○藤田(一)
委員 民主党の藤田一枝でございます。
本日は、メンタルヘルス対策の充実に
関連してお尋ねをしてまいりたいというふうに思っています。
今回、
労安法の改正によって、過重労働あるいはメンタルヘルス対策というものの充実が図られるということは、それなりに評価をするものでありますけれ
ども、先ほど来お話がありましたように、カローシという言葉が国際語になってしまうほど問題が深刻化をしている、こういう
状況を
考えますと、遅きに失しているのではないか、こんな印象も否めないわけでございます。
かつて、これもよく言われたことでございますけれ
ども、けがと弁当は自分持ちという言葉がございました。労働者は、労働力は提供してもみずからの命は提供していない。労働者の命と健康を守る闘いの歴史というのは本当に過酷なものがありました。そういう経過の中で、使用者
責任の明確化ということがずっと図られてきたわけでございます。そのことをぜひ私はしっかりと踏まえていただきたい、このように思いますし、さらに、この過労死や過労自殺の
労災認定ということについては、本当に遺族の皆さんの無念の叫びの中から問題が顕在化をしていった、このことも御承知のとおりであろうというふうに思っています。
こうした経過を
考えますと、この長時間労働に対する厳しい規制あるいは労働安全衛生法規の遵守の徹底ということについて、何で
厚生労働省はもっと毅然とした対応がとれないんだろうか、いつもそんなふうに思っておりますし、このたびの
アスベスト問題の対応を見ておりましても、今本当に
厚生労働行政の立ち位置が問われているというふうに私は思っているところでございます。
冒頭、ちょっと感想めいたことを申し述べさせていただきましたけれ
ども、ぜひこの現状をしっかりと踏まえていただきたい。そして、過去のいろいろな事例がございます。いろいろな歴史的積み重ねの中で、
労災、職業病の問題、公害の問題、今日に至っているわけでありますので、そのことをしっかりと検証していただきたい、このように思うところでございます。
そこで、きょうは、ぜひ、命と健康にかかわる問題というのは積極的に先取りをしていくんだ、こういう意気込みで取り組んでいただきたい問題についてお尋ねをしたいと思います。それは、職場におけるセクシュアルハラスメントの問題でございます。
セクシュアルハラスメントというのは、セクハラというような言葉で大変定着をしてまいりました。やってはいけない行為である、重大な人権侵害行為であるということについては
認識をされるようになってきているわけでありますけれ
ども、法的規制という面からいきますと、DV法ができたことに比べると、まだまだセクシュアルハラスメントの規制というのは弱い段階にございます。男女雇用機会均等法の二十一条において、
事業主に対して、セクハラ防止のための雇用管理上の配慮義務というものが課せられて、そして、配慮すべき事項について
大臣指針というものが定められています。しかし、そういうレベルでございます。
しかし、セクハラ行為というのは本当に増加をしてきています。
雇用均等室への相談件数だけを見ても、全体の四割近くがセクハラ
関係であります。
内容は非常にエスカレートしてきています。言葉によるセクハラから、さわったり、抱きついたり、
関係を迫ったり、さらにはレイプという悪質な犯罪行為にまで及んでいるわけであります。そして、相手は、社長や上司、同僚や取引先、さまざまにあるわけであります。
そして、
被害者が上司あるいは第三者機関に相談したらば、何と一方的に配転になったり解雇をされたりしている。そして、派遣あるいは契約やパート、こういう形で働いている皆さんは直ちに雇いどめになってしまう、こんな
実態がございます。また、仮に職場での解決というものができたとしても、
被害者の精神的苦痛というのは残ってしまいます。
さらに、労働組合がない未組織の職場であるとか零細
企業など、なかなか
法律の実効性というものが担保できない、そういう職場においては、本当に
被害者は泣き寝入りの状態で、精神的なショックで働けない、解雇にならなくても自分でやめざるを得ない、こういう
状況に追い込まれているというのが
実態でございます。これは決して誇張して言っているわけではなくて、NGOの
調査だとか相談
内容というのを見ていただければ如実に出てくる
ケースばかりでございます。ぜひ、この辺、
大臣にも一度
実態を
把握していただきたい、このように思うわけでございます。
今本当に働く女性はふえてきているわけでありまして、女性にとって働く場所が安全でないということはとんでもない話であります。当然、これは対策を強化するということが必要なわけでありますけれ
ども、現行の均等法二十一条と
大臣指針だけではやはり足りない。もっといろいろな角度から、多面的にこの問題をとらえて、やはり対策を講じていく必要があるのではないか。
そういった
意味で、今回、
労安法が改正されるということで、
労安法の一条に掲げられている「快適な職場環境の形成」、こういう観点からも、しっかりとセクハラ対策に取り組む必要があるのではないか、このように
考えるわけでありますが、
大臣の御見解、まずはお伺いしたいと思います。