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2005-07-19 第162回国会 衆議院 財務金融委員会 第24号 公式Web版

  1. 会議録情報

    平成十七年七月十九日(火曜日)     午後四時一分開議  出席委員    委員長 金田 英行君    理事 江崎洋一郎君 理事 遠藤 利明君    理事 竹本 直一君 理事 村井  仁君    理事 中塚 一宏君 理事 原口 一博君    理事 平岡 秀夫君       小野 晋也君    岡本 芳郎君       加藤 勝信君    木村 太郎君       倉田 雅年君    小泉 龍司君       佐藤  勉君    鈴木 俊一君       砂田 圭佑君    田中 和徳君       谷川 弥一君    寺田  稔君       中村正三郎君    西川 京子君       早川 忠孝君    宮下 一郎君       森山  裕君    山際志郎君       渡辺 喜美君    井上 和雄君       泉  房穂君    岩國 哲人君       小林 憲司君    鈴木 克昌君       田島 一成君    田村 謙治君       津村 啓介君    寺田  学君       中川 正春君    野田 佳彦君       馬淵 澄夫君    松本 剛明君       吉田  泉君    石井 啓一君       長沢 広明君    佐々木憲昭君     …………………………………    議員           江崎洋一郎君    議員           菅原 一秀君    議員           葉梨 康弘君    議員           松島みどり君    議員           泉  房穂君    議員           城井  崇君    議員           中塚 一宏君    議員           石井 啓一君    議員           佐藤 茂樹君    財務大臣         谷垣 禎一君    国務大臣    (金融担当)       伊藤 達也君    内閣府副大臣       七条  明君    財務大臣       田野瀬良太郎君    財務大臣政務官      倉田 雅年君    政府参考人    (公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長)   舟橋 和幸君    政府参考人    (金融庁総務企画局審議官)            大藤 俊行君    政府参考人    (国税庁長官官房審議官) 岡本 佳郎君    財務金融委員会専門員   鈴木健次郎君     ————————————— 委員の異動 六月十日  辞任         補欠選任   早川 忠孝君     小野 晋也君   吉野 正芳君     谷川 弥一君 同月十六日  辞任         補欠選任   小野 晋也君     早川 忠孝君   谷川 弥一君     吉野 正芳君 同日  辞任         補欠選任   早川 忠孝君     小野 晋也君   吉野 正芳君     谷川 弥一君 七月十九日  辞任         補欠選任   熊代 昭彦君     加藤 勝信君   鈴木 俊一君     寺田  稔君   田中 和徳君     山際志郎君   永岡 洋治君     西川 京子君   山下 貴史君     早川 忠孝君   渡辺 喜美君     佐藤  勉君   田村 謙治君     松本 剛明君   村越 祐民君     泉  房穂君 同日  辞任         補欠選任   加藤 勝信君     熊代 昭彦君   佐藤  勉君     渡辺 喜美君   寺田  稔君     鈴木 俊一君   西川 京子君     永岡 洋治君   早川 忠孝君     山下 貴史君   山際志郎君     田中 和徳君   泉  房穂君     寺田  学君   松本 剛明君     田村 謙治君 同日  辞任         補欠選任   寺田  学君     村越 祐民君     ————————————— 七月十五日  無権限預貯金等取引からの預金者等保護等に関する法律案中塚一宏君外四名提出衆法第一二号)  偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者保護等に関する法律案江崎洋一郎君外五名提出衆法第二三号) 五月十八日  消費税増税反対に関する請願志位和夫紹介)(第一三四六号)  消費税の大増税反対に関する請願志位和夫紹介)(第一三四七号)  同(塩川鉄也紹介)(第一三四八号)  庶民増税反対に関する請願穀田恵二紹介)(第一三四九号)  同(山口富男紹介)(第一三九九号)  同(吉井英勝紹介)(第一四〇〇号)  納税者権利保護規定整備のため国税通則法の一部改正を求めることに関する請願土井たか子紹介)(第一三五〇号)  同(赤嶺政賢君紹介)(第一四四二号)  同(石井郁子紹介)(第一四四三号)  同(穀田恵二紹介)(第一四四四号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一四四五号)  同(志位和夫紹介)(第一四四六号)  同(塩川鉄也紹介)(第一四四七号)  同(高橋千鶴子紹介)(第一四四八号)  同(照屋寛徳紹介)(第一四四九号)  同(山口富男紹介)(第一四五〇号)  同(吉井英勝紹介)(第一四五一号)  同(阿部知子紹介)(第一四八二号)  消費税の大増税など、税制を悪くしないことに関する請願佐々木憲昭紹介)(第一三九八号)  庶民に対する課税強化取りやめに関する請願高橋千鶴子紹介)(第一四〇一号) 六月三日  納税者権利保護規定整備のため国税通則法の一部改正を求めることに関する請願土井たか子紹介)(第一五一五号)  消費税増税反対に関する請願赤嶺政賢君紹介)(第一六二三号)  同(石井郁子紹介)(第一六二四号)  同(穀田恵二紹介)(第一六二五号)  庶民に対する課税強化取りやめに関する請願塩川鉄也紹介)(第一六二六号)  同(吉井英勝紹介)(第一六二七号)  同(穀田恵二紹介)(第一六八六号)  同(佐々木憲昭紹介)(第一六八七号) 同月九日  消費税増税反対に関する請願石井一紹介)(第一七四五号)  同(土井たか子紹介)(第一八八二号) 同月十日  消費税増税反対に関する請願中村哲治紹介)(第一九六四号) 同月十三日  消費税増税反対に関する請願赤嶺政賢君紹介)(第二三四三号)  同(志位和夫紹介)(第二三四四号)  消費税の大増税反対に関する請願石井郁子紹介)(第二三四五号)  同(佐々木憲昭紹介)(第二三四六号)  同(高橋千鶴子紹介)(第二三四七号)  同(吉井英勝紹介)(第二三四八号)  庶民に対する課税強化取りやめに関する請願佐々木憲昭紹介)(第二三四九号)  同(塩川鉄也紹介)(第二三五〇号)  消費税増税反対に関する請願穀田恵二紹介)(第二三五一号)  同(吉井英勝紹介)(第二三五二号) 同月十四日  消費税の大増税反対に関する請願穀田恵二紹介)(第二九五八号)  同(塩川鉄也紹介)(第二九五九号)  同(高橋千鶴子紹介)(第二九六〇号)  納税者権利保護規定整備のため国税通則法の一部改正を求めることに関する請願佐々木憲昭紹介)(第二九六一号) 七月四日  消費税の大増税など、税制を悪くしないことに関する請願高橋千鶴子紹介)(第三一六九号)  庶民増税反対に関する請願佐々木憲昭紹介)(第三一七〇号) は本委員会に付託された。     ————————————— 本日の会議に付した案件  政府参考人出頭要求に関する件  無権限預貯金等取引からの預金者等保護等に関する法律案中塚一宏君外四名提出衆法第一二号)  偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者保護等に関する法律案江崎洋一郎君外五名提出衆法第二三号)  酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の一部を改正する法律案起草の件      ————◇—————
  2. 金田英行

    金田委員長 これより会議を開きます。  中塚一宏君外四名提出、無権限預貯金等取引からの預金者等保護等に関する法律案及び江崎洋一郎君外五名提出偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者保護等に関する法律案の両案を一括して議題といたします。  順次趣旨説明を聴取いたします。提出者中塚一宏君。     —————————————  無権限預貯金等取引からの預金者等保護等に関する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  3. 中塚一宏

    中塚議員 ただいま議題となりました無権限預貯金等取引からの預金者等保護等に関する法律案につきまして、提案理由及び内容概要を、提案者を代表して御説明いたします。  近年、偽造盗難カード盗難通帳による預貯金の不正引き出し事件が急増をしております。このまま事態を放置すれば、預貯金安全性、ひいては金融システム安全性は大きく揺らぎ、国民生活は深刻な問題に直面をいたします。  しかしながら、一方の当事者である金融機関は、そのような問題意識を抱くこともなく、まるで他人事のように手をこまねいてまいりました。それどころか、被害者に対して真摯な対応をすることもなく、盗まれた方が悪いと言わんばかりの冷酷非情な態度をとり続けてまいりました。  これまで金融システムを守るために投入された公的資金は、総額四十二兆円を超えます。金融機関は、いま一度この事実を十分に自覚し、これまでの行いを猛省した上で、みずからの社会的使命とは何なのかを考え直すべきであります。  本法律案は、カード通帳等による払い戻し貸し付けに関する民法特例等について定めることにより、偽造盗難カード盗難通帳を悪用した、正当な権限を有しない者に対して行われる無権限預貯金等取引からの預金者等保護及び信用秩序の維持を図り、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の安定に資することを目的として提案するものであります。  以下、内容概要を申し述べます。  第一に、民法第四百七十八条、債権の準占有者に対してした弁済は、その弁済をした者が善意であり、かつ、過失がなかったときに限りその効力を有するの規定は、カード通帳等による払い戻し貸し付けには適用をしないことといたします。  第二に、無権限者に対するカード通帳等による払い戻し貸し付けは、金融機関善意、無過失であり、預金者等故意または重大な過失があった場合に限り有効であることといたします。  第三に、これらの規定に反する特約で預金者等に不利なものは、無効とすることといたします。  第四に、金融機関等は、無権限預貯金等取引の防止のため、必要な措置を講じなければならないことといたします。  第五に、この法律施行前に無権限預貯金等取引により損害が生じた預金者等については、この法律趣旨に照らし、金融機関等により最大限配慮が行われることといたしております。  以上が、法律案概要であります。  何とぞ委員各位の御賛同をお願い申し上げます。(拍手
  4. 金田英行

  5. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 ただいま議題となりました偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者保護等に関する法律案について、提出者を代表して、その趣旨及び概要説明いたします。  なお、趣旨説明の中で、預貯金は、以下、略称として預金と呼ばせていただきますので、御了承願います。  近年、偽造または盗難されたキャッシュカード等を用いてATM等において預金が不正に引き出されるという事件が多数発生し、その被害者が多大な経済的負担を強いられており、一方、一般国民も、いつ自分自身被害者になるかもしれないという大きな不安を抱いている状況にあり、その対策が急務となっております。  この背景には、金融機関が長年にわたって安全なシステム構築への投資を怠ってきたことがあると考えております。  本法律案は、このような状況にかんがみ、預金者保護を図り、あわせて預金に対する信頼を確保するため、偽造盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払い戻し等により預金者に生じた損害原則として金融機関補償することとするとともに、これらの犯罪が発生しないよう、安全性の高い、世界に冠たるATMシステム構築金融機関に求めるものであります。  以下、法律案概要を申し上げます。  第一に、本法律案は、偽造盗難カード等を用いて行われる不正な払い戻し等により預金者に生じた損害について、原則として金融機関補償を義務づけることとするものであります。  まず、偽造カード等を用いて行われた払い戻し等による損害については、簡単に偽造されてしまうような脆弱なシステムを使っている金融機関責任が重いことから、預金者に重大な過失がない限り、金融機関がその損害全額を負担することとしております。  次に、盗難カード等を用いて行われた払い戻し等による預金者損害につきましては、預金者に重大な過失がある場合を除き、原則として金融機関がその損害全額補てんするものとしておりますが、脆弱なシステムを提供している金融機関責任と、不正な払い戻しが行われるに至った預金者側事情を考慮して、続いて御説明するように、預金者に重大な過失以外の過失があることが金融機関により証明された場合には、損害の四分の三を補てんすることとしております。  この預金者過失につきましては、いわゆる立証責任の転換を図り、預金者過失があることの立証責任金融機関にあることとしたところであり、あわせて、過失そのものにつきましても、後ほど詳しく述べさせていただくように、これが認定されるのは実際上かなり限られた場合になるものと考えております。したがって、ほとんどの場合において、全額補てんが行われることとなると考えております。  第二に、偽造盗難カード等を用いた不正な払い戻し等が行われないようにして、預金者がその預金を安心して預けられるよう、金融機関に対し、預金者利便性を損なうことなく、現在の我が国の脆弱なATMシステムを改め、安全性の高い、世界に冠たるATMシステムの再構築を行うために必要な措置について規定しております。  第三に、この法律は、公布の日から起算して六月を経過した日から施行することとしておりますが、この法律施行前に発生した被害についての補償に関しても、この法律趣旨に照らし最大限配慮が行われるものとしております。  第四に、この法律は、預金払い戻し等金融サービスをめぐる状況の変化やこの法律実施状況等を勘案し、預金者の一層の保護を図る観点から、この法律施行後二年を目途として検討が加えられ、必要があると認められるときは、その結果に基づいて所要の措置が講ぜられるものとすることとしております。  以上が、本法律案概要でありますが、ここで、先ほど言及いたしました、本法律案の中で規定しております過失という概念について、提出者考えを述べさせていただきます。  まず、過失とは、一般的には、損害の発生を予見し防止する注意義務を怠ることと説明されており、本来的には個々の事例に即し、終局的には裁判所において判断されるべきものであると考えております。  とはいえ、本法律案により、裁判所を経ず、預金者への補てんが円滑、迅速に行われるためには、この過失内容を明確にしておく必要があると考え提出者考えを明らかにするものであります。  わかりやすく、できるだけ具体的な例で申し上げますと、盗難カード等による被害の場合、暗証番号生年月日等の類推されやすいものとしていたことが原因の一つであることが多いようでございますが、この点について、それだけで直ちに預金者過失を問うことはできないものと考えております。  と申しますのは、これまで、金融機関生年月日等の類推されやすい番号使用を容認し、その使用危険性について預金者への説明が十分でなかったという経緯に照らして、まず、金融機関から預金者に対し、生年月日等の類推されやすい暗証番号から別の番号に変更するよう、複数回にわたる働きかけが行われることが前提となると考えているからでございます。  そして、この働きかけは、類推されやすい暗証番号使用している預金者に対して、電話ダイレクトメール等により個別的、具体的に行う必要があり、ポスター等による預金者一般に向けた広報では、ここに言う働きかけには該当しないものと考えております。  そのような金融機関による働きかけが行われたことを前提とした上で、預金者が、なお生年月日等の類推されやすい番号事情なく暗証番号として使用し、かつ、そのカード当該暗証番号を推測させる書類等一緒に盗取されてしまった場合には、その他の諸事情も勘案して過失が認定されてもやむを得ないこととなる場合が多いものと考えております。  また、暗証番号を書き記したメモ等カード一緒に保管または携帯し、それらをカード一緒に盗取された場合なども同様と考えております。  また、重大な過失については、典型的には、故意と同視し得る程度注意義務に著しく違反する場合と考えており、提出者としては、具体的には、預金者暗証番号管理に関して1他人に暗証番号を知らせた場合、2暗証番号カード上に書き記した場合や、カード管理に関して3預金者がみずからカードを安易に第三者に渡した場合、そして、これらと同等程度以上に注意義務違反が著しい場合に限られると考えております。  なお、この過失前提となる暗証番号管理等につきましては、高齢者等若年者等と同様の対応を求めることは無理なため、金融機関預金者の年齢や心身の状況に応じた助言や説明を行うなど、きめ細かな対応を行うことが必要と考えております。  そして、この法律の成立に合わせて、全銀協その他関係金融機関が、本委員会審議等を通じ明らかとなった過失概念について十分御理解いただき、その趣旨に沿った基準を作成するように求めていきたいと考えております。  以上が、本法律案趣旨及び概要でございます。  何とぞ、慎重に御審議の上、速やかに御賛同くださいますようよろしくお願い申し上げます。(拍手
  6. 金田英行

    金田委員長 これにて趣旨説明は終わりました。     —————————————
  7. 金田英行

    金田委員長 この際、お諮りいたします。  両案審査のため、本日、政府参考人として金融庁総務企画局審議官大藤俊行君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  8. 金田英行

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  9. 金田英行

    金田委員長 これより質疑に入ります。  質疑の申し出がありますので、順次これを許します。泉房穂君。
  10. 泉房穂

    ○泉(房)委員 民主党泉房穂です。  民主党案提出者の一人といたしまして、本日は与党に対しまして四十分質問をさせていただきます。  本日は、傍聴席の方に実際の被害に遭われた皆さんも来られております。また、弁護団の方も来られております。大変な御苦労を踏まえて今この場があると強く認識しております。本日、与党提出者皆さんに対して質問をいたしますが、お願いをしたいのは、一人一人いろいろな思いを持たれてその案をつくられたと思います。みずからが被害に遭った預金者であればどう思うだろうか、そういった観点からお答えをいただきたいと思います。  本日は、皆様のお手元に資料を配らせていただいております。カラーで三枚、そしてもう一枚は被害者弁護団からの本日付の要望であります。今の与党案はまだまだだめだという内容であります。  具体的には、民主党案与党案を比べると、民主党案と違い与党案の場合、対象取引機関に、例えば証券会社保険会社貸金業者なども入っていない。また、通帳ネットバンキング保護されない。カード偽造された場合と偽造されない盗難の場合で全く法律構成が違う。さらに、盗難カードの場合に過度な要件を課しているなどなど、本当に数多くの問題点を抱えていると言わざるを得ません。本日、私は、与党案に対しまして、この法案は残念ながら欠陥法案であると申し上げざるを得ない、そのような思い質問させていただきます。これは残念なことでなりませんが、よろしくお願いいたします。  本日、趣旨説明江崎議員の方から今読み上げられました部分について、まず冒頭、確認しておきたいと思います。  江崎議員のこのペーパーによりますと、盗難カードの場合であったとしてもほとんどの場合において全額補てんが行われることになるというふうに記されております。盗難カードの場合で結構でありますが、江崎議員、ほとんどの場合、預金者全額保護されると考えてよろしいのでしょうか。お答えください。
  11. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 趣旨説明の中にも申し上げておりますが、現段階におきまして過失に当たる要件というものはほとんどないと考えてございます。  しかし、今後、六カ月を経てこの法を施行するということになっておりますが、その間に、この趣旨説明の中で二ページ目以降に書いてございますが、現在は金融機関生年月日等暗証番号を受け入れております、認めているということでございます。今後は、金融機関におかれましては個別的に、生年月日、あるいは自宅電話番号ですとか職場の電話番号、あるいは自宅住所ですとか、その他類推されやすい、例えば自分財布免許証が入っていたとしますね。そこで生年月日が類推されてしまう。あるいは自宅住所電話番号はそこに必ずしも書いていないかもしれませんが、それらにつきまして一緒に携帯しているケースが、今委員皆さん方も多いのではないかと思いますが、これらについて、再三にわたって個別的に、例えば泉先生のところに個別的にダイレクトメールで、泉先生生年月日暗証番号に使われておりますね、ここにつきましてぜひ変えてください、別の番号でお使いいただけませんでしょうかというふうなことが、再三にわたって繰り返しお願いがあった。  しかしながら、泉先生が、特に事情がなくその番号をそのままお使いになって、この法施行後、例えば来年の二月に事故に遭われてしまい、お財布ごとすりにとられてしまった。そして、そこにはキャッシュカードがあり、また暗証番号はそのまま生年月日をお使いになっておられて、結果として預金を盗取されてしまった。その場合には過失はあり得るということでございますが、現段階においてはないという認識でございます。
  12. 泉房穂

    ○泉(房)委員 時間の限りがありますので、答弁の方は簡潔によろしくお願いします。  確認します。一言で結構です。今江崎議員の言われたような過失のなき限り、盗難カードの場合であっても全額保護されるのがほとんどである、こういう認識でよろしいですね。イエスかノーか、お答えください。
  13. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 今申し上げたようなケースを除けば保護されるということでございます。
  14. 泉房穂

    ○泉(房)委員 今江崎議員の方から、ほとんど保護されるというお話がありましたので、本日終わるときに、そうであるかどうか検証したいと思います。  本日はペーパーをお配りしております。こういった事例をもとに順番に質問したいと思います。きょうの提出者、たくさんおられますが、この事例に当てはめてそれぞれお答えいただきたいと思いますので、御協力よろしくお願いします。  四人でゴルフに行ったケースです。そしてこのゴルフ場でそれぞれ四人ともがカードないし通帳被害に遭い、それぞれ同額、一千万円の被害を受けました。要は、ゴルフに行ってカード通帳を盗まれた、そして一千万預貯金が引き出された、全く共通であります。  このときに、民主党案は、重過失なき限り全員が全額保護されます。では、与党の場合どうなのか、こういった見地から質問をさせていただきます。  Aは江崎議員、Bは葉梨議員、Cは松島議員、Dは石井議員と、仮にこちらとして考えさせていただき、できましたらそれぞれ今御指名した立場に立ってそれぞれの事案を検討いただきたいと思います。  二枚目を見ていただきますと、資料二ですが、Aさん、江崎さんはカードをとられまして、その後、偽造されました。しかしながら、偽造カードはとられたまま戻ってはきておりません。このケースです。手元にカードはありません。与党考え方によりますと、手元にカードがなければすぐ気がつくはずだ、だから三十日以内に通知すべきという考え方に立っておられるようですが、このケース偽造カードが戻っていないケースです。  江崎議員は、例えば三年間全くほったらかしていました。自分カードがなくなっているにもかかわらず、三年間何の確認もせずに、三年後にようやく気づきました。そして、驚いて、三年前の引き出しのことについて、銀行にどうですかと聞きました。この場合、江崎議員与党案によりますと全額保護されますか、されませんか。されるか否かだけお答えください。
  15. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 要件は求めないということでございますので、保護されます。(泉(房)委員保護される」と呼ぶ)はい。
  16. 泉房穂

    ○泉(房)委員 では、続きまして葉梨さん、Bさんです。Bさんも同じくロッカーからカードをとられました。全く一緒です。同じように返ってきていません。しかし、葉梨議員はしっかり者で、その日にすぐ気づきました。すぐ銀行に連絡をしました。しかしながら、カードと手帳などを一緒に置いていたため、残念ながら江崎議員の先ほど示したいわゆる軽過失に当たる事案でありました。軽過失に当たってしまいます。しかしながら、江崎議員と異なり、三年もほったらかさず、その日に連絡をしました。  この葉梨議員ことBさんは幾ら保護されますか、与党案だと。お答えください。
  17. 葉梨康弘

    ○葉梨議員 お答えいたします。  Bさん、大変しっかり者ということで御質問いただきましたが、過失があるというのは、果たして私はしっかり者なのかどうかよくわからないのですが。先ほど軽過失というふうに江崎委員からもお話がありましたけれども、ただ、ここで私ども、与党案で言っている過失というのが相当な程度過失であるということは御理解を願いたいと思います。何回も何回も、やはり暗証番号、これはもう生年月日一緒じゃいけません、そういうような話があった上で、そこで過失があったということであれば、保護される金額は四分の三であるということをお答えしたいと思います。(泉(房)委員「お幾らですか」と呼ぶ)七百五十万円でございます。
  18. 泉房穂

    ○泉(房)委員 皆さん、お手元の資料をよく見ていただきたいんです。今、葉梨議員の方は過失があった場合と申されましたが、事例はAさんも過失のあるケースです。全く一緒です。AとBを比べた場合、いわゆるカード盗難に遭った、軽過失があった、全く同じです。違うのは、Bさんがすぐに連絡したことと、Aさんが三年間何もしなかったことです。  このAさんとBさんを比べて、どちらの預金者の方を保護すべきと考えますか。江崎議員、お答えください。AかBかだけお答えください。
  19. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 AかBかという、この特定の事例で申しますとおっしゃるとおりかもしれませんが、私どもの考えでは、先ほど申しましたように、過失というのは非常に特別な事由、要するに暗証番号を変更しなかったりということでございますので、現段階において過失、例えば暗証番号はBさんでも……(泉(房)委員過失のことは聞いていません、一切過失のことは本日聞く予定もありません、質問通告もしておりません、答えないでください」と呼ぶ)
  20. 金田英行

    金田委員長 どうぞ、お答えください。
  21. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 しかし、そうなりますと、これは、このケースだけの、表を説明しろということでございましょうか。
  22. 泉房穂

    ○泉(房)委員 いえ、預金者保護において、全く軽過失というのが同じであり、盗難と同じである、この場合において、預金者保護の必要性はどちらが強いかという質問です。シンプルな質問ですから、シンプルにお答えください。
  23. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 私どもの法案では、このAさんは、カード偽造されているということにおいて、一〇〇%自動的に補償するという考え方に立っております。また、Bさんについても、先ほど過失があったかないかは聞いていないということでございますが、過失がなかった場合には、当然一〇〇%補償されるという意味において、御理解をいただきたいと思います。
  24. 泉房穂

    ○泉(房)委員 繰り返し申し上げますが、過失説明はもう十分聞きましたので、そのことを聞いているのではありません。本日聞いているのは、預金者の立場に立ったときに、より保護されるべき預金者与党案においては逆になってしまっている、逆になっていることが問題ではないかという問題意識で聞いているわけですから、提出者として、預金者の立場に立ち、丁寧にその角度からきっちり御説明いただきたいと思います。  では、問います。では、なぜ、より保護すべき必要性の強いBが、後に、偽造されたという一言をもって、この偽造預金者は何ら関与していません、あくまでもとった犯人が偽造したか否かしか違いません、この事情によって、なぜ片や一千万、より保護すべきBがより少ない七百五十万。このことをBさんにどう説明されますか。説明してください。
  25. 葉梨康弘

    ○葉梨議員 お答えいたします。  預金者については、いずれもやはりしっかり保護しなきゃいけないものだというふうに思っています。  ただ、過失のことは申し上げませんが、ここで考えていただきたいことは、銀行も被害者なんです。銀行が被害者であり、預金者被害者です。ですから、銀行においてどの程度過失があるかということも考えていかなければいけません。偽造カードの場合ですと、そもそも偽造カードでATMで支払ってしまう、そのようなシステムをつくり上げた銀行の責任は極めて重い。ですから、ここは全額保護しなければいけない。  しかしながら、盗難カードの場合ですと、一応真正なものですから、やはりそこのところは預金者過失の度合いというのを、これは軽過失と言いましたけれども相当な過失でございます、ここをしっかり見きわめて保護の度合いを考えていかなければいけない、そのように考えています。
  26. 泉房穂

    ○泉(房)委員 今の答弁もありましたが、与党案は大きな勘違いをしておられます。いわゆる遠いところから教室事例のようなことを考えているから、今のような答弁になるわけです。具体的な被害事例を見ますと、偽造の場合と盗難の場合に違いはありません。その後に偽造されるかどうかというのは、預金者側とは全く関係ない事情です。そのことによって全く保護は異なる、こんなひどいことがあるでしょうか。  例えばこういうケースがあります。一つ事例を示しましょう。これは群馬県の方です。カードをとられました。そして、とられたカード偽造され、ほぼ同時刻に二カ所で被害に遭われました。男性二十七歳、去年の八月の事案です。群馬県の方です。この方の場合、プライバシーの関係がありますから、強いて、この事例のように一千万としましょう。カードをとられて偽造され、とられたカード偽造したカード、それぞれにおいて二カ所で被害に遭いました。合計一千万円です。幾らの保護が得られますか。軽過失の場合と考えてください。
  27. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 基本的には一千万円という考え方であります。しかし、おっしゃる過失の中身によって認定されるということになると思います。
  28. 泉房穂

    ○泉(房)委員 繰り返し申し上げますが、いわゆる過失のない場合は聞いておりません、過失ですから。この場合、たまたま偽造カードで一千万とってもらえれば一千万保護です。五百万ずつだと五百万保護です。逆に、偽造カードでたった百万円、盗難カードで九百万引き出せば、百万円ないしは九百万の四分の三プラスする額しか得られません。まさに、犯人がどっちのカードでとるかだけによって、預金者保護がこう変わってしまう。こんなことはおかしいと思いませんか。江崎さん、おかしいと思いませんか。
  29. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 先ほど来申し上げましたように、過失という中身の問題について、過失があるという前提で今御質問いただいているので、そうであれば、もう結論はありきということになろうかと思います。  しかし、私どもの考えている案というのは、過失はかなり限られた、絞り込まれた場合に限るということでございますので、今、なかなか議論が成立しないのではないかと、恐縮ですが、思っております。
  30. 泉房穂

    ○泉(房)委員 前提をわざわざずらすというのは、答弁として誠実さを欠くと思います。聞いているのは、過失のある場合どうかということでありますから、それに答えてください。  ここは繰り返しです。与党案においては逆転してしまいます。預金者保護の必要性の強いBの方が、Aよりも保護が薄くなる。これが、与党のまず第一の論理的な矛盾だと指摘せざるを得ません。  二点目ですが、Cさんの事例考えます。Cさん、松島さんですが、Cさんこと松島さんは過失がありません。全く過失がないケースです。過失がないケースですが、カードは返ってきておりました。盗難カードですが、与党は、盗難の場合にはカードが戻っていないことを前提に、常にこの間考えてこられたようですが、このCのケースは、カードが戻されたケースです。戻されていたために、松島さんは、自分の手元にカードがあるわけですから、気づきませんでした。気づいたのは三十日経過後です。  何ら過失のない、カードを戻されていて、気づきようもなかった松島さん、このCですが、保護されますか、されませんか、松島議員、お答えください。
  31. 松島みどり

    ○松島議員 保護されます。この資料二で、泉委員がお配りになったのでは、預金者保護額ゼロ円というふうに書いてありますが、そのようなことになりません。  なぜならば、この法律の第五条六項をごらんいただきたいのですが、ここに例外規定がございます。三十日ルールについて、「三十日を経過する日までの期間内に当該盗取が行われたことを知ることができなかったことその他の当該通知をすることができなかったことについてやむを得ない特別の事情がある期間があることを証明したときは、」三十日は守られ、さらにプラスされる。  本来、盗難の方が偽造よりも本人にある程度責任があるとされるのは、偽造の場合は、カードがお財布あるいはしかるべきところにそのまま残っているから、偽造されたカードで出されても気づかないでいる。それに比べて盗難というのは、やはり時々は点検しておく、注意をしておけば気づくものだからというのが趣旨でございます。  この場合はそうじゃない。戻ってきているというのは極めて特別な事情でございますので、三十日ルールが適用され、保護の対象となり、なおかつ、気づかなくても、次に、例えば給与を引き落としに行ったときに何か全然金額がもとと違うといって気づいた、正当に気づく可能性があったときまでの期間がプラスして付される、より保護は高くなります。
  32. 泉房穂

    ○泉(房)委員 今の答弁は実際の裁判実務等と違った答弁です。実際、立証責任のある者が特別な事情を立証するのは極めて困難です。この間の議論を見ておりますと、そういう例外事例というのは、海外に行っているとき、入院をして、長期入院で全く対応できないときだと説明を受けてきております。今の松島議員説明はそうではありません。説明が違っております。三十日を原則としつつ、それが戻ってきている一言をもって特別な事情保護をするとすれば……。  では、こう聞きましょう。三十日間を超えて保護されるべき特別な事情とはどういうときでしょうか、お答えください。
  33. 松島みどり

    ○松島議員 答弁いたします。  特別な事情というのは、それなりに特別なわけです。  そして、今、質問者は、委員は、過失について、とにかくあり、なしということで一方的にそこに線引きをされますが、我々が考えているのは、過失というのも、例えばカード暗証番号を書き入れている場合とか、カード暗証番号を書いた紙を一緒に置いている場合というかそれほどの過失だとか、そうではなくて、生年月日をちょっとひねっている場合とか、そのままだとか、いろいろなケースがあるということで、ゼロか有か無かというだけではございませんので、質問も紋切り型でないかと私は考える次第でございます。  特別な事情は、いろいろ特別です。
  34. 泉房穂

    ○泉(房)委員 実際にカードが戻った事例も幾つもあります。百件ほどのそういう被害事例を確認しましたが、百件ぐらいのうちにも三件ぐらいあります。実際に、カードがとられ、引き出され、戻されていたケースです。百ぐらいのうちに三件ぐらい、本当の比率はわかりませんが、そう少ないわけではありません。実際にカードをとられて引き出されて戻されたケースは現実にあるわけです。そういったことを与党案はどの程度考えてきたのか、疑問と感じざるを得ません。  また、この三十日ですが、与党案によりますと、先ほど冒頭ありましたが、過失がなければといいますか、過失の認定の関係もあるのでほとんど保護されると言いましたが、この三十日を超えてしまうケースというのは結構あるのではないかと思うわけですが、この点、三十日ルール、いわゆる三十日以内しか保護しないルールによって本当にほとんどの方が保護されるのでしょうか、お答えください。
  35. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 お答えいたします。  一つの預金者の方の生活サイクルということが一月、例えば給与振り込み等があり、そこで引き出しが行われた際に御自身の残高を確認できるという点が一つのサイクルと考えてございます。  また、全銀協等の統計によりますと、盗難に遭った方の気づくタイミングというのが統計で出てございますが、およそ二日間の間に気づかれる方が、これはサンプル調査ですから完全なものとは言えないかもしれませんが、二日間の間に気づかれる方がやはり八割方いらっしゃる。また、十日間をめどに八割五分になる。また、三十日でおよそ九割五分まで上がるというような水準が全銀協からお示しをいただいておりますが、そういった点から考えましても、特段の事情がない限り、この三十日ということで大方の方が気づかれるのではないかということを想定しまして、私ども、三十日ルールを設定しております。
  36. 泉房穂

    ○泉(房)委員 再度確認します。  江崎議員。ほとんどの方が三十日以内に被害に気づいて通知できる、そのようなお考えに立って与党案ができていると考えてよろしいでしょうか、お答えください。
  37. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 個々の事情はおありかと存じますが、統計上はそういうような数字も出てございます。
  38. 泉房穂

    ○泉(房)委員 江崎議員に確認しますが、江崎議員も幾つか通帳預金、あるかと思いますが、大抵五つ、六つぐらいある方が多いと聞きます。幾つかの銀行に分けて預金を預けるということですね。  これは、すべての預金を世の中の人は三十日以内に残高を確認するということですね。
  39. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 もちろん、今おっしゃるように、四つ、五つという口座の中ですべて給与が振り込まれるわけではないということは理解申し上げますが、しかしながら、それらがすべて定期預金ですとかその他の預金になっているケースも多々あろうかと思います。  そういった意味を含めて、私ども、一つの基準づくりを差し上げたということでございます。
  40. 泉房穂

    ○泉(房)委員 ここは皆さんもよくお考えいただきたいのですが、自分のこととしてお考えください。  皆さん幾つか預金があると思いますが、預けている銀行のそれぞれの預貯金額、三十日に一回確認されておりますか。  確かに給与の振り込まれる口座、引き落とし口座、そういったものは確認する頻度は高かろうと思いますが、いわゆる貯蓄用の口座、それは通常用いることはありませんので、何かあるときまで通帳カード等は家のどこかにしまっておく、ないしはカードケースの中に一枚入れておくだけということが多いのではないでしょうか。  提出者ももう一度よくお考えください。  皆さんのお持ちのカード、三十日に一回、記帳ないしは残高確認、本当にされていますか。三十日に一回。お答えください。
  41. 葉梨康弘

    ○葉梨議員 私も記帳ないし残高の確認はそれほどしておりませんが、カードがあるかないか、これについては確認はしております。
  42. 泉房穂

    ○泉(房)委員 そのカード、確認を今すると言いましたが、例えばひとり暮らしのお年寄りで暮らされる場合、幾つか預金があって、その預金を三十日に一回、銀行まで足運んで残高確認を世の中はしているのでしょうか。与党提出者は本当に世の中の生活実態をどのようにとらえておられるのか、疑問でなりません。  ここで質問をします。  それならば、例えば、毎月月末に一回、必ず残高確認をすべての口座にする方である場合、これは基本的に気づくという理解でいいのでしょうか、そうではないのでしょうか、お答えください。
  43. 葉梨康弘

    ○葉梨議員 委員に御理解願いたいのは、この法律で言っているのは残高確認の義務づけではございません。カード盗難されているかどうか、これについてみんなで注意していきましょうということでございます。  私、かつて警察庁というところでカード犯罪の対策担当官をやっていたことがありますけれども、その場でも、クレジットカードキャッシュカードについてやはりいろいろな犯罪があるんだ、だからこそみんな注意をして、当然銀行が注意するのはもちろん一番なんですけれども、それだけじゃなくて、やはり国民の方も注意して、いろいろな形で、とられていないかどうか、そういったことを確認してほしい、そんなことを申し上げたことがございます。  このような仕組みができることで、やはりみんながこういうような偽造あるいは盗難、こういったカード犯罪があるんだということを注意していただく、その中で、モラルハザードというのを来さない範囲でやはり預金者保護を徹底して図っていく、こういうことが重要なんじゃないかというふうに思っております。
  44. 泉房穂

    ○泉(房)委員 よく考えてくださいね。  三十日に一回、すべての預金国民が確認しているわけではないんですよ。  そして、今おっしゃったことは、この与党案というものは国民に対してこういうメッセージを送っています。銀行にお金を預けたとしても、三十日に一回はちゃんとあるかどうか確認してくださいよ、三十日以上確認せずにその事実に気づかなかった場合には全く保護されません。このことを与党案国民に言っているわけです。  国民は、銀行に預ければ安心と思って預けるわけです。三十日に一回残高確認をしなきゃいけないような義務を国民に課すような法律は、国民の生活実感から見て極めてかけ離れていると思いますが、いかがですか。
  45. 石井啓一

    石井(啓)議員 先ほどから答弁者が申し上げているように、盗難ケースでございますので、まずカードが手元にあるかどうかということを一カ月に一遍ぐらいは確認していただくということがございます。  また、今回の法案の第九条で、金融機関に対しまして、「偽造カード等又は盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等の防止のための措置等」というところで、異常な取引状況の早期の把握のための情報システム整備、現在は、クレジットカードの場合、異常な取引があった場合は早期のウオーニングシステムというのを設けておりますけれども、銀行カードについても、そういった異常な取引がある場合は金融機関側にも早期の把握するシステム整備ということを求めておりますので、預金者側の注意喚起、注意をしていただく、また銀行側もこういった情報システム整備をするということで、あわせ持って預金者保護を図っていくというふうにさせていただきたいと思っております。
  46. 泉房穂

    ○泉(房)委員 三十日というのは容易ではありません。  一つ事例を申し上げます。埼玉の男性五十九歳、この方は二千万円の被害に遭われました。カードをつくっておりましたが、いわゆる貯蓄用の預金だったため、その方はカードを幾つもいわゆるカードケースに入れておりましたが、すりに遭いまして、すりで一枚カードを抜かれてしまいました。このケースです。気づいたのは四十五日後です。銀行に言ったが、一円も返ってきません。  今回の与党案においても、このケースは一円も保護されません。すりに気づかなかったこの方が悪いと与党案はおっしゃるんでしょうか。
  47. 松島みどり

    ○松島議員 答弁させていただきます。  この三十日というのは、とられてからではなくて、とられたという盗難の届け出をしたり、金融機関にそういう届け出をしたり警察に届け出をしたりしたときからさかのぼってということでございますので、考えていただきたいということと、先ほどから委員がおっしゃっているのは、残高の確認を毎月毎月銀行へ行ってやるのかどうか、そういうことは言っておりませんで、カードそのものの存在を月に一遍ぐらいは確認してくださいということでございます。  例えば、二千万円という現金を家で持っている、あるいはどこかで何か持っていましたら、気になって時々のぞくものです。あるいは、何百万に相当するような、何十万に相当する貴金属が家にあったら、ちゃんとあるかなと普通確認を時々、三十日たたなくても大体確認するものでございます。  何十万、何百万、何千万引き出すことができるカードというものの所在がちゃんとあるかどうかという確認は、やはりそれぐらいの範囲ではやっていただきたいと思います。
  48. 泉房穂

    ○泉(房)委員 本当に生活がわかっていないですね。ひとり暮らしのお年寄りが、貯蓄用の通帳を家の中のどこかに、たんすの中か仏壇の下かわかりませんが、置いている方、月に一回、三十日に一回、あるかどうか通帳を確認するんですか。何のために銀行に預けているんですか。銀行に預けておればそれが安心だと思って預けているわけです。たんす預金ではないわけですよ。  すべての国民、お年寄りも含めてですが、認知症の方もおられます、そういった認知症の高齢者も含めて、三十日に一回、残高確認もしくは通帳の有無、カードの有無をしっかりと、カードがあるかどうか三十日に一回確認してくださいねと与党案は言っているわけですよ。こんな不合理な、国民の生活実態に合わない法案がありますか。  では、シンプルな質問を再度します。月に一回、毎月月末にそういった確認をすればいいというふうに理解すればいいですか。毎月一回、月末に残高ないしはカードの有無を確認してくださいというふうに理解すればいいですか。お答えください。
  49. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 とりわけ月末という必要はないかと思いますが、三十日に一回程度は確認する生活サイクルが回ってくるということは再三申し上げているとおりでございます。
  50. 泉房穂

    ○泉(房)委員 生活サイクルといっても、本当によくわかっておられないと思います。  七月は何日ありますか。三十一日です。六月三十日に記帳します。七月三十一日に記帳し、またカードを確認します。毎月月末に確認します。一年、三十一日ある月は何カ月ありますか。しっかりと毎月月末にそれを確認したとしても、与党案の三十日では一日足りません。  たまたま不幸にして確認をした直後に盗難に遭い、そして引きおろされたケースの場合、翌月の月末、例えば六月三十日に被害に遭っておろされた場合、七月三十一日にしっかりと確認をしても、与党案では一円も、たった一日の違いで一円も保護をされなくなってしまいます。どのようにお考えですか。
  51. 葉梨康弘

    ○葉梨議員 お答えいたします。  私も、何件か侵入盗の現場というのを見たことがございます。確かに、たんすカードというのがあって、たんすカードだけを抜き出してこそっと入れておくというような盗犯というのも中にはあるかもわかりませんけれども、一般通常の場合は、やはり家の中が相当荒らされているというような状況が通常の場合だと思います。このときが、盗難があったことを認めたこと。  もしも、本当の本当のレアケースとして、本当のたんすカードだけをわかっていて抜き出して、周りは絶対もうほかの、警察官が見てもわからないような形でしっかり原状修復をして、それで三十一日後に盗難があったということを知ったとした場合は、その日が多分盗難があったことを認めた日になるんじゃないかというふうに思います。
  52. 泉房穂

    ○泉(房)委員 与党案提出者のいろいろな思いの方は、熱い思いはそのとおり受けとめたいと思います。  ただ、残念ながら、与党案の残念な点は、被害実態、本当のところ、被害者の声を聞いてこなかったことに大きな問題があると思わざるを得ません。そして、もう一点は、実際の裁判実務、裁判の場で実際どういった状況なのかということをよく確認してこなかった。この二つ、実際の被害者の声を聞かず、裁判実務などを弁護団などからきっちりとヒアリングしてこなかった、このツケが、この法案の今申し上げたような不合理性にあらわれていると言わざるを得ません。  民主党案においては、弁護団被害者皆さんと本当に日常的に連絡をとり合いながら、今も幾つか事例紹介いたしましたが、確認をしてまいりました。与党は、ほとんど何の接触もせず、金融庁とスタディグループ、スタディグループには、銀行の代表は入っておりますが、被害者弁護団からは一人も入っていません。まさに銀行側や役所の説明をうのみにしてつくった法案、そこにこの法案問題点がある。  与党提出者の熱い思いがあるならば、今からでも遅くはありません、被害者の声を聞き、そして裁判実務を確認し、再度よりよき法案提出する意思はありやなしや、お答えください。
  53. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 私どもも、十分に被害者の方の御意見は承っております。  また、現状、私どもは最善の策ということでこの法案提出させていただいておりますので、委員がおっしゃるようなことは考えておりません。
  54. 泉房穂

    ○泉(房)委員 そのような答弁がありますが、きょう配ったように、まさに被害者弁護団から、与党案ではだめだと、まさにこの瞬間、皆さんのお手元に配ったように、被害者与党案ではだめだと言っておるわけです。だめだというのは、不十分だという意味のみならず、不合理だと言っているんです。  預金者から見れば、通帳であろうがカードであろうが、とられたことは一緒なわけです。大事なのは、とられた責任がどっちにあるかではありません。銀行に預けた以上、銀行が本人以外の者にお金をおろしたりしない、ちゃんと本人確認をして、預けた本人に金を返すかどうかの問題なわけです。ATMのとき以上に、対面式、いわゆる通帳のときは確認のしようもあるじゃないですか。  でも、裁判実務を見ます。裁判を見れば、幾つも裁判例はありますが、例えば通帳被害の場合に、窃盗犯人が窓口に行って、本人の名前の五文字のうち二文字を間違えました。自分の名前を二文字も間違えているんです。ところが、これでも銀行は免責され、一円も返ってきていません。マンション名を間違えたケースもあります。中には、住所を銀行窓口が教えているケースもあります。こんなケースでも預金者保護されていない実務があるわけです。だからこそ、法律をつくって救わなきゃいけない。与党だって思い一緒なはずじゃないですか。  預金者の立場から見て同じであるべき通帳被害者をどうして今回入れないんですか、御説明ください。
  55. 松島みどり

    ○松島議員 泉議員御指摘のとおり、通帳による窓口取引における不正な引き出しというのは非常に、大変な問題だと私どもも考えております。そしてまた、被害に遭われた方におかれましては、大変お困りになっている、そして怒りを感じておられるということも重々よくわかります。  しかしながら、預金通帳の場合、これまで問題にしてきました、機械で、CDやATMで出し入れする場合との違いがございます。何かと申しますと、私よりは泉委員の方がずっとお詳しくていらっしゃると思いますけれども、我が国においての商慣習、商慣行におきましては、契約を取り交わすときも、そして登記をするときにおきましても、判こ、印影による認証の方式というものがございます。この全体の枠組みの中で見まして、これは窓口での預金通帳だけの問題でなく、判こを使って、そうやって判こが合っていれば金融でも商取引でも正しいんだという形に一応なっているということ、そしてまた、現段階におきまして、この中で、銀行の窓口でこれ以外の手が、判こというものを重んじる、これ以外の認証の方法が今のところは見出せない。  ただ、私どももこのままでいいとは思っておりません。これは、印影、判こにかわる認証方法というものを早急に構築して普及させるべきだと考えておりますし、できることならば、どの委員も、そして私たち提出者も気がかりな問題でございますので、委員の皆様方の総意によりまして、例えば附帯決議にこれも盛り込んでいただければ、今後早急にやるということを盛り込んでいただければと思う次第でございます。
  56. 泉房穂

    ○泉(房)委員 印鑑の問題じゃないんですよ。銀行が本人の確認をするかどうかなんです。機械より窓口の方が確認は容易じゃないですか。より容易であるべき通帳を救わない理由なんてどこにもありません。論理的に見て、機械式を保護するのであれば、いわんや対面式、窓口、通帳です。与党案は、この点、論理的に破綻しています。  この法案は、ですから、不十分な法案ではないんです。不合理な、矛盾に満ちた、論理破綻をした与党案なんです。だからこそ、こういう法案に我々は今こういう形で質問をしているわけです。被害者の方もおかしいと声を上げているわけです。とりあえず不十分だけれどもこれで結構、引き続きお願いではないんです。論理的におかしい、このように申し上げておるんです。  預金者保護でしょう、銀行保護法案じゃないんでしょう。銀行ができないからといって、それを理由にするのはおかしいじゃないですか。
  57. 松島みどり

    ○松島議員 答弁いたします。  その点に関しましては、しかし、盗難通帳であるかどうかの、通帳盗難されたものであるかどうかというものを窓口で正確に確認するということになりますと、つまり本人の本人確認というのをより厳密にやるということであり、新しい手段もつくるということでございます。これをやらなきゃいけないということになると、膨大な時間がかかって、今ただでさえ窓口が込んでいるのがこれ以上窓口が込むという、そんなふうになってくるわけでございます。  したがって、その窓口の混雑による不便、そういったことも考えて、今直ちにこれをやるのはおかしいと考える次第です。
  58. 泉房穂

    ○泉(房)委員 そんな、より早くという利便性よりも、何千万も失って、全財産を失った方、いっぱいおるわけですよ。みんな泣いておるんですよ。それに着目して、議員立法でつくろうとしているわけじゃないですか。どうしてそこを見殺しにして、ほったらかしにできるんですか。  この点、繰り返し申し上げます。与党案問題点は、被害事例を緻密に確認せず、被害者の声をヒアリングをせずにつくったところに問題があります。この委員会審議においても、こんな国会議員だけの議論じゃなくて、被害者をこの場に呼び、弁護団をこの場に呼び話を聞き、また過去被害について、金融機関を呼んで参考人招致をして、やるべきだと思います。  委員長、参考人招致につき、理事会で協議ください。
  59. 金田英行

    金田委員長 泉君の提案については、後日、理事会で協議させていただきます。
  60. 泉房穂

    ○泉(房)委員 また、きょうのこれまでの質疑でも明らかなように、与党案、このままではだめです。与野党協議を申し入れます。与野党ともに、今日の後しっかりと議論をし、本当に預金者の納得できるような法案をつくろうじゃないですか。そのように私の方から呼びかけて、私の質問を終わりたいと思います。
  61. 金田英行

    金田委員長 次に、佐々木憲昭君。
  62. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭でございます。  今の議論に引き続き、与党側の提案者民主党提案者、それぞれまず確認をしておきたいと思います。  本人と違う権限のない第三者に銀行等が預貯金を誤って払う、つまり過誤払いというのは絶対にあってはならないと思うんですね。本人確認をきちんとするというのが当然であって、それをせずに第三者に不正に支払った場合、やはり銀行に第一義的な責任がある、預金者に重大な過失がない限り預金者保護されるべきだと思いますが、与党提案者民主党提案者、それぞれお答えをいただきたい。
  63. 佐藤茂樹

    佐藤(茂)議員 与党提案者を代表して、佐々木委員にお答え申し上げます。  御指摘のとおり、権限のない者に預金が支払われることは、いろいろなケースがあると思いますが、一般論としてはあってはならないと考えております。そのようなことがないよう、安全性の高い、世界に冠たるATMシステム構築金融機関に促すことを目指すというのがこの法律案を提案した一つの趣旨であります。  しかし、仮にそのようなことがありました場合に、だれがその責任を負うのかということを考えなければなりません。それに関しては、金融機関責任が重い場合や、金融機関預金者双方の事情を考慮する場合など、さまざまな考慮要素があると思われますが、基本的には、本人以外の者に払い戻しをしてしまったような脆弱な支払いのシステムを提供しながらその安全性向上のための投資を怠ってきたという点で、金融機関側の責任はかなり大きいものと考えております。  本法律案は、このような問題意識から立案し、提案したものであります。
  64. 中塚一宏

    中塚議員 お答えをいたします。  過誤払い、無権限取引ということを申し上げるわけでありますが、第一義的には、やはりそれは銀行がちゃんと本人の確認をするのは当たり前のことだと思うわけなんです。私どもは、そもそもこの法律をつくるときに、物事の考え方という点において、預けたものがちゃんと預かってもらえるというのは、実はこれは預金者の当然の権利だというふうに思うわけです。  先ほど与党提案者の方から銀行も被害者であるという御答弁がございまして、確かにそれは財物を窃取されたわけですから銀行も窃盗の被害者ということなんだと思いますが、ただ、問題は、銀行も被害者預金者被害者、では、かわいそうだから預金者を助けてあげようという考え方ではなくて、そもそも預金者には自分の預けたものをちゃんと保管してもらえるという権利がある、かつ、銀行には預かったものをちゃんと預かる義務がある。そういうふうに考えまして、この私どもの民主党の案を提案させていただきました。
  65. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 偽造カードだけではなくて、盗まれたカード、盗まれた通帳、印鑑を用いて不正な引き出しを行うというのが大変数が多いと思うんですが、具体的な数字を金融庁に確認をしたいと思います。  偽造カード盗難通帳による被害実態について、全銀協でも調査をしていると思いますが、この五年間の盗難通帳による払い出し被害の件数と金額、それから偽造キャッシュカードによる引き出しの件数と金額、それぞれ述べていただきたいと思います。
  66. 大藤俊行

    大藤政府参考人 お答えいたします。  最近五年間の盗難通帳偽造キャッシュカードによる被害の実態についての御質問でございます。  まず、盗難通帳による払い出しにつきましては、全国銀行協会が傘下金融機関に対して実施しているアンケートによれば、銀行における盗難通帳による払い出しの件数及び金額は、平成十二年度は千百十八件で二十一億七千八百万円、平成十三年度は七百八十六件で十六億五千八百万円、平成十四年度は千二百九十四件で四十一億六千五百万円、平成十五年度は六百七十四件で十九億五千八百万円、平成十六年度は二百六十八件で三億五千万円となっておりまして、平成十二年度から十六年度までの五年間の合計では、四千百四十件、百三億九百万円になっております。  次に、偽造キャッシュカードによる引き出しにつきましては、同じく全国銀行協会が傘下金融機関に対して実施しているアンケートによりますと、銀行における偽造キャッシュカードによる引き出しの件数及び金額は、平成十二年度は被害の発生がありませんでしたが、平成十三年度は一件で千九百万円、平成十四年度は四件で一千六百万円、平成十五年度は百件で二億九千万円、平成十六年度は四百十一件で九億六千八百万円となっておりまして、平成十二年度から十六年度までの五年間の合計では、五百十六件、十二億九千三百万円となっております。
  67. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 今数字を確認しまして、ここでも非常にはっきりしているのは、偽造カードの場合は五百十六件で十二億九千三百万円、盗難通帳の場合は四千百四十件、百三億九百万円。ですから、盗難通帳あるいは盗難の印鑑、それに基づく被害というものが圧倒的に多いんですよ、圧倒的に多いんです。したがって、その対策というものがやはり求められなければならない。  もちろん、件数の趨勢というのは、通帳の方は少し減ってきているということはあるでしょう、あるいは偽造カードが急増したということもあるでしょう。いずれにしましても、総数でいいますと、被害の総額でいいますと、盗難通帳被害が圧倒的に多いんです。それをどうするかということを考えないといけないわけでございます。  二〇〇三年の九月十六日、全銀協は盗難通帳による払い出し等の対策を打ち出したわけでありますが、努力したとされているにもかかわらず、今でも被害はなくなっておりません。偽造カードだけではなく、盗まれたカード、盗まれた通帳、印鑑を用いた不正な引き出しの場合も、当然、預金者の無過失の立証というのは非常に困難であります。そのため、事実上、金融機関は免責され、被害者が泣き寝入りしているという事例が後を絶ちません。  過誤払い被害という点では、偽造カード盗難通帳もその間に差異はございません。盗難通帳も含めて被害を救済するという法的措置が必要だと思うんですけれども、これも与党提案者民主党提案者それぞれにお聞きをしたいと思います。
  68. 松島みどり

    ○松島議員 佐々木委員おっしゃいますとおり、そして先ほど泉委員もおっしゃいましたように、盗難通帳による、対面で、銀行員が相対しながら不正な取引、引き出しをやってしまうということは、確かに非常に大きな問題だと思います。そしてまた、これは、今後これに対する対応策という法律を必ずつくっていくべき問題ではないかとも考えます。  ただ、今、現時点におきまして、私どもがつくった法律というのは、最近ふえております、銀行のATM、機械のシステムというものに問題があってこういう犯罪が起こっている、被害が起こっている、そこに着目して、この点を集中的に法律に体系にしたものでございまして、この対人、対面取引というものは、また別個にもちろん対処していかなければいけない、今後大きな課題として残る問題だと考えております。
  69. 城井崇

    ○城井議員 お答え申し上げます。  確かに、偽造カード盗難通帳も違いはないというふうに考えます。実際に、偽造であろうと盗難であろうと、そして通帳であろうがカードであろうが、それにつけ加えてATMであろうが対面の取引であろうが、問題の本質はすべて同じだというふうに考えます。それは、すなわち、銀行が確実な本人確認を行っているかどうか、この一点が問題であるというふうに考えています。  先ほど御紹介ありました、大きな被害が出ております盗難通帳、そして印鑑による過誤払いでも、銀行がもう少し注意を払うだけでも簡単に被害を防げたケースは多いというふうに聞いてもおります。中には住所生年月日が間違って記入されていたのを銀行員が親切に書き直させた、先ほど御指摘があった例であります、この例もうそのような本当の話でございます。対面取引での本人確認は決して難しいことではないというふうにも思っています。何か不自然だと思えば身分証明書を確認すればいいということでございますので、簡単だというふうに思います。巨額を投じて新たなシステムをつくる必要もないというふうにも思います。  繰り返しますけれども、多くの銀行はそういう努力を全くしてこなかった、これまでの民法の四百七十八条に安住をしてきたという点は厳しく指摘をせざるを得ません。このように、ある意味で表面的な問題ということにこだわってしまっては、この問題の本質を見誤ると思っています。問題の本質は銀行が確実に本人確認を行う、この一点であるということを最後に改めて申し添えたいと思います。
  70. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 提案者江崎議員は、四月十三日のこの財務金融委員会でこういうふうに述べておられます。「基本的には、預金者の立場、預金者本意の立場でこれらへの対応策が必要だ」というふうに述べました。きょうの提案された法案の目的を見ますと、「これらのカード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者保護を図り、あわせて預貯金に対する信頼を確保し、もって国民経済の健全な発展及び国民生活の安定に資することを目的とする。」こう書かれているわけであります。  つまり、預貯金者保護は現在不十分であり、過誤払いの被害者が無力であるから、預貯金者の立場で保護のルールをつくろうというのが提案された基本的な考え方だというふうに理解はできます。しかし、今議論のありましたように、通帳も含めた盗難被害盗難印鑑、こういうものまで対象にしないと、預貯金者保護に資するということにはならないのではないか。  先ほどの松島議員の答弁では、今後何らかの法的対応が必要だというふうにおっしゃいました。必ずつくるべきだともおっしゃいました。それならば、これはこの部分をやはりつけ加えてより預金者保護に資するものにする、これは当然の対応策だと思いますが、そういう気持ちがあるのか、あるいはないのか、この点を明確にお答えをいただきたいと思います。
  71. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 現段階において、この国会において成立をさせるという目的においては、この盗難通帳の案件については検討課題とさせていただきたいと思っております。したがって、今早急に対応する盗難偽造カード、これを対象とさせていただきまして、次の段階としてこの盗難通帳、先ほど松島議員からお答え申し上げましたとおり、印影による文書の認証という問題、これはいわゆる銀行取引における通帳と印鑑という関係以上の広がりがあるわけでございますので、関係行政機関とも相談しながらここは早急に対応していきたいと考えております。
  72. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これはもう少し具体的に詰めていく必要があると思います。先ほども与野党協議ということを提案されましたので、これは預金者の立場にしっかり立って、預金者を守るという姿勢でぜひ対応していただきたいと思います。  次に、与党提案者に続いてお聞きしますけれども、現在、預貯金者自分の無過失を立証しなければ損失は補てんされないということになっておりまして、与党提案のこの法案では過失立証責任金融機関にあるというふうにされております。この点は一定の評価を我々はしております。偽造カードに限るということでありますが、立証責任を銀行に課した理由、この考え方、説明をしていただきたいと思います。
  73. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 先ほど佐々木委員もおっしゃられましたとおり、預金者に帰責事由を求めるというのは非常に困難であるということは私ども認識しているということでございます。その結果として、預金者の方は損失補てんを受けられずに泣き寝入りをされているという現状がございます。  情報量あるいは人的資源ということに関しましても、個人と組織ということを考えますと、圧倒的に力関係はやはり銀行の方が強いと考えざるを得ません。そういった観点を含めて、私どもは銀行に立証責任を求めたということでございます。  また、そもそも論としまして、今、銀行が脆弱なシステムを私ども預金者に提供してしまっているということについては大変重い責任である、一日も早く安全性の高いシステムに確立し直してもらうということも同時に求めているわけでございます。
  74. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 現実にこれまでもたくさんの被害者が生まれまして、預貯金者が泣いているわけです。これまでの被害、これまでの被害者をどう救うかというのも大変重要な課題であります。  つまり、法律をつくったら、法律をつくって以後の被害は救うけれどもそれ以前はどうしてもできないんだ、こういうことが通常往々にしてあるわけですけれども、この点について、与党提案者民主党提案者それぞれ、過去の、つまりこれまでに発生した被害者、これはカードだけじゃありません、預貯金通帳被害も含めましてどう対応されるのか、お考えを聞かせていただきたいと思います。
  75. 江崎洋一郎

    江崎(洋)議員 法律施行前の行為に今法律について及ぼすということが難しいことにつきましては、法律にお詳しい佐々木先生も十分御存じだと存じますが、しかしながら、私どもの法律に関しましては、附則第二条といたしまして、「この法律趣旨に照らし、最大限配慮が行われるものとする。」ということで、過去にさかのぼって拘束はできません、しかしながら、この法律自身で最大限配慮が行われて、私どもといたしましては、できるだけ多くの預金者が救われることをあくまで期待しているわけでございます。金融機関対応を今後も注意深く見守っていきたいと考えております。
  76. 中塚一宏

    中塚議員 まず、私ども、この法律案提出したのは三月の二十五日なんですね。要は、年度末、昨年度末に提出をした。とにかく早く対策をとらなきゃいかぬということをかねてより主張していた。やっと与党皆さんも案をお出しになったので、こうやって両案並べて審議ができるということになったわけなんですが、本当にこれ以上不幸な方をふやさないようにする、大切なことだと思います。  あとは、加えて、先ほど佐々木先生の質疑の中でもございましたけれども、盗難通帳盗難印鑑の方も含めて、これだけたくさんの被害が発生をして、現実に困っていらっしゃる方が多い。もちろん、不利益遡及はしないという大原則があるようではありますけれども、ただ、国会がまさに国権の最高機関であるということが日本国憲法の中にもしっかりと書いてある、私どもは国民の代表としてこうやって案を提出し議論をしているということなんですが、この法律案が成立をした暁には、ぜひとも過去の例につきましても、国権の最高機関たる国会が、国民の代表である国会議員がこういう案をつくったんだという事実を銀行にもあるいは裁判所にも重く受けとめていただきたい、このように考えております。
  77. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 預金者を守るという点については、今後の被害者、想定される被害者も当然守らなきゃならぬけれども、現実に被害を受けた方々がいらっしゃるわけで、そういう方々を全面的に救済するということが必要だという点を改めてここで強調しまして、時間が参りましたので終わります。
  78. 金田英行

    金田委員長 次に、馬淵澄夫君。
  79. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 民主党の馬淵でございます。  きょうは、この偽造盗難キャッシュカード対策の法案につきまして、与野党それぞれの議員立法が提出されておりますが、大変重要な問題であると私も認識しております。主に、この提出者の中でも民主党法案提出者の方々を中心にお話を伺っていきたいというふうに思っております。  私の地元でも、こうした被害に遭われた方々のお話を直接繰り返し伺っておりました。この盗難カード、こういったことに対して、どこに一体話を聞きに行けばいいのだろうか。金融庁や国家公安委員長、あるいは全銀協、こういったところにもお手紙を出されたというようなお話を、私、何度も地元でもお聞きしました。  さて、そうした中で、金融庁のこのことに対しての取り組みというのは非常に遅いというか、その姿勢というものが十分でないということで、私は大変遺憾に感じておったわけです。私は、かつてこの財務金融委員会の中でも、再三、金融庁のさまざまな業界に対する指導について得意の裁量権の行使ではないのかということを指摘させていただいてきたわけですが、それに関しましては伊藤担当大臣はいつも市場の公正な原理にのっとって市場の番人としてしっかりと見ていくんだということをおっしゃっていたわけでありますが、現実には金融機関の指導に腰が重かったというのが実態ではなかったかというふうに私は思います。  例えば、ことしの五月の伊藤大臣の会見の概要の中でも、こうした盗難キャッシュカード等に対する対応の取りまとめについても、事態の推移について十分注視していきたいといった言葉、あるいは、この六月の六日にありました五味長官の会見の概要におきましても、与党法案化に向けた動きを引き続き注視するということだと考えている、こうした非常に後ろ向きというんですか、金融庁の動きというものが非常に問題があったのではないかということを私は強く感じております。  そこで、民主党法案提出者の方にお伺いをしたいわけでありますが、こうした偽造盗難カード対策が遅きに失したこと、政府、金融庁の遅きに失したこと、そして、現在この議員立法の動きをじっと眺めているという状況について、与党案に先駆けて法案提出した民主党提出者の方々にこの状況についての御見解を伺いたいと思います。
  80. 中塚一宏

    中塚議員 この偽造キャッシュカードの問題につきまして、昨年の三月三十一日にこの委員会で取り上げましたときには、要はキャッシュカード偽造された人は法律上は被害者になり得ないということで、どこに頼みに行っていいのかわからない、どこに相談に行っていいのかわからない、警察に相談に行ってもそれは被害者じゃないと。被害届も受け取ってもらえない、そういうふうな状況だったわけなんですが、警察は、その後いろいろと指導もあって、銀行がちゃんと被害届を出すということで事件自体は事件化をするようになってきたということだと思いますけれども、ただ、金融庁が果たしてどっちのサイドに立つのかというのは、私は本当にこれは大切なことだと思うんです。  私どもも、実はそもそもは偽造キャッシュカード等の対策で案を練り始めたんです。この与党案のような考え方もいろいろと研究をしたことはあります。でも、この問題は、やればやるほど、要は銀行が本当にちゃんと本人を確認するかどうかということに尽きるわけであって、先ほども申し上げましたが、要は預けた方、預金者の方の権利をいかに擁護するのか、その点に立たなきゃ話にも何もならないわけですね。  別に、私は、私どもの案が銀行に厳しいというふうにも思っておりません。というのは、これだけ低金利の時代に、預けたお金がいつどうなるかわからないということになるならば、もうたんす預金にしようかという人だって出てくるかもわからないわけですね。そうしたら、一体日本の金融というのはどうなるんだ。金融というのはまさに信用ということが一番大切なわけですから、そういった意味で、金融庁も、その信用というものがどうあるべきなのか、金融の信用、信頼というものはどうあるべきなのかということをちゃんと考えた上で、銀行等預金取扱金融機関だけではなく、カードによってですね、生命保険あるいは証券、その他貸金業もありますけれども、そういったところにもきっちりと対策を打つ、指導をするということが必要だろうというふうに考えております。
  81. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 まさに今の御指摘のとおり、信用創造に向けて金融庁が本当にしかるべき態度を明確にしてこの問題について取り組んでこなければならなかったということがこの委員会の中でも繰り返し議論されていく中で、私はそのことが我々の中にもあったということを確認させていただいた思いであります。  そして、今お話にありますように、金融庁が本来ならばそうした信用創造に向けての対応をしなければならなかったのではないかという御指摘もありましたが、一方で、先駆けて今回の法案提出をされたわけです。そして、民主党案与党案を比較していきますと、先ほどの質疑者の中にもありましたが、大きな違いとして、いわゆる盗難通帳による被害は救済対象とならないという点、これが一番大きな特質ではないかと私は感じております。  真の権利者保護ということ、この利益を守るということは、ATMを通じようが窓口を通じようがこれは全く関係がない、そんなことによるものではないんだということを繰り返し御答弁でもいただいたわけであります。そしてまた、いわゆる盗難の手口の違いによって補償を選別すべきではないということ、これも先ほどの御答弁の中にも再三再四御指摘をいただきました。  通帳被害というのが、先ほどは金融庁の数字にもありましたが、全銀協の調べの中でも、かつて、平成十五年四月—六月期におきましては二百四十四件という数値、これがいわゆる副印を廃止することによって平成十七年の一月—三月期には五十三件と激減した。しかし、同時期の偽造キャッシュカード、この預金等の引き出しの事件は八十件。さして変わらない数字であるというような見方もあるかもしれませんが、一方でATMの利用件数が圧倒的な数であるという、窓口利用件数を圧倒的に上回っているという事実を考えれば、盗難通帳による被害というのは本当に深刻である、そう断ぜざるを得ません。その点につきまして、与党案盗難通帳に対して欠如しているという点について、ぜひ民主党法案提出者の方々からこれについての評価、どのようにお考えかということを御意見いただきたいと思います。
  82. 城井崇

    ○城井議員 お答え申し上げます。  盗難通帳による被害の救済は、当然やらなければならないというふうに考えます。先ほども少し御説明申し上げましたけれども、私ども民主党では、今回のこの問題解決のかぎは、いわゆる通帳カードかという線引き、あるいは偽造盗難かという線引き、あるいはATMか対面取引かという線引きでは表面的な解決にしかならない、根本的な解決にはならないというふうに考えています。金融機関が確実な本人確認を行う、このことが必要だという認識のもとで今回の法律案提出させていただきました。  しかし、一方、自民党案、先ほどもお答えございましたけれども、偽造カード等及び盗難カード等を用いて行われる不正な機械式預貯金払戻し等からの預貯金者保護等に関する法律案という名称、この法律名、法案名を比較しただけでも、法案の精神がもともと異なるという点を御理解いただけると思います。委員が御指摘のとおり、手口の違いという表面的な問題ではなく、金融機関による確実な本人確認という問題の本質をとらえた対策が必要であり、先ほど御紹介ありましたように、四千百四十件という圧倒的な数に及ぶ盗難通帳、この件については当然その対策に含まれるべきだということを改めて申し上げたいと思っています。与党案にこれが欠けているということは、問題の本質を見誤っていると言わざるを得ません。  与党はみずからの案にこだわることなく、我々との協議に応じて、民主党案をぜひ成立させるということに協力すべきだというふうに考えております。このことを強く申し上げたいと思っております。
  83. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 与党案が問題の本質を大きく見誤っているという御指摘をいただいているわけでありますが、そのもともとの根本はどこにあるのかというと、消費者あるいは預金者という、実際の市民の皆さん方がいかに弱い立場に立っているかということ、このことについての御理解が私は浅いのではないかという気がしてならないんです。  例えば預金者というのは、これは情報の非対称性というのがあるのではないかというふうに思っていまして、今回、偽造キャッシュカードやあるいは盗難通帳の問題もありますが、例えば約款上定めてあるということになります、この約款上に定めてあるということでカードの利用というものが行われているわけですが、これを約款に書いてあるじゃないかという抗弁を受けても、約款をすべて網羅して読んで理解をされた方というのは少ないのではないか、これが現実ではないかと思うわけです。  そこで、民主党案の場合は、私もこれは注目すべきだなと思っていましたが、特に第五条で、キャッシュカードの約款等に書かれた預金者の不利となるものについては無効となるという旨を法案に明記しておられます。こうした点を法案に明記したことの意義をぜひこの委員会の場で御開示いただけないでしょうか。
  84. 城井崇

    ○城井議員 お答え申し上げます。  御指摘のとおり、金融機関の約款は、私も何度か目にしましたけれども、およそ人に読ませるような形でつくられているというふうには言えないものだというふうに私も思います。しかも、カード暗証番号が正しければ、偽造、変造あるいはそのほかの事故があっても、そのために生じた損害については一切責任は負いません、こういう内容の、ある意味で銀行に一方的に有利な規定も記載をされているわけであります。この点も踏まえて、民主党では現在金融サービス市場法の検討を進めております。この中では、プロである銀行とアマチュアである預金者の間にどのようなルールを置くのかなどを含め、銀行の約款のあり方にもかかわる重要な問題がこの中には含まれております。民主党案は、いずれ世に問うことになるであろうこの金融サービス市場法の精神も先取りをして、御指摘の第五条の規定を設けさせていただいたところでございます。
  85. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 ありがとうございます。  こうした預金者が、情報の非対称性ということを十分考えて、その不利益をこうむらないようにという配慮があるかと思うんですが、こうした預金者の方が実際に被害に遭われた場合、どこに話を持っていっていいかということで大変悩まれておられます。この点について、一点お聞きをしたいと思うんです。  キャッシュカード被害者の方々がひまわり草の会といった被害者の会を結成されておられます。銀行相手に一人で闘うことがなかなかできないということで、被害に遭った多くの方々が、警察も頼りにならぬ、銀行もだめだということで泣き続けたとか、あるいは息子が勝手に引き出したんじゃないですかというような、そんな厳しい話をされて、それこそもう精神的ショックで立ち直れない、こんな状況があったということもお聞きをしています。  民主党案の中で、第八条で情報の提供、相談等の体制の整備というのを定めているわけですが、こうしたことに対してのお考え方ということを端的に御説明いただけませんでしょうか。
  86. 城井崇

    ○城井議員 お答え申し上げます。  委員御指摘のとおり、これまで被害に遭われた方に対する銀行あるいは金融機関対応には大きな問題があったというふうに感じています。先ほど御紹介のありました、ひまわり草の会の方々からも大変詳しくその被害についてもお伺いをしたところでございます。警察の対応についても、非常に不適切だったというケースも多々あったというふうにも聞いております。世の中の方の多くがこの問題に対して十分な認識を持っていない。それにもかかわらず、被害者は孤独な闘いを強いられているという感を、その被害者の方々のお話を伺うにつけても、非常に強く感じたところでございます。  民主党案では、このような認識のもとで、国と地方公共団体、そして金融機関は、無権限預貯金等取引に関する情報の提供、相談その他の援助を行うものとし、そのために必要な体制の整備に努めるものとしたところでございます。
  87. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 このように民主党は非常に消費者の立場に立った法案の提示をしているということでありますが、一方、このような法案が成立すれば金融機関等に負担が大きくなるのではないかといった経営上の支障ということについての懸念も取りざたされております。  そこで、きょうは伊藤大臣にお越しいただいているわけでありますが、私、冒頭に申し上げたように、金融庁がこうした問題に対して、盗難カード対策に対して、終始一貫して状況を見る、注視するといった状況に置かれたこと、これについて果たして金融機関を指導する立場として適切だったかどうかということと、そしてもう一つは、こうした金融機関等の負担に対して行政当局としてどのようにお感じなのかということをお答えいただけませんでしょうか。
  88. 伊藤達也

    ○伊藤国務大臣 お答えをいたします。  状況を見守るというようなお話でございましたけれども、私どもとしても、この問題について、社会的に大きな問題でありますので、こうした問題に対して積極的な取り組みを行ってきたつもりでございます。  金融庁といたしましては、昨年の十二月に実態調査を開始して、本年二月二十二日にはその結果を公表するとともに、当該結果を踏まえて金融関係団体に対して今後の犯罪防止策やあるいは犯罪発生後の対応などについて要請を行ったところであります。さらに、当該要請で示された項目について、銀行法第二十四条に基づき、偽造キャッシュカード犯罪緊急対応方針の提出を求め、各金融機関対応をフォローアップしてきたところであります。  また、偽造キャッシュカード問題に関するスタディグループも立ち上げさせていただいて、そして、十九回にわたり精力的に御議論をいただきました。御議論の結果、三月三十一日に偽造キャッシュカード被害に対する補償に関する第一次中間取りまとめ、五月十三日には盗難キャッシュカード被害に対する補償に関する第二次中間取りまとめ、六月二十四日には被害発生の予防策等を中心とした最終報告を公表しているところでございます。  このように、金融庁といたしましては、偽造盗難キャッシュカード問題に対して積極的な対応を行ったところでございますし、また、私どもとして要請をさせていただいた内容に基づいて、金融機関におきましても適切な対応を行っていただきたいと考えております。
  89. 馬淵澄夫

    ○馬淵委員 時間もなくなりましたが、今のお話を伺いまして、本当に金融庁が被害者の立場を考え対応されたと、なかなか私はすんなりとお受けするわけにはいかないなという気がいたしております。  本来、金融機関に求めるサービスというものは何かというと、やはり自己の財産の安全な管理なんですね。庶民の当たり前の、かつ、ささやかな願いをかなえていくことが、また、そうした体制をつくることが我々の責務であるということを申し述べて、私の質疑を終わります。  ありがとうございました。
  90. 金田英行

    金田委員長 これにて両案に対する質疑は終局いたしました。      ————◇—————
  91. 金田英行

    金田委員長 次に、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の一部を改正する法律案起草の件について議事を進めます。  本件につきましては、先般来理事会等において協議いたしました結果、お手元に配付いたしましたとおりの起草案を得ました。  まず、本起草案の趣旨及び概要を御説明申し上げます。  本起草案は、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法に基づく緊急調整地域の指定等に関して、次の経過措置等を講ずるものであります。  第一に、酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の失効の際に効力を有している緊急調整地域の指定及び当該地域についての酒類小売業免許の付与の制限等に係る規定について、平成十八年八月三十一日までの間、なおその効力を有することとするとともに、公正取引委員会への措置請求等に係る規定についても、同日までの間、なおその効力を有することといたしております。  第二に、政府は、おおむね一年を目途に、青少年の健全な育成の重要性及び酒類に係る公正取引の確保等の観点から、酒類の販売業免許の制度及びこれに関連する制度のあり方について検討を加え、その結果に基づいて必要な措置を講ずることといたしております。  以上が、本起草案の趣旨及び概要であります。     —————————————  酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の一部を改正する法律案     〔本号末尾掲載〕     —————————————
  92. 金田英行

    金田委員長 この際、お諮りいたします。  本起草案について、本日、政府参考人として国税庁長官官房審議官岡本佳郎君、公正取引委員会事務総局経済取引局取引部長舟橋和幸君の出席を求め、説明を聴取いたしたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  93. 金田英行

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。     —————————————
  94. 金田英行

    金田委員長 本起草案について発言を求められておりますので、順次これを許します。松本剛明君
  95. 松本剛明

    松本(剛)委員 民主党松本剛明でございます。  酒類小売業者の経営の改善等に関する緊急措置法の一部を改正する法律案ということで、今委員長の方からお話がございましたけれども、私どもも、この緊急措置法、そもそもの二年前の緊急措置法の成立に携わり、また今回この改正に携わるということで、とりわけ谷垣大臣においでをいただいて、政府にも御要望、御要請を申し上げてまいりたいということで発言の機会をいただきました。  私たち民主党は、市場経済を信奉する、その意味で経済的自由というのが大変重要であるというふうに考えております。その中で、一方、酒税の確保という観点から、酒税は庫出税でありますが、恐らく製造から販売までということで一貫してお酒を取り巻く業界について国税庁が所管をされ、免許制度という形で運営をされてきたんだろうと思いますし、長年の酒税の確保にかかわって御努力をいただいた小売酒販業界の御労苦というものも私ども正当に評価をしなければいけない、このように思っております。一方で、今申し上げたような経済的自由という中で規制改革を進める、これを円滑に進めるためにこの小売業界の経営改善もしくは転廃業の円滑化といったものが必要であろうということで、この緊急措置法を二年前に設けたわけでありまして、この原点は変わらない、このように思っております。  経済的自由と、一方で今申し上げた長年の労苦、そして円滑な転廃業を進めなければいけないという、この関連の中でぎりぎりの措置としていわば緊急措置法は設けたものだ、このように私どもも理解をしておるところでございます。  あわせて、二年前の審議でも、そして今回の起草に当たっても私どもお願いを申し上げてまいりましたが、小売酒販の業界が免許制度という形で維持をされてきた、いわば結果としてという部分があるかもしれませんが、地域に対して大変大きな役割を小売酒販の各経営者たちは担ってきたということがございます。あわせて、お酒の特性ということがあります。飲酒の問題ということにかかわってまいりますが、特に、大人はもちろんでありますが、未成年の飲酒といった問題についても業界を挙げて取り組んできたということも私どもは評価をしていかなければいけない。  こういった地域貢献であったり、酒類の特性、未成年飲酒に対する社会的要請についても、言うなれば免許制度で維持をされてきたことの、まあ反射的と言っていいのかどうかわかりませんが、結果としてこのような大きな効果を果たしてきた。このことは、引き続き、我々立法を担う者としても、社会の状況をかんがみるに当たって大変重要ではないかというふうに考え緊急措置法を二年前に設ける際にお話を申し上げてきたところでございます。  あわせて、昨今の酒類の取引状況をかんがみるに、不当廉売等、取引を是正すべき、公正な取引を確保すべき状況もある、このような認識も踏まえてこの緊急措置法を設定したわけでありますけれども、二年間のこの施行状況をかんがみ、酒類業者の経営の改善等状況をいろいろ調べていくに当たって、今お話があったように、この一年の効果の延長というのが法を改正することによって必要ではないか。あわせて、この間に、今申し上げたような取引の公正の確保であり、また、今までこの免許制度の中で確保されてきた社会的要請にしっかりとこたえる体制をとっていただくことが必要ではないか、このように認識をして、本法案改正に私どもも賛意を表しつつ携わる、このように理解をしております。  そこで、政府に御要請、御質問、お伺いをしてまいりたいと思っておりますが、まずは公正取引委員会にお伺いをしたいと思います。  そもそもの緊急措置法の中に、公正取引委員会に対する措置請求であったり、取引条件の公正、透明化についての条文が設定されております。これによって、この二年間、措置請求を受けるなどの一定の効果を果たしてきた、このように思っておりますし、この条文についても一年間の延長が行われることになっておりますが、これについては、さらにその後も展望して、この一年の間にしっかりした体制を私どもはとっていただきたいし、必要であれば我々は立法の制度についても考えていきたい、このように思っておるわけでありますが、当面の適正な運用と今後のあり方についての検討について御所見をお伺いしたいと思います。
  96. 舟橋和幸

    ○舟橋政府参考人 御説明申し上げます。  ただいま委員御指摘の緊急措置法八条に公正取引委員会に対する措置請求規定がございますが、この措置請求に基づきまして、国税局長からあった事例について、独禁法に違反するおそれがあるということで文書で警告を行っております、二事業者に対して警告を行ってきておりますが、今後とも、私ども公正取引委員会といたしましては、不公正な取引方法の規制、これは談合とかカルテルの規制と並ぶ重要なものと位置づけておりまして、その中に不当な廉売も入るわけでございますが、こういったものに対して引き続き厳正かつ積極的に対処してまいりたい、かように考えています。  それから、今後のあり方について御質問ございましたけれども、これについては、今回の改正法案趣旨等、これを政府全体としての問題だと受けとめまして、関係の省庁とも連携したりするなどして適切に私どもとしても対処をしてまいりたい、こういうように考えております。
  97. 松本剛明

    松本(剛)委員 今回の改正法の検討規定の中で、取引の公正の確保という観点からの検討も求めておりますので、当然、条文のしっかりした運用と、それから公正取引委員会としての使命を果たしていただくと同時に、今後のあり方についてもしっかりと検討していただくように要請を申し上げて、次の論点に参りたいと思っております。  大臣にお伺いをしてまいりたいと思っておりますが、先ほど申し上げたように、言うなれば経済的自由とのぎりぎりの接点を探したこの法律であるということで、例えばこの緊急措置法、今回もその効果を生かすことになりましたが、第五条については、言うなれば必要がなくなれば緊急調整地域の指定を解除せよ、こういう規定もあります。これについても決意を伺っていこうと思っておりますが、時間がなくなってまいりましたので、しっかりとこういう規定も法の趣旨にのっとって運用していただくように要請を申し上げて、社会的規制のあり方についての検討についてお願いを申し上げてまいりたいと思います。  既に二年前の法律であり方について御要請を申し上げ、そして、国税庁において酒類販売業等に関する懇談会という形の中で御検討もいただき、お取りまとめもいただいたというふうに私どもも承知をしております。しかし、そういった中で、本来酒税の確保を目的とする酒販免許制度ということが、先ほど申し上げたように結果として社会的要請にこたえてきた部分はあるけれども、これからについては、この制度、販売管理士等も含めて、できるものもあるであろうと思いますけれども、さらに幅広い総合的な観点からの制度のあり方の立案が恐らく必要であろうというふうに私どもも思っております。今回もそれに関連する制度まで含めて検討していただきたいということで、この検討規定の、言うなれば検討対象の幅を拡大させていただいておりますので、ぜひその点を踏まえ、そして現在酒類に関して御所管をいただいております大臣の御決意を伺ってまいりたいと思います。多分、一点だけお聞きをして、お答えをいただいて終わると思いますので。  私どもは、これから、免許制度が結果としてこういった社会的要請にこたえてきたというふうな表現を申し上げました、場合によっては社会的要請にこたえるためには政府の中においてどこが中心的になられるのがいいのかということまで含めて、いわば閣僚の一員としての御所見を承りたい、このように思っておりますので、よろしくお願いいたします。
  98. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 松本委員はこの改正案をまとめられるに当たりまして大変御苦労いただいたと承知いたしておりますが、冒頭におっしゃいましたように、営業の自由というものが重視されなければならない中で、小売酒販業の果たしてきた今までの役割もいろいろ考えながらぎりぎりの調整をしていただいて今回の改正案につながったんだろうと思っております。その結果、今指定をされております千二百七十四の地域について、これが延長されることになるわけですが、私どもはこの改正案の趣旨を体して適切に今後運用していかなければならないと思っております。  それから、松本委員がおっしゃいましたように、改正法案におきましては、未成年者の飲酒に対してどう対応していくかとか、あるいは公正取引の確保の観点から、政府において酒類販売業の免許制度、それからこれに関連する制度のあり方について検討を加えて、その結果に基づいて必要な措置を講ずべし、こういう規定があるわけでございます。今までも酒類販売管理者制度というようなものを整備拡充してまいりまして、できるだけ酒類販売業に対する社会的要請というのも両立するような、それを生かせるようなことも工夫してきたわけでございますが、先ほど御指摘もありましたように、今度さらにそれをもう少し視野を広げて考えたらどうかということでございますので、これは改正案の趣旨を政府全体として受けとめながら、関係省庁ともよく連携して、この法案が期する所期の目的を達成できるように私どもも工夫をしていきたい、このように思っておりますので、どうぞよろしくお願いを申し上げます。
  99. 松本剛明

    松本(剛)委員 法の趣旨を体し、また私どもの今申し上げた御要請にしっかりと政府としておこたえいただくようにお願いを申し上げて、私の発言を終わりたいと思います。ありがとうございます。
  100. 金田英行

    金田委員長 次に、佐々木憲昭君。
  101. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 日本共産党の佐々木憲昭です。  町の中から酒屋さんが消えるというのは、地域社会の人のつながりが崩れるというようなことで、私たちは規制緩和そのものに反対をしてまいりました。  今度の法案は、時限立法で、緊急調整地域における酒類小売業免許の付与を制限する緊急措置を一年延長し、地域の酒屋さんを守ろうというものでありますので、基本的には賛成です。  事実の確認をしたいんですが、これまで緊急措置によって全国何地域のうち何地域が指定されたか、数字をまず確認したいと思います。
  102. 岡本佳郎

    岡本政府参考人 お答えいたします。  全国三千三百八十三地域のうち、平成十五免許年度の緊急調整地域は九百二十二地域でございました。これは全地域の二七・三%に当たります。  また、平成十六免許年度の緊急調整地域は千二百七十四地域でありまして、これは全地域の三七・七%となっております。
  103. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 一定の範囲が対象になり、また一定の保護措置というか、そういうものがとられた。  谷垣大臣にお伺いしますけれども、こういう措置によってどの程度の効果が上がったと認識をされているか、基本的な認識をお聞きしたいと思います。
  104. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 実は私の本家も小売酒販をやっておりまして、これができるまではかなり苦労をして、まあ現在も苦労していると思いますが、やはり、地域地域に根づいた小売酒販が、その土地に根づいてやっていくためには、私はかなり効果があったのではないかなと考えております。
  105. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これをさらに一年延長するわけですけれども、問題は、この延長された事実を広範な酒屋さんにどういうふうに伝えるか。広報、伝達、これが効果的に行われるかどうかがもう一つ大事だと思いますが、その点はどのように考えておられますか。
  106. 田野瀬良太郎

    ○田野瀬副大臣 私からお答え申し上げたいと思うんですが、繰り返しになるかもわかりませんが、この緊急措置法について、今回の改正法案が成立し、延長措置が実施されることとなった場合には、本年九月一日から来年の八月三十一日までの新免許年度において、現在緊急調整地域に指定されております千二百七十四の地域について、引き続きその指定の効力が持続することとなります。御案内のとおりでございます。  財務省といたしましては、こういった緊急調整地域の指定の延長に伴って、混乱が生じることのないように、各国税局及び税務署を通じて、免許申請者の方々を初め関係各方面に対する説明会及びいろいろな広報でもって十分に広報活動をしてまいりたい、こんなふうに考えている次第でございます。
  107. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 これは、指定された地域の単純な延長だけではなくて、新たな申請も当然受け付ける必要があると思いますが、その点はどのようになっていますでしょうか。
  108. 岡本佳郎

    岡本政府参考人 お答えいたします。  免許の申請を受け付けるに当たりましては、我々は一般酒類小売業免許申請の手引というパンフレットをつくっておりますけれども、こうしたものを作成、配付するなどによりまして、申請者にとって免許の要件がわかりやすいようにまず周知をしていくということでございます。  それから、審査開始後二カ月以内を目途に免許の処理をしていこうということで、迅速に対応することといたしております。  また、仮に指定地域に当たっているような場合で免許申請の問い合わせがあったような場合には、この緊急措置法趣旨を十分に御説明し、御理解をいただいて、免許の付与ができないということを御理解いただくようにいたしております。
  109. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 谷垣大臣、本来、この規制緩和というものを急激にやりますと、いわば弱肉強食、強い者がどんどん利益を上げるけれども中小の酒屋さんがばたばたつぶれる、こういうことになりかねないわけでありまして、私は、基本的には、大手を規制するということは必要ではあるけれども、中小企業を倒産に追い込むようなやり方は正しくないというふうに思っております。  そういう点で、一年延長というのはこれはこれで結構ですけれども、やはり、日本の中小企業、中小の酒販小売業者を守るという立場から考えて、規制緩和路線といいますかその基本的な考え方について、このままでいいのかどうかということももう一度考えていく必要があるのではないかというふうに思っております。この点についての大臣の基本的な見解を最後にお聞きしたいと思います。
  110. 谷垣禎一

    ○谷垣国務大臣 酒類小売業者における需給調整要件につきましては、消費者の利便というものも考えなきゃいかぬ、こういう観点から、平成十年三月に規制緩和推進三カ年計画というのが閣議決定されましたけれども、それに基づいて段階的に行ってきたわけでございます。  一方で、先ほども御議論になりました、未成年者の飲酒防止とかあるいは公正取引の確保といったような社会的要請も、きちっと対応していく必要があるということだと私どもも思っておりまして、これは、関係各省とも連絡しながら、いろいろな施策を進めていかなければならないと思っております。  この分野の規制のあり方については、酒の小売を取り巻く社会や経済環境に加えまして、また、アルコール、酒の持っている特性とか消費者のニーズとか、いろいろな他の商品と違う特性がございますので、その辺を十分に見きわめながらやってまいりたいと思っております。  また、委員は、中小企業を守るという観点からという御発言がございました。これに関しましては、私ども、酒ローンというようなものを低利融資制度としてつくっておりますので、こういう酒ローンの活用を呼びかけるとか、あるいは経営改善計画に即した実践的な研修会を実施するといったようなことをやっておりまして、こういう側面からも、酒の小売に対する対策というものをこれからもやっていきたいというふうに考えているところでございます。
  111. 佐々木憲昭

    ○佐々木(憲)委員 この社会的規制の問題、未成年者への販売というのは私も何度か取り上げましたけれども、コンビニで未成年者が未成年に酒を売っているというような状況が間々見られるというようなことも指摘をしたこともございますが、やはり厳密にきちっとした指導が必要であるというふうに思います。それから、中小企業を守るという点でいいますと、単にローンということになりますと、展望があればローンが有効ですけれども、しかし、展望がないのにお金を借りてもなかなか返せないということがあります。  そういう意味で、基本的には、規制緩和という考え方そのものをもう一度考え直して、本当に中小企業を育成、発展させる、そういう立場に立つべきだという点を最後に申し上げまして、時間が参りましたので、質問を終わらせていただきます。
  112. 金田英行

    金田委員長 これにて発言は終了いたしました。  お諮りいたします。  本起草案を委員会の成案と決定し、これを委員会提出法律案と決するに賛成の諸君の起立を求めます。     〔賛成者起立〕
  113. 金田英行

    金田委員長 起立総員。よって、本案は委員会提出法律案とするに決しました。  なお、本法律案提出手続等につきましては、委員長に御一任願いたいと存じますが、御異議ありませんか。     〔「異議なし」と呼ぶ者あり〕
  114. 金田英行

    金田委員長 御異議なしと認めます。よって、そのように決しました。  次回は、来る二十二日金曜日正午理事会、午後零時十分委員会を開会することとし、本日は、これにて散会いたします。     午後五時五十四分散会