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島村国務大臣 森林組合法の一部を
改正する
法律案につきまして、その
提案の理由及び主要な
内容を御説明申し上げます。
森林所有者の協同組織である森林組合は、
我が国の森林整備の中核的な担い手として、森林所有者の経済的社会的地位の向上を図るとともに、森林の保続培養及び森林生産力の増進に寄与してきたところであります。
一方、近年の森林・林業を取り巻く情勢は、木材需要の減退、材価の低迷等を反映して、林業生産
活動が停滞し、管理が適切になされていない森林が増加するなど、極めて厳しい
状況にあります。
このような中、森林に対する国民の多様な要請に的確にこたえ、その有する多面的機能を持続的に発揮させていくためには、森林の適正な整備及び保全を図ることが不可欠であります。特に、本年二月に発効した気候変動枠組み条約の京都議定書に定められた温室
効果ガス削減の国際約束を、
我が国が着実に履行するためには、地球温暖化防止森林吸収源対策の柱をなす健全な森林の整備、国民参加の森林づくり等を
推進していくことが喫緊の
課題となっております。
このような
状況を踏まえ、
我が国の森林整備の中核的な担い手である森林組合が、将来にわたりその機能を十全に発揮し得るよう、森林組合の機能の充実と組織
基盤の強化を図るため、この
法律案を提出することとした次第であります。
次に、この
法律案の主要な
内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、森林組合の機能を強化するため、森林の有する教育機能の増進に関する事業を森林組合等の事業として追加するとともに、森林施業とあわせ行う木材
販売事業等に係る員外利用制限を見直すこととしております。
第二に、森林組合の組織
基盤の強化を図るため、森林組合の事業を継続的に利用する木材製造業者等に准組合員資格を付与するほか、総代会における合併等の議決手続の改善を図ることとしております。
第三に、組合員に開かれた透明性の高い、適切な森林組合の事業運営を確保するため、事業別損益を明らかにした書面等の作成及び総会への提出を
理事に義務づける等の措置を講ずることとしております。
続きまして、
種苗法の一部を
改正する
法律案につきまして、その
提案の理由及び主要な
内容を御説明申し上げます。
現行
種苗法は、種苗が
農林水産物の生産に不可欠な基礎的生産資材であることにかんがみ、優良な新品種の育成の
振興と種苗の
流通の適正化を図るため、品種登録に関する制度及び指定種苗の表示に関する規制等について定めたものであります。
このうち、品種登録制度は、植物の新品種の保護に関する国際条約の
内容に対応した制度であり、昭和五十三年の制度発足から現在まで新品種の出願件数、登録件数ともに順調に増加しており、
我が国の育種の
振興に大きな
役割を果たしているところであります。
また、
平成十四年に成立した知的財産基本法においては、
我が国が知的財産を戦略的に創造、保護及び活用することにより、産業の国際競争力を強化し、活力ある経済社会の実現を図る知的財産立国を指向することが明確に示されているところであり、この
法律に基づき決定された知的財産
推進計画にも、植物の新品種の保護の強化が盛り込まれているところであります。
しかしながら、近年、
我が国で登録された植物の新品種の種苗が海外において育成者に無断で利用され、その収穫物が、加工され、育成者権の効力の及ばない加工品として脱法的に
我が国に
輸入されること等の問題が新たに生じており、特色ある品種による産地づくりに取り組んでいる
農業者、産地等への影響も懸念されております。
また、植物の新品種の育成には多額の費用や長期の期間が必要でありますが、現行の育成者権の存続期間では新品種の育成者の利益が十分に確保できない等の問題が生じております。
このような、最近における植物の新品種の育成者の権利をめぐる
状況及び
我が国の知的財産立国の方向性にかんがみ、育成者権の保護の強化を図ることを目的としてこの
法律案を提出した次第であります。
次に、この
法律案の主要な
内容につきまして御説明申し上げます。
第一に、加工品への育成者権の効力の拡大であります。
現在、育成者権の効力の及ぶ範囲は、種苗についての行為及び収穫物についての行為としておりますが、この範囲を拡大し、収穫物から生産される加工品についての行為を育成者権の効力の及ぶ範囲に追加することとしております。さらに、収穫物から生産される加工品について育成者権を侵害した者を罰則の対象に追加することとしております。
第二に、育成者権の存続期間の延長であります。
現在、育成者権の存続期間は、果樹等の永年性植物については二十五年、その他の植物については二十年としておりますが、存続期間をそれぞれ延長し、果樹等の永年性植物については三十年、その他の植物については二十五年にすることとしております。
以上が、これら二
法律案の
提案の理由及び主要な
内容であります。
何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御可決いただきますよう
お願い申し上げます。