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麻生国務大臣 今、
地域の
ネットワークという
お話が出ましたけれ
ども、これは
社会的インフラとしては大きなものだと存じます。
いろいろ
宅配便等々、確かに発達しておりますのも確かですが、過日、
中越地震の
避難所というのを視察に行ったときに、たまたまアナウンスがあって、今から到着しております
郵便を
配達しますからと。
避難所がごった返している中にどうやって
郵便配達をするのかなと思って、ちょっと興味がありましたものですから、その後の予定をちょっと延ばしてもらってじっと見ていたんですけれ
ども、
郵便配達の人が二人入ってきて、顔を見ながら、ああ谷さん、どうしている、はい、実家から何とかですよと、顔を見ながら全部届けるんですよね。どこの村のだれだれさんがどの
避難所に行っているかというのを顔で判断できるというのは、これは物すごく大きな
インフラ、
信用力だと、率直にそれを見ていてそう思いました。
ちなみに、
東京へ帰って、その市に対して、ほかのいわゆる
配達会社はどうやって
配達するのかなと思って、聞いてみたんですが、
配達は受け付けない。片っ方は受け付けない、片っ方は受け取っておいてきちんと顔を見ながら配れるというのは、これは、
郵便局は人のうちの冷蔵庫の中まで何が入っているかよく知っていますよと言われた昔の話を思い出して、大したものだと、率直にそのときはそう思いました。そういった
意味では、
インフラとしてはすごいです。私もそれはそう思います。
したがって、今回、
民営化ということの
方向に行きましたときに、今、現状で二万四千七百十五かな、二万四千の
郵便局というのが
特定郵便局を含めてあるんですが、これを
民営化というときは、当然のこととして、効率とか
営利とかいう
考え方が入ってきます。合理化されるのは
民営化された以上は当然のことだと存じますが、問題は、同じように
民営化をした例としてよく引かれますドイツの例を引きますと、約二万九千ありました
郵便局というものが一万二千六百八十三まで下がったというのが、たしかあそこの国の
実態。これは十二年か十三年間でそれだけ減っております。現実、これ以上減らすことは禁止という
法律を後からつくるという形になりましたので、私は、あれは
余り成功した例だと思っていないんです。
いずれにいたしましても、そういう
住民福祉の面とか
利用者の
利便というものを
考えてみた場合に、また
社会的安心、安全という
意味の
インフラ、さらに言えば、
町村合併が進んでまいりますので、私、就任いたしましたときに、
町村の数は三千百八十三だったと思いますが、一月末で二千三百三十三まで減っております。そういった
意味で、約八百少々の町が減少して市なり町なりになったということなんですが、そういうところになりますと、そこに住んでいる過疎の
地域におきましては、その
地域において最も頼りになるいわゆる
公的機関とすると、多分
郵便局という確率は極めて高くなるだろうと思っております。
したがって、そういった
郵便局におきまして、例えば
住民登録とか
印鑑証明とかその他いろいろ公的なものは、
御存じのように、いわゆる
行政手続オンライン化法という
法律が通っております
おかげで、すべてそういうことはきちんとできるようなことになっております。この四月から正式に全部スタートいたしますから、そういう
サービスも
郵便局で受けられる。
市役所が仮になくなった、
町役場がなくなった、村役場がなくなっても、
郵便局に行けば同じ
サービスが受けられるというのは、きちんとした
行政の中核となり得るものだと思っております。
これは、いずれも
利便という面からいきますと、
安心、安全を含めて
住民に与える影響は極めて大きいものだと思っておりますので、この
ネットワークのシステムというものは、これはいろいろ、
利益だけでいきますと、山間、離島等々におきましては経営上成り立たないからやめられるかということになりますと、これは
営利を目的とするだけでいきますとなかなか難しいところだろうと思います。
官と民の間にやはり公、
パブリックセクターという
観点から立ちますと、この公という
部分を
考えますと、何らかの形で、そういったところに住んでいただいている
方々、自分で好きで住んでいるんじゃないかと言われるかもしれませんが、私
どもからいいますと、同じ
東京内でも、町田みたいにごみごみ込んでいるところじゃなくて、
青ケ島、いかがでしょう、
青ケ島。ごみごみというのは、ちょっと
伊藤さんの顔を見たもので、済みません。
青ケ島というところは、城ケ島の南七十五キロぐらい行ったところにあるんですが、たしか島民二百一人だと記憶しています。
日本で一番小さな
行政体だと思いますが、ここに二百一人住んでもらっている
おかげで竹島みたいな話にならないというのはやはり非常に大きなことなのであって、これは国全体として、住んでもらっている
おかげという表現が言い過ぎかもしれませんが、非常に大事な
観点なのであって、頭割りだけですべてというのと少し違うのではないかという
観点も、この際改めて、私
ども行政をやらせていただく
立場に立ちますと、そういったことも
考えてやっていかねばいかぬということでありますので、
民営化されるに当たりましては、そういったことも十分に配慮した上で、いかにこれをきちんとした形にしていくかという
観点は忘れてはならぬ大事なところだと思っております。