが、安保理改革については九月の首脳会合、これがニューヨークで開かれるわけでありますが、その前に決定を行うべき問題であり、コンセンサスは望ましいが、コンセンサス決定を遅らせる理由となってはならない、このようにアナン事務総長報告ではあります。  したがって、アメリカが言っている趣旨について米政府に照会もしてみたけれども、みたわけでございますが、これに対してのいろいろな議論の中から、私ども理解は、この幅広いコンセンサスというのはこの百九十一か国すべてが同意しなければならないという趣旨ではない、もちろんいろいろな議論の結果、幅広い国、一か国でも多い国々がそのコンセンサスがあった方がいいということは、それは日本だって同じだと思いますが、ただ、いわゆる国連で言うコンセンサス方式というと、それは要するに全会一致ということを意味するので、そうでなければならないという趣旨アメリカが言ったわけではない、こう理解をいたしております。  また、人為的な期限を設けることはないだろうということについても、十分な議論を行ってから決めるべきだという一般論を述べたという趣旨であるということでありまして、その事務総長報告において述べられております安保理改革に係る決定を九月の首脳会合の前に行うべきであるというこの事務総長報告のラインを否定するものではないと、こういうふうに米側とも共通した理解を持つに至っております。  いずれにいたしましても、この常任理事国先ほど手続で御説明をしたように、五つ常任理事国が一か国でも反対をすればそもそも国連憲章改正が成立をしないということでありますので、そういう意味で、今後ともアメリカを始めとして五か国、五つ常任理事国と緊密な意見交換を行いながら協力を進め、そしてこの安保理改革国連改革というものを実現をしてまいりたい、かように考えているところでございます。
  20. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 小泉首相は、常任理事国入りに向け、日本立場を訴えるため絶好の機会だったローマ法王葬儀に参列しませんでした。一月のダボス会議世界経済フォーラムにも、昨年のアラファト議長葬儀などにも首相出席していません。外交的にまずいと思いますけれども首相アメリカに対して遠慮でもあるんでしょうか。
  21. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) ダボス会議に出る出ない、ローマ法王葬儀出席するしないに関して私どもアメリカ相談したことは一度もございませんし、また相談すべき内容でもない。これはあくまでも日本必要性日本としてどう取り組むかということでありまして、別にアメリカに遠慮するとかしないとか、そういう事柄とは一切関係ございません。  一つには、例えばダボス会議、一月の下旬ごろでしたでしょうか、毎年そうなんでありますが、ちょうど国会開会をし予算委員会と、衆議院予算委員会とどんぴしゃりぶつかる時期でありまして、実際これ行くというのは至難の業であります。たしか、ちょっとどなたか忘れましたけれども中川経大臣が行かれたときもゼロ泊三日といったような相当信じられないようなスケジュールで現地に三時間滞在をして帰ってくるとか、そんなような日程を組んで行っております。全く不可能ではないのかもしれませんが、できればその辺は国会の御理解も得ながら、そういう重要な会議に参加できたらいいんだろうなと、こう思っております。  ローマ法王葬儀については、私は、川口総理大臣補佐官特派大使として派遣をしたことについて一部に御意見があるようでございます。確かに諸外国、それこそブッシュ大統領始めいろいろな主要な方々が行っていることもよく承知をいたしております。日本は今までこのローマ法王の御葬儀に当たりましてはバチカンの大使出席をするという対応をしていたわけでございますけれども、今回は現地大使ではなくて総理補佐官、前外務大臣派遣をするという形で十分私どもの、日本国民のヨハネス・パウロス二世への弔意というものは十分表すことができたと、こう思っております。  また、川口特派大使は、葬儀の終了後、ジャヤクマール・シンガポール副首相、あるいはスラキアット・タイ副首相シャローム・イスラエル外相等とそれぞれ会談を行いました。もちろん大変限られた時間ですから、長い時間の会談ではございません。また、葬儀の場において各国首脳と立ち話を行うというようなことでございます。  そのような意味で、まあゆっくりと安保理改革の話をできるような雰囲気の場であるのかどうなのか、私も行ったわけじゃないからよく分かりませんけれども、そう突っ込んだ個々のテーマについて意見交換をするという場面では余りないのではなかろうかなと思ったりもいたします。  しかし、私は、全体としては川口特派大使、大変立派に役割を果たしていただいたものと、こう受け止めているところであります。
  22. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 分かりました。  持ち時間が少ないのでなるべく、持ち時間が少ないのでなるべく端的に返してくれれば有り難いなと思っています。  外務省は、法王葬儀に参列するよう首相に進言しなかったんですか、あのような形では。こうした方がいいとか。
  23. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 官房長官相談をした結果、官房長官総理とどういう御相談をされたか、それは私はよく分かりませんけれども官房長官相談をして川口補佐官ということを最終的に決めたわけであります。
  24. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ちょっとまたたくさん聞きたいんですけれども、どうも持ち時間が足らなそうなので飛ばします。  中国について聞きたいんですけれども、今回、中国についてですが、日本常任理事国入り反対する可能性があるわけですね、中国は。どうですかね。
  25. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) その可能性があるかと言われると、それは可能性はゼロから一〇〇%で、絶対あるとも絶対ないともちょっとお答えするのは難しいわけであります。  中国自身も、安保理改革必要性あるいは国連改革必要性というものはこれまで累次発言をしているところでありますが、特に中国政府が、安保理について言うならば、途上国代表性を向上させることが重要であるというような観点からの発言は今まで公にしておりますが、具体的にどの国がなるのが賛成か反対かということについて発言をしたことはないと、私どもはそう理解をいたしております。
  26. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 当然、その日中間に首脳同士訪問外交が途絶えている状況をどう判断しますか。
  27. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 現実にそれぞれの国を訪問するという形の往来は途絶えているのは御指摘のとおりでございます。  しかし、昨年一年間を取りましても、チリで行われましたAPEC会合胡錦濤主席と、またその後、ラオスで開かれましたASEANプラス3の会合温家宝首相と、それぞれかなり率直な突っ込んだ意見交換というものも行われておりますので、そういう意味首脳間の意思疎通は私はできていると、こう思っております。  さらに、両国首脳がそれぞれの国を訪問するということは、それは望ましいことだと、私もそう考えておりますので、それがまた実現できるような様々な外交努力はしていきたいと、こう考えております。
  28. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 原因として中国小泉首相靖国参拝を挙げていますが、ならば、日本首相が自ら、常任理事国入りという国益達成に反する行動を取っていることにはなっていません。
  29. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) さっき申し上げましたとおり、中国日本常任理事国入り反対をするという発言がない以上、したがって、それと靖国との関係がどうかという御質問があっても、それはちょっとお答えしづらいわけであります。  確かに、中国小泉総理靖国参拝について反対をしているということは、これまでの首脳会談でのやり取り等でもそれは明らかでございます。これに対して小泉総理は、これは国会でも何度もいろいろな形での御質問お答えをしているとおりでありますが、結論としては適切に対応するということでございますから、私どもとしては、小泉総理が今後とも適切に対応されるものと、こう理解をしております。
  30. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 近隣諸国との歴史的あつれきが未解決のまま常任理事国入りを目指すのは外交準備不足ではないかと思いますが、外相、どうですか。
  31. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 恐縮ですが、ちょっと質問のところ……。
  32. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 ちょっと、時間がないから急に早口になってしまって。  何というんですかね、近隣諸国とのそのあつれきが未解決のまま常任理事国入りを目指すのは外交準備不足ではないかという思いがありますね。
  33. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 近隣諸国との関係をより良いものにしていく、これはもう常任理事国入りがあろうとなかろうと外交上非常に重要なテーマであることは委員が御指摘をされたとおりだと、私はそう思います。確かに、ただいまの瞬間を見ると、日韓関係あるいは日中関係、なかなか容易ならざる事態であると私も認識をしております。  ただ、例えば日韓関係について申し上げるならば、先ほど御報告を申し上げましたように、韓国外務大臣と、先般、一時間半以上お話合いもいたしまして、そのほかの非公式の場でも話合いをして、今後、今の状態をより良いものにしていくきっかけはできたのではないかと、こう思っております。また、先方も、今行っております日韓友情年の様々な交流事業、あるいは今年前半に日本総理大臣韓国を訪問するという、このいわゆるシャトル首脳外交というものは継続をしていこうということで日韓、合意をしております。  そういったことを積み重ねることによって近隣諸国とも良い関係を築く、そういう中から常任理事国入りというものを実現をしていくことは、そうした外交努力の中で当然行わなければならないことだと、こう思っております。
  34. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 日韓両国の間では歴史の専門家が話し合って共通の理解を探り出す努力を続けてきましたが、日中間に同じような組織をつくる考えはありませんか。
  35. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 委員指摘のように、日韓の間では、歴史共同研究ということでこの三年間ほど専門家が多数集まって議論をしてまいりました。つい先般、最終的な会合が行われ、近いうちに報告書が提出されると、こう聞いております。  同じようなものを中国との間でもやったらどうかという御意見でございます。一つのアイデアとして受け止めさせていただきますが、現実には外務省に約四千万円ほどの日中間の知的交流を、八千万円の知的交流を行うという予算がありまして、これはいずれも日中共同で研究をするという予算でございます。  その中で、例えば平成十六年度採用案件の中には、協調的な日中関係の構築を目指して、歴史の省察から未来像の提示へというような予算が採用されておりまして、こういう形で知的交流の中の非常に重要な部分として歴史問題に関する様々な共同研究というものが行われているということでございますが、歴史の共同研究ということに特に着目して日中間にそういうものをつくるという考え方はあり得ると、こう思っておりますので、これも一つ検討材料にさせていただきたいと思っております。
  36. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 現在、日本は、拉致、北方領土、靖国、竹島、尖閣列島などの問題が噴き出しています。BSE問題も、深く掘り下げれば、前述した問題同様すべて歴史に根差していると思います。  日米同盟に気を遣い、BSE問題には甘く、竹島や尖閣列島問題には辛いのでは外交バランスが悪いと思いますが、外務大臣、いかがですか。
  37. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 日米関係、日米友好というものが日本の対外関係の重要な基盤であるということは、私は正しい選択をしていると思います。  ただ、だからといって、今委員、BSEに、アメリカに甘くと、こうおっしゃいましたが、もし本当に甘いのであれば、アメリカからこれだけの強い要求が来るはずがないのでありまして、この問題はこの問題として、私どもは食の安全性という問題から、日本独自の考え方で今、安全委員会を中心に作業がいろいろ進められているということで、パブリックコメントを今聴取している段階だと、こう思っております。  そのような意味で、特定の国に辛く特定の国に甘くというような言われ方を今委員されましたから、私どもはそういうことではなくて、それぞれの国に対して主張すべきはきちんと主張をする、そしてそれぞれの国と友好関係を築くためにそれぞれ努力をするということで外交は展開をしているところであります。ただ、その基盤としてやはり私は国際協調と並んで日米関係というものがその基盤にあるという考え方は、それは日本外交の基軸でございますから、それはそれとしてしっかりそれを保持しながら今後事に当たっていく必要があるだろうと考えております。
  38. 喜納昌吉

    喜納昌吉君 時間がないので譲ります。どうもありがとうございました。
  39. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私ども会派は今日の委員会にかかっております専門機関特権及び免除に関する条約附属書ⅩⅤの締結について承認を求めるの件、そして石綿使用における安全に関する条約(第百六十二号)の締結について承認を求めるの件、いずれも賛成でございます。そういった立場から、全般的に内外の外交防衛等にかかわる、両大臣出席の下でございますので、引き続き私の方からも質問させていただきたいと思います。    〔委員長退席、理事浅野勝人君着席〕  連日、両大臣御苦労さまでございます。とりわけ町村外務大臣外交日程大変厳しいと思いますが、体に十分注意をしていただいてまた来週頑張っていただきたいと思います。また私自身も、今日は、今週は日本にいらっしゃるということで、私も時間を外務大臣に中心に行いたいなと思いますが、先に防衛庁長官にお尋ねさせていただくのが一、二ございます。関連して外務大臣に伺います。  一つはMD計画、この専守防衛との関係です。我が国の国是、この専守防衛、今後ともこのことを基調にしてということで、これは総理、そしてまた与党の皆さん方も、また私どもも同じ立場でございます。  さて、かつて空中給油機導入の際も大変な議論になったんですが、兵器の導入とか開発がこの専守防衛に、範囲に入るだろうかということについて、このことがやはり今回のMD計画についてもやはりきちっと議論しなきゃならないというふうに思います。現実的に航空母艦を我が国は保持をしないということも内外に明らかにしているわけで、さてこのMDというものが技術的に攻撃的な武器に転用可能であるのかないのか、他国への脅威になるのではないのかというやはりこれは疑念、疑義があろうというふうに思います。  一般論として、この兵器開発について私自身は否定はするつもりはございませんが、この専守防衛を国是とする、先ほども冒頭申しました国是とする我が国としての兵器開発、この防衛的兵器、このことの開発に限定をすべきだというこの基本的な立場に立つと思うんですが、このMD計画と専守防衛、この防衛的兵器、このことについて所感を、防衛庁長官の所感を伺いたいと思います。
  40. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 正に我が国の防衛政策の基本というのは、齋藤委員おっしゃるとおり、御指摘のとおり、専守防衛でございます。  そこで、現在導入しようとしているBMDシステムでございますけれども、これはもう明らかに飛来するミサイルが我が国の領域に落ちてくる、こういう場合に迎撃するということでございまして、純粋に防御的な、そして他に代替手段のない唯一のものでございます。正に専守防衛という思想に合致するものであることは委員御存じのとおりでございます。  そこで、この今導入しようとするBMDシステムが攻撃の能力を持ち得るんじゃないか、こういう問題点でございますが、まずBMDシステムは電波や赤外線を用いて弾道ミサイルへ誘導していく、こういうものであります。それからもう一つは、直撃させることによって物理的に弾道ミサイルを破壊する。  すなわち、一般的に申しますと、誘導弾で他国を攻撃するためには相手国の地形とかその他の情報をきちっと入力してなきゃいけない。それから、GPSからの情報等を導入していなきゃいけない。こういうことで、目的地について攻撃する、こういうことでございますが、これは意図がないことは明確でございますが、現在のシステムではそういうことは導入できません。  それからもう一つは、火薬を用いて爆発する。これはそうじゃなくて物理的に相手を爆発する、こういうことでございます。  したがいまして、BMDシステム自体が他国を攻撃する能力はありません。そしてまた、その技術が敵基地の攻撃能力に活用されるようなことはない、このことを御理解いただきたいと思います。    〔理事浅野勝人君退席、委員長着席〕  なお、法理論的には、当然ながら相手基地を、もちろん防衛出動下令後の問題でありますけれども、防衛出動下令前ではありません、防衛出動下令後には、敵基地を攻撃するということは必要最小限度の措置をとること、つまり法理論的には自衛の範囲に含まれて可能である、こういう議論は従来からやっております。  しかしながら、日本といたしましては、そういうことはやはり日米安全保障条約の下で役割分担をして、そういう場合には日本としてはそういう役割はしない、そういうことでありますから、現時点で敵基地攻撃を目的とした装備を保有する、これは意図でございます、考え方でございますけれども考えは全くない、このことを申し上げたいと思います。
  41. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 考えではなくて、この攻撃的な武器に転用可能、技術的に転用可能であるのかないのかということを意見交換したかったわけですね、考えはないではなくて。攻撃的武器に転用可能であるかないかについて伺っているんで、転用可能でないというふうに明確におっしゃっていただかないと困るんです。
  42. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) このことは、少し答弁が長過ぎましたんで……
  43. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 端的に。
  44. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 拡散したかもしれませんけれども、中間できちっと申し上げております。これは電波とか赤外線でですね……
  45. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 結論的に言ってください。
  46. 大野功統

    国務大臣(大野功統君) 結論的に、ありません。以上でございます。
  47. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 ありがとうございます。また今日は全般的に両大臣質問させていただきますので、それらの答弁を受けてまた別途させていただきます。  次に、接受国支援、いわゆるホスト・ネーション・サポートについて一点お伺いいたします。  これは外務大臣の方に主としてなるんでしょうか、いわゆる新特別協定、現行特別協定が期限切れに来年なります。このことについて日米間でいろいろやり取りも開始をされている、また新聞等ではこの新特別協定に対していろいろ政府内の意見も飛び交っている部分もございます。どのような内容が話し合われているのか、可能な限り明らかにしていただきたいというふうに思います。日本側の考え方、米側考え方等についてお知らせいただきたいと思います。
  48. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) この在日米軍駐留経費負担問題につきましては、先般二月の2プラス2の会合におきまして、現行の特別措置協定が二〇〇六年三月に終了するということを念頭に置きながら、適切な水準での接受国支援、ホスト・ネーション・サポートを提供するための今後の措置について協議を開始するということで一致をしたわけでございます。これを受けて、今、日本政府内でいろいろ検討を行っているところでありまして、実はまだ政府部内の意見が調整中の段階でございまして、必ずしも固まった方針がただいま現在あるわけではございません。  ただ、当然のことでありましょうが、財政当局からは極めて厳しい財政状況にあるんだということを強く言っていると私は聞いております。また他方、この日米安保体制の円滑かつ効果的な運用の確保ということも考えなければならないだろうということは、まず当たり前のことかもしれませんけれども、あろうかと思います。  そういうことで、まず、政府部内の考え方、方針を固めた上でも、アメリカ側との話合いもこれから鋭意進めていきたいというただいま現在の状況にあるということだけ御報告をさせていただきます。
  49. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 分かりました。  また必要な時期において、いろいろ考え方について申し述べる機会があろうと思います。  次に、外務大臣にお尋ねというより、委員長にも委員会でお諮りいただきまして、資料要求といいましょうか、文書でお示しいただく点について一点指摘させていただきます。  イラクにおいて、今、暫定国民議会選挙も終了いたしました。この間、我が国でもこのイラク戦争に対しまして、国連との中身の、国連との協議の問題、そして、その前提となりますイラクにいわゆる大量破壊兵器があったのかどうかということについて、このいわゆるイラク戦争を支持する、非常に今日までやり取りが続けられております。そして、イラク戦争支持は、従来、我が国の国策をやはり私は著しく変更した意味で重要な決定であったというふうに今も思います。総理が指示、いわゆる指令したというふうに思いますが、いかなる指示、指令をいつどこで、いかなる政府機関がどのような情報を収集分析してイラク戦争支持の結論に至ったのか。  今日では、アメリカもイギリスも、それぞれ両政府の中に調査会等もそれぞれ作りながら、イラクに大量破壊兵器が存在をしなかったということについて報告書を作成しているのは、それぞれの両国内に明らかになってきております。日本政府として、今冒頭申しますとおり、国民議会選挙も終了した今日であり、やはり今後の外交政策につきましても、日本政府としてイラク戦争を支持するに至った経過と現時点での総括を私は文書で国民の前に明らかにする必要があるんではないかというふうに思います。  したがいまして、このことについて、外務省として関係機関とも十分協議の上、我が委員会に、このイラク戦争に対しましての支持するに至った経過、現時点での総括を文書でお示しいただきたいということを委員会にお諮りいただきますので、委員長、よろしくお願い申し上げたいと思います。
  50. 林芳正

    委員長林芳正君) 答弁はいいですか。
  51. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 先にじゃ答弁、お願いいたします。
  52. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) まず、お話の前提として、アメリカあるいはイギリスがそれぞれ国内で報告書を作った、それは事実であります。そして、主として、それぞれの国における情報収集、インテリジェンスの活動の結果として、そのインテリジェンスが正しかったかどうかということについて、それはどうも十分ではなかったという結論を、大ざっぱに言えば出しているということだろうと思います。  ただ、そのことはそのこととして、それぞれの両国政府が、それではイラクに対する武力行使が間違っていたのかどうかということについて、そこまでを否定しているわけではもとよりございませんで、それはそれとして、行為そのものは正しかったんだという結論付けをしていると私は理解をいたしております。  したがって、例えばブレア首相が昨年十月、自分は、誠実に提供された情報が結果として誤りであったことについては責任を負い、謝罪をすると。しかし、自分は、サダム・フセインを取り除いたことについては謝罪をしない、武力行使についても謝罪はしないと。自分は、それが当時正しかったこと、今も正しいこと、地域及び世界のより広範な安全保障のために不可欠であることを信じていると、こういう表現をしております。  じゃ、日本はどうかというお問い合わせでございました。  日本について申し上げるならば、日本はそもそも、アメリカあるいはイギリスのような特に在外における膨大なインテリジェンスの機能を有しておりません。必要な情報収集は、それは在外公館を、等通じてやってはおります。やってはおりますけれども、それはまあ率直に言って、質量ともに米英のそれとは比較にならない程度のものでございます。特に、イラクの状態について、日本独自で十二分なそうしたインテリジェンス活動をできるような態勢、状態にはなっていなかったわけであります。  したがって、私どもは、自分たちのインテリジェンスの活動の総括をするといっても、それはやりようがないわけでありまして、日本政府としては、これ何度も御答弁申し上げておりますけれども、一九九〇年から二〇〇二年までの十二年間の間、イラクが大量破壊兵器等に関する累次の国連安保理決議、これに違反をしてきた、違反し続けてきた。イラクは、国際社会が与えた平和的解決機会を生かそうとしないで、最後まで国際社会の真摯な努力にこたえようとしなかった。こうした認識の下で、日本安保理決議に基づき取られた行動を支持したということでありまして、このことは平成十五年、二〇〇三年三月二十日の内閣総理大臣談話で明らかにしているとおりであります。  したがいまして、今委員から、何かこの新しい報告書を作って国会に出したらどうかというお話があったわけでございますけれども、今申し上げたような、私どもとしては、この国連安保理の決議、またそれに対するイラクの対応というものを見た上で武力行使を支持したということでございますので、新しい報告書を改めてまとめる、あるいはお出しをするという必要はないと、こう考えているところであります。
  53. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 従来、国会の、今ただいま大臣の答弁は、従来の内容、域を出なくて、極めて残念だと思います。  なかなか、我が国としての必要な情報収集分析をして、独自に分析をしてということについて、この間の答弁でもそういった、述べられておりますが、我が国が、自衛隊を人道復興支援ということで今なお活動してもらっているわけですが、新しい法律をつくって、これはそういう意味じゃそういう行動に出ているわけであって、そしてまたこの戦争、イラクの戦争の武力行使そのものは、発端はやはりこの大量破壊兵器ということが、これは少なくとも国連で長い間議論をされて、そしてそのことについては前大臣も、川口大臣からも、これずっと繰り返し繰り返し引かれているわけでありまして、少なくとも、その当時なくても、その後のやはりこの間の年月の中で少なくとも私ども国会を通して国民に、そのときの指示、指令したことについて、情報機関は別にして、きちんとやはりまとめた、やはり政府の考え方というのをまとめた内容というのを私は示すべきではないか。そのことが、これからもイラクに対する、あるいは国際社会に対するありようではないかというふうに思います。  したがって、私自身は、今の答弁では国民に対する政府の説明として十分であるというふうに理解できません。したがいまして、引き続き努力をしていただきたいということを申し上げさせていただきたいというふうに思います。  委員長には、また別途理事会で御協議いただくようにお取り計らいお願い申し上げたいと思います。
  54. 林芳正

    委員長林芳正君) ただいまの件につきましては、後刻理事会において協議することといたします。
  55. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 私も、続きまして、いわゆる国連安保理改革国連安保理の問題について触れさせていただきます。  その前に、先ほど冒頭、報告をいただきましたアフガニスタン及びアジア協力対話ACD第四回外相会議出席等に関する報告を承りました。その中で、日韓関係、正常な軌道に戻すとの観点から意見交換を行いました。このことで、いわゆる引き続き歴史共同研究を進めるとともにという、そういったこともございますが、さて、両国に横たわる歴史問題の中に竹島の領土問題がございますが、この竹島の問題につきましては歴史共同研究の中に含まれる、歴史共同研究の中に含まれるという認識なんでしょうか。
  56. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 今報告書を取りまとめ中であると聞いておりますので、しっかりと入っているかどうかは私もちょっと現時点、定かじゃございませんが、この共同研究は三つの部会に分かれておりまして、一つはかなり古代史の部分、それからもう一つは近現代直前まで、それから近現代史と、何か三部会に分かれて作業しておられると、こう聞いております。  したがって、近現代のところで入っているかどうかということであろうかと思いますが、竹島問題だけについては現在の共同研究の対象にはなっていないということのようでございます。
  57. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 これも引き続きお願いしたいんですが、これは委員会で求めなくても別途求めて、また私自身が国会図書館等の協力を得て調査をすればいいのかも分かりませんが、この竹島問題に関しまして、私自身も日本の領土だというふうにこの間も思いながら今日もおりますけれども日本政府として、この竹島が日本の領土であるという根拠について是非資料を可能な範囲で、そして韓国側が我が国の領土だったということについて主張する、そのことについて委員会に御提出いただくことは可能でしょうか。
  58. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 我が方の考え方、また先方の主張に対する我が方の考え方、それぞれ取りまとめている部分もあるし、まだ必ずしも先方の主張がどういう根拠に基づくのか分からない実は部分もあるので、すべての項目についてきちんとした我が方の考え方が出せるかどうか分からないところもあります。ありますけれども、できる限り、今委員の御指摘ございましたので、きちんとした資料を取りまとめて御報告をさせていただきたいと思います。
  59. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 是非よろしくお願いいたします。  日韓も日中も、先ほどの質疑にもございましたし、この間の日本政府の姿勢あろうと思いますが、冷静に対応していこうということで、来週、日中外相会議も持たれる、またあるいは総理もバンドン会議五十周年に出られる、中国との首脳会談があるということで、いろいろ横たわる問題はございますけれども、冷静に対応するということについては私自身も賛成でありますし、国連安保理について常任理事国に加盟をしていくという方向についても同様な立場ですが、しかしながら、大変な様々な課題があるなというのが率直なところであり、もうこれは当該責任者とされている大臣も同じお気持ちじゃないかというふうに思います。  さて、週末、テレビを見ていまして、北京の、北京にあります日本大使館、反日デモということで、北京からそして南部の方にデモが広がりました。このことに対しまして、まあリアルタイムにと申しましょうか、後、録画して私たち見ているのか別にいたしましても、投石を大使館に向けてしている、そしてそれを阻止をしようとしない警備側の対応について、いや、これはちょっといかがなものかというのは率直に思います。  理由はこれはいろいろあるでしょう、理由は。インターネット上でいろんなことを呼び掛けたというのもこれも報道にありますが、事やはり大使館とか日本料理店とか、それから日本人の留学生が傷害事件を受ける、これはゆゆしき問題だと思いまして、この点について中国大使外務省に呼びましていろいろそのことについての謝罪、抗議をされたというふうに思います。  これは、そのことについては私自身も気持ちが一緒ですが、再発ということに何か、言葉にだけということには何かすとんと落ちない気持ちがあります、テレビを見ている限りですね。なぜあれをそのまま継続させて投石をさせているんだという中国側の警備の対応について非常に不満があるところでありまして、今後このことに関しまして、再発ということもあるんですけど、再発防止ということもありますが、改めて外務大臣としての今度の反日デモ、そして日本大使館に対するああいった投石問題についての所感を伺いたいと思います。
  60. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 去る日曜日、十日の午前に王毅大使外務省に招致をいたしまして申入れを行ったわけでございますけれども、やはりこの一連の抗議活動、それはどの国でもデモをする自由というのは普通の国ではそれは認められているわけでありまして、それはそれといたしまして、やはり次の三点、問題であったというふうに指摘をいたしました。  一つは、日本大使館あるいは大使公邸だけではなくて、一般の企業であるとかあるいはレストラン、そういうところへも破壊活動が行われた点。それから二番目は、確かに相当数の武装警察あるいは公安関係者が列をつくっていたわけでございますけれども、投石等を一切阻止する活動が見られなかった、少なくとも私どもテレビで見る限りはそういう状況であった、これはやはり警備の在り方として不適当ではないかと。それから三点目は、中国外交部の報道官が一連の活動、こうした抗議活動あるいは破壊活動を含むものを、何かこれは日本の歴史認識への対応が悪いからであるというような背景説明をして一連のこうした行動を正当化するような発言をしていたわけでありまして、こうしたことはやはりいずれも極めて遺憾なことであると。  したがって、日本としては中国政府に対して陳謝を求め、そして損害の賠償を求め、再発防止、しっかりとした警備体制を取ること、正に今委員が言われたようなそういうことを先方大使に申入れをしたところでございます。
  61. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 今や両国の経済関係は日米の輸出入をしのぐほどの関係になって、ああいったことが経済や観光や交流に関して私は大変な本当に危惧を覚えます。ですからやはり、今大臣が申し上げたことについてやはり毅然とした態度で、やはり言うべきことは言っていく、そして主張すべきことはそれぞれ冷静にお互いが主張していくわけであって、このことのやはり基本点、基軸がやはり定まりませんと経済関係にも非常に大きなやっぱり影響を与えていくというふうに思いますので、是非来週のまた会談でもそういった姿勢を貫いていただきたいというふうに思います。  で、外務大臣、ボルトン国務次官ですか、今国連大使に就任をということでアメリカの方の議会の方の上院で、公聴会でまあ今日にもということだと思うんですが、情報で、このボルトンさんも日本国連常任理事国に対して大変厳しい状況だというような発言しているのも報道として入ってきています。  アメリカ、ロシア、中国、これが拡大に消極的な姿勢を示していることとか、九月の国連特別首脳会合の前に安保理拡大について決定を出すべきだとアナン事務総長が言われておりますけれども、この期限を設定をすべきということですけれども、いずれにしろ、このアメリカ、ロシア、中国はこの人工的な期限の設定に反対と、こういうことで、まあ拡大には広範な合意が必要だとか、こういうことも言われているんですが、さてさて今は、歴史的な様々な問題があり、韓国問題あり中国もありということですが、最大の、日米同盟、日米同盟ということで、口を開けば小泉さんから日米同盟というのが出てこない日がないんですけれども、どういうふうにこれからされるのか。  大変、あえてきつい言葉を言わさせていただくと八方ふさがりだというような、どこかの今日新聞の社説も書いてあったんですが、私は、冒頭申しましたとおり、日本常任理事国の加盟について私自身はもう推進するということに変わりませんし、様々な回路を使ってそれぞれの外交関係を活用して到達をしていくべきだと思いますが、アメリカ自身が、こういった次期国連大使に今上院の中で公聴会に対象といろいろされているボルトンさん自身も発言をしているということに関し大変心配をしておりますが、大丈夫ですかねという言い方をするのが、なおかつ一般的な質問なんですけれども、ここら辺の分析ですね、分析はどういうふうに見られておりますか。
  62. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 一九四五年に国連ができて六十年たちました。その間にこの国連憲章改正したのは一九六〇年にたった一回だけ、安保理常任理事国の数を増やすと、この一回しかされていないと。しかるがゆえに、例えばいわゆる敵国条項なるものもいまだに残っていると。事ほどさように、この憲章を変える、あるいは現在の国連の姿を変えるというのは、それはいずれにしても大変難しい作業であると。今まで何度か過去を振り返っても、そろそろこの辺で国連の在り方を見直そうじゃないかと議論はされるんですが、結論には至らないということが何度も繰り返されてまいりました。  したがいまして、私どもこの安保理常任理事国入りを目指しているわけでありますが、これが決して容易な作業であるとはもとより思っていないわけであります。それぞれの国の利害というものが正に絡むテーマでもあります。したがって、大変これは難しい作業であることは十分承知をした上でこれ取り組み始めたわけでございます。  そういう中で、特にこの憲章改正には、先ほど喜納議員からの御質問に対して政府委員お答えしたとおり、常任理事国五か国を含む三分の二の国々が賛成をしなきゃならないということで、この五か国の賛成というのが不可欠の条件であるということは今の憲章上そうなっております。したがって、アメリカを始めとする五か国の賛成というものをどうやって得ていくのか。これは日本だけの問題ではなくて、国連加盟国全体がその大変難しい問題に取り組まなきゃならないということなんだろうと思います。  じゃ、特にアメリカ日本から見てどうするんだという話でありました。これは、今まで日米首脳会議あるいは日米外相会談等を通じて、彼らは日本常任理事国入りには賛成をするということは累次発言をしているところでございます。ただ、そのことと、この国連改革全体について今アメリカがどういうスタンスでいるのかということとは、重なる部分もありますけれども重ならない部分もあると、現状ではそう思わざるを得ないわけであります。  まだ私ども、必ずしも米国政府内で十分な議論を煮詰めて、先般の、これはボルトンさんの発言ではなくて、それに今替わる国連米国代表部の顧問という方、ちょっと名前失念をして恐縮でございます、がそういう発言国連総会で七日の日にしたということでありますけれども、十分な、米政府内でこの国連改革全体について十分な議論をし、コンセンサスの下での発言であるかどうか、ちょっと分からないところがあります。  そんなこともあったものですから、私どもとしては先方政府に照会をしたわけでございますが、先ほど喜納議員にお答えを申し上げましたように、コンセンサスといっても全加盟国百九十一か国すべての賛成ということを意味しているわけではない。あるいは、その十分な、人為的な期限を設けるなという意味は、しっかり議論をしようという意味であって、必ずしもその九月の首脳会合前に行わなきゃ、決定を行わなきゃならないという事務総長報告を否定するものではないということなどでありまして、今後この点については、既にアメリカ側とも議論は十分やってきてはおりますが、さらにより良い議論を深めてアメリカ側の賛同も得ていかなきゃならない。それはアメリカのみならず他の四つの常任理事国も同様でございまして、今後様々な外交活動をやっていきたいと思います。  しかし、我々の今までの活動の結果、先ほど答弁を申し上げましたように、九十か国以上が既に公に日本常任理事国入り賛成を表明しているという事実もこれまで積み重なってきているわけでありまして、約半分の国がもう既に賛成をしているといったことをそれぞれ常任理事国がどう判断をするのかというようなこともまた反射的な効果としてあるんだろうと、こう思っております。いずれにしても、今後一生懸命努力をしてまいりたいと思います。
  63. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 努力していただきたいと思います。  先ほども申しましたとおり、アナン事務総長が九月の国連の特別首脳会合の前に安保理拡大について決定を出すべきだと述べたところに対して、この常任理事国がいろいろコメントを出しているというわけであって、いずれにしましても、いろいろ加盟国の表決等に、一致が望ましいけれども、できないようなら表決を取る、こういったことについても示唆をしているわけですね。このことについて、いわゆるこの米中ロが異なった対応をしているということですので、コメントを出しているということで、これは大変困難を窮めていくんではないかというふうに思います。  で、アメリカ日本常任理事国加盟入りをこれは認めて、それじゃ、ドイツ、ブラジル、インド、これが、それぞれの他の国々はどうなんだということにもなっていくわけであって、大変ないろいろなやり取りがあろうかというふうに思いますが、是非、最大限努力をしていただきたいというふうに思います。  残り時間ちょっと数分ありますので、私自身、もう一度中国問題についてお話ししたい。  先ほど、竹島についての領土問題で資料をお願いしましたけれども、尖閣諸島について、これも両国の間に横たわる問題として領土問題挙げられますが、このことについても、外務大臣、竹島と同様に我が国の、私自身も尖閣諸島については我が国の固有の領土だというふうに認識して今日に至っておりますけれども日本政府の尖閣諸島が我が国の領土であると、そして中国側はいやそうではないということについて、主張するそれぞれの資料を用意をしていただきまして、委員会の方に御提出いただけるでしょうか。
  64. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) できる限り努力をして資料は提出をいたしたいと思います。
  65. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 それで最後に、私もいろいろアジアについて歴史を不十分ながら勉強しながら、今回の訪日デモに関し、訪日じゃない、失礼しました、反日デモに対して、非常に強い危惧と、今後の方向について様々な思いをして見ておるんですが、かつて、よみがえる五四運動ということで、一九一九年の五四運動、五四運動ですけれども、反帝国主義運動ということで、日本製品ボイコット運動がこの一九一九年の五四運動で展開されたということに端を発しているというふうにありまして、今回のインターネット上のいろいろ呼び掛けについても、来るべきこの五月四日にまた大きなデモをと呼び掛けているというのがいろいろ報じられております。  少なくとも、単純に一か月、二か月の両国関係であり、そういうことではないわけでありますけれども、少なくとも、こういったことがインターネット上とか歴史的に中国として少なくとも横たわる問題であるならば、ここはやっぱり、今度、来週の日中の外相会議とかなんかに関しては、ここら辺は十分念頭に置いてやり取りをすべきではないかというふうに思いますが、この点について、本当に限られた時間になりましたけれども、所感をお願いしたいというふうに思います。
  66. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 齋藤委員からいつも極めて貴重な御指摘、示唆をいただいておりまして、感謝をしております。  今の、特に御指摘のあった五四運動というんでしょうか、私もそう歴史についてつまびらかにはしておりませんが、一つの大きな、日中間の大きな出来事であったということは私も承知をいたしております。まあ、この日にデモがあるのかないのかちょっとそこまで私は承知をしておりませんけれども、いずれにしても、先ほど申し上げましたように、こうした破壊活動というものが日中間、日中の良好な関係のいかに大きな妨げになるのかということを中国自身も十分認識をしてもらう必要があると、そういうことが二度と起きないようなきちんとした対応をしてもらうということは、日中外相会談の場で私の方からはっきり申し上げたいと、こう思っているところでありまして、委員の御指摘を踏まえたしっかりとした対応をしてまいることをお約束を申し上げます。
  67. 齋藤勁

    ○齋藤勁君 終わりますが、いずれにしろ、何かこのインターネットの反日サイトでは五月四日に日本製品ボイコットをしようということ、出ているわけでありまして、これに対しまして、少なくともこれ以上日中間で様々な問題が噴き上げないような冷静な対応をするように政府間での格別な努力をお願いしたいということで、終わりたいと思います。
  68. 澤雄二

    ○澤雄二君 外務大臣質問の通告はしていないんですけれども中国の反日運動について、一つだけ質問を最初にさせてください。  この反日運動のデモ、それから投石の騒ぎでありますけれども、一体どういうきっかけでこれが起きたのか、どういう人たちが呼び掛けをしたのかとか、参加した人はどういう人か、そこに何か組織的なものがあったかどうかとかというような分析を冷静にする必要があるんではなかろうかというふうに思っていますけれども、現段階ではどういう認識をされているかということと、来週の日中外相会談中国側の謝罪、責任を問われると思いますけれども、責任を問うだけでは多分解決をしないんで、これはみんな分かっていますように、大きな根っこに歴史教育の問題があります。これは日中双方に主張がありますので、この歴史教育の問題を解決するために何か来週の外相会談で提案されるお考えはあるのかどうか、この点についてお伺いをさせてください。
  69. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 率直に言って、今なぜ、どういうきっかけで、どういうグループがどれだけ組織的にということについて、まだ詳細な情報を得たり分析をするいとまがないという状況でございまして、できるだけ早急に今委員指摘のようなことについては事態の解明をする努力をしたいと、こう思います。  先ほど齋藤委員からもインターネットでというお話がございましたが、そういう幾つかのサイトで呼び掛ける人がいたというのはやっぱり事実のようでございます。特に尖閣問題に関して、活動家グループというのがあるようでございまして、そういう人たちが呼び掛けたという情報はございますが、それ以上ちょっと詳しいことは必ずしもよく分かっておりません。できるだけ、どういう事態であったのかということについてはきちんとした情報分析をした上でまたお答えをしなければと、こう思っております。  歴史教育の在り方、なかなかこれは難しい問題でございます。基本的には教育の内容というものはそれぞれの国の主権に属する話でありまして、その内容について他国が余りあれこれ言うべき性格のものではないし、また言えるきっかけというのはそうない。  ただ、日本と周辺国との間では大分前にいろいろな問題がございまして、検定基準の中に近隣諸国条項、いわゆるそういう近隣諸国への配慮というようなことをすべきであるというような一項目が入って、それに基づいてしかるべき配慮が行われているというのが実態であろうかと思います。  中国中国で、別に反日教育をやっているわけじゃございませんと、愛国教育というものはやっておりますと、こういう表現でございました。日本でも、それは愛国心という言葉についてはいろいろ議論があることは承知をしておりますが、それはそれとしても、やはりそれぞれの国が、日本日本でやはり日本の国を愛するということが必要である。そのことを学校現場でもしっかり子供たちに正しい国を愛する気持ちを、愛国心を教育する、これはもう大事なことだろうと思います。ただ、愛国心というものが時として排他的な、排外的な過度に自己中心的なものになってはいけないということはやっぱり十分注意しなければならないことなんだろうと、こう思います。  したがって、中国における愛国教育の実態というものがどういうものなのか、いろいろ報道をされているところ、あるいは調査をされているところによりますと、本当にそれが適正なのかどうなのか議論の余地が多分あるんだろうと、こう思っております。その辺につきましても、日中間で率直な話合いのテーブルにのせなければいけないなと。これはたしか山谷議員からもそういう御指摘をこの委員会でいただいたと記憶をいたしておりますけれども、そうしたこともテーマにしていかなければいけない。  ただ、なかなか、国と国が違うところで同じ歴史認識を持つということができるかどうかというと、これは率直に言って難しいところがあるんだろうなとは思います。ただ、だからといって、そういう努力を惜しんではいけないわけでありまして、日韓間でもそうした共同研究が行われる。そして、そこで反映された共通認識を願わくば教科書にできるだけ反映をしていくというプロセスは大切だろうと思います。  そのことは日中間においても同様なのではないだろうかと、こう思ったりもしておりまして、できるだけ日中間での歴史認識に関する共通点を増やしていく努力というものは今後ともしなければいけないだろうと、かように考えております。
  70. 澤雄二

    ○澤雄二君 ありがとうございました。  中国の愛国教育というのは突き詰めれば中国共産党賛嘆になるわけですから、中国共産党の賛嘆ということは一番根っこは抗日戦争に勝利をしたというところに行くので、どうしても日本に対する批判的な教育にならざるを得ない。それは今大臣言われたとおりであろうと思いますが、ただ、共通の同じ認識を持つ必要はなくても、お互いに誤解は正した方がいいと思いますし、それから歴史に学ぶとすると、フランスとドイツ、何十回も戦ったと言われるあの国が今友好関係を持っているのは、その歴史教育のプログラムをお互いに交換したからだと言われていますんで、日中関係の良好な改善を築くために、もう少しそういうことについてもいろいろ検討していただければうれしいなというふうに思っております。  それでは、本論でありますいわゆる石綿条約締結に関連した質問に入らせていただきたいと思います。  この石綿、アスベストは様々な優れた性質を持っている。燃えない、耐火性があるとか、軽いとか、腐食しないとか、抗張性があるとか。それで、その優れた様々な性質を持っているためにいろんな目的に使われていて、僕はこれは知りませんで、今回勉強して知ったんですけれども、二十世紀の魔法の鉱物だと言われていたと。その二十世紀の魔法の鉱物がある日突然悪魔の鉱物に変身をするわけでありますけれども、この石綿が原因で十年、二十年、三十年という潜在期間を経て人の命をむしばんでいって、中皮腫とか肺がんで死に至らしめるということが分かったと。この悪魔の鉱物に変身した段階で、世界じゅうの各国はこの石綿を使わないようにしようというあらゆる対応をしていくわけでございますけれども、今回、国会にもこの条約締結が提出をされました。  実はこの条約は、昭和六十一年に採択をされて平成元年には発効されているものであります。この時期に国会に提出をされたと、ここまで遅れたのはなぜか、我が国石綿による健康障害を防止するための取組が遅れていたんではないかと、いろいろ言われておりますけれども、今日はその御答弁は結構でございます。少し詳しい我が国石綿の対応策についてお伺いをしたいと思っております。  最初に、労働安全衛生法施行令の見直しで、おととしの十月十六日、石綿製品の使用、製造が、これこそいわゆる全面禁止、全面ではないんですが禁止になりました。その製品の主な種類とその理由をお聞かせください。これは簡単で構いません。
  71. 小田清一

    政府参考人小田清一君) お答えいたします。  昨年十月の労働安全衛生法の一部改正によりまして、住宅屋根用化粧スレート材等の建材、それからブレーキパッド等の摩擦材、接着剤の十品目につきまして、製造、輸入、使用等が禁止されたところであります。大体これはそれまでに使用されていた品目の九五%程度に当たります。  その理由といたしましては、先ほど委員指摘石綿の様々な有害性にかんがみまして、平成十四年度の石綿の代替化等検討委員会における報告を踏まえまして、国民の安全性確保といった観点から代替製品の使用が可能であるとされたために禁止したものでございます。
  72. 澤雄二

    ○澤雄二君 そのときに、おととしの十月十六日、適用除外、つまり禁止にならなかった商品、製品が三種類ありますよね。この理由は何でしょうか。
  73. 小田清一

    政府参考人小田清一君) 現在、製造等が禁止されていない主な製品といたしましては、ジョイントシート、シール材、耐熱・電気絶縁板等がございます。これらの製品は、先ほどの平成十四年度の石綿の代替化検討委員会におきまして、我が国の規格等に合った代替品の開発が十分ではなくて、かつ代替品の安全性等の実証がいまだ完全とは言えないということで、その安全性が耐熱性あるいは耐腐食性等の観点から当面石綿使用がやむを得ないとされたことから、製造等の禁止の対象とはしていないものでございます。
  74. 澤雄二

    ○澤雄二君 EUといいますと、イギリスとかフランスでは、今言われたその三つの製品を含めて全面禁止ですよね。なぜそれができるかというと、使用目的を物すごく限定をしているために全面禁止措置がとれる、限定したものだけは適用除外でいいですよ。つまり、適用除外の範囲をすごく狭めているからEUでは全面禁止に近い形になっている。日本では、それできませんか。
  75. 小田清一

    政府参考人小田清一君) 御指摘のEU加盟各国におきましては、一九九九年に公布されましたEU指令によりまして、二〇〇五年の一月一日より、一部例外を除いてほぼ全種類の石綿製品の売買使用が禁止されたところでございます。  これらEUにおいて開発された代替品につきましては、製品規格等の相違がございまして、これらのものをすべてそのまま我が国において使用することはできないといった状況にございます。しかしながら、我が国においても、御指摘のように、EU等の状況を踏まえまして、石綿製品の早急な全面禁止を視野に、我が国の規格等に合った安全な代替品の開発を促進してまいりたいというふうに考えております。
  76. 澤雄二

    ○澤雄二君 非常にうれしい答弁をいただいて、ありがとうございます。  先ほど、その三つの製品が適用除外になったと言われました。その中の一つにジョイントシート、シール材というのがありましたけれども、このジョイントシート、シール材が適用除外になった理由の一つにこういうことがありました。  おととしの十月十六日に適用除外が決まったわけでありますけれども、そのときに、固有名詞といいますか、商品が八十九種類あった、このジョイントシート、シール材。それで、八十九種類のうち、これ厚生労働省がアンケート調査をされた、七十五種類の商品は石綿使用は必要ないと回答してきています。十四種類だけが商品の、十四種類の商品が安全確保のために代替はできませんと答えている。つまり、八十九の固有名詞の商品があって、七十五は代替オーケーよと言っていて、十四が駄目だと言ったために、八十九種類すべてが適用除外になったんです。  今日、政務官お見えになっていますから。これ、人の命を守るための法律改正で、何を適用除外にするか、使用禁止にするかって決めているわけですから、こういう決め方って何かおかしいと思いませんか。
  77. 藤井基之

    大臣政務官(藤井基之君) 今委員から御指摘いただきまして、私も厚生労働省のこの条約の批准に向けてのいろいろな内部の調整、それから今までの行政がどのようなことを行ってきたか、るる説明を受けて御説明ちょうだいしました。  今、先生の御指摘いただきましたように、我々の調査によりますと、このジョイントシート、あるいはシール材というものは多くの商品が出ておりまして、会社ごとに、ただ、そのうちの多くの会社においてはこれは代替可能性があると、こう答えてきているわけでございます。  ただし、これ、ほかのものは代替可能性がないともまた答えているわけでございますですね。そうしますと、その商品が供給されている状況で、ある用途目的を想定して我々は代替可能であると、こう答えておりましたが、使用者によってはこれがどういう使われ方か分からないという、そういう危機を私どもはまだ持っていたわけでございます。  例えば、これらの商品といいますのは、原子力発電所であるとか化学プラントのように、非常に高温の流体や腐食性の化学物質の存在の下で使用される可能性等もあるわけでございまして、こういった場合につきましては、現在の安全確保の観点から、代替というのは必ずしも実は十分なものでないというのが、これが専門家の判断でもございました。  したがいまして、そういった判断の下に、取りあえず私どもとして禁止をさせていただくものというリストには今回入れていないわけでございますが、我々としまして、今先生の御指摘のとおり、厚生労働省としては国民、あとはまた労働者の方々の安全を守るというのは我々のミッションでございますので、そういった方向に向けてこれからも精一杯努力をして、そういう時期に来ましたら、これらについても禁止品目に加えるということを検討させていただきたいと思っております。
  78. 澤雄二

    ○澤雄二君 ありがとうございます。  EUが全面禁止にできたというのは、今私が申し上げたことが実は理由でございます。つまりEUは、日本でいうと七十五種類は全面禁止にしたんです。十四種類は使用目的を限定して許可をした。だからパーセンテージが非常に上がっているわけで、今の政務官の御答弁のとおり、どうか善処をしていただきたいというふうに思います。  それから、先ほど説明がありました十商品は既に製造を中止されているわけですけれども、これが本当に製造を中止されているかという確認は取られていますか。これは経産省ですか、答弁は。
  79. 塚本修

    政府参考人塚本修君) お答え申し上げます。  経済産業省といたしましては、そもそも労働安全衛生法の規制によりまして、製造事業者より経済産業省に対しまして在庫量、生産量とか在庫量の報告義務が課されていないと、そういうことでございますんで、当省としては、当該十品目につきましては関係事業者が、任意で情報の収集を行っている状況でございます。そういう中で確認しているところによりますと、禁止されたものについては、施行後も含め、製造されていないということでございます。  それから、在庫でございますけれども、在庫の状況は、現在、この施行令改正時点で十四社が従来製造していたものを在庫として持っているということございまして、直近、これ本年三月末で再度また調査をやりましたけれども、十四社におきましては繊維強化セメント板、これが七万七千枚、それから窯業系のサイディング、これが四万四千平方メーター、それから住宅の屋根用の化粧スレート、これが九千平米、それから石綿のセメントの円筒あったんですけれども……
  80. 澤雄二

    ○澤雄二君 簡潔にお願いします。
  81. 塚本修

    政府参考人塚本修君) そういうことで確認をさせていただいて、いずれにいたしましても、製造についてはございません。
  82. 澤雄二

    ○澤雄二君 今、製造はもう中止をしていると、それは確認をされたということで、是非それは本当に確認をしていただきたいというふうに思います。  問題は、在庫製品については、販売禁止製品もその在庫が売り切れるまでは売ってもいいということになっていることでありまして、一体その在庫が何か月もつのかという、それからその在庫の商品がどのように売られているかということについて余りチェックはされていないように伺いました。  それで、厚生労働省にお伺いしますけれども、その在庫の実態を調査されて、その在庫についても、例えば期限を切って規制をする、もう半年過ぎていますから、九か月とか一年たったらもう在庫も売っちゃ駄目よと、そういう規制をするお考えはありませんか。
  83. 小田清一

    政府参考人小田清一君) 製造等の禁止措置の施行日時前に製造された製品の在庫につきまして、これまでも政令改正内容を周知して、適切な生産転換により在庫品を残さないようにということで指導してきたところでございますが、今後とも、こういった製品の製造を禁止した趣旨にかんがみまして、こういった製品を販売あるいは使用しないように製造者団体等に対し働き掛けてまいりたいというふうに考えています。  また、今先生が御指摘された日限を区切って使用を禁止すべきではないかと、こういった点につきましても検討をさしていただきたいと考えております。
  84. 澤雄二

    ○澤雄二君 是非お願いをしたいと思います。なぜかならば、十月一日から実施ですけれども、去年の、それ以降は石綿が入った商品は売られていないというふうに一般のユーザーは認識をしています、プロは別ですけれども。だけど、実は在庫品で売られているということは、そこにいろんな問題が出てまいりますので、石綿は入っていないんだと思って使っていたら実は入っていた、それがまた被害を大きくすることがございますので、是非善処をお願いしたいというふうに思います。  それから、先ほど禁止になっていない商品にジョイントシート、シール材というのがあるとおっしゃいました。このジョイントシート、シール材はいろんなことに使われているわけでありますが、石綿布それから石綿糸、石綿布、石綿糸と言うそうでありますが、これがジョイントシート、シール材の材料にもなっているために輸入が禁止されていません。一杯日本中国から輸入がされてきています。  それで、この石綿布とか石綿糸を使った商品が実は野放しになっております。これは今資料を皆様にお配りしたものでございますけれども一つは学校給食の厨房カタログというのに石綿手袋というのが出ています。これ値段が非常に安いために、コストを下げようとするとこの石綿手袋を使います。しかし、この石綿手袋は時がたつとどんどんどんどん危険になってきて、いろんな地方自治体ではこれの使用禁止を認めているところがたくさんあるくらいであります。これが売られています。それから、いろり、これも熱い炭を置くようなところにこの石綿を使ったものがどんどん売られています。それから、この蚊取り線香の蚊薫、これも石綿が使われています。  これインターネットでちょっと調べただけでこれだけのものが一般に出回っています。つまり、これ禁止するためには、材料を使うことを禁止しないとこういうことは規制できないんですけれども、そういうことをおやりになるつもりはありませんか。非常にこれは一般ユーザーにとって健康を害する危険のあるものでございます。
  85. 小田清一

    政府参考人小田清一君) この製造等を禁止した石綿含有製品につきましては、平成十四年度の時点で把握できた製品を対象に検討した結果、代替化が可能であるとされたものについて禁止したところでございます。  石綿含有製品につきましては、国民の安全確保の観点から、代替化が困難なものを除き製造を禁止するというのが基本的な方針でございますので、こういった基本方針を踏まえまして、石綿をこのような新たな製品に使用することのないよう必要な指導を行ってまいりたいと考えております。  また、今後、代替可能な石綿製品については速やかに製造等を禁止するよう、禁止するという方針の下に、より効果的に禁止措置が図られるよう検討してまいりたいというふうに考えております。
  86. 澤雄二

    ○澤雄二君 時間が来ましたので、最後の質問にいたします。  先ほど、内閣府が少し前に首都の直下型地震の被害想定などを発表いたしました。この被害想定によると、一番大きな被害というのは、要するに建物の倒壊が一番大きな被害をもたらします。  それで、こういう災害廃棄物の処理計画というのは、環境省が所管をされて各自治体に指示をされていると思いますけれども、どれぐらいそれが作られているのかということが一つ。それから、その災害廃棄物処理計画の中にアスベストという項目があるかどうか、なければ是非入れていただきたい、これが一つ。それからもう一つ、いわゆる要援護者というんですか、昔は災害弱者と言われた人たち、この人たちがいる例えば学校、これ耐震化が済んでいるのは多分五〇%前後だったと思います。それから病院、これも五〇%前後だったと思います。これの耐震化や耐震補強はどんどん進められていくと思いますが、この建物の中でアスベストを使用されているものをそれぞれ学校は学校、病院は病院で優先的に耐震化や耐震補強をされる考えはないか、それを最後にお伺いします。
  87. 寺田達志

    政府参考人寺田達志君) 災害廃棄物の関係について申し上げます。  環境省、と申しますか、これは省庁再編以前の廃棄物行政が旧厚生省にあった時代でございますけれども、平成十年十月に震災廃棄物対策指針というのを作りまして、各市町村に対して首都圏直下型地震等々の震災についての廃棄物の対策についてガイドラインを作成しております。  ただ、残念ながら、平成十六年にこれは東海地震の地域、一都七県でございますけれども、これを対象に調べたところ、まだ全二百四十九市町村の中で策定済みの市町村というのが二十九市町村ということで、若干少ない状況にとどまっております。  この指針の中では、私どもはアスベスト対策についても位置付けてはおりますけれども、これまた申し訳ないんでございますけれども、悉皆的な調査というのはまだなされておりませんので、委員指摘もございますので、近々にまた改めてアスベスト等の問題も含めて状況調査をしたいと思っていますし、また策定につきましても、これまでも何度も都道府県を通じて促してまいりましたけれども、強く働き掛けてまいりたいと考えております。
  88. 下村博文

    大臣政務官(下村博文君) 委員指摘のように、文部科学省としても耐震補強については優先的に採択をして耐震化が行われるように推進を、進めていきたいと思っております。  昭和六十二年に調べたときに、このアスベストを使っている学校が一千三百三十七校ございまして、その後ほとんどの学校においてはこのアスベスト対策はほぼもう完了したというふうには聞いておりますけれども、アスベスト対策も含めまして、この耐震工事等を予定している設置者が申請があれば、早急に優先してこれを採択していきたいというふうに考えております。
  89. 岡島敦子

    政府参考人岡島敦子君) 病院の関係につきましてお答えいたします。  国民の生命、健康を守る拠点であります病院が地震の際にも十分に機能するため、その耐震化は重要なものであると考えております。  このため、厚生労働省といたしましては、病院の耐震補強、耐震化を推進するため、築後おおむね二十五年以上を経過した病院の建て替えを進めているところでございます。この築後二十五年以上を経過した病院ということになりますと、当時、時代的にはアスベストが使用されていた可能性が高い時期に当たります。こういった病院につきまして、近代化施設整備事業などの既存の補助制度を活用いたしまして耐震化を進めているところでございます。
  90. 澤雄二

    ○澤雄二君 ありがとうございました。
  91. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 二つの条約については賛成です。  これに関連いたしまして、国連関連機関に対する日本の財政的貢献について伺いたいと思います。  二十一世紀になりましても、世界では総人口の五分の一に当たる十二億が一日一ドル以下の生活をしている、また、総人口の半数に当たる三十億人が二ドル以下の生活をしているという実態があります。南北格差や国際紛争はもちろん、世界で起きるテロの背景の一つに、やはりこうした貧困の問題があるということが指摘されております。したがって、生存困難な方々を少なくしていく、これが世界平和にとって非常に大事な課題だということは、もう国際的な認識になっていると思います。  多国間支援を主な目的とする国連関連機関、特に任意拠出金だけで運営する国連関係機関に対して拠出金を支出している日本役割、貢献は非常に大きいと評価されているわけです。しかし、日本国連関連機関に対する任意拠出金の削減をこの間進めて、それを始めたころの一九九八年の時点から国連ではこのことがかなり大きな問題になっていると聞いております。  国連関連機関に対する任意拠出金を削減する理由と削減する際の具体的な基準は何なのかを伺います。
  92. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 緒方委員から、貧困の問題に対応するためのこの国連機関の重要性という御指摘がありました。  私どもも、この貧困の撲滅、口で言うほど誠に簡単なことではないわけでありますが、最大限の努力をしなければいけないと思っておりますし、またそういう意味国連機関の果たす役割というのは大変大きいと認識を持っております。  今お尋ねの任意拠出金についてでございますけれども一つには、何といっても我が国の財政状況が極めて厳しいということ。それから、国連分担金等をこれ義務的に拠出しなければならないという金額が非常に増えてきていること。例えばPKOの活動が増えるとそういったものもまた増えていくというような状況がある中で、それぞれの機関の特性を見極めながら毎年毎年の拠出、任意拠出金の額を決めているということでございます。  じゃ、具体的にどういう基準があるかというと、基本的には日本外交のどこに重点を置くのかということがその基礎にあるわけでありますけれども、もうちょっと具体的に言いますと、日本とそれぞれの国際機関との関係の濃さといいましょうか、そういったこと、あるいはその機関で邦人職員がどういった活動をしているかといったようなポイント、それから日本からの拠出金がどういうふうに使われているかなといったようなこと、あるいは各機関の活動指標の推移、こういったものを総合的に勘案しながら配分をしているということで、できるだけめり張りを付けてと思っておりますが、めりと張りというのは増える部分と減る部分と両方あるということですが、ちょっと残念ながら減り方の差を付けるということで、めりの、張りは余り最近は残念ながら付けることができないで、減り方の差を付けるという残念な実態でございますが、そういう状態にあるというのが現在の姿でございます。
  93. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 大臣からめりめりだという、そういう御答弁いただいたような気がいたしますけれども、任意拠出金だけで運営している国連関連機関から相当厳しい批判が外務省に寄せられていると思うんですけれども、その幾つかの声を紹介していただきたいと思います。
  94. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) お答え申し上げます。  国連関係機関の関係者は、おおむね日本の政策的支援及び資金協力に感謝すると、あるいは日本の財政事情が厳しいことはよく承知しているといったことを述べております。我が国に対する理解もございます。他方、また日本世界第二位の拠出国でもあって、今後この地位を維持してほしいという声も寄せられております。こうした国連機関の声も踏まえながら、国連機関への任意拠出金の適切な水準を今後とも見極めてまいりたいというふうに思っております。
  95. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 私聞いているのは、非常に様々な厳しい批判があるということを聞いておりますけれども、それを余り言われなかった。最初もらうときには感謝するのは普通当たり前なんで、そういうことについてやっぱりしっかり受け止めていただきたいと思うんですよね。  少し具体的に聞きたいと思うんですけれども世界食糧計画、WFP、そして国連人口基金、UNFPAへの任意拠出金の削減の理由、これは具体的に何なんでしょうか。
  96. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) お答え申し上げます。  世界食糧計画に対しましては、平成十七年度予算で約九億九千万円を計上しておりますが、これは対前年の邦貨ベースで七・六%の減、外貨ベースで五%減というふうになっております。日本の財政状況は極めて厳しい状況にございます。また、義務的な拠出であります国連分担金、これは大臣からも説明がありましたけれども増加する中で、任意拠出金につきましては、先ほどの大臣からの御答弁にもありましたように様々な基準に基づいて予算を配分をしております。  お尋ねのWFPにつきましては、最も重要な人道的な援助機関の一つでございまして、その活動を日本としても高く評価しております。そしてまた、日本政府が進めております人間の安全保障の理念を推進する観点からも、WFPが実施している学校給食事業等を積極的に支援しております。また、WFPのコア、本体部分に対する拠出に加えまして、先般のスマトラ沖地震あるいはインド洋津波災害に対して六千万ドルを拠出するということを行っておりますこともございまして、支援活動の緊急性、必要性などに応じまして、従来から様々な資金手当てをしてきております。日本の積極的な支援姿勢には変更はございません。  平成十六年度予算で見ますと、約十億七千万円この任意拠出がございますけれども、それ以外にも人間の安全保障その他無償資金協力などなどいろいろ使いまして、合計百七十四億七千万円を拠出をしているということでございます。
  97. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) ただいまの御質問で、国連人口基金についての……
  98. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 じゃ、簡単でいいです。
  99. 佐藤重和

    政府参考人佐藤重和君) 御質問ございましたので、簡単に。  状況は同様でございまして、UNFPA、国連人口基金に対する拠出金につきましては、今度の予算では約四十一億二千万円ということで、やはり外貨ベースでは五%の減ということでございます。
  100. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 例えば、国連人口基金は、日本が拠出金を、任意拠出金を削減すると妊婦死亡率と乳児死亡率が高まると、そういう相関関係にあるということを率直に認めているんですよね。ですから非常に影響は大きい。いろいろ事情があるということは先ほど答弁ありましたけれども、そういう問題、直結する問題を抱えていると、そういう中にあるということをよく見ていただきたいと思うんですね。  日本はこれまで財政貢献してきたことは、十分に国連加盟国によく理解されているわけです。だから、日本の拠出金の、任意拠出金の毎年削減はその点で非常に大きな影響を与える、このことはよく御存じのことだと思うんですよね。その点で伺いたいんですけれども、これまでの削減というのは低減の範囲であって、ちょっと削っただけだから大勢に影響がない、そういうふうに考えられているということですか。
  101. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) 先ほども説明申し上げましたように、厳しい財政……
  102. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 簡単でいいです。
  103. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) 厳しい財政状況の中でできる限りのことは、めり張りとまではなかなかいきませんけれども、やってきております。あわせて、その足りない部分については様々な予算手段を活用して補っておるということでございます。
  104. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 こうした国連機関というのは、やはり活動範囲の奥行きが非常に広いわけですよね。また深いわけですよ。ですから、この間、国連関係機関の日本の任意拠出金は七年間で三割削減されている、これは国連の側も、関係機関もそういうふうに認めています、合わせると。JICAの緒方貞子理事長は、自国の安全と繁栄を世界国々に依存する日本が国際貢献に内向きになりつつあるということに憂慮を持っている、こう指摘しているわけですね。  そこで、大臣に伺いたいんですけれども、やはり日本が国際社会で期待されているこういう貢献に、やはり現状ではいろんな事情があるということは答弁ありましたけれども、逆行していると。そのことが緒方理事長からもそういう批判的なコメントとして出る、あるいはまた実際にその拠出金、任意拠出金を受けている関係機関からもそういう批判、こうしてほしいという要望だと思うんですけれども、それが出されている、そういうことについて大臣はどのようにお考えになるか、伺います。
  105. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 例えばワールド・フード・プログラムについても、二〇〇四年、日本は三位の拠出国でありますし、この国連人口基金については、これは二〇〇三年でございますけれども二位ということで、二位、三位、ベストスリーには一応入っているということでありますから、厳しい財政状況の中では相当頑張っている方ではないかと思います。ただ、傾向として下がってきていると、減少してきているということについては、私どももある意味では残念なことであるし、何とかしたいなと、こうは思っております。  こうした国際機関のみならず、日本の対外援助総額につきましても、つい先日、たしかDACの方から発表がありまして、日本が減ってきているということの中で諸外国は大体みんな今増やしてきている、これでいいのかという指摘もあるわけであります。  ようやっと予算も先日成立をいたしました。これから日本のミレニアム・ディベロップメント・ゴールズという、ミレニアム、二〇〇〇年に策定した、国際社会が一致して実現すべき目標というものがあります。その中には、先ほど御指摘のあった乳幼児の死亡率でありますとか、いろいろ具体的なテーマもあります。  こういったものを達成するために、今の援助の姿で本当にいいんだろうかと、そろそろ削減に歯止めを打って、今度は増加をしていきたいものだという考え方を外務省は持っております。そうした方向でこれから政府部内で意見調整をして、具体的には来年の予算編成、さらにはその後の予算策定につなげていきたいと考えているところでございます。
  106. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 報道で拝見したんですけれども大臣が三月末に開かれた国連改革議員連盟の席で、ODAの大幅増額をアナン事務総長から求められていることについて、増やす努力をしたい、国連の評価、ひいては常任理事国入りにつながるからと述べたそうですけれども、これは事実ですか。
  107. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) たしかあれは超党派の議員連盟であったと思いますけれども日本常任理事国入りを支える、進めるという趣旨の議員連盟に私も出席をいたしました。その中で、常任理事国、主要な国としてはやはり国内総生産の〇・七%を目標にすべきではないかという提言があり、勧告があり、それをいつ達成するのかと、二〇二五年だということ、二〇一五年、失礼しました、二〇一五年ということでございます。  日本は今、現実に〇・二%を切るような姿でありますし、傾向としては減ってきていると、比率もですね。こういう姿ではなかなか国際社会の中で、金額は多いんだけれども、何しろ国内総生産が大きいものだから、比率が下がるという姿では、国際社会の支持というのがその辺で陰りが出ては困るなという考え方から、それはもとより日本常任理事国入りするための手段としての日本のODAを増やすということではございませんけれども、たまたまそういう趣旨の集まりでございましたので、そのためにも、また、より基本的には世界のそうした貧しい国々の人々のためにも、日本のODAの予算をこれから何とか増やしていきたいということを申し述べたわけでございます。
  108. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 そのODAの増額と、それが常任理事国入りにつながるというその発言はあったということで、御答弁があったというふうに理解いたしました。  私思うんですが、ノルウェーなど北欧諸国のODAですね、私調査したことがあるんですけれども、やはり援助の国の外交戦略や圧力にしないとか、あるいはまた貧民層に直接支援が届く、そういう援助のやり方だと、そういうことで非常に評価されて、援助を受ける国からも非常に高い尊敬が払われ、国際的にも高く評価されている、そういうことがあるわけですよね。  片や日本は、大臣のその言葉にいみじくも表れたように、そういう場だったからということはありましたけれども、援助を受ける国から、片や日本はODAを日本国連常任理事国入りのそういう有利になるような、そういう発想がやはり頭の片隅にあると。ある人は意図が丸見えだという、そういう方もおりますけれども、やはり私はそれはちょっと違うんじゃないかと思うんですね。やっぱり、常任理事国入りにつながるからODAを増額するという、そういうことで、そして一方で、余り顔がよく見えない国連関係機関の任意拠出金は減らしていくと、そういうことでは私は国際的な理解はなかなか得られないだろうし、こういうやり方というのはやはり日本外交へのボディーブローとして後々効いてくる、そういう問題があるんじゃないかと思うんですね。  私は、その点でやはり、今日、常任理事国入りの問題についてもいろいろの議論がありましたけれども、私は、財政的な貢献、これは非常に大事だと思います。しかし、同時に、やはり日本がもっといろんな面で尊敬される国になっていく、近隣諸国からもきちっと理解を得られるし、また支持を得られる、そういう点で、大局観、そうしてさらに、戦略をきちっと持った外交を進めてもらうことを要望しておきたいと思います。  時間になりました。もし大臣の方で何かコメントがあれば聞いておきたいと思います。
  109. 町村信孝

    国務大臣町村信孝君) 一言申し上げますが、これは、日本の援助というのは、委員承知のとおり、この常任理事国入り云々されるはるか以前から私どもはやっております。例えば、一九九〇年代はそれこそ常任理事国入りという話は全くない時点で、日本は圧倒的に世界に冠たる援助大国でありました。完全にODA供与額では世界の一位を行っておりました。  だから、そういうことから私どもは、今はたまさか常任理事国入りもあるものですから、そしてアナン報告で〇・七%を目指せという要請があるものですからそれにこたえるということを言っておりますが、もとより、このODA、援助というものは、バイであれ多国間のものであれ、それはそれぞれの目的にかなった、先ほど申し上げました貧困対策等々、政策の趣旨に合った目的で私どもとしてはこの援助外交というものを展開しているということでございまして、是非その点は御理解をいただきたいと思います。
  110. 緒方靖夫

    ○緒方靖夫君 終わります。
  111. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 町村外務大臣におかれては、イスラマバードでの外交日程は大変御苦労さまでした。  二つの条約締結については賛成ですが、何点かお伺いいたします。  まず、外務省にお願いします。  国連等の専門機関及びその職員は本部所在地等でいろいろと特権的な扱いが受けられますが、このような国際組織の職員に対する特権外交使節外交特権との共通点及びその相違点について簡単に御説明いただけますか。
  112. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) お答え申し上げます。  専門機関特権及び免除に関します条約に基づきまして専門機関の職員等に認められる特権免除と、外交関係に関するウィーン条約に基づいて外交官等に認められます特権免除の主たる共通点としましては、専門機関の事務所構内ないし公館の不可侵、文書の不可侵、専門機関及びその財産等ないし公館への課税免除、通信の自由、外国人登録の免除、公的資格での行動に関する訴訟手続免除専門機関の職員ないし外交官に対する直接税の免除等があります。  他方、その相違点としましては、住居の不可侵、身体及び財産の不可侵、刑事裁判権の全面的な免除、社会保障規定の免除等が外交官については認められますが、専門機関の職員にはそうした特権免除は認められておりません。
  113. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 経済産業省にお伺いします。  専門機関特権免除条約附属書ⅩⅤによって本条約の対象に世界知的所有権機関を追加することになるわけですが、本件に関する外交防衛委員会調査室の資料を見ますと、知的所有権に関連して、模造品の製造地域は圧倒的にアジアが多く、特に中国、台湾、韓国がぬきんでているとあります。模造品がアジア地域に多いのはなぜでしょうか。その理由、背景について簡単に御説明ください。
  114. 奥田真弥

    政府参考人奥田真弥君) お答えいたします。  先生御指摘のように、アジア地域で模倣品が多く製造されておりまして、特に中国、台湾、韓国が多うございます。特許庁が日本企業八千社に対して行ったアンケート調査によりましても、平成十四年度における模倣品製造国・地域としては中国が五四%と最も多くなっておりまして、次いで台湾が二五%、韓国が二二%ということでございます。  こういうふうにアジア地域で模倣品が多く製造されている理由としては二つあると思っておりまして、一つは、やはり製造技術がアジア地域で向上しているということでございます。変な言い方でございますけれども、模倣品も、質のいいもの、いい模倣品じゃないとマーケットにはなかなか存在できないということでございます。そういう質のいい模倣品を作る技術が中国韓国、台湾、こういったところで存在をしているというのが一つの理由でございます。  それから二つ目に、知的財産権の保護ということが十分浸透していないということがあろうかと思っております。これにつきまして、例えば、模倣品に対する国民の意識がまだ低いというようなレベルの話から、法的制度あるいはその取締りの体制がまだ整っていないと、あるいはそういう制度は整っていても執行がうまくいっていない、いろんなレベルがあろうかと思っておりますが、こういう知的財産権がまだ十分保護されていない。  この二つの理由が、このアジア地域で模倣品が多く製造されている理由ではないかというふうに考えております。
  115. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお願いいたします。  政府は、昨年五月、知的財産戦略本部を設置して模造品や海賊版対策に本格的に取り組んでいますが、特に中国との間の二国間連携はどのように強化されているのでしょうか。
  116. 西宮伸一

    政府参考人西宮伸一君) お答え申し上げます。  中国に対しましては、年に一回開催されております日中経済パートナーシップ協議、これは、日本側は経済担当外務審議官中国側は商務部の副部長でございますが、このパートナーシップ協議、及びそれの事務レベル協議、これは局審議官級でやっておりますが、そうした場、あるいは官民合同による訪中ミッションなどを通じまして、模造品、海賊版対策を含めました中国におけます知的財産権侵害問題の対応を求めてきておるところでございます。  さらに、知的財産権侵害物品の輸入を含む関税法法令違反の防止のための協力、これを含みまして、日中両国間の税関相互支援協定の交渉を行っており、交渉の早期締結に向けて努力しておるところでございます。  今後とも二国間の協議のみならず、WTOの場、あるいは第三国との協力をも通じまして、中国側に引き続き知的財産権侵害問題の対応の改善を強く求めていく所存でございます。
  117. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 引き続き外務省にお願いします。  昨年の三月に世界知的所有権機関の暫定事務所が東京に設立されました。同事務所は現在どのような活動に重点を置いて取り組んでおられるのか、また同事務所は設置してまだ間がないわけですが、これまでにどんな成果が出ているのか、簡単に御説明ください。
  118. 鈴木庸一

    政府参考人鈴木庸一君) お答えいたします。  委員指摘ございましたように、アジア地域を中心に模倣品及び海賊版等の知的財産権侵害の問題が深刻化している中、知的財産権制度の国際的な調和の促進や海外における模倣品問題への対応等が課題になっております。そのような中で、我が国が知的財産戦略を機動的に進めていくためには、世界知的所有権機関、WIPOとの協力が非常に重要であると考えております。  そうした背景の下、昨年、御指摘のございましたように、東京にWIPOの暫定的な事務所が設置されました。同事務所は、昨年三月の設置以来、我が国における各種セミナーに参加するなど国内における啓発活動を積極的に行ってきております。同事務所の設置により、アジア地域向けの知的財産制度の普及啓発活動、国連大学との連携した知的財産制度の研究分析、日本のユーザーへの特許及び標章の国際出願の手続に係る情報提供、我が国におけるWIPO招集会議の開催といった点で今後更に成果が期待されております。
  119. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 石綿使用安全条約について外務省にお伺いします。  本条約は、一九八六年六月の第七十二回ILO総会の際に採択されて、同時に石綿使用における安全に関する勧告も出されました。特にその中で、石綿でも最も危険な物質と言われているクロシドライトの使用や吹き付け作業も完全に禁止することが決まったのですが、日本はその十年後の一九九五年になってクロシドライトの製造、輸入を禁止する措置をとり、更にその十年後の現在に至ってやっと本条約締結となったわけです。  我が国が本条約の採択から締結までなぜ二十年近くも掛かったのか、その理由について手短に御説明ください。
  120. 神余隆博

    政府参考人神余隆博君) お答え申し上げます。  日本は、一九七〇年代以来、石綿使用における労働者の安全対策に積極的に取り組んできておりまして、条約の求めます規制のかなりの部分は国内法令によって措置済みでございました。しかしながら、国内法令の一部については、必ずしも完全には条約の規定と整合していないというところが存在していたわけでございます。  また、この条約趣旨を踏まえれば、単に一部の種類の石綿使用を禁止するだけでは必ずしも十分とは言えず、国内で最も広く流通しております白石綿、いわゆるクリソタイルの規制が望ましいというふうに考えられてきました。したがって、そのために安全かつ低コストの代替品の開発が必要であったわけでございます。  その後、代替品の開発が進みまして、昨年の十月に施行されました労働安全衛生法の改正施行令によりまして、クリソタイルを含む国内で流通する石綿含有製品の大部分が規制されることになりまして、さらにまた本年七月の一日施行予定の石綿障害予防規則、これは厚生省の、厚生労働省の省令でございますけれども、これの制定によって条約と国内法との整合性を完全に確保することが可能となったということから、今般、この条約国会に提出する次第でございます。
  121. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 厚生労働省にお伺いします。  我が国石綿はほとんど輸入ですが、これまでの輸入総量とその使用量、使用されてまだ解体していない建築物や工場等に残っている残存量について、推定で結構ですから、教えてください。
  122. 小田清一

    政府参考人小田清一君) 我が国石綿の輸入総量でございますが、財務省の貿易統計によりますと、一九三〇年から二〇〇四年の累計で約九百九十万トンとされております。そのうちの大部分が建材に使用されているところでございます。在庫量については私ども承知しておりません。  特に、一九七〇年代から一九九〇年代にかけまして石綿が大量に輸入されていることから、この時期に建築された建築物には石綿含有製品が多く使用されておりまして、これらの建築物の解体がこれからピークを迎えるということになっておりますので、石綿の飛散防止対策といったものはますます重要になってくるというふうに認識しております。
  123. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 外務省にお伺いします。  一九九八年に、米海軍横須賀基地艦船修理廠で働いていた日本人従業員十二人と四人の遺族が石綿が原因で病気となったり死亡したとして、日米安保条約の特別法に基づいて損害賠償請求を起こしています。この訴訟の結果について説明してください。  また、在日米軍基地内での石綿被害の防止策について、日本側から米側にどのように要求をしているのでしょうか。
  124. 土屋龍司

    政府参考人土屋龍司君) 横須賀海軍施設におけますじん肺に係る訴訟についてのお尋ねでございますので、防衛施設庁の方から御説明いたします。  訴訟につきましては、これまで三件が提起されております。第一次訴訟は、平成十一年七月に提起されまして、平成十四年十月に国全面敗訴の第一審判決が出されました。国は被害者救済を第一に考えて基本的にはこの判決を受け入れたところでございますが、国による消滅時効の援用が権利の濫用に当たるとされた一部原告につきましては、法的安定性の確保から控訴したところでございます。これに対しまして、平成十五年五月、東京高等裁判所で国勝訴の判決があり、原告はこれを不服として上告しましたが、昨年四月、最高裁判所で上告受理申立て不受理の決定があり、東京高裁の判決が確定したところでございます。  第二次訴訟、原告二十二名でございますが、平成十四年五月に提起され、昨年三月に横浜地方裁判所横須賀支部から和解案が提示され、昨年の九月、国は被害者救済の観点から和解に応じることといたしまして、その後訴えを取り下げた一名を除く二十一名の原告との間において、昨年十一月に和解が成立しております。  第三次訴訟、原告十五名でございますが、平成十五年七月に提起され、本年三月に横浜地方裁判所横須賀支部から和解案が提示され、現在、和解について検討しているところでございます。  それから、訴訟以外の地位協定十八条第五項に基づく損害賠償につきましては、平成四年から六年にかけまして三名から損害賠償の請求がなされ、既に支払を終了しております。このほか、地位協定第十八条五項に基づき損害賠償がなされた三名につきまして、現在、支払のための所要の手続を行っているところでございます。  さらに、先生、駐留軍等労働者に対する安全衛生対策についての御質問ですけれども、駐留軍等労働者に対する安全衛生対策につきましては、従来から日米双方が既存の労務提供契約の枠組みに従い、日本側は労働安全衛生法に基づく健康診断や保健指導を実施しまして、一方米側は、安全な作業場の設置、安全教育の実施、保護衣の備付けなどの職場における災害防止に係る安全対策を実施するなどの努力をしていたところでございます。  石綿じん肺についての安全対策としましては、じん肺法等の関連法令に基づき日本側は定期的に健康診断を実施しているところでございまして、一方、米側におきましても職場の安全対策等を行っているところでございます。  現在、国としましては、産業医の増員であるとか衛生管理者の教育等、駐留軍等労働者の安全衛生対策の一層の充実を図るべく努めているところでございまして、今後ともかかる努力を続けていきたいと思っております。
  125. 大田昌秀

    ○大田昌秀君 終わります。ありがとうございました。
  126. 林芳正

    委員長林芳正君) 他に御発言もないようですから、質疑は終局したものと認めます。  これより討論に入ります。──別に御意見もないようですから、これより直ちに採決に入ります。  まず、専門機関特権及び免除に関する条約附属書ⅩⅤの締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  127. 林芳正

    委員長林芳正君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  次に、石綿使用における安全に関する条約(第百六十二号)の締結について承認を求めるの件の採決を行います。  本件を承認することに賛成の方の挙手を願います。    〔賛成者挙手〕
  128. 林芳正

    委員長林芳正君) 全会一致と認めます。よって、本件は全会一致をもって承認すべきものと決定いたしました。  なお、両件の審査報告書の作成につきましては、これを委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ございませんか。    〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  129. 林芳正

    委員長林芳正君) 御異議ないと認め、さよう決定いたします。  本日はこれにて散会いたします。    午後零時十二分散会