○石毛
委員 民主党の
石毛えい子でございます。
きょうまで三十数時間の
質疑がされたやに伺っておりますけれ
ども、今までの質問及び
答弁を伺っておりまして、
厚生労働省としまして、この新しい法律を策定するのに、政策理念あるいは哲学を明確に据えて、
制度の見直し、新しい
制度の構築を図っているとはとても考えられない、そんなように思えて仕方がありません。
昨年十月に
障害者福祉サービスにかかわるグランドデザインが公表されて、それから今年度の
予算編成に向けて、裁量的経費は不足するから義務的経費に切りかえるということが言われて、その後どういう展開になるのかなというふうに思っておりましたけれ
ども、
制度の全貌が見えないままにこの
法案が
提出されてまいりました。何度も
委員会では言われておりますけれ
ども、政令委任
事項が七十、省令委任
事項が実に百三十一、そして告示
事項十二にも上っているわけです。
中身の見えないままに、そして失礼な言い方になるかもしれませんけれ
ども、
ただいまの確認
答弁でも、
障害者の
皆さんが知りたい、わかりたいと思っていらしたことが、より、少しは具体的に理解できるような、そういう
答弁には至っていないのではないか、そう思って
答弁を伺っておりました。
改めて
指摘するわけでもないのですけれ
ども、もう
大臣も担当の
皆さんも、この
法案が
提出される前から、
障害者の
皆さんは大変不安に思われ、そしてまた疑念や不信を持たれ、反対を含めた意思表明を大変されてきておられますし、この
委員会の
質疑にも傍聴の方がたくさんお見えになっておられます。それから、御存じでいらっしゃると思いますけれ
ども、徹夜で議員会館の前で反対の抗議行動をされていらっしゃる方もおられます。正確な人数は存じませんけれ
ども、延べ人数にすれば二万人を超えているのではないかなというふうに思いますし、それはいろいろなお立場の方がおられるかもしれませんけれ
ども、六百万人を超える
障害児者の
方々が不安や疑念や不信を表明されている、そのあらわれだというふうに私は受けとめております。
当然、
大臣はそのような御認識をお持ちでいらっしゃると思います。ですから、きょう、これから一時間半ほど私は質問時間をい
ただきますけれ
ども、ぜひとも、
障害を持つ
方々の生存や
生活を大きく左右することになるこの
法案への当事者の
皆さんの危機意識がこうした行動として表現されていると理解しなければいけないと思いますし、そのことを踏まえて、私の質問に少しでも
中身がわかる具体的な
答弁がい
ただけますようにということをまず最初に申し上げておきたいと思います。ぜひぜひ、傍聴席の
障害の
皆さん、全国の
障害の
皆さんに届く
答弁として、真摯に、誠実に、
中身のうかがえる
答弁をお願いしておきたいと思います。
先ほど、私は冒頭に、新しい法律を仕組んでいくのに政策理念、哲学が欠けているのではないかというか、あるいは、ないというふうにも申し上げたかと思いますけれ
ども、そう思います理由はいろいろあるかと思いますけれ
ども、端的に二点ほど申し上げて、具体的な質問に入りたいと思います。
一点は、やはり
障害を持っている方、特に誕生時からあるいは若いときから
障害を持っている方、この法律の
対象は年齢制限をしているわけではございませんけれ
ども、高齢の
障害者につきましては介護保険が優先するわけですから、これは新しい法律もともに使えるようにするというようなテーマはありますけれ
ども、差し当たって大変多くの
障害者の方が不安に思っていらっしゃるのは、これまでの
支援費
制度を再編して
支援法に組みかえていくということで、端的に言えば、高齢
障害者ではなく、誕生時あるいは若くして
障害を持たれた、いわば若年
障害者の方が主要に
対象になるという法律でございます。そこをきちっと踏まえなければいけないんだと思います。
私は、この
法案は、多分検討してくるプロセスで、介護保険との統合とか、いろいろな事案がございましたから、事務方とすればいろいろな複雑な思いもあったし、作業もされたんでしょうけれ
ども、介護保険との類似性が見え隠れしていて、そちらの方がともすれば強く出てきてしまっていて、若年
障害者に対して、若年
障害者といっても六十歳の方もいらっしゃるでしょうけれ
ども、誕生時あるいは若くして
障害をお持ちになっている方を主として
対象にしている法律だということがきちっと据わっているというふうにはとても思えないということ。それは、先ほど言いましたように二つだけ申し上げたいと思います。
一つには、そのような
障害をお持ちの方は、
所得を得る、あるいは資産を形成する機会が決定的になかったか、不十分であるということです。この点は五島
委員も質問のときに
指摘しておられました。ですから、あたかもすべてが平等であるかのごとくに、
障害をお持ちの方の
負担についても同じように考えてはいけないんだと私は思います。
要するに、社会構造的に、歴史的にきちっと
所得を獲得する手だてを尽くしてこなかった、その歴史そして現状をかんがみれば、
障害をお持ちの方が
生活が成り立つように、仮に新たに
負担を求めるとしても、その
負担についての
考え方をきちっと
厚生労働省としては提示すべきであったのに、そこが見えないままに、あたかもすべて
障害の方が平等、対等になったかのごとくに介護保険並びで定率一割
負担を出してきた。なぜ定率一割
負担なのかという
説明は、公平にとか、
利用者がふえるからとか、そういう
説明しかない。これは、いかにも聞いていて私は寂しいし、政策を立てていく場合に、政策理念の貧困だと思います。
もっと
厚生労働省は堂々と財務省に向かっても、世の中に向かっても、社会に向かっても、定率
負担の一割原則は普遍性ですからそこを目指しますけれ
ども、
障害者政策として
所得はきちっと確保するような政策はとってきておりませんから、そこを勘案して、過渡期の政策として
負担についてどう考えるべきかということをもっと明確に明示すべきだと私は思うんですよね。ということを、第一点、申し上げておきたいわけです。それは全部いろいろなことにかかわってきますので、そこはぜひきちっと認識をしてい
ただきたいということが一点です。
それからもう一点は、誕生時から若くして
障害を持った方は、その
生活史においても現在においても、決定的に社会参加の機会を得てきていないということです。私は、奪われてきたと言っても言い過ぎではないと思っています。
本当に社会参加で平等になって対等になっているんだったら、それはいろいろな決め方があるでしょうけれ
ども、この政策は、社会参加の機会をどれだけきちっと保障していくかということが差別の解消に向かっていく、隔離、選別を超えていくという、そうした方向性をきちっと持つんだったらば、持たなければいけないと思いますし、持つためには、やはり社会参加の機会を決定的に私
たちのこの国、この社会はきちっと確保してこなかったということを踏まえるべきなんです。踏まえていないから、政策の体系が私から見れば非常にあいまいもことして、ちゃんとやれるんだかやれないんだかがわかりにくいという、こんな
法案の
中身になっているというふうに思われるわけです。
なぜ奪われてきているかということを少し申し上げたいと思います。
今の日本の教育
制度では、
障害を持つ子供さん
たちは、学校教育法施行令の措置によってほとんど養護学校に入らざるを得ないという状況に置かれています。若干の自治体による決定権はありますけれ
ども、これは
予算がつくわけではありませんから、選択するということがきちんと保障されているわけではありません。
地域からそもそも隔離されたところで
障害を持つ人
たちの
生活はスタートを切っているんです。それで、卒業してどこに行くかといえば、圧倒的に多くの方が
障害者施設に行く、あるいは家族介護のもとにいる、家族介護が無理だったらば入所施設に入る、こういう歴史だったわけです。
やっとこさっとこ、その中で、
障害を持つ人
たちが施設から本当に決死の思いで出てきて、
地域で自立を実現され、あるいは
障害者運動の歴史では、私も活字で読ませてい
ただいたり、知人の
障害がある方にお聞きするということの話でしかないかもしれませんけれ
ども、親は敵だというふうに言った時代だってありました。今でもそう思っていらっしゃる
障害の方もいらっしゃるかと思います。それで、親の庇護から離れて、本当に必死の決意で自立
生活を獲得されてこられた。ようやく社会参加、
地域生活というのが本当に芽を出し始めて広がってき出した。
ここをきちっとやりますよ、受けますよというふうに言わなければ、それはやはり
障害を持つ方はこの法律で、それは
支援費もその推進役になったと思います、そこをちゃんとしなければ、
障害を持つ方は、もう一回また施設に入らなければならないのか、親は大変であろうのに親の介護を当てにしなければならないのかと思ってしまうわけなんだと思います。
私は、この
自立支援法というのは、本当にそれぞれの
障害の方が、今あるそれぞれの状況で不安をお持ちになっていらっしゃる。だから、定率一割
負担の問題が非常にクローズアップされましたけれ
ども、不安の問題は本当にそれぞれの
障害の方に
対応してさまざまで多様だというふうに思います。だからこそ丁寧に、それぞれの分野といいますか、それぞれの
生活場面に応じた
議論がきちっとし尽くされていくということが
障害の
皆さんに安心感を与えて、義務的経費になるということが積極的に評価をされてということだと思います。
少ししつこい言い方になりましたけれ
ども、ぜひぜひ、社会参加を得てきていない
障害をお持ちの
方々に新法を提
示していく場合に、どういう方向性を目指すのかということをやはりきちっと踏まえてい
ただきたい、そういうふうに思います。
少なくとも、
障害者というふうに一言で表現をしても、今私が申し上げました若年
障害者の方と高齢期に
障害をお持ちになった方では、
制度、政策を仕組んでいく場合におのずと違ってこなければならない
部分があるということをきちっと、これから
制度を展開されていくわけですから、十分に踏まえて考えてい
ただきたいと思います。どこの国だって、
障害者政策が高齢者介護に一般化されて提供されているということはないというふうに私は思います。特に日本の場合は、今申し上げました歴史的な、あるいは現在社会的な状況の中で、そのことをきちっと認識して踏まえてい
ただかなければならないというふうに考えます。
少し敷衍化するような論理ですけれ
ども、最初に、今申し上げましたことについて、質問通告はしておりませんけれ
ども、
大臣のお考え、あるいは、この
法案を成立させていくというのはそちらのお気持ちなんでしょうから、御決意を含めて伺いたいと思います。