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高井分科員 ありがとうございます。
私も、民主党としても、規制の
改革には取り組んでいるつもりでございます。しかしまた、規制
改革、規制緩和自体はやはり、先ほどお述べになられたとおり、消費者の利便を向上させるものであるはずであって、市場において今まで力を持たなかった者でも、知恵とアイデア次第で大きな土俵に立ち向かって参入していける、消費者の支持を得られた方が勝っていけるという、チャンスや夢のあるものを提供するということが多分本来の趣旨であっただろうと思います。
ただ、ここで私が申し上げたいのは、今、実はその逆の面と申しますか、規制緩和の弊害と言ってもいいぐらいのことが
地元で起こっておりまして、
一つ御紹介をしたいと思います。
実は、徳島県の西部、三好郡というところ、私が生まれた地区なんですけれ
ども、本当に過疎の山間部がほとんどでございます。このあたりを営業のエリアとしている四国交通という小さなバス会社がございます。
同社は、公共交通の生活路線として祖谷線、新宮線、西谷線、井内線、廃止代替路線として池田町の漆川線、白地線、猪ノ鼻線、貞光町、一宇村における一宇線と貞光—半田を結ぶ八千代線というところを運行しておりまして、過疎化とか自家用車の普及の中で大変厳しい経営を強いられているところでございます。合理化をして一生懸命努力はされておりますけれ
ども、第三種生活路線
補助金というんでしょうか、国や県、町村からの
補助金を受けても経常損失が発生して、これを、池田という地区から阪神とを結ぶ高速
道路の運行の収益で補い合ってやりくりしているというのが
状況でございます。
ところが、何とかうまく軌道に乗り始めたときに、ことしになって、四国交通から比べれば大手のJR四国というバスが、今松山、高知から大阪、阪神へ向けて高速バスを一日七・五往復運行しているんですが、四国交通が運行していた県内の八カ所の、これは徳島県内なんですけれ
ども、徳島の八カ所のバス停のうち
利用者の多い四カ所にのみ停車するという
計画で、高松の
運輸局に届け出が出されました。高速バスの
利用者にとりましては、増便をするということで利便性が発生して喜ばしい話だとは思います。ただ、この裏側に、地域の社会の交通ネットワークが危機的な
状況になりかねないという
現実がございます。
というのは、四国交通はこれまで、生き
残りをかけて、
平成十一年度から阪神へ向けて高速バスの路線新設に向けた
取り組みを一生懸命展開して、会社の働きかけによって
地元の
市町村も協力をして、停留所と無料の駐車場の整備によってパーク・アンド・バス・ライドというふうなものを一生懸命つくりました。
利用者もこれを受けてだんだん増加しまして、共同運行も含めて、今大阪、神戸へ行く便が一日六往復運行となっています。
実は、直近の九カ月で空席の割合が、大阪線が四三%、三宮線が六六%と、まだ決して楽ではない
状況ではあるんですけれ
ども、ここへ、四国交通が今まで頑張っていたところへJR四国のバスが、松山、高知から阪神へ向かうという今までの経路を、徳島県内の四カ所のバス停にとめるようにしてくれないか、今収益が多いところにとまってお客を得たいというふうな申請がなされたわけでございまして、これははっきり言いますと、同社の経営を、四国交通の方の経営を直撃するのは火を見るより明らかでございます。
私は、この会社を何とか守ってほしいと言っているのではないんですが、端的に言えば、四国交通という会社が高速バスの収益で何とかやりくりしていたものを、四五%の収益が高速
道路バス収入であった、もし仮に二割ダウンすることになったとすれば倒産の危機に瀕してしまう、大変切実な訴えが労使挙げてございました。
確かに私も、数字を見てみまして、その懸念は大いにあると感じています。このことに対して大変心配を持ちまして、きょうこうした
質問をさせていただいているんですが、過疎で高齢化率が高いこの地区では、自家用車を利用できないお年寄りも多うございます。もちろん子供も、減ってはいるんですが、子供さんにとっても大変バスの存在は必要でありまして、死活問題であります。
四国交通が仮につぶれたとして、四国交通のかわりに
自治体が主導してバスを運行させるということも理論上は可能でございますが、契約をしたりバスを実際に買ったりといろんな費用が大変かかります。この三好郡という地区では今週の二十三日に、危機感を感じた郡内の八町村の町村長が集まって、一致して、JR四国のバスに運行
計画の変更を求め、
大臣あての陳情書を出すということをお決めになられたようであります。
大きなバス会社が体力に物を言わせて、これまで地域に貢献してきた弱小、本当に弱小バス会社を駆逐するということが
現実に起こってしまう可能性があるわけでございますが、バスの
利用者がより便利になることを否定するものではないんですけれ
ども、一方で、生活交通路線や廃止代替バス路線の
利用者の、少ない
利用者ではありますが、切実な声を切り捨ててもいいという話にはまたならないのではないかと思います。
そこで、
お尋ねしたいんですけれ
ども、四国交通の表現をかりれば、小さな会社が不毛の荒れ地を開墾し、肥料を与え、種をまき、水を与え、やっと緑が育ち、花が咲き、実が熟す高速バスの環境整備がほぼ整った
段階になって、申請書のみで、何も労せずに既存業者に攻勢をかけてくる経営姿勢というのは、クリームスキミング、つまりいいとこ取りに近いのではないかというような陳情書がございました。
在来の
事業者が幹線での収益をもとにローカル線ネットワークを維持しているという
現状の中で、新規参入組が収益の高い部門のみにつまみ食いのように参入するということは、今までいた在来組の皆さんは低収益
事業を切り捨てていかざるを得なくなって、地域の少ないバス路線、ユニバーサルサービスを維持するということが困難になるというのは当然のことであります。
こういう
状況をぜひ
国土交通省としても認識していただきたいと思いますし、このようなことにどういうふうに対処する
方針があるか、教えていただきたいと思います。