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伴野委員
大臣、いよいよ始まりましたけれども、始まったかなと思い出したら、どうも何か波浪警報が出ているようでございまして、いろいろなところでちょっと波高しになってきたみたいで、
大臣とお会いできるのも次はいつの日になるかなと思いつつ、きょうはしっかり
質問させていただければな、そんなふうに思うわけでございます。
きょうは少し理念的なことも含めていろいろお聞かせいただければなと思うわけでございますが、今の日本の置かれている状況、それから、今後この国が五年、十年、いやいや三十年、百年、どちらの方向へ行くのかというようなお話と、世界の中の日本、あるいは小泉構造改革がもたらす
社会の変化、それらに対応して
法務行政としてどうあっていただきたいか、そんなところを創造的に、建設的に
大臣と議論をさせていただければ、そんな思いでおりますので、どうぞよろしくお願いいたします。
そうした中で、小泉総理がこの四年半どんな政治的メッセージを発していらしたか、少し私なりに検証してみました。就任されて早々、聖域なき構造改革、
大臣も覚えていらっしゃると思いますが、正直言って、我々の世代はこの
言葉に期待もいたしました。そして翌年からは、構造改革なくして景気回復なし、さらには、民間にできることは民間に、地方にできることは地方に、最近よく使っていらっしゃる
言葉は、改革の芽が出てきた、大きな木に育てよう。大きな木がどんな木かよくわからないんですけれども、正直言いまして。スローガンとかワンフレーズで訴えるということに関しては、私も勉強させていただくことが多いわけでございますけれども、ある意味、逆説的に、この四つのフレーズでこの四年半やってこられたすごさということに驚いております。
そして、今どうなっていくのかなというこの小泉構造改革、一口で申し上げて、私は、少し経済、財政の事柄に偏重していないのかな、少し近視眼的になっていないのかな、中長期展望がどこにあるのかな、少し感性的な言い方を申し上げれば、光と熱がなさ過ぎるんじゃないかなという思いをしております。
光というのは、ビジョン、展望でございます。指し示す大きな方向性でございます。熱というのは、温かさやぬくもりとか、ほっとできる空間、そんなようなことに言いかえることができないかと思うわけでございます。
これはこじつけかもしれませんが、昨今、人間のしわざとは思えないような
事件、事故、午前中も与党の委員の方々が御指摘されておりましたが、人のしわざとは思えない残念な
事件が続いている。小泉構造改革がもたらす一定の方向性の中で言えることは、できるだけ自立できる人は自立していっていただこう。逆説的な言い方をすれば、少し弱肉強食になっている面がないか、格差が広がっていないか。
確かに、ルールはグローバル化していくんだけれども、どうしてもそのルールになじめない、あるいは自立できない、陰のところに落ちてしまう
人たち、そういった
人たちに、先ほど申し上げた光と熱を与えないと、今問題になっている、人とは思えない
事件を未然に防ぐことはできないんじゃないかな、これは私なりに思っております。
大臣の御世代の方々が戦後頑張ってこられたこの経済を中心とした復興、高度成長期を迎え、経済大国にしていただきました。ジャパン・アズ・ナンバーワンという時代もありましたが、残念ながらバブル崩壊をし、ではまず何からやり始めようというところで、確かに近視眼的には、経済、財政を中心とした立て直しというのはわからないでもありません。しかし、人間は経済だけで動いているわけではありません。効率を突き詰めれば突き詰めるほど、人間らしくなくなってしまうところがございます。
人は、先ほど申し上げたように、生きていくために光と熱が必要です。必要なゆとり、余裕、遊び心まで省いてしまっては、後から
考えたときに、ちょっとした余裕、むだがあった方が人が人として生きていくためにはよかったのではないかなということにならないためにも、ぜひきょうは、この
法務行政の管轄だけは経済が中心ではなく人を中心にしていただくような、そんな展望を
大臣と一緒に
考えさせていただければ、そんなふうに思っております。
ルソーは自然に帰れと申しました。人が今タブーを破っているような気がしてなりません。BSEの問題もそうでございます。午前中話題になった、幼い子を性の
対象にして見る、これは人間的に
考えたらタブーでございます。そこに手を突っ込んでしまう人、私は、人間回復が求められているのではないかな、そんなふうに思うわけでございます。
そういった中で、小泉総理一人を批判してはいけないんですが、残念ながら、小泉総理が発せられる政治メッセージの中に、今のこの現状を踏まえた
法務行政のあり方、あるいは今後
法務行政が
考えていっていただくその道筋になるものにお触れいただいていないのじゃないかな、
法務行政に本当に興味がおありになるのかな、
人権に興味がおありになるのかなと疑わざるを得ません。
きょうは、まず
大臣に、
大臣就任当時もいろいろ御指示があったかと思いますが、今
国会を迎えるに当たり、新たに御指示いただいたことでも結構でございます、小泉総理が御自身の
言葉でどんなことを
大臣にお求めになって、指示あるいは激励があったのか、まずお聞かせいただきたいと思います。よろしくお願いいたします。