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坂本(哲)
分科員 自由民主党の
坂本哲志でございます。
質問の
機会を与えていただきましたことに心から感謝を申し上げたいと思います。通告に従いまして質問を進めてまいりたいと思います。
まず、法科大学院の問題でございます。
これはきのうも民主党の議員の方が全く同じ質問を
予算委員会でやられておられました。非常に今問題化している事柄でもございますので、私は私の立場として、この法科大学院のあり方について、
文部科学省中心にお伺いをいたしたいというふうに思います。
法科大学院が
平成十六年度からスタートいたしました。
平成十六年度で六十八大学、入学定員が五千五百九十人で開校したわけであります。
平成十七年度にはさらに六大学が開校予定でございますし、法科大学院は七十四大学にふえます。そして、大学の定員も五千八百二十五人というふうになるわけであります。
御承知のとおり、法科大学院構想というのは司法改革の一環として
実現をいたしました。ふえ続け、そしてその一方で多様化する訴訟に対応するために、質、量ともに充実した法曹人材を
育成しようというものであります。
平成二十二年には司法試験の合格者は年間三千人ということが言われております。各法科大学院とも大変な出願者でございまして、それぞれ入学試験も二十倍、三十倍という難関でございました。お医者さん、エンジニアあるいは学校の
先生あるいはサラリーマン、多様な人材が集まってきたようでございます。
特に、現行の司法試験制度が司法試験予備校に依拠しながら法律知識と受験技術というようなものに傾斜いたしまして、本来法曹が持つべき
倫理観やあるいは使命感、役割、そういったものに不足しておった部分があったという反省も踏まえての発足でありましたので、この新しい法曹人材の誕生というものに私自身も非常に期待をしているところでございます。
しかし、今、法科大学院に入学したほとんどの
学生が、これからはどうなるんだろうかと暗たんたる
気持ちになっているのは事実でございます。そして、
学習意欲にまでそれが影響を及ぼしているというような状態になっております。といいますのも、各マスコミでも取り上げられておりますように、当初は、次のような司法制度改革審議会の意見書を信じて入学した者がほとんどだったからであります。
司法制度改革審議会の意見書といいますのは、法科大学院では、その課程を修了した者のうち相当
程度、七割から八割の者が新司法試験に合格できるよう充実した
教育を行うべきである、点数のみによる選抜ではなくてプロセスとしての法曹養成制度を新たに整備するという趣旨からすれば、法科大学院の
学生が在学期間中にその課程の履修に専念できるような仕組みとすることが肝要であるというのがその司法制度改革審議会の中身でございます。
これを信じながら入ってきたわけでございまして、頭の中には当然、法科大学院のカリキュラムに従って勉強すれば七割から八割は新しい司法試験に合格するんだというような意識であったわけですけれ
ども、現在言われ始めましたが、新しい司法試験の合格者は二割から三割というようなことになっております。そういうふうに言われております。まさに、
学生からすれば、当初言われたことからすれば、看板に偽りありというようなことではなかろうかというふうに思います。
また、二割、三割の合格者であるならば、まさに法科大学院
そのものが再び予備校化をしていく、そして当初のねらいであった
倫理観や使命感を持った法曹人の
育成というようなねらいから大きく外れてしまう。何のための法科大学院構想だったのか、ロースクールだったのかというような危険性も十分に今はらんでいるであろうというふうに思います。
こういった混乱は、私が
考えますに、
文部科学省が当初の法曹人材の供給体制を無視したかどうかはわかりませんけれ
ども、供給体制に関して、それを余り考慮なく余りにも多くの法科大学院を許可してしまった、ここにまずつまずきがあるんじゃなかろうかなというふうに思います。初年度、国立大学で二十大学、公立で二大学、そして私大で四十六大学ということでありますので、これは余りにも多くなかったのかなというふうに解することもできます。いろいろ言われていることなんですけれ
ども、
文部科学省のお役人の方々の天下り先にもなる、そのための確保対策でもなかったかというようなことも一部では言われているというようなことも聞いております。開始に当たって、将来の供給体制あたりを
考える上で法務省あたりとの連携がどれだけとられていたのかなというような気もするところでございます。
そこで、今後、法科大学院修了者の新司法試験の合格者割合、また今後の法曹人材の
育成のあり方というものについて
大臣にお伺いをいたしたいというふうに思います。
私のふるさとであります熊本でも、熊本大学で
一つ法科大学院が開校されましたけれ
ども、このたびの法科大学院の開設に当たってはアメリカのロースクールを参考にしたのではなかろうかなというふうに思います。もし参考にしているのであれば、アメリカの司法試験の合格率が、州によってはばらばらでありますけれ
ども、この種のプロフェッショナルスクールはやはり七、八割が合格しているというふうに聞いております。
我が国の法科大学院がそういったアメリカの
教育カリキュラムのみを参考にして、司法試験制度は従来どおりの低合格率の厳格な試験制度を維持するということであるならば、制度はアメリカを導入する、一方で司法試験
そのものはこれまでどおりのものを踏襲するということで、非常にその整合性に問題があるというふうに思いますけれ
ども、
文部科学省はどのように
考えておられるのでしょうか。
それから二番目に、七、八割が合格者、司法試験に合格できるよう充実した
教育を行うべきであるというふうに私自身は
考えておりますけれ
ども、他方で、さっき言いましたように、二、三割で推移するというふうに言われております。
文科省は当初、法科大学院の設立を認可するに当たって、当然七、八割の合格者を輩出することを念頭に制度設計をされたというふうに思いますけれ
ども、一体どのぐらいの割合の合格者を
文科省としては見込んで認可をされたのか、あるいはそういう見込みがなく、条件がそろえばということで認可に至ったのか、お伺いをいたしたいというふうに思います。
それから三番目に、工夫を凝らし、そして特色ある
教育課程の
実現を掲げている
文科省といたしましては、合格率が低く抑制された場合、
文科省の
理念が達成されないのではなかろうかというふうに危惧をされます。
文科省が
考えます法曹像とはどういうものなのかというようなことをお伺いしたい。また、
文部科学省と法務省が連携して、法科大学院修了者のうち、当初の方針どおりある
程度の、七割から八割の者が司法試験に合格できるようにしていくべきであるというふうにも
考えるわけですけれ
ども、
大臣の所見をお伺いしたいというふうに思います。
最後に、合格者数の定まらない今の状態をどのように今
考えておられるか、そして、今後の法科大学院に対して新規の申請などがあった場合にどういうふうに対処されるのか、また、現在の定員についての増員あるいは削減、そういったものについて、文部省、あるいはこれは法務省も含めて、どのように
考えておられるのか。
この四点、お伺いをいたしたいというふうに思います。
〔
萩野主査代理退席、
主査着席〕