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2005-07-01 第162回国会 衆議院 厚生労働委員会 第31号
公式Web版
会議録情報
0
平成十七年七月一日(金曜日) 午前九時三十二分
開議
出席委員
委員長
鴨下
一郎君
理事
大村 秀章君
理事
北川
知克
君
理事
長勢 甚遠君
理事
宮澤 洋一君
理事
五島 正規君
理事
三井 辨雄君
理事
山井 和則君
理事
福島 豊君 青山 丘君 石崎 岳君 上川 陽子君 小西 理君 河野 太郎君 谷
公一
君 中山 泰秀君 西川 京子君
西村
明宏
君
葉梨
康弘
君 原田 令嗣君 福井 照君
古川
禎久
君 三
ッ林隆志
君
御法川信英
君 宮腰 光寛君
森岡
正宏君 吉野 正芳君
渡辺
具能
君
石毛えい子
君 泉 健太君 内山 晃君 大島 敦君
奥村
展三君
小林
憲司
君
小宮山泰子
君 城島 正光君
園田
康博
君 橋本 清仁君 藤田 一枝君
松野
信夫
君
松本
大輔
君 水島 広子君 横路 孝弘君
吉田
泉君
米澤
隆君
和田
隆志
君
高木美智代
君 古屋 範子君 山口 富男君 阿部 知子君 …………………………………
厚生労働大臣
尾辻
秀久君
厚生労働
副
大臣
西 博義君
厚生労働大臣政務官
森岡
正宏君
政府参考人
(
厚生労働省社会
・
援護局障害保健福祉部長
)
塩田
幸雄
君
政府参考人
(
厚生労働省老健局長
)
中村
秀一
君
政府参考人
(
厚生労働省保険局長
)
水田
邦雄
君
政府参考人
(
厚生労働省年金局長
)
渡辺
芳樹
君
厚生労働委員会専門員
榊原
志俊
君
—————————————
委員
の異動 七月一日
辞任
補欠選任
井上
信治
君 谷
公一
君
木村
義雄
君
葉梨
康弘
君
菅原
一秀
君
古川
禎久
君 泉
房穂
君
小林
憲司
君
小林千代美
君
松野
信夫
君
中根
康浩
君
和田
隆志
君
米澤
隆君
小宮山泰子
君 同日
辞任
補欠選任
谷
公一
君
西村
明宏
君
葉梨
康弘
君
木村
義雄
君
古川
禎久
君
菅原
一秀
君
小林
憲司
君 泉
房穂
君
小宮山泰子
君
米澤
隆君
松野
信夫
君
松本
大輔
君
和田
隆志
君
奥村
展三君 同日
辞任
補欠選任
西村
明宏
君
井上
信治
君
奥村
展三君
中根
康浩
君
松本
大輔
君
吉田
泉君 同日
辞任
補欠選任
吉田
泉君
小林千代美
君
—————————————
本日の
会議
に付した案件
政府参考人出頭要求
に関する件
障害者自立支援法案
(
内閣提出
第三五号) ————◇—————
鴨下一郎
1
○
鴨下委員長
これより
会議
を開きます。
内閣提出
、
障害者自立支援法案
を議題といたします。 この際、お諮りいたします。
本案審査
のため、本日、
政府参考人
として
厚生労働省社会
・
援護局障害保健福祉部長塩田幸雄
君、
老健局長中村秀一
君、
保険局長水田邦雄
君、
年金局長渡辺芳樹
君の
出席
を
求め
、説明を聴取いたしたいと存じますが、御
異議
ありませんか。 〔「
異議
なし」と呼ぶ者あり〕
鴨下一郎
2
○
鴨下委員長
御
異議
なしと認めます。よって、そのように決しました。
—————————————
鴨下一郎
3
○
鴨下委員長
質疑の申し出がありますので、順次これを許します。
園田康博
君。
園田康博
4
○
園田
(康)
委員
おはようございます。
民主党
の
園田康博
でございます。 久しぶりにこの
障害者自立支援法案
の
審議
ということで、いよいよ会期も延長されたということもありましたし、あるいはまた、この間、
郵政民営化関連法案
をめぐりましてさまざまな
国会
内での混乱もあったわけでございますけれ
ども
、私といたしましては、この
自立支援法案
、しっかりとした
審議
をしていかなければいけない、そういう
思い
で今日まで参ってきたわけでございます。 そして、
皆さん
も御承知であろうというふうに考えておりますけれ
ども
、私
ども民主党
といたしまして、この
自立支援法案
、余りにも
障害者
の
皆様方
に対しまして
負担
が大きいのではないか、あるいは、この
自立支援法案
がそのまま成立をすることによりましてさまざまな混乱を生んでしまうのではないか、そういう危惧を持っていたわけでございます。したがって、まずはこの
法案
の
中身
をしっかりと
慎重審議
をした上で、改めるべきものが、
問題点
があれば、これは改めていかなければいけない、そういう考えで臨んできたわけでございます。 そして、私
ども民主党
といたしましては、六月の九日になりましたけれ
ども
、
与党
の
皆様方
に対しまして、この
自立支援法案
の
骨格部分
にかかわる九項目の
修正協議
を申し入れさせていただいたところでございます。そして、この間、昨年の十月から、この
自立支援法案
といいますか
障害者政策
にかかわりまして、私
ども民主党
の内部では、それぞれ
議員
の立場で、あるいは
障害者政策ワーキングチーム
というものと、それから
厚生労働部門会議
というものの中でしっかりと
審議
をさせていただき、さらには
当事者
であります
障害当事者
の
方々
、団体の
方々
の御
意見
をいただき、さらには
議員
の
皆様方
によっては
地域
で、私もそうでありましたけれ
ども
、
地域
の
当事者
の
方々
と何度も何度も繰り返し
協議
、話をお聞かせをいただきながら、この
法案
に対する考え方を詰めてきたわけでございます。その結果がこの六月九日に
提案
をさせていただきました
修正要求
という形であったわけでございます。
政府
から
提案
をされてきたわけでありますので、
大臣
からはこれを
修正
をという話はできないものであるというふうに考えておったわけでありますので、残るは、あとはこの
国会
、この
委員会
の中での
審議
を通じて、与野党の
協議
を通じてこの
法案
をいいものにしていかなければいけない、誤った
欠陥部分
に関しては正していかなければいけない、そういう形で臨ませていただいたわけであります。実質上、この
法律そのもの
は、このまま通すと、先ほど申し上げましたように、
障害者
の
皆さん
にとってみれば本当に
生活
と命がかかわっている
法律
なわけであります。したがって、これほどの重大な
法律
でありますので、これまたしっかりと慎重な形で
協議
をしていかなければいけないわけであります。 ところが、大変残念なことでありました。私
自身
も大変遺憾に思っているところでありますけれ
ども
、この
法案
が
審議
に入ったのが四月の二十六日、二十六日に
審議開始
であったわけでありますけれ
ども
、ここから二カ月もたっていたわけであります。そして、さまざまな
部分
で
問題点
も明らかになっていたわけであります。 にもかかわらず、
与党
の
皆さん
から返ってきた
答え
、これは
皆さん
も御承知だと思うんですけれ
ども
、私
ども
は、まず
法案
の
目的
、法の
目的
の
部分
、これは
障害者基本法
の
目的
に明記されております
自立
及び
社会参加
、これを加えていくべきではないかというようなことを申し上げたわけでございます。これに関しましては、
与党
の
皆さん
からの
回答
といいますのは、法の
目的
については、
法案
を
修正
する方向でその
文言等
についてさらに
協議
することとしたいというお話がございました。法の
目的
でありますから、
骨幹部分
にかかわるということではひょっとしたらないのかもわかりません。しかし、この
法律
の
精神
、法の趣旨という
観点
からすれば、これは確かに一歩前進であっただろうなというふうに私は思っていたわけであります。 ところが、ここからが私は大変遺憾に思うところであります。 二番目に私
ども
が
提案
をさせていただきましたのは、
定率負担
のいわゆる
凍結
というものでありますけれ
ども
、今回この
法律
が
提案
をされるに至っては、
障害者
の
皆さん方
の
所得保障
と言われるもの、すなわち
経済基盤
というものがしっかりとなければ、やはりここにおいて、
障害者
の
皆さん
にとって、
負担
を押しつけるといいますか、
負担
をしていただくというのには余りにも不合理なものではないのかなという感じがしていたわけであります。 したがって、私
ども
は、新たな
障害福祉サービス等
にかかわる
利用者負担
について考えるとき、その
大前提
として
障害者
の
所得保障
の
確立等
がまず
必須条件
ではないか、そのことを申し上げてきたわけであります。そこで、
利用者
に
負担
を求めるに当たっては、
障害当事者
のみの収入に着目することとした上で、
障害者
の
所得保障制度
の
確立
及び低
所得者
の
負担軽減策
の具体的な拡充が実現する、これがまず
大前提
にあった上で、その上で、
障害者
の
皆様方
に、この
制度
を維持していくためには、
負担
を、これは
皆さん方
にとってみて
負担
をしていただかなければどうしても
制度
の維持が困難である、そういうことをお願いするという順番があったはずであります。 しかし、その順番がまるで逆な形で
提案
をされてきた。そのことに対して、私
ども
は、まず、この
所得保障
も含めた形での
拡充策
、これを求めていかなければいけない、したがって、それが
確立
するまでの間は、いわばこの
法律
の
骨幹部分
であるこの
定率負担
というものを、まずはしばらくの間
凍結
すべきではないか、そのようなことを申し上げたわけでございます。 しかし、それに対しての
回答
といいますのは、
定率負担
の導入の
凍結
については応じられない、しかし、実質的に過大な
負担
とならないよう
国会論議
を踏まえ低
所得者対策
を講じることを検討したいという
回答
でございました。なお、
所得保障
の
確立
については、今後の
検討課題
であり、
法案修正
が適当か否かについて引き続き
協議
することとしたいというふうになっていたわけであります。 最初にまず、
凍結
には応じられないがというふうに
回答
が返ってきたわけであります。 そして、三番目。これは、今現在、
移動
の
保障
と私
ども
は申し上げておるわけでありますけれ
ども
、
支援費制度
の中で、
支援費制度
が導入されるに当たって、
障害者
の
方々
にいわゆる
地域
での
生活
あるいは
自立
した
生活
、
社会参加
というものが一番広がったその根幹にあるのは、やはりこの
移動
の
保障
ではなかったのかと私
ども
は考えておりました。 そして、それにおいては、やはり今回の
法律
の中では、この
移動支援
については
地域生活支援事業
、ここの中に位置づけられているわけでありますけれ
ども
、まずこの
移動支援事業
については据え置き、これは当然のことでありますけれ
ども
、
法案
の中の
個別給付
であるところの
重度訪問介護
あるいは
行動援護
の
対象
というものを拡大していただきたい、そして、
サービス受給者
の範囲を実質的に
現状水準
に維持することによって
障害者
の
社会参加
というものを
保障
していただきたい、そういう
思い
でこの三番目の
提案
をさせていただいたわけであります。 それに対する
答え
が、残念ながら、
重度訪問介護
、
行動援護
の
対象
の拡大に関する
法案修正
には応じられないが、適切な
移動支援サービス
が確保されるよう、
地域生活支援事業
における
移動支援事業
の
あり方
についてさらに
協議
することとしたいというふうになっていたわけであります。これも、いわゆる私
ども
が求めている
回答
からすれば、到底受け入れられるものではありませんでした。大変かけ離れた認識があったのではないのかなと考えております。 そして、四番目。これも今、後ほど議論させていただきたいと思っておりますけれ
ども
、
自立支援医療
の
凍結
という形で、本年の十月施行をもって
公費負担医療
を
自立支援医療
とする形で
実施
がこの
法案
の中で見込まれていたわけであります。それに対して、改めて、これはまずその
中身
をきちっとしていかなければいけない、そのために、医療を必要とする者の範囲そして
自己負担
の
あり方
というものを、これもやはり先に検討していかなければいけないんだ、その上で、それがきちっと明確になるまではこの十月施行というものは
凍結
をしていくべきではないか、このように申し上げてきたわけであります。 しかし、それに対する
答え
も、
自立支援医療
の
実施
の
凍結
には応じられない、このような
回答
が返ってきたわけであります。そして、
自立支援医療
の
実施
時期の変更については引き続き
協議
することとしたい、これも
継続協議
という形でありました。 そして、五番目。
重度障害者
の長時間
介護サービス
の
保障
という形で私
ども
も求めさせていただいたわけでございます。今回は、この
中身
につきましては、国及び都道府県の
障害福祉サービス費
にかかわる
費用負担
については、
障害程度区分
の
基準サービス
に該当しない非定型・長時間
サービス利用者
の場合でも
義務的経費
の
負担対象
とする。 すなわち、今
生活
をしている
重度障害者
の
方々
、例えばALSであるとか
人工呼吸器
をつけた
全身性障害者
の
方々
、こういう
方々
の
費用負担
については、かかった分に関しては
義務的経費
という形で国及び県がこの
内容
をきちっと担保、
保障
していく必要があるのではないか、そういう
観点
から、私
ども
は、この
保障
というものをきちっとしていくべきである。国がしっかりと
保障
をしていかなければ、今寝たきりの
方々
、そういう
重度
の
障害者
の
方々
にとってみれば、これで
支援
が切られてしまえば命にもかかわる話であったわけであります。 したがって、今回のこれに関しては、私は、一番望んでいかなければいけない、
修正
なら
修正
という形で行っていかなければいけない、そのことを強く求めさせていただいたわけであります。 それに対する
与党
の
皆さん
の
回答
は、
法案修正
には応じられない、やはりこれも、私
ども
の求めに対しては応じられないという
回答
でございました。そして、
重度障害者
に対する
サービス
にかかわる
義務的経費
の
負担
の
あり方
については、適正な
サービス水準
が確保されるよう検討したいというだけにとどまっていたわけであります。 そして、六番目。これは、今回の
法案
で、
グループホーム
にもう一つ、
ケアホーム
というものの位置づけを考えられてきたわけであります。これも
障害程度別
によって振り分けるというような話もあったわけでありまして、それに対してはちゃんと、
グループホーム
と
ケアホーム
への入居の振り分けは行わない、その上で、また
グループホーム
におけるホームヘルパーの
利用
を可能とするなど、
重度障害者
の入居可能な
サービス水準
を確保するべきである、そのようなことを申し上げてきたわけであります。 これに対しても、
グループホーム
や
ケアホーム
については、
運用面
の工夫により対応が可能であり、
運用面
であります、
法案修正
の必要はないというような
回答
が返ってまいりました。 そして、七番目。これもやはり、
本人
の
自立
、
本人
の
自己選択
という
精神
からすれば、当然のごとく
障害当事者
の
方々
の
意見
というものがこの
法律
の中でもしっかりと反映をされるべきであって、そして、その
内容
、
サービス
の
利用決定
に際しては
障害者
の
方々
の
意見
というものがしっかりとこの中で反映されるべきである、そういう
観点
から、
本人
の
意見聴取
という形で、
障害程度区分
の認定そして支給要
否決定等
を行うに当たり、
障害者等
または
保護者
の求めがある場合には、その
意見
を聴取することを義務づけるという形で私
ども民主党
は求めさせていただいたわけであります。 それに対しても、
与党
の
皆さん
からの
回答
は、
法案修正
には応じられないという形で、これもやはりゼロ
回答
という形で返ってきたわけであります。 そして、
法案そのもの
ではありませんけれ
ども
、附則の
部分
に関して、私
ども
は、
対象
の拡大と
障害定義
の見直し、こういう形をもって求めさせていただいたわけであります。すなわち、今回の
法案
によって、
発達障害
やあるいは
難病等
の
皆さん方
にとってみれば、いわゆる谷間と言われている
人たち
がこの
障害者自立支援法
の
中身
から外れてしまった
部分
があったわけであります。そういう
方々
に対して、やはり私
たち
は、きちっと
対象
を拡大していくべきである、そして
障害定義
というものをもう一度見直していく必要があるのではないか、そのようなことを求めさせていただいたわけであります。 これは、今後の
検討課題
であり、
法案修正
が適当か否かについて引き続き
協議
をしたいということでございました。 そしてさらに、九
項目め
といたしましては、
権利擁護
にかかわる
制度
の
確立
という形で、
障害者
の
虐待防止
、最近またさらに
高齢者
の
虐待等
も言われているわけでありますけれ
ども
、
障害者
の
方々
に対する虐待、こういった防止をしっかりと
制度
として私
たち
は位置づけていかなければいけない、そして、
障害
を理由とする
差別禁止
にかかわる
制度
あるいは
成年後見制度
その他
障害者
の
権利擁護
のための
制度
、こういったものも速やかに検討として加えていかなければいけないわけでありますし、そして、これに対して必要な措置というものを国の
責任
で行っていかなければいけないんだということを申し上げさせていただいたわけでございます。 これについても、
法案修正
にはなじまないがというような
回答
が返ってきたわけであります。 本当に、私
たち
はこの間、真剣に
障害当事者
の
方々
の
意見
をお伺いし、そして
障害当事者
の
方々
の
思い
をこの
法案
の中で
修正
をしていくんだ、先ほど申し上げたように、改めるべきところは改めていかなければいけないんだ、そのようなことを
与党
の
皆さん
に私
たち
から真剣な
思い
で
提案
させていただいたわけであります。 そして、残念ながら、それに対する
答え
が、期間が短いというような一言と、さらには、驚いたことに、そういうゼロ
回答
があった。これは余りにも、私
たち民主党
に対してではなくて、私
たち
は
障害当事者
の
方々
の
意見
を踏まえてこの
修正
の
内容
をつくらせていただいたわけであります。にもかかわらず、私
たち
に対してこの
修正協議
をゼロ
回答
ということは、
障害当事者
の
方々
に対するゼロ
回答
であると言われても仕方のない話ではないのかということを、私は強く再度申し上げておきたいと思うわけであります。 そして、二十二日に、私
ども
は、こういう不誠実な、そして真剣さが足りない、そのような
回答
があったということに対して、これ以上このような
内容
を通じて行うことはできないということであるならば、これはもう
修正協議
などということはできないではないですか、私
たち
にとってみれば。したがって、そのようなことを、しようがない、苦肉の策といいますか、断腸の
思い
でここを打ち切らせていただいたわけであります。 それに対する
与党
の
皆さん方
の会見があったわけでありますけれ
ども
、そこにおいて、私
ども民主党
が
修正協議
を断念したことに対して、まことに遺憾である、あるいは、
修正協議打ち切り
の決定を即刻撤回し、
与党
との
協議
を継続すべきであるというようなことを
皆さん方
がおっしゃっておられるわけであります。 しかし、これは私、ここでも一言言わせていただきたいと
思い
ます。 これは本末転倒な話でありまして、本来ならば、
与党
の
責任
でこの
法案
をしっかりとした形として
提案
をされてきたわけでありますけれ
ども
、しかし、これが自信のないものであるならば、あるいは
法案修正
が必要ということで考えるのであるならば、私
たち
にもう一度
修正協議
の継続を行うということではなくて、あなた
方自身
で、
皆さん方
で
責任
を持ってしっかりと
修正
をしていくべきではないのでしょうか。だからこそ、私
たち
に
修正協議
にもう一度戻ってほしいというものは、
皆さん方
が、
民主党
が入っていただかなければ困るということの裏返しではないでしょうか。
自分たち
の
法案修正
をすることができないという能力のなさを、私
たち
に対して会見で遺憾という言葉であらわすのは、私は本当に不誠実な対応であると言わざるを得ません。 そして同時に、もっと残念なことがありました。 私は、
与党
の
皆さん
と、この
法案修正
と同時に、
政省令
の
中身
、これに関しても明らかになっていない
部分
がまだたくさんありました。そして、この
法案
の
中身
と同時に、
政省令
の
部分
、二百を超える不明確な
部分
をあわせて政治的な
協議
の中で話し合いをしていかなければいけないんだということを、
与党
の
皆さん
と同時に、
厚生労働省
、
政府
に対しても私
ども
は働きかけをさせていただきました。しかし、残念ながらそれも、
厚生労働省
から、その
修正
の
協議
には、あるいは
政省令
の
協議
には残念ながら応じられない、そのような通告があったということであります。 これは、私
ども野党
という話ではありません。
議員
がこの
法律
を
審議
する、各個人が
審議
をする、そういうことに対して
厚生労働省
の
皆さん
あるいは
政府
の
皆さん
が
打ち切り
をしていく、このようなことがあってはならないはずであるというふうに私は思っているわけであります。 これは、間違って、誤ったものであってほしい、あるいは何か誤解があったということであるならば、
大臣
からもしっかりとその御答弁をいただきたいわけでありますけれ
ども
、何かこれについて
大臣
のお考えはあるでしょうか。
尾辻秀久
5
○
尾辻国務大臣
これまでの御
審議
に対して私
ども
は誠実に
お答え
申し上げてきたところでございますし、今後ともそうさせていただくというふうに
お答え
せざるを得ないところでございます。
園田康博
6
○
園田
(康)
委員
これまでもとおっしゃいました。確かに、本当に誠実に
お答え
をさせていただいていた、
対応
させていただいていたと私も思っております。したがって、それと同じように、今後もきちっと私
たち
と、私もそうでありますけれ
ども
、
厚生労働省
、
政府
に
求め
た場合は、それに対して
協議
をしていただけるというふうに理解をしていいんでしょうか、
大臣
。
尾辻秀久
7
○
尾辻国務大臣
協議
とおっしゃる
意味
がよくわからないのでありますが、私が申し上げることは、今後とも、当然のことでございますけれ
ども
、この場での御
審議
に対して私
ども
は誠実に
お答え
をさせていただきます。
園田康博
8
○
園田
(康)
委員
この
委員会
の話の中では当然であります。そして、それと同時に、この
委員会
の前段で私
ども
は、
厚生労働省
の
皆さん
に来ていただくか、あるいは私
ども
から出かけていって、わからない
部分
や、あるいはこの辺を教えていただきたい、そしてそれを明確にしていただきたい、そういったことも
求め
てきたわけであります。それもきちっと、当然のごとく担保されるものであるというふうに私は受け取ってよろしいんでしょうか。
尾辻秀久
9
○
尾辻国務大臣
この
法案
の御
審議
に限らず、すべての御
審議
の中で、お呼びいただいての御質問があれば、それに対しても私
ども
は
お答え
申し上げてきたところでございますから、その姿勢を変えるものでもございません。
園田康博
10
○
園田
(康)
委員
今の
大臣
のお
言葉
をしっかりと受けとめさせていただきたいと
思い
ます。 本当に、この間、私は、
厚生労働省
の
皆さん
と、あるいは
政府
の
皆さん
とさまざまな
信頼関係
を築いてきている、そういうつもりでこの
法案
にも臨ませていただいておりますし、そして、これからもその
関係
はきちっと築いていきたい。その上で、改めるべきところは改めていかなければいけない、そして正していくところは正していかなければいけない。そういう形の、私はそれこそが本当の
意味
での
信頼関係
であるというふうに
考え
ておりますので、ぜひ
大臣
、その点をきちっと取り組んでいただきたい、
対応
していただきたい、そのように思っております。 さて、今回のこの
法案
、さまざまな
部分
で、私
自身
も
問題点
、
問題意識
を持たせていただいたわけであります。 先ほど少し申し上げました、この
法案
の
中身
、
骨幹部分
に関して、まず
目的
といいますか法の
精神
、これをしっかりととらえていかなければいけないのではないでしょうかということで、私も、もしこの
法案
の
修正
をするということであるならば、この
部分
をまず変えていかなければいけないのではないかという形で
問題意識
を持たせていただきました。それは、
法案
の
目的
の
部分
で、まず第一番目に上げられるのが、この
中身
につきまして、「
自立
した日常
生活
又は社会
生活
」という
言葉
がございます。 この
言葉
の
意味
でありますけれ
ども
、昨年の
障害者基本法
の改正の中に、「
自立
への努力」という
言葉
が当初あったわけでありますけれ
ども
、それは、やはり
障害当事者
の
皆さん
にそのようなものを責務といいますか義務という形で
求め
るような、そういういかがわしい
言葉
ではないかというような御批判があったというふうに私も聞いておりますけれ
ども
、それによってこの
言葉
が削除されたという
部分
がございました。そして、それにかわる
言葉
として、やはり
自立
と
社会参加
というものがこの中に入っていかなければいけないのではないかと
考え
ていたわけでありますけれ
ども
、今回、
政府
が
提案
されてきたこの
法律
の
目的
の
部分
の中に、「
自立
した日常
生活
又は社会
生活
」という
言葉
で表現をされているわけであります。 この
言葉
のしっかりとした意図するところは一体何でありましょうか。
大臣
、明確に
お答え
をいただきたいと
思い
ます。
尾辻秀久
11
○
尾辻国務大臣
このたび御
審議
をお願いいたしております
障害者自立支援法案
の改正案でございますけれ
ども
、この中で、
障害
のある
方々
の
地域
生活
支援
と、
障害
の有無にかかわらず安心して暮らすことのできる
地域
社会の実現、このことを目指しておりまして、
目的
でもそのことを述べておるところでございますが、
目的
規定におきましては「
自立
した日常
生活
又は社会
生活
」としてございます。 これの
意味
するところは、
障害
のある
方々
が
生活
全般にわたって自己
決定
、
自己選択
をしながら暮らすことを意図したものでございます。日常
生活
と社会
生活
は二つあわせて
生活
全般を
意味
しておりまして、必ずしも二つがはっきり分かれるわけではございませんけれ
ども
、社会
生活
は、社会経済活動への参画を含め、広く社会とかかわりを持つような場面を含むものとして
考え
ております。
園田康博
12
○
園田
(康)
委員
そうしますと、この「日常
生活
」という
言葉
とそれから「社会
生活
」という
言葉
、この違いというものはない、ないといいますか、そういう形ではないということでありますね。「又は」ということでありますから、その全体を含んでということで理解をしてよろしいわけですね。 そして、自己
決定
、
自己選択
という
言葉
を今
大臣
からお述べいただいたわけでありますけれ
ども
、ここの
意味
、さらに意図するところということでありますと、やはり、
障害者
の
方々
の
自立
生活
、そして、それをもって
社会参加
というものがきちっと
目的
としてこの中に入っているというふうに理解をしてよろしいんでしょうか。
尾辻秀久
13
○
尾辻国務大臣
まず申し上げますけれ
ども
、「日常
生活
又は社会
生活
」というふうに書いておりますが、これは、申し上げましたように、二つがはっきり分かれるわけではございませんので、先生今お話しになりましたように、二つあわせて大きく社会的な
生活
というふうにとらえていただいていいと存じます。私
ども
もそういう
思い
でございます。 今のお話でございますけれ
ども
、あるいは
法案
の目指すところの
社会参加
というようなことまで含めてお話しになったのかと
思い
ますが、それについて
お答え
を申し上げてよろしいでしょうか。(
園田
(康)
委員
「はい、お願いします」と呼ぶ) この
法案
は、改めて申し上げますと、
障害者基本法
の理念のもとにつくられておりまして、就労、創作的活動、
地域
との交流を初めさまざまな形での
社会参加
を進めるものであるというふうに
考え
ております。まさに
社会参加
ということでございます。
法案
の
目的
規定に、先ほど来申し上げておりますように、「
自立
した日常
生活
又は社会
生活
を営むことができるよう」にとしておりますが、これは、何らかの形で社会と積極的にかかわる
社会参加
の
意味
も含んでおりまして、
生活
全般の、より広い
観点
から規定したものでございます。
園田康博
14
○
園田
(康)
委員
そうしますと、
社会参加
というものがこの念頭にあるということであるわけでありますので、であるならば、いっそのこと、私は、この
目的
の
部分
の中に、例えば、「その有する能力及び適性に応じ、」という
言葉
は大変気にかかるところでありますけれ
ども
、「
自立
した日常
生活
又は社会
生活
を営むことができるよう、必要な
障害
福祉
サービス
に係る給付その他の
支援
を」行うことによって、ここまではこの
法律
でありますけれ
ども
、それを「行うことによって、
障害者
及び
障害
児の
自立
及び
社会参加
を促進し、」というようなことをこの中に盛り込んで、それを「もって
障害者
及び
障害
児の福祉の増進を図るとともに、」という形へ一歩前に進めるということも私は必要ではないのかなというふうに思っているところでございます。 ぜひ、こういったことも念頭に入れながら、今後、この
目的
をもう一度改めるといいますか、見直しを行っていただきたいなということを強く申し上げておきたいと
思い
ます。 そして、今回、この
法律
の中で一歩進めることができたというふうにおっしゃっておられるわけでありますけれ
ども
、それは、今まではいわゆる裁量的経費の中で財源をなかなかとることができなかったというふうな形で、
大臣
も大変この予算に関しては御苦労をされてきたんだろうなと思うわけでありますけれ
ども
、それが
義務的経費
という形で位置づけることができたというふうになっているわけであります。 その
義務的経費
という性質でありますけれ
ども
、もう一度ここで確認をさせていただきたいわけであります。 この
義務的経費
のまず性質というものはどういうものであるのかということと同時に、確かに、
義務的経費
という形で確保しますよ、担保するというふうに言われておりますけれ
ども
、これがまず予算化を組んだ上で、それでも不測の事態というのはどうしても往々にして僕は起こり得るんだろうなというふうに
考え
ているわけでありますけれ
ども
、この
義務的経費
にした後に予算化をして予算が不足をしてしまった場合、こういった場合は一体どういう形になるのかということと、それはいわゆる補正予算等の措置で今後しっかりとその不足した分が担保されると理解をしていいのかどうか、この点を
大臣
、
お答え
いただきたいと
思い
ます。
尾辻秀久
15
○
尾辻国務大臣
これは、今までしばしば申し上げてまいったところでございますけれ
ども
、今回の改正、見直しでの大きなものの一つとして、国が義務的に
負担
すべき経費というふうに明確にしたところでございます。すなわち、国の
責任
を明確にしたところでございます。それが
義務的経費
でございますけれ
ども
、では、
義務的経費
について、今お話しのように、仮に予算が不足するような場合においてどうなるかということになりますと、まさに義務的な経費でございますから、必ず適切な措置が講じられることにより確保が図られるものでございます。すなわち、もっと具体的に言いますと、補正とかそういう方法がとられるということでございます。
園田康博
16
○
園田
(康)
委員
今
大臣
から、必ずというお
言葉
をいただいたわけでありますので、そのような予算不足という形にならないように、先にきちっとその実態を把握しながら経費というものをしっかりと見積もっていく必要があるのではないのかなというふうに思っておりますので、その点、今後の取り組みというものをしっかりと行っていただきたい。 と同時に、
障害者
の
皆さん
、
当事者
の
皆さん
にとってみれば、経費が不足した場合に、またさらに削られてしまうんじゃないかというような危惧と不安があるわけでございます。したがって、今
大臣
から、必ずその経費はしっかりと担保するというお
言葉
をいただいたわけでありますので、この点は私は評価ができるというふうに
考え
ておりますので、どうか、その点を今後もしっかりと取り組んでいただきたいと思うわけであります。 そして、今回の
法案
の
中身
でいろいろな問題が私
ども
はあるというふうに
考え
ていたわけでありますけれ
ども
、まず、
障害程度区分
、今の
サービス
の
利用
にかかわって、この区分が一体どのような形になっていくのであろうか。そして、その
障害程度区分
によって、ひょっとしたら
サービス
抑制につながるのではないか。同じくやはりこれも、往々にして
当事者
の
方々
からの大きな不安という形で問題視されてきたわけであります。 そして、今、試行事業を行いながらデータを集めて、それによってこの
障害程度区分
について今後
検討
していくということをおっしゃっておられるわけでありますけれ
ども
、まず、
障害程度区分
のデータというもの、どのようなデータに基づいてこれから区分が作成されるというふうになるんでしょうか。それによって、やはり
障害当事者
の
方々
にとってみれば、自分の
サービス
がどのぐらい
利用
できるのかということにも直結する話でありますので、この点をまず明確にしていただきたいわけであります。 同時に、この
制度
の
中身
でいきますと、介護給付の
部分
とそれから訓練等給付の
部分
で二つに大きく分かれていくわけでありますけれ
ども
、この区分の違いを明確にしていただきたいのと同時に、訓練等給付における
障害程度区分
、これは今のところ、いただいた資料によりますと、AとBといいますか、
重度
とそうではないというふうに分かれているように見えるんですが、この分け方というのはどういう形で理解をしてよろしいんでしょうか。
塩田幸雄
17
○
塩田
政府参考人
障害程度区分
ですけれ
ども
、この
障害程度区分
は、一人一人の
障害者
の福祉
サービス
の必要度に関する心身の状態を総合的にあらわすものでありまして、市町村が
サービス
の種類あるいは提供する量を
決定
する場合に勘案すべき事項の一つで、大変重要なものであると
考え
ております。 現在、全国六十一の自治体におきまして、
障害程度区分
認定などの試行事業を
実施
しているところでございます。この試行事業におきましては、約一千八百名の
方々
についての心身の状態などに関するデータ、具体的には、介護保険の要介護認定基準あるいは
支援費制度
の基準の
項目
などをベースにいたしまして、より
障害
種別の特性を踏まえた基準とするよう
項目
を追加いたしまして、百六
項目
の素案に関するデータを収集することとしております。 収集したデータにつきましては、
障害者
の
障害
程度の分布などの分析を行いますとともに、有識者あるいは
障害
関係
者から直接ヒアリングを行うことなどで
検討
を進めまして、秋ごろには
障害程度区分
の具体的な基準について結論を得たいと
考え
ております。
障害者自立支援法案
におきましては、ホームヘルプ
サービス
などの介護給付、それと御指摘のありました就労
支援
などの訓練等給付といった大きく分けて二つの
サービス
があるわけでありますけれ
ども
、御指摘のように、それぞれ
目的
、
内容
が異なることから、それぞれの給付の性格に応じた
障害程度区分
を開発することが必要であると
考え
ております。 まず、介護給付に関します
障害程度区分
につきましては、
障害者
の心身の状態について、介護の必要度に応じまして複数段階に区分することを
考え
ております。それから、
自立
訓練、就労移行
支援
などの訓練等給付につきましては、介護給付のように多段階に区分しないで、簡素な区分を設定したらどうかと
考え
ておりまして、アセスメント結果を点数化して使用するなどの工夫を
検討
したいと思っております。 いずれにしましても、今試行事業でデータを集めておりますので、
関係
者の
意見
もよく聞いて、それぞれの
サービス
に合った
障害程度区分
になるよう努力、工夫をしてまいりたいと
思い
ます。
園田康博
18
○
園田
(康)
委員
そうしますと、介護給付の
部分
に関しては複数段階という
お答え
をいただいたわけでありますけれ
ども
、この複数段階というのがどういう段階に分かれるんだというところが私
ども
は一番気にかかっているものであります。 そして、これに対して、訓練等給付に関しては簡素なといいますけれ
ども
、これは二段階ではないんでしょうか。このいただいた資料でいきますと、
重度
というふうに線引きがきちっとなっているわけでありまして、それに対する介護給付の
部分
は、これは幾つに分かれるかわからないという形でちょっとぼやかして書かれているわけでありますけれ
ども
、この下の
部分
を見ると、これは明確に二段階に分かれているように私は受け取ったわけなんですが、これはそうではないということなんですね。
塩田幸雄
19
○
塩田
政府参考人
関係
の
方々
に資料でお示ししておりますように、現時点では、
重度
とそれ以外という、大まかには二段階で
考え
ていることは事実でありますが、具体的にどうするかについては、これからいろいろな人の
意見
を聞いて決めていきたいと思っております。 いずれにしても、訓練等給付は暫定的に試行期間とかいろいろな要素がありますので、介護給付とは違った形の、訓練等給付の
内容
にふさわしいものにすべく引き続き努力をさせていただきたいと
思い
ます。
園田康博
20
○
園田
(康)
委員
もう一度後で関連して質問をさせていただきたいんですが、その前に、あと法文の二十二条の
部分
で、支給
決定
の際の勘案事項というふうに先ほどおっしゃっておられたわけでありますけれ
ども
、アセスメント
項目
で幾つかその試行事業の中にも調査を行っている
項目
があるわけなんですが、この勘案事項というものがどういうものであるのかということと、それと同時に、もう一つ、
本人
の意向というものがこの中に入ってくるのかどうかということもあわせて、もし御用意ができていましたら
お答え
をいただきたいのでございます。
塩田幸雄
21
○
塩田
政府参考人
支給の要否を
決定
する際の勘案事項については、
法案
の第二十二条に具体的に規定されております。一つは、
障害者
などの
障害程度区分
、二つ目に、
障害者
などの介護を行う者の状況、三番目に、
障害者
などの
障害
福祉
サービス
の
利用
に関する意向が規定されておりますので、
本人
の御意向は
法律
に明記されているということでございます。
法律
に明記されている事項のほかに、介護保険
サービス
などの他の
サービス
の
利用
状況、就労の状況、
生活
の場所の環境、
障害者
福祉
サービス
の提供体制の状況な
ども
その他の勘案事項として現在想定しているところでございます。
園田康博
22
○
園田
(康)
委員
ありがとうございます。 そしてさらに、この
重度
障害程度区分
、先ほど複数段階というふうにおっしゃっておられたわけでありますけれ
ども
、国が支弁する際の基準というものがあるわけでありますが、今の
支援費制度
の
中身
におきましては、それがいわゆる三段階に分かれているというものでありまして、二十五時間、五十時間、百二十五時間というこの三段階が今基準として設定をされているわけでありますね。そして今回、この
自立支援法案
の
中身
で、先ほど複数段階というふうに
考え
ておられるということでありました。 そして、訓練等給付に係る
部分
に関しましては、
重度
の
部分
を設けるという形もおっしゃっておられたわけであります。簡素な区分で分けるということで、そのもう一つは
重度
ということを明確に部長はおっしゃったわけでありますけれ
ども
、ここの
部分
で、介護給付に関しては
重度
というカテゴリーがこの中に入ってくるものであるのかというのが私はちょっと念頭に置いているんですね。すなわち、今、最大月百二十五時間までの
利用
時間という形になっているわけでありますが、それ以上の区分というものが念頭に想定されているのかどうかということ、そしてまた、この
障害程度区分
の
基準サービス
利用
時間、これを仮に超えた
部分
についての経費
負担
についてはどのようにお
考え
でいらっしゃるんでしょうかということを少しお尋ねしたいわけであります。 すなわち、これもやはり、先ほど一番最初に私が申し上げさせていただきました寝たきりの
重度障害者
の
方々
にとってみれば、この
利用
時間というものは百二十五時間で到底足りるはずがないと私も思っておりますし、恐らくここにいらっしゃる
委員
の
皆さん方
も、当然百二十五時間で足りるという話ではないというふうに思っているわけであります。 統計によりますと、
重度
全身性障害者
の
方々
にとってみれば、四百時間から、多い人では、二人ヘルパーさんを使っている
方々
もいらっしゃるわけですから、
利用
時間といたしましては八百時間までの
利用
というものがあるわけであります。したがって、この上限百二十五時間ということを念頭に置かれたのでは、やはり私は、
サービス
低下といいますか、この
法律
が成立をすることによって、寝たきり
全身性障害者
の
方々
にとってみれば大変な不安の中で
生活
をしていかなければいけないというふうになるわけでありますけれ
ども
、この点はいかがでしょうか。
塩田幸雄
23
○
塩田
政府参考人
新しい
制度
におきまして、国と地方自治体の間の国庫
負担
基準額の
考え
方について、複数の
障害程度区分
を設けたいと思っているところでございます。 どういった国庫
負担
基準の区分あるいは水準にするかについては、現在、
サービス
の
利用
実態の把握を行っておりまして、そういう結果を踏まえて、市町村において適切な
サービス
が確保されるよう
検討
していくということでございます。現行の
支援
費では最大月百二十五時間となっておりますが、必ずしもこれを前提とするものではなくて、これから現在行っている実態調査に基づいて
考え
ていきたいと思っております。 いずれにいたしましても、国庫
負担
基準というのは、
地域
格差を是正する、あるいは限られた国費を公平に配分するということも必要でありますので、いろいろな
観点
を総合的に勘案して、最終的な結論を得たいと思っております。
園田康博
24
○
園田
(康)
委員
さまざまな
観点
からということをおっしゃっておられるわけでありますけれ
ども
、その際に、部長、ぜひ、
全身性障害者
の
方々
については、その
生活
実態というものもきちっと見ていただきたいわけであります。あるいは、ひとり暮らしをしている、あるいは家族状況な
ども
さまざまやはり違うわけであります。今試行事業を行っているからというふうにおっしゃっておられるわけでありますけれ
ども
、そういった実態をきちっと把握した上で、それに対する国としての
責任
というものをこの中で果たしていただきたいわけであります。部長、よろしいでしょうか。
塩田幸雄
25
○
塩田
政府参考人
障害者
の方の置かれた
サービス
の
利用
実態については、きちんと把握をした上で
対応
していきたいと
思い
ます。
園田康博
26
○
園田
(康)
委員
ぜひお願いをいたします。 そして、五条九項にも、
重度障害者
等包括
支援
というカテゴリーといいますか定義がもう一つあるわけであります。ここにおける「常時介護を要する」というふうなものと、それから「その介護の必要の程度が著しく高い」というふうに明記をされているわけでありますけれ
ども
、これは具体的にどのようなものを指していらっしゃるのかということと、それがどの程度の
サービス
量をここで
保障
がなされるのかということも、この定義の
中身
とあわせてお聞かせをいただきたいと思うわけであります。
塩田幸雄
27
○
塩田
政府参考人
重度障害者
等包括
支援
の
対象
者でありますけれ
ども
、まず、
継続
的に密度の濃い
サービス
が必要な方でありまして、かつホームヘルプ
サービス
に加えショートステイなどの福祉
サービス
あるいは訪問看護などの
医療
サービス
を複数
利用
することが多い方を念頭に置いております。例えば、ALSによりまして全身の運動機能の
障害
があり、かつ
人工呼吸器
を装着しておられて、たんの吸引を頻繁に行うことが不可欠である
障害者
の方などを想定しているところでございます。 具体的な
対象
者でありますとか
サービス
の量につきましては、現在、
厚生労働
科学研究あるいは先ほど申し上げました全国の
サービス
利用
の実態把握を行っているところでございまして、今後、在宅の
重度障害者
の
生活
実態、
サービス
の
利用
の状況などについてきちんと把握しまして、秋ごろを目途にして結論を出すべく
検討
を進めてまいりたいと
考え
ております。
園田康博
28
○
園田
(康)
委員
そうしますと、
重度障害者
等包括
支援
のカテゴリーでありますけれ
ども
、これは五条に、別のところで、居宅介護あるいは
重度訪問介護
という定義があるわけでありますが、この
内容
と費用の違いというものはどういったものなんでしょうか。 また、これによって
重度障害者
等包括
支援
を行う事業者というものを指定されるわけでありますけれ
ども
、この事業者が仮に、その
地域
地域
によっては、先ほど
地域
格差をなくすというようなことをおっしゃっておられるわけでありますが、
地域
格差、
サービス
利用
の実態の中に、きちっとした
サービス
を行うことができない事業者があるというところも市町村によっては私はあるというふうに
考え
ているわけであります。 したがって、適切な
サービス
事業を行うことができない事業者があった場合、そういう場合は、適当な他の
サービス
をこの法文の中で
利用
することができる
制度
として理解をしていいのかどうかということですね。つまり、一度この
重度
包括
支援
というカテゴリーを選択してしまったら、この法文の中に書いてあるほかの
サービス
というものを
利用
できないのか。あるいは、他の事業者というものを
サービス
を選択して受けることができるのかどうかということの危惧も一方ではあるわけでありますけれ
ども
、部長はその辺どのようにお
考え
でしょうか。
塩田幸雄
29
○
塩田
政府参考人
重度障害者
等包括
支援
の
対象
になる方については、先ほど御答弁申し上げましたように、
継続
的に密度の濃い
サービス
が必要な方であって、福祉
サービス
とか
医療
サービス
を複数
利用
することが必要な方ということを念頭に置いておるわけでございます。 この
重度障害者
等包括
支援
につきましては、居宅介護とか
重度訪問介護
とは異なりまして、複数の
サービス
を一定の要件を満たす事業者が
責任
を持って確保する仕組みでございまして、報酬についても包括報酬ということにいたしまして、その
範囲
内でさまざまな
サービス
の種類や量を組み合わせて自由に設定できるという種類の事業でございます。 こういった
重度障害者
等包括
支援
事業、すべての市町村でできればいいわけですが、仮にそういうことがない市町村におきましては、その
地域
の実情に応じまして、個別の居宅介護事業とか
重度訪問介護
事業あるいはその他の
サービス
利用
を選択してその
サービス
を受けていただくということになると
思い
ます。
重度障害者
等包括
支援
事業の
対象
になっておられて、同時に
重度訪問介護
事業の
サービス
を受けるということはできないと
思い
ますけれ
ども
、そういう
重度
包括
支援
事業のないところでは当然、
重度訪問介護
の、個別の、別の事業を選択していただくことになると
思い
ますし、それぞれの
サービス
を転換、AからBへというふうなことは当然あっていいものだと
考え
ております。
園田康博
30
○
園田
(康)
委員
それはまさしく
障害者
の方の
自己選択
に基づく
サービス
利用
を受けることができるということで理解をさせていただきます。 そして、本来ならば、
重度
包括
支援
にかかわるような
医療
を必要とされておられる
方々
の
生活
実態というものも踏まえれば、ここにおいて予算措置で、ここで上限を決めてしまうということはあってはならないことではないかというふうに私は
考え
ておりますので、どうかこの上限の設定に関しましては、まさしく慎重に慎重と、それから実態をきちっと把握した上で、本当にその人の命にかかわる話でありますので、しっかりと行っていただきたいと思うわけであります。 そして、今までは二十五時間、五十時間、百二十五時間という形で、それぞれに基準設定を国庫
負担
という形で決めてきたわけでありますけれ
ども
、その区分がそれぞれに、A、B、Cと分かれていて、AとBあるいはBとCあるいはAからCという形で、区分間の流用といいますか、余った分をこちらの、Cの
重度障害者
の
方々
に回すことができているわけであります。しかし、この
法律
が成立をいたしましたら、それができないということを明言しておられるわけでありますので、であるならば、先ほど申し上げました程度区分を
決定
する際には、この
法律
は区分間の流用ができないという
制度
でありますので、実態も踏まえてそれぞれの区分内でしっかりと
サービス
利用
が確保できるような、そういう工夫をぜひお願いをしておきたいと
思い
ますので、
大臣
、よろしくお願いをいたします。 私、きょう、時間が一時間しかいただけなかったものですから、先に進みたいと
思い
ます。 審査会の案件でありますけれ
ども
、市町村審査会、先ほどからの話で、
障害当事者
の
方々
の
サービス
利用
を
決定
する際に、最終的に、一次判定が行われて、そしてそこから非定型あるいは長時間
サービス
を
利用
される
方々
に対しては、市町村審査会にかかって、そこで二次判定を受けるという形になっているわけであります。 市町村審査会における非定型的な支給
決定
等の場合の
意見
照会の
内容
というものは、どういったものでしょうか。 というのと、これはいわゆる
障害当事者
の
方々
の個人情報というものが多く含まれているものではないのかという危惧を私は持っているんですが、その点はいかがでしょうか。
塩田幸雄
31
○
塩田
政府参考人
新
制度
におきましては、支給
決定
プロセスの透明化あるいは公平化を図るという
観点
から、審査会
制度
を設けることにしております。その際、各市町村があらかじめ定める支給基準を超えて多くの
サービス
を必要とするような場合には、非定型的な支給
決定
ということに該当しますので、審査会の
意見
を聞くということになろうかと
思い
ます。 その際に、いろいろな個人の情報、例えば、御
本人
の意向でありますとか御
本人
がどういう社会活動をされているとか、介護者がどういう方がおられるとか、居住の環境がどうとか、いろいろな資料を提示していただくことになると
思い
ます。そうしたものの中には、御指摘がありました、個人情報に関するものが含まれることが大いにあると
考え
ております。
園田康博
32
○
園田
(康)
委員
そうしますと、これは、極めて
障害者
の
方々
の個人情報が含まれた、そういう性質のものであると私も理解をいたします。であるならば、個人情報保護という
観点
からすれば、当然のごとく、みずからの情報はみずからで閲覧する権利を持っているというふうに私は個人情報に関しては理解をしているわけでありますけれ
ども
、審査会にかかる前に、まず
当事者
の
方々
の閲覧というものが、きちっと、どういったものが書かれて、自分にかかわる情報ですから、これが審査会にどういう形でかかるのかということは、当然
当事者
の
方々
が見ることができるというふうに理解をするわけであります。 それと同時に、審査会に対して、自分はこういう形で
サービス
を受けたいんだ、こういうふうに市町村に対して、
サービス
事業者に対して
求め
ているんだという
意見
表明の場があってしかるべきだと
思い
ますし、これは
障害当事者
の権利だというふうに思うわけでありますけれ
ども
、その点はどのように理解をしておられますでしょうか。
塩田幸雄
33
○
塩田
政府参考人
審査会に案件をかける前に、市町村が個別に御
本人
とか家族にお会いして、状況とか御意向とかいろいろな状況を十分にヒアリングするということが
制度
の
大前提
になっております。したがいまして、各市町村が審査会にかける際には、どういう形のものを審査会にかけるかについて事前に御
本人
や家族に御説明をした上で、審査会にかけるのが当然だろうと思っております。 それから、審査会におきまして、法文上も書いてありますが、必要があれば御
本人
の
意見
を聞くことができるという規定になっておりますし、法
制度
として審査会で御
本人
の
意見
を述べることを規定することは必ずしも必要ないと
考え
ているところでございます。
園田康博
34
○
園田
(康)
委員
法
制度
として必要ないということでありますけれ
ども
、私は、その
観点
は、やはり
障害当事者
の
方々
、先にいろいろ
意見
を聴取して、いろいろ相談しながらという形であるわけでありますけれ
ども
、しかしながら、それがどういう形でつくられた書類、
意見
照会という形で審査会に付されるのかということを、最終的にやはり
当事者
の
方々
にチェックをしていただく必要があるのではないか。それと同時に、やはりもう一つこういうふうにしてほしいというようなことがあれば、その場で
意見
表明があっても私はしかるべきであると。 したがって、必要があればということではなくて、それは、必要があるかどうかは
障害当事者
が判断することであって、審査会の
方々
が判断することではどうしてもないのではないかというふうに
考え
るわけであります。 そこでもう一つ、資料といいますか、行政不服審査法の二十五条にかかわります審理の方式という形で、
本人
の
求め
に応じて、不服申し立てを行う者に対して
意見
表明の場というものが
保障
されているわけであります。したがって、当然これは、審査会の
決定
が起きてから、最終的に不服申し立てをして、その場における
意見
表明という形になるわけでありますけれ
ども
、この
自立支援法案
の中に、行政不服審査法の第二十五条、この規定が当然のごとくあるものであるというふうに
考え
るわけであります。その点をどのようにお
考え
でしょうか。 と同時に、できれば、
本人
の申し出があれば、市町村審査会においてもやはり
保障
されてしかるべきではないのかなというふうに
考え
るわけでありますけれ
ども
、この点はこの
法律
の少し
問題点
ではないのかなということも、できれば、あわせて
大臣
に
お答え
をいただきたいと
思い
ます。
尾辻秀久
35
○
尾辻国務大臣
この
障害者自立支援法案
の不服審査に関する規定は、不服審査に関する一般法でございます、今お話しになりました行政不服審査法の特別法に該当いたすわけでございますから、
障害者自立支援法案
に規定されていない事項については、当然のこととしてこの一般法である法の適用になるわけでございますから、これは、二十五条はそのまま適用されるというふうに御理解いただきたいと存じます。 ただいまの、市町村が支給
決定
案を作成する際に、面接調査を行って、
障害者
本人
の
サービス
利用
の意向を勘案するという、そこの
部分
は、私
ども
もそう言っておるわけでございますので、面接調査を行うということと、
障害者
本人
の
サービス
利用
の意向を勘案するというふうに申し上げておるところでございまして、
障害者
本人
の
意見
を十分踏まえたものになると
考え
ておるところでございます。
園田康博
36
○
園田
(康)
委員
当然、一般法でありますから、これもきちっとこの中で担保されるものであるというふうに私も理解をしております。これは
障害者
の
方々
の一つの権利であるというふうに私は
考え
ておりますので、ぜひ、どうか、この法の趣旨がこの
自立
支援
法全般にわたって担保、
保障
されるものというふうにしていただきたいなと思っておるわけであります。 質疑時間が参りましたので、幾つかまださらに用意をさせていただいたわけでありますけれ
ども
、当然のごとく、
移動
介護の
部分
でありますとか、あるいは
定率負担
の
範囲
について生計を一にする者、
定率負担
の
範囲
につきましては、先ほど一番最初に私
ども
が
求め
ている
大前提
にある、
本人
の所得に応じたものであるというふうに理解をしなければいけないというのと同時に、さまざまな
自立支援医療
の
部分
に関しても、十月
施行
という形になっているわけでありますけれ
ども
、先日、六月の二十二日であったと思うわけでありますが、
厚生労働省
内で
検討
会が開かれまして、この中でも、私も聴講をさせていただきましたけれ
ども
、各
委員
の御
意見
は、その
対象
疾病名に係る
部分
に関しては、これは状態像にするべきではないか、このままでは問題ですよという御
意見
がほとんどだったように私は印象を受けているところでございます。 したがって、このような
部分
でもまだかなりの
問題点
をはらんでいるわけでありますので、余り人数も、どこかに行っていらっしゃるようでありますけれ
ども
、ぜひとも
与党
の
皆さん
も協力して、
慎重審議
ということが御本
人たち
の
求め
であるわけでありますので、もっともっとこれは時間をかけて、ここで、あるいは来週にでもこの採決、ひょっとしたらもう
審議
時間が来てしまうのではないかというような危惧もあるわけであります。
大臣
も、まだまだこれは
審議
をしていかなければ
当事者
の
方々
に不安や納得をしていただけないんじゃないかというのは率直に思っていらっしゃるのではないかと私は思うわけであります。したがって、その
大臣
の
思い
を、私は、
与党
の
皆さん
にもぜひともしっかりとこの
法律
の
審議
をしていただきたいということを最後にお願い申し上げて、質問を終わりたいと
思い
ます。
鴨下一郎
37
○
鴨下委員長
次に、山井和則君。
山井和則
38
○山井
委員
四十五分間、
尾辻
大臣
に質問をさせていただきたいと
思い
ます。 私も、福祉をライフワークとして衆議院
議員
にならせていただきました。そして、やはり本当に豊かな社会というのは、
障害
のある方も、もっと言えば
重度
の
障害
のある方も
地域
で暮らすことができる、社会の真ん中で暮らすことができる、そういう社会をつくっていくこと、またそういう
方々
が命の不安を感ずることなく、希望を持って、多くの
人たち
と交流したり、また働く喜びを得ながら暮らしていく、これを
保障
し改善させていくのが政治家の務めであると思っております。 御存じのように、過去、ずっと長い議論の中で、日本の
障害者
福祉は欧米より十年おくれ、二十年おくれと言われてきたわけですね。そんな中で、
支援費制度
によって、多くの
グループホーム
ができたり、また多くの
障害者
の方が施設を出たり、あるいは
地域
で暮らすことができるようになってきたわけです。しかし、その流れに大きくさお差す、
障害者
福祉の進歩を逆行させるのがこの
自立支援法案
であります。そういう
意味
では、まさに
自立
阻害
法案
とこの
法案
が言われるゆえんでありまして、この
自立支援法案
のままでは
自立
することができないという悲鳴を
障害者
の
方々
は上げておられます。 今、一時間にわたって
園田
議員
から質問そして要望がございましたが、きょう、資料を配らせていただきました。私
たち民主党
も、九
項目
の
修正要求
を
与党
の方に出させていただきました。しかし、
審議
が始まって一カ月半がたとうとしているにもかかわらず、こういう重要な、そして根本的な
修正
の要求、これは
民主党
の要求というよりはまさに
障害者
団体の
方々
の要求であり、そして
障害者
の
方々
、現場の
方々
の切実な要求であります。それに対してもほぼゼロ
回答
しか返ってこない。結局、単に時間を引き延ばしてずるずると採決しやすい状況をつくっていこうとしている、そういう
思い
が見え見えの
修正協議
だからこそ、
障害者
の
方々
の切なる
思い
を踏みにじろうとするそういうやり方は許せないということで、私
たち
も
修正協議
を打ち切らせていただきました。 先ほどの
園田
議員
との答弁を聞いておりましても、まだまだ詰まっていない、また
障害者
の
方々
の
自立
が脅かされる
内容
ばかりなわけですね。そういう
意味
では、これからの四十五分間は、
尾辻
大臣
と、細かな数字のことはいいですので、根本的なこの
法案
の性格、
考え
方というものを議論していきたいというふうに思っております。 では、質問に入らせていただきます。 まず、この資料を見てもらえますでしょうか。二ページ目ですね。「諸外国における
障害
福祉
サービス
」…… ちょっと定数が足りていないと
思い
ますので、ちょっと確認して、速記をとめてください。これだけ重要な、
障害者
の命と
生活
がかかっている
法案
なんですから。とめてください。
鴨下一郎
39
○
鴨下委員長
それでは、山井
委員
からの指摘で、定足数が足りておりませんので、一時速記をとめてください。 〔速記中止〕
鴨下一郎
40
○
鴨下委員長
速記を起こしてください。 山井君。
山井和則
41
○山井
委員
こういう重要な、
障害者
の
方々
の命と
生活
を本当に左右する重要な
法案
を
審議
しているときに
与党
の
理事
が一人もいない、とんでもないことだと
思い
ます。 では、質問に戻ります。 「諸外国における
障害
福祉
サービス
」、まず
尾辻
大臣
にお伺いしたいと
思い
ます。全世界の中で、
障害者
のこういう
サービス
、住宅費やあるいは食費という実費を除いて、
サービス
利用
に対して、応益
負担
、
定率負担
、一律で導入している国は世界にありますか。
尾辻秀久
42
○
尾辻国務大臣
諸外国における
障害者
サービス
の
利用者負担
の
あり方
は、国によってまた自治体によっても異なるというふうに
承知
をいたしておりますけれ
ども
、低
所得者
や
重度障害者
に配慮しつつ一定の
負担
が課されている例もあるというふうに
承知
をいたしております。 なお、
障害者自立支援法案
の
利用者負担
も、所得に応じた
負担
上限の設定やきめ細かな減免措置を行うこととしておりますので、全体としていわゆる応益
負担
や
定率負担
には当たらないと
考え
ておりますけれ
ども
、申し上げたように、諸外国においても一定の
負担
が課されている例はあるというふうに
承知
をいたしております。
山井和則
43
○山井
委員
そんな質問はしておりません。応益
負担
、
定率負担
を
障害者
の
サービス
に対して導入している国があるのかないのか、それを聞いているんです。
尾辻秀久
44
○
尾辻国務大臣
諸外国の例をすべて把握しておるわけではございませんので、今そういう、おっしゃるような
定率負担
あるいは応益
負担
というようなことであるかないかは
承知
をいたしておりません。
山井和則
45
○山井
委員
承知
をしておりませんということは、今知っている限りでは、ないということですね。確認します。
尾辻秀久
46
○
尾辻国務大臣
申し上げておりますように、現時点では
承知
をいたしておりません。
山井和則
47
○山井
委員
つまり、今回のこの
自立支援法案
での応益
負担
、一律
定率負担
の導入というのは、世界初なんです。
尾辻
大臣
にお伺いします。世界に百六十カ国以上の国があって、なぜどこの国もそういう
障害者
の
サービス
に対する応益
負担
、
定率負担
というのが導入されていないと
思い
ますか。
お答え
ください。
尾辻秀久
48
○
尾辻国務大臣
まず、申し上げておりますように、そうした例があるかないかを
承知
していないということを申し上げておるところでございますけれ
ども
、いずれにいたしましても、それぞれの国の
制度
というのは、それぞれの国の伝統や文化もあり、事情もあって定められるわけでございますから、まさにそれぞれの国によって異なるというふうに存じます。
山井和則
49
○山井
委員
それぞれの国によって異なっていないんです。
障害者
の
サービス
に対して、応益
負担
、
定率負担
を導入しないというのは世界の常識なんですよ。今そう答弁しているじゃないですか。日本だけがその常識に反したことをやろうとしているわけですよ。 それは、なぜほかの国がやらないのかというと、福祉の理念に反するからです。
障害
が重い人ほど苦しんでいて、就労も難しくて、所得が少ないのは決まっているじゃないですか。それに対して多くの
自己負担
を取るなんというのは、福祉の理念に真っ向から反対しているのではないですか。そしてまた、トイレに行ったりおふろに入ったり、
生活
のための
サービス
を受けるのが益であるはずがないではないですか。そういう
意味
では、今
政府
が通そうとしているこの
法案
は、世界でも本当に例を見ない恥ずかしい
法案
であるということを認識していただきたいと
思い
ます。 そこで、具体的な話に入ります。 先日、
尾辻
大臣
にもお渡しをさせていただきました。例えば、通所の授産の作業所、工賃が全国平均で一万二千円ぐらいです。そういうところでこういう織物をつくったりして、何とか一カ月一万円、一万二千円という工賃を知的
障害者
の方は稼いでおられます。 そして、またきょうもいろいろ持ってきましたが、私の事務所でも毎年使っておりますけれ
ども
、
精神
障害者
の方が作業所でつくられた手すきのカレンダー、あるいはこれも
精神
障害者
の
方々
がつくられたうちわであります。そして、こういうふきんも売られたり、あるいはこういう陶器、これはフクロウをあしらってありますけれ
ども
、苦労がなくなるようにという願いを込めてこういう陶器も作業所や授産施設でつくられているわけですね。 こういう
方々
の工賃というのが一万二千円ぐらいなわけです、全国平均で。ところが、そこに対して今回の
法案
では、きょうの資料につけさせてもらっておりますが、七ページを見てもらったらわかりますように、見直し後、約二万円ぐらいの
自己負担
を導入する。
尾辻
大臣
、これは普通に
考え
てみてください。一カ月、月曜日から金曜日まで、作業所に行ったり通所授産施設に行って、一万円ぐらいの工賃をやっともらっている。その一万円の工賃が一カ月の喜びなんです。ある
障害者
の方がおっしゃっておられましたが、その一カ月の最後の日にもらった封筒に一万円が入っているかどうか、それがもう楽しみだと。そして、そのお金をもらったら、SMAPの写真集を買ったり、あるいは、絵をかくのが好きな
障害者
の方は絵をかく本を買ったり、あるいは、旅行が好きな方は、なかなか行けないけれ
ども
どこに旅行に行こうかなという夢を持ちながら旅行の本を買ったり、そしてまた、自分が働いた工賃で家族と一緒に食事に行く、これがもう一カ月の楽しみなんだ、それを励みで働いておられるという
方々
が多いわけですね。 その
方々
から二万円、つまり工賃を上回る
利用
料を取る。
大臣
、こういうことは可能だと
思い
ますか。本当にこんなことをされるんですか。
大臣
、いかがですか。
尾辻秀久
50
○
尾辻国務大臣
障害者
の
皆さん
の所得をどう
保障
するかということにも絡むと
思い
ますので、そうした
観点
からも
お答え
申し上げたいと存じます。
障害者
の
自立
支援
を図る上で、今お話しの、工賃というお話がございましたが、広く就労の
支援
が非常に重要だと
考え
ておりますから、私
ども
は、今回の改革において、新たにそうした場をつくるように
制度
化もしようと
考え
ておるところでございます。 そうしたことは
考え
ます一方で、どのような活動を行うにせよ、通所事業という事業は
障害者
に対して事業者が必要な
サービス
を提供するということでございますから、他の
障害
福祉
サービス
の提供を受けた場合と同様に、
利用
料として原則として一割の
自己負担
をお願いするということにしておるところでございます。 しかしながら、就労
継続
支援
のうち、事業者と
障害者
の間で雇用
関係
が結ばれているものについては、
障害者
を雇用する企業と類似しておりますことから、就労の現場の実情を尊重いたしまして、事業者の判断で事業者のみの
負担
により
利用
料を減免することのできる仕組みを導入することを
検討
しておるところでございます。 そうしたさまざまな方法を用いながら、ぜひ
皆さん
の御理解をいただきたいと
思い
ますし、これは繰り返し申し上げておることでございますが、やはり
障害者
の
皆さん
もお互いにみんなで出し合ったり、出し合ったりというのはお金という
意味
でございますが、出し合ったり、また助け合ったりしながらという大きな福祉の
制度
をつくっていただきたいというふうに思っておるところでございます。
山井和則
51
○山井
委員
今説明がありましたが、改めて質問をします。 要は、作業所や通所授産施設では工賃が一万円ぐらいなわけですね。その
方々
に対して、厚生省が出してきた資料にもありますように、二万円ぐらいの
利用
料や食費を取るというのが今回の
法案
なんです。自分は働いて給料をもらっているというふうに
障害者
の
方々
は生きがいを感じて作業所や通所授産施設に行っているわけです。その
方々
に対して、この
法案
は、来年の一月から、作業所や通所授産施設に行ったら、今までは一万円家にお金が入っていたけれ
ども
、あなたが行ったら一万円払わないとだめなんですよということにする、ある
意味
で恐ろしい
法案
なんですよ。百八十度変わるんですよ。一万円家にお金が入るんじゃなくて、一万円払わないとだめなんですよ。
大臣
、ほかの聞き方をしましょう。その
障害者
本人
にどう説明しますか。今まで、私が行ったら、僕が行ったら一万円お金がもらえるんだと思っていた人に対して、行ったらプラスマイナスで一万円家から払わないとだめなんですよ、
大臣
、そう説明するんですか。
尾辻秀久
52
○
尾辻国務大臣
先ほど諸外国の例とのお話もございましたけれ
ども
、今、私
ども
は、全体の社会
保障
を
考え
る中で、それぞれ整合性を持たなきゃいけない、そういうふうに思っております。 そういう中で、やはりこうした
利用
料についても、今お話しのような
利用
料についても、一割の御
負担
だけは基本的にお願いをする。これは、それぞれの減免
制度
を
考え
ておりますから、必ず一万円に
皆さん
がなるというわけじゃありませんけれ
ども
、まず原則として、基本として、一割の御
負担
をお願いするということを今申し上げておるところでございます。 ですから、そうした
皆さん方
にも、やはり一割
負担
というところの原則だけはまずお願いします、ただ、減免措置その他はちゃんと
考え
ますからということを今申し上げておるところでございます。
山井和則
53
○山井
委員
改めて申し上げますが、そういうことを
考え
やっている国は世界にないということを言っているわけですよ。
障害者
の
方々
は、働くのも難しいし、所得も少ない。だから、同じ原則ではいけないということは世界の常識なわけですよ。 次の
グループホーム
の質問に移りますが、この間、この
自立
支援
法で、
グループホーム
が
ケアホーム
と
グループホーム
に分かれるとか、そしてホームヘルパーが
利用
できにくくなるとか、また規模も大きくなるのではないかとか、また施設の中に
ケアホーム
や
グループホーム
を建てることができるようになるのではないかというようなことで、本当に
グループホーム
関係
者は不安のどん底に陥られております。
グループホーム
に関する
自己負担
に関しても、ページ八にありますように、五千円から二万円ぐらい、これもアップされるわけですね。 やはり、福祉を願う者として、
重度
の
障害者
が
地域
で暮らせる社会をつくりたい、これはみんなの夢なんですよ。そして、
支援
費によって、外部からホームヘルパーさんな
ども
利用
しながら、うまく
グループホーム
で、
地域
で暮らせるというめどがついてきた。
大臣
、にもかかわらず、この
自立
支援
法が出てきたことによって、多くの現場では、これでは
グループホーム
や
ケアホーム
は生き残っていけないということで、今までされていた今年度、来年度の計画がどんどん
打ち切り
になっていっているんですよ。
自立
支援
法といいながら、
自立
の阻害になっているのではないですか。 そこで、お伺いしたいと
思い
ます。時間にも限りがありますので、肝心なことしかお伺いしませんが、
グループホーム
はこの
自立
支援
法で
利用
しやすくなるんですか。そして、今までどおりホームヘルパーの
方々
も
利用
できるんですか。
大臣
、
お答え
ください。
尾辻秀久
54
○
尾辻国務大臣
私
ども
は、今回の改正によりまして、今おっしゃったような
グループホーム
のよさを維持しながら、そして
グループホーム
という仕組み、
制度
がずっと続けられていくようにという
観点
で今回のことをお願いいたしておるわけでございます。 したがいまして、今回の改正の、そういった
意味
で申し上げますと私
ども
が一番重要視しているといいますか、これは、今後ともずっとこうした仕組みを続けられるようにということもあるわけでございまして、そうした
観点
からお願いをしているというふうに御理解いただければと存じます。
山井和則
55
○山井
委員
どの答弁もそうでありますが、全然答弁にはなっていないわけですね。だから、みんな不安に思っているわけですよ。だから、
グループホーム
の計画がどんどん壊れていっているわけですよ。もうこれは
法案
審議
に入ってから一カ月半以上たっているんですよ。 それで、もっともっとまた引き続き私は質問させてもらいますので、次のテーマに移ります。 ですから、私が申し上げたいのは、先ほどの作業所の例、通所授産の例、またこの
グループホーム
の例を見ても、やはりまず
所得保障
が先であって、もし
定率負担
というならばまず
所得保障
をしないと現実的には無理でしょうということを、私
たち民主党
は、そして
民主党
だけじゃなくて多くの
障害者
の
方々
は言っているわけです。 そこで、お伺いします。やはりこういう
所得保障
が
確立
するまでは
定率負担
の導入というのは
凍結
すべきだと
考え
ますが、
大臣
、いかがですか。
尾辻秀久
56
○
尾辻国務大臣
障害者
の
所得保障
は、これもまた先ほど来申し上げておりますように、
障害者
の
地域
における
自立
した
生活
を
考え
る上で極めて重要な問題だと認識をいたしております。 年金
制度
や各種手当
制度
につきましては、現在の国の財政状況等を勘案いたしますと、大変難しい面もございまして、大きく改善を図ることは容易でないと率直に言わざるを得ないところでございますけれ
ども
、
障害者
の
所得保障
としては、
障害者
の就労
支援
も含めて総合的に
検討
する必要があると
考え
ておるところでございます。 そこで、今回のこの
障害者自立支援法案
における
利用者負担
につきましては、一定の
定率負担
と所得に応じた月額の
負担
上限を組み合わせた
利用者負担
をお願いすることにしておるわけでございますけれ
ども
、その際に、数段階の月額
負担
上限を設けるに当たりまして、同じ所得の方については他の
制度
とのバランスを踏まえた
負担
額となるように設定をしておるところでございます。
障害
のある方については、御指摘のように、年金だけで
生活
されている方や資産の乏しい方がおられることに配慮して、
障害者
の方が暮らしていく上で支障がないように
負担
額を減免する各般の仕組みを設けておるところでございます。
山井和則
57
○山井
委員
結局、
所得保障
も今後の課題で、全然、今としては何にも
確立
されていないわけじゃないですか。そんなことで一方的に、
所得保障
の
確立
がお金がかかるから難しいと言っておきながら、なぜ、
障害者
の
方々
、六万円や八万円の
障害者
年金しかない方から二万円、三万円お金を取る方はすぐに先にやるんですか。
委員長
、またこれ、定足足りていないんじゃないですか。確認してください。時計をまずとめてください。
鴨下一郎
58
○
鴨下委員長
今確認をします。(山井
委員
「まずとめてください」と呼ぶ) 速記をとめてください。 〔速記中止〕
鴨下一郎
59
○
鴨下委員長
はい、速記を起こしてください。 山井君。
山井和則
60
○山井
委員
大体、これだけ本当に人の命がかかっている
法案
を
審議
しながら、定足割れすれすれ、あるいは先ほどのように、
与党
筆頭
理事
も、一人もいないなんということで、こんな
法案
審議
するのは失礼ですよ、本当に。 次に、
自立支援医療
のことに行きます。 これについては、午後、育成
医療
や更生
医療
のことについて水島
議員
も触れてくださると
思い
ますので、私は三十二条の
精神
科の通院
医療
のことをやりたいと
思い
ます。 四ページを見ていただいてもわかりますように、多くの
方々
からこの存続を
求め
る署名が出てきております。自殺者を減らすという対策本部を立ち上げておられながら、まさに自殺の歯どめとなっている
精神
の通院公費
負担
を削減するというのはとんでもないことです。 限りがありますので、また手紙を読ませていただきたいと
思い
ます。五ページにありますが、これも、ぜひとも
大臣
や
厚生労働
委員会
の
議員
に読んでほしいということで提出されたものであります。早速読みます。
尾辻
厚生労働大臣
様 私はうつになり約六年になります。その間、働けなくもなり、
生活
も大変です。しかし、公費
負担
の
制度
がある事で治療やリハビリを受ける事ができて、とても助かっています。 早く仕事を見つけて普通の社会
生活
をしたいと思っていますし、努力していますが、それまでには主治医の先生のところのデイケアでリハビリを行う必要がありますので、まだ時間がかかりそうです。 ほぼ毎日、通院する事でようやく人と話す事ができるようになり、
精神
的にも楽になってきました。私達が社会復帰するためには公費
負担
の
制度
は欠かせません。多くの人達は少い収入やたくわえを切りくずしながら細々と
生活
をし、通院しています。是非、三十二条の公費
負担
制度
を存続させて下さい。この
制度
がないとリハビリや通院もできず社会復帰が遅れます。 早く社会に出て働きたいと
思い
、日々努力していますので、私達のお願いをお聞き下さいますよう、宜しくお願い申し上げます。 一時は死のうと思った事もあります。身内からも見放され単身で
生活
しています。でも生きたいと
思い
ますので、どうか助けて下さい。 三十六歳、無職の男性の方。 次のページは下の
部分
だけ読みますが、この
精神
科クリニックに通院されている
精神
障害者
の方も、
障害
年金で
生活
されていて、十一万円前後、食費は二万円前後です。食費が一日六百五十円ぐらいなわけですね。そういう苦しい苦しい極貧
生活
をされ、家族にも内緒で、あるいは会社にも内緒で
精神
科に受診されておられる。そしてまた、死ぬのをとどまりたい、生きたいという
思い
で、またその現場のスタッフも必死になって頑張っておられる。
尾辻
大臣
、今回、この
自立支援医療
という
制度
をやってしまったら、例えば大都市では五%の
自己負担
を自治体が
負担
して、今
自己負担
ゼロのところも多いんです。そういうところも、国の状況を見て、五%の単独補助を打ち切るかもしれないということも言っているわけですね。そうしたら、これは、
サービス
の
利用
抑制がかかって、人の命が失われるかもしれない、まさに、
自立支援医療
じゃなくて、自殺
支援
医療
、自殺促進
医療
になるかもしれないんです。
大臣
、このことによって、診療があるいはデイケアへの通所が抑制されて、自殺がふえるというふうに思われないんですか。
尾辻秀久
61
○
尾辻国務大臣
まず、
負担
の方について申し上げたいと
思い
ます。(山井
委員
「細かい説明は要りません。今の質問に対して、自殺がふえると思わないのかということ」と呼ぶ)もういいですか。今回の改正でぜひ御理解いただきたいと
思い
ますのは、市町村民税非課税の方については、月の
負担
額を二千五百円または五千円の上限を設けて、その
範囲
で御
負担
をいただきたいと
考え
ておりますということをまず申し上げたかったところでございます。 そこで、自殺についてのことでございますが、うつによる自殺の問題など心の健康が重要な問題となっております中で、
精神
通院
医療
の役割は引き続き重要であるというふうに
考え
ております。 このため、今回の改革を通じまして、今後とも、限られた財源の中で
制度
を維持しながら
精神
障害
に係る必要な
医療
を確保するように努力してまいりたいというふうに
考え
ております。 自殺予防対策につきましては、先日、私
ども
の省内に自殺対策の推進に関する省内連絡
会議
を設置したところでございまして、平成十七年から五カ年計画で取り組む自殺関連うつ対策戦略研究の結果も踏まえつつ、その充実に努めてまいりたいというふうに
考え
ておるところでございます。
山井和則
62
○山井
委員
大臣
の答弁あるいは
厚生労働省
の答弁を聞いていると、事の重大さが全然わかっておられない。これによって、現場では、本当に自殺する人がふえるんじゃないかと思って戦々恐々としている。ある
精神
科の現場の方は、
厚生労働省
と刺し違えてでも
自立支援医療
は
凍結
させたいということもおっしゃっておられるわけです。命がかかっているわけなんですね。 私のところにも手紙が来ております。統合失調症の方で、
精神
障害者
の作業所のスタッフ、こう書いておられます。 「とても給料より高い一割
負担
を払って、作業所に働きに来てくれとは、メンバーに説明出来ない。第一、一割
負担
より多い給料をとろうと思えば、メンバーが必死に働いて、次々に再発していくことは目にみえています。」この方
本人
も統合失調症の方なんですが、「先行き不安で押しつぶされそうです。」「睡眠薬も沢山飲んで眠りました。それでも調子は落ちたままです。きのうも自殺を
考え
ましたので、採決されたあかつきには自殺をするかもしれません。」「なにもする気がおこりません。うつ気分が続いています。火曜日が診察です。」こういう手紙も届いてきております。
大臣
、もう一つお伺いしたいと
思い
ます。 これは、やはり自殺を食いとめるためにこの三十二条というのがあるわけですよ。その
部分
を大幅に削減してしまう。そういうことによって受診抑制がかかって、自殺する人が出てくる可能性は大きくあります。
大臣
、そのときには
大臣
は
責任
をとるんですね、人の命が奪われた場合には。因果
関係
もわかりますよ、これは。その自殺した人が
精神
科クリニックに通っていて、この
自立支援医療
によって
サービス
を抑制したと。
大臣
の覚悟を聞かせてもらいたいと
思い
ます。
大臣
、そういうことが起こったら、
大臣
は
責任
とるんですね、人の命が奪われた場合には。 〔
委員長
退席、宮澤
委員長
代理着席〕
尾辻秀久
63
○
尾辻国務大臣
先ほど申し上げましたように、御
負担
を無理のない
範囲
でお願いしようとしておることをぜひ御理解いただきたいと存じます。二千五百円、五千円というところでお願いをしようとしておる、そこの私
ども
の気持ちというのをぜひ御理解いただきたいと存じます。
山井和則
64
○山井
委員
このことに関しては、午後、水島
議員
も引き続き質問されると
思い
ますが、
大臣
の答弁を聞いていると、全然現場のことがおわかりになっていない。 私もこの二カ月、週末を
利用
して三十カ所以上、知的、身体、
精神
のいろんな現場を回ってきました。本当に不安でいっぱいです。
障害者
の
方々
からも泣かれましたし、お母さん方も泣かれましたし、こういう採決になったら、もう死のうかというお便りや声も聞かされています。それだけこれは大変な
法案
だということがわかっているのか。先ほ
ども
言ったように、人員も足りない中でこうやって
審議
もやる。許せない気持ちでいっぱいであります。 次に、
重度障害者
が
地域
でこれからも暮らしていけるのか、暮らしやすくなる
法案
なのかということを質問したいと
思い
ます。 前回の質問でもお話しさせていただきましたが、この海老原宏美さんという方、このパネルで今お見せさせていただいておりますけれ
ども
、脊髄性筋萎縮症、車いすでおひとり暮らし、一日約十六時間介助を受け、月五百時間使っておられます。そして、夜間は人工呼吸をつけておられるわけです。こういう
方々
にとっては、
利用
基準の上限が決められて
サービス
の時間が減ったら、即、命にかかわる問題なんですね。介助の量、予算に制限がついてしまったら、命にかかわる問題、まさに死活問題なんです。 そこで、
大臣
にお伺いしたいと
思い
ます。 海老原さんのような
重度障害者
にとって、決して
サービス
が減ることなく今までどおりの
サービス
が
利用
できる、そういうことを
保障
するということを、ぜひこの場でお約束をいただきたいと
思い
ます。
尾辻秀久
65
○
尾辻国務大臣
今回御
提案
申し上げております新
制度
におきましては、福祉
サービス
の
支援
の必要度を総合的にあらわす
障害程度区分
を設定いたしますとともに、特に
重度
の
障害者
につきましては、
重度障害者
等包括
支援
でありますとか、あるいは
重度訪問介護
といった新たな給付類型を創設いたしておりまして、より多くの自治体において必要な
サービス
を
利用
することができる仕組みといたしておるところでございます。
山井和則
66
○山井
委員
全く答弁になっていないわけですね。そんな状況でこの
法案
の採決を
考え
るなんということは、とんでもないわけです。繰り返し言いますが、この
法案
では多くの
障害者
の
方々
の命がかかっているわけです。 そして、ある
障害者
の方からもメールをいただきました。この方は脳性麻痺ですので
グループホーム
に入っておられますが、足でメールをいただきました。その方もおっしゃっているのは、ついの住みかと
考え
ているこの
グループホーム
を、この
自立支援法案
が通ったら出ないとだめになるかもしれない、そういう深刻な不安を持っておられます。 その方のメールによりますと、「いま
国会
で
審議
されている「
自立支援法案
」は、私
たち
に「死ね!」と言わんばかりの
法案
だと
思い
ます。」この
グループホーム
をついの住みかだと思っているのに、
法案
が成立すれば、
グループホーム
と
ケアホーム
に分けられ、今すぐにではないかと
思い
ますが、こっちの
ケアホーム
に行きなさいと言われかねない。そして、この
法案
の中には、
ケアホーム
の前に
地域
においてという
言葉
がないので、施設内や病院内につくられる可能性さえあります。「これは「
自立
と
社会参加
」を唱っている障碍者基本法に違反すると
思い
ます」ということを書いておられます。そして、「
移動
介護を使って、いろんなところへ行くことによって、一般の
人たち
が気軽に声をかけてくれるようになり、困っていたら、自然に助けてくれたりするので、社会全体がノーマライゼーションになってきたところです。」と。この流れを逆行させてしまうのがこの
法案
であるわけです。 そこで、
大臣
、
移動
介護の問題でありますが、私
たち
のこの
修正要求
の中でも、
重度障害者
の長時間
サービス
の
保障
ということを要望しております。やはりこういう
移動
介護の
保障
についても、今までどおりの
サービス
が
利用
できることを
保障
する、そういうことを、
大臣
、ぜひお約束をいただきたいと
思い
ます。
尾辻秀久
67
○
尾辻国務大臣
外出時の
支援
を行う
移動支援
につきましては、
障害者
の
社会参加
を促進し、
地域
での
自立
した
生活
を支える上で意義のある
サービス
である、このことは当然のこととして私
ども
も十分認識をいたしております。
支援費制度
におきましては、効果的な、効率的な
サービス
提供を行うという
観点
からは、事前に支給
決定
が必要なため、あらかじめ予期できないニーズに臨機応変に応じられないという面がありますことと、
個別給付
のために、複数の
利用者
に対して一人の介護者が
対応
することができないといったような、柔軟な
対応
ができないという問題が自治体や
関係
者からも指摘をされていたところでございます。 これらの
問題点
を解消するために、今度の
制度
におきまして、
移動支援
につきましては、
地域
の特性や
利用者
の状況に応じた柔軟な形態での
実施
が可能になるように、市町村の
地域生活支援事業
に位置づけることとしておるところでございます。 そして、
地域生活支援事業
として位置づけるに当たりましては、これまでも
支援費制度
のもとで居宅
サービス
として提供されてきた経緯があること、それから
障害者
が
自立
した社会
生活
を営む上で重要な
サービス
であるということを踏まえて、市町村が必ず
実施
しなければならない義務的な事業として位置づけますとともに、その費用につきましても、国、都道府県が補助することができる旨の規定を設けることとしておりまして、今後も必要な
サービス
が適切に受けられるようになるものと
考え
ておるところでございます。 なお、
重度
の行動
障害
を有する
方々
については、
移動
の
支援
や身体の介護等をパッケージで行う
個別給付
の
サービス
メニューを新たに設けたところでございます。
山井和則
68
○山井
委員
今の答弁では、今までの
サービス水準
が確保されるかどうかというのが全くわからないわけです。 改めて
尾辻
大臣
にお伺いしたいと
思い
ます。 先ほ
ども
言いましたように、こういう海老原さんのような、月に五百時間、夜間は
人工呼吸器
をつけて、本当に死活問題として、しかし、社会の真ん中で暮らしておられる方、こういう
方々
の存在によって、私は本当に社会は明るくなっていっていると思うんですね。こういう
方々
が
地域
でこれからも暮らしていけるのかいけないのかということが、この質疑を聞いていてもさっぱりわからない。全国の
障害者
の
方々
が、これをインターネットで多分今聞いておられると
思い
ますが、
大臣
の答弁を聞いてもさっぱりわからない。
審議
が一カ月半たってもさっぱりわからないというのが現状だと
思い
ます。 そこで、
大臣
にお願いしたいと
思い
ます。
当事者
の
方々
のせめてもの願いは、とにかく、
当事者
抜きで
当事者
の
生活
と命にかかわるこの
法案
を決めないでくれということなんです。これからもじっくり時間をかけて、
当事者
の
方々
の声を聞いて、この
法案
を変えていくということを約束していただきたいと
思い
ます。
尾辻秀久
69
○
尾辻国務大臣
まず、今後も必要な
サービス
が適切に受けられるようになるということは申し上げておるところでございます。 それから、
関係
の団体の
皆様方
とはずっと議論をさせていただいてまいりましたし、御
意見
も伺ってまいりました。このところもまた、いろいろな御
意見
をちょうだいいたしておるところでございます。そうした経緯を踏まえてこの
法案
をお願いしておるということは、御理解いただきたいと存じます。
山井和則
70
○山井
委員
きょうのこの質疑を聞いても、この
法案
によって
自立
が促進されるとは全く思えない。逆に、
自己負担
アップによる
自立
阻害以外の何物でもないと
思い
ます。そして、わからないことも多過ぎる。にもかかわらず、先ほどの
理事
会では、
与党
の方から、早ければ来週水曜日にも採決するかもしれないというような、そんな発言まで飛び出している。とんでもないじゃないですか。
大臣
、こういうことは
障害者
の
生活
と命にかかわる問題ですから、今のような答弁では、これは無理ですよ、
法案
を通すことはできません。やはりきっちりそういうところが
障害者
の
方々
の納得が得られるまで、強行採決はしないということを明言していただきたいと
思い
ます。(発言する者あり)
宮澤洋一
71
○宮澤
委員長
代理 山井君に申し上げます。
理事
会の話でございまして、
大臣
に聞く
内容
ではないような気がいたします。(山井
委員
「
大臣
に」と呼ぶ)
尾辻
厚生労働大臣
。
尾辻秀久
72
○
尾辻国務大臣
この
委員会
の御
審議
の
あり方
について私が何か申し上げるというのは大変失礼なことでございますから、お許しをいただきたいと存じます。 一点だけ申し上げますと、先ほど来申し上げておりますように、
障害者
の各団体の
皆様方
といろいろな御議論をさせていただいてこの
法案
をお出ししておるということだけは申し上げておきたいと存じます。
山井和則
73
○山井
委員
今も
与党
の
理事
から、できるだけ早く採決したいと言っておりますけれ
ども
、とんでもない話であります。 これからまだまだ時間をじっくりかけて、きょうの私の質問に対する
答え
、これは別に私の個人的な質問ではなく、多くの
障害者
団体からの疑問であり、要望であるわけです。そういうものがきっちりと方向性が出るまでは当然採決することができない。 過去、日本の
障害者
福祉が本当におくれにおくれている。ある教授は、
障害
を負った苦しみとともに、この国に生まれてきた不幸ということを言い、日本の
障害者
福祉のおくれを嘆いてきたわけですね。それに対して、この
法案
は、
支援
費によってトンネルの先の明かりが見え出した、その明かりをまた打ち消してしまう
法案
であります。何としても
慎重審議
をして、先ほどの話であったように、もうそろそろ採決だなんということが決してないように、そして、万が一そんなことがあって
障害者
の
方々
が
自立
が阻まれ、あるいは死者さえも出るようなことになれば、そのことはきっちりまた
国会
で取り上げねばならないと思っております。
慎重審議
を心からお願い申し上げて、私の質問を終わります。
宮澤洋一
74
○宮澤
委員長
代理 次に、五島正規君。
五島正規
75
○五島
委員
大変エキサイトした議論が続いておりますが、この問題につきましては、本当に重要な問題であるだけに、お互いに冷静に議論をしていきたいと
思い
ます。 そこで、まず
大臣
、少し本質的な問題から議論したいと
思い
ます。 若年者の
障害
、特に子供のときから
障害
を持っておられる
障害者
と、それから、介護保険等が主として
対象
にしております
高齢者
の
障害
、両方とも
障害
ということについては同じであるわけですが、
障害者
福祉という
観点
から見た場合、これを同じ水準、同じ基準で見ることには無理があるんだろうと私は思っています。 なぜであるか。
サービス
の
内容
云々という前に、
高齢者
になっての
障害
というのは、その方が若い間にそれぞれ資産を形成するチャンスをお持ちになっていた。しかし、成功した人もおれば、しなかった人もある。したがって、そういう人々に対しては、一定、応能
負担
的な
考え
方が導入されることは、私は同意します。 一方、若年時からの
障害者
というのは、そういう資産を形成するチャンスすら持ち得なかった人です。したがって、その
人たち
に対する
サービス
の
中身
について言えば、介護保険なんかとは違って、それなりに、そういう資産形成のチャンスを持ち得なかったという
観点
から、おのずから独自の政策がないといけない、当たり前だと
思い
ます。 また、若年の
障害者
は
高齢者
に比べてより広く
社会参加
をしてもらう、そのことは社会全体としての義務であるし、
障害者
からいえば当然の権利だと
思い
ます。そうした
部分
もやはり
障害者
福祉全体が含んでいる。したがって、
高齢者
の
障害
の問題とはおのずから違った施策というものがあるべきなんだというふうに思っておりますが、そのあたり、
大臣
、どうお
考え
でしょうか。
尾辻秀久
76
○
尾辻国務大臣
まず、
サービス
について申し上げますと、若年
障害者
と
高齢者
に対する福祉
サービス
についてでございますが、介護が必要な方に対するホームヘルプ
サービス
や施設における
介護サービス
などについては、これは基本的に同様のニーズがあるものと
考え
ます。しかし、今先生もお話しになりましたように、若年
障害者
については、
障害
のない若者と同様に、一般的に社会経済活動への参画の意欲や必要性がより高いということがございますので、そうした
方々
には、就労
支援
のための
サービス
でありますとか
地域
で
自立
して暮らすための訓練の
サービス
など、より多様な
サービス
が必要だとまず
考え
ます。 それから、次に
負担
のことについて申し上げますと、幼少期から
障害
のある方と高齢期になって
障害
を有するに至った方とでは、これも先生お話しになったように、資産の状況に違いがあるのが通常だ、こういうふうに
考え
ますし、また、
障害
のある方の中でも所得の状況がさまざまであるというふうに
考え
ております。
五島正規
77
○五島
委員
所得の状況がさまざまであるということは、それぞれの水準においてそうなのであって、その前に
大臣
おっしゃったように、やはり若年期から
障害
をお持ちになった人と、高齢期になって
障害
をお持ちになった人との、資産の形成過程によって当然
負担
のありようが違うという
大臣
の御答弁は確認しておきたいと
思い
ます。これは非常に大事な問題だというふうに
考え
ます。 続いて、現在
障害者
であったとしても、一部、加齢によるところの疾病という問題を除きますと、介護保険の適用年齢になりますと介護保険が受けられる、そしてそれ以前の状態においては、例えばホームヘルプ
サービス
についていえば、
支援費制度
の中で賄われるということになっています。 そこで、知的
障害
、身体
障害
、
精神
障害
、いろいろあるわけですが、非常に、あるわかりやすい数字ということで身体
障害者
に限って見てみますと、では、十八歳から六十四歳までの一級及び二級の身体
障害者
、二級の身体
障害者
といいますと、両足の下腿
部分
がないとか、あるいは座位の保持ができないとか、かなり
重度
の
障害
でございます。そういう一級、二級の身体
障害者
に対して、現在、
支援
費がどの程度提供されているか。六十四歳未満です。 十八歳から六十四歳未満の身体
障害者
について言いますと、一級の身体
障害者
でわずかに一一・一%、二級の
障害者
では九・五%しか
支援
費が提供されておりません。また、トータルに見て、高齢期まで含めたすべての一級、二級の身体
障害者
は百十八万人おられますが、この中で
支援
費が提供されているのは七・六万人、六・四%しかありません。言いかえれば、
支援費制度
はできたんですが、
制度
としてできたけれ
ども
、ニーズに対してこの
制度
というのは極めて普及されていない。平均で六・四%、一級だけとっても一割そこそこというふうな状態で、現在このホームヘルプ
サービス
をとった場合に、現行のこの
制度
というのは、一定、きちっとニーズに
対応
していると言えるんでしょうか。 私はとても、この現状から見るならば、今回
支援費制度
を
自立
支援
というふうに名称を変えるわけですが、
制度
的欠点なのか何なのか、いずれにしても、必要な
サービス
が全く行き届いていない
制度
である。地方間の格差もあるでしょう、さまざまな要因があるだろう。この要因は何なのか、そこのところを
厚生労働省
はほとんど分析したデータを議会にお出しになっておりません。 本来で言うならば、名称を変えて
負担
のありようを変える前に、必要な
サービス
がこの水準にとどまっている原因こそ
検討
すべきではないかと思うわけですが、
大臣
、どのようにお
考え
でしょうか。
塩田幸雄
78
○
塩田
政府参考人
支援
費の
サービス
の
利用
状況については、
委員
の御指摘のとおりでありまして、身体
障害者
については、御指摘がありましたが、ほかの知的
障害者
に比べて、まだ全国的にはある程度の
サービス
が普及しているということでありますが、知的
障害者
、さらに
精神
障害者
については、
支援
費の
対象
にすらなっていないということでございます。 原因はいろいろあると
思い
ますが、身体
障害者
の中には内部
障害
の方とか視覚
障害
の方とか、
支援
費のホームヘルプ
サービス
が必要のない方もいらっしゃいますのであれですけれ
ども
、基本的には、まだ各市町村に
サービス
が提供できる社会資本が必ずしも整備されていないということでありますとか、ケアマネジメントがないとか、いろいろな
制度
的欠陥があると思っております。 そういう
意味
で、今度の
自立支援法案
は、
支援費制度
の持っているいろいろな課題を克服して、全国どこの市町村でも、ニーズのある方には必要な
サービス
が提供できるような体制をつくるという
観点
で御
提案
申し上げているところでございます。いろいろな現行の
問題点
などについては、御要請があれば整理してお出ししたいと
思い
ます。
尾辻秀久
79
○
尾辻国務大臣
五島先生がおっしゃいました数字は全くそのとおりでございまして、身体
障害
一、二級の
障害者
約百十八万八千人ということでございますけれ
ども
、その中でホームヘルプ
サービス
の支給
決定
者が七・六万人であり、受給者の割合というのが六・四%、これはもう全くそのとおりでございます。 その原因をお尋ねでございましたが、今部長より
お答え
を申し上げたところが私
ども
が今分析をしておる原因でございますけれ
ども
、こうしたことというのはさらによく
検討
しながら、私
ども
も今後に備えてまいりたいと存じます。
五島正規
80
○五島
委員
常識的に、一級、二級、しかも、今
大臣
のおっしゃった数字というのは
支援
費の
対象
になっていない聴力、視覚
障害者
を除いた数です。その中においてもその程度しか
利用
がない。これを反省して今回の
法案
を出されたということではないんだろう。なぜここまでこの
支援費制度
が普及していないのか、客観的ニーズに対してこのようにおくれているのか。 その辺については、今、
塩田
部長、またお出しするとおっしゃいましたけれ
ども
、本当にそんなものが、すぐ出せる資料があるんなら、なぜ
国会
にすぐ出していただけないんでしょうか。私は、これから、そのようなことをおっしゃるというのであれば、この
法案
の
審議
を
凍結
してでも、その
審議
こそをまず最初にやるべきではないかと思うわけです。 そしてまた、今度は身体
障害者
の方の介護保険の適用者、すなわち、お年をとって六十五歳以上で身体
障害者
手帳をお持ちになっている方、一級、二級をお持ちになっている
方々
、その
方々
の
利用
状況はどうなのか。これは、もちろん、
支援
費の
利用
の問題というのは後ほど言いますが介護保険優先ですから、介護保険を使ってからでないと
利用
できないシステムになっています。 そこで、では介護保険をどの程度使っているのかということを見ますと、八三・五%の身体
障害者
の方が
支援
費も介護保険も、これは六十五歳以上の年でですよ、六十五歳以上の
障害者
の八三・五%もが
利用
されていないんです。介護保険も
利用
されていないんです。介護保険、そして
支援
費、両方のホームヘルプを
利用
している方は、わずかに、お配りした資料に載っております、これは
厚生労働省
にきのう出していただいた資料ですが、わずかに〇・二%です。 一体これはどういうことなのか。介護保険
審議
の中において、介護保険の
拡大
ということも議論の一つでした。現実には、だれが
考え
ても、身障の二級であれば、介護保険の介護認定から見ても要介護にならないわけがない。その
人たち
が八三・五%も介護保険を使っていない。
障害者
の
生活
というのは、こうした公的な扶助、あるいは在宅での
自立
のための援助というものを、高齢期になっても、介護保険もできておりながら、ほとんど受けられていないという数字が出ているのではないでしょうか。 しかも、私は、この理由が実は
制度
的につくられているんではないかという疑いを持っています。 例えば、平成十二年に、厚生省の
障害
福祉部企画課長と
障害
福祉課長の連名により、各都道府県の部長あるいは政令指定都市等の部長に対して出した通達がございます。これは介護保険と
支援
費との併用の問題について述べている
内容
です。 それについて、介護保険で
対応
できない
部分
についてこの
支援費制度
を給付するというのはいいんですが、この
支援
費の
サービス
は、訪問通所
サービス
区分の支給限度基準額まで介護保険
サービス
の
サービス
を受ける場合であって、すなわち介護保険の言う訪問通所
サービス
を全部限度額いっぱいまで受けて、その上でなおかつ、ホームヘルプ
サービス
が基準額のおおむね五割以上を使った場合、介護保険でそれを使った場合、初めて
支援
費が使用できます、こうなっている。 これは、言いかえると、介護保険というのは、ケアマネジャーによって、さまざまな
本人
の希望も入れて組み立てられることになっている。ところが、
障害者
に関してはそういう選択権が全然与えられていない。通所の
サービス
を限度額いっぱい受けなさい、そしてなおかつ残りはホームヘルプ
サービス
を限度額の五割以上受けなさい、そうでないと与えません、こうなっている。介護保険の本質からいったら随分おかしい話です。 そして、多くの
障害者
は、例えば入浴の
サービス
とかあるいは訪問
医療
とか訪問看護とか、そういうような
サービス
も必要です。そういう
サービス
を使ってくると、この
支援
費は使えないという理屈になります。なぜこんなばかげた通達を出しているのか。 まず、この通達の
内容
は介護保険
制度
の建前からいって容認できるかどうか、老健局長、ちょっと御答弁願います。 〔宮澤
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
中村秀一
81
○
中村
政府参考人
お答え
申し上げます。
委員
の方から、最初に介護保険
制度
と
障害者
制度
の適用の問題がございました。 数字でございますように、六十五歳以上の手帳所持者の方の一六・三%が介護保険のホームヘルプの
利用
実績がある、それから両方併用されている方が〇・二、
支援
費のみが〇・一で、合わせますと一六・五%の方が介護保険か
支援
費、あるいは介護保険と
支援
費両方の
サービス
を使っている、こういうことでございます。 まず冒頭、手帳を持っておられる方の一六・三%しか介護保険を使っていないという問題はどうかということがあるわけですが、介護保険の方は、御案内のとおり、希望される方は要介護認定を受けられまして介護保険の
サービス
につながるわけでございますので、私
ども
、御希望の方で要介護認定に該当されれば、手帳のあるなしにかかわらずそういう扱いをしていますので、ここのところは、手帳保持者の方の申請の度合い、あるいは介護保険の要介護認定に該当されるかどうかの問題ではないかと思っておりますので、その点についてはそういう
お答え
をさせていただきます。 次に、介護保険と
支援費制度
の適用
関係
でございますが、両者に共通する
サービス
については、現行
制度
において、一般
制度
である介護保険
制度
を優先するということでございますので、六十五歳以上の方は、一六・三%の方は介護保険の
制度
が優先されて適用されているということになります。 介護保険の
サービス
の水準を超える方、あるいは介護保険にない
サービス
の必要な方については、いわば一般
制度
である介護保険が優先した後で
支援
費の方の上乗せなり横出しが出てくると
考え
ておりますので、私
ども
といたしましては、まず介護保険が優先するということを介護保険の立場からは言っておるわけでございまして、その先の上乗せ、横出しの
あり方
については、
支援費制度
の方の
考え
方によるものではないかと理解をいたしております。 今
委員
から御指摘の課長通知の点は、個人的にはいろいろ申し上げたいこともないわけではありませんけれ
ども
、そこは所管が違いますので、部長の方に……(五島
委員
「介護保険の立場から見て」と呼ぶ) 介護保険の立場からは、介護保険の方は介護保険
制度
として優先しますので、介護保険
制度
は、優先した介護保険
制度
として、介護保険の立場から、上乗せ、横出しあるなしにかかわらず、介護保険として必要な、またケアマネジメントとして適切なケアマネジメントのもとで
サービス
が提供されるという
考え
方に立っておりますので、その
考え
方に立った上で上乗せ、横出しを
考え
ていただきたいということでありまして、上乗せ、横出しの有無で介護保険の方の
関係
が左右されるということはあってはならないと思っております。そういった
意味
では、介護保険は一般
制度
として優先
制度
でございますので、優先
制度
の上に立って上乗せ、横出しを構築されるべきだと
考え
ております。
五島正規
82
○五島
委員
珍しく
中村
局長がまともなことをおっしゃったので、ありがとうございました。 では、
塩田
さん、この通達は
中村
局長の話とは食い違った通達になるわけですが、この通達は変えられますか。
塩田幸雄
83
○
塩田
政府参考人
制度
上、介護保険を優先するということで、その後で
支援費制度
の
サービス
を
利用
していただくという
制度
に
法律
上なっているわけでありまして、ホームヘルプ
サービス
については、まず
制度
上、介護保険の中の在宅
サービス
の限度額をすべて使っていただいて、その中でもホームヘルプ
サービス
を五割は使ってほしいということを述べたのが当時の課長通知だろうと思っております。 当時、それなりのいろいろな
関係
者の
意見
も聞いて、総合的に
決定
したものであろうと
思い
ます。現段階でこの通知が直ちに不適切だとは
考え
ておりません。さらにいろいろな
関係
者の御
意見
は聞いていく必要があると
思い
ますし、今度お通ししていただければ、新しい
法律
に基づく
サービス
も始まりますので、その際にもう一度、いろいろな
関係
者の
意見
も聞いて、課長通知の
あり方
については再
検討
させていただきたいと
思い
ます。 それから、冒頭先生が引用された
支援
費と介護保険の
利用
状況の調査、これも、先生の御指摘を踏まえて、急遽、
支援
費について御協力をしていただいている自治体、四十九の市町村からいただいた数値でとりあえずまとめた数値でありまして、もっともっと分析しないといけない、調査としても不十分なものです。母数は七級まで入っての母数でありますので、先生が言われたよりかは、介護保険を
利用
されている方、両方併用されている方、若干割合は高くなると
思い
ますが、いずれにしても、今の
高齢者
の方が、必ずしも介護保険などをフルには活用していない可能性があるということは御指摘のとおりだろうと
思い
ます。
五島正規
84
○五島
委員
この通達をそのまままだ残すという話ですが、現実に老健局と
障害
福祉部とで
考え
が違うわけですよ。 これがもし介護保険優先であるからということであれば、ケアマネジャーによって組み立てられ承認されたホームヘルプ
サービス
の限度額を使ったらというのであればわかる。ところが、介護保険で提供される
サービス
の限度額の五割以上は、そうでないと
支援
費は与えませんよ、あるいは、介護施設に対する訪問通所
サービス
を限度額いっぱいまで受けていないといけませんよと。これは、本当に
障害
を持った人は介護保険が適用されても全く自由度もないし、本来のケアマネジャーを中心とした形でそのお年寄りにとって何が一番いいかという議論をしていく、そういうことも与えられないんだ。とんでもない話だと
思い
ます。
大臣
、その辺をどうお
考え
ですか。
尾辻秀久
85
○
尾辻国務大臣
一番基本的なところで介護保険がまずあって、それに上乗せだとか横出しとかがついてくるというのは、そこのところの仕切りはそのとおりだろうというふうに
考え
ております。 ただ、今部長よりも御答弁申し上げましたように、この後この
法律
をまたお認めいただいたりした後、
検討
する中での大きな
検討
の課題であるというふうに申しておりますから、そのように
検討
はさせていただきたいと存じます。
五島正規
86
○五島
委員
検討
はさせていただきたいとおっしゃるんで、それは
検討
は大いにしてもらわないといけないんですが、現実問題として、十八歳から六十四歳の方でも
支援
費の
利用
というのは一割そこそこ、そして六十五歳を超えて
支援
費を
利用
している人というのは、介護保険があるとはいえ、この数字で見ると〇・何%ですよね。とてつもなくこの
支援
費の
利用
というのは普及していない。 そこの原因が何なのかということについて、今
塩田
さんの方から調査するとおっしゃったんですが、私は、そういう調査、あるいはこの
制度
を変える以上は、なぜこの
制度
を変えなければならないか。財政面だけで
検討
したとおっしゃるんならそうおっしゃればいい、格好つけせずに。しかし、少なくともまだ
支援費制度
は普遍化していないわけです。そういう結論しかここから出ないじゃないですか。それをここで今になって、指摘されて、これから調査しますということでは、先ほどの他の
議員
の話ではありませんが、一体何をしているんだという話になるのも当然ではないかというふうに思うわけですね。 なぜこの
支援
費の
制度
というのがここまで普遍化していないのか。だから金額は非常に低い、少ない。正直言って公費の
負担
も小さいです、他の福祉に比べたら。小さいだけに、予算の編成のときにええようにおもちゃにされる。だから
義務的経費
に持っていきたいということなんでしょうが、基本的に、なぜこの
人たち
に対して、日本国内だれに対してもきちっとこうした
サービス
が提供できる仕組みになっていないのか、そこのところの
検討
がまず先じゃないですか。もう一度、そこのところについて御
意見
をお伺いしたいと
思い
ます。
塩田幸雄
87
○
塩田
政府参考人
今度の新
制度
は、
支援費制度
を否定するというものではなくて、
支援費制度
が目指した、
障害
を持つ方が
地域
で普通に暮らせるために、
サービス
の質を高め、量をどう確保するかという
観点
から、
支援費制度
の抱える
問題点
を見直すという
観点
の改革であると思っております。 その中で、一つ、財政論に偏ってはいけないかもしれませんが、裁量的経費によって市町村が
サービス
を提供しても、国、県からしっかりとした財政
支援
が担保されていないというのも、
支援費制度
の
目的
とする
サービス
の質、量を確保する上で
問題点
であります。そこは義務費にするということで解決をしたいということでございます。 それから、
支援費制度
を
施行
して二年になりますけれ
ども
、順調に
サービス
が伸びておりまして、その
サービス
の伸び自体は、これからニーズがあって、これから市町村で提供体制をつくってもらわなきゃいけないということだと
思い
ますが、そのためにもいろいろな、ハード、ソフトの社会資本整備も国としてきちんとバックアップしていかねばいけない。 それから、
支援
費の
対象
になっていない
障害
を持つ方がいる。そういう
意味
で、市町村が、限られたマンパワーとか社会
支援
をして、いろいろな
障害
を持つ方に対して
サービス
を提供するためには、
高齢者
も含めて、年齢を問わないとか
障害
の別を問わずいろいろなマンパワーとか何かを上手に使えるような
制度
の仕組みをつくるという
意味
で、
支援
費の
問題点
を解決、克服するという
観点
でこの
制度
を
提案
しているつもりでございます。 あくまでも、
支援費制度
の
問題点
をどう克服するかという
観点
で
提案
しているつもりでございます。
五島正規
88
○五島
委員
今の話を聞いても、
障害
をお持ちの方に対して、こうした
自立
支援
のための
サービス
がなぜ普及していないのか、どうすれば普及できるのかという
観点
から今回の
自立
支援
法ができているのであれば、一体この
法案
の中のどこにそういうふうな
部分
は触れているんですか。それは、質問されてそういうふうに答弁するというのは、やはりまやかしですよ。そういうことでなくて、やはりその辺についてきちっとした
検討
をした上でこうした
法案
を出してこないと。 少なくても、現行からいえば、この
支援費制度
になってもなおかつ、過去の措置の
制度
と同じように
障害者
の中のごく一部の人にだけ
支援
費を提供し、なおかつ、その
支援
費の提供には非常な
地域
間格差、疾病間格差があり、
障害者
間における格差もある。言いかえれば、介護保険全般よりももっと同じ
障害者
の中で格差がある。そこのところには何もメスが入っていない。そして、あげくの果てに、介護保険
制度
の適用ができたとしても、今度は
支援
費の方から介護保険の方にまで注文をつけて
利用
の制限をしていく。それが明らかになったじゃないですか。とんでもない話で、そういうふうな
考え
方で
障害者
福祉というのはやっていけるようなものではないだろうというふうに私は
思い
ます。 これについてやっていますと、この問題だけでも一時間そこら時間を使います。しかし、この問題については、この
委員会
の中において、私の質問に対してでなくても結構です、やはり
厚生労働省
としてきちっとした結論をぜひどこかでお述べいただきたい。そうでない限り、この
法案
を到底納得するわけにいかないということを申し上げておきたいと
思い
ます。 次に、先ほど
大臣
の方からもお話がございました、
障害者
の
所得保障
及び
負担
軽減の問題です。
障害者
に対する
所得保障
については、極めて大事だというふうにおっしゃいました。私は、今回の
制度
が強引に導入されるとするならば、この
障害者
の
所得保障
の
制度
について何らかの具体的な見通し、今ここで、金額を言え、何をふやせということで押し問答して時間をつぶすつもりはありません。しかし、少なくてもこれについては、例えば三年以内にどういうふうな形でこの
所得保障
について手当てをするとか、一年以内にしますとかいうふうな
所得保障
を導入するということについてのお
言葉
がないと、単に
大臣
の良心としての発言だけでは困る。 これは、
法案
として出される以上、
大臣
がこの問題は極めて大事だとお
考え
になる以上、やはりこの
所得保障
について、具体的にはどのような形で、どのような場で
検討
していくのか、そのことについて
お答え
を願いたいと
思い
ます。
尾辻秀久
89
○
尾辻国務大臣
今後、
障害者
の
所得保障
の
あり方
全体を
検討
する中でこの問題は
検討
する必要があると
考え
ております。 再三申し上げておりますように、
障害者
の
皆さん
の
所得保障
を今後どうするかというのは、極めて大きな課題でございますので、何回も同じ申し上げ方になるとも存じますけれ
ども
、今後、
障害者
の
所得保障
の
あり方
全体を
検討
する中での
検討
にさせていただきたいと存じます。
五島正規
90
○五島
委員
それは省内で
検討
されるんでしょうか。それともどこかの
審議
会にかけて議論されるんでしょうか。
塩田幸雄
91
○
塩田
政府参考人
障害者
の
所得保障
というのは
障害
福祉施策の大きな課題でありまして、前回の
委員会
での御質疑でも御答弁申し上げましたが、かつて、
障害者
の
所得保障
を省内に
検討
会を設けて
検討
し、その成果として基礎年金
制度
が導入され、その中で二十前の
障害者
に対しても
障害
基礎年金の
対象
となり、それから、その基礎年金の上に福祉
サービス
、特別な介護ニーズ等に
対応
するための特別
障害者
手当を創設されたり、そういう経緯があるわけでございます。 今度の
自立支援法案
でも、
利用
料の
負担
をいただきますので、
障害者
の
所得保障
、その際には雇用の促進、雇用の確保ということも非常に重要なテーマでありますが、そういった問題も含めて、どういう形で
障害者
の
所得保障
を充実するかについては、まず省内でいろいろな形で勉強を始めたいと
思い
ます。
五島正規
92
○五島
委員
省内で原案をおつくりになるのはいい。それは当然でしょう、
責任
省庁としては。しかしながら、そのことについて省内で
検討
しても、日の目を見ない
検討
というのはざらにあるわけで、それでは困る。だから、省内で
検討
されるにしても、この問題はやはり
審議
会なりそういうところへきちっとかけて議論するということをぜひお約束いただきたい。どうでしょうか。
尾辻秀久
93
○
尾辻国務大臣
今部長からも
お答え
を申し上げておりますけれ
ども
、
所得保障
というふうに言いますときに、私は大きく二つあるのかなというふうに思っております。 一つは、年金のことでありますし、それに手当をどのぐらいつけるかという
部分
であります。それから、あとは、働いていただくという就労の方における所得という、大きく二つあると
思い
ますので、それぞれにおいてどういうことを
考え
るかというのは、また性格も違う
検討
になるというふうには
思い
ます。 したがいまして、それぞれの
検討
をしなきゃならないというふうに思っておりますけれ
ども
、その
検討
の過程で、必要なものはまた
審議
会にもお諮りしながら
検討
をさせていただきたいと存じます。
五島正規
94
○五島
委員
ぜひ、そういう
審議
会での
検討
も含めて、早いことスケジュールをお出しいただきたいと
思い
ます。 そして、いま一つは低
所得者対策
でございます。 そもそも、先ほ
ども
確認しましたように、例えば、この
負担
区分を介護保険に合わすということについて何の根拠があるのか。すなわち、資産形成の機会に恵まれなかった人に対する
負担
の区分を介護保険などに合わさなければいけない根拠は一体どこにあるのかと私は思うわけです。 とりわけこの低
所得者対策
について、これもまた、介護保険
制度
の見直しの中で導入されました社会福祉法人減免の問題が議論されているように聞いております。それはそれで、大いにやっていただければ結構。しかし、
障害者
を取り巻く状況というのは、さまざまなNPOや株式会社やそういうものが参入してきて、今の
障害者
に対する福祉
サービス
を支えています。そういうふうな
サービス
しか提供できないところにお住まいの
障害者
はどうするのか。非常に格差ができます。 例えば、私の出身地は高知でございますが、高知にも社会福祉法人がいろいろな施設をおつくりになって頑張っておられる。非常に個人的には良心的に、場合によってはみずから奉仕者の代理者を気取っておられます。それはそれで主観的には極めて良心的なんだろうと
思い
ます。しかし、では、一体どれだけの社会福祉法人がホームヘルプ
サービス
事業を展開しているかといえば、非常に少ない。 そういうふうな状況を見た場合に、社会福祉法人減免というのは、それも導入していただいて結構なんですが、そういう形でもって低
所得者
の対策をやるとしてもおのずから限界がある。その辺はどのようにお
考え
か、お伺いしたいと
思い
ます。
塩田幸雄
95
○
塩田
政府参考人
新しく
提案
している
制度
では、ほかの社会
保障
制度
とも比較しながら限度額
制度
を設けたということでございます。しかし、きょうの冒頭の御
審議
にありますように、
高齢者
と
障害者
は、育った環境、置かれた経済環境、いろいろな違いもあることも事実でございます。そういった
観点
から、ほかの
制度
にはない個別の減免
制度
も導入するということで、
政府
案として御
提案
をしているところでございます。 いずれにしても、
障害者
は
高齢者
とは違った
意味
でのいろいろな配慮措置が必要であるということは御指摘のとおりでありますので、今後とも、そういった
観点
の
検討
は進めたいと思っております。
五島正規
96
○五島
委員
もう質疑するのが嫌になるような答弁しか返ってこないんですが。 例えば、介護保険の場合に導入されたものを含めて、他の社会
保障
制度
と横並びでないといけないということは全くないわけですよね。そこのところをなぜ執拗にこだわられるのか、私にはわかりません。 こだわられた結果として何が起こるか。例えば、施設入所者で、そしてかなり
重度
であって、
障害
年金あるいはそれに対する
障害者
の
障害
手当等をもらっておられる、そういうふうな
方々
で試算しますと、結局、すべての費用を払った後の手持ち金というのは二万円ぐらいしか残りません。施設に入っている
障害者
すべてがほとんど手持ち金二万円ぐらいしか残らない仕組みをつくっておられるわけです。ところが、
生活
保護でこれをやっていきますと、手持ち金は間違いなく四万円は残ります。二万円の中で、風邪を引いた、おなかを壊した、そうしたときの
医療
費、あるいは衣服費を払っていった場合に足りないのは明らか。
政府
案の水準はそうなんです。そうなれば、間違いなくこうした
人たち
は生保になっていかざるを得ない。 先ほどのお話で財政的な理由も上げておられました。生保に
障害者
がどんどん移っていくということになれば財政
負担
は大きくなるでしょう。そのことを
考え
た場合に、やはり、多くの
障害者
、若いときから
障害者
、資産形成のチャンスも恵まれていない、そういうふうな
人たち
に対して他の福祉政策と同じような一律の水準でもって
負担
を
求め
ていくということは、財政の面からいっても、理念の面からいっても、その普及度からいっても問題があるんじゃないでしょうか。どうお
考え
ですか。
塩田幸雄
97
○
塩田
政府参考人
障害者
福祉の置かれている環境が他の
高齢者
福祉とかとは違った面があることは御指摘のとおりであります。そういった
観点
から、他の
制度
にはない
制度
も
考え
ておりますし、
障害者
の所得の
保障
の充実も、これまでにいろいろな
観点
から充実を図ってきたところでありまして、今回
提案
している
制度
も、単純にほかの
制度
を引っ張ってきたのではなくて、必要なものについては配慮したつもりでございます。 いずれにしても、この
制度
を普及することによって、
地域
で
障害者
が暮らせるような
サービス
の質の向上、
サービス
の量の確保を図るという
観点
から
提案
しております。いろいろな課題を抱えていることもまた十分
承知
しておりますので、今後とも、
関係
者の
意見
を聞きながら、よりよい
制度
にするよう努力したいと
思い
ます。
五島正規
98
○五島
委員
午前中の私の質疑の時間は終わりましたので残りは午後やりますが、申し上げておきますが、配慮したつもりだとおっしゃっても、その配慮が足りないと多くの
障害者
は思っていますし、私
ども
そう思っています。したがって、その配慮の
範囲
をどこまでよりまともなものにしていくかという議論は必要だと
思い
ます。 残念ながら、
修正協議
ということができない状況になりましたので、政党間でこの問題をお話しするという機会が失われたことは非常に残念です。しかし、この問題は、政党間の問題ではなく、直接、国と
障害者
との問題です。したがって、ぜひそこのところについて、より具体的にどのような配慮をより強めるのか、御返事をお願いしたいと
思い
まして、午前中の質疑を終わります。
鴨下一郎
99
○
鴨下委員長
午後一時から
委員会
を再開することとし、この際、休憩いたします。 午後零時八分休憩 ————◇————— 午後一時
開議
鴨下一郎
100
○
鴨下委員長
休憩前に引き続き
会議
を開きます。 質疑を続行いたします。五島正規君。
五島正規
101
○五島
委員
どうも、午前中の私のお願いに対しては余りいい返事を一つももらえていないようですが、午後からはもう少し積極的に
答え
てもらいたいと
思い
ます。 それでは、次の質問に入りますが、
重度
の
全身性障害者
に対する施策についてであります。 ALSとか進行性の筋ジストロフィー、筋ジスとか、あるいは頸椎損傷の
重度
の
人たち
、そうした全身性の
障害
をお持ちの
方々
が、本当に掛け値なくこの
支援費制度
のもとにおいて
生活
しておられる、そういう
方々
がおられます。 私もALSの
方々
とは長いおつき合いをしておりまして、実態として見てまいっています。ALSも、発症の当初の段階ではそうでもありませんが、やはり最後の段階で今でも、気管切開をすることについて、家族に対する
負担
とかそういうことを
考え
てちゅうちょするという話も聞きます。しかし一方で、ALSで気管切開された人であっても、今日、多くのヘルパーさん
たち
が大変技術を獲得されて、十分コミュニケーションしながら社会
生活
ができている。そのためには非常に数多くの支えが必要であることは言うまでもありません。 そういう
方々
が社会に参加し、在宅で多くの人々の手伝いを得ながら幅広く活動されている。こういう社会というのは、本当に、まさに掛け値なくまともな社会、ゆとりを感じられる社会だろうと
思い
ます。そういう
意味
で、この
重度
の
全身性障害者
に対する長時間
サービス
の
保障
ということは何が何でも必要であるというふうに
思い
ます。 この
重度
の
障害者
に対する
サービス
にかかわる
義務的経費
の
負担
の
あり方
及び
サービス水準
をどういうふうにお
考え
なのか、お伺いしたいと
思い
ます。
尾辻秀久
102
○
尾辻国務大臣
このたびの
障害者自立支援法
の改正におきましては、福祉
サービス
の
支援
の必要度を総合的にあらわす
障害程度区分
を設定いたしますとともに、特に
重度
の
障害者
につきましては、
重度障害者
等包括
支援
あるいは
重度訪問介護
といった新たな給付類型を創設することといたしております。 一方、現在
地域
で暮らしておられる
重度
の
障害者
の
サービス
利用
の状況は、
地域
によって、また家族がおられるかどうかなどによって、大きなばらつきがあると認識をいたしておるところでございます。このために、
重度障害者
等包括
支援
や
重度訪問介護
などの国庫
負担
基準や報酬水準の
あり方
につきましては、今後、全国の
サービス
の
利用
の実態や、
障害程度区分
の試行事業をいたしますので、その結果等を踏まえまして適切な水準となるように
検討
してまいります。
五島正規
103
○五島
委員
それは当然
検討
をしていただかなければいけないわけですが、例えばALSで
重度
の方、一千万を超すような
支援
費を使っているという話が聞こえてくるときがあります。しかし、そういう一千万を超す
支援
費を使っている
人たち
も、その人が本当に生きていくためには、この
支援費制度
で担保されている時間よりより多くのボランティアによって、まさに無償の労働供与によってその方が
生活
できている、その実態を忘れてはならないと
思い
ます。 そして、このことが、今
大臣
のお話にもありましたように、家族という
言葉
が出てまいりました。これは
障害者
施策全般に言えることですが、もう一度介護保険のときの議論に戻って
考え
ていただきたい。家族介護に依存するという高齢期の
障害者
に対する
制度
というのは、これはだめなんだ、そこのところはやはり社会化していかないといけないという形で介護保険をつくりました。 ところが、
障害者
施策については、依然としてそこから脱却できていない。現実に、高齢期になった両親、もう
障害者
を介護できない、そうした場合はどうするのか。御兄弟にその介護をすべて押しつけるということができるはずもない。御両親のお年が六十五、七十となって、介護保険の適用に御両親がなるときになれば、もう体力もない、そういううめき声がたくさんあります。 まさに、
障害者
の介護の問題というのは、社会化しなければいけない一番大きな問題。午前中も話しましたが、しかしながら、こうした中で、身障の一級や二級の
人たち
は、この
支援費制度
を使ったりあるいは介護保険
制度
を使ったりする比率が非常に少ない。これはやはり
障害者
の問題を家族の中に閉じ込めている一つの証拠ではないかというふうに
思い
ます。 もう一度お伺いします。せっかく、
大臣
、そこまでおっしゃっていただきました。少なくてもこの
重度
の
全身性障害者
に対する長時間
サービス
については、
現状水準
は維持してもらえるのでしょうか。 この
委員会
で、この
委員会
ではありませんが、過去において、まだ厚生省と労働省があったとき、厚生
委員会
において私はALSの問題を取り上げたことがあります。直接的な経過は、当時、某国立病院において労使交渉の場において、介護に非常に手がかかるということでALSの患者を入所させるなという要求が組合から出され、そして、それを院長が受けた、締め出したというふうな事件がありました。また、ALSの患者さんに気管切開が必要だったときに、医者が家族に対して、気管切開すれば大変なことになりますよという形で気管切開をしないように勧めたという事件もありました。それほど大昔の話ではありません。私
自身
、この
委員会
においてその問題を取り上げたことがあります。つい最近のことです。 そういう状況の中で、ようやくALSの患者さん
たち
が多くの
人たち
の支えによって社会
生活
ができるようになってきた、技術の進歩によって。ALSの患者さんが、まだ治療によって治癒していくという医学的な技術は開発されておりませんが、さまざまな技術を使うことによって従来以上にコミュニケーションもとれるという状況も生まれてきています。 そういうふうな中において、ここで
重度障害者
の
サービス
を、この現状の水準、半分近くはボランティアに依存せざるを得ないけれ
ども
、それでも
支援費制度
のもとにおいて過去よりはましになったという
方々
に対するこの
サービス
の
保障
、この
サービス
の水準を維持してもらえますね。もう一度お伺いします。
尾辻秀久
104
○
尾辻国務大臣
先ほ
ども
お答え
申し上げましたけれ
ども
、
重度
の
障害者
につきましては、
重度障害者
等包括
支援
、
重度訪問介護
といった新たな給付類型を創設したという私
ども
の意気込みといいますか、ぜひ御理解いただきたいというふうに存じます。 そして、今後、全国の
サービス
利用
の実態でありますとか、申し上げておりますように、
障害程度区分
の試行事業もいたしますので、そうした結果を踏まえまして、適切な水準になるようにしてまいります。
五島正規
105
○五島
委員
そうしたことをおやりになる中において忘れていただいては困るのは、まだ現状において
支援費制度
を
利用
されている方が、必要とされる
方々
からいうと圧倒的に少ない
人たち
である。 現在の予算の
施行
額の
範囲
の中で程度区分を分け、その総額をいかにして抑制するかという形でこの給付水準を決めていくとすれば、当然のことですが、
重度
の人に対しては大変厳しい結果になっていく。そういうことにならないというふうにぜひお願いをしておきたい。ぜひ、そのようなことを、本当に厚生省が、たとえ財務省と大げんかしようと、そこのところを守っていく、それが
厚生労働省
の役割であるということをぜひ肝に銘じていただきたいというふうに
思い
ます。 もう一問大きな問題がありますので、非常に不本意ですが、次の問題に移っていきたいと
思い
ます。 それは、育成
医療
、更生
医療
の問題でございます。後ほど、同僚の水島
議員
が例の三十二条
関係
の問題についてはおやりになると
思い
ます。私は、主として育成
医療
に限定した形で少し御
意見
をお伺いしたいと
思い
ます。
自立支援医療
というふうに名称を変えられたわけですが、この小児の育成
医療
の
対象
者に対する
自己負担
の増加というのは目に余ります。現状からいえば、約十倍ぐらいになってしまう。なぜ、ここまで子供をいじめないといけないのか。しかも、お話としては、これまた
制度
の一律的
実施
というお話です。 ところが、
医療
保険を見てごらんなさい。
医療
保険の給付ですら、現役世代と
高齢者
と子供と、
自己負担
率は違うんです。まして、
重度
の心臓病を持っている子供
たち
、一生の間に三回、四回と心臓の手術をしなければいけない、そういうふうな子供
たち
に対して、なぜ、このような一律の
制度
の運用、一割の
自己負担
、そんなばかげたことをやらなければいけないのか、理由が全くわかりません。 後ほどの水島
議員
の資料の中からも、御
意見
の中からも出てくると
思い
ますが、育成
医療
を全部なくしてみたところで、今回の
制度
に変えてみたところで、公費の
負担
は何ぼ減るんですか。半期で六億円、丸一年間
考え
て十二億円です。何ですか、この間の、我々も非常に
意見
を言いましたが、厚生年金の施設を売り払うための独法、三百億円わけのわからぬ金を出すわけでしょう。 なぜ、
厚生労働省
は、一律だ一律だといって、子供のものまで、そこまでやっていかないといけないのか。私には、それはどう
考え
ても、百歩も千歩も譲ってもこの点だけは譲れない、理解できません。なぜ、そういう
重度
の身体
障害
を持った、内部
障害
を持った子供の育成
医療
をそういうふうにしなければいけないのか。 私も、僻地
医療
を担当していたとき、この育成
医療
のおかげで二人の子供を助けることができました。それから
考え
ても、なぜこのような
制度
を入れてくるのか。私は、別に
塩田
さんが血も涙もない人とは
思い
ません、
大臣
も、そういう
人たち
とは
思い
ません。しかし、余りにも行政として横並び意識にとらわれてやっているのではないか。 また、更生
医療
の中においても、約四十万ぐらいが心臓病、その大半がペースメーカーです。あるいは、大腸がんの術後の人工肛門あるいは人工膀胱、そういうふうなものを持っている人に対しても更生
医療
の
対象
になっています。 一方、
医療
保険
制度
の側からいいますと、ペースメーカーやそうしたものについては随分変わりました。ペースメーカーも、
医療
機器として
医療
保険の適用
対象
として扱われるようになりました。したがって、高額療養費の
範囲
の中でそれは既に処理できます。人工肛門あるいは人工膀胱に対する器材、これを
医療
保険
制度
の中において
医療
器材として扱っていけば、大きな問題は解決されてしまう。 しかし、子供の心臓病で手術をしなければいけない人は、年齢で育成
医療
と更生
医療
と切っているけれ
ども
、二十を超えても引き続き手術をしないといけないような
人たち
が多いんです。そういう
人たち
をどうするのか。そういう疾患の特殊性、深刻性、そういうことを何ら配慮していない。おかしいじゃないですか。 その点について、
大臣
の御
意見
をお伺いしたいと
思い
ます。
尾辻秀久
106
○
尾辻国務大臣
育成
医療
も含めました
障害
に係る
公費負担医療
制度
につきましては、いずれも
障害
のある方のための
制度
でございますけれ
ども
、公平の
観点
から、
制度
により異なっている
負担
の仕組みの共通化が必要であります。 そして、それとともに、
制度
の安定性、持続可能性を確保するというもう一つの
観点
がございます。この
観点
から、費用を皆で支え合う仕組みにすることが必要であるとまず基本的に
考え
ておるところでございます。 そうした中で、今御
審議
いただいております改正案ですけれ
ども
、これもこうした
考え
方に基づきまして、
障害
に係る
公費負担医療
制度
における
利用者負担
の仕組み等につきましては、横断的に見直しを行いますとともに、
障害
に係る福祉から
医療
にわたる仕組みを可能な限り一元化し、全体としてその充実を図ろうとするものでございまして、そうした中で、今回の育成
医療
の見直しもお願いしておるものでございます。
五島正規
107
○五島
委員
なぜ、そういうふうな、私の言っていることについて
大臣
自身
の御
意見
をおっしゃっていただけないんですか。どう
考え
たって、何が公平の
観点
なんですか。 心臓
障害
を持って生まれてきた子供、
重度
の心臓の
障害
を持っている子供に対して、手術をしなければいけない。その御両親、まだ若いです。御夫婦が働いておられるといっても、そういう
重度
の心疾患や、あるいは
重度
の水頭症といったような
障害
を持っている子供
たち
を抱えて、共働きができるわけではない。資産も余りありません。なぜ、
負担
を一緒にすることが公平なんですか。 では、それが公平であるならば、なぜ
医療
保険では
自己負担
、給付率が違うんですか。全くそれは公平ということの理屈が成り立たない。私は、そこのところは何としても、
大臣
、たかだか十二億ですよ、国庫の
負担
。これまでは、
医療
保険で払う
自己負担
の、その五%を
負担
をお願いしてきた。今回はそうではない、
医療
費総額の一割を
負担
してもらう。とんでもない大きな
負担
増なんです。これはどう
考え
ても、
大臣
、
障害
を持っている子供のことはもう知らぬと言っているんだと。 私は、余り物事を某同僚
議員
ほど悪く
考え
ない方なんですよ。しかし、これだけは私は許せない。(発言する者あり)いや、本当にそうですよ。それは、
与党
の
方々
も、こんなでたらめなことをやることが平等だというふうなことで、それは
障害者政策
はできませんよ。 質疑時間は終わりましたけれ
ども
、ぜひもう一度、
大臣
、何とか、ここはおれの
責任
で何とかしようという一言をお願いして、私の質疑を終わりたいと
思い
ます。
尾辻秀久
108
○
尾辻国務大臣
再三申し上げておりますけれ
ども
、
障害
児にとって必要な
医療
が確保されるように留意しなければいけない、これは私
ども
は基本的に
考え
ているところでございます。 したがいまして、そのことは申し上げたいと存じますけれ
ども
、先ほど私が
答え
ましたことについて申し上げますと、やはり社会
保障
制度
全体の整合性をぜひ持たせなければならない、そうした中で私
ども
もこうしたお願いをいたしておるわけでございまして、そこのところは御理解いただきたいと存じます。
五島正規
109
○五島
委員
ではこれで終わりますが、
与党
の
議員
の
皆さん
にもお願いしておきます。 残念ながら、野党の
修正協議
はできなくなりました。しかし、こうした問題について、これを変えていくというのは議会の
責任
だと
思い
ます。そういう
意味
において、
与党
の中においても、ぜひ、よし、この
部分
は
修正
するという決意でもってこの
法案
の
審議
に当たっていただきたい、そのことをお願いして、私の質疑を終わります。
鴨下一郎
110
○
鴨下委員長
次に、水島広子君。
水島広子
111
○水島
委員
民主党
の水島広子でございます。 私も、五島
委員
に引き続きまして、
自立支援医療
について質問をさせていただきたいと
思い
ます。 今、五島
委員
の質問に対する
尾辻
大臣
の答弁を伺っておりまして、ますます納得できませんし、全く
尾辻
大臣
が御答弁されているとは信じられないような光景でございましたので、ぜひ、ここからは、いつもの
尾辻
大臣
らしい、人情味あふれる、心温まる御答弁をいただけますようにお願いいたします。 このたび、今回の
自立
支援
法によりまして、三つの
公費負担医療
制度
の支給認定手続、
利用者負担
、指定
医療
機関制が一本化されます。ただし、
実施
主体は
精神
と育成が都道府県で、更生は市町村と現行のままでございまして、一本化、一本化と大げさにおっしゃる割には、結局一本化されるのは
利用者負担
の仕組みで、育成と更生は応能
負担
から応益
負担
、一割
定率負担
へ、
精神
は五%の
定率負担
から同じく一割の
定率負担
となる、まさに一本化されるのはそこの
部分
だけだということだと
思い
ます。 この三つの公費
負担
制度
は、それぞれに特徴があるものでございますし、また、育成
医療
は
対象
が子供であるという特色を持っておりますし、また、例えば
精神
は通院のみというふうに、カバーする
範囲
も異なっているものでございます。これらを一本化することが公平とおっしゃるわけですけれ
ども
、どうしてもそれが納得できないわけでございます。 まず、育成
医療
について質問させていただきたいと
思い
ますけれ
ども
、そもそも育成
医療
が児童福祉法に規定された趣旨は何であるかということをぜひ
思い
出していただきたいと
思い
ます。 児童福祉法は、総則におきまして、第一条「すべて国民は、児童が心身ともに健やかに生まれ、且つ、育成されるよう努めなければならない。」第二条「国及び地方公共団体は、児童の
保護者
とともに、児童を心身ともに健やかに育成する
責任
を負う。」第三条「前二条に規定するところは、児童の福祉を
保障
するための原理であり、この原理は、すべて児童に関する法令の
施行
にあたつて、常に尊重されなければならない。」と記しております。その中で育成
医療
は位置づけられてきたわけです。 この趣旨からいえば、重症化すればするほど
負担
がふえる応益
負担
という
考え
方はとても出てこないのではないかと
思い
ますけれ
ども
、いかがでしょうか。今回、
自立支援医療
にこの育成
医療
が組み込まれることで、従来、児童福祉法に規定された育成
医療
の
意味
は変わるというふうに理解していいんでしょうか。
大臣
の御答弁をお願いします。
尾辻秀久
112
○
尾辻国務大臣
障害
児の健全な育成を図るという
観点
から、
障害
の軽減等に必要な
医療
を
対象
に育成
医療
を
実施
しておるところでございます。その趣旨につきましては、今回の改正においても当然変わらないものでございます。 ただ、
制度
の具体的な
あり方
におきましては、育成
医療
も含めた
障害
に係る
公費負担医療
制度
につきましては、いずれも
障害
のある方のための
制度
ではございますけれ
ども
、申し上げておりますように、諸
制度
をどうしても合わすといいますか、整合性を持たすという
観点
がございますので、
制度
によって異なっておる
負担
の仕組みの共通化が必要であるというふうに
考え
ておりますし、
制度
の安定性、持続可能性を確保するということも必要でございます。したがいまして、今、私
ども
は、費用をみんなで支え合う仕組みにすることが必要ですからとお願いを申し上げているところでございます。 ただ、そうした見直しの中にありましても、所得の低い方などには
負担
の上限額を設けるなどの配慮をいたしておりますし、
障害
児にとって必要な
医療
が確保されるように留意しながら、
制度
の運営を図ってまいりたいと
考え
ております。
水島広子
113
○水島
委員
今、
大臣
の御答弁、後半の
部分
はもうここのところおなじみの御答弁ですので、そちらは余り聞いておりませんでしたけれ
ども
、少なくとも児童福祉法に規定されたこの
医療
の
意味
づけが変わるわけではないということは、前半で御答弁くださったわけでございますが、今回、
厚生労働省
から提出されております資料を見ましても、例えば激変緩和措置、これについても、若い世帯という
言葉
で親に配慮する
言葉
はあっても、子供そのものの権利に言及した表現は一つも見つからないわけでございます。 子
ども
の権利条約からも児童福祉法からも、子供が適切な
医療
を受けて育つ権利を
政府
は
保障
すべきだと
思い
ますし、今、
大臣
はそのような趣旨で
お答え
くださったんだと
思い
ますけれ
ども
、そもそもこの
制度
を、若い世帯への配慮というのはもちろん二次的なものです、そこで育つ子供、その子供がどのような環境に置かれるかというような
考え
から組み立てるべきだと思っておりますけれ
ども
、この
考え
については
大臣
は同意してくださいますでしょうか。
尾辻秀久
114
○
尾辻国務大臣
子供を中心に
考え
るべきだというのはそのとおりだというふうに私も
考え
ます。 ただ、一方、どうしても
負担
なさるのは
保護者
の
方々
の方でありますから、そのこともまた同時に、
負担
ということを言いますときには、その
方々
のことといいますか事情というのも当然考慮しなければならない、こういうふうに
考え
るところでございます。
水島広子
115
○水島
委員
子供中心に
考え
るのが当たり前で、その環境として、育ててくださっている親御さんのことを
考え
る必要がある、その
考え
方でしたら私も全く同じでございますので、ここからもぜひそういう趣旨で御答弁をいただきたいと思うわけです。
大臣
は、例えば先天性の心臓疾患を持ったような子供の
医療
にどれだけのお金がかかるか御存じでいらっしゃいますでしょうか。現在の育成
医療
は所得に応じた応能
負担
になっていますので、所得に応じて四千六百円から二万九千三百四十円の
自己負担
となっております。平均
負担
額は御存じだと
思い
ますが、五千六百円ということです。 きょう、お手元に資料を配らせていただいていまして、資料二の方をごらんいただきたいんですけれ
ども
、これが
自立支援医療
ということになるとどうなるかということを、全国心臓病の子
ども
を守る会の方
たち
が試算をしてくださっております。これを見ますと、二十四倍から三・八倍の
負担
増ということが右側に出てくるわけでございます。この紙、多分
大臣
もごらんになっているか報告を受けられているかとは
思い
ますけれ
ども
、この試算、この推計を
大臣
はまずどのように受けとめていらっしゃるでしょうか。
尾辻秀久
116
○
尾辻国務大臣
お示しいただいております育成
医療
に関する
医療
費用負担
モデルというものは、私も見て
承知
をいたしております。 それぞれ百五十万それから三百万という大変高額な
医療
でございますので、それに対する
負担
というのも所得のある方に対しては大きくなるということは認めざるを得ないところでございます。
水島広子
117
○水島
委員
負担
が大きくなるということは認めざるを得ないという御答弁で、まさにそういうことであるわけですけれ
ども
、激変緩和措置、経過措置などと幾ら言ってみても、基本的にこれだけの
負担
増になるということはお認めいただけると
思い
ます。 これを、どうしても
医療
費という話になりますので、ついついこの
医療
費の額面だけで議論してしまいがちなんですけれ
ども
、心臓病のお子さんの
医療
ということに関しますと、これは
医療
費だけの問題ではございません。必ずしも手術ができる病院が身近にないという場合も多く、そしてまた日本では、親のための宿泊施設を病院内に持つということが一般的ではございませんので、親は付き添いのために宿泊をしなければいけない、その宿泊代もかかってまいります。子供に付き添うことで、実際上収入を得ることができなくなり、そこにさらに宿泊の費用もかかってくるということで、今でも実に重い
負担
がかかっているわけです。 今、育成
医療
の額だけで見ればこの程度かというふうに思われるかもしれませんけれ
ども
、お子さんの
医療
の場合、特に、手術を受けるために一定期間入院しなければいけないというような場合には、プラスアルファの支出が非常に大きくなるわけです。 今でさえ、それだけ重い
負担
がかかっているところに、それでも今までは育成
医療
があるから何とかやってきたというぎりぎりの現実のところに、今度はさらに
医療
費の
負担
増まで押しつけようとしているという自覚を
大臣
は本当にお持ちなんでしょうか。本当に率直に
お答え
いただきたいんですけれ
ども
、
医療
費以外の
負担
がどのようにその家庭にかかっているかということをお
考え
になってこの
制度
を、最終的に結論をお出しになったんでしょうか。
尾辻秀久
118
○
尾辻国務大臣
単に
医療
費だけじゃなくて、今おっしゃったようなその他の経費がかかるということは、当然
承知
をいたしております。 そういうことも配慮しながら、今後のこと、また各
制度
を私
ども
は
検討
しなきゃならぬとは思っておりますけれ
ども
、まずお尋ねのことでいいますと、私
ども
もその他の費用がかかることは
承知
をいたしております。
水島広子
119
○水島
委員
それでは、例えば、こんな
制度
を導入するのであれば、すべての病院に親が無料で泊まれるような宿泊施設を整備するとか、いろいろそれ以外の面での配慮が必要になってくると思うんですけれ
ども
、そこまで
思い
切ってなさるおつもりなんでしょうか。
尾辻秀久
120
○
尾辻国務大臣
今
たち
どころにそうした
制度
をつくれと言われましても、これは率直に申し上げて大変難しい面があると存じます。
水島広子
121
○水島
委員
今
大臣
が
たち
どころに言われても難しいとおっしゃったその感情を、今心臓病のお子さんを持つ家族の方
たち
はお持ちであるわけです。
たち
どころにこんなことを言われても本当に難しいということを今
皆さん
お感じになっているわけですから、ぜひそれは
大臣
、人間として共感をしていただきたいと思うわけでございます。 そして、ぜひ、この
医療
費の
部分
だけをいじるような仕組みを唐突に出してくる前に、それ以外の
生活
がどうなっているかというところを、それ以外の経費がどうかかっているかということを一度きれいにおさらいをしていただいて、そこにどういう手当てができるかということもセットにして持ってきていただかないと、これでは余りにも現実無視と言わざるを得ないと
思い
ます。 児童
虐待
が増加をしている、その中でネグレクトもふえているということは、
厚生労働省
もよく
承知
されていると
思い
ますし、それも当然
大臣
の所管事項であるわけです。こんな
制度
をつくってしまって、親が、自分
自身
は望まないとしても、
医療
費の
自己負担
に耐えられずに、結果として
医療
ネグレクトが起こってしまう可能性すらあると私は
思い
ますけれ
ども
、
大臣
はそんなことを全くお
考え
になりませんでしたでしょうか。 また、
虐待
というのは、経済的、
精神
的な安定と大きな
関係
があることが知られておりまして、経済的に不安定になったり、あるいは
精神
的に不安定になったりしたところに
虐待
が起こってくるということは、そろそろコンセンサスになってきていると
思い
ますけれ
ども
、こんな形で親を追い詰めることによって、その安定を脅かすことになるのではないかということを私は大変心配しているわけでございます。 既に、現在、育成
医療
の
対象
になっている方
たち
は不安におびえておられます。このように、今一生懸命子育てをしている親
たち
を不安に陥れるというようなことそのものが私は間違っていると
思い
ます。 そもそも厚労省は、
虐待
につながるような環境をつくらないように全力を挙げてくださっているものと私は思っておりましたけれ
ども
、そうではなかったんでしょうか。何でこんなわざわざみずから好んで不安定要因をつくり出そうとされているんでしょうか。ちょっと今の関連で、ぜひ
大臣
から
お答え
いただきたいと
思い
ます。
尾辻秀久
122
○
尾辻国務大臣
まず、子供を
虐待
から守るということは、これは当然重要な課題でございます。 子供が心身ともに健やかに成長できるように私
ども
も全力を尽くしておるところでございます。そのことでさらに申し上げますと、児童福祉法の改正な
ども
いたしまして、児童
虐待
の
防止
、それから早期発見、早期
対応
などにも取り組んできたところでございます。 その一方でございますけれ
ども
、子供の健全育成を
目的
とした育成
医療
など
障害者
に係る
公費負担医療
制度
につきましては、
制度
を維持し、それから、これは今回の見直しの中で何回も申し上げておることではありますが、限られた財源の中で必要な
医療
を確保する、極めて限られた財源の中でという、このことをぜひ御理解いただきたいと思うんですけれ
ども
、申し上げますと、そうした中で必要な
医療
を確保するためということで、見直しを行うこととしておるわけでございます。そうした中で、また育成
医療
につきましては、先ほど来お話出ておりますけれ
ども
、若い御両親が多いことに着目をいたしまして、できるだけ御
負担
にならないようにということで経過措置を設けるなど配慮もいたしてきたところでございます。 今後とも、私
ども
は、
障害
児に係る
制度
を維持しながら、この維持するというのも一番大事なことでございますから、そのことをまず
考え
て、そして、児童の健全育成の
観点
から各般の施策に取り組んでまいりたいと
考え
ております。
水島広子
123
○水島
委員
制度
そのものは維持されて生き残っても、それが、本来その
制度
が恩恵を与えるべき子供
たち
や御家族がそこまでついていけなくなってしまう、そんなことになったら、そもそも
制度
としての
意味
が全くないわけでございますので、先ほど私が、まず子供を中心に、そして子供の環境をつくっている一番の中心である親御さんのことをよく
考え
てほしいというふうに申し上げたのは、まさにそういう点でございます。 ぜひ、
医療
費以外の
負担
のことも含めて、これは、今この場で
大臣
は、ちょっと今まで配慮が足りなかったので
考え
直しますとおっしゃれないお立場におられるのかもしれないですけれ
ども
、そこの
部分
は本当に早急に、
医療
費以外の状況がどうなっているのかということを、ぜひ
当事者
の方
たち
からよくヒアリングをしていただいて、今育成
医療
が仮に存続するとしても、それ以外の
負担
というのは本当に無視できないことでございますので、ぜひそういう形からまたここできちんと御答弁いただけるような体制をつくっていただきたいというふうにお願いをしたいと
思い
ます。 そして、今の
大臣
の御答弁を伺っておりましても、結局のところは、最初に財政論ありきで、そのしわ寄せを子供に押しつけているということになると
思い
ます。 きょう資料の一として配らせていただいておりますが、これは
厚生労働省
からいただいた資料でございます。先ほど五島
委員
の方からも御紹介いただきましたけれ
ども
、この改正の影響、育成
医療
の方で見ますと六億円、何か一カ月ずれて
医療
費の請求があるということですので、これが五カ月分ということになるそうで、これから一年分を計算いたしますと、年間の国庫ベースの財政効果というのはたかだか十四億円というような計算になると
思い
ます。 政官業の癒着の中でむだに使われている税金や年金保険料のむだ遣いの額を日ごろ聞いている立場としては、十四億円のためにこれほど非情なことを強行するのではなく、ほかのむだをなくして十四億円くらい捻出すべきだと
考え
ます。税金のむだ遣いのツケを子供
たち
の
医療
に回すのが日本ですと、
大臣
は外国に行って胸を張っておっしゃれるでしょうか。本当に
考え
直していただきたいと思っています。本当にこれは大人として恥ずかしいことだと
思い
ます。 また、今、
政府
は少子化対策、次世代育成
支援
ということを声高に叫んで、国を挙げての取り組みをすると表明しているわけですけれ
ども
、その一方で子供の
医療
について事実上
負担
を大きくするというのは、まさに言行不一致ということになると
思い
ます。 例えば心臓病をお持ちのお子さんを持たれた親御さんは本当に頑張っておられます。その頑張りというのはもう頭が下がる
思い
でございます。また、病気をお持ちのお子さん
自身
も、遊びたい盛りに、いろいろな楽しみをあきらめて、厳しい治療に耐えて、本当に頑張っておられます。そういう
人たち
を応援するのが本当の次世代育成
支援
なんじゃないんでしょうか。 育成
医療
の現実を知ってもらった上で世論調査をすれば、育成
医療
の存続を圧倒的多数の方が支持されると私は信じています。今この
委員会
室にいらっしゃる
与党
の
議員
の皆様も、いかがですか、この十四億円を浮かすために育成
医療
を切るべきだということを自信を持っておっしゃれる方、もしいらっしゃったら、本当に手を挙げていただきたいと
思い
ますけれ
ども
、これは人間として私は挙げられないと思うんです。それほど、私は、これは日本の政治の中でのモラルの最後のとりでではないかなと今回思っているところでございます。
民主党
はもちろん次世代育成を本気で取り組んでいきたいと
考え
ていますし、私も今その政策
責任
者として次世代育成
支援
の政策集をまとめさせていただいておりますけれ
ども
、これは
民主党
だけではなく、
与党
である自民党の
皆さん
も公明党の
皆さん
も、本気で次世代育成
支援
をしていきたいという気持ちは同じだと
思い
ます。そうであるなら、
法案
を
修正
して、育成
医療
をとにかくこの
自立支援医療
の
対象
から外すということに同意をしていただけると
思い
ますけれ
ども
、
大臣
も、もちろん、
政府
の一員の
大臣
でおありになると同時に
与党
の政治家でもいらっしゃるわけですが、政治の意思として、この点はきちんと決断をしていただかなければいけないと
思い
ますけれ
ども
、いかがでしょうか。
尾辻秀久
124
○
尾辻国務大臣
今、
厚生労働省
をお預かりする者としてこの
法案
をお出ししておるわけでございますので、その立場では、この
法案
をどうぞ成立させてください、こう申し上げる立場でございます。 ただ、今、
与党
の立場というお話がございましたが、これはまた
国会
の御論議でございますし、当然私
ども
は
国会
の御意思というのは体さなきゃならない立場でございますから、御論議をいただきますように、そしてまたそれに対しましては私
ども
も、きょうの冒頭の
お答え
でも申し上げましたけれ
ども
、誠実に
お答え
申し上げたいと存じます。
水島広子
125
○水島
委員
まだ
大臣
はおこたえくださらないわけですけれ
ども
、ただ、これは、
委員長
も含めて、この
審議
をお聞きになっていた政治家の皆様、
国会
議員
であれば、これは何とかしなければいけないんじゃないかなとそろそろ思われているのではないかと
思い
ますので、私は、そういう
皆さん
の良心を信じたいと
思い
ますし、ぜひこれはきちんと
修正
をしていただいて、育成
医療
もこの
自立支援医療
の中に一本化することが、それが公平なんだというふうに思う国民はほとんどいないと
思い
ます。 私も大変気になりましたので、ここのところお会いする方すべてに、大人と子供の
負担
率を一緒にするということが公平ですか、そうじゃないと不公平だから納得できませんかと、いろいろな方に、これはいろいろな立場の方に聞いてまいりましたけれ
ども
、何をばかなことを聞いている、そんな、子供の
医療
を特別枠に入れてちゃんと確保していくなんというのは当たり前のことじゃないかと、普通の常識のある方なら
皆さん
そう
お答え
になりますので、これは世論調査していただいても私
たち
は勝つ自信がございますので、ぜひいろいろな方の
意見
を聞いていただきたい。 そして、わずかと言うとちょっと変ですけれ
ども
、十四億円の話でございますので、これは、皆様に少し汗をかいていただいて、何とかむだ遣いの中から確保していただきたいと思う金額でございますので、そこは本当に重ねてお願い申し上げたいと
思い
ます。 育成
医療
については何とかしていただけるだろうという、その期待を持ちながら
精神
医療
について次に質問を続けさせていただきたいと
思い
ますけれ
ども
、前回質問をさせていただきまして、その中でかなり答弁が錯綜したようなところもございましたので、きょうは、まずそこの整理から入らせていただきたいと
思い
ます。 まず、
重度
かつ
継続
ということについてなんですけれ
ども
、前回の質問の後に
厚生労働省
に資料での説明を
求め
ましたところ、
重度
かつ
継続
とは、
医療
上の必要性から、
継続
的に相当額の
医療
費
負担
が発生する方について、一定の
負担
能力がある場合も月の
負担
額に上限を設けるものであるということでありましたけれ
ども
、まず、これでよろしいでしょうか。 〔
委員長
退席、大村
委員長
代理着席〕
塩田幸雄
126
○
塩田
政府参考人
重度
かつ
継続
の
意味
については御指摘のとおりでありまして、
重度
かつ
継続
とは、
医療
上の必要性から、
継続
的に相当額の
医療
費
負担
が発生する方について、一定の
負担
能力がある場合にも月の
負担
額に上限を設ける措置でございます。
水島広子
127
○水島
委員
そのような位置づけについて、実は私、前回質問をするまでにははっきりとした説明は聞いたことがないような気がしておりますけれ
ども
、ですから、
重度
かつ
継続
というのが、症状の重さというのを
意味
する
重度
という
言葉
なのかなと私は思って前回の質問をさせていただいたところでございました。 そのように書面でも確認をさせていただきましたので続けさせていただきますが、つまり、疾患そのものの特性や症状がどうなっているのか、治療の必要性等というような医学的な
観点
というよりは、
医療
費
負担
という
負担
の
観点
から設けようとしている仕組みであるというふうに理解してよろしいんでしょうか。
塩田幸雄
128
○
塩田
政府参考人
重度
かつ
継続
とは、
継続
的に相当額の
医療
費
負担
が発生する方に関する配慮措置でございます。 御指摘の点につきましては、この
重度
かつ
継続
の
対象
範囲
などを御論議していただくために、去る六月二十二日に開催しました
自立支援医療
制度
運営調査
検討
会におきましても同様の御
意見
をいただいたところでございます。
医療
費
負担
への配慮という
制度
の趣旨が伝わるような名称等について
検討
を行うこととしております。
水島広子
129
○水島
委員
前回の整理ということでもう一つ伺いたいんですけれ
ども
、通院
医療
の認定の有効期間のことでございます。 この認定の有効期間については、現行は二年に一回再認定をするかどうかの手続がございましたけれ
ども
、今回の見直しは、この期間を一年に短縮して、
公費負担医療
が必要かどうかよりきめ細かく確認していくという趣旨であると理解してよろしいんでしょうか。
塩田幸雄
130
○
塩田
政府参考人
有効期間、再認定の趣旨については
議員
御指摘のとおりでございます。 一年ごとに更新手続を行うことにより、
公費負担医療
の必要性をよりきめ細かく確認できるとともに、より適切な
制度
運営に資することなどを
目的
としているところでございます。
水島広子
131
○水島
委員
ちまたに流れているうわさの中には、
重度
かつ
継続
以外の人はだれでも一年だけで打ち切られると言っているような人もいるようですけれ
ども
、それは全くの誤解であって、再認定も、あくまでも症状と
医療
の必要性に基づき行われるものであり、必ずしも一年で打ち切られるというものではないということでよろしいんでしょうか。
塩田幸雄
132
○
塩田
政府参考人
自立支援医療
の
対象
とするか否かは、症状、状態等に基づき判断するべきものであります。再認定の際も同様と
考え
ており、
重度
かつ
継続
に該当しない方が一律に再認定の
対象
外になるというものではございません。
重度
かつ
継続
の
対象
範囲
を御議論いただくために設置しました
検討
会におきましては、再認定の
対象
などについても御議論いただくこととしており、今後、御指摘のような点も含めて、いかなる症状、状態のときに再認定
対象
としない取り扱いとするのか
検討
することとしております。
水島広子
133
○水島
委員
先ほど部長が触れられました
自立支援医療
制度
運営調査
検討
会、専門家による
会議
でございますけれ
ども
、この第一回の
会議
が六月二十二日に開かれましたので、私も傍聴に行かせていただきました。 この
検討
会の中では、
重度
かつ
継続
の
範囲
を
考え
るということが、部長がおっしゃったように最優先課題とされているわけでございますけれ
ども
、この
重度
かつ
継続
について、疾患名で限定することへの疑問がこの
会議
の中でも続々と表明をされておりまして、率直に言ってしまえば、これを疾患名で限定することが正しい、この三疾患で納得しているという方は、私が傍聴した
範囲
では一人もいらっしゃらなかったというのが現状でございまして、私
たち
が問題だと思ってきたことが専門家の方
たち
にも共有されているということがよくわかりました。そして、疾患名で限定することをかたくなに主張しているのは
厚生労働省
だけだということもよくわかりました。 この日の
会議
では、
重度
かつ
継続
を統合失調症、狭義の躁うつ病、難治性てんかんの三つに絞ったことの理由を問われた
厚生労働省
は、
医療
費の高額事例を集めてどういう疾患が含まれているかを見たところ、この三疾患になったというふうに説明をされていました。 これに対して、日本
精神
科病院協会と日本
精神
神経科診療所協会から、もっと説得力のある反論データが出されているわけでございます。 統合失調症の
医療
費を引き上げているのは、主にデイケアでございます。日本
精神
科病院協会のデータでは、デイケアを
利用
している統合失調症の方の月額
医療
費平均は十一万三千五百七十七円、デイケアを
利用
していない統合失調症の場合には一万八千二百四十三円で、全体の平均よりもむしろ低くなっているということでございます。 統合失調症の方の場合は……(発言する者あり) とめるんですか。一回とまっていますか。はい。では、また今度させてください。
大村秀章
134
○大村
委員長
代理 では、速記をとめてください。 〔速記中止〕
大村秀章
135
○大村
委員長
代理 では、速記を起こしてください。 それでは、水島広子君。
水島広子
136
○水島
委員
統合失調症の方の場合はデイケアの
利用
率が相対的に高いので、
厚生労働省
のようなデータ抽出を行えば
医療
費が高いのは統合失調症ということになるのですが、統合失調症の方すべてがデイケアを
利用
しているわけではありませんし、ほかの疾患の方でもデイケアを
利用
することはあるわけです。 高額
医療
費の人を調べたら三疾患が多かったからその三つを
重度
かつ
継続
と決めたというやり方は、余りにも非科学的で乱暴で
意味
がないと思うわけですけれ
ども
、
精神
科臨床の現状を知らないと言われても仕方がない話であって、だからこそ、この
検討
会でも構成員の専門家
たち
がこぞって疑念を示されたのだと
思い
ます。 そもそも、先ほどの部長の御答弁からいって、
重度
かつ
継続
というのが
医療
費の
負担
を軽減するため、そういう経済的な動機からつくられた
制度
であるとするならば、
重度
かつ
継続
から漏れた疾患の方が、
医療
上の必要性からデイケアを
利用
して月額
医療
費が高いのに、たまたま
厚生労働省
が恣意的に決めた病気には入っていないからと、高い
自己負担
を
求め
られるということについて、これがそもそも、先ほどの答弁の
内容
にも合わないものですし、こういうことが公平だと言えるんでしょうか。今回盛んに公平公平とおっしゃるようですけれ
ども
、まさに、こういうことこそ不公平だというのではないかと私は
思い
ます。 また、私も
医療
者の一人としまして、デイケアがこの患者さんには必要だと
考え
た場合でも、
自己負担
が阻害要因となって勧められなくなるということはどのように解決したらよいのでしょうか。前回の質問のときにも
大臣
に御説明いたしましたけれ
ども
、そのようないろいろな事情によって
精神
科の患者さんに
医療
を勧めるということは、実は今でも大変苦労しているわけですけれ
ども
、これで新たなハードルができてしまうということ、これにはどのように
答え
てくださるんでしょうか。
大臣
、お願いいたします。
尾辻秀久
137
○
尾辻国務大臣
先ほど来
お答え
申し上げておりますように、
重度
かつ
継続
の
対象
となる疾患につきましては、当面、統合失調症、狭義の躁うつ病及び難治性てんかんを
対象
とすることにいたしております。 ただ、この三疾患については、先生もきょうお話しいただいておりますし、
範囲
としていろいろな御
意見
があります、狭過ぎるという御
意見
もあれば、広過ぎるという御
意見
もあるわけでございまして、この
重度
かつ
継続
の
対象
とすべき
範囲
を明確にするために、これまたお述べいただいておりますように、去る六月二十二日に
自立支援医療
制度
運営調査
検討
会を発足させて、
検討
を開始したところでございます。 この
検討
会の御議論についても、先生は御案内のとおりでございますけれ
ども
、
精神
疾患における診断名が
混乱
しないような配慮も含めまして、
重度
かつ
継続
の
範囲
についてデータに基づいた御議論をいただくこととしておりますので、そして、その御議論によって結論を得たものから順次
対応
してまいります。
水島広子
138
○水島
委員
検討
会を続けられるのはもちろん結構なんですが、その中で、
重度
かつ
継続
にどの病気を入れるかという議論をしている限り、私は議論は不毛だと思っております。 日本の
精神
医学では、いまだにエビデンスベーストあるいはエキスパートコンセンサスとして、この疾患に対してはこの治療パッケージが第一選択、それでも無効であれば第二選択はこれというような整理ができているわけではございませんし、それを可能とするような臨床の枠組みがあるわけでもございません。そんな状況下で、それぞれが最大限の工夫をして、患者さんの病状や事情を見ながら何とか
医療
を行っているというのが日本の
精神
医療
の現実でございます。 とても疾患名で
医療
費を区分できるような状態ではないと思っておりますので、これを疾患名でどれだけ
重度
かつ
継続
で拾っていくかというような、そういう議論をこれからも
検討
会で続けていかれるとしたら、それは時間のむだだと
思い
ますし、そうではない、どういう
あり方
が最も公費
負担
制度
の一番適正な運用の
あり方
なのかということを議論していただく必要があると思っております。 これを疾患名で区分していくということについて、今の日本の
精神
医療
の現状はそんなふうにはなっていないということ、これについては
大臣
は認識しておられるでしょうか。
尾辻秀久
139
○
尾辻国務大臣
御指摘のような
精神
科
医療
における治療のいわば標準化などだ、こういうふうに理解をいたしてお聞きいたしましたけれ
ども
、そうしたものが可能かどうかも含めまして、今後の研究を待たなければならないと
考え
ております。 我が国の
精神
科
医療
につきましては、歴史的に入院処遇を中心としてきたという経緯がありますので、近年、
精神
科
医療
の質的向上や早期の社会復帰への方向転換が図られてきたところではございますけれ
ども
、その成果はいまだに十分ではないと
考え
ております。 このような現状を踏まえまして、今後の
精神
科
医療
につきましては、入院
医療
中心から
地域
生活
中心へという基本的な
考え
方に基づきまして、
精神
医療
の質的向上を図りつつ、入院患者についてできるだけ早期に退院を実現し、
地域
生活
に移行できる体制を構築することが必要だと
考え
ております。 そうしたことを踏まえまして、今お願いをいたしております御議論、そして
重度
かつ
継続
的というところの定義もまたしていただきたい、御議論を待ちたいというふうに思っております。
水島広子
140
○水島
委員
入院から
地域
へという場合に、核となるのがこの通院
医療
ということになるわけですから、そこのハードルを上げておいて、入院から
地域
に誘導していますと言われても、それはやはり筋が通らない話になるわけです。 先ほど申しました点も含めまして、この
精神
医療
の
医療
費の問題についてはまだまだ
検討
しなければいけないことが余りにもたくさんありまして、それが全く整理されていない段階で、上の方から高額のレセプトをつまんでみたら、その中にこの三つの疾患が多かったからこの三つが
重度
かつ
継続
ですなんという、そんな乱暴なやり方は本当にあり得ないと
思い
ますので、これは、
尾辻
大臣
の名誉にかけてもこんなことを許さないようにしていただきたいと思うわけでございます。 きょうの私の説明で足りないようでしたら、改めて
大臣
に御説明に伺いたいとも
思い
ますので、ぜひお声をかけていただければ光栄でございます。 実際には、そうやって詰めなければいけないこともたくさんありますし、その一方では、もちろん私は、現在の三十二条が全く非の打ちどころがないと思っているわけではございません。三十二条の適正な運用というのは確かに必要でございまして、現在も一部に不適切な三十二条の悪用といいますか乱用といいますか、そのようなものがあるということも十分に
承知
をしております。 そういう
意味
では、本当は今回、何か改正されるのであれば、そういうむだをこういう形でなくします、善意のない
医療
についてはこういう形で認められません、それがわかるような仕組みを組み込んでいただかなければ、結局これからも、今回財源がなくなったからといって五%を一割にした、でも結局それがまた膨れ上がっていって、今度はでは一割を二割にするんですか、そういう日が必ず来てしまうと
思い
ますので、そういう有効な仕組みをちゃんと今回組み込むというのが
厚生労働省
の
責任
であったはずだと
思い
ます。お金がなくなったから
自己負担
を倍にして受けられる
対象
疾患を減らしたなどというのは、こんなの
厚生労働省
じゃなくたって、だれだって
考え
られます。
厚生労働
行政の専門家なんですから、もっと気のきいたことをちゃんと頭を使って
考え
てほしいと思うわけでございます。 十月
施行
などと何か無理なことをおっしゃっているようですけれ
ども
、一度これは現状のように全部を
対象
にしておいて、そこから明らかにこれはこの
制度
にはなじまないですねということを説得力のある形で除いていっていただくネガティブリスト方式がこの際一番妥当だと
思い
ます。くれぐれもこれは、疾患単位で
考え
るなどという変なことをしてしまいますと、先ほど言ったデイケアを使っている、使っていないということで公平性ががらりと変わってしまうというようなおかしなことになりますので、こういった問題提起もされていることを踏まえて、この
検討
会に御議論をいただくのもいいと
思い
ますけれ
ども
、ぜひきちんとこれは腰を据えて御議論をいただきたいです。 今まで
厚生労働省
は、今回聞きましたところ、どういう形で三十二条が乱用されてきたかということをきちんとデータをとっておられない。調査できない仕組みなんですとおっしゃるわけですけれ
ども
、まず現状がどういうふうに運用されているのかを見てから
制度
を
考え
るというのが当たり前のことではないかと
思い
ます。 これは、
厚生労働
科学研究の形を使っても何でも結構ですけれ
ども
、現在三十二条がどのように使われているのか、その中で本来の公費
負担
制度
の趣旨と合わない
部分
はどこなのかということ、それをきちんとこちらに報告をいただいてから、それを手当てするためにこういう新しい
制度
をつくりましたと言っていただくのが常識中の常識だと
思い
ますので、今回みたいに、箱の中からレセプトをつまんでみたら高いところにはこれが多かったなどというような非科学的な政策立案をこれからもくれぐれもしないでいただきたいということを改めてお願いを申し上げたいと
思い
ます。 また、この前傍聴いたしました
会議
の中でも、お金にあらわれない大変さをどう酌み取るかというような課題が大きく浮かび上がっておりましたけれ
ども
、先ほどの育成
医療
についてもそうですが、
精神
医療
についても、額面の
医療
費ということ以外の要素というのがかなりございますので、その辺もトータルに見ていただいて、説得力のある形で出し直していただきたいと思っております。 そして、最後に言わせていただきますと、そして
大臣
のそれに対しての御
意見
を伺いたいんですけれ
ども
、そもそも、七万二千人の社会的入院を十年間でゼロにしますということを、二年前に坂口前
厚生労働大臣
がはっきりと
国会
の場において約束をされたわけでございます。もう既に二年過ぎてきたわけですけれ
ども
、私は、この七万二千人の社会的入院の問題を解決するまでは三十二条を今のまま据え置くべきだというふうに
思い
ますし、それが
厚生労働省
としてのこの二年前にした約束の果たし方ではないかと
思い
ます。 先ほど言いましたように、今回ハードルを高くしてそれをみずから阻害しているというようなこと、その構造にぜひお気づきいただきたいと
思い
ますけれ
ども
、最後の私の
提案
に関しまして
大臣
がどう思われているかということを最後にお伺いしたいと
思い
ます。
尾辻秀久
141
○
尾辻国務大臣
今回の改革におきましては、何回も申し上げておりますように、現在の通院
公費負担医療
制度
を安定的で持続可能なものにするために、低所得の
方々
には月額の
負担
に上限を設定するなど配慮を行った上で、原則として一割の
定率負担
をお願いするものでございます。こうしたものでございますので、
実施
を
凍結
するということは極めて困難なことでございます。 いろいろ申し上げておりますけれ
ども
、そしてまた御議論もあるようではございますが、今回の改革といいますのは、全体としては、
精神
障害者
の社会復帰、
地域
生活
の
支援
の
拡充
を図るため必要不可欠なものだと
考え
ておりますので、ぜひ御理解を賜りたいと存じます。
水島広子
142
○水島
委員
尾辻
大臣
は必ず
考え
直していただけると信じまして、もう一言お願いをいたしまして、質問を終わらせていただきます。ありがとうございました。
大村秀章
143
○大村
委員長
代理 次に、山口富男君。
山口富男
144
○山口(富)
委員
日本共産党の山口富男です。 この
障害者自立支援法
は、
障害者
の社会
生活
と人権にかかわる非常に重要な
法案
なわけですけれ
ども
、これは質問する側も答弁する側もその真摯さが問われると
思い
ます。 きょうは、朝からたびたび当
委員会
は定足数が足りずにとまっております。
委員長
にお願いしたいんですけれ
ども
、質問しながら定足数を確認するわけにまいりませんので、
委員長
の方から、欠けた場合は速記をとめて
審議
を一たんとめてもらうということで、まず運営上、お願いしたいと
思い
ます。
大村秀章
145
○大村
委員長
代理 はい、お聞きしました。
山口富男
146
○山口(富)
委員
では、きょうは
障害程度区分
の問題と
利用者負担
にかかわる問題を中心にただしてまいりたいと
思い
ます。 まず初めに、厚労省の
障害者
問題に対する認識にかかわる問題をただしたいと思うんです。 私は、五月十一日の質疑の際に、
塩田
障害
保健福祉部長の名前で出されました、これは三月十八日ですけれ
ども
、「「
支援
費支給
決定
について」の一部改正について」という通知を取り上げました。私は、これを読みまして、この中には
障害者
をいわば取り締まりの
対象
に見ているような
部分
があるということで、その
内容
を改めるように
求め
たんですけれ
ども
、当時の
塩田
さんの答弁では、不適切な書きぶりがあるようであればそれを訂正したいという答弁でした。 その後、これはどのようになったのか、まず報告していただきたいと
思い
ます。
塩田幸雄
147
○
塩田
政府参考人
五月十一日の
委員会
で、
支援
費のホームヘルプ
サービス
に関して、
行動援護
の
内容
を記載した部長通知がございましたが、その判断基準の中に適切な表現でないものがあるという御指摘を受けたところでございます。これにつきましては、去る六月二十三日に、いろいろな方の御
意見
を聞きまして通知の改正を行ったところでございます。 当初の通知は、学識経験者あるいは事業者団体の
意見
を聞いて出したものでありましたが、御
本人
とか御家族の立場を
考え
ました場合に適切な
言葉
でないと私
自身
も判断いたしまして、通知の改正をさせていただきました。
山口富男
148
○山口(富)
委員
この
行動援護
の問題というのは、今度の
支援
法でも第五条の四項にかかわる問題になっております。 それで、
塩田
部長にもう一点お尋ねしますが、御
本人
の立場からいってもこの書きぶりはよくないということなんですが、どこをどのように変えたのか、何点か示していただきたい。それからあわせて、この通知の改正というのは私はなかなか重大な問題だと思うんですけれ
ども
、これは変えて当然なんですが、その中からあなた御
自身
がどういう教訓をつかんでいるのか。この二点、示していただきたい。
塩田幸雄
149
○
塩田
政府参考人
行動援護
に対してどういう
対応
をするかというのは、今度の
法案
でも出ていますし、大事な問題だと認識しております。 例えば、適切でない例としては、当初の通知では、「頭突き、つかむ等の粗暴行為等」があるかないかとかいうところがありましたが、そこについて、「頭をぶつけたり、腕をつかんだり等通常とは違う行動」があるかないかという表現に改めたり、あるいは、「奇声」を上げるというような
言葉
を「通常と違う声」を上げるという表現にしたり、他害行為に関しまして、「罵詈雑言をあびせるなどの他害行為」という表現がありましたところを、「他者に向けて大声を出したりする」などという表現に改めたところでございます。
山口富男
150
○山口(富)
委員
もう一点、そういう書きぶりを直した、この担当の、いわばあなたはこれを発出した
責任
者なんだから、どういう問題がここにあったのかということを教訓としてつかんでいるのか、示してほしい。
塩田幸雄
151
○
塩田
政府参考人
冒頭申し上げましたように、
障害
福祉に携わる者として、常に、
障害者
の御
本人
とか家族とか、そういう立場に立って物事を
考え
、その
方々
に対する
サービス
はどうあるべきかというのを基本に置いて仕事をすべきだということを改めて感じたところでございます。
山口富男
152
○山口(富)
委員
私は、この問題は、
障害者
問題に携わる行政にとって非常に基本の立場が問われたことだと思うんです。
大臣
に、今のやりとりをそこからお聞きになってどういうことをこの問題で感じられたのか、示していただきたいと
思い
ます。
尾辻秀久
153
○
尾辻国務大臣
先日の御議論を聞きましたときも、私も、これは大変まずい表現が入っているというふうに
思い
ました。そして、こういうことに携わる私
ども
がこういう表現にしてしまったということは本当に反省しなきゃならないことだと思っております。 そしてまた、今先生もそういう趣旨で言っておられると思うんですが、こういう表現がたまたま出てきたとかなんとかということではなくて、やはり基本的にそういう配慮のなさというのがあるんじゃないかという御指摘だと
思い
ますし、私もそういうふうに思わざるを得ない面もあるというふうに
考え
ますので、このことは反省したいと存じます。
山口富男
154
○山口(富)
委員
それでは、
障害程度区分
の問題に進みたいと
思い
ます。 それで、
障害程度区分
につきましては、
自立
支援
法は四条四項でこれを定めて、区分の審査と判定及び認定につきまして二十条、二十一条と規定をしております。支給
決定
については二十二条というふうになっているわけですが、
障害
の特性や変動を的確に反映した
障害程度区分
の認定、その仕組みをつくるということは、
障害者自立支援法
の運用にとってどういう位置づけなのか、
意味
があるのか、これを述べていただきたいと
思い
ます。
尾辻秀久
155
○
尾辻国務大臣
現行の
支援費制度
におきましては、福祉
サービス
による
支援
の必要度を判定するための統一的なアセスメント
項目
や客観的な基準がありませんで、このために自治体間や職員間で判定にばらつきが生じたり、
障害者
のニーズに応じた適切な
サービス
が提供されないなどの課題があると私
ども
認識いたしております。 こうした課題に
対応
いたしますために、今回の
法案
の改正案におきましては、統一的なアセスメントを行い、全国的に統一の尺度として
障害程度区分
を設けることなどによりまして、全国的に個々の
障害者
の
支援
の必要度に応じて、より公平に
サービス
の提供が図られるようになると
考え
ておるところでございます。
山口富男
156
○山口(富)
委員
結局、
利用者
の状態に応じた格差のない
サービス
が
保障
される上での基本なんですね、土台なんですね。 それで、今厚労省の方は、
障害程度区分
の判定につきまして、実際には現行の介護保険
制度
の要介護の認定基準を準用しているわけですけれ
ども
、これはどうしたわけか、説明していただきたい。
塩田幸雄
157
○
塩田
政府参考人
御指摘のように、介護保険の要介護認定の基準を使って調査しているわけでありますけれ
ども
、現在ではそういったものとしては唯一の指標だということでそれを活用しているということでございます。 しかしながら、介護保険の要介護認定調査というのは、加齢による
介護サービス
の必要度を予測する指標として開発されたものでありますので、
障害
とは違うことは御指摘のとおりでございます。今後、この調査を活用していろいろなデータを集めた上で、
障害者
にふさわしいものに改良していくことが当然必要であると
考え
ております。
山口富男
158
○山口(富)
委員
今、
塩田
部長が認められたように、現在ある唯一のものなんだけれ
ども
、これは
障害者
の特性に応じたものじゃありませんから、研究して変えていかなきゃいけないということだったんですね。 四月二十六日の社会
保障
審議
会の
障害者
部会に、「
障害者
に対する要介護認定基準の有効性について」という報告書が提出されました。これは、「
目的
」としまして、
障害者
の介護ニーズを判定するための指標として、現行の要介護認定基準の有効性を評価するため、福祉
サービス
を
利用
している
障害者
二千四百六十八人を
対象
に認定基準の調査を
実施
したものだということになっていますが、この調査の結果、明らかになったことは何ですか。 〔大村
委員長
代理退席、
委員長
着席〕
塩田幸雄
159
○
塩田
政府参考人
この
検討
の結果ですけれ
ども
、現行の要介護認定基準は、身体介護等の
介護サービス
に相当する
サービス
につきましては
障害者
においても有効ということでありましたけれ
ども
、
障害者
に対する
サービス
、介護だけじゃなくて、
自立
を
目的
とした機能訓練あるいは
生活
訓練、就労
支援
というのがございますけれ
ども
、こうした
支援
の必要度の判定につきましては、「「介護給付」に相当する
サービス
の判定に用いられるロジックとは別のロジックが必要と
考え
られた。」という結論が得られたところでございます。
山口富男
160
○山口(富)
委員
今、最後の
部分
、結論
部分
を読まれたわけですけれ
ども
、
障害者
に対する
支援
においては今別のロジックが必要であるということがこの調査では強調されております。 それで、もともとこの調査は、一つは、介護ニーズ評価に関する調査研究事業という研究と、もう一つ、要介護状態の評価における
精神
、知的及び多様な身体
障害
の状況の適切な反映手法の開発に関する研究という二つの研究がありまして、この研究から
検討
を重ねたということになっているんです。 きょうは
理事
会の了解を得まして資料を配付しておりますので、まず、二ページ目をごらんいただきたいんですけれ
ども
、この中から、介護ニーズ評価に関する調査研究事業というものから私はちょっと何ページか拾ってきたんですが、こちらの調査の場合は、身体、知的、
精神
障害
の各分野それぞれ五十名ずつ、百五十名を審査の
対象
にして、いわば介護認定がきちんと行われたかどうかというのを調べたわけですね。 それで、やり方としましては、三つの合議体を設けて、これは二ページの中ほどに書いてありますが、それぞれ五十ケースずつ審査を
実施
した。審査に当たった
委員
の方は、現に介護認定審査会の
委員
を務めており、介護保険の要介護認定を熟知している
人たち
だった。お医者さんですとか
医療
福祉分野に従事されている方です。 その結果、どういうことがわかったのかといいますと、次の三ページ目をごらんいただきたいんですけれ
ども
、一次判定から二次判定というのが行われているわけですが、この変更率の問題で、まず全体はどうだったのかというところを見ますと、身体
障害
の場合は当初の認定に対して変更されたのが三六%あった。知的
障害
の場合は当初の認定を変更したものが四八%ある。
精神
障害
では四四%が認定が二次判定で覆っております。 まず、久しぶりに私は
中村
老健局長に聞くんですけれ
ども
、介護保険の場合、一次判定が変更になる率というのはどの程度のものなんですか。
中村秀一
161
○
中村
政府参考人
お答え
申し上げます。 平成十六年に認定申請のあったケースにつきまして、市町村の介護認定審査会において一次判定結果から変更のあったものの割合は二八・九%となっております。
山口富男
162
○山口(富)
委員
今報告がありましたように、介護保険の場合は二八・九%です。 となりますと、今回の厚労省が発表しております調査を見ますと、一次判定の結果が、知的
障害
の場合は五割近く、
精神
障害
の場合は四四%覆っているんですね。相当数の変更率だと思うんですけれ
ども
、ここから見る限り、少なくとも一次判定につきましては今の認定基準では信頼に足らない、そういう結果になるんじゃないんですか。
塩田幸雄
163
○
塩田
政府参考人
御指摘ありましたように、このモデル審査会は介護保険の審査基準を当てはめてみたということでありまして、その結果、
精神
障害
、知的
障害
についてはなかなか難しい結果が、変更率が大きいという結論が出たということでございます。 介護保険の
高齢者
の基準をそのまま使ったということで、
障害者
にふさわしい基準ではないということが
大前提
でありますので、本格的な
施行
の際にその介護保険の基準をそのまま使うということではなくて、現在試行事業もやっておりますし、
障害者
によりふさわしい基準にした上で審査会にかけていただくということだと
思い
ますし、中長期的には
障害者
独自のしっかりとした基準をつくるべく、これから取り組んでまいりたいと思っております。
山口富男
164
○山口(富)
委員
私は、それは中長期的な課題じゃないと思うんですね。
自立
支援
法の
実施
に当たっての前提なんです。しかも、一次判定で見ますと、資料にありますように、第一合議体の場合は、知的
障害
で八一・二五%覆っているんです。五〇%以上のところが、身体
障害
、
精神
障害
それぞれ一つずつ出ているわけですね。 それで、今
塩田
部長の方から幾つか話もあったんですが、国
自身
が五月から七月にかけてモデル事業をやるというふうに言っているわけです。 それで、私は、
大臣
にまず答弁願いたいんですが、少なくとも、これは七月に結果が出るんだったら、その結果の分析をした上で、
障害者
分野での認定の基準というものをしっかりつくり上げた後
法案
を進めていくというのが、これは当たり前の姿じゃないですか。
大臣
に。答弁者は一人ですから。
尾辻秀久
165
○
尾辻国務大臣
今、確認をしてから御答弁申し上げようと
思い
まして、確認したところでございますが、時期についてはお話しのとおりでございます。 したがいまして、今度のモデル事業などでそうした数字はまた出てくるんだろうと
思い
ますけれ
ども
、
法案
としてお出しするまでにさまざまな
検討
はいたしたわけでございますから、
法案
として今お出しした、このことは、そうした
検討
をもとにしてお出ししたということを改めて申し上げたいと存じます。
山口富男
166
○山口(富)
委員
先ほど
塩田
部長は、私が示した幾つかの事例を認めて、やはりこれは現行の介護の認定の基準だから、ここから見ると
障害
分野でいろいろ問題があるということはお認めになりました。 私は、はっきりさせておきたいんですけれ
ども
、今国がモデル事業をやっているということなんですが、ここに
障害程度区分
判定等試行事業
実施
要綱というものがあります。この中で、判定に当たっての前提になる、約百
項目
にわたる基本調査というものがあるわけですね。これは、私が既に紹介いたしました介護ニーズ評価に関する調査研究事業、このときに使われた基本的な調査と、ごく
部分
的、知的
障害者
の場合、何
項目
か加わったところがありますけれ
ども
、ほとんど変わらないものなんですよ。 つまり、同じようなことを既にやっておいて、それは
障害者
の認定区分を見る場合には必ずしもよくないんだと一方では認めておきながら、しかし、そのモデル事業をやって、それで精度のあるものにしていくというのは、私は全く説明がつかないと
思い
ますよ。 少しこの問題を具体的に見ていきたいと思うんですが、例えば、三ページなんですけれ
ども
、下の細かい数字の方は件数ですから、パーセンテージではありません。そのことを注意願って見ていただきたいんですが、身体
障害
の場合、認定の非該当とされた七人が、これは一次判定ですけれ
ども
、これは二人になる。そして介護認定は上がっています。知的
障害
の場合は、非該当が当初六で、それは一になっている。
精神
障害
の場合は、非該当とされた方が当初二十三人いらして、これが二次判定で十二人、ほぼ半分になるということになっているわけですね。 となりますと、今の厚労省の
提案
している
中身
というのは、介護給付と訓練等の給付というのは、同じ認定の枠組みでやっていくという
考え
方です。しかも、訓練等の給付の場合は一次判定しかやらないということになっています。となりますと、非該当となりますと、
サービス
が本来必要な方でも
サービス
が受けられなくなるというのが、
皆さん方
が
提案
しているこの方向じゃないんですか。
塩田幸雄
167
○
塩田
政府参考人
現在試行事業をやっておりますが、それは、
高齢者
の介護保険の基準そのままではなくて、知的
障害者
、
精神
障害者
に関連した
項目
を加えて、その上で調査をしているということは改めて申し上げたいと
思い
ます。 それから、介護給付と訓練等給付については
障害
認定区分の使い方は違いますので、それぞれの
サービス
に応じた
対応
ができるよう、それはきちんと
対応
してまいりたいと思っております。
山口富男
168
○山口(富)
委員
まず一つは、私が言いましたように、私は全部比べたんだから。あなた方は新たにつけ加わった、つけ加わったと言うけれ
ども
、それはごくわずかなんだよ。しかも、私が聞いているのは、一次判定と二次判定がこれだけ結果が違って、しかも、今度の枠組みの場合、一次判定だけでいくという方
たち
もいるわけですね。となると、非該当となってしまったら、
サービス
を必要としている
障害者
の
方々
に
サービス
が受けられなくなるという事態が生まれるじゃないかということを言っているんですよ。どうなんですか。
塩田幸雄
169
○
塩田
政府参考人
障害者
の方が必要な
サービス
を受けられるように適切な
障害
認定区分をつくるということでありまして、そのために現在試行事業をしているということでありまして、そのデータも集めて、適切な認定基準にしたいということでございます。 その際に、
介護サービス
と訓練等給付では
障害
認定区分の活用の仕方が違いますので、介護給付
サービス
、就労訓練の
サービス
、それぞれにふさわしい活用の仕方、
関係
者の
意見
も聞いて、そういうものにしていきたいと思っております。
山口富男
170
○山口(富)
委員
塩田
部長は、必要な
サービス
を
求め
る方が外れる可能性があるということは認められました。そういうふうにならないように認定の
あり方
を
考え
るんだというんですけれ
ども
、だったら、それこそ
法案
の前提じゃないですか。
検討
し直して、出し直したらどうですか。
塩田幸雄
171
○
塩田
政府参考人
いろいろな調査結果についても公開で御説明しておりますし、試行事業の
内容
についても、
関係
の方に御説明しながら、
意見
を聞きながら進めているところでございます。 この秋には結論を得たいと
思い
ますし、
法律
の
施行
までにはきちんとした
対応
ができると
考え
ております。
山口富男
172
○山口(富)
委員
では、もう一つの、
皆さん方
が使われているこちらの資料で見てみたいんですが、これを見ますと、身体
障害者
の場合は、ホームヘルプを使っている方で百十九人中百十七人が介護の認定を受けました、この調査では。それから、知的
障害者
の場合は、ホームヘルプの
利用者
については、三十人中二十九人が認定を受ける。ところが、
精神
障害
においては、ホームヘルプの
利用者
について、八人中二人しか認定を受けられなかった。これが実態なんですよ。 しかも、この報告書を見ますと、
精神
障害者
の場合は、今の判定結果でいくと、一次判定で非該当が四八・三%になる。これは、かなりの
方々
が
サービス
を
求め
ているのに、少なくとも今の基準のままでは、だって、あなた方まだ開発していないんだから、今の基準のままでは、かなりの
方々
が
サービス
が必要なのに認定から外される、そういう事態が起こるんじゃないですか。どうやって防ぐんですか。
塩田幸雄
173
○
塩田
政府参考人
研究の報告のものは、あくまで
高齢者
の介護の基準を使ったということでありまして、その
観点
から基準が定められております。知的
障害者
、
精神
障害者
の介護と
高齢者
の介護、おのずから
内容
が違いますので、
高齢者
の介護保険の基準を使えば、御指摘のような結果になるのもある
意味
では当然だということだろうと
思い
ます。 そういう
観点
で、試行事業では、
高齢者
の介護基準だけではなくて、
項目
を加えて、
精神
障害者
、知的
障害者
にも配慮した事項を加えてやっているということでございます。その成果も踏まえて、知的
障害者
、
精神
障害者
の介護にも
対応
できるような基準にしたいということで事務を進めているということでございます。
山口富男
174
○山口(富)
委員
資料の一ページを
皆さん
ごらんください。一ページ目に調査
項目
というのが、
医療
関連から
生活
関連まで上がっております。実は、基本調査というのはこれに応じた
中身
なんですけれ
ども
、調べてみますと、新たに加わったというのは
生活
関連だけなんです。ごく
部分
に二つほど別の
項目
がありますけれ
ども
。 だから、
塩田
部長が、あたかもこれまでの介護保険での認定と違う物差しを提示して、このモデル事業をやるかのようなことを言っていますけれ
ども
、これは全くの偽りの答弁である。これは撤回していただきたい。
塩田幸雄
175
○
塩田
政府参考人
高齢者
の介護保険の要介護認定基準の
項目
に加えて、日常
生活
に関する
項目
、
精神
障害者
などの特有の
項目
、知的
障害者
の
行動援護
に関する
項目
などを追加して、百六
項目
の調査
項目
としておりますので、この試行事業の結果、問題があればまた
対応
したいと
思い
ますし、知的
障害者
や
精神
障害者
に
対応
できる
障害程度区分
がこういう作業を通じてできると
考え
ております。
山口富男
176
○山口(富)
委員
資料の四ページ目をごらんいただきたいんですけれ
ども
、専門家の
方々
が介護認定をやりまして、そこから出た幾つかの指摘事項というものがあるんです。 まず、この「基本調査」というのは今度やるいわゆるアセスメントにかかわるわけですけれ
ども
、ここでは、例えば中ほどですが、「三
障害
一緒でよい
部分
(ベーシック
部分
)と、各
障害
の特性を強調する
部分
の両方が必要と思う。」という
意見
ですとか、「現在の調査は、できる・できないを聞き取るため、
精神
障害
の方の場合、全くできないのではないため、要介護度としては、低くなる。身体
障害者
の場合は、解りやすい。現在の調査
内容
で良いかは、
検討
が必要。
項目
が、異なるのではないかと、感じた。」それからまた、「身体に
障害
のない知的
障害者
や
精神
障害者
の
方々
の介護の必要性が、これらの
項目
でチェックされているとは言い難く、一次判定で相応の判断がなされないと、各審査会によりかなり不均衡が生じてしまう。」という非常に深刻な指摘なんですね。 それから、「特記事項」、これは別の様式がありまして書くわけですけれ
ども
、この中ほどを読んでみますと、こういうふうに書いてあります。「調査員特記事項につきましては、辛口で申し上げなければなりません。それぞれの
障害
を、どこまで認識されて調査にいたったのかという点で大変疑問です。介護が必要な状況や日常
生活
上の
問題点
が浮かび上がってくるような特記
内容
とは言い難く、中には特記事項がほとんど記載されていない事例もあり、判定に苦慮しました。」 これだけ専門家の
人たち
がやってみて問題を感じているのに、厚労省が
提案
しているモデル事業というのは、こういう指摘を踏まえた、改定されたものになっていないんですよ。 私は
大臣
に、この問題は
障害
認定のここの区分の問題と同時に、その前提としては調査をしたりいろいろな様式があるわけですけれ
ども
、いわばその技能そのものも高めなきゃいけないわけですね。
大臣
、やはりこういうことをきちんと解決した上でないと、この
制度
というのはとてもじゃないけれ
ども
運用できないじゃありませんか。少なくとも七月に終わるわけでしょう。この試行事業の結果を
国会
に報告して、その後この問題をもう一回議論する、そういう立場に立つことはできませんか。
尾辻秀久
177
○
尾辻国務大臣
先ほど来部長が
お答え
申し上げておりますように、要介護認定基準の七十九
項目
に加えて新たな
項目
を追加して百六
項目
にしておるわけでございますから、それなりのまず
項目
が加わっておるということは事実だと
思い
ます。 そうした中で、今、認定基準を、先ほど来申し上げておりますように試行事業を
実施
しながら作成する、それはちゃんと間に合うようにきっちり作成する、こういうふうに言っておるわけでございますから、
法律
の
施行
をお認めいただければ、それに問題はないというふうに存じております。
山口富男
178
○山口(富)
委員
今の
障害
認定区分の問題で専門家の
方々
が、やはりこれは
障害者
の特性、特に知的
障害
の場合や
精神
障害
の場合はこの程度を把握するのに難しいということをはっきり述べられているわけですね。 それで、私が数えてみましたら、
皆さん方
がつけ加えた、つけ加えたと言われますけれ
ども
、当初の調査の方では追加の
項目
もありまして、それが初めから入っていたというふうに仮に
考え
ますと、
生活
に関する
項目
ということとコミュニケーションに関する
項目
が若干つけ加わったというだけにすぎないんです。私はこれは、私
自身
、
項目
を読み比べてみまして大変驚いたわけです。 今度の問題というのは、冒頭に申し上げましたように、やはり
障害者
の社会
生活
と人権にかかわってくるわけですから、そして、
塩田
部長は、今ある唯一の基準は介護保険にかかわる認定の基準なんだというわけですね。それで見たら、とてもじゃないけれ
ども
特性は把握できないということが明らかになった。だったら、今度の
制度
で、少なくとも初めから、
障害
程度の区分というのはこの枠の、まずその認定を受けなきゃいけないわけですから、出発点になるものなわけでしょう。ところが、それさえきちんと示されていないわけです。 お配りした資料の一枚目をごらんいただきたいんですけれ
ども
、きょう午前中の質疑でも少し問題になりましたが、ここには「
障害程度区分
のイメージ」というものがあります。質疑の段階で明らかになっているのはイメージだけなんです。そして、下の表には「
重度
区分」というものがありますけれ
ども
、このイメージだけで、どうしてこれに
障害者
の
生活
や人権を託すことができるんでしょうか。私は、これは全くできないと。 少なくとも、
大臣
、「
障害程度区分
のイメージ」「複数段階に分類」、この程度で
審議
を
求め
るというのは幾ら何でも乱暴だ、その程度の認識は持たれて当然じゃないですか。
尾辻秀久
179
○
尾辻国務大臣
イメージの案として御提示申し上げて、御議論をいただこうということでお願いをしておるところでございます。したがいまして、御議論の中でさらにこれがまた具体的に形を整えていくということになろうかと存じます。
山口富男
180
○山口(富)
委員
議論のできないイメージなんですよ。議論しろというんだったら、きちんとどういうことになるのかを示した上で議論してください。 私は、この一点でも今度の
自立
支援
法は強行することは絶対認められない、このことを申し上げまして、本日の質問を終わります。
鴨下一郎
181
○
鴨下委員長
次に、阿部知子君。
阿部知子
182
○阿部
委員
社会
民主党
・市民連合の阿部知子です。 私も、まず冒頭、先ほどの山口
委員
と同じお願いを
委員長
にいたします。 定足数に欠けること、本日は四回に及んでおります。私も質問中は集中をいたしたいので、
委員長
の方で定足数が欠けましたらとめていただけますように、よろしくお願い申し上げます。 冒頭、この
法案
について
尾辻
大臣
にお伺いいたします。
障害者
の
自立
支援
法ということでございまして、約二週間ほど前に
審議
が行われ、一たび中断されて、本日を迎えておりますが、本日のさまざまな御
回答
というのは、残念ながら誠意が感じられない。そして、たくさんの傍聴の
障害
のある
皆さん
も、一体だれのための
法案
をつくるんだろうということを強く懸念されていると
思い
ます。 そこで
大臣
にお伺いいたします。
大臣
がこの
法案
で
対象
となさる
障害者
、この方
たち
について、大体、
大臣
はどのようなイメージ、アイデア、
考え
をお持ちになっておられますでしょうか。
尾辻秀久
183
○
尾辻国務大臣
どういうふうに
お答え
申し上げるべきかと
思い
ながら今ここに立たせていただきましたけれ
ども
、一口に
障害
のある方と言いましても、まず大きく三
障害
あるわけでございますし、また、それぞれの
障害
の中でもそれぞれの程度があるわけでございまして、さまざまな
障害
の
方々
、お持ちの
方々
というふうに申し上げざるを得ないところでございます。
阿部知子
184
○阿部
委員
大臣
と共通認識に持ち込みたいというか持ちたいのは、一つは、やはり
障害
のある御
本人
が
決定
の主体である、御
本人
である、自己
決定
であります。そのことを忘れると、この
法案
がだれのために、例えば適切な
サービス
量をだれが判断するのか。
本人
の希望が第一にあって、その方が、自分が持っている
障害
ゆえにさまざまな、あるいは、自分に内在する
障害
ではなくて、例えば、道の段差でもそこにあれば
障害
になります。それを少しでもなくしていくための
法律
であるということですから、御当人が何を
障害
と感じるかということは出発点になります。そこを欠いて
法案
の
審議
をいたしますと、いわゆる
障害者
を殺さぬよう生かさぬようの
法案
になってまいります。 もう一点、
大臣
に御確認いただきたいのは、やはりあくまでも今回の
自立
支援
法は、三
障害
と言われます
精神
、身体、知的、そういう今までの法体系をただくっつけるということにしかなっていません。さまざまに言われる、世の中で言う谷間の
障害
、今回も各
委員
に指摘されました。そして、これがもしグランドデザインに基づいたものであれば、
大臣
が
障害
ということをどうお
考え
か。
障害
とは自分と環境の間にあるバリアであるというふうにお
考え
いただきたいのですが、その点は共通認識でよろしいでしょうか。
尾辻秀久
185
○
尾辻国務大臣
今、たしか、自分と環境との間にあるバリアというふうに表現されたように
思い
ます。 私がそこの理解は十分でないかもしれませんが、とにかくは、
障害
ということは、どういうふうに言えばいいんでしょう、大きな
障害
の場合はそうでしょうけれ
ども
、私
ども
はいつ何どきまた
障害者
になるといいますか、そういったようなことにならぬとも限りませんし、また、小さな
障害
ということでいえばいろいろ
障害
はみんなも持っておるわけでございますから、そんなにまた
障害
というのを、
障害者
と健常者というのをきれいに分けるようなそんなものではない、お互いに社会
生活
を一緒になってみんなでしていくということが大事なんだというふうに認識をいたしているところでございます。
阿部知子
186
○阿部
委員
何でこんなそもそも論を言わせていただいたかというと、私は、ちょっと午前中の
大臣
の答弁で非常に懸念される点がありました。
障害
のある方にも、ほかの方と同じように、やはり
サービス
を
利用
したらその
利用
料をお支払いいただくんだ的な発想を私は答弁の随所に感じました。 しかしながら、この
法律
の
意味
するもの、あるいはもう十年以上になります
障害者基本法
の
意味
するものは、
障害
がおありの方と、今かりそめにないとした方が同じスタートラインに立てるよう、同じように生きていけるよう、同等、対等に生きていけるよう、いわば
障害
のある方にとってバリアとなっているものを取り除いていくわけですから、この方
たち
の
サービス
利用
は、そのことによって初めて他の方とイコールなスタートに立てるということです。そのイコールなスタートに立つために御
負担
いただくんだというのでは、
障害者
の置かれた状況は改善されないのです。この根幹が狂ってしまうと、何のための
法案
審議
かが私は吹っ飛ぶと
思い
ます。
大臣
のお心の中に、ほかの人だって
負担
しているじゃないか、だから、
障害
のある人にも悪いけれ
ども
負担
してちょうだいというんだったら、それは、現存する
障害
を負ったゆえの差別やマイナスをそのままその人に何かしらの努力をさせて越えさせようとする、努力の一部がお金だったり、あるいは
自立
という
言葉
、これも極めて二極に揺れるものです。
大臣
、もう一度確認させてください。これは、
障害
のある人がない人とイコールに一緒にやっていけるために、
障害
のある方のバリアを取るために必要な
サービス
をする
法律
ですよね。
尾辻秀久
187
○
尾辻国務大臣
この
法律
を
自立
支援
法と言っておることがまさにそのとおりでございまして、今のお話でいえば、
自立
支援
という
考え
方でございますから、そのとおりでありますというふうに申し上げます。 〔
委員長
退席、北川
委員長
代理着席〕
阿部知子
188
○阿部
委員
大臣
もきょとんとして申しわけないのですが、何でこんな、本当に何を聞いているんだろうと思われるかもしれませんが、何度も何度も恐縮ですが、バリアを取るということです。そのために、それは、御
本人
がそのバリアが少なくなるように受けたさまざまな
サービス
は益ではないということです。バリアが取れて初めてイコールに進んでいけるということであります。ここをまず一点、きょうは確認させていただいて、二点目の質問に入ります。 さて、
大臣
、今回この
法案
で
対象
となさっている
大臣
の描く
障害者
、数とその方
たち
の
生活
状況、所得状況、就労状況についてはどの程度情報をお持ちでありましょうか。
尾辻秀久
189
○
尾辻国務大臣
大きく申し上げますと、
障害者
の数は約六百万人というふうに
承知
をいたしております。 それから、今、
障害者
の所得の実態につきましてのこともございましたけれ
ども
、これについて申し上げますと、例えば、身体
障害者
の場合には、年収三百万円以上の方が三割いらっしゃる、一方で百万円以下の方が二割強いらっしゃるというふうに存じておりまして、
障害者
の
皆さん
の所得状況も多様である、こういうふうに認識をいたしております。
阿部知子
190
○阿部
委員
私は、あともう一つ、就労状況もお伺いしたかったですが、今
大臣
のお示しくださいました所得状況についても、極めて限られた、これはたしか、身体
障害
を負われてリハビリの施設を経過された方の所得の分析だったと
思い
ます。 もちろん私も、所得の把握が簡単なものとは思っていません。プライバシーもおありでしょう。しかし、
障害者
の本当にバリアフリーにしていく政策の中には、例えば、今後、我が国が補足的所得の充実策でいくのか、それとも、
大臣
がいつかおっしゃいましたタックスペイヤーにしたい、これは主には雇用政策でいきます、この二つの流れが、分離するものではありませんが、おのおのの国の
障害者
の実態を見ながら進められております。 ですから、私が今
大臣
に伺ったのは、果たしてどの程度
大臣
の頭の中に、
障害
を持たれた方
たち
の
生活
状況、所得状況、就労状況がおありの上でこの
法律
が出されたのか。そもそも、
障害者
のグランドデザインというのはそのようなものだと
思い
ます。 もし私の問いが
大臣
の今の即座の
お答え
にならないのであれば、
塩田
さんにお伺いいたします。我が国の
障害者
の
自立
政策、これは今
厚生労働省
としては、どちらをということも言えないかもしれません、大枠、グランドデザイン、どう進めようとしておられますか。
塩田幸雄
191
○
塩田
政府参考人
私も、今のポストについて、大勢の
障害者
の方にお会いしましたし、いろいろな場で働いている方とかいろいろな施設におられる方、いろいろな方に会いました。
障害
を持つ方の置かれた状況はいろいろな状況で、一つの
言葉
でまとめることが難しいぐらい、本当にさまざまなところで頑張っておられるということだと
思い
ます。 ですから、全体としてどちらに向かうかということを申し上げるのも大変難しい、一人一人置かれている状況が違うということですが、基本を申し上げれば、働ける意欲とか適性のある方はぜひ福祉就労から一般就労に向かっていただきたいと
思い
ます。しかし、それができない方は福祉就労でということだと
思い
ます。かつ、それでも稼得、収入を得られない方については、年金
制度
とか手当
制度
とか、あるいはセーフティーネットの
生活
保護もありますし、それぞれのお一人お一人に合った対策をきめ細かく一人一人に対してやっていくというのが
障害者
福祉の基本であろうと
考え
ております。
阿部知子
192
○阿部
委員
その割にはきめ細かくないということが、先ほどの山口
委員
との質疑ですね。その方の状態像を把握していないじゃないか、二次判定と差が出るじゃないかという質疑があったばかりですね。 だから、
言葉
だけの答弁はもう要らないんですよ。この
審議
の中で、もっとリアルに、本当に
障害
をお持ちの方にどうしていったらいいか。
大臣
に伺います。
大臣
は、
障害者基本法
の十三条というのを御存じでしょうか。
尾辻秀久
193
○
尾辻国務大臣
即座に
お答え
できませんので、今探して
お答え
をいたしますが、お待ちいただけますでしょうか。
阿部知子
194
○阿部
委員
では私が、時間のロスですので。
障害者基本法
十三条、平成五年だと
思い
ますが、「国及び地方公共団体は、
障害者
の
自立
及び
生活
の安定に資するため、年金、手当等の
制度
に関し必要な施策を講じなければならない。」が十三条です。私がきょう問題にしている
所得保障
の問題です。 ちなみに、我が国の
障害者
の置かれた状況は、極めて不十分な
所得保障
、極めて低い就労状況、どっちも超低いのです、これは。ここをちゃんと
塩田
さんに言ってほしかった。よく見れば、ああ、そうじゃないのというのはわかるでしょう。そういうことをきちんと
厚生労働省
が
政府
に言ってくれなければ、だれも今必要な施策を本当に決めていくことができないんです。 では、
塩田
さん、もう一回、
所得保障
は十分だと
思い
ますか。
塩田幸雄
195
○
塩田
政府参考人
日本の
障害者
に支払われている
所得保障
は、昭和六十年だったと
思い
ますが、当時、
障害者
の
所得保障
を
検討
した結果、
障害
基礎年金という年金
制度
と福祉サイドからの手当
制度
の二本立て、それから、セーフティーネットとしての
生活
保護、そして、働ける方には就労確保、そういう基本的枠組みができておりまして、
制度
としては体系はでき上がっていると
思い
ます。 前
国会
で
提案
していただいたように、無年金の方がいるとか、個別にはいろいろな谷間に置かれている方がまだいることは事実だろうと
思い
ますが、
政府
としては、完璧とは言えないかもしれませんが、累次の改正で充実強化に努めてきている状況にあると
思い
ます。
阿部知子
196
○阿部
委員
制度
としてはあっても、額が低ければこれが問題なのです。何をもって充実強化に努めていますか、
塩田
さん。あなたがそうおっしゃる
内容
を言ってください。 私は、きょう
皆さん
のお手元に、ずっと
障害者
年金の平成六年から十五年までの額を書いてございます。これは
厚生労働省
につくっていただいたもので、現在百三十三万人が受給、上段です。額は七万五千四百二十二円。ちなみに、この額は
生活
保護の扶助額より低いものです。ずうっと変わらない、
障害者基本法
ができても十年変わらない。下には、今
塩田
さんがおっしゃった特別
障害者
手当、あるいは、お子さんの場合は特別児童扶養手当、これもずうっと変わらない、何にもふえていない。
尾辻
大臣
に伺います。
制度
の枠ができて、
障害者基本法
ができました。十三条には、「国及び地方公共団体は、
障害者
の
自立
及び
生活
の安定に資するため、年金、手当等の
制度
に関し必要な施策を講じなければならない。」とあります。では、この十年、必要な施策はなかったんでしょうか、何か講じられたでしょうか。 まず、
塩田
さん、これは年金と手当ですからね、この
障害者基本法
十三条。答弁をお願いします。
塩田幸雄
197
○
塩田
政府参考人
昨年の年金改革におきまして、
障害
年金
制度
の改善が一つ行われておりまして、六十五歳時点で
障害
基礎年金と老齢厚生年金の組み合わせを選択するということが可能になる、これは一歩前進だろうと思っております。 それから、昨年の秋の臨時
国会
で、先生方に特別
障害者
給付金の
制度
をつくっていただいた。 それから、年金、手当ではありませんが、今般、
障害者
雇用促進法を改正していただきまして、
精神
障害者
の人の雇用についても一歩前進が見られた、そういった改善があったところでございます。
阿部知子
198
○阿部
委員
まず、三番目のはずるいです。私は今、年金と手当と聞いているんだから。
障害者基本法
十三条は「年金、手当等」と書いてあるのです。二番目におっしゃった無年金
障害者
問題は、それこそ超党派でできましたが、厚生省が
自分たち
の政策的な不備をみずからの手で直したものではありません。なぜ無年金が発生したかということの主体的な総括もありません。一番目について言えば、微々たるものです。それだけをもって、十年間放置してきたことを何ら言いわけできるものではありません。 午前中、
大臣
は五島
委員
の質問に対して、これから
障害者
の
所得保障
についてもっと前向きに
検討
するとおっしゃいました。十年間ほったらかしだったんです。そして、ここに来て決めたものは何か。先に金を取る
法案
です。
障害者
も、あなたも人並みになるには
利用
料が要りますよという
法案
がこれです。金を取って、
所得保障
の方は置き去り、置きっ放し。今からじゃ困るんです。 この
法案
を出す前に、
大臣
には、
所得保障
に向けたプログラムを出す、この十年間の不作為を補う役割が私はあると
思い
ますが、いかがですか。
尾辻秀久
199
○
尾辻国務大臣
いろいろお話しになっておりますけれ
ども
、私
ども
、今
所得保障
というその所得の
部分
で先生が話題にしておられる
部分
、すなわち年金、手当という
部分
について申し上げますと、まず
障害
基礎年金二級の分が老齢基礎年金と同じ額にしてあるわけでございますから、十分であるかないか、いろいろな御議論はあるでしょうけれ
ども
、やはりそこは国として、これを整合性というかどうかは別といたしますけれ
ども
、そこのところで合わせてある、それなりのことはさせていただいておるというふうに思うわけであります。 それに対してまた手当を乗せておるわけでございまして、今日の財政事情、ずっと続いております経済事情を
考え
ますと、手当の額がそう上がっていないということについての御議論はまたあろうかと
思い
ますけれ
ども
、これも、このところのいろいろな事情を
考え
ますと、精いっぱいやらせていただいておるということは言えるのじゃないかというふうに
思い
ます。 そうした中で、今後のことをどうするかということでございますけれ
ども
、所得ということをいうと、もう一つ、先ほど部長も
答え
ましたけれ
ども
、まず就労ということもあるわけでございまして、そうしたようなことも含めて私
ども
は今後の施策を
考え
ていかなきゃならない、努力をいたしますということを先ほど来
お答え
申し上げておるところでございます。
阿部知子
200
○阿部
委員
大臣
も数値を見ればおわかりだと
思い
ます。努力する、努力するといったって、何にもふえていないのです。これで、ここからお金を取る
法律
が、今回の
障害者自立支援法
という名の定率、応益
負担
を強いる
法案
です。手順が違うと
思い
ませんか。
順番
が違うと
思い
ませんか。
大臣
、せめて
所得保障
がなされるまで
負担
を待てというのが野党の
意見
だったと
思い
ます。なぜこの
順番
が逆転してよいのですか。十年間何もしていない。数値は、びた一文上がっていないどころか、下がっているんです、百三十三万人の平均した年金額は。手当も何もふえていない。 私は、
大臣
配下の優秀な
厚生労働省
の前途ある役人の方に、OECD諸国でどんな手当がどんなふうに工夫されているか、あるいは労働能力を失ったための年金がどのように体系立てられているか、調べていただきました。時間もかかりましたが、よくやってくださいました。 日本よりも本当に重層的に
考え
られています。例えば、
重度
の方にはそれだけで
重度
の手当、
重度
の介護者には介護者手当がきちんと個人単位で払われます。今我が国のやろうとしていることは、全部その
決定
権を
厚生労働省
が持って、認定して、あんたにはこれだけ必要だからあげるよと。全く逆転しています。
大臣
、もう一度最初の答弁をお願いします。 なぜ、
所得保障
が据え置かれたままで先に
負担
をお願いする
法案
が出るのですか。それは現状を悪化させるじゃないですか。その点についてはどうでしょう。
尾辻秀久
201
○
尾辻国務大臣
これは、このところ措置
制度
から
支援費制度
に変えた。そして、その
支援費制度
の中でやってきて、急に
利用
する
皆さん方
の数もふえまして、
支援費制度
という
制度
そのものを維持することが大変財政的にも厳しくなってきておるという状況を踏まえて、私
ども
としては、とにかくこうした
制度
を維持していかなければならない、何とか
障害者
の
皆さん
に対する必要な予算を確保しなきゃならない、まずそのことを
考え
て、今回のお願いも、みんなで支え合ってまいりましょうということを申し上げているところでございます。
阿部知子
202
○阿部
委員
大臣
はよくわかって答弁されているんでしょうか。みんなで支え合うといったって、さっき言ったイコールのスタートラインに立つために、そこまで行くのに金を出せと言っている
法案
なんです。だからこれだけ反対しているんです、みんな。 苦しいことはわからないではありません。でも、
大臣
がまず第一にやるのは、私がこの
法案
の一番目の一番先の質問でいたしました、OECD諸国中最も低い
障害者
施策に対しての政策費、どこにもないくらい低い。だから年金総額も手当も少ない。そうしたら、まずそれを
大臣
がみずからの見識で谷垣
大臣
にも小泉さんにも言っていただいて、これじゃ
障害者
にお願いするにもお願いできません、だからもう少し
所得保障
を、もう少し手当を、そうあって初めて片方の
障害者
に
負担
がお願いできる問題ではないですか。なぜそれをされませんか。お願いします。
尾辻秀久
203
○
尾辻国務大臣
財政当局とは、随分と私
ども
もいろいろな折衝をいたしております。 そうした中で、今具体的に先生が言っておられることについて、私
ども
が要求をいたしておるところではございませんが、いろいろなその他のことについて、私
ども
も、財政当局を何とか説得をしたい、しなきゃならないということで、随分、平たい
言葉
で言うとやり合っておるところでございまして、私
ども
が何にもしていないということではないことだけはぜひ御理解いただきたいと存じます。
阿部知子
204
○阿部
委員
しかし、その交渉事の根幹を過てば、結局は
負担
を全部
障害者
にツケ回すことになるわけです。やはりきちんとした
障害者基本法
十三条を
実施
してください。 私は、
大臣
に次の回の
委員会
までにお願いがあります。
所得保障
に向けたアクションプログラムをお出しいただきたい、年次経過を入れて。そうしましたら、あと三年我慢すればいいんだったら、少しは死なずに済むでしょう、ためたお金も食いつなげましょう。しかし、何にも先が見えないのです、今のままだと。
障害者
の
所得保障
、年金、手当、就労。就労は本当にまだまだ低いレベルです。 これと、しかし一方で、十三条の言う年金手当も、必要だからこそ基本法に書かれたんです。何でもこのごろは基本法を無視するのがお好きです、今の
政府
は。郵政民営化でも、省庁の改革基本法は無視というありさまです。しかし、それじゃ国民との約束事が果たせない、
障害者
との約束事も果たせない。基本法は紙っぺらになってしまう。
大臣
、お願いします。今度の
委員会
の
審議
までに、
大臣
がお
考え
になる
所得保障
、年金、手当、もう
大臣
の部下には諸外国のことを勉強された方がいます、
大臣
の
尾辻
プランをお出しいただきたいのが一点。 あと、時間がないので、もう一点、きょうはどうしてもここだけはということをやらせていただきますが、実は、
障害者
の基礎年金は、先ほど申しました
生活
保護の
生活
扶助額より低い額になってございます。年金局長、この理由は何でしょう。
渡辺芳樹
205
○
渡辺
政府参考人
お答え
申し上げます。 先生御
承知
のとおり、我が国の公的年金は拠出制を原則として
負担
と給付のバランスで成り立っておるわけでございまして、その中核が老齢年金であるということも御
承知
のとおりだと
思い
ます。
障害
基礎年金を例にとりますと、こうした老齢基礎年金とのバランスに配慮してその水準が設定されているわけでございます。二級の場合に満額の老齢基礎年金と同額で、一級の場合はその二割五分増しということでございます。 そうした中で、こうした
障害
基礎年金の受給者は、先ほど先生御配付いただいた資料の中でもありますように、約百三十万人いらっしゃいます。
生活
保護は、
自立
した
生活
に必要な
生活
基盤、資産を全く有していない者でも最低限度の
生活
水準を
保障
できるように設定され、さまざまな調査や資産を活用した上で不足額を差額として支給するものでございます。 確かに、
生活
扶助基準と
障害
基礎年金との数字というものは、扶助基準も
地域
によって違いますけれ
ども
、違いがございます。また、基準と実際に支給されている
生活
扶助額との間でも、約七割というような数字もあるようですが、実態上の違いもあるようでございます。 いずれにいたしましても、
制度
の趣旨が全く異なりますので、
障害
基礎年金と
生活
扶助基準というものを単純には比べるべきものではないというふうに
考え
ております。 なお、御配付いただきました資料の中にも、約十万世帯の被保護
障害
世帯の数字がございますが、百三十万人の中でそうした数字でございます。また、
障害
基礎年金の受給世帯というものでいえば、約五万世帯というふうに
承知
しているところでございます。
阿部知子
206
○阿部
委員
いろいろ多岐にわたって
答え
てくれましたが、大事なことは
答え
られなかった。
生活
扶助ということは、その人が
生活
していくための最低限の扶助です。では、
障害者
は最低限生きなくていいのですか。一つ。 それから、子供のうちに
障害
になった方に対してと、大人になって以降
障害者
になった方では、国の税の補てんの比率が違うと
思い
ます。この点について、私はちょっときょう時間を切らしましたので、
大臣
が先ほど、子供
たち
の
医療
についても同じ
負担
をお願いすると言いましたが、この
障害者
の基礎年金においてすら、子供
たち
のような、小さいころから
障害
を抱えて生きた子には税の投入額が多いのです。恐縮ですが、この次までに勉強していただいて、なぜそういう仕組みができたのか。 拠出はしていません、子供だから。だけれ
ども
、子供のうちから重い
障害
を負って生きてきた子に対して、基礎年金を給付するときにそれなりの、国は六割を入れています。ほかの
障害
基礎年金では、国は現状三分の一で、それを二分の一に上げるということだと
思い
ます。それだけの配慮がなされてきたわけです。 私は、何も子供だけがよければいいとは
思い
ません。ただ、子供に対しての今回の仕打ちは論外ですし、この社会が子供を要らないのかと思うほど私は立腹しますので、恐縮ですが、
大臣
にこれを宿題にしますので、よく事務方とお話しいただいて、なぜ
障害
基礎年金においても子供
たち
においては税補てんが多いのかということで、認識を深めていただきたいと
思い
ます、次回に。いいですか。
尾辻秀久
207
○
尾辻国務大臣
いろいろお話しいただいたようなことは改めてまた調べさせてもいただきますけれ
ども
、一点、ぜひ申し上げておきたいことは、財政的な裏づけのない数字を幾らお出ししても、これは絵にかいたもちにしかなりませんので、そのことだけはぜひ御理解をいただいておきたいと存じます。
阿部知子
208
○阿部
委員
しかし、実態としての
生活
がかかっていますから、それが
保障
されなければ何の
意味
もありません。 終わらせていただきます。
北川知克
209
○北川
委員長
代理 次回は、公報をもってお知らせすることとし、本日は、これにて散会いたします。 午後三時二十一分散会