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中根分科員 こんにちは。お疲れさまでございます。民主党の
中根康浩でございます。
三十分のお時間をいただきまして、問題意識を持っている点につきまして議論させていただきたいと思います。
時間がふんだんにあるわけではありませんので、前置き的なことはすべて割愛をさせていただいて、ひとつこれは、
大臣、副
大臣あるいは自民党、与党の政治家として心にとめておいていただいて、また今後いろいろと考える材料にしていただければということなんです。
昨年の臨時国会で無
年金障害者に対する新しい
法律ができて、ことしの四月から特定給付金が
支給されるということになったわけなんですが、もしそのときに知っていれば、そういった議論の中に加味をしていくべきだったのかもしれないんですけれども、私にこの話が来たのは本当に一月ほど前でして、こういった事例もあるということで、実は最初に話を聞いたり読んだときは、一体これのどこにどういう問題が潜んでいるかということははっきりわからなかったんですね。
文書に従って若干御紹介を申し上げますと、Aさんとしておきます、Aさんという人が二十になったのが昭和六十一年の一月、このときは、ここは名前を出してもいいと思いますけれども、愛知大学という大学に在学中でした。このときに、Aさんは、
年金に入らなきゃいけないというふうに思って、地元の岡崎市役所の窓口に行ったら、大学生だったら
年金に入る必要はないという意味合いのことを言われて、ああそうですかということでそのまま帰宅をした。Aさんは、そのまま大学へ四年間通って、卒業して、地元の印刷会社に就職をした。昭和六十三年の四月に厚生
年金に加入をした。
その後、
平成元年の二月に交通事故に遭ってしまったんですね。交通事故に遭った結果、障害の状態としては、四点杖、車いす及び補助用小道具を常時使用していて、ADLはほぼ全介助、他に重度の失語症、高次脳機能障害があり、記銘力が低下し、労働能力はなく、これ以上の機能回復は期待できないという障害認定を受けるに至ったということなんです。
障害者になったものですから、障害
年金がもらえるかと思って申請をしたところ、Aさんの
年金加入記録としては、二十になったときから障害認定を得るまでの間の三十六カ月であった、実際にAさんが保険料を納めていたのは、印刷会社に就職してから九カ月間の九カ月であった。すなわち、三十六分の九しか保険料を納めていないので、被保険者期間の三分の二を満たすことが必要であるという
年金受給資格に該当せずに、障害
年金を受け取ることができないという一連の経過なんです。
ここに問題があるのは、まず
一つは、岡崎市役所の方が、大学生だったら
年金に加入しなくてもいいよと。こういったことは水かけ論になりますから、本当のところははっきりわからないんですけれども、一体このやりとりの中にそのほかにどんなやりとりがあったかということなんですが。
実はこの大学生というのが、Aさんは愛知大学の夜間に通っていたんですね。私も実は知りませんでした、夜間とか通信教育の場合だと当時も強制加入に、当時、一般といいますか昼間の大学生の場合は任意加入の時期だったんです。ところが、夜間の学生とか通信教育の学生は強制加入の時代であった。したがって、Aさんは、大学生、二十になって厚生
年金に入るまでの要するに学生の期間の間、本来、強制加入として保険料を納めていなければならない。すなわち、Aさんは、未加入ではなくて未納の状態で学生期間を過ごしてしまったということに結果的になってしまっているわけなんですね。
ここに、
一つのポイントとしては、岡崎市役所とのやりとり、市役所の方が、大学生ならという言葉のほかに、昼間の学生さんですか、夜間の学生さんですかという
確認がきちんと行われていたならば、まずこういった問題は生じなかったのかもしれない。
それから、去年も未納、未加入の話はいろいろ話題になりましたけれども、学生が
年金という意識が、今みたいに話題になっていなくて、余りない時代に、本人に、昼間の学生だったら任意加入、夜間の学生だったら強制加入、こういったことを峻別といいますか
判断する十分な知識とか
環境が整っていたかといえば、それをこのAさんに求めるのは非常に酷であったであろうというふうに推測ができるわけなんですね。
だから、
大臣、御答弁をお願いするというよりも、こういう事例もあるということですね。無
年金に至るにはいろいろな理由があったり、いろいろな
環境があるわけなんですけれども、まさに谷間といいますか小さな穴だったと思うんですが、そこにすっぽりと運悪く落ち込んでしまったこのAさんのような場合の無
年金状態。これは、だから、ことしの四月から始まる特定給付金、これにもやはり該当しないわけなんですね。
この
法律ができたことをマスコミ報道で知って、Aさんの親御さんは喜んで市役所に問い合わせをして、
事情はこれこれこういう内容なんだけれども来年から給付金をもらえるかねというふうに尋ねたところ、あなたのような場合はもらえないと言われて、ぬか喜びで本当にがっくりしちゃったと。いわゆる未加入ではなかった。今度の特定給付金に該当する人が、未加入の人については該当するけれども、未納の方については該当しないという内容になっているものですから、この特定給付金にも該当しない。
例えば、今、介護保険の
改正がこれから議論されていくわけなんですけれども、せめて介護保険でも使えればということですが、これもまた、今度
改正されたとしても、いわゆるエージフリーということにはなっていきませんので、介護保険の活用も難しい。
親御さんももう七十の後半になって、全介助のお子さんを、しかも、この方の交通事故は、自分が違法運転したりとかということじゃないんですね。横断歩道を歩いていたら乗用車が飛び込んできてはねられちゃったという、すべてにわたって運が悪いんですね。本当に気の毒なんですけれども、こういった無
年金の方もいらっしゃるということでございますけれども、
大臣、何かお感じになることがあったら御意見を賜ればと思いますが、いかがでしょうか。