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茂木委員 今回の
北朝鮮の
声明、冒頭申し上げましたように、極めて遺憾な
声明であります。そういった中で、
北朝鮮をいかに正しい
方向に引き戻すか。六
者協議を含め、さまざまなツールを
日本としても持っているわけであります。また、
関係国も持っております。そういったことを矢継ぎ早にきちんと実行していく、このことが、まさに今、
日本外交の真価が問われる、こういう
状況ではないかなと思いますし、そして、それをピョンヤンに対して明確なメッセージで送っていく、こういうことが重要だ、私はこんなふうに考えております。
ところで、
総理、キューバ・
ミサイル危機を題材にした「13デイズ」という映画をごらんになられたことはございますか。見た。私も何回か見ましたが、ハイライトシーン、これは、一九六二年、今から四十三年前になるわけでありますが、十月の二十二日に、
アメリカのケネディ大統領がテレビ演説で、キューバに対する海上封鎖を表明する、ここのところがハイライトシーンになってくるわけであります。
この決定に至りますさまざまな過程につきましては、ケネディ大統領の弟、ロバート・ケネディ氏が「サーティーンデイズ」という小説の中で細かく書いているわけでありますが、さまざまな選択肢の中でとられたこの海上封鎖、実は、西ベルリンに対する封鎖、これに飛び火することを考えまして、ブロッケードということではなくて、実際にはクアランティーン、隔離、こういう言葉を使ったわけでありますが、この海上封鎖、具体的な行動であると同時に、これは
アメリカが、キューバに絶対に戦略的な核の基地をつくらせない、こういうクレムリンに対する明確なメッセージであった、このように私は考えております。
実際には、この海上封鎖から一週間後、十月の二十八日に、当時のフルシチョフがケネディに対しまして、キューバの攻撃的な兵器の撤収を行う、こういう
回答を寄せまして、世界をまさに核戦争の瀬戸際まで追い込んだこのキューバ・
ミサイル危機が一段落をするわけであります。
私は、計算された毅然たる行動、そして
対応、これはまさに
外交上の明確なメッセージなんだ、こんなふうに考えております。ぜひ
日本政府がピョンヤンに対して明確なメッセージを送る、このことを改めて強く要望させていただきたい、こんなふうに考えております。
時間の
関係で、引き続きイラクの問題について
お尋ねをしたい、こんなふうに思っております。
私は一昨年、
外務副
大臣時代に、二度にわたってイラクのバグダッドを訪問いたしました。最初は、一昨年の三月、イラク戦争直前に
小泉総理の特使としてバグダッドを訪問しまして、イラクが国連の査察を全面的に受け入れることが戦争を回避する上で非常に重要なんだ、こういう
交渉役を任されて参りました。当時のフセイン政権のタリク・アジズ副首相と、二時間にわたる大変激しい議論、
交渉を展開したわけであります。
交渉の過程では、アラビア語、
日本語、そして途中には英語も入り乱れる、お互いに話し合う、こういう激しい
交渉の中でその通訳をやってくれたのが亡くなった井ノ上書記官でありまして、こっちがしゃべっているときに相手は割り込んでくる、そういう
状況が何度もあったわけでありますけれ
ども、あの童顔に似合わず、絶対に自分の仕事、通訳の仕事はやめない、大変立派な姿勢で通訳に取り組んでくれました。本当に有能なアラビストだった、そんなふうに私は井ノ上書記官について今でも考えております。
また、私が五月、戦争の直後、バグダッドを訪問したとき、会談、そして現地での視察、これのアレンジをしてくれたのが亡くなった奥大使でありました。
私と、当時のORHA、CPAの
長官でありましたブレマー
長官の会談は朝行ったわけでありますが、その直前に奥大使が、
茂木副
大臣、
一つだけぜひ聞いてほしいと。イラクの復興にだれよりも情熱を傾けていた奥大使が私に言った言葉を非常に今でも鮮明に覚えております。それは、CPAとしてエグジットストラテジー、つまり出口戦略というものをどう考えるのか、このことをぜひ聞いてほしい、これが奥大使の言葉でありました。会談では、ブレマー
長官は赴任直後、実際には
長官としての初仕事が私との面談、こういうことで、なかなか出口戦略について明確な
回答はその
時点ではなかったわけであります。
あれから二十カ月がたちました。イラクでは今でも、残念ながら治安の
状況が改善しない、こういうことが続いております。政治プロセスでいいますと、選挙が実施されたり、この後の憲法の起草、そしてまた
国民議会ができる、一定の進展、こういうものはあるわけでありますが、しかし、いまだ出口戦略というものが明確に見えていない。これがイラク復興の最大の問題点ではないかな、こんなふうに私は考えているところであります。
そこでまず、政治プロセス、こういう視点から今回のイラクの
国民議会の選挙の評価についてお伺いをしたい、こんなふうに考えております。
イラクは、人口が二千七百万人、そして
国内の二十歳以上の有権者が千四百万人、
プラス在外で百万人。この千五百万人のうち大体千三百万人が有権者登録をいたしまして、八百万人が投票した、こんなふうに言われているわけであります。投票率でいいますと六一%。
日本の国政選挙より投票率が高いということでありまして、昨年七月の参議院ですけれ
ども、選挙の投票率が
日本では五六・五七%、一昨年の衆議院選挙でいいますと小選挙区の投票率が五九・八六%、いずれも六割に達していない。それから、去年あれだけ注目を集めた
アメリカの大統領選挙、これも投票率は五八・九%、こういう
段階であります。
イラクの近隣諸国、最近の選挙を見てみますと、アフガニスタン、
日本も支援しまして、二〇〇四年、昨年の十月九日、大統領選挙が行われました。このとき非常に高くて、七一%の投票率ということでありました。また、イランでも去年の二月に国政選挙が行われておりますが、この全国の投票率は五〇・五七%、こういうことでありまして、先進国それから近隣諸国と見ても、今回の投票率そのもの自体は決して低くなかったんじゃないかな。在外に限ると、この百万人のうち九三・六%が投票した。実に驚異的な数字じゃないかな、こんなふうに私は考えております。
その一方で、今回の選挙に当たりましては、テロリストの妨害、こういうこともございました。また、スンニ派の一部が選挙に
参加しない等々の問題点も残ったわけであります。
そこで、今まさにこの時間に最終結果が出るか出ないか、こういう
タイミングであるかと思いますが、今回のイラクの
国民議会の選挙の結果、どう評価しているのか、
外務大臣に
お尋ねをいたしたいと思います。