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生田参考人 おはようございます。お答えさせていただきます。
私が内定したのが二〇〇二年の八月末で、実質九月ですね、それで、翌年の三月末まで七カ月間の
予備期間がありました。その間にやったことを、どんなことかなと。
まず、知るという
キーワードになると思うんですけれども、人を知る。
職員とも、できるだけいろいろな階層、いろいろな年代、いろいろな
人たちと会ってみるということでありましたし、やはり、大変大きな、立派な
組合がありますから、
組合の
人たちが何を考えてどういうことをしようとしているのか、これも知らないかぬので、事前によく
話し合いをさせていただきましたし、
自分なりに業務の
内容、
数字というものも勉強する、知るということですね。
それから
一つは、
キーワードといいますか切り口としては、
対話をするということで、そういった
人たちと
対話をするのみならず、
自分自身の、折々に
自分なりの頭でまとまったものを紙にして出しまして、それでみんな、これについてどう思うというのを、これは
Eメールを主として使いまして
対話を深めました。十月二日に第一弾を出して、十一月二十六日には、
意識と
文化を変えようという紙を出して、
対話をする。
それから三番目には、見るということで、
公社に入る前に
地方回りをやりました、北陸、東北、九州、四国といったようなところで。行くと、
二つ三つの県をまたいでいろいろな住民の方とお
話し合いをする、こういうようなことをやりまして、そこで、入る前にできるだけ
問題意識、
先生のおっしゃった
問題意識を持ったわけであります。
郵政事業というのは、官ではあるんだけれども、実は
市場で
事業をしているということなので、
市場にあって
サービス業をしている以上、それを
認識して
合目的に機能しないとなかなか将来
展望が開けない、この辺が随分欠けているな、一〇〇%官ですから、それはやむを得ないので責められないのですけれども、そこに大きなギャップがあるなというのを感じまして、このままいっちゃうとこれは将来の
国民負担に通じることになる
可能性があるので、これは何とかせないかぬなというのがまず感じたことでありました。
それがまさに、
インフラとして
意識と
文化の
改革が必要だということで、これは、
公社へ入ってからさらに声を大にして、今も言い続けているところであります。
今度は、
事業別に簡単に見ますと、
郵便はもうよく言われておりますように、ゆう
パックが、もともとはほとんど
自分でやっていたのが、シェアが五・七まで落ちちゃって、もう普通の
民間なら敗退している
数字なんですね。これは大変だ、これを何とか踏みとどまらないと、
定形外、
メールもだめになりますし、ひいては
通常郵便が
コスト高になりますから、値上げに通じますから、これは、まずそこで何とか歯を食いしばるべきであるということで、ターゲット10というのにつながるわけですが、
郵便の問題、なかんずく、ずっと来ている
赤字構造をどうやって
黒字構造に変えるか、これは入ってから大変だなと、非常に重い
思いをいたしました。
それから
貯金の方は、
国債金利が市中
金利よりも高いという、
先進国で
日本だけがある非常に奇異な
状態に今なっていますけれども、それをベースに、かつ
金利の
動きが極めてなだらかというところでかなり健全にいっているわけなので、これは将来的に大きな問題をはらんでいる、にもかかわらず、ALMが規制でほとんど硬直化しているので、これをどうしたらいいんだろうと頭を痛めましたし、
公社へ入る前から、何とかやって
市場を活性化するために
郵便局で
投信を売るべきであるという主張をしていたんですけれども、たまたま中へ入れていただいたので、これをやらせていただくと
日本の
経済のためにもいいし
公社の役に立つなというふうなことを感じ、それから、
保険がもうまさに
市場性を失う商品ばかりになっていまして、貯蓄型ですから、田舎回りしますと、
地方回りすると、
生活インフラとしてみんな
保険をお掛けになりたい、
郵便局に行くしかないのに、
市場で
皆さんが買えるようなものが買えない、何とかしてほしいというのを感じまして、これも中へ入ってから何とかせないかぬと感じた、そんな感じで中へ入ってまいりました。
あと、簡単に入った後のことを申しますと、対策としましては、わかりやすい
経営をと
思いまして、
経営ビジョン三つを即日出しまして、一番目は、
真っ向サービスと言っておりますけれども、
国民の
利便性を維持向上するということと、二番目に、
事業の
健全性をつくる、整備する、
郵便も何とか
黒字にする。三番目に、
職員、やはり
事業は人ですから、大変重要です。
職員に将来
展望と
働きがいをという
経営ビジョンを出し、
行動憲章をつくる。それから、
経営戦略体制をとるということで、
本部制と
委員会制度をとる、ほかにもいっぱいやっていますけれども、と同時に、実際に何をやるか、
アクションプランというのを二年
刻みでつくりまして、
数値目標と、何をやるか細目を出すということをやりました。
実は、非常に私のうれしい発見だったことは、
職員が、一〇〇%官で来ていて、
サービス業というのは表面的にはよく
理解できていなかったんだけれども、実は心の中では
理解していたんですね。それはそうなんです、やっていたわけですから、
サービス業を。入ってきてそれをわっと広げた途端に、そうだということで相当早い時期にみんなが結集してくれて、もともと優秀な連中ですからどっと走り出してくれたというのが、私としては非常にありがたかったことであります。
組織も、本支社にまたがって、官庁型から
管理部門を
思い切って縮小して
事業展開型にする。それから、
郵便は
黒字構造転換にチャレンジ、これを大
目標にして、ゆう
パックは、五・七なんというのはもう敗退の
数字だからせめて一〇まで持っていこうということで、今は七%ぐらいまで来ているんですね。それでも
民業圧迫と言われるんですけれども、これは生き残りなんですね、実は。それから、国際にも出ようということを準備しております。
それから、
郵貯、
簡保はやはり普通の
銀行と同じではいけないわけなので、
地方も含めた御家庭の、非常に親しんでいただける
ファミリーバンクになろうということで、独創的な個性を求めた今研究をいろいろしております、具体的なことは省きますが。
投信の販売もおかげさまで認めていただきまして、
市場にも役立つし、
公社も副次的に役立たせていただけるということになりました。それから
生命保険の方も、御了解をいただきまして「ながいきくん」という二倍型、五倍型の
定期付終身保険を出させていただくということで、辛うじて激減に歯どめがかかりつつありまして、まだ減っていますけれども、緩和している程度ですけれども、少なくとも田舎、
地方の
方たちに、やっと
生活インフラで使えるのができたねと言っていただけている
状態であります。
さらに、
JPSということで、
郵便物の
区分を中心とした、配達も含みます、
生産性向上運動をやっておりまして、これは今
郵便にかかわらず、その無理、むだ、むらを排するという理念は全
事業に
展開中であります。
区分の方だけに限って言いますと、
生産性向上はことしじゅうに一五%アップするはずであります。それから
購買費なんかは、
一般公開競争入札、これを大原則にいたしまして、
随意契約をやるものは
説明責任を持って
委員会に出すということをやった結果、現在のところ、
長距離輸送なんかは三三、四%減っておりますけれども、全部押しなべますと二二%の削減ができているというふうなことであります。
最後に申し上げたいのは、そういったことで、
職員の努力によりまして、
アクションプラン・
フェーズ1、
平成十五、六年、二年の
数値目標は若干上回る形で達成させていただきまして、
大変皆さんの御支援を感謝しております。要員が二十八万から二十六万に減りましたけれども、
組合とはもうしばしば話しまして、全く波乱なしに
理解ずくでこういう調整ができたということもありがたいことだと思っております。
ただ、達成したんですけれども、いつも申し上げるように、
利益率というところで見ますと
市場の
同業他社からは相当劣りますので、これは、今の
公社法の枠内では改善がほとんど難しいので、今後の大きな
課題だと思っております。
それで、今
フェーズ2に入っております。
フェーズ2では、
文化の
改革をさらに推進するということと、
郵便、単年度で二年間やっと
黒字を出しましたが、何とか構造的に黒になるようにしたいということと、
郵貯、
簡保の
ファミリーバンク機能をさらに具体的に高める、こういうつもりでやっております。