○小林(千)
委員 民主党の
小林千代美です。
行刑施設の法案について
質問をさせていただきます。
この大
改正の法案審議に当たりまして、この間、私たち
民主党も、
法務委員のメンバーだけではなくて、
民主党所属の多くの衆参国
会議員がこの問題に取り組みまして、全国の
矯正施設に飛び散りまして、現場の視察を行ってまいりました。その件につきましては、
矯正局の皆さんにも、そして、所長初め現場の皆さん方にも大変お世話になりまして、ありがとうございました。
私も、去年、
法務委員のメンバーになりましてから、
大臣ほどではないですけれ
ども、数えてみたら六カ所、
矯正施設を、全国を視察させていただきまして、また、来週の水曜日でしたか、
法務委員会でも視察に行くことになっております。私も、全国
幾つか
矯正施設を視察してきましたので、その感想を含めて、今感じていることを冒頭に申し上げたいと
思います。
行った中で、一言で言えば、とても抽象的で申しわけないんですけれ
ども、やはり雰囲気が随分
刑務所の
施設によって違うな、においが違うなというのも同時に感じてまいりました。
例えば、L級、長い期間入所する人が入っている専用の
施設ですとか、若い人の、Y級のための
施設ですとか、あるいは犯罪傾向の進んだ者の
施設、あるいは初犯の者が入っている
施設、そういった
施設の特徴というのも大きく原因になっているのかもしれませんし、
受刑者の平均年齢といったことも一因にあるのかもしれません。しかし、それだけでもないと思うんですよ。元
受刑者の話ですとか伺いますと、
刑務所によって随分
処遇が、この
処遇というのは大変大きな
意味ですけれ
ども、
処遇が違うという声も実際に上がっているところでございます。
また、
刑務所内の
職員の人事異動というものが現場の段階では余りないということを伺いました。つまり、刑務官としてある
一つの
刑務所に入職をする、就職をする。そこで例えば三十年間なり過ごしていく。私が視察をしたあるところの部長さんですけれ
ども、彼はここで勤続三十年近くおりますので、ここの
刑務所の生き字引のような方です、この方に聞けばここの
刑務所のことは何でもわかりますというようなことを言ったところもあるんですけれ
ども、余りそういった
刑務所同士の交流というのも、もちろん所長さんは何年かで転勤というのはあるでしょうけれ
ども、現場の段階として余りそのような風通しのいい環境でもない。
また、
施設によって、いろいろと
処遇というところも違ってきている。それは、現場の裁量が、任されている範囲がとても大きいからこのような差が全国の
施設であらわれてきているのではないか、このように感じたところでございます。また、上意下達の組織の中で仕事をしておりますから、なかなか現場の刑務官が上司に物を言いにくい
体制であるということも指摘をされているところです。
私が行きましたある
施設では、投書箱というものがありまして、これは、
受刑者ではなくてそこの
職員、看守ですとか
職員の方が上司に対して匿名で物を言えるというシステムがもう何年も前からあったそうなんですけれ
ども、一回しか使われたことがなかったそうです。それでもそこの所長は、それでもその一回というものは、批判的な意見ではなくて、こうしたらどうですかという建設的な意見でしたよというふうに胸を張っておっしゃったんですけれ
ども、それは逆に、投書箱はあっても言えないような雰囲気なのかなというのを逆説的に思うところもありまして、この現場の裁量に任されているという実態が、今現実としてある。
そして、今回のこの法案の中身を見ましても、あらゆるところに、省令により定めるですとか所長の権限というものに任されているところが数々ありまして、これで本当に、今回
法改正をしてどれだけ現場に徹底できるんだろうかなというところは、現場を視察して率直に疑問に感じたところでございます。
それともう一点、視察の感想を述べさせていただきます。
私は、今回の視察の中で、特に医療面に注目をして視察をしてまいりました。私は北海道選出なので、北海道の帯広
刑務所と釧路
刑務所というのをこの二月の末に視察をしてまいりまして、北海道は、通常の社会の中でも地方の、僻地の医師不足というのは言われているところなんですけれ
ども、言わぬもがな、この
刑務所内でも医師がいない、無医村というような現状になっておりまして、ちょっとそれを
報告させていただきたいと
思います。
帯広は、二月の二十一日に行ってきたんですけれ
ども、そこも医療職として定員は一名いるんですけれ
ども、欠員状態になっている。非常勤として、週三回、医師が来てくれている。そんな中で、数年前に
自殺未遂者が発生をしたそうです。そのときには、
自殺未遂ということになって、状態が余りよくなかったので医療
刑務所へ
移送をすることもできなかったから、近くにある、連携をしている民間の
病院に三カ月間入院をさせたそうです。そうすると、先ほど入院時の
職員体制の話がありましたけれ
ども、三名が二交代でその三カ月間つきっきりになってしまった。つまり、六人工とられてしまったわけなんですね。ただでさえ
職員不足で大変なときなのに、このような現状になってしまっているという
報告がありました。
もう一カ所行きました、釧路ですね。二月の二十八日に行ってきたんですが、ここも
平成十三年の三月から四年間、医師が欠員、全く医師が来ていない。そして、非常勤として一日一時間半、週三回民間の医師に来てもらっているという医療
体制を組んでいるところですけれ
ども、そこの釧路も、ことしに入って、二月の二十八日までにですから二カ月間で三名の入院
患者が発生をしていて、同じように
職員をとられてしまっている。また、通院はしょっちゅうあるような状態になっている。そのたびごとに人工をとられるということになっている。
これは帯広と釧路だけではない、全国どこの
矯正施設でもこういった外部の医療機関への通院、入院というのは日常茶飯事のように行われているということを聞きまして、医療を充実させることというのは緊急の課題だなというふうに感じてまいりました。
そこで、
大臣、先ほど
施設を見た感想を言っていただきましたけれ
ども、医療の経験を
大臣もお持ちですので、
刑務所内あるいは
矯正施設内での医療
体制を、現場を視察になられて、もし御感想があればお伺いしたいと
思います。