○井上(和)
委員 輸出も下がっているし、
民間の消費支出も下がっている、鉱工業生産は一月は上がったとおっしゃったんですけれども、これはどういう要因かわかりませんが、二期連続でマイナスも続いているわけですから、決して予断を許さない
状況だと思うんですね。そういう中での、非常に予断を許さない中での
増税は非常に危険を伴うということだけは、ここで申し上げておきたいと思います。
次に、話題をかえまして、環境税について
大臣にお伺いしたいと思います。
先ほど同僚の
平岡議員が同じ
質問をいたしましたけれども、実は、私、超党派の議連をつくりまして、省エネの問題に取り組んでおります。議連の名前は環境・省エネ外断熱議連といいまして、特に住宅部門での省エネを、特に建物の断熱を推進しようという目的で、これは
自民党の先生方とも協力してやっているわけですね。
なぜ私がこの問題に取り組み始めたかといいますと、
大臣御存じのように、私、以前アメリカに住んでおりまして、アメリカから帰ってまいりまして、
日本のマンション、コンクリートのマンションに住み始めたんですね。冬になりましたらこれが物すごく寒くて、一晩じゅうエアコン、暖房をつけっ放しで寝ないと寝られない。うっかりとまっちゃったときに私も大変風邪を引いてしまったという経験をしまして、アメリカにいたときは同じコンクリートのマンションでも、非常に快適で、冬でも半そでで過ごせるような快適な
生活を過ごしていて、
日本に帰ってきて、一体これはどうなっているんだという思いを強く持ちました。
その点、同じコンクリートのビルですから、恐らくセントラルヒーティングになっていないからかなというぐらいに
最初は思っていたんですね。ところが、いろいろ調べてわかったことが、欧米と
日本では断熱というコンセプトが根本的に違っているというのがわかりました。
欧米でどうなっているかといいますと、建物全体を厚い断熱材でかぶせるわけですね。こういうビルでもかぶせちゃうわけです。そうすると、家全体、建物全体がオーバーをかぶっているような
状況になるわけです。これを外断熱と言うんですけれども。
日本では、このビルもそうですが、そういう構造になっていなくて、内側にパンパンと断熱材が張ってあるとか、そういう
状況になっているわけですね。そうすると、例えば床の
部分は何もないですから、また、断熱材の張っていない
部分が出てきて熱が非常にむだになる。熱が逃げていくというわけです。窓もほとんど
日本の場合は一枚のガラスですから、そこからどんどんどんどん熱が消失される、そういうふうになっているわけです。現実には、こういった、九九%の
日本の建物というのは内断熱という建物で、実際に外断熱でつくられているものは一%程度しかないんですね。
具体的な話をしますと、長野県の大町にある病院がありまして、これは大きな病院で、こっち側が内断熱でこっち側が外断熱というふうになっているんですね。古いものを改修してこっちが新しくなって、外断熱にしたわけです。
冬に外側から、赤外線サーモグラフィーというのがあるんですが、つまり、建物がどういうふうに、どのくらい熱を発散しているか赤外線カメラで撮りますと、従来の内断熱の建物というのは赤外線カメラで撮ると真っ赤になるんです、つまり建物全体から熱を発散しているわけですね。つまり、熱がどんどんどんどん出ているわけです。ところが、外断熱の建物になりますと、熱が全く発散していないんです。出ているのは窓から。窓は、特にアルミサッシは非常に熱伝導率が高いですから、熱がどんどん出るんですけれども、窓
部分だと。建物自体は全然熱が発散していない。そういうのを私も現実に見たことがあります。つまりは、そういった欧米型の建物というのは、非常に熱を中にためることができるというものなんです。
実は、先週、スウェーデンのハンス・エークさんという建築士の話をこの議連で聞いたんですけれども、この人はスウェーデンで住宅をつくっているんですが、暖房がなくても住める住宅をつくっているんですね。何で暖房がなくても住めるかといったら、このうちはエネルギーを使わない、つまりは、建物の断熱材が物すごく厚いんです。壁に四十センチ、このくらいですね、断熱材が入っている、屋根もこのぐらい入っていると言っていました。
ちなみに
日本はどうかといいますと、今回、中越地震の後に、私も議連として、とにかく仮設住宅の断熱材を厚くしてくれというふうに厚生労働省や県庁にお願いしたんです。そうしますと、本来は
日本の仕様というのは五センチです、断熱材が。それをとにかく何とかしろと言って、十センチまでしてくれました。しかし、そのハンス・エークさんの言っている無暖房住宅というのは四十センチですよ。つまり、それだけエネルギーの省エネということに関して、特にスウェーデンなんかは進んでいる、ドイツもそうなんですけれどもね、というわけです。
日本は本当にやられていないんですね。窓も、ヨーロッパでは、寒い国ですから三重ガラス。サッシも、熱を通さない樹脂サッシとか木のサッシが使われていて、ほとんど熱をむだにしない。このハンスさんのつくったうちというのは、大体一年間に使う暖房の量というのは、ボルボの車のガスタンクの一回満タンにした分ぐらいだ、だから恐らく六十リッターぐらい、それで一年間賄えるということを言っています、約百平米くらいのうちでですね。
どうも今回の環境税の
議論を聞いていますと、何かもう
日本は他国に比べて非常に高水準の省エネを既に達成しているんだ、これ以上の余地はなかなかないというようなことが結構言われているんですよね。私、こういった問題に取り組んでいて、何を言っているんだと。とんでもない話でね。大体、家庭部門で約一六%のCO2を排出しているわけですね、オフィスなんかもありますから、かなりのCO2削減というものが、こういう断熱とかをきちっとやっていけばできるんですね。
ところが、何かもうすべてやっちゃったんだというようなことをよく知らないで言っている人がいて、どうもそういう人
たちの声が強くて環境税もなかなか
導入ができないというような
状況じゃないかなと思っているんです。
そういった
意味で、最近も、御存じかもしれない、TOTOというメーカーがあるんですが、
委員会で特定のメーカーの名前を出して恐縮なんですが、これは非常にすばらしいアイデアで、おふろが冷めないおふろというのをつくったんですね。つまりは、一度お湯を入れて、ずっと一晩じゅうあったかい。要するにそのコンセプトがまさしく外断熱を利用して、おふろのおけの外をずっと断熱材で囲んでつくったおふろ、魔法のおふろとか、魔法瓶かな、とかなんとか言っていますけれども、それが今大変売れている。
つまりは、やる気になれば、やはり
日本人は非常に優秀ですから、いろいろなことができるんですね。ところが、もうやることやったんだからという態度で努力をしない、そういう
状況にあるのが、私は今回の京都議定書の問題だと思います。
そういった
意味で、ぜひ、これは
増税になりますから
景気判断は慎重にしてやらなければいけないと思うんですけれども、今後、積極的に考えていただきたいと思うんですが、私の話を聞いて、
大臣、御感想はいかがでしょうか。