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阿部委員 私が申し上げたいのは、国民のニーズとはそんな単に表面の浅はかなものではないということです。
もちろん、
むだ遣いを正すのはこれは当たり前です。これを国民のニーズとは言いません。こんなことは常識です。だれが好んで
むだ遣いしましょうか。しかしながら、
むだ遣いしてきました。社会保険庁のやり方は
むだ遣いしてきた部分もあります。その部分を正すことと、今回、また新たに
独立行政法人をつくり、私はこれはさらなる
むだ遣いだと思います。先ほど、そこにかかる費用は経費だからまた
保険料からと言いました。経費と言い逃れて、また本当にわけのわからない箱をつくって、そこに失礼な言葉ながらくそみそ一緒に突っ込んで、バナナのようにたたき売る、こういうものが果たして国民の望む形なのか。
国民は今、郵政民営化よりも、もっと
年金を初めとして
厚生労働行政こそしっかりしてほしいと思っていると思います。浅はかな思いで
厚生労働省に期待しているのではないと思います。
そして、私は、もう一つ言わせていただきたいですが、参議院のずっと審議の議事録を読み、またきょう伺っても、実は
厚生労働省自身の総括がないのです。社会保険庁を監督する
厚生労働省自身が、この間のいろいろな、さっきの健康、健診政策を打ってきた、あるいは社会保険病院をつくってきた、
厚生年金病院をつくってきた、みんな
厚生労働行政です。その時々、政策として打ち出し、そして手法としては公益法人を使ってやってまいりました。政策が誤りであったか、時代が変わったか、これからはどうかという総括が一つに必要だと思います。いま一つは、先ほど来私が指摘させていただいている公益法人と厚生省のあり方において、きちんとした管理監督なり、保険者に最小限の負担で済むような運営がなされてきたかということこそを、
厚生労働省には総括していただきたいです。
その視点がなければ、こちらで有識者
会議、私はこれは外から見た総括だと思います。しかし、みずから担ったものにはみずからの誇りがあってしかるべきです。
私は、実は議員になって五年目。そして、五年前、私が国会に来たときの医政局長は伊藤さんという方でした。その後、この社会保険関連施設に天下った云々の
批判のある方ですが、私は、そういうことにおいて彼を
批判しようとは思っていません。実は、彼とは、戦後の日本の皆さんがやってきた
厚生労働省の
医療行政がどんなものであったかという話を、随分、幾度にもわたってお話を伺いました。
例えば、戦後間もないころ、まだまだ日本の中に十分な
医療施設がないときに
厚生年金病院はつくられました。各地で戦争から傷ついて帰ってきた傷痍軍人と呼ばれる皆さん、あるいはそのほかさまざまな、整形外科的疾患でリハビリが必要となる方を含めて、とにかく病院の量をふやさなきゃいけない時代。それからさらに質を上げようとした時代。おのおの、今に至るまで四期ほどの区分けをして彼は説明をなさいました。
私は、みずからやってきたことに何から何までこれで終わりよというようなやり方をする省庁を信じません。それは、坊主丸ざんげでしたか、とにかく、ざんげの値打ちもないのです、そういうのは。やはり、自分のやってきたことは誇りを持って、そして現時点で何が必要かを国民に問いかけるくらいの気概を持ってやっていただかなければ、実は命を預かる
厚生労働行政なんか私はできないと思っています。
ここで
大臣に伺います。私は、特に、
医療提供体制ということから、現在の日本における最も国民の求めているニーズは何かということで、
大臣とお話をしたいと思います。
今、
厚生労働省では、
医療提供体制の見直しというのを行ってございます。
大臣も御存じかもしれませんが、
医療計画の見直し等に関する検討会というものが、五月三十日までの間に、この間、九回行われております。これはいわゆる
医療計画です。どこにどういう病院を置き、どのような機能を担わせ、お互いのネットワークをつくり、これからの少子高齢社会をどのように展望していくかという、この
医療計画制度のあり方についてという何回かの審議を見て、まず一つ、大変に驚いたことがあります。
それは、
医療提供における国と都道府県の役割ということの規定において、まず、国や都道府県は、これからは直接
医療サービスを提供する機能よりも、
医療サービスに係るルールを調節する機能に向かっていくべきだとされています。その前提として、国民がどの地域においても安全、安心で一定水準の
医療を受けられることを前提とした上でというのがございます。
果たして今、日本全国で、津々浦々、どこでも安心して
医療を受けられる体制の前提はあるとお考えでしょうか。これはまず、
大臣の正直な御感想をお願いします。