○中川正春君 中川正春です。
民主党・無所属クラブを代表して、
質問をしていきたいというふうに思います。(
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まず、
質問に入る前に、先ほど、今回の
国会の混乱についてのコメントがありました。これは、問題をごまかしてはだめだと思うのです。本来の、今回の
国会の混乱については、すべて自民党に責任があります。(
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橋本元
総理は、
国民に対して
説明をする責任があるんです。それに対して、
国会は調査権を持っております。そのみずからの調査権を自民党国対が否定をしていくような今回のこの
運営については、猛省を促したい。私
たちは断固闘っていくことを改めて表明をしていきたいというふうに思います。(
拍手)
特に、今回は、
税制改革という
観点から
質問をしていきたいというふうに思います。
最初に、
税制の
基本的な
見直しを前提とする今
国会の重要
課題について、
総理並びに
関係大臣に
お尋ねをしていきます。
まず、
三位一体であります。
去年から続いているこの問題に対しての混乱、これも、改めて言えば、
小泉総理が無責任な問題提起をしたということにあります。国の形を変えていくような大きな
改革については、第一に、
関係する
地方自治体に対して最終的にどのような
財政基盤を保障するのかということを示すこと、これが大事です。ここをはっきりさせなければ、
改革に対する不安のみが先行して、皆が削られる、この問題を削られるというときに、腹がしっかりせずに迷い込んでしまうということになるわけであります。
今回の小泉政権による
三位一体論は、このプロセスとは全く逆になっておりまして、まず、国の
補助金や
負担金を削ることから
議論を始めております。削られることだけがはっきりしていて、後にそれがどのような形で個別の
自治体に
財源保障されるのか、これが提示されなければ、
関係者は慌て、個別案に反対することで右往左往してしまう、これは目に見えているわけです。
具体的に
質問をします。
国の基幹税のうち、
所得税、
消費税、そして
法人税の何割をどのような形で
地方税に移譲するのですか。さらに、今回の暫定的な
所得譲与税による
財政補てんは
地方の格差を広げるということもあります。
地方交付税に頼っていない東京のような
自治体のひとり勝ちになってしまうわけであります。東京などの自主
財源の大きい
自治体から
財源を
確保して
地方に調整資金として分配をするような、
地方交付税にかわる仕組みをつくることが急務だと認識しますが、見解をお伺いしていきます。
次に、年金
改革の問題があります。
去年の参議院選挙で
国民が最も注目した年金の問題の争点は、はっきりしておりました。年金のシステムそのものを根本的に見直すべきか、それとも、現在の仕組みをそのままに、保険料を
引き上げて給付を引き下げるということでいいのか、こういう二者択一の問題であったわけであります。
国民は、問題の本質をここでとらえました。その不安と不公平を解消するために、年金の一元化という手法を中心に、現在の年金システムを持続可能な新しい
制度にシステムとして大
改革をしていくべきだ、こういう結論を出したわけであります。
私
たち民主党は、所得比例による保険料と、
消費税を
財源とした最低保障年金の組み合わせによって公的年金を一元化する新しいシステム
改革案を出しております。
政府・与党は、なぜ、
小泉総理自体も同意をしている一元化を前提としたシステム
改革案をここに出してこないのでしょうか。
こうした
議論が何回も繰り返されてきたわけでありますが、それにもかかわらず、具体的な提案がないことの原因は、ただ
一つ。
小泉総理、あなたが、自分の任期の間は
消費税を上げることはしないと早々に宣言をし、
消費税に関するトータルな
議論を封印してしまったということにあります。
政治決断を怠り、官僚の内向きの
議論だけで年金問題を解決しようとすれば、お金が足りないから保険料を
引き上げて給付を引き下げよう、そういう結論にならざるを得ないのであります。その結果、年金システムの破綻は早められ、
国民の将来不安はますます大きなものになっていきます。
総理、この際、
消費税の将来あるべき姿も含めて年金のトータルなシステム
改革プランを
政府から提示させること、これを改めて求めます。(
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以上の問題を指摘した上で、今
議題となっております
所得税の
定率減税縮減の問題について
質問をいたします。
まず、この問題について、私
たち民主党は、明確に反対を主張していきます。
理由は、三つあります。
第一に、五年前にこの減税が実施された
趣旨は、六兆円の恒久減税であります。故小渕
総理の
もとで時の自民党政権が打ち出した
政策が、
所得税を構造的に下げようという意図で恒久減税という、この表現が使われました。だから、
定率減税だけでなく、高額所得者の最高税率も同時にあのときに引き下げられているのであります。
今、それを戻すとすれば、ここで
所得税の
基本的な構造問題が
説明をされなければなりません。さらに、このときに同時に実施された高額所得者の最高税率についても戻すのかどうか、改めて
議論をされる必要があります。そのことがなければ、今回の
定率減税廃止は、金持ちの減税はそのままで、サラリーマンを中心とする中低所得者層をねらい撃ちにしている
増税にほかなりません。これでは、金が足りないからと取りやすいところから取るだけの話であります。
小泉総理、この矛盾をどのように
説明されますか。
第二に、今回の
増税議論の背景になっている
景気の持ち直しについて、
政府の判断は間違っているのであります。
社会保険料の
引き上げや
所得税控除の減少で勤労者の可処分所得は既に減少している、そのところに今回の
定率減税がさらなる追い打ちをかけています。さらに、東京で感じる景況感と疲弊した
地方において感じる
景気の
状況、これは
基本的に大きな開きがあります。また、国際的なマーケットを相手にリスク分散できる大
企業と、国内の構造的な変化に適応しかねて立ち往生している
中小企業とでは、
景気に対する見方が百八十度違います。言いかえれば、小泉政権がつくり出した日本社会の亀裂、勝ち組と負け組の開きが、いまださまざまな社会の矛盾を生みながら、その差を大きくしている
状況が続いていると言えるのであります。
そこに
増税を強いれば、
景気と社会矛盾はさらに大きくなり、そして、与党
税制大綱にも、
景気動向を注視し、
見直しを含めて機動的、弾力的に対応するとありますが、その社会矛盾に対して危機感を持って即刻
見直して、この
増税を中止すべきだと主張していきたいと思います。(
拍手)
第三には、
増税をする前に、
歳出の削減をして、むだ遣いを徹底してなくすということが
国民の意思であります。
国民に税の
負担を求めるときに、その前提となるのは、政治、行政への信頼であります。税のむだ遣いが本当に解消されるのか、
国民は厳しい目で審判を下そうとしています。民主党が今回発表した独自の
予算案では、基礎年金の国庫
負担分は
増税で賄うのではなく、公共
事業を中心とした他の
歳出予算の削減から捻出することをまず出発の第一歩だと主張しております。最初から
増税では、
国民の
理解は得られるはずがありません。
現に、会計検査院から指摘された去年の税のむだ遣いは、その額が過去二十年間で最高のものとなっております。特別会計にどうしてメスを入れないのですか。独立行政法人は焼け太り。
政府予算の中では、従来の大型公共
事業が大手を振って復活してきております。
総理はどのように
国民に
説明するおつもりなのか、
答弁を求めます。(
拍手)
定率減税について、
最後に指摘をしておきます。
これほどに
国民生活に大きな
影響を及ぼす法案を、今回のように他の
税制改正案と一括にして、日切れ法案として厳しい時間的制約の中で
審議を求めるのは、
国会が
国民に対して十分な
審議を尽くすという意味で責任を果たしていないと思うのであります。私
たちは、この
定率減税の
縮減については、他の
所得税法等の
改正項目から独立をさせた独自の審査を求めます。(
拍手)
この際、
所得税について全体の
議論をしておきたいというふうに思います。
民主党は、来
年度の
予算編成の中で、少子化対策と
国民の新しいライフスタイルへの適合を目的として、
所得税の諸控除につき根本的な
構造改革をすることを提案しております。具体的には、配偶者控除、特別配偶者控除、そして扶養控除の
廃止をして、そこからの
財源である三・六兆円を、子供一人当たり平均一万六千円、これを中学校卒業時まで各家庭に支給するという
内容であります。
もう一方で、家族単位の
税制が働く意思を持った女性の社会進出を阻害してきたという問題があります。これを、個人を中心にした
所得税の構造にしていくことで、私
たちは、日本社会全体の
活性化を図ろうとしております。
同時に、私
たち民主党は、
資産投資に対する損益通算も前提にして、流動性所得と合算した形での総合所得
課税化に向かって大
改革を提唱しているのであります。前提となる納税番号も、個人情報の管理に配慮し、税の目的だけに限った形で早期に
導入をすべきだということを主張してまいりました。
今回のように、
政府が小手先の
所得税改革を続ける限り、現実の社会構造からかけ離れてしまって、
税制度の矛盾はますます大きなものになっていくだけであります。
改めて
財務大臣に聞きます。本来の
所得税のあるべき
改革の姿について、
政府にビジョンがあれば、それをここで
説明してもらいたい。同時に、来
年度の日程も含めて、具体的な
改革案の
国会への上程スケジュールについてもお答えをいただきたいというふうに思います。
最後に、NPO
税制について触れておきたいと思います。
現在、日本では、約二万に上る認証を受けたNPOが活発に活動しているにもかかわらず、寄附金が所得控除の対象になる認定NPOの数は、何と全国で二十六団体であります。この惨たんたる結果は、法律の成立過程で私
たちが何回も指摘をしてきたとおり、税金を取り立てる側の税務署、国税庁がNPOに対して認定権限を持っていることが問題なのであります。早急に認定機能を第三者機関に移すべきだと思いますが、
財務大臣の見解を聞かせていただきたい。
また、アメリカでは申請団体の約八割が認定NPOとして認められているようでありますが、日本では最終的には何割くらいの認定
目標を設定するのか、これも同時に答えていただきたいと思います。(
拍手)
十年前の阪神・淡路大震災以来、大
規模災害が各地で続発してきましたが、今では、各種NPOやボランティアの活動なしには到底その困難を乗り切れないほどに、日本の社会は大きく協働の世界に依存をしております。それだけに、我が党は、せめて最近の新潟やスマトラ沖等における大
規模災害を国で認定し、その範囲の中で、貢献をするNPO団体に対してもたらされた義援金や寄附金を寄附者が所得控除できる道を広くつくっていこうという
特別措置法を準備しております。これには、ぜひ与党の皆さんにも……