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国務大臣(
大野功統君)
政府は、昨年十二月、
安全保障会議及び閣議において、
平成十七年度以降に係る
防衛計画の
大綱について、すなわち新防衛
大綱及び
中期防衛力整備計画、いわゆる新中期防を決定いたしました。
以下、これらについて御報告申し上げます。
新防衛
大綱は、今後の
我が国の
安全保障及び
防衛力の在り方について新たな指針を示すものであります。
これまでの防衛
大綱は、策定から十年近くが経過し、今日、
我が国を取り巻く
安全保障環境には大きな変化が生じております。特に、米国の九・一一テロのような国際テロ組織の
活動、大量破壊兵器や弾道ミサイルの拡散の進展など、新たな
脅威や多様な
事態への
対応が
国際社会の共通の課題となっております。
特に、
我が国周辺の情勢につきましては、極東ロシアの軍事力は量的に大幅に
削減されましたが、依然として核戦力を含む大規模な軍事力が存在しております。また、北朝鮮は、大量破壊兵器あるいは弾道ミサイルの開発、配備、拡散等の軍事的な動きを見せており、地域の
安全保障上の重大な不安定要因であるとともに、国際的な拡散防止の
努力に対する深刻な課題となっております。さらに、中国は、軍事力の近代化や海洋における
活動範囲の拡大などを図っており、その動向には今後も注目していく必要があります。
このような
安全保障環境を踏まえ、新防衛
大綱は、第一に、
安全保障の目標として、
我が国に直接
脅威が及ぶことを防止・排除することと、国際的な
安全保障環境を改善して
我が国に
脅威が及ばないようにすることの二つを掲げ、かかる目標を
我が国自身の
努力、同盟国との協力及び
国際社会との協力を統合的に組み合わせて達成するとの
安全保障の基本方針を明らかにいたしております。
第二に、今後の
防衛力については、いわゆる基盤的
防衛力構想の有効な部分は継承していますが、新たな
脅威や多様な
事態に実効的に
対応すること、同時に、
国際平和協力活動に主体的かつ積極的に取り組むことを主眼といたしております。そのため、即応性、機動性、柔軟性及び多目的性を備え、軍事技術水準の動向を踏まえた高度な技術力と情報能力に支えられた、多
機能で弾力的な
実効性のある
防衛力を効率的に構築してまいりたいと思います。
第三に、
我が国の安全
確保にとって必要不可欠な
日米安全保障体制についてであります。新たな
安全保障環境の下での戦略目標に関する
日米の
認識の共通性を高めつつ、
日米の
役割分担や
在日米軍の兵力構成等に関する米国との戦略的対話に主体的に取り組む等、
日米安全保障体制を
強化することといたしております。
かかる方針の下、弾道ミサイル、ゲリラや
特殊部隊による
攻撃、
島嶼部に対する
侵略等の新たな
脅威や多様な
事態に実効的に
対応することが肝要となっております。一方、
我が国に対する本格的な
侵略事態生起の可能性は低下していると判断されます。したがって、いわゆる冷戦型の
防衛力整備構想を転換し、
防衛力の本来の
役割にかんがみ、最も基盤的な部分は
確保しつつも、本格的な
侵略事態に備えた装備・要員の抜本的な見直しを行うことといたしております。また、
国際平和協力活動に適切に取り組むため、
自衛隊の任務における同
活動の適切な位置付けを含め、所要の
体制を整えてまいります。
なお、新防衛
大綱は、おおむね十年後までを念頭に置いていますが、五年後又は情勢に重要な変化が生じた場合には、必要な修正を行います。
次に、新中期防について御報告申し上げます。
計画の方針については、第一に、本格的な
侵略事態に備えるための基盤的な部分を
確保しつつ、多
機能で弾力的な
実効性のある
防衛力を効率的に
整備いたします。
第二に、防衛行政を担う組織等を見直すとともに、
自衛隊の基幹部隊、主要装備等について新たな
体制へ早期かつ効率的に移行いたします。
第三に、科学技術の
発展に的確に
対応しつつ、人的資源の効果的な活用を図りながら、
統合運用の
強化や
情報機能の
強化を図ります。
第四に、
装備品等の効果的かつ効率的な取得、関係機関や地域社会との協力等、
防衛力を支える各種
施策を
推進いたします。
第五に、
日米安全保障体制強化のための各種
施策を
推進いたします。その際、米軍の抑止力を維持しつつ、沖縄を始めとする
在日米軍施設・区域に係る過重な負担軽減に努めてまいります。
第六に、各年度の
予算編成に際しましては、格段に厳しさを増す
財政事情等に配慮し、国の他の諸
施策との調和を図りつつ、
防衛力の一層の
効率化、
合理化を図り、
経費の抑制に努めてまいります。
なお、この計画の
実施に必要な
防衛関係費の
総額の限度は、
平成十六年度価格でおおむね二十四兆二千四百億円程度をめどとし、また、このほかに一千億円を限度として、所要の事業の
実施について
措置し得るようにいたしております。
以上、新しい防衛
大綱、新しい中期防の下、
国民の皆様の信頼にこたえ、国の安全と
国民の
安心のため、多
機能で弾力的な
実効性のある
防衛力を構築するとともに、国際的な
安全保障環境の改善のための
施策に取り組んでまいります。また、新たな
安全保障環境に適切に
対応し得るよう
統合運用体制の
強化を図り、高度な技術力、情報力、そして質の高い人的基盤に支えられた
自衛隊の
運用がなし得るよう心掛けてまいる所存であります。
何とぞ、皆様の御理解と御協力を賜りますようよろしく
お願い申し上げます。
ありがとうございました。