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麻生国務大臣 基本的には、
山口先生の場合も
商売をしておられた
経験から、
実業の
世界から
虚業の
世界に入ってきておられますので、ですから……(発言する者あり)それは
実業と
虚業と言うじゃないですか、昔から。
実業じゃないことははっきりしているんだから。だから、そういった
意味で、
商売をしてこられた
関係でよくわかっておられるという
前提でしゃべらせていただかないと、
複式簿記もわからぬ人が世の中にいっぱいいますから、そういった
方々の話と
商売の話となかなか一緒にならないところがこの話を非常に難しくしているんだと思います。
基本的には、やはり
山口先生、
郵便事業というものは、これはユニバーサルな
サービスとしてやらねばならぬというルールがIPUによって決められておりますので、これはやらないかぬということになっておるんですが、それを取り巻いております環境は、
郵便は年々絶対量が減っております。
減っております
理由の大きな
理由は、多分、いわゆる
少子高齢化とかいう
人口減の問題も将来的にはさることながら、目先はやはり、いわゆるインターネットだ、
IP電話だ、その他
PC、
PCというのは
パーソナルコンピューターとか、iモードとか、いろいろな
情報通信技術の
進歩によって数量が減っておる。よく二%、二・五%と言っておりますが、あれはその他の分がふえてトータルで二・五ですから、実際はもっと減っておるという
数字なんだと存じますが、そういうものが出てくる
状況になると、長期的にはこれはかなり厳しいものになるであろうなということははっきりしているんだと思います。
そういう
状況の中にあって、それならば今のうちにしておくか、いよいよ赤になってからやるかというところが一番
意見の分かれるところですが、国鉄と
NTTの例を見るまでもなく、早く対策を打った、
国際電信電話公社を初め、
電電公社が
NTTに変わった、こっちの方は
技術進歩に間違いなく追いつき追い越して、今、少なくとも
ブロードバンド世界の中においては
世界最速、
世界最低料金。あれが
電信電話公社のままだったらいけたか、今どきまだ
黒電話でこう回していることはないとは思いますけれ
ども、少なくともそういうようなものは
進歩に追いつけていたであろうかといえば、私は甚だ疑問だと思っております。したがって、
早目に手を打つということが大事というのが、今というものの大きな
背景だと思っております。
そこで、
民営化を仮にした場合において、
デメリットとしてよく言われるところが、
中井先生初め、私
どものような
地方はかなり
人口減を抱えておりますが、埼玉と違いますので……(発言する者あり)だから、そういうところはよろしいのかもしれませんが、私らのところはかなり減っているところですから、そういったところに住んでおります者にとりましては、少なくとも景気のいいころと違って、
地方の信用金庫、信用
組合等々がなくなり、もしくは吸収され、
支店が閉鎖され等々によって、
金融関係の、いわゆる恩給の振り込み初め、いろいろなものができにくくなったところが過疎化し、かつ高齢化しているという
状況に対応するのに、
郵便局がなくなるのではないかということが一番御心配なんだという点が、今言われております、二点目に言われた点だと存じます。
私
どもは、これは、一番の考えないかぬところの
一つとして思っておりましたので、少なくとも、
郵便局は
維持かつ
サービスをくっつけないかぬというところなんですが、
銀行と
金融、
銀行関係、
保険関係で言う
金融を国が
保証してやるというのであれば、これはいわゆる
定額貯金等々をきちんと今までどおりやるというのでは
民営化ということになりませんし、少なくとも
国営銀行ということになりかねませんから、その分は、
郵便局というものを運営するところとこちらのところとの間に、きちんと
サービスが
維持されるような
保証がされない限りは、単に
郵便局が残っても
意味ないではないかという御
意見なんだと存じます。
私
どもも全くそうだと思いますので、その点に関しましては、少なくとも元
会社でありますこの
郵便貯金銀行という、
支店を全く持っていない、金だけ二百何十兆持っておる
銀行と、
支店だけ、
郵便局として二万四千六百七十八の
支店が今、
現状ありますけれ
ども、これとの間の、元請同士で少なくとも
契約をして、きちんとその
支店もやっていただけるという条件で
代理店契約を結ぶということを考えました。
そして、その結果として、例えば私のところの嘉穂町の山の上の方にあります
郵便局は、今
人口がどんどん減っておりますから、そういったところでは
維持が、その点だけ見れば多分
赤字なんだと思います。その
赤字の分はその他の
黒字の分で埋めるわけですから、全体としては
赤字が一局、二局出てこようと、百局出ようと、その他の分で少々
黒字でありさえすればその分は埋められるという形にしておきませんと、少なくとも
契約自体のもとからいかなくなる、これがまず第一点です。そこを
保証するための
代理店契約を考えました。
そしてもう一点の方として、
支店を持っていないこちら側としてみれば、二百二十兆という
資金の運用を考えないと、これは成り立たぬわけですから。今までは国として、
定額貯金という名の
政府保証のついたものがずっとあるわけですが、
政府保証は
平成十七年度からなくなれば、
政府保証がないということになりますと、これは純減していくであろうと思われます。どれぐらい純減するかは
予想の
範疇で、
予想でうかつにしゃべれませんけれ
ども、減っていきますので、その減った
部分は、私
どもとしては、それは貸し出せる、自分でその金を使って
資金を運用できる
範疇以外預かるべきじゃないんです。預かった場合はもうからなくなりますから。
したがって、少なくともそれを動かせる
範疇でお金を借りる、預かる、そしてそれで運用するということになるんだと思いますが、その運用できる範囲は、少なくとも、私
どもとしては極めて、今のままで何十兆円というような
お話がよくありますけれ
ども、それが果たして可能かと。
融資もしくは審査するだけの
能力があるかといえば、私は、今の
郵便局にあろうはずがないと思っております。
その分は人様を、
民営化された段階で人を採用して、
融資をやってこられた
方々で定年になられた
方々、有能な方がその地域にいっぱいおられますから、その
方々に対しては、どういう人が優秀だったか、
特定郵便局長初め皆よく知っておられますので、その
人たちがその
人たちを雇って、そして
融資をされる。また、
信用調査能力等々は
特定郵便局長さんよく御存じですから、そういったものも使われてやっていかれるというようなことを含んでやっていくということは、私
どもは決して不可能ではないと思っております。
ほかに、
シンジケートローン、いろいろあろうと思いますので、何も特別、個人の貸し付けには限りませんから、そういったものもあろうと存じますので、私
どもとしては、そこでやれるのではないかということだと思います。
加えて、今、
郵便というのは、二万四千六百七十八の
支店と、少なくとも、
職員で二十六万二千人、ゆうメイトが十一万七千人、足して三十八万九千人、正確には三十八万八千六百人なんですが、その
人たちの持っております、いわゆるこれまでの極めて
意識の高い、そういった
従業員の
意識というものは大事にしていかないと、何となく官だったから頑張った、しかし民だったら頑張らないというような話ではそれは困りますので、やはりきちんと
組合等と、これは
職員とまた
組合員とは違いますけれ
ども、全逓、今JPUか、全郵政、いろいろな
方々がいらっしゃいますので、ほかにも
組合はありますし、そういった
方々ときちんと、
民間になった後もやっていける、そういった
一体感というものをどうしてもつくり上げるということは大事なところで、これはもう
経営者の手腕によるところが極めて大きいとは思いますが、
組織形態としても
一体感が持てるか持てないかというのは
従業員の
意識として非常に大事なところだと思いますので、私
どもは、その点もすごく考えたところでもあります。
いずれにしても、
民間になりました後、私
どもにとって一番肝心なことは、私は、その
民間会社が
利益を出し得るか出し得ないかだと思っています。
民間である以上、これは間違いなく
利益を出さなければ成り立ちませんから、そういった
意味では、いかに
利益が出せるような体系、
形態にするかというのが
政治という
部分に与えられた大きな
部分であって、できる
枠組みでないとわかれば、それの
経営を引き受ける
経営者がいなくなると思います。これは頑張ればやれるという
組織形態につくり上げるというのが大事なところで、それまでが私
ども政治家の仕事なんだと思ってこれまで
努力をさせていただいて、それなりの
目安が立ってこの
法案を提出させていただく経緯になったというのが
背景です。
今考えられておりますのは、三つの
事業のほかに、自由化されればいろいろな新しい
事業ができる。その新しい
事業というものの中に
海外事業もあるでしょうし、いろいろなものもあろうと思いますが、それは十年間の間にいろいろ
努力をされることもありましょうし、また、それまでの間にある程度
準備をしておくことも必要であろうと思いますが、そういうものを
一つ一つきちんと積み上げて新しい
分野に
商売として出ていくということが肝心なことなんであって、今まではできなかった、しかし、これだけの
組織網とこれだけの優秀な人材を、物流を含めていろいろあろうと思いますので、そういったものをきちんとやっていくというような
自由度が新たに与えられるということによって
労働意欲がわく。少なくとも給与が上がるかもしらぬ、コストが下げられるかもしらぬ、それによって
郵便の値段を下げ得るかもしらぬと、いろいろなことが考えられるのであって、これはかかって、それから後の
経営能力とか
経営の姿勢の問題とかいろいろなことが考えられるんだと思います。
少なくとも
メリットと言わせていただければ、そういった新しい
事業に出ていくことによって、将来の
マイナス部分を補えるであろうと思えるのが
メリットでありまして、
デメリットとしては、いろいろな
意味で、これまで何も考えずに、国に預けてあるんだから大丈夫だという感じだったものが、一千万円以上のものにつきましては、その分に関しましてはペイオフ等々のいろいろな問題がありますので、そういった問題というので、余りその種のことを考えずに預金してこられた、貯金してこられた
方々に対して不安を与えているというところが問題なんであって、そこらのところは今後私
どもは丁寧にきちんと
説明をしていく
責任があろうと思っております。
大体申し上げられることは、物すごくこれだけ大きな四十万人近い人の
会社の運営、
経営をやった
経営者、
経験者は日本人にはいませんから、そういった
意味では非常に大きな問題だと思いますので、私
どもとしては、機能的にやっていくためにも、いろいろなことを考えてこの案を提出させていただいたというように御理解いただければと存じます。