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中山(泰)
委員 今、
局長のお言葉の中に、いろいろな
精神科医の
先生方、そういった医学的な知見からも御
協力をいただいて
性犯罪者の
対策をするということでございましたけれ
ども、私もきょうここに一冊の本を持ってきておりますが、この
小田晋先生の御本でございますが、
小田先生は、もう
皆さん御存じのとおり、
犯罪学会の会長で、なおかつ
小田先生自身も
精神科医でございまして、この
先生の御本を拝読させていただきますと、現実的にこの
治療的な
保護観察というもの、これをそろそろ実行していかなければいけない、もしくは検討をしていかなければいけない時期に来ているという御提言をなされておられます。
私も、実は今現在八カ月の
赤ん坊を育てている親として、もし我が子が、我々が先般行われたスーパーの中での
殺人のような
被害に遭うようなことがあったら、そしてまた
被害者、もう
被害に遭われた御
家族が、その
犯罪者が入っても
心神喪失者ということで適当な時期に適当にまた野に放たれるようなことがあったら、
本当に怖いなというふうな気がいたしております。
こういうことを言い出しまして、薬を投与してその
犯人を
治療していく
プログラムをやれということは、私
自身も提案をしながら、同時に気をつけなければいけない点もあると思います。特に、ナチス・
ドイツのヒトラーなんかがあらわれた
時代に、
政治犯なんかを捕まえて、牢屋に閉じ込めて、そこへ薬でなぶってその
人間を崩壊せしめるということがあったら、それはそれでいけないわけでございます。
しかし、今、
社会防衛ということ自体が悪だという言われ方は、私は逆に、間違っているんじゃないかなと。
犯人の
人権、そしてまた
被害者の
人権というものを
てんびんにかけた場合、
皆さんだって御
家族が
被害に遭われたら、当然、
日本刀を持ってでもその
犯人を殺してやる、
家族が殺されたら復讐してやるという思い、それは
人間として当たり前の
行為であり、当たり前の反射的な
心理であるというふうに私は考えています。
現実的に、
外国の
事例でかなりの数の症例が出ているということでございますし、
法務省の方でも
心理療法、いわゆる
カウンセリングをその
被疑者たち、
犯人たちに対してやっていくということ、それも出ておりますが、同時にその
補助手段として、こういった
薬物による
治療ということ。要するに、
病気なのである、
病気は薬で治すんだということ、これも考える
余地というものを、全く最初からゼロだというのではなくて考える
余地を残すというのが、逆に言えば、
世の中、ほかの何も
犯罪を犯さない、将来的に
被害を受ける
可能性がある方に対する
防衛ということにもなるんじゃないかなと私は考えております。
特に
日本では、東京医科歯科大学の
名誉教授の
中田修先生が、このアンドロクールといいます、サイプロテロンアセテートというお薬を用いてこの
治療プログラムを紹介しようということで、
使用実験を行おうとしましたが、要するに、私
どもの国では
医療施設でも
矯正施設でもこれに
協力することがなくて、同時にまた、そのお薬が
販売許可が得られないままになっているという現状。これを少なくとも、私も
厚生労働委員会で
委員をいたしておりますので、逆にこれをしっかりと、少なくともその
予備的措置が講じられるような
可能性というものを残す
意味でも、この
日本のような
先進国でそういったお薬がないという
状態、認められないという
状態、それを生まないようにしていかなければいけないなというふうに考えております。
同時に、
海外の
事例でいきますと、米国だけじゃなくて、
チェコスロバキアの
ブレソラ博士、それからオーストラリアの
マッコーナイ博士、そしてまたスウェーデンの
エリクソン博士、そしてタイの
コールマン博士、
あとスイスの
ボンサール博士、
ドイツの
ホフェット博士、デンマークの
バン・モフェルト博士、そういった
先生方が、そういった
性犯罪者に対して
MPA療法、いわゆるメドロキシプロゲステロンというお薬を投与した形での
心理的な
カウンセリング、それと同時に、それを補助する形での
薬物使用ということに対して既に
実験をしているということ。そして、そういった事実、
事案ということをしっかりと
我が国も、そういった
可能性があるんだということで、
データとして
法務省の
皆さんがお持ちをいただくということも同時に必要じゃないかというふうに考えております。
そしてまた、
異常性愛者の方
自身は、
自分が
異常性愛だという
認識が非常に少ない。だから、
カウンセリングでお互いの
危険性を示し合わせて、ああ、
自分は危険なんだということを気づかせるということでございますけれ
ども、現実的に限界があるのではないかということ。それが、現実的に
皆さん方が
データとしてお持ちになられているいわゆる
性犯罪の
再犯率というものに比例をしているんじゃないかというふうに私は考えております。
ぜひ、裁判所もしくは検察官が、
執行猶予または
執行猶予等の代償として、
被疑者イコール患者というものに対して
治療処分制度を勧告できるように、そしてまた通院をさせるように。
そして同時に、先ほどおっしゃいましたけれ
ども、先ほど私が申し述べたような
海外の
事例、
事案を見ますと、いわゆる
副作用というものを御
指摘いただきましたけれ
ども、さほど
副作用が強いものではないというふうに私が拝読をさせていただいておる文献では載っております。特記すべき
副作用なく安全に使えるということがわかっているということ。
昔、それこそ地球は回っているんだと言って死刑に遭いそうになった方がいたわけで、天動説、地動説の争い。
医学界でも、私の祖母もがんで亡くなりましたけれ
ども、当時、
丸山ワクチンが効くと言われて、私の父が走り回ってその
丸山ワクチンをやみで買ってきて、一生懸命お医者さんに渡して打っていたのを、私はちっちゃいときですけれ
ども覚えています。
ですから、そういった中で、少ない理論、少ない説かもわかりませんけれ
ども、そっちの方も、ぜひ両方、
ダブルベットで、
ダブルベットというのは寝るベッドじゃなくてかける、ベッティングの
ベットですけれ
ども、その
ベットで
可能性というものを探り出して、
世の中に第二、第三の
被害者というものを生まないように
法務省の方にも御尽力を求めたい、そのように考えております。
それから三点目でございますけれ
ども、私
どもの地元にも
保護司さんがたくさんおいででございます。そして、だんだん
犯罪者の
行為というものが劣悪な
事案がふえる中で、
保護司の方が非常に精神的に
負担をお感じになられているというケースがふえております。
先般も、御
主人を亡くされて、それまではお二人でお住まいだったんですけれ
どもお一人、今女性の
奥様の方が
保護司をなさっている方が、
保護司が面倒を見る
少年に殴られそうになったというお話を聞きました。それ以来、その
奥様は、玄関に亡くなられた御
主人の靴を置いて、
主人は二階にいるのよということで、
自分なりの
防衛措置というのを図っていらっしゃるということでございます。
社会復帰を
被疑者に対して促進をし、そして同時に雇用もふやして、できるだけ性善説という考え方で
犯罪者の方を見ていきたいという気持ちもありますけれ
ども、同時に、
本当の
意味で、先ほど来申し上げているような第二、第三の
被害者を生まないということから、
保護司の
方々に対する
負担の軽減というのも
法務省としてお図りをいただけたらありがたいというふうに考えています。
特に、
犯罪者に対して
カウンセリングなんといって心の
治療をやるぐらいだったら、
保護司の
方々にも、そういった
負担をどうやってヘッジしたらいいのかということ、そういった
部分を逆に
カウンセリングとか御
指導を、今現在でも
指導をなさっていると思いますけれ
ども、もっと
指導を強化する。もし殴られたときはこうやりなさいとか、そういった何かお考え、もしくは現段階での計画というものがあるのであれば、ちょっとお聞かせをいただけたらありがたい、かように思います。