○逢沢副
大臣 大変重要な
ODAの基本的な政策のあり方について御質問をいただいたわけでございます。
言うまでもないことでございますが、
我が国は世界第二位の経済を誇る国でございます。また、国際社会の中にあって本当に大きな責任を有する国であることを自覚もしなくてはなりませんし、また、その立場を内外にかねてより明らかにしてきたわけでございます。
我が国は、世界主要国の一つとして、御承知のように、
ODA政策を積極的に展開してまいりました。先生からも御
指摘をいただいたわけでございますが、過去の記録を振り返ってみますと、一九九〇年代は世界最大の
ODA拠出国であったわけでありますが、その後、厳しい
財政事情等幾つかの状況を反映して
ODAの
拠出金額を下げてきた、そういうトレンド、いわば
日本の
ODAは今右肩下がりという状況に、今日まで、新しい世紀を迎えてからそういう状況になっております。
一方、
アメリカや英国、フランス、ドイツは、二〇〇〇年になりましてから、特に二〇〇〇年に国連でミレニアムサミットがございました。二〇一五年を一つのゴールといたします開発目標を立てた、そのことも一つの大きなきっかけであったと思いますし、また、
委員御
指摘のように、モンテレイのコンセンサス等々も二〇〇二年の段階でございました。
アメリカやヨーロッパの主要国は急速に今
ODAの
予算をふやしている、そういう状況にある、そのことは事実関係として客観的に
理解をしておかなくてはならないと思います。
開発の問題、また貧困の撲滅の問題、特に
アフリカ等を念頭に置いた感染症対策、そういうことに国際社会、とりわけ主要国が打って一丸となって対応しなくてはならない、そういった大きな課題を抱えた今日の世界政治状況をしっかり認識しながら
我が国の
ODA政策を積極的に組み立てていかなくてはならない、基本的にそんな問題意識を持っておりますし、ことしのイギリスにおきますサミット、また九月の国連総会におきます首脳会合でも、そういった貧困の撲滅、開発の問題が大きなテーマとして取り上げられるということは、既にアジェンダとして決定をいたしているわけでございます。
もちろん、過去におきまして、
日本の
ODAは大変高い評価を受けてまいりました。実は、私
ども、よく海外に出張する機会もございますが、
アフリカや中東の方に参りますと、
日本の、特にタイ、
アジア、ASEANに対する
ODA政策が大変高い評価を受けているという事実に改めて気づかされるわけでございます。
今から四十年前あるいは五十年前、ASEANの国々と
アフリカの国々は余り経済力に差がなかった、一人当たりの所得はむしろ
アフリカのある国の方が高い、そういう時代が今から四、五十年前あった。しかし、その後の展開では、
アジアの国々と
アフリカの現状に大きく差がついてきた。それを
アフリカあるいは中東なりに分析した結果、やはり
日本の、特にタイ、ASEANや中国に対する
ODA政策が非常に有効であったという彼らなりの一つの結論を見出しておられるといったようなこともたびたび
指摘を受けるわけでありますが、そういったことにも一つの、ある意味で、いい意味で自信を持ちながら、
日本の
ODA政策を積極的に展開していかなくてはならないと考えます。
GNI、GDP、〇・七%目標ということがジェフリー・サックス教授からコフィ・アナン事務総長に対して出されました。そのことを背景に二〇一五年のミレニアムゴールを目指していこうという大きな潮流がある中、確かに、
我が国におきましては大変厳しい
財政事情、こういったものもあるわけでありますが、適切に
国民の
理解を得ながら、また、もちろん
国会の先生方の
理解を得ながら、
日本として、国際社会の中にあって責任ある一員として果たしてどうあるべきか、そのことを考えたときに、今
我が国はGNP比ちょうど〇・二%の
ODA拠出の総体でございますけれ
ども、これはやはりこれ以上減ることがあってはならないというふうに思います。
もちろん、二〇一五年の段階で〇・七%を達成するということが今日の段階でコミットするということは大変困難なことでありますけれ
ども、しかし、生産性や効率性を確保しながら適切に量を確保していく、できる限り量の拡大ということについて努力をしていく、そのことが非常に重要であるというふうに承知をさせていただいております。
委員の御指導と御協力も心からお願い申し上げたいと存じます。