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馬淵分科員 民主党の
馬淵でございます。本日は、この第二
分科会で郵政公社、御担当の方にお越しいただいております。私の方からは、郵政公社さんにいろいろと
質疑をさせていただきたいというふうに思います。
この昨今の景気低迷の中で、厳しい
状況の中で企業が大変な
努力をされております。私自身も、財務金融委員会でこの経済問題にかかわっております。また、自身の経験からも、企業
経営者として長年やってまいりまして、本当に企業の
努力というものがそこに要求されている。何とか明るい兆しが出てきたとはいうものの、まだまだ一部企業だけであります。中小企業、零細企業初め大変な
努力をされております。
この
努力は、当然ながら
経営者の
努力もありますが、働く者の
努力、そこに従事する者の
努力が払われていますが、どうしてもその
努力という部分に関しては、働く時間、労働時間に集約されてしまいがちであります。このいわゆる労働時間、残業という問題、少し考えてみたいと思うわけでありますが、私も会社
経営の中で、何とかこの残業時間というもの、超過勤務というものは減らしていかないかぬということを考えておりました。
この残業というもの、どうしても時間内に業務を抑えなければならないということで皆さん方が取り組んでいる、働く者が取り組んでいる。しかし、これが自分の定められた期間内に終わらない、それを処理しようとする、時間外の手当を要求することなく、いわゆるサービス残業になりがちであります。また、その上司である管理職の立場でいっても、みずからの管理
能力が問われる。おのずと、これを黙って見過ごすことになる。いわんや、
組織的な隠ぺい、まあ隠すとまでは大げさかもしれませんが、
組織的に常態的に行われてしまうという
可能性もございます。また、さらには、こうしたことが続くと、結果的には、過度な疲労、いわゆる過労によって事故や、また過労死という不幸な結果に及ぶこともございます。
こうした問題、この残業という問題は本当に、企業の
経営側からも、また働く者、さらには管理する者にとってもなかなか難しい問題であるという認識は私も持っております。
特に、昨今の評価
制度の中でいえば、いわゆる年功序列賃金から成果主義へと大きく変貌を遂げてまいりました。成果主義になれば、おのずと、先ほど申し上げたように、みずからのその処理のために、みずからの
目的を達するために居残ってしまう、あるいは自分のスキルを高めるために休日など出てきて業務を行う。
このように、時間という
観点から賃金体系が組まれていたことが、これからは成果、結果によって評価されるとなると、時間の管理ということと、そして業務そのものの評価というものがなかなか一致しない、リンクしないという難しい問題がございます。また、管理職においても、部下の
能力をどのように評価するか、一生懸命時間をかけてやっているから頑張っているんだというわけにもいかない。
構造として、こうした時間外労働が評価体系の変化によって潜在化してしまうおそれがあるということも私自身は御
指摘をしていきたいと思います。
さて、そうした中で、私の地元におきまして、大変不幸な出来事がございました。二〇〇一年の十二月二十三日、一人の郵便局員が急性心不全により在職中に命を落としました。まだ三十六歳、働き盛り、将来の夢も希望もある、その中で、余りにも早過ぎた死でもありました。
亡くなった青年は、大学卒業の年に近畿郵政局管内の郵便局の保険課に職員として採用され、一九九九年に同じく近畿郵政局管内の奈良中央郵便局に転勤となりました。同時に、保険課の総務主任となられています。採用以来十四年間、まじめに働き、御両親にとっても自慢の息子さんでした。
実は、私の自宅のすぐ御近所、私は奈良市でございますが、そのすぐ御近所の奈良市の帝塚山南にお住まいの御両親が、この息子さんの余りにも早過ぎる死を簡単には受け入れることができない。これは、同じように子供を持つ親として、私も想像にかたくありません。御両親は公務災害の申請を行いました。
そして、その申請の過程で、実際の残業時間を超える残業及び休日労働が行われていたにもかかわらず、適正な超過勤務手当の支給が行われていなかったこと、また、上司が長時間の残業なしに処理できないような業務を命じながら、局の予算が少ないんだとして、実際よりも大幅に少ない残業時間を申告させるという労働基準法違反の不払い残業労働が常態化していたということ、さらには、超過勤務命令簿、その本人印の欄に本人から預かった印鑑を無断で押印する等の、虚偽の超過勤務命令簿の作成という隠ぺい工作が
組織的かつ長期的に行われていたのではないかということに御両親が気づかれたわけであります。
御両親は意を決して告発を決意されました。地元では小さなお店をやっておられます。そんな御両親が告発を決意され、そして、これを受けて奈良の労働基準監督署は、二〇〇四年四月、奈良中央郵便局の当時の上司二名を労働基準法違反容疑で書類送検としました。同年九月には、御両親は、同じく二名について、先ほどの超過勤務命令簿の話でありますが、今度は虚偽の公文書作成等の疑いで奈良地検に告発しました。これに対して、地検はいずれも不起訴処分といたしました。
御両親は、この不起訴処分に対して不服として、奈良検察審査会に申し立てを行いました。二〇〇四年十二月十七日に議決された奈良検察審査会、この議決がお手元に配付した資料であります。これによりますと、労基法違反容疑、これにつきましては不起訴相当の判断としています。しかし、虚偽公文書の作成等の容疑については、超過勤務命令簿を上司が勤務命令をするたびに作成するとしているが、帳簿の筆跡からはどうも一度にまとめて作成された
可能性が高く、信用性に疑義があると判断をしました。
さて、私は、この事案についてお聞きしたとしても、これは係争中の個別の事案としてお答えはいただけないと思います。巨大
組織である郵政公社、この郵政公社にとっては小さな小さな事件かもしれません。しかし、これは大事な御長男を亡くした御両親にとって忘れることのできない出来事であり、場合によっては思い出すことすらもはばかられるようなつらいこの事件。御両親がこれまで闘い続けてきたその思いはただ一点、事実をとにかく素直に認めてほしい、この一点に尽きるかと思います。
最初に私が申し上げたように、サービス残業、その結果としての過労死ということは、これは会社にとっても家族にとっても大変不幸なことであります。しかし、大事なことは、事実を真摯に受けとめて、二度と同じような不幸が起こらないように万全の
措置をとることであると私は信じています。この場をおかりして、あえて郵政公社の方にお尋ねをさせていただきたいと思うわけであります。
郵政公社の中で、超過勤務命令簿、これの管理についてお尋ねをさせていただきました。お手元の資料の中にあるような超過勤務命令簿、これが一般に渡されているということであります。所属長印そして本人印、これは、勤務命令が出た段階でその都度確認をし、そしてこの記入をするのは管理員、大体は課長代理の方がされるそうですが、その都度確認、押印をするということの徹底を図るということを指示してきたそうであります。
この超過勤務命令簿、これが虚偽であるかどうか、この事件については繰り返し私もお尋ねはしませんが、そうしたことが常態化している
可能性もあるとして、勤務時間の適正化について公社の皆さん方も取り組んでおられます。それが、資料でお渡ししましたように、「勤務時間の適正管理について」ということで
平成十六年十一月に発出されております。
この中を見ますと、やはり勤務時間、これが十分に管理されていない、そんな
可能性があるということで整理をされておられます。例えば、勝手に
仕事をしているんだ、これは命令じゃないけれ
ども勝手に
仕事をしている、勝手残業ですね、こういったことが起きてもこれはしっかりと確認をしなさいよ。あるいは、他の者が残っているから何となく残ってしまっている、これもつき合い残業、つき合い超勤などと呼ばれるものであります。上司が残っている、ほかの者が残っている、こうした場合はそこで残業が発生してしまう、でもこれも超過勤務だということで認識しなさい、管理しなさいよ、こういう発出をされています。
当然ながら、ただ単に時間を管理するだけではなく、業務の無理、むだ、むらをなくすという根本的な改善、
改革が公社の中で求められ、また、これが遂行されていくことが望ましいわけであります。
さて、こうした管理をされている中で、公社の方々にきょうはお越しいただいておると思いますが、時間管理についてはどのようなお考えを持ってこの十一月の発出というものをなされたんでしょうか。端的にお答えいただけますでしょうか。