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若井委員 その問題、今後さらに
議論をさせていただくことにして、本題に入らせていただきます。
地域にかかわる制度というのは結構たくさんございますね。どれも、この間見てまいりますと、十年は何とかなったけれども、二十年はもたないというようなものが多い。特に、ごく最近でいうと、中心市街地
整備改善
活性化法というのがありますね。八
省庁が寄ってたかって、とにかく瀕死の商店街を何とかしようよという、五年ぐらいやっているんだと思いますけれども、
全国歩いてみますと、なかなか目覚ましい成果が上がっているところがないように思われる。いろいろ
評価をする方はあると思うんですけれども、もしそれがうまくいっているのであれば、また改めて、
地域再生だとかいう
議論にはならないんじゃないかと私は考えております。
地域が大切だということは当然です。もう手足がしびれて動かない、そういう人間になってしまえば、頭も働かないし、心臓もとまってしまう。東京も危ない、そういうあかしだろうと思う。それだけに、
地域を、ある意味でいうとしびれかけている手足ですか、これを何とかもう一回きちんと健全な姿に戻したいということは当然のシナリオだと思うんですが、ある意味でいうと
地域活性化、
再生以前の
地域活性化という発想では、もう物事が動かなくなっているということがベースにあるんじゃないか。
今回、各
省庁がさまざまな連動
施策とか並べられておりますけれども、その中には相変わらず一時代前の
活性化という言葉が、キーワードがたくさん出てくるんですね。発想が変わっていない。つまり、
地域再生というものに対する認識をもう少し掘り下げた方がいいんじゃないかということを私はここで申し上げたいわけです。
例えば、さっきの商店街の問題に戻りますけれども、何で、通り商店街はあんなに衰えてしまったか。はっきりしております。郊外にスーパーができた。そこへみんなが車で買いに行って、たくさんどかっと買ってきて、冷蔵庫に入れておく。ある意味でいうと、大量生産、大量消費の象徴みたいな景色ですけれども、要するにそうしたシステムが通り商店街を衰退させている。もっと言えば、今、
地方で起きている、つまり
地域で起きている衰退の
理由というのは、明らかに、今申し上げたような仕組みが
全国を覆っているということですね。
ところが、最近、大変に注目すべきことが起きてきて、そうやって
全国を制覇したマイカルグループ、ダイエーグループ、そして西武グループ、全部もうアウトですよね。要するに、養分を吸い尽くしたところで倒れてしまうような仕組みになっているわけです。今やイオンだけが勝ち残って、イオン政権がスーパー業界では既に成立をしておるわけです。
そんな調子なわけでして、そういう中で、例えば衰えてしまった商店街を一体どうやったらよみがえらせるのか、そういうふうに考えていけば、この
地域再生というのはもう少し違ったシナリオになるんじゃないかと私は思うんです。
今回の
地域再生のプロセスがだんだんその
議論の中で変質していっている。
改革工程表がありますね、十六年の三月に出ている。いつの間にか、「
改革の加速・拡大による新たな成長・
雇用機会の
創出」というふうに、ある意味でいうと経済の問題に矮小化しているんじゃないかというふうに思うんですね。今回の
法律も、そういう意味でいうと、そっちへ大変に傾斜をした
法律になりかかっている。法の第一条の中にも、
地域経済の
活性化と
雇用の
創出、そういったことが中心的にうたわれているわけです。
ちょっと長くなりますけれども、もう少し聞いてください。
さっきの商店街の話に戻りますけれども、これから、僕は、商店街は上手に立ち直るところが出てくると思います。それは、さっきの中心市街地
活性化法で、寄ってたかって
補助金を注入されるからじゃないんですね。例えば、そこにいる商店街のおやじが、ちょっと外れたところに動けなくなっているばあ様がいて、あの人の台所には今これがないというようなことがわかっているということです。そういうことがきちんとよみがえってくれば、商店街はもう一回生き返ります。昔の商店街はそうだったんですね。
とてもそれじゃ商売にならないよと言うかもしれないけれども、いずれスーパーはつぶれてしまう、そして何もなくなった、そういう中でどうやって生きていったらいいんですか。それを
地域再生と名づけたらどうかと私は思うんです。そうすると、多少物は高くても、御用聞きに来てくれるような商店街をもう一回つくっていこうじゃないかというような話が
地元から起きてくれば、これはまさに
地域再生ですよ。
そういうふうにして、例えばおいしい豆腐屋があったり、隅っこの方でだれかがうまい干物を焼いていたり、新鮮な野菜を届けてくれたりするような、そういう町をもう一回つくることが
地域再生じゃないんですか。
これから人口も減ります、高齢化もすごく進む、そういう中で
地域再生をしようと思ったときに、
地元の人に、応援するから
企業をつくって
地元のスーパーをつくれといったって、それは無理ですよ。それをもうさんざんやってきて今がある。
再生というのは、要するに死にかけているから
再生なわけでしょう、
活性化とは違うわけで、そういうシナリオでもう一回この制度を
見直していくと、大分違ってくるんじゃないかと思うんですね。人間はそういうところじゃないと生きられない。どんなに知恵がある人も、新しい産業の芽を起こす人も、それ以外ないじゃないですか。そういう町をどんどんつくったところが
再生するんだと僕は思うんですね。
そういう意味で、今回のこの
法律、どうして経済の方へ傾斜をしてしまったのか。どうなんでしょうね、
大臣、その辺は。