○小平
委員 担当官としては、そういうことをやっています、こういうふうに農水省からも協力がありましたと、その答弁の域を脱しないんでしょうね。
私は、くどいようだけれ
ども、このことを申し上げているのは、今回の
法改正は、今、
農地の
集積あるいは
リース特区の問題あるいは
担い手のあり方、これの
改正でしょう。これは結局、これの行き着くところ、突き詰めるところは何かといったら、言うならば、どうやってこの国の安定的な
食料生産に取り組んでいくかということが根底にあるわけでしょう。だから、その前段として、大きな柱なので私は言っているんですよ。
ちなみに、
大臣、今私は自給率、備蓄ということを言いましたけれ
ども、こんな言葉があるのはこの国だけなんですよね。少なくとも、欧米先進国、発展途上国は別にして、韓国なんかも別にして、いわゆる世界の一等国と言われている欧米諸国、先進国で、備蓄とか自給率なんという言葉があるのは日本だけなんですよ。
今自給率のことをカロリーベース四〇%ということを言っていますよね。これだってFAOの資料をもとにして政府が算出した数値でしょう。例えば、イギリスだって、一九七〇年には自給率が四六%しかなかった、これが二〇〇二年には七四%に上がった、欧米でも一番低いイギリスですら。これも政府がつくった資料なんですよね。
だから、アメリカにしてもEUにしても、こんな
議論がないんですよ、自給率をどうこうしようなんという話は。あるいは、備蓄をどうこうなんという、そんな話はないんです、備蓄なんということは。なぜかというと、当然だから。備蓄なんという言葉があるのは、ちなみに、私も、これも政府に確認しましたら、主な先進国の
食料の備蓄数量、備蓄の概要。米国なし、カナダなし、フランスなし、イギリスなし、豪州なし、ドイツ、パン用穀物等一カ月分が目標。なぜそうかというと、先進国においては、政府は、一朝有事の際に国民にそういうパニックですとか混乱を与えないために、自給率の充足、備蓄の安定量、これは当然のことなんですよ。だから、こんな
議論がない。やっているのは日本だけ。その証拠に、欧米諸国は、小麦は完全に、一〇〇%以上つくっていますよ。国内の需要以上につくっていますよ。余ったものは、輸出あるいは援助、古くなれば飼料や肥料に回している。しかし、この国は、米は一〇〇%押さえている、作況が一〇〇超えたら豊作だ、減ったら、九八になったら不作だ。そうすると、稲得とか、
担い手経営安定対策がどうかということを騒いでいる。小麦や大豆は惨たんたる
状況。これが
我が国の実態です。
大臣、反論はないでしょう、その実態については。
こんなことを
議論しているのは
我が国だけなんですよ。
農業問題はどこの国でも難しいですよ。WTOでも、アメリカを初め、みんな自国の権益のためにいろいろな主張をぶつけ合っている。特に今の階層方式、スイス・フォーミュラにしても、日本も絶対受け入れられない。日本はミニマムアクセス、あるいは高関税のあの四九〇%をどうするか、このせめぎ合いが今始まっていますよね。十二月には香港での閣僚
会議が控えている。どこの国でも難しい、
農業問題については。しかし、少なくとも、国民の生活を保障する、生命を保障する自給率と備蓄についてはきちんと充足している。
これは通告していないので、もう答弁はいいです。反論があったら、次の
委員会でまた言ってください。次に本題のリースについてちょっとお聞きしますので、
大臣、この実態をよく、御認識を新たにしていただきたいと思います。
次に、
リース特区の問題なんですが、今回の
改正の柱ですよね。
そこで、私は、今回の
リース特区の
全国展開は、あくまでも
農地賃貸による株式会社の
農業経営参入であり、株式会社の
農地取得を目指したものではない、こういうことはもう回答をいただいていますね。しかし、問題は中身ですね。
同じく、今回の
改正の大きなねらいは、
担い手への
農地の
利用集積の
加速化や、新たな
耕作放棄地対策と、
農地の
権利移動制限の緩和、これらでありますが、これらはいずれも、
農業の持続的発展に向けた方策のはずです。
確かに、
リース特区の
全国展開を初め、今回の
法改正の内容は理解はできると申し上げたいが、先ほど、自給率の向上についての質問で私が
指摘したとおり、十年後には五%上がると言われましたけれ
ども、今のような
状況では、この
状況でいくんなら、逆に下方修正が絶対出てくると私は思うんですよ。
問題は、現状の
農業経営の現場において、これまで国の
施策に沿って
経営規模の拡大、農用地の改良等に取り組んできた結果、こういう
農業経営にかかわる負債が大きくなってしまって、償還が無理、これが現状ですね。そこを含めて対策を講じることが肝要なんですけれ
ども、今回は単に
リース特区という展開をして、こういう形で、これは売り与えるのではない、貸すんだと、端的に言ってですよ、こういうことを言われています。確かに、
耕作放棄地、遊休
農地、この
有効利用ということで、
一つの方便かもしれません。しかし、私は、これは本当にうまくいくのかという危惧があるんですよ。
私は前に、当
委員会に、
農業経営再建特別
措置法、こういう
法案を出したんです、議員立法で。しかし、数の力で、与党の抵抗に遭って、これは廃案の憂き目を見ました。
現行のあれでは、
農地保有合理化法人、これが買い受けて、それを有効的に貸し出す、そういう方策を打っていますね。しかし、それじゃなくて、その
法案の骨子は、農政の失政の影響を受けて、その犠牲になって
経営困難に陥った
農家がその
農地を手放す際には、そんな
農地保有合理化法人というものじゃなくて、国がそれを肩がわって、それを譲り受けて、しかも、その
農地は、それを手放した
農家に貸してあげる。そして、意欲ある
担い手農家には、その再出発に向かっての応援をしてあげる。
農家は営農意欲は十二分にあるんですよ。あるんだけれ
ども、負債が重なって、償還もままならず、いや応なしに
農地を手放さざるを得ない。そこを一時的にそういう形をとって救済してやれば、
農家がまた立ち上がれる機会を与えてあげられる。
これが、この国の大事な
農業の生産力の源泉であり、同時に、今政府が苦慮している遊休
農地、荒廃
農地の
有効利用にもつながる、そういうことで申し上げたんだけれ
ども。この機会に、この
リース特区の展開に含めて、このことをさらに検討して、この
対象を広げるという考えはないですか。