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長勢委員 おはようございます。
きょうは、
社会保障制度の
集中審議を行っていただけるということでございます。
現在、いろいろな問題を
我が国は抱えておりますが、
国民の
最大の関心事は、
年金、
社会保障でございます。また、これをいかに持続可能なものとしていくかということが
政治の
最大の
課題であると思っております。こういうことで毎年、
医療だ、
年金だと
議論をしてまいりました。しかし、その
問題ごとに
政治が
大変混乱をして、
改革のための本当の真剣な、冷静な
議論ができたかということを大変疑問に思います。そういうこともありますから、ますます
国民の
皆さんの
不満あるいは
政治に対する
不信というものを増大させておるのが今日ではないか、これは
大変国民にとっては不幸な事態と言わざるを得ません。
こういうことが起きておるのは、この問題がどうしても
選挙の
争点になる、
与野党対立の
争点となっておるために、
選挙のことばかりを
考えるものですから、きちんとした
議論が
政治の場で行われていない、こういうことになっておるのではないか。私も、長年この問題にかかわってまいりましたが、こうなっておることを大変残念に思っておる次第でございます。
社会保障や
社会福祉制度というのは、
個人の
生活設計なり
企業の経営に直接かかわる問題でございますから、くるくる変わるというわけにはいかない。そういう
意味で、
改革というものは長期的に一貫した
方針のもとで進められるべきものであると
考えます。そうなりますと、
政権ごとに変わるということでは困るわけでありまして、そういうことは許されない。こういう問題は、
党派を超えて
国民の前で真摯にとことん
議論する、
論点を明らかにして
国民の
皆さんと
一緒に
考えて進めていく、納得していただくということが
政治の責任であると思います。
我が党は、こういう
観点から、
党派を超えての
与野党での
協議というものを一貫して提案してまいりました。幸い、今
国会で、
代表質問あるいは当
委員会での答弁、
質問を通じて、
与野党とも積極的な姿勢が示されつつあることを、私は大変高く評価いたしたいと思います。
国民各層にも
与野党協議についての
期待は大変高いわけでございまして、
国民の
期待にこたえて
与野党協議が早急に実現するように強く
期待するものでございます。
こういう
立場から、これから
同僚議員と
一緒に
質問させていただきますが、この
質問を通じまして、今我々は
政治の場において何を
議論すべきか、また
国民の
皆さんに何を
考えてもらわなければいけないかということを明らかにして、
与野党協議の実現にお役に立てれば大変幸いであると思っておる次第でございます。
いろいろな
論点があると思いますが、まず、これからの
社会保障、
社会福祉についての
国民の
不満、不安、
政治に対する
不信というものがどこにあるかということを
考える必要があると思います。
国民の
皆さんも、
社会保障、
社会福祉が
危機的状況にあるということは漠然と理解されておると思いますけれ
ども、同時に、なし崩しに高
負担になるんじゃないかとか、あるいは必要な
給付が受けられなくなるのではないかという不安をみんな感じておるわけでございます。そういう中でありますから、
財政がもたないとか
経済がもたないというだけで
負担増や
給付減、引き下げが安易に行われているんじゃないかという不安、納得できない気分が高まっておる、こういうふうに感じます。
さらに、
与党と
野党で賛成、
反対と激しく対立するわけでありますから、しかも違ったことを言うわけでありますから、本当はどうなんだ、こういうふうな疑念を
国民もお持ちになる。本当に
政治は
国民のことを
考えておるのかという
不信も高まっておるのではないかということを思います。そういうことにこたえていくために、幾つかの
議論を
政治の場できちんとして、
国民の
皆さんに明らかにしていく義務がある、このように私は思う次第であります。
いろいろな
論点があると思いますが、まず何よりも、今、
日本の
社会保障、
社会福祉というものが大変な
危機的状況にあるという
認識を
与野党とも共通に持つ、これを
国民の前に明らかにするということがまず大事なことだと私は思います。今、
少子高齢化がどんどん進んでいくわけでありますから、どの政党がやっても、
給付の減なり引き下げなり、
負担の増というのは避けられない、こういうことはみんなわかっておるわけであります。しかも、それがどれだけ大変なことなのか、どれだけの
規模で今
危機的状況にあるのかということを
与党、
野党きちんと
整理をして、
国民の前に明らかにし、
国民に
メッセージを送っていくということが私はまず一番大事なことだと思います。
今、一部では、何か
国民の
皆さんの中には、これも大事な問題ではありますけれ
ども、
社会保険庁改革だとかむだ遣い問題だとかを解決すればもう問題は解決できるんじゃないかという誤解を持っておる方々もおられるわけでございます。こういう問題に我々はこたえていかなきゃいかぬ。そうじゃないんだ、それはそれとして大事な問題であるけれ
ども、根本的に
考えなきゃならない
大変危機的状況にあるんだということを、
与野党ともきちんと
メッセージを送らなければならないと思います。
次に、去年も
年金で大変
議論したわけでございますが、今まで
一つ一つの
制度ごとに
改革の
議論をしてまいりました。それぞれの
制度が維持可能になっていくということは大変大事なことでありますけれ
ども、
一つ一つが仮にうまくいったとしても、全体としてどうなるのか、全体としての
負担がどうなるのか、その中で全体の
生活がどうなるのかということがわからなければ、また、そのことがますます不安になっているというのが現在ではないでしょうか。
社会保障、
社会福祉全体としての姿が、
給付がどうなって、
負担がどうなって、
生活がどうなっていくかということをひとつきちんと
考えながら、こういう
議論をしているんだよということを
国民の
皆さんに見てもらわなきゃなりません。
たて糸としての
個々の
制度を維持する、持続可能なものにしていくということと同時に、よこ糸としての
社会保障、
社会福祉の
あり方というものが
整合性がとれるような
議論をしていかなければなりません。
一体見直しということが前回の
年金法案の改正でも行われましたけれ
ども、ぜひこの
一体見直しの
議論を
与野党できちんとしていくことが必要であると
考えております。
また、
社会保障というのは、しょせん、つまるところ、我々の
生活をどうやって安定したものにしていくかということであります。現在の
社会保障制度、
社会福祉制度が、今言ったように
大変危機的状況にあって、このままの
枠組みあるいは
給付、
負担では維持できないということであるとすれば、では、これからどうやって我々の
生活を安定したものにしていくのかということを
一緒に
議論しなければ、
国民の
皆さんの不安は解消されないわけでございます。
そういう
意味で言いますと、
我が国は、戦後一貫して
社会保障、
社会福祉制度の充実に努めてまいりましたが、その結果として、今や
公的制度がなければ
生活設計ができない、いわば
公的制度に
依存体質の
国家になっている、そういう
社会になっておる。このことをもう一度みんなで見直さなければならないのではないでしょうか。こういう
公的制度依存の
社会ということが本当に活力ある
社会と言えるのかどうかということも
議論されなければなりませんし、また、現行の
制度が今と同じような
水準、
内容で、
枠組みで維持できないとすれば、それを
負担する
公的制度以外の、
家族や地域などを含めてみんなでどのような支え合っていく
社会をつくれるかということも
議論しなければ、
国民は
安心できないと思うわけであります。
次に、もう
一つの問題は、
社会保障制度、
社会福祉制度は、これまでそれぞれに発展をいたしましたから、その間での不公平あるいは矛盾というものもたくさん明らかになってまいりました。
一つは
給付の
重複の問題であります。こういう問題も
議論しなきゃならない。また、不公平という問題もございます。今、
フリーライダーという問題もありますが、たくさんの
負担をしている人がきちんとした
給付をもらえているのかという不公平の問題、あるいは、
規模は大きくなったけれ
ども、その結果として、本当にもらわなければならない人の
給付の
水準がかえって低くなっておるのではないか、こういう問題も
議論しなければなりません。
以上、
考えてまいりますと、根本的にこれからの
社会福祉、
社会保障というものはどういうものであるべきかという
意義、
役割そのものも
議論をして、それについての
国民的な合意を形成していくことが必要になっておる
時代ではないかと私は
考えております。
私
個人の
考え方を言わせていただければ、今や、
個々の
制度の
枠組み、
内容の
議論のみでは対応できない、そういう
時代になっておるのではないか。そういう危機的な
状況にあるという
認識に立って、
制度全体を一体的に
見直しし、
公的制度依存体質の
社会の
改革も視野に入れながら、
社会保障、
社会福祉の
意義、
役割を明確にし、
家族、町内、
企業など、
生活共同体を基盤にした支え合う
社会づくりというものをどうするかということをぜひひとつ
議論してもらいたいものだと思っております。もちろん、私と全く違う
考えの方もおられると思います。そういうことを
国民の前できちんと
議論するということが、
国民に
社会保障の現在の
状況、これからの
進め方について理解をいただける
最大の
政治の
役割だ、このように思っておる次第でございます。
以上、私は、今後
政治の場で
議論すべきことについての
考えを申し上げさせていただきましたが、
政府においても、従来の
制度の
枠組みにとらわれずに、このような
議論に真剣に取り組んでいただきたいと思う次第であります。
各
大臣から、私が取り上げた
論点についての
検討の
状況及びこれからの
社会保障、
社会福祉の
あり方についての御所見、
改革に取り組む決意をお伺いいたしたいと思います。
まず、
官房長官にお伺いしたいと思いますが、
社会保障制度の
あり方について
政府においても今
検討が行われておると承知をいたしております。どのような
議論が行われておるか、お伺いいたしたいと思います。
骨太方針では、
論点を明らかにして
整理していくということになっておるわけでございますが、仄聞しておるところでは、どうも個別の
制度の
問題点の
議論のみが行われておって、全体としての
あり方についての
論点整理というのがされていないのではないか、このように感じますが、今の
進め方、今後の
進め方についてお伺いをいたしたいと思います。